(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
円板状に形成されるワークを搬送するロボットと、前記ワークの位置および向きを補正するための第1アライナおよび第2アライナと、前記ロボット、前記第1アライナおよび前記第2アライナを制御する制御部とを備え、
前記ロボットは、前記ワークとしての第1ワークが搭載される第1ハンドと、前記ワークとしての第2ワークが搭載される第2ハンドと、前記第1ハンドおよび前記第2ハンドがその先端側に回動可能に連結されるアームと、前記アームの基端側が連結されるとともに前記アームを昇降させる本体部とを備え、
前記第1ワークには、前記第1ワークの円周方向の向きを検知するための第1検知用マークが設けられ、
前記第2ワークには、前記第2ワークの円周方向の向きを検知するための第2検知用マークが設けられ、
前記第1アライナは、前記第1ワークが搭載されるとともに上下方向を回動の軸方向として前記第1ワークを回動させる第1回動部と、前記第1ワークの中心および前記第1検知用マークを検知するための第1センサとを備え、
前記第2アライナは、前記第2ワークが搭載されるとともに上下方向を回動の軸方向として前記第2ワークを回動させる第2回動部と、前記第2ワークの中心および前記第2検知用マークを検知するための第2センサとを備え、
上下方向から見たときに、前記アームに対する前記第1ハンドの回動中心と、前記アームに対する前記第2ハンドの回動中心とが一致しており、
上下方向から見たときの前記アームに対する前記第1ハンドの回動中心および前記第2ハンドの回動中心をハンド回動中心とすると、
上下方向から見たときに、前記第1ハンドの第1基準点と前記第1ワークの中心とが一致し、かつ、前記第1基準点と前記第1検知用マークとを結んだ線分と、前記第1基準点と前記ハンド回動中心とを結んだ線分とがなす角度が所定の第1角度となっているときに、前記第1ワークが正しい位置および向きで前記第1ハンドに搭載されており、
上下方向から見たときに、前記第2ハンドの第2基準点と前記第2ワークの中心とが一致し、かつ、前記第2基準点と前記第2検知用マークとを結んだ線分と、前記第2基準点と前記ハンド回動中心とを結んだ線分とがなす角度が所定の第2角度となっているときに、前記第2ワークが正しい位置および向きで前記第2ハンドに搭載されており、
前記制御部は、
前記第1回動部に搭載されている前記第1ワークの中心の位置および前記第1検知用マークの位置を、前記第1回動部で前記第1ワークを回動させたときの前記第1センサの出力信号に基づいて検知し、前記第2回動部に搭載されている前記第2ワークの中心の位置および前記第2検知用マークの位置を、前記第2回動部で前記第2ワークを回動させたときの前記第2センサの出力信号に基づいて検知するとともに、
上下方向から見たときに、検知された前記第1ワークの中心と前記第1検知用マークとを結んだ線分に対して前記第1角度傾くとともに前記第1ワークの中心を通過する仮想線上の、前記第1ワークの中心よりも前記本体部側の点であって、前記第1基準点と前記ハンド回動中心との距離と同じ距離だけ前記第1ワークの中心から離れた点を、上下方向を回転の軸方向として前記第1回動部の回動中心を中心に回転させたときの仮想円を第1仮想円とし、上下方向から見たときに、検知された前記第2ワークの中心と前記第2検知用マークとを結んだ線分に対して前記第2角度傾くとともに前記第2ワークの中心を通過する仮想線上の、前記第2ワークの中心よりも前記本体部側の点であって、前記第2基準点と前記ハンド回動中心との距離と同じ距離だけ前記第2ワークの中心から離れた点を、上下方向を回転の軸方向として前記第2回動部の回動中心を中心に回転させたときの仮想円を第2仮想円とし、上下方向から見たときの前記第1仮想円と前記第2仮想円との交点であって、前記第1ワークの中心および前記第2ワークの中心よりも前記本体部側の交点を仮想円交点とすると、
