(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る使い捨ておむつ1を広げた状態にて示す平面図である。使い捨ておむつ1は、着用者の腹側に接する部位と背側に接する部位とを、左右両側の止着シートである接続部4により腰周りで止着して着用するテープタイプの使い捨ておむつであり、着用者からの排泄物を受ける。
図1では、着用時に着用者に接する側(すなわち、着用者側)の面を手前にして使い捨ておむつ1を描いている。
【0019】
図2は、使い捨ておむつ1を
図1中に示すA−Aの位置で長手方向(すなわち、
図1中における上下方向)に垂直な面で切断した断面図である。
図1および
図2に示すように、使い捨ておむつ1は、略シート状の本体部2、および、本体部2の両側部(すなわち、長手方向に垂直な左右方向の両端部)上に配置されて本体部2の長手方向のおよそ全長に亘る一対のサイドシート3を備える。
【0020】
本体部2の
図1中における上側の部位201および下側の部位203はそれぞれ、着用者の腹側および背側の肌に接する部位であり、以下の説明では、「前方部201」および「後方部203」と呼ぶ。また、前方部201と後方部203との間において前方部201および後方部203から連続するとともに着用者の股間部に対向する部位202を「股下部202」と呼ぶ。使い捨ておむつ1では、本体部2が前方部201、股下部202および後方部203を長手方向に順に有し、前方部201および後方部203の幅が、股下部202の幅よりも大きい。
【0021】
使い捨ておむつ1は、後方部203の両側部に取り付けられた一対の接続部4をさらに備える。各接続部4は、本体部2の長手方向に配列されて左右方向に伸びる2つの止着テープ41、および、2つの止着テープ41の左右方向の内側(すなわち、本体部2側)に位置する略矩形の共通基部42を備える。2つの止着テープ41の構造および形状は同様である。各止着テープ41は、左右方向に伸びるテープ状のテープ基部413、並びに、テープ基部413の一の主面414上に設けられる第1止着部411および第2止着部412を備える。
図1では、図の理解を容易にするために、第1止着部411および第2止着部412に平行斜線を付す。テープ基部413の主面414は、使い捨ておむつ1を着用者に装着する際に本体部2の前方部201(
図3参照)に対向する面である。テープ基部413の主面414では、第2止着部412が第1止着部411から中間領域415を介して本体部2側に離間して配置される。
【0022】
第1止着部411および第2止着部412のそれぞれは、面ファスナのフック部材であり、本体部2の前方部201の外面(すなわち、着用者に接する面とは反対側の面)に設けられた後述の被止着領域26(
図3参照)に対して止着可能である。各止着部411,412は、テープ基部413の主面414上にホットメルト接着剤等により接合される。止着部411,412は、樹脂等により形成されたベースシート、および、ベースシートのテープ基部413に接合される面とは反対側の面に設けられる微細フック構造を有する。微細フック構造は、多数の微細なフック要素の集合である。微細フック構造では、被止着領域26との係合が可能である限り、様々な形状のフック要素が用いられてよい。
【0023】
使い捨ておむつ1が着用者に装着される際には、本体部2の前方部201および後方部203が着用者の腹側および背側にそれぞれ接した状態で、
図3に示すように、各接続部4の第1止着部411および第2止着部412が、前方部201の外面の被止着領域26に止着される。これにより、後方部203の両側部が前方部201の両側部に接続される。
【0024】
図2に示すように、本体部2は、透液性のトップシート21、撥水性または不透液性のバックシート23、および、トップシート21とバックシート23との間に配置された吸収コア22を備える。トップシート21は、吸収コア22の内面(着用者側の面)を覆い、バックシート23は吸収コア22の外面を覆う。
図2では、図示の都合上、使い捨ておむつ1の各構成を厚さ方向に離して描いている。また、
図1では、図の理解を容易にするために、吸収コア22の輪郭を太破線にて描いている。
図1に示すように、前方部201および後方部203における吸収コア22の幅は、股下部202における吸収コア22の幅よりも大きい。換言すれば、吸収コア22は砂時計型である。
【0025】
本体部2は、バックシート23の外面を覆う外装シート24、および、前方部201に設けられる襞形成部25をさらに備える。外装シート24は、本体部2において最外に配置され、バックシート23の外面に接合される。外装シート24は、トップシート21、バックシート23および吸収コア22の外面の全体を直接的または間接的に覆う。襞形成部25は、外装シート24における既述の被止着領域26に多数の襞を形成する。襞形成部25の詳細については後述する。
【0026】
