特許第6389368号(P6389368)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6389368
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】除去性の改善された人工爪被覆組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20180903BHJP
   A61Q 3/02 20060101ALI20180903BHJP
   A45D 31/00 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
   A61K8/81
   A61Q3/02
   A45D31/00
【請求項の数】1
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-65594(P2014-65594)
(22)【出願日】2014年3月27日
(65)【公開番号】特開2015-189668(P2015-189668A)
(43)【公開日】2015年11月2日
【審査請求日】2017年1月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】390011143
【氏名又は名称】株式会社松風
(72)【発明者】
【氏名】田中 久生
(72)【発明者】
【氏名】松本 亜希子
(72)【発明者】
【氏名】中小路 裕子
(72)【発明者】
【氏名】山口 豊
(72)【発明者】
【氏名】中塚 稔之
【審査官】 松本 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−020956(JP,A)
【文献】 特開2014−005260(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/016531(WO,A1)
【文献】 ENTITY BEAUTY INC.,MATERIAL SAFETY DATA SHEETS,ENTITY ONE GEL UV TOP COAT,2007年 6月22日,p.1-6,URL,https://www.transdesign.com/content/MSDS-Entity-One-Gel-UV-Top-Coat.pdf
【文献】 Orly International, Inc.,MATERIAL SAFETY DATA SHEET,Orly Gel FX Nail Lacquer,2011年 2月23日,p.1-6,URL,http://www.universalcompanies.com/FetchFile.ashx?id=032023fd-f72c-410f-9a85-3d2bf3fa4c32
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00− 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)1分子中に平均個以上の(メタ)アクリレート基及び、1分子中に少なくとも1個以上のウレタン結合を有するものを含む、重量平均分子量200〜1738のウレタン(メタ)アクリレート、60.0〜80.0重量部及び(b)下記式(化1で示される化合物、及び(メタ)アクリレート基を有する化合物(但し、(a)のウレタン(メタ)アクリレート、下記式(化1)及び/又は、下記式(化2)で示される化合物、下記(c)の光重合開始材を除く)
(化1)
(式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、nは1〜14までの整数である。)
(化2)

(式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、nは4〜10までの整数である。)、20.0〜40.0重量部及び、(c)光重合開始材、1.0〜5.0重量部を必須成分として含有し、(a)成分の平均アクリル当量が780〜1432.7である事を特徴とする人工爪被覆組成物。

ここで、アクリル当量は下記式(1)及び、平均アクリル当量は下記式(2)で与えられる。
アクリル当量:e=A/B (1)
平均アクリル当量:

ここで、
A:サイズ排除クロマトグラフィー法(一般にゲル浸透クロマトグラフィー法と呼ばれる場合もある)において測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量
B:ウレタン(メタ)アクリレート1分子中の(メタ)アクリレート基の数
wi:添字iは“第i番目の成分に関する”事を示し、(a)成分を100重量部とした時の第i番目のウレタン(メタ)アクリレートの重量分率
ei:添字iは“第i番目の成分に関する”事を示し、第i番目のウレタン(メタ)アクリレートのアクリル当量を示す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は美的外観、特に表面光沢に優れた人工爪用の被覆組成物である。詳しくは、ジェルネイル材料及びアクリルネイル材料、ネイルマニキュア材料等に代表されるネイルアート材料を使用して形成されたネイルアート上に使用する表面被覆材料である。本発明の人工爪被覆組成物は、ネイルアート材料を使用して形成されたネイルアート上に筆等を使用して塗布・被覆を行い、紫外線及び/または可視光線で硬化させて使用する被覆組成物である。
【0002】
本発明の人工爪被覆組成物を使用する事によって、美的外観に優れた表面光沢性を容易に得る事が出来ると共に、塗布・被覆及び光硬化に基づく簡便且つ早急な操作性が得られる。さらに、本発明の人工爪被覆組成物は長期間の日常生活に耐え得る強度を有し、長期的な表面光沢の維持及び耐変着色性を有している。
【0003】
加えて、本発明の人工爪被覆組成物を使用する事によって人工爪被覆組成物の除去性能が飛躍的に改善される。
【背景技術】
【0004】
ネイルアート材料の表面被覆材として使用される材料の特性としては、優れた表面光沢性及び塗布操作性、耐変着色性等が求められるが、特に表面光沢性に関しては最重要の特性である。
【0005】
加えて、最近ではジェルネイル材料を使用したネイルアート除去時の時間的短縮と技術的容易性が求められ、優れた表面光沢性及び塗布操作性、耐変着色性等の各種特性を維持したまま、容易に除去可能な表面被覆材が注目されている。
【0006】
ジェルネイル材料を使用するネイルアートは、アセトン等の有機溶剤を主成分とするネイルリムーバーと呼ばれる溶液を含浸させたワイプやコットンをネイルアート上に10分程度静置する事によって除去する方法が一般的である。この際にワイプやコットン中の有機溶剤の効果によりネイルアートが膨潤することによって除去可能となる。
【0007】
しかし、一般的に表面光沢や変着色性に優れた人工爪被覆組成物は高い架橋密度に由来した硬化物物性を有し、特に耐溶剤性に優れていることから、上記通法によって容易に除去する事が困難である。
【0008】
したがって、除去の際に人工爪被覆組成物をサンディングにより削り取ったり、ネイルマシンを使用して人工爪被覆組成物層を機械的に除去する必要があった。
【0009】
このような人工爪被覆組成物の機械的除去にはネイルアート除去時の時間的損失及びネイリストの高い技術力が求められ、最近の市場要求と異なる事は明らかである。
【0010】
次に、本発明の人工爪被覆組成物の一般的な使用方法を説明する。ジェルネイルを使用する基本的な施術方法としては、一般にナチュラルネイルジェルフローターと呼ばれる方法がある。ナチュラルネイルジェルフローターとはジェルネイルを天然爪上に塗布・重合/硬化させ、特別な美的外観を与える手法であり、ジェルネイル材料の施術方法として最も一般的である。その他にも、ジェルネイル材料を使用してネイルチップ上に施術を行う場合もある。
【0011】
一般的な施術方法であるナチュラルネイルジェルフローターの場合は、通常次に記載する施術工程を行う。
(工程1) 天然爪表面をスポンジファイルでサンディングする。
(工程2) ネイルクレンザーを染込ませたワイプで油分・ダストを拭取る。
(工程3) クリアジェルを天然爪全体に塗布する。
(工程4) 光重合装置を使用して光重合を行う。
(工程5) 重合したクリアジェルの上面にカラージェルを使用してカラーリングやネイルアートを行う。
(工程6) 光重合装置を使用して光重合を行う。
(工程7) 必要に応じて工程5及び工程6を繰返し行う。
(工程8) トップジェル(人工爪被覆組成物)を天然爪全体に塗布する。
(工程9) 光重合装置を使用して光重合を行う。
(工程10) ジェルリムーバーまたは、ジェルクレンザーを染込ませたワイプを使用して表面未硬化ジェルを拭取る。
ここで、上記(工程8)記載のトップジェルが本発明の人工爪被覆組成物に該当する材料である。
【0012】
ジェルネイル材料は、一般的な爪化粧料であるマニキュア(ネイルポリッシュやネイルラッカーと呼ばれる場合もある。)と比較して、光沢耐久性や耐磨耗性に優れており、上記のように施術工程に関しても比較的簡便であり、マニキュアの用に乾燥工程を必要としないことからネイルサロン等の主要施術メニューの一つである。
【0013】
しかし、一般にトップジェルと呼ばれている本発明の人工爪被覆組成物は、上記施術(工程10)記載のようにワイプを使用して表面未硬化ジェルを拭取るために、硬化面にワイプによる拭取り傷が生じ表面光沢性が低下する欠点を有している。そのため上記施術方法においても優れた表面光沢を発現する人工爪被覆組成物の開発が求められている。
【0014】
次に、本発明の人工爪被覆組成物の一般的な除去方法を説明する。一般的な除去方法は通常次に記載する施術工程を行う。