上下方向から見たときに前記ハンド回動中心と前記仮想円交点とが一致するように前記アームを動かすとともに、上下方向から見たときに前記仮想円交点と一致している前記ハンド回動中心と前記第1基準点とを結んだ線分と前記第1基準点と前記第1検知用マークとを結んだ線分とのなす角度が前記第1角度となるように前記第1ハンドおよび前記第1回動部を回動させ、かつ、上下方向から見たときに前記仮想円交点と一致している前記ハンド回動中心と前記第2基準点とを結んだ線分と前記第2基準点と前記第2検知用マークとを結んだ線分とのなす角度が前記第2角度となるように前記第2ハンドおよび前記第2回動部を回動させてから、前記第1回動部に搭載された前記第1ワークを前記第1ハンドに搭載し、前記第2回動部に搭載された前記第2ワークを前記第2ハンドに搭載することを特徴とするロボットシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のウエハソータは、ロボットおよび2個のアライナを用いて、ハンドに搭載されるワークの位置および向きを補正する際に、まず、一方のチャックに搭載されるワークが一方のハンドに正しい位置および向きで搭載されるように、一方のチャックを回転させてワークの向きを調整するとともにアームおよび一方のハンドの位置を調整した後に、一方のチャックに搭載されるワークを一方のハンドに搭載し、その後、他方のチャックに搭載されるワークが他方のハンドに正しい位置および向きで搭載されるように、一方のハンドにワークが搭載されている状態で、他方のチャックを回転させてワークの向きを調整するとともにアームおよび他方のハンドの位置を調整した後に、他方のチャックに搭載されるワークを他方のハンドに搭載している。
【0006】
すなわち、特許文献1に記載のウエハソータは、ハンドに搭載されるワークの位置および向きを補正する際に、アームおよび一方のハンドの位置を調整してワークを一方のハンドに搭載した後に、再び、アームおよび他方のハンドの位置を調整してワークを他方のハンドに搭載している。そのため、このウエハソータでは、ハンドに搭載されるワークの位置および向きの補正に時間がかかる。
【0007】
そこで、本発明の課題は、2枚のワークのそれぞれが2個のハンドのそれぞれに搭載されるロボットシステムにおいて、ハンドに搭載されるワークの位置および向きを補正する際の補正時間を短縮することが可能なロボットシステムを提供することにある。また、本発明の課題は、2枚のワークのそれぞれが2個のハンドのそれぞれに搭載されるロボットシステムの制御方法において、ハンドに搭載されるワークの位置および向きを補正する際の補正時間を短縮することが可能となるロボットシステムの制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明のロボットシステムは、円板状に形成されるワークを搬送するロボットと、ワークの位置および向きを補正するための第1アライナおよび第2アライナと、ロボット、第1アライナおよび第2アライナを制御する制御部とを備え、ロボットは、ワークとしての第1ワークが搭載される第1ハンドと、ワークとしての第2ワークが搭載される第2ハンドと、第1ハンドおよび第2ハンドがその先端側に回動可能に連結されるアームと、アームの基端側が連結されるとともにアームを昇降させる本体部とを備え、第1ワークには、第1ワークの円周方向の向きを検知するための第1検知用マークが設けられ、第2ワークには、第2ワークの円周方向の向きを検知するための第2検知用マークが設けられ、第1アライナは、第1ワークが搭載されるとともに上下方向を回動の軸方向として第1ワークを回動させる第1回動部と、第1ワークの中心および第1検知用マークを検知するための第1センサとを備え、第2アライナは、第2ワークが搭載されるとともに上下方向を回動の軸方向として第2ワークを回動させる第2回動部と、第2ワークの中心および第2検知用マークを検知するための第2センサとを備え、上下方向から見たときに、アームに対する第1ハンドの回動中心と、アームに対する第2ハンドの回動中心とが一致しており、上下方向から見たときのアームに対する第1ハンドの回動中心および第2ハンドの回動中心をハンド回動中心とすると、上下方向から見たときに、第1ハンドの第1基準点と第1ワークの中心とが一致し、かつ、第