図2に示すように、トップシート21は、吸収コア22の周りにおいてホットメルト接着剤を介してバックシート23に接合される。また、サイドシート3の左右方向の外側の部位は、バックシート23のトップシート21から露出する部位、および、トップシート21の左右方向のエッジ近傍の部位に、長手方向の全長に亘ってホットメルト接着剤を介して接合される。サイドシート3は、サイドシート本体31、および、サイドシート本体31の左右方向の内縁部である自由端にホットメルト接着剤により接合されて長手方向に伸びる弾性部材32aを備える。
【0027】
図1に示す本体部2の長手方向の両端部では、各サイドシート3の左右方向の内側の部位(すなわち、本体部2の左右方向の中央側の部位)が、トップシート21の着用者側の面にホットメルト接着剤を介して接合される。また、
図1および
図2に示すように、本体部2の股下部202では、サイドシート3の左右方向の外縁近傍の部位において、長手方向に伸びる2本の弾性部材32bが、サイドシート3とバックシート23とに挟まれてホットメルト接着剤により接合されている。これらのホットメルト接着剤としては、ポリオレフィン系、ゴム系、酢酸ビニル系等のものが利用される。なお、トップシート21とバックシート23との接合やサイドシート3とトップシート21およびバックシート23との接合は、熱融着接合や超音波接合等により行われてもよい。
【0028】
各サイドシート3では、サイドシート本体31の長手方向の両端部の間(すなわち、長手方向の中央部)における内側の部位313が、トップシート21(および他の構成)とは非接合とされる。弾性部材32aが収縮することにより、当該部位313が、
図2に示すように、着用者に向かって立ち上がり、着用者の脚の付け根近傍に接する側壁部(いわゆる、立体ギャザー)となる。また、弾性部材32bが収縮することにより、サイドシート3、バックシート23および外装シート24が着用者側かつ内側に向かって立ち上がってレッグギャザーが形成され、使い捨ておむつ1の着用時に着用者の足の付け根近傍に密着する。
【0029】
トップシート21は、透液性のシート材料であり、着用者からの排泄物の水分を速やかに捕捉して吸収コア22へと移動させる。トップシート21は、例えば、表面を界面活性剤により親水処理した疎水性繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等)にて形成された透液性の不織布であり、当該不織布として、例えば、ポイントボンド不織布やエアスルー不織布、スパンボンド不織布が利用される。なお、トップシート21として、セルロースやレーヨン、コットン等の親水性繊維により形成された不織布(例えば、スパンレース不織布)が利用されてもよい。
【0030】
吸収コア22は、粉砕したパルプ繊維やセルロース繊維等の親水性繊維に粒状の高吸収性ポリマー(SAP(Super Absorbent Polymer))や高吸収性ファイバー等の高吸収性材料を混合したものをティッシュペーパーや透液性不織布等により包み込んで形成され、トップシート21を透過した水分を吸収して迅速に固定する。親水性繊維を包むティッシュペーパーや透液性不織布等は、親水性繊維および吸水性材料とホットメルト接着剤により接合されて、親水性繊維の型崩れ、および、吸水性材料の脱落(特に、吸水後における脱落)を防止する。本実施の形態では、吸収コア22はパルプ繊維およびSAPを含む。
【0031】
バックシート23としては、疎水性繊維にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布)や、撥水性または不透液性のプラスチックフィルム、あるいは、これらの不織布とプラスチックフィルムとが積層された積層シートが利用される。バックシート23にプラスチックフィルムが利用される場合、使い捨ておむつ1の蒸れを防止して着用者の快適性を向上するという観点からは、透湿性(通気性)を有するプラスチックフィルムが利用されることが好ましい。
【0032】
外装シート24としては、バックシート23と同様に、疎水性繊維にて形成された撥水性または不透液性の不織布、あるいは、これらの不織布とプラスチックフィルムとが積層された積層シートが利用される。これにより、外装シート24に到達した排泄物の水分等が、本体部2の外側にしみ出すことが防止される。外装シート24において積層シートが利用される場合には、不織布がバックシート23とは反対側に配置される。すなわち、外装シート24では、少なくとも外面が不織布にて形成される。本体部2の外側への水分のしみ出しがバックシート23により防止される場合には、外装シート24として、トップシート21と同様に、親水性繊維により形成された不織布等が利用されてもよい。
【0033】
