【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の好ましい一実施形態によれば、口または鼻から挿入して気管を経て肺へと到達するよう設計されたチューブであって、気道開存性の維持および/または吸入麻酔剤もしくはその他の医療用ガスの送達、ならびに換気の確実な実施を目的とした呼吸用チューブおよび気管支内チューブが提供される。
【0010】
本発明の気管支内チューブは、医療用グレードの材料で作製されていることが最も好ましく、そのような材料としては、例えばプラスチック、ゴム、ポリマー、シリコーンなどの当技術分野で公知の材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0011】
本発明の気管支内チューブは、気管竜骨(本明細書において「TC」と表記する)を継続的にモニタリングできるものであることが最も好ましく、それによって使用者、医師、看護師または介護士は気管支内チューブが正しく配置されているか確認することが可能になる。
【0012】
本発明の気管支内チューブは、気管竜骨を描出するためのイメージセンサを内蔵していることが最も好ましく、それにより気管内および気管支内にチューブが正しく配置されているか確認することが可能になるので、例えば一側肺換気(これに限定されない)などの処置中、適正な換気が保証される。前記内蔵イメージセンサは、CCDカメラまたはCMOSカメラの形態であってよく、そうであることが好ましい。
【0013】
前記内蔵カメラと光源により、気管支内チューブが正しく配置されているか継続的に確認できることが最も好ましい。チューブの配置を継続的に確認することで、介護士は例えばカフが外れるなどの危険な状況を発見できる可能性があり、そのような状況に対応するための必要な時間も与えられる。さらに、手術中に起こる血液や分泌物の貯留またはその他の突発的事象など、患者を危険にさらす恐れのある事象も発見できる可能性がある。
【0014】
本発明の好ましい一実施形態によれば、イメージセンサとそれに対応する光源とを内蔵し、十分な通気性能が得られるよう内腔の開存性が最適化された気管支内チューブが提供される。前記内蔵イメージセンサとしては、例えばCCDカメラまたはCMOSカメラが挙げられるが、これらに限定されない。前記光源としては、例えば発光ダイオード(LED)が挙げられるが、これに限定されない。前記イメージセンサおよびそれに対応する光源は、気管支内チューブの長さ方向に沿って配置される専用ルーメン内に設けられていることが最も好ましい。前記イメージセンサから遠位の視野が明瞭に保たれるよう、前記イメージセンサが洗浄ノズルをさらに備えていることが最も好ましい。イメージセンサ専用ルーメンの長さが気管用ルーメンの長さと平行で、気管用ルーメンの長さとイメージセンサルーメンの長さが本質的に同じであることが最も好ましい。前記イメージセンサ専用ルーメンの長さは、気管支用ルーメンの長さに一致していてもよい。
【0015】
前記気管支内チューブには、イメージセンサ専用ルーメンが2つ設けられていてもよい。第1のイメージセンサ専用ルーメンの長さが気管用ルーメンの長さに一致し、第2のイメージセンサ専用ルーメンの長さが気管支用ルーメンの長さに一致していてもよい。
【0016】
本発明の好ましい一実施形態によれば、気管竜骨、左気管支、右気管支、気管支用カフおよび気管支分岐部に光を照射して、これらを同一視野内で継続的かつ明瞭に描出できるイメージセンサと光源とを内蔵した気管支内チューブが提供される。
【0017】
本発明の任意の一実施形態においては、少なくとも1以上の気管支用カフが使用される。気管支を十分に密閉するために、少なくとも2以上の気管支用カフが使用されてもよい。
【0018】
気管支用カフは、気管支にうまく適合するように様々な形状のものが用意されていてもよく、形状としては、例えば球状、楕円形、螺旋形、砂時計形、台形などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
気管支用カフは、解剖学的構造および配置場所に応じて様々な構成および形状を有していてもよく、例えば、解剖学的構造に基づいて、左気管支に配置するためのカフまたは右気管支に配置するためのカフが用意されていてもよい。