1基準点と第1検知用マークとを結んだ線分と、第1基準点とハンド回動中心とを結んだ線分とがなす角度が所定の第1角度となっているときに、第1ワークが正しい位置および向きで第1ハンドに搭載されており、上下方向から見たときに、第2ハンドの第2基準点と第2ワークの中心とが一致し、かつ、第2基準点と第2検知用マークとを結んだ線分と、第2基準点とハンド回動中心とを結んだ線分とがなす角度が所定の第2角度となっているときに、第2ワークが正しい位置および向きで第2ハンドに搭載されており、制御部は、第1回動部に搭載されている第1ワークの中心の位置および第1検知用マークの位置を、第1回動部で第1ワークを回動させたときの第1センサの出力信号に基づいて検知し、第2回動部に搭載されている第2ワークの中心の位置および第2検知用マークの位置を、第2回動部で第2ワークを回動させたときの第2センサの出力信号に基づいて検知するとともに、上下方向から見たときに、検知された第1ワークの中心と第1検知用マークとを結んだ線分に対して第1角度傾くとともに第1ワークの中心を通過する仮想線上の、第1ワークの中心よりも本体部側の点であって、第1基準点とハンド回動中心との距離と同じ距離だけ第1ワークの中心から離れた点を、上下方向を回転の軸方向として第1回動部の回動中心を中心に回転させたときの仮想円を第1仮想円とし、上下方向から見たときに、検知された第2ワークの中心と第2検知用マークとを結んだ線分に対して第2角度傾くとともに第2ワークの中心を通過する仮想線上の、第2ワークの中心よりも本体部側の点であって、第2基準点とハンド回動中心との距離と同じ距離だけ第2ワークの中心から離れた点を、上下方向を回転の軸方向として第2回動部の回動中心を中心に回転させたときの仮想円を第2仮想円とし、上下方向から見たときの第1仮想円と第2仮想円との交点であって、第1ワークの中心および第2ワークの中心よりも本体部側の交点を仮想円交点とすると、上下方向から見たときにハンド回動中心と仮想円交点とが一致するようにアームを動かすとともに、上下方向から見たときに仮想円交点と一致しているハンド回動中心と第1基準点とを結んだ線分と第1基準点と第1検知用マークとを結んだ線分とのなす角度が第1角度となるように第1ハンドおよび第1回動部を回動させ、かつ、上下方向から見たときに仮想円交点と一致しているハンド回動中心と第2基準点とを結んだ線分と第2基準点と第2検知用マークとを結んだ線分とのなす角度が第2角度となるように第2ハンドおよび第2回動部を回動させてから、第1回動部に搭載された第1ワークを第1ハンドに搭載し、第2回動部に搭載された第2ワークを第2ハンドに搭載することを特徴とする。
【0009】
また、上記の課題を解決するため、本発明のロボットシステムの制御方法は、円板状に形成されるワークを搬送するロボットと、ワークの位置および向きを補正するための第1アライナおよび第2アライナとを備え、ロボットは、ワークとしての第1ワークが搭載される第1ハンドと、ワークとしての第2ワークが搭載される第2ハンドと、第1ハンドおよび第2ハンドがその先端側に回動可能に連結されるアームと、アームの基端側が連結されるとともにアームを昇降させる本体部とを備え、第1ワークには、第1ワークの円周方向の向きを検知するための第1検知用マークが設けられ、第2ワークには、第2ワークの円周方向の向きを検知するための第2検知用マークが設けられ、第1アライナは、第1ワークが搭載されるとともに上下方向を回動の軸方向として第1ワークを回動させる第1回動部と、第1ワークの中心および第1検知用マークを検知するための第1センサとを備え、第2アライナは、第2ワークが搭載されるとともに上下方向を回動の軸方向として第2ワークを回動させる第2回動部と、第2ワークの中心および第2検知用マークを検知するための第2センサとを備え、上下方向から見たときに、アームに対する第1ハンドの回動中心と、アームに対する第2ハンドの回動中心とが一致しており、上下方向から見たときのアームに対する第1ハンドの回動中心および第2ハンドの回動中心をハンド回動中心とすると、上下方向から見たときに、第1ハンドの第1基準点と第1ワークの中心とが一致し、かつ、第1基準点と第1検知用マークとを結んだ線分と、第1基準点とハンド回動中心とを結んだ線分とがなす角度が所定の第1角度となっているときに、第1ワークが正しい位置および向きで第1ハンドに搭載されており、上下方向から見たときに、第2ハンドの第2基準点と第2ワークの中心とが一致し、かつ、第2基準点と第2検知用マークとを結んだ線分と、第2基準点とハンド回動中心とを結んだ線分とがなす角度が所定の第2角度となっているときに、第2ワークが正しい位置および向きで第2ハンドに搭載されているロボットシステムの制御方法であって、第1回動部に搭載されている第1ワークの中心の位置および第1検知用マークの位置を、第1回動部で第1ワークを回動させたときの第1センサの出力信号に基づいて検知し、第2回動部に搭載されている第2ワークの中心の位置および第2検知用マークの位置を、第2回動部で第2ワークを回動させたときの第2センサの出力信号に基づいて検知するとともに、上下方向から見たときに、検知された第1ワークの中心と第1検知用マークとを結んだ線分に対して第1角度傾くとともに第1ワークの中心を通過する仮想線上の、第1ワークの中心よりも本体部側の点であって、第1基準点とハンド回動中心との距離と同じ距離だけ第1ワークの中心から離れた点を、上下方向を回転の軸方向として第1回動部の回動中心を中心に回転させたときの仮想円を第1仮想円とし、上下方向から見たときに、検知された第2ワークの中心と第2検知用マークとを結んだ線分に対して第2角度傾くとともに第2ワークの中心を通過する仮想線上の、第2ワークの中心よりも本体部側の点であって、第2基準点とハンド回動中心との距離と同じ距離だけ第2ワークの中心から離れた点を、上下方向を回転の軸方向として第2回動部の回動中心を中心に回転させたときの仮想円を第2仮想円とし、上下方向から見たときの第1仮想円と第2仮想円との交点であって、第1ワークの中心および第2ワークの中心よりも本体部側の交点を仮想円交点とすると、上下方向から見たときにハンド回動中心と仮想円交点とが一致するようにアームを動かすとともに、上下方向から見たときに仮想円交点と一致しているハンド回動中心と第1基準点とを結んだ線分と第1基準点と第1検知用マークとを結んだ線分とのなす角度が第1角度となるように第1ハンドおよび第1回動部を回動させ、かつ、上下方向から見たときに仮想円交点と一致しているハンド回動中心と第2基準点とを結んだ線分と第2基準点と第2検知用マークとを結んだ線分とのなす角度が第2角度となるように第2ハンドおよび第2回動部を回動させてから、第1回動部に搭載された第1ワークを第1ハンドに搭載し、第2回動部に搭載された第2ワークを第2ハンドに搭載することを特徴とする。
【0010】
本発明では、上下方向から見たときにハンド回動中心と仮想円交点とが一致するようにアームを動かすとともに、上下方向から見たときに仮想円交点と一致しているハンド回動中心と第1基準点とを結んだ線分と第1基準点と第1検知用マークとを結んだ線分とのなす角度が第1角度となるように第1ハンドおよび第1回動部を回動させ、かつ、上下方向から見たときに仮想円交点と一致しているハンド回動中心と第2基準点とを結んだ線分と第2基準点と第2検知用マークとを結んだ線分とのなす角度が第2角度となるように第2ハンドおよび第2回動部を回動させてから、第1回動部に搭載された第1ワークを第1ハンドに搭載し、第2回動部に搭載された第2ワークを第2ハンドに搭載している。
【0011】
そのため、本発明では、第1ハンドに第1ワークを搭載する前および第2ハンドに第2ワークを搭載する前の調整動作(すなわち、2個のハンドのそれぞれに2枚のワークのそれぞれを搭載する前の調整動作)を一度に行うことが可能になる。したがって、本発明では、特許文献1に記載のウエハソータのように2個のハンドのそれぞれに2枚のワークのそれぞれを搭載する前に調整動作が2回、個別に行われる場合と比較して、2個のハンドのそれぞれに2枚のワークのそれぞれを搭載する前の調整時間を短くすることが可能になる。その結果、本発明では、2枚のワークのそれぞれが2個のハンドのそれぞれに搭載される場合であっても、ハンドに搭載されるワークの位置および向きを補正する際の補正時間を短縮することが可能になる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明では、2枚のワークのそれぞれが2個のハンドのそれぞれに搭載される場合であっても、ハンドに搭載されるワークの位置および向きを補正する際の補正時間を短縮することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