(工程1) ネイルリムーバーを含浸させたワイプまたは、コットンを除去するネイルアート上に設置する。
(工程2) ネイルリムーバーの蒸散を防止する目的でワイプまたは、コットンを覆うようにアルミホイルを巻く。
(工程3) 約10分間室温環境で放置する。
(工程4) アルミホイル及びワイプ等を取り外し、膨潤して柔軟になったネイルアートをキューティクルプッシャーやウッドスティック等を使用して除去する。
【0015】
特開2006−312596号公報には、マニキュア用有機溶媒系中に光硬化性樹脂と塗膜剥離剤とを混合したネイルマニキュアが開示されている。ここで、光重合開始材としてα‐ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを含む光硬化性樹脂が使用されており、かつ塗膜剥離剤として、ポリエステルウレタンアクリレートが使用されている。
また、当該発明のネイルマニキュアは、ベースコート剤とカラーポリッシュ剤との組み合わせから成る態様である。
さらに当該発明のネイルマニキュアにおいては、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエーテル変性シリコーンオイル、エポキシメタアクリレート、エポキシアクリレート、エタノールが、更に使用されている。
当該発明は、速乾性であると共に、自爪の表面を傷めることなく剥がすことができる効果を有するものである。しかし、当該発明は、有機溶剤を含有する事から表面硬化性が不十分であり人工爪被覆組成物として使用した場合において、硬化面にワイプによる拭取り傷が生じ表面光沢性が低下する欠点を有している。
【0016】
特開2002−161025号公報には、重合性不飽和基含有化合物と光重合開始剤とを含有することを特徴とする光硬化性無溶剤型マニキュアが開示されている。ここで、重合性不飽和基含有化合物とは、重合性不飽和基を持つ単量体及びオリゴマーであり、例えば、ポリエチレングリコールジアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート等の多数の物質が挙げられている。また、該光硬化性無溶剤型マニキュアには、上記物質以外に、光重合開始助剤、着色剤、パール光沢剤、艶消剤、香料、紫外線吸収剤、湿潤剤、消泡剤、カップリング剤、揺変剤等が加えられ得ることが記載されている。しかし、当該発明においては人工爪被覆組成物として使用した場合の光沢性に関する検討は実施されておらず、当該発明より光沢性に関する知見が得られる事はない。
【0017】
特開2002−322034号公報には、生理学的に受容可能な媒体中にエチレン系二重結合を含むポリマー及び所定量のフリーラジカル光開始剤を含む光架橋性マニキュア組成物が開示されている。ここで、エチレン系二重結合を含むポリマーとして、エチレン系不飽和ポリエステル、(メタ)アクリレート側部基及び/又は末端基を含むポリエステル、(メタ)アクリレート基を含むポリウレタン及び/又はポリ尿素、(メタ)アクリレート基を含むポリエーテル、エポキシアクリレート、炭化水素ベースの側部及び/又は末端が有するエチレン系二重結合を含む少なくとも二つの官能基を含むポリ(C1−50アルキル(メタ)アクリレート)、(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミド基を含むポリオルガノシロキサン、アクリレート基を含むペルフルオロポリエーテル、並びに(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドを有するデンドリマー及び超分岐ポリマーが挙げられている。また、該光架橋性マニキュア組成物には、上記物質以外に、マニキュアにおいて通常使用される補助剤及び添加剤、例えば、顔料及び着色剤、可塑剤、合一剤、保存剤、ワックス、増粘剤、芳香剤、UV遮蔽材、ネイルケア化粧活性剤、拡散剤、消泡剤及び分散剤を、更に加え得ることが記載されている。該発明は、高い反応性を有する低分子量の分子を使用せず、隣接する生物学的基体に拡散するのを防止するために十分に大きな分子量を有する反応性成分(エチレン系二重結合を含むポリマー)を使用することにより、光架橋性化粧品組成物の毒性問題を解決しようとするものである。当該発明により光架橋性化粧品組成物の毒性問題は解決するが、高い反応性を有する低分子量の分子を使用していないために表面硬化性が不十分であり人工爪被覆組成物として使用した場合において、硬化面にワイプによる拭取り傷が生じ表面光沢性が低下する欠点を有している。
【0018】
米国特許5456905号公報には、滑らかに塗布でき、また、丈夫で光沢があり数分で乾燥すると共に市販の除光液で容易に除去可能なマニキュアに関する発明が開示されている。当該発明に用いられるマニキュアは、ニトロセルロースからなる樹脂基材、メタクリレート、ジメタクリレート、これらの混合物からなる群から選択される光反応性モノマー、ベンジルケタールからなる光開始剤、重合阻害剤を含む。しかし、当該発明は樹脂基材としてニトロセルロースを使用しているために、表面硬化性が不十分であり人工爪被覆組成物として使用した場合において、硬化面にワイプによる拭取り傷が生じ表面光沢性が低下する欠点を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2006−312596号公報
【特許文献2】特開2002−161025号公報
【特許文献3】特開2002−322034号公報
【特許文献4】米国特許5456905号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明はジェルネイル材料及びアクリルネイル材料、ネイルマニキュア材料等に代表されるネイルアート材料を使用して形成されたネイルアート上に使用する表面被覆組成物である。さらに本発明の人工爪被覆組成物はネイルアート材料を使用して形成されたネイルアート上に筆等を使用して塗布・被覆を行い、紫外線及び/または可視光線を使用して硬化させた後に、ワイプ等を使用して硬化物表面の未重合層を除去する使用方法において、美的外観に優れた表面光沢性を容易に得る事が出来ると共に、塗布・被覆及び光硬化に基づく簡便且つ早急な操作性を得る事を課題とする。
更なる課題としては、長期間の日常生活に耐え得る強度を有し、長期的な表面光沢の維持及び耐変着色性を有する事である。
【0021】
加えて、市販ネイルリムーバーを使用した一般的なジェルネイルの除去方法によって容易に除去可能な表面被覆組成物を提供する事である。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は(a)1分子中に平均個以上の(メタ)アクリレート基及び、1分子中に少なくとも1個以上のウレタン結合を有するものを含む、重量平均分子量200〜1738のウレタン(メタ)アクリレート、60.0〜80.0重量部及び(b)下記式(化1で示される化合物、及び(メタ)アクリレート基を有する化合物(但し、(a)のウレタン(メタ)アクリレート、下記式(化1)及び/又は、下記式(化2)で示される化合物、下記(c)の光重合開始材を除く)
(化1)
(式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、nは1〜14までの整数である。)
(化2)
(式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、nは4〜10までの整数である。)、20.0〜40.0重量部及び、(c)光重合開始材、1.0〜5.0重量部を必須成分として含有し、(a)成分の平均アクリル当量が780〜1432.7である事を特徴とする人工爪被覆組成物である。
ここで、アクリル当量は下記式(1)及び、平均アクリル当量は下記式(2)で与えられる。
アクリル当量:e=A/B (1)
平均アクリル当量:

ここで、
A:サイズ排除クロマトグラフィー法(一般にゲル浸透クロマトグラフィー法と呼ばれる場合もある)において測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量
B:ウレタン(メタ)アクリレート1分子中の(メタ)アクリレート基の数
wi:添字iは“第i番目の成分に関する”事を示し、(a)成分を100重量部とした時の第i番目のウレタン(メタ)アクリレートの重量分率
ei:添字iは“第i番目の成分に関する”事を示し、第i番目のウレタン(メタ)アクリレートのアクリル当量を示す。
【発明の効果】
【0024】
本発明の人工爪被覆組成物は、ネイルアート材料を使用して形成されたネイルアート上に筆等を使用して塗布・被覆を行い、紫外線及び/または可視光線を使用して硬化させた後に、ワイプ等を使用して硬化物表面の未重合層を除去する事によって、美的外観に優れた表面光沢性を容易に得る事が出来ると共に、塗布・被覆及び光硬化に基づく簡便且つ早急な操作性を得る事ができる。さらに長期間の日常生活に耐え得る強度を有し、長期的な表面光沢の維持及び耐変着色性を有する事が出来る。
【0025】
さらに本発明の人工爪被覆組成物を用いる事によって、市販ネイルリムーバーを使用した一般的なジェルネイルの除去方法によって容易に除去可能な表面被覆組成物を得る事が出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明において(メタ)アクリレート基とは、アクリレート基及びメタクリレート基の包括的表記である。
【0027】
本発明における(a)1分子中に平均2個以上の(メタ)アクリレート基及び、1分子中に少なくとも1個のウレタン結合を有する重量平均分子量1000〜30000のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとは公知のものが使用できる。
例えば、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ブチレングリコ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、トリメチロ−ルプロパン、グリセリン、ジグリセリン、ペンタエリスリト−ル、ポリエステルポリオ−ル、ポリカプロラクトンポリオ−ル及びポリエ−テルポリオ−ルなどの水酸基含有化合物とポリイソシアネ−ト化合物とを反応させてポリウレタンポリオ−ル(1分子中に2個以上の水酸基を含有するポリウレタン化合物)またはポリウレタンポリイソシアネ−ト(1分子中に2個以上のイソシアネ−ト基を含有するポリウレタン化合物)を製造し、次いでポリウレタンポリオ−ルとイソシアネ−ト基含有アクリレ−トモノマ−や(メタ)アクリル酸とを、また、ポリウレタンポリイソシアネ−トと水酸基含有アクリレ−トモノマ−とをアクリル重合反応を防ぎながら夫々を反応させることにより得られる。
該オリゴマ−(a)は水酸基を含有していても、もしくは含有していなくてもよい。
【0028】
ここで、ポリイソシアネ−ト化合物としては、好ましい例として、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、トリメチレンジイソシアネ−ト、1,4−テトラメチレンジイソシアネ−ト、ペンタメチレンジイソシアネ−ト、リジンジイソシアネ−トなどの脂肪族ポリイソシアネ−ト類、イソホロンジイソシアネ−ト、4−4´−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネ−ト)などの脂環式ポリイソシアネ−ト類、これらのポリイソシアネ−トのビウレットタイプ付加物、及びイソシアヌル環タイプ付加物などが挙げられる。イソシアネ−ト基含有アクリレ−トモノマ−としては、例えば、イソシアナトエチル(メタ)アクリレ−ト等を挙げることができる。
【0029】
また、水酸基含有アクリレ−トモノマ−としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレ−ト、(ポリ)アルキレングリコ−ルモノアクリレ−ト等を挙げる事ができる。さらにこれらのモノマ−とラクトン(例えば、ε−カプロラクトン等)との付加物なども挙げることができる。
【0030】
また、本発明において重量平均分子量とはサイズ排除クロマトグラフィー法(一般にゲル浸透クロマトグラフィー法と呼ばれる場合もある)において測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量であり、本発明に関わるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量としては、1000−30000が好ましく、特に好ましくは1000−10000である。この範囲にすることによって組成物の反応性を損なうことなく良好な光沢性、耐着色性を得ることができると共に、粘度調整も容易である。
【0031】
本発明における(a)成分の配合割合としては、60.0〜80.0重量部の範囲であり、好ましくは65.0〜75.0重量部である。(a)成分を範囲外の配合割合で使用した場合は組成物の反応性を損ない良好な光沢性及び耐着色性、操作性を得ることが出来ない。更に、(a)成分としては混合物を含み、その組合せは2種類に限らず3種類以上であってもよい。
【0032】
本発明における(b)成分としては、下記式(化1)及び/又は、下記式(化2)で示される化合物である。
(化1)
(式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、nは1〜14までの整数である。)