サイドシート本体31としては、例えば、疎水性繊維にて形成された撥水性または不透液性の不織布(スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS不織布等)が利用される。弾性部材32a,32bとしては、例えば、糸状のポリウレタン(ポリウレタン糸)、帯状のポリウレタンフィルム、糸状または帯状の天然ゴム等が利用され、本実施の形態では、糸状または帯状のポリウレタンが各弾性部材として利用される(後述の弾性部材251,252において同様)。
【0034】
次に、襞形成部25の詳細について述べる。
図4は、使い捨ておむつ1を広げた状態における前方部201の外面を示す図である。
図5は、本体部2を
図4中に示すB−Bの位置にて長手方向に垂直な面により切断した断面図である。
図5では、後述の複数の弾性部材251が収縮した状態における本体部2の断面を示している。
【0035】
図4に示すように、襞形成部25は、前方部201に設けられる複数の弾性部材251を備える。複数の弾性部材251のそれぞれは、左右方向に伸び、バックシート23と外装シート24との間に挟まれる。複数の弾性部材251はほぼ同じ長さであり、長手方向に関して、本体部2における前方部201側の端部から股下部202近傍に亘って(すなわち、前方部201のおよそ全体に亘って)一定のピッチにて配列される。複数の弾性部材251が配列される領域は、吸収コア22の前方部201側の端部である前方端部221と重なる。
【0036】
前方部201における外装シート24の内面(すなわち、バックシート23側の面)には、それぞれが長手方向に伸びる複数のライン状領域241が設定される。
図4では、複数のライン状領域241に平行斜線を付す。複数のライン状領域241はほぼ同じ長さであり、左右方向に一定幅の隙間を空けて(かつ一定のピッチで)配列される。各ライン状領域241は、接着剤の塗布領域である。なお、使い捨ておむつ1の設計によっては、複数の弾性部材251の間隔、および、複数のライン状領域241の間隔が、一定でなくてもよい。
【0037】
前方部201では、複数のライン状領域241に付着する接着剤250(例えば、ホットメルト接着剤であり、
図5では、黒塗りにて示す。)により、バックシート23と外装シート24とが互いに接合されるとともに、伸張状態の複数の弾性部材251がバックシート23の外面および外装シート24の内面の双方に接合されている。換言すると、左右方向に互いに隣接する2つのライン状領域241の各組合せにおいて、当該2つのライン状領域241の間には、バックシート23と外装シート24とが互いに接合されず、かつ、複数の弾性部材251がバックシート23および外装シート24のいずれにも接合されないライン状の非接合領域242が設定される。非接合領域242は、接着剤の非塗布領域である。なお、外装シート24の内面において、複数のライン状領域241および複数の非接合領域242が配列される領域以外の領域では、例えば、接着剤が密に塗布され、外装シート24とバックシート23とが接合される。
【0038】
図5に示すように、複数の弾性部材251が収縮した状態では、各非接合領域242において、外装シート24の部位が外側に(弾性部材251とは反対側に)向かって凸状に膨らむ。すなわち、複数の弾性部材251が収縮することにより、外装シート24において多数の襞243が形成される。多数の襞243は左右方向におよそ一定幅の隙間を空けて存在し、その高さはほぼ一定である。既述の被止着領域26は、ライン状領域241および非接合領域242が交互に配列される領域であり、被止着領域26において多数の襞243が分布する。
【0039】
既述のように、外装シート24の外面は不織布の面であり、各襞243の頂部では、不織布の繊維が実質的に微細なループ構造となる。既述のように、止着テープ41の第1および第2止着部411,412は、微細フック構造を有し、当該微細フック構造は、多数の襞243と容易に係合可能である。すなわち、止着部411,412は、被止着領域26に対して止着可能である。
【0040】
また、着用者が使い捨ておむつ1を着用した状態で、被止着領域26に止着された止着テープ41に対して胴周り方向(弾性部材251が伸びる方向)に力が作用する場合、襞243が倒れることにより、第1および第2止着部411,412の微細フック構造が襞243の表面と係合する面積が増大する。これにより、胴周り方向の力に対して止着テープ41の止着強度(止着部411,412と被止着領域26との剥離に至る力)が高くなる。被止着領域26におけるライン状領域241の幅、および、非接合領域242の幅は、一定であり、例えば、共に2.5ミリメートル(mm)である。胴周り方向に作用する力により止着テープ41が被止着領域26から容易に外れることを防止するという観点では、非接合領域242の幅は、1mm以上5mm以下であることが好ましい。
【0041】