(ロボットシステムの構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるロボットシステム1のブロック図である。
図2は、
図1に示すロボットシステム1が使用される半導体製造システム7の概略平面図である。
【0016】
本形態のロボットシステム1は、ワーク2を搬送するロボット3と、ワーク2の位置および向きを補正するための2個のアライナ4、5と、ロボット3およびアライナ4、5を制御する制御部(コントローラ)6とを備えている。本形態のワーク2は、薄い円板状に形成されるウエハである。したがって、以下の説明では、ワーク2を「ウエハ2」と表記する。ウエハ2には、ウエハ2の円周方向の向きを検知するための検知用マーク2a(
図3参照)が設けられている。検知用マーク2aは、たとえば、ノッチ(切欠き)であり、ウエハ2の外周端部分(径方向の外側端部分)の1箇所に形成されている。なお、以下の説明では、上下方向に直交する
図2等のX方向を「左右方向」とし、上下方向と左右方向とに直交するY方向を「前後方向」とするとともに、X1方向側を「右」側、X2方向側を「左」側、Y1方向側を「前」側、Y2方向側を「後(後ろ)」側とする。
【0017】
ロボットシステム1は、半導体製造システム7に組み込まれて使用される。半導体製造システム7は、
図2に示すように、EFEM(Equipment Front End Module)10と、ウエハ2に対して所定の処理を行うウエハ処理装置11とを備えている。EFEM10は、ウエハ処理装置11の前側に配置されている。ロボットシステム1は、EFEM10の一部を構成している。また、EFEM10は、FOUP(Front Open Unified Pod)12を開閉する複数のロードポート13と、ロボット3およびアライナ4、5が収容される筺体14とを備えている。
【0018】
筺体14の内部は、清浄空間となっており、筺体14の内部では所定のクリーン度が確保されている。ロードポート13は、筺体14の前側に配置されている。アライナ4、5は、筺体14の内部の右端側に配置されている。ロボット3は、アライナ4、5とFOUP12との間、アライナ4、5とウエハ処理装置11との間、および、FOUP12とウエハ処理装置11との間でウエハ2を搬送する。
【0019】
ロボット3は、水平多関節ロボットであり、ウエハ2が搭載される2個のハンド16、17と、ハンド16、17がその先端側に回動可能に連結されるとともに水平方向に動作するアーム18と、アーム18の基端側が連結される本体部19とを備えている。アーム18は、その基端側が本体部19に回動可能に連結される第1アーム部20と、第1アーム部20の先端側にその基端側が回動可能に連結される第2アーム部21と、第2アーム部21の先端側にその基端側が回動可能に連結される第3アーム部22とから構成されている。本体部19は、アーム18を昇降させる昇降機構(図示省略)を備えている。
【0020】
また、ロボット1は、第1アーム部20および第2アーム部21を回動させて第1アーム部20と第2アーム部21とからなるアーム18の一部を伸縮させるアーム部駆動機構と、第3アーム部22を回転駆動する第3アーム駆動機構と、ハンド16を回転駆動する第1ハンド駆動機構と、ハンド17を回転駆動する第2ハンド駆動機構とを備えている。これらの駆動機構は、駆動源となるモータやモータの動力を減速して伝達する減速機等を備えている。
【0021】