(化2)
(式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、nは4〜10までの整数である。)
【0033】
(b)成分において好ましくは、
(化3)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート
(式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。)

(化4)ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート
(式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。)

(化5)トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート
(式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。)

(化6)テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート
(式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。)

(化7)ポリエチレングリコール(EO=9)ジ(メタ)アクリレート
(式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。)

(化8)ポリエチレングリコール(EO=14)ジ(メタ)アクリレート
(式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。)

(化9)1,4ブタンジオールジ(メタ)アクリレート
(式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。)

(化10)1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート
(式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。)


(化11)1,9ノナンジオールジ(メタ)アクリレート
(式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。)

(化12)1,10デカンジオールジ(メタ)アクリレート
(式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。)
【0034】
また本発明は(a)成分の平均アクリル当量が780〜2500である事を特徴とする人工爪被覆組成物である。ここで、アクリル当量は下記式(1)及び、平均アクリル当量は下記式(2)で与えられる。
アクリル当量:e=A/B (1)
平均アクリル当量:
(2)
ここで、
A:サイズ排除クロマトグラフィー法(一般にゲル浸透クロマトグラフィー法と呼ばれる場合もある)において測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量
B:ウレタン(メタ)アクリレート1分子中の(メタ)アクリレート基の数
wi:添字iは“第i番目の成分に関する”事を示し、(a)成分を100重量部とした時の第i番目のウレタン(メタ)アクリレートの重量分率
ei:添字iは“第i番目の成分に関する”事を示し、第i番目のウレタン(メタ)アクリレートのアクリル当量を示す。
【0035】
また、本発明において(a)成分の平均アクリル当量が780〜1432.7の範囲内にある事が好ましく、良好な光沢性及び耐着色性と共に、除去性に優れた人工爪被覆組成物を得ることが出来る。平均アクリル当量が範囲外である(a)成分を使用した場合は、人工爪被覆組成物としての良好な光沢性及び耐着色性、除去性を得ることが出来ない。
【0036】
本発明における(b)成分の配合割合としては、5.0〜40.0重量部の範囲であり、好ましくは10.0〜35.0重量部である。(b)成分を範囲外の配合割合で使用した場合は組成物の反応性を損ない良好な光沢性及び耐着色性、操作性を得ることが出来ない。更に、(b)成分としては混合物を含み、その組合せは2種類に限らず3種類以上であってもよい。
【0037】
本発明における(c)光重合開始材としては、光重合開始材としては公知のものが使用でき、光重合開始材の例としては、ベンゾインエーテル類、ベンジルケタール類、α-ジアルコキシアセトフェノン類、α-ヒドロキシアルキルフェノン類、α-アミノアルキルフェノン、アシルフォスフィンオキサイド類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、チタノセン類等が挙げられ、好ましくは、α-ヒドロキシアルキルフェノン類、アシルフォスフィンオキサイド類である。
【0038】
本発明における(c)光重合開始材の配合割合としては、1.0〜5.0重量部であり好ましくは、1.5〜4.5重量部である。(c)成分を範囲外の配合割合で使用した場合は組成物の反応性を損ない良好な光沢性及び耐着色性を得ることが出来ない。更に、(c)成分としては混合物を含み、その組合せは2種類に限らず3種類以上であってもよい。
【0039】
本発明においては、(a)(b)の式(化1)及び/又は、式(化2)で示される化合物(c)成分以外に、ジェルネイル組成物において通常使用される(メタ)アクリレート基を有する化合物を更に加え得ることができ、具体的に例示すれば次の通りである。1個の(メタ)アクリレート基を有する化合物:メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルヘキサフタル酸、ステアリル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート
【0040】
2個の(メタ)アクリレート基を有する化合物:1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート
【0041】
3個以上の(メタ)アクリレート基を有する化合物:トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート
【0042】
本発明においては、(a)(b)(c)成分以外に、ジェルネイル組成物において通常使用される補助剤及び添加剤、例えば、顔料及び着色剤、レベリング剤、可塑剤、酸化防止剤、重合促進材、重合禁止材、合一剤、保存剤、ワックス、増粘剤、芳香剤、UV遮蔽材、ネイルケア化粧活性剤、拡散剤、消泡剤及び分散剤を、更に加え得ることが出来る。