また、複数の弾性部材251が収縮した状態では、各非接合領域242において、バックシート23が内側に(弾性部材251とは反対側に)向かって凸状に膨らむ。すなわち、バックシート23においても多数の襞が形成される。また、バックシート23は薄型の吸収コア22の外面全体に接合されるため、吸収コア22の前方端部221には、多数の皺が形成される。これにより、前方部201において使い捨ておむつ1の内部の通気性を向上することが可能となる。なお、吸収コア22はある程度の剛性を有するため、吸収コア22に形成される皺の間隔は、必ずしも非接合領域242の間隔に一致する訳ではないが、
図5では、図示の便宜上、吸収コア22に形成される皺の間隔を非接合領域242の間隔に一致させている。
【0042】
図1に示すように、長手方向に関して、本体部2における後方部203側の端部にも、左右方向に伸びる複数の弾性部材252が設けられる。複数の弾性部材252は、バックシート23と外装シート24との間に挟まれ、長手方向に一定のピッチにて配列される。複数の弾性部材251が配列される領域は、吸収コア22の後方部203側の端部である後方端部と重ならない(もちろん、重なってもよい。)。後方部203における外装シート24の内面には、前方部201における複数のライン状領域241(
図4参照)と同様の配列である複数のライン状領域が設定される。当該複数のライン状領域は、左右方向に一定幅の隙間を空けて配列される。外装シート24の後方部203側の端部(すなわち、後方端部)においても、当該複数のライン状領域に付着する接着剤により、バックシート23と外装シート24とが互いに接合されるとともに、伸張状態の複数の弾性部材252がバックシート23の外面および外装シート24の内面の双方に接合されている。したがって、複数の弾性部材252が収縮することにより、外装シート24およびバックシート23において多数の襞が形成される。
【0043】
使い捨ておむつ1では、本体部2における前方部201側の端部に配置される弾性部材251、および、後方部203側の端部に配置される弾性部材252が収縮することにより、これらの端部にウエストギャザーが形成され、使い捨ておむつ1の着用時に本体部2が着用者の腰周りに密着する。既述のレッグギャザーおよびウエストギャザーにより、脚周りおよび腰周りからの尿等の漏出が防止される。
【0044】
次に、弾性部材251,252の接合工程に注目しつつ使い捨ておむつ1の製造について説明する。
図6は、製造途上における使い捨ておむつ1を示す図である。使い捨ておむつ1の製造時には、複数の使い捨ておむつ1における複数の外装シート24となる予定の長尺の第1シート部材91が、塗布部の下方を通過する。塗布部は、第1シート部材91の幅方向に一定のピッチにて配列された複数のノズルを有し、第1シート部材91上の複数のライン状領域82に接着剤が塗布される。このとき、連続的に移動する第1シート部材91に対して、当該複数のノズルから接着剤が間欠的に吐出されるため、
図6に示すように、第1シート部材91上において第1シート部材91の長手方向(以下、「シート長手方向」という。)に一定間隔にて、複数のライン状領域82が繰り返し形成される。実際には、複数のライン状領域82が配列される領域以外の領域にも、適宜接着剤が塗布される。
【0045】
接着剤が塗布された第1シート部材91には、それぞれが幅方向に伸びるとともにシート長手方向に一定のピッチにて配列された複数の弾性部材81が、伸張状態にて複数のライン状領域82上に配置される。そして、複数のバックシート23となる予定の長尺の第2シート部材92(
図6中にて二点鎖線にて示す。)が、複数の弾性部材81を挟んで、第1シート部材91上に重ねられる。これにより、第1シート部材91と第2シート部材92とが互いに接合されるとともに、伸張状態の複数の弾性部材81が第1シート部材91および第2シート部材92の双方に接合される。
【0046】
第2シート部材92上には、吸収コア22がシート長手方向に一定間隔にて繰り返し形成され、複数のトップシート21となる予定のシート部材が吸収コア22の全体を覆うように第2シート部材92上に接合される。続いて、これらのシート部材の積層体上には、一対の接続部4がシート長手方向に一定間隔にて繰り返し配置され、当該積層体の両側部(シート長手方向に沿う両エッジ近傍)に、複数のサイドシート3となる予定の一対のシート部材が接合される。このとき、接続部4の一部が、サイドシート3となるシート部材と第1シート部材91との間に接合される。その後、
図6中に二点鎖線にて示す切断線C1,C2に沿ってシート部材の積層体が切断されることにより、使い捨ておむつ1が完成する。
【0047】
このとき、連続する2つの使い捨ておむつ1の間の切断線C1は、複数のライン状領域82を切断する位置に設定される。したがって、当該2つの使い捨ておむつ1のうち一方の使い捨ておむつ1の前方部201における複数のライン状領域と、他方の使い捨ておむつ1の後方部203における複数の他のライン状領域とが同様の配列となる。また、前方部201における複数のライン状領域上の弾性部材81が弾性部材251となり、後方部203における複数のライン状領域上の弾性部材81が弾性部材252となる(