ハンド16、17は、上下方向から見たときの形状が略Y形状となるように形成されている。また、ハンド16とハンド17とは、上下方向から見たときの形状が同じ形状となるように形成されている。このハンド16、17は、第3アーム部22に連結される連結部24と、ウエハ2が搭載されるウエハ搭載部25とから構成されている。ハンド16、17は、上下方向で重なるように配置されている。具体的には、ハンド16が上側に配置され、ハンド17が下側に配置されている。また、ハンド16、17は、第3アーム部22よりも上側に配置されている。また、上下方向から見たときに、アーム18に対するハンド16の回動中心とアーム18に対するハンド17の回動中心とは一致している。以下では、上下方向から見たときのアーム18に対するハンド16の回動中心およびハンド17の回動中心をハンド回動中心C1とする。
【0022】
なお、本形態のハンド16は第1ハンドであり、ハンド17は第2ハンドである。また、本形態では、ハンド16に搭載されるウエハ2は第1ワークであり、ハンド17に搭載されるウエハ2は第2ワークである。以下の説明では、ハンド16に搭載されるウエハ2とハンド17に搭載されるウエハ2とを区別して表わす場合には、ハンド16に搭載されるウエハ2を「ウエハ2A」とし、ハンド17に搭載されるウエハ2を「ウエハ2B」とする。また、以下の説明では、ウエハ2Aの検知用マーク2aを「第1検知用マーク2a」とし、ウエハ2Bの検知用マーク2aを「第2検知用マーク2a」とする。
【0023】
アライナ4は、ウエハ2Aが搭載されるとともに上下方向を回動の軸方向としてウエハ2Aを回動させる回動部28と、ウエハ2Aの中心C2(
図3参照)および第1検知用マーク2aを検知するためのセンサ29とを備えている。アライナ5は、ウエハ2Bが搭載されるとともに上下方向を回動の軸方向としてウエハ2Bを回動させる回動部30と、ウエハ2Bの中心C3(
図3参照)および第2検知用マーク2aを検知するためのセンサ31とを備えている。アライナ4は、アライナ5よりも上側に配置されている。回動部28、30には、モータ等の駆動源が連結されている。
【0024】
センサ29、31は、互いに対向配置される複数の発光素子と受光素子とを備える透過型のラインセンサであり、複数の発光素子と受光素子との間を、ウエハ2の外周端部分が通過するように配置されている。また、センサ29、31は、制御部6に接続されており、センサ29、31の出力信号は、制御部6に入力される。制御部6は、回動部28に搭載されているウエハ2Aの中心C2の位置および第1検知用マーク2aの位置を、回動部28でウエハ2Aを回動させたときのセンサ29の出力信号に基づいて検知する。同様に、制御部6は、回動部30に搭載されているウエハ2Bの中心C3の位置および第2検知用マーク2aの位置を、回動部30でウエハ2Bを回動させたときのセンサ31の出力信号に基づいて検知する。
【0025】
なお、ウエハ2Aの中心C2の位置は、回動部28でウエハ2Aを回動させたときにセンサ29で検知されるウエハ2Aの振れ量に基づいて検知され、ウエハ2Bの中心C3の位置は、回動部30でウエハ2Bを回動させたときにセンサ31で検知されるウエハ2Bの振れ量に基づいて検知される。また、本形態のアライナ4は第1アライナであり、アライナ5は第2アライナである。また、回動部28は第1回動部であり、回動部29は第2回動部であり、センサ29は第1センサであり、センサ31は第2センサである。
【0026】
(ウエハの位置および向きを補正する際のロボットシステムの制御方法)
図3は、
図2に示すハンド16、17にウエハ2A、2Bが正しい位置および向きで搭載されているときの状態を説明するための平面図である。
図4、
図5は、
図2に示すアライナ4、5からハンド16、17に搭載されるウエハ2A、2Bの位置および向きの調整方法を説明するための図である。
【0027】
ウエハ処理装置11においてウエハ2に対する適切な処理を行うためには、ウエハ2の円周方向において正しい方向を向いているウエハ2を、ウエハ処理装置11の中の所定の位置へ搬入する必要がある。ウエハ2の円周方向において正しい方向を向いているウエハ2を、ウエハ処理装置11の中の所定の位置へ搬入するためには、ウエハ処理装置11に搬入されるウエハ2が、ハンド16、17の正しい位置にかつ正しい向きで搭載されていなければならない。