【実施例】
【0043】
[実施例において人工爪被覆組成物の調製に用いた成分とその略号]
(a)1分子中に平均1個以上の(メタ)アクリレート基及び、1分子中に少なくとも1個以上のウレタン結合を有する重量平均分子量200〜10000のウレタン(メタ)アクリレート
(b)式(化1)及び/又は、式(化2)で示される化合物、及び(メタ)アクリレート基を有する化合物(但し、(a)のウレタン(メタ)アクリレート、下記式(化1)及び/又は、下記式(化2)で示される化合物、下記(c)の光重合開始材を除く)
(C)光重合開始材
MAPO:ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド






【0044】
[人工爪被覆組成物の調製]
表2〜表4の配合割合に従い、それぞれの成分を大気圧下23℃の条件で自転・公転式混合機を使用して混合し均一液状の人工爪組成物を調製した。調製した人工爪組成物約10.0gを、黒色遮光ジャー容器に充填し光沢度測定及び施術評価に使用した。
【0045】
[光沢度測定]
ガラス平板上にスペーサーを使用して人工爪被覆組成物を厚さ0.1−0.2mmになるように塗布した。塗布面上部より市販ジェルネイル用光硬化装置(商品名「プレストLEDライト(ネイルラボ社製)」)を使用して20秒間の光照射を行った後にエタノールを浸み込ませたティッシュペーパー(商品名[スコッティフェイシャルティシュー(日本製紙クレシア社製)])を使用して人工爪被覆組成物の表面未重合層部分を除去した。ここで、未重合層の拭取り回数は3回とし、拭取り方向は3回とも同方向である。また、一つの人工爪被覆組成物に対して3個の光沢度測定用試料製作を実施した。
次に、光沢度計(HORIBA Gloss Checker IG-331)を使用して60度光沢を測定した。また、測定は23℃大気圧下、試料作製20分後に実施した。
優れた表面光沢を有する人工爪被覆組成物の判断尺度としては、上記光沢度測定方法において光沢度80.0以上である。光沢度80.0未満においては、未重合層拭取り時のワイプによる擦傷が人工爪被覆組成物硬化面上に目視において確認できる程度に発生し、美的外観を損なうものである。
【0046】
[粘度測定]
調製した人工爪被覆組成物を50mLガラス製サンプル容器に50g充填し、これを粘度測定用試料とした。ローター回転式粘度計(東機産業株式会社製、型式:RB80L)を使用して23℃環境下で粘度測定を行った。なお、粘度はローターの回転開始180秒後の測定値とした。
【0047】
本発明の人工爪被覆組成物の粘度範囲としては、1〜100[Pa.s]であり好ましくは、1〜30[Pa.s]である。粘度値が100[Pa.s]以上においては、人工爪被覆組成物を操作する場合に糸曳現象が顕著に認められると共に、高粘度であることから均一な塗布表面を形成できない為に人工爪被覆組成物の操作性において特性が劣る。また、粘度値が1[Pa.s]未満においては、低粘度であることから、塗布した人工爪被覆組成物が塗布面から垂れ落ちる等の現象が認められ、均一な塗布表面を形成できない為に人工爪被覆組成物の操作性において特性が劣る。
【0048】
また、5〜100[Pa.s]までの粘度範囲においては、クリーム容器、軟膏容器、コンテナ容器等に充填し使用者が筆等を使用して用いる包装形態である事が好ましく、1〜10[Pa.s]までの粘度範囲においては、マニキュア容器に代表されるハケ付容器に充填した包装形態とする事が好ましい。
【0049】
[着色試験及び色差測定]
調製した人工爪被覆組成物の硬化物に対する耐着色性評価として着色試験を実施した。さらに分光測色計により測定した着色試験前後の色差(ΔE)を着色度の評価尺度として使用した。