図1参照)。このように、使い捨ておむつ1の製造では、ウエストギャザーおよび多数の襞243を形成する弾性部材251,252を、一群のライン状領域82上の接着剤により効率よく外装シート24に接合することが可能である。以上の処理により、使い捨ておむつ1の製造が完了する。
【0048】
ここで、面ファスナのループ部材を別途準備して、本体部の外面上に接合する比較例の使い捨ておむつを想定する。面ファスナのループ部材は、樹脂等により形成されたベースシート上に微細ループ構造を有するものである。このようなループ部材は高価であるため、ループ部材を利用する比較例の使い捨ておむつでは、その製造コストの削減に一定の限界が生じる。また、ベースシートの通気性が低いため、比較例の使い捨ておむつの内部が、前方部において蒸れやすくなる。
【0049】
これに対し、
図1の使い捨ておむつ1では、本体部2の最外に配置される外装シート24に複数の弾性部材251が接合され、当該複数の弾性部材251が収縮することにより、止着テープ41が止着可能な不織布の多数の襞243が、前方部201の外面の被止着領域26に形成される。これにより、使い捨ておむつ1では、面ファスナのループ部材を別途設けることなく、前方部201の外面に止着テープ41を止着することが可能となる。このように、高価なループ部材を省略し、かつ、当該ループ部材の接合工程も省略することにより、テープタイプの使い捨ておむつ1の製造コストを削減することができる。なお、襞形成部25の弾性部材251は、ウエストギャザーを形成する弾性部材251,252と同時に本体部2に接合されるため、襞形成部25の付加(襞243形成用の弾性部材251の追加)に係るコストはごく僅かである。
【0050】
使い捨ておむつ1では、複数の弾性部材251の収縮により、本体部2の前方部201を着用者にフィットさせる密着用のギャザーが形成される。これにより、着用者における使い捨ておむつ1の着用感を向上することができる。襞形成部25に設けられる弾性部材251が糸状または帯状であることにより、本体部2の長手方向における幅が大きなシート状の弾性部材を用いる場合に比べて、前方部201の通気性を向上することができ、使い捨ておむつ1の内部における蒸れを抑制することができる。
【0051】
また、前方部201における外装シート24の内面において、それぞれが長手方向に伸びるとともに、左右方向に配列される複数のライン状領域241に接着剤が付着しており、複数の弾性部材251が、複数のライン状領域241における接着剤により外装シート24に接合されている。これにより、長手方向に延びる多数の襞243を精度よく形成することができ、使い捨ておむつ1の好ましい外観を得ることができる。
【0052】
上記使い捨ておむつ1では様々な変形が可能である。
【0053】
外装シート24において少なくとも吸収コア22の前方端部221と重なる領域に多数の襞243が形成されるのであるならば、襞形成部25における糸状または帯状の弾性部材251の個数は任意に決定されてよい。また、本体部2の長手方向における幅が大きなシート状の1つの弾性部材が、外装シート24に接合されることにより、被止着領域26において多数の襞が形成されてもよい。この場合、弾性部材は、左右方向に伸張状態にて外装シート24に接合されることが好ましい。
【0054】
使い捨ておむつ1の設計によっては、複数のライン状領域241の配列以外のパターンにて塗布される接着剤により弾性部材が外装シート24に接合され、外装シート24において多数の襞が形成されてもよい。また、使い捨ておむつ1における被止着領域26の範囲は、吸収コア22の前方端部221と部分的または全体的に重なる限り、適宜変更されてよい。
【0055】
上記使い捨ておむつ1では、本体部2において吸収コア22の前方端部221と重なる部位が、トップシート21、吸収コア22、バックシート23、および、外装シート24のみをシート構成要素(すなわち、シート状の構成要素)として含むが、もちろん、他のシート構成要素を含んでもよい。また、外装シート24がバックシート23を兼ねてもよく、この場合、トップシート21、吸収コア22、および、吸収コア22の外面の全体を直接的に覆う外装シート24のみが、本体部2のシート構成要素として設けられる。
【0056】
外装シート24において多数の襞243を形成することにより、面ファスナのループ部材を省略する使い捨ておむつ1では、大きな被止着領域26を容易に形成することが可能である。したがって、多数の襞243を形成する上記手法は、各接続部4が2つの止着テープ41を備えることにより、比較的大きな被止着領域26が必要となる使い捨ておむつ1に特に適しているといえる。もちろん、各接続部4に1つの止着テープ41のみが設けられてもよい。
【0057】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。