【0020】
本願において、「気管支内チューブ」は、気管気管支チューブ、ダブルルーメンチューブ、ダブルルーメン気管支内チューブおよびダブルルーメン気管内チューブのいずれとも区別なく用いられ、これらはすべて、対象の両肺、片肺または両肺もしくは片肺の一部を選択的に換気するために用いられるチューブおよび/またはカテーテルを意味する。
【0021】
患者への装着時に気管竜骨に対する相対位置が異なる少なくとも2つの場所に選択的に固定されるよう、少なくとも2つの異なる長さのルーメンを含む気管支内チューブであって、
a.第1の膨張式カフにより気管内の気管竜骨の近位で固定される、遠位解放端を備えた第1のルーメン;
b.気管竜骨を越えて遠位に伸長し、第2の膨張式カフにより左気管支および右気管支のいずれか一方の内部で固定される、遠位解放端を備えた第2のルーメン;
c.前記第1のルーメンと同じ長さを有し、前記第1のルーメンの遠位端に隣接して配置されるイメージセンサおよび光源を含み、該イメージセンサおよび光源が、気管竜骨のある気管分岐部、左気管支の開口部および右気管支の開口部を示す画像を提供するよう構成されているイメージセンサ専用ルーメン;および
d.前記気管支内チューブの長さ方向に沿って設けられた、前記イメージセンサ専用ルーメンと平行する少なくとも1つの洗浄専用ルーメン
を含み、
前記洗浄ルーメンの遠位端が洗浄ノズルを形成するよう構成され、前記洗浄ノズルが前記イメージセンサルーメンの遠位端の方向を向いていることを特徴とする気管支内チューブ。
【0022】
前記洗浄ノズルの直径は、0.1〜2mmであってもよい。
【0023】
前記洗浄ノズルの直径は、0.6mmであってもよい。
【0024】
前記洗浄ルーメンは、前記イメージセンサの両側近傍に配置され、2以上の洗浄ノズルを備えていてもよい。
【0025】
前記2以上の洗浄ノズルは、互いに連携して作動してもよい。
【0026】
前記洗浄ルーメンは、前記イメージセンサの視野を吸引するためまたは洗い流すためのものであってよい。
【0027】
前記イメージセンサ専用ルーメンは、前記チューブの壁内部の前記第1ルーメンと前記第2ルーメンとの間の前部または後部に配置されていてもよい。
【0028】
前記第2ルーメンは、右気管支または左気管支の画像を提供する第2イメージセンサを含んでいてもよい。
【0029】
前記イメージセンサは、CCDイメージセンサまたはCMOSイメージセンサであってもよい。
【0030】
前記第1ルーメンは、その遠位端近傍に前記イメージセンサに隣接して配置される光源をさらに含んでいてもよい。
【0031】
前記光源は、LED、光ファイバー、導波管、光導波路およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択してもよい。
【0032】
前記イメージセンサは、前記第1ルーメンの壁内部に設置された専用の管内に配置されていてもよい。
【0033】
前記イメージセンサは、1本の専用コネクタを介してチューブの近位端、最も好ましくは第1ルーメンの近位端で補助装置に接続されていることが最も好ましく、該補助装置としては、以下に限定されないが、例えばディスプレイおよび電源が挙げられる。前記専用コネクタとしては、以下に限定されないが、例えばUSBコネクタが挙げられる。
【0034】
本発明の気管内チューブは、口腔または鼻腔からの非侵襲的な挿入に適したものであってもよい。
【0035】
本発明の気管内チューブは、外部ポートまたは切開部からの挿入に適したものであってもよい。
【0036】
本発明の気管内チューブは、外科的処置またはその他の侵襲的処置による挿入に適したものであってもよい。
【0037】
別段の定めのない限り、本明細書において使用される技術用語および科学用語はすべて、本発明が属する技術分野で通常の技能を有する者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書において提示される材料、方法および具体例は例示的なものに過ぎず、本発明を限定するものではない。