(1) 着色液として0.1wt%ローダミン水溶液を調製した。
(2) 厚さ0.5mmのスペーサー及び2枚のガラス板を使用して、厚さ0.5mm、直径25mmの円盤状硬化物を作製しこれを着色試験用試験片とした。なお、光照射条件は市販ジェルネイル用光硬化装置(商品名「プレストLEDライト(ネイルラボ社製)」)を使用して上下面各20秒間とした。
(3) 着色試験用試験片作製翌日に分光測色計(コニカミノルタ社製、CM−2002)を使用して色度(L1、a1、b1)を測定した。(ここで、着色試験用試験片の背後に標準白色板を置いて、C光源、測色視野角2°条件で測定を実施した。)
(4) 測色終了後に着色試験用試験片を着色液(0.1wt%ローダミン水溶液)に浸漬し静置した。浸漬開始から90分間後に着色試験用試験片を着色液から取り出し、流水下で30秒間洗浄及び乾燥した。
(5) 着色試験用試験片の洗浄及び乾燥直後に分光測色計(コニカミノルタ社製、CM−2002)を使用して色度(L2、a2、b2)を測定した。(ここで、着色試験用試験片の背後に標準白色板を置いて、C光源、測色視野角2°条件で測定を実施した。)
(6) 次に、色差ΔEを下記式に基づき算出した。
ΔE={(L1−L2)+(a1−a2)+(b1−b2)1/2
【0050】
本実施例では着色試験前後の色差(ΔE)を着色度の評価尺度として使用し、色差(ΔE)が小さい程、着色性が低く耐着色性に優れていることを示す。なお、人工爪被覆組成物として好ましい色差(ΔE)は10.0以下である。

【0051】
[施術評価]
施術者としては日本ネイリスト協会認定ネイリストが各3名の被験者に対して、下記の施術方法に従って施術を実施し、施術時の操作性及び、施術直後の人工爪被覆組成物の艶(光沢性)、施術2週間後の人工爪被覆組成物の艶(光沢性)、耐変着色性、除去性を評価した。
【0052】
施術方法:一般的な施術方法であるナチュラルネイルジェルフローターを次の工程に従って施術した。
(工程1) 天然爪表面をスポンジファイルでサンディングする。
(工程2) ネイルクレンザーを染込ませたワイプで油分・ダストを拭取る。
(工程3) クリアジェル(市販製品名:LED GELプレストクリアジェル(ネイルラボ社製))を天然爪全体に塗布する。
(工程4) 光重合装置(市販製品名:LED GELプレストLEDライト(ネイルラボ社製))を使用して20秒間光重合を行う。
(工程5) 重合したクリアジェルの上面にカラージェル(市販製品名:LED GELプレストカラージェル(ネイルラボ社製))を使用してカラーリングを行う。
(工程6) 光重合装置(市販製品名:LED GELプレストLEDライト(ネイルラボ社製))を使用して20秒間光重合を行う。
(工程7) 再度(工程5)を行う。
(工程8) 再度(工程6)を行う。
(工程9) 実施例または比較例の天然爪被覆組成物を塗布する。
(工程10) 光重合装置(市販製品名:LED GELプレストLEDライト(ネイルラボ社製))を使用して20秒間光重合を行う。
(工程11) ジェルクレンザーを染込ませたワイプを使用して表面未硬化ジェルを拭取る。