【0028】
ウエハ2Aがハンド16の正しい位置に搭載されている場合に、上下方向から見たときのウエハ2Aの中心C2と一致するハンド16側の基準点を第1基準点DP1とすると、本形態では、
図3に示すように、上下方向から見たときに、ハンド16の第1基準点DP1とウエハ2Aの中心C2とが一致し、かつ、第1基準点DP1と第1検知用マーク2aとを結んだ線分L1と、第1基準点DP1とハンド回動中心C1とを結んだ線分L2とがなす角度が所定の第1角度θ1となっているときに、ウエハ2Aが正しい位置および向きでハンド16に搭載されている。
【0029】
同様に、ウエハ2Bがハンド17の正しい位置に搭載されている場合に、上下方向から見たときのウエハ2Bの中心C3と一致するハンド17側の基準点を第2基準点DP2とすると、本形態では、
図3に示すように、上下方向から見たときに、ハンド17の第2基準点DP2とウエハ2Bの中心C3とが一致し、かつ、第2基準点DP2と第2検知用マーク2aとを結んだ線分L3と、第2基準点DP2とハンド回動中心C1とを結んだ線分L4とがなす角度が所定の第2角度θ2となっているときに、ウエハ2Bが正しい位置および向きでハンド17に搭載されている。なお、本形態では、第1角度θ1と第2角度θ2とが等しくなっている。また、本形態では、第1角度θ1および第2角度θ2は、90°であるが、第1角度θ1および第2角度θ2は、90°以外の角度であっても良い。
【0030】
本形態では、ウエハ処理装置11に搬入されるウエハ2A、2Bを、ハンド16、17に正しい位置および向きで搭載するために、ロボット3およびアライナ4、5を用いて、以下のように、ハンド16、17に搭載されるウエハ2の位置および向きを補正する。以下では、ロボット3によってFOUP12から搬出されたウエハ2A、2Bが、
図4に示す状態でアライナ4、5の回動部28、30に搭載される場合を例に、ハンド16、17に搭載されるウエハ2の位置および向きの補正方法を説明する。
【0031】
ロボット3によってFOUP12から搬出されたウエハ2A、2Bがアライナ4、5の回動部28、30に搭載されると、上述のように、まず、制御部6は、回動部28に搭載されているウエハ2Aの中心C2の位置および第1検知用マーク2aの位置を、回動部28でウエハ2Aを回動させたときのセンサ29の出力信号に基づいて検知し、回動部30に搭載されているウエハ2Bの中心C3の位置および第2検知用マーク2aの位置を、回動部30でウエハ2Bを回動させたときのセンサ31の出力信号に基づいて検知する。
【0032】
ここで、
図4に示すように、上下方向から見たときに、検知されたウエハ2Aの中心C2と第1検知用マーク2aとを結んだ線分L5に対して第1角度θ1だけ傾くとともにウエハ2Aの中心C2を通過する仮想線IL1上の、ウエハ2Aの中心C2よりも左側(すなわち、ロボット3の本体部19側)の点であって、第1基準点DP1とハンド回動中心C1との距離D1(
図3参照)と同じ距離だけウエハ2Aの中心C2から離れた点を点P1とし、この点P1を、上下方向を回転の軸方向として回動部28の回動中心C4を中心に回転させたときの仮想円を第1仮想円IC1とする。
【0033】
また、
図4に示すように、上下方向から見たときに、検知されたウエハ2Bの中心C3と第2検知用マーク2aとを結んだ線分L6に対して第2角度θ2だけ傾くとともにウエハ2Bの中心C3を通過する仮想線IL2上の、ウエハ2Bの中心C3よりも左側の点であって、第2基準点DP2とハンド回動中心C1との距離D2(
図3参照)と同じ距離だけウエハ2Bの中心C3から離れた点を点P2とし、この点P2を、上下方向を回転の軸方向として回動部30の回動中心C5を中心に回転させたときの仮想円を第2仮想円IC2とする。また、上下方向から見たときの第1仮想円IC1と第2仮想円IC2との交点であって、ウエハ2Aの中心C2およびウエハ2Bの中心C3よりも左側の交点を仮想円交点C10とする。
【0034】