【0053】
除去方法:ネイルクレンザー(主成分:アセトン)を使用した一般的なジェルネイルの除去方法に従って、除去を行った。
(工程1) ワイプにネイルクレンザーを染込ませる。
(工程2) ネイルクレンザーを染込ませたワイプを除去するジェルネイル上に配置する
(工程3) ネイルクレンザーの蒸散を防止するために、適切な寸法に裁断したアルミホイルをワイプ及び爪、指先を覆う様に巻き囲む。(本工程は、除去ジェルネイル毎に実施する。)
(工程4) 10分間放置する
(工程5) 10分経過後、アルミホイル及びワイプを取り除く。
(工程6) ウッドスティックやキューティクルプッシャー、スパチュラ等を使用して、ネイルクレンザーによって膨潤し軟かくなったジェルネイルを除去する。


【0054】
【0055】

【0056】
表2に示した、人工爪被覆組成物2及び3、4、5は本発明の構成要件を満たす実施例1及び2、3、4である。実施例1及び2、3、4は80.0以上の良好な光沢度であり着色試験前後の色差に関しても10.0以下の良好な結果であった。さらに全ての施術評価結果に関して良好な結果が得られ、人工爪被覆組成物として優れた特性を有する事を確認した。

【0057】
しかし、表2に示した人工爪被覆組成物1は成分(a)の平均アクリル当量が780〜2500の範囲外であり本発明の構成要件を満たさない比較例1である。比較例1は80.0以上の良好な光沢度であり着色試験前後の色差に関しても10.0以下の良好な結果であった。しかし施術評価においても操作性及び、艶、艶の耐久性、耐着色性に関して良好な結果が得られたものの膨潤によるジェルネイル硬化物の軟化及び脆化が不十分であり、ウッドスティックやキューティクルプッシャー、スパチュラ等によるジェルネイル硬化物の除去が困難であったために除去性について不良であった。
【0058】

【0059】
表3に示した、人工爪被覆組成物8及び9は本発明の構成要件を満たす実施例5及び6である。実施例5及び6は80.0以上の良好な光沢度であり着色試験前後の色差に関しても10.0以下の良好な結果であった。さらに全ての施術評価結果に関して良好な結果が得られ、人工爪被覆組成物として優れた特性を有する事を確認した。
【0060】
しかし、表3に示した人工爪被覆組成物6及び7は成分(a)の平均アクリル当量が780〜2500の範囲外であり本発明の構成要件を満たさない比較例2及び3である。比較例2及び3は80.0以上の良好な光沢度であり着色試験前後の色差に関しても10.0以下の良好な結果であった。しかし施術評価においても操作性及び、艶、艶の耐久性、耐着色性に関して良好な結果が得られたものの膨潤によるジェルネイル硬化物の軟化及び脆化が不十分であり、ウッドスティックやキューティクルプッシャー、スパチュラ等によるジェルネイル硬化物の除去が困難であったために除去性について不良であった。
【0061】
【0062】
表4に示した、人工爪被覆組成物13及び14は本発明の構成要件を満たす実施例7及び8である。実施例7及び8は80.0以上の良好な光沢度であり着色試験前後の色差に関しても10.0以下の良好な結果であった。さらに全ての施術評価結果に関して良好な結果が得られ、人工爪被覆組成物として優れた特性を有する事を確認した。
【0063】
しかし、表4に示した人工爪被覆組成物10及び11、12は成分(a)の平均アクリル当量が780〜2500の範囲外であり本発明の構成要件を満たさない比較例4及び5、6である。比較例4及び5、6は80.0以上の良好な光沢度であるが、着色試験前後の色差に関しては10.0以上であり不良であった。さらに施術評価において、操作性及び、艶、艶の耐久性、除去性に関して良好な結果が得られたものの施術2週間後の人工爪被覆組成物に着色が認められ、人工爪被覆組成物の耐着色性として不良であった。

【0064】
【0065】
表5に示した、人工爪被覆組成物16及び17、18、19は本発明の構成要件を満たす実施例9及び10、11、12である。実施例9及び10、11、12は80.0以上の良好な光沢度であり着色試験前後の色差に関しても10.0以下の良好な結果であった。さらに全ての施術評価結果に関して良好な結果が得られ、人工爪被覆組成物として優れた特性を有する事を確認した。

【0066】
しかし、表5に示した人工爪被覆組成物15は成分(a)の平均アクリル当量が780〜2500の範囲外であり本発明の構成要件を満たさない比較例7である。比較例1は80.0以上の良好な光沢度であり着色試験前後の色差に関しても10.0以下の良好な結果であった。しかし施術評価においても操作性及び、艶、艶の耐久性、耐着色性に関して良好な結果が得られたものの膨潤によるジェルネイル硬化物の軟化及び脆化が不十分であり、ウッドスティックやキューティクルプッシャー、スパチュラ等によるジェルネイル硬化物の除去が困難であったために除去性について不良であった。