制御部6は、ウエハ2Aの中心C2の位置、ウエハ2Bの中心C3の位置、第1検知用マーク2aの位置および第2検知用マーク2aの位置を検知すると、
図5に示すように、上下方向から見たときにハンド回動中心C1と仮想円交点C10とが一致するようにアーム18を動かす。また、制御部6は、上下方向から見たときに仮想円交点C10と一致しているハンド回動中心C1と第1基準点DP1とを結んだ線分L2と第1基準点DP1と第1検知用マーク2aとを結んだ線分L1とのなす角度が第1角度θ1となるようにハンド16および回動部28を回動させ、かつ、上下方向から見たときに仮想円交点C10と一致しているハンド回動中心C1と第2基準点DP2とを結んだ線分L4と第2基準点DP2と第2検知用マーク2aとを結んだ線分L3とのなす角度が第2角度θ2となるようにハンド17および回動部30を回動させる。このときには、ウエハ2Aは、回動部28によって回転させられて、
図5の二点鎖線で示す位置から実線で示す位置に移動し、ウエハ2Bは、回動部30によって回転させられて、
図5の二点鎖線で示す位置から実線で示す位置に移動する。
【0035】
これらの動作は、制御部6での演算結果に基づいて実行される。また、これらの動作によって、上下方向から見たときに、ウエハ2Aの中心C2と第1基準点DP1とが一致し、ウエハ2Bの中心C3と第2基準点DP2とが一致する。また、これらの動作の後に、制御部6は、回動部28に搭載されたウエハ2Aをハンド16に搭載し、回動部30に搭載されたウエハ2Bをハンド17に搭載する。この動作が終了すると、ハンド16、17に搭載されウエハ処理装置11に搬入されるウエハ2A、2Bの位置および向きの補正が完了する。
【0036】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、上下方向から見たときにハンド回動中心C1と仮想円交点C10とが一致するようにアーム18を動かすとともに、上下方向から見たときに仮想円交点C10と一致しているハンド回動中心C1と第1基準点DP1とを結んだ線分L2と第1基準点DP1と第1検知用マーク2aとを結んだ線分L1とのなす角度が第1角度θ1となるようにハンド16および回動部28を回動させ、かつ、上下方向から見たときに仮想円交点C10と一致しているハンド回動中心C1と第2基準点DP2とを結んだ線分L4と第2基準点DP2と第2検知用マーク2aとを結んだ線分L3とのなす角度が第2角度θ2となるようにハンド17および回動部30を回動させてから、回動部28に搭載されたウエハ2Aをハンド16に搭載し、回動部30に搭載されたウエハ2Bをハンド17に搭載している。
【0037】
そのため、本形態では、ハンド16にウエハ2Aを搭載する前およびハンド17にウエハ2Bを搭載する前の調整動作(すなわち、2個のハンド16、17のそれぞれに2枚のウエハ2A、2Bのそれぞれを搭載する前の調整動作)を一度に行うことが可能になる。したがって、本形態では、特許文献1に記載のウエハソータのように2個のハンド16、17のそれぞれに2枚のウエハ2A、2Bのそれぞれを搭載する前に調整動作が2回、個別に行われる場合と比較して、2個のハンド16、17のそれぞれに2枚のウエハ2A、2Bのそれぞれを搭載する前の調整時間を短くすることが可能になる。その結果、本形態では、2枚のウエハ2A、2Bのそれぞれが2個のハンド16、17のそれぞれに搭載される場合であっても、ハンド16、17に搭載されるウエハ2A、2Bの位置および向きを補正する際の補正時間を短縮することが可能になる。
【0038】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0039】
上述した形態では、アーム18は、第1アーム部20、第2アーム部21および第3アーム部22の3個のアーム部によって構成されている。この他にもたとえば、アーム18は、2個のアーム部によって構成されても良いし、4個以上のアーム部によって構成されても良い。また、上述した形態では、ロボットシステム1で取り扱われるワーク2は、ウエハであるが、ロボットシステム1で取り扱われるワーク2は、ウエハ以外の円板状のものであっても良い。