(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6389437
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】塗膜剥離剤を用いた防水層の除去方法
(51)【国際特許分類】
B05D 3/10 20060101AFI20180903BHJP
C09D 9/00 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
B05D3/10 N
C09D9/00
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-10631(P2015-10631)
(22)【出願日】2015年1月22日
(65)【公開番号】特開2016-131966(P2016-131966A)
(43)【公開日】2016年7月25日
【審査請求日】2017年11月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】505466642
【氏名又は名称】株式会社東洋ユニオン
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】長峰 春夫
(72)【発明者】
【氏名】若山 真則
(72)【発明者】
【氏名】中村 弘
【審査官】
清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第1492007(CN,A)
【文献】
特開平11−057613(JP,A)
【文献】
米国特許第06159915(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0316096(US,A1)
【文献】
米国特許第03574123(US,A)
【文献】
特開2003−166333(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第104974589(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第101629036(CN,A)
【文献】
特開平08−311374(JP,A)
【文献】
特開平09−165536(JP,A)
【文献】
特開平11−116862(JP,A)
【文献】
特表2002−506914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/00−7/26
C09D 1/00−10/00
101/00−201/10
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
瀝青材料を主成分とする防水層の除去方法であって、
ジクロロメタンを主成分とし、フェノールを含有する剥離剤を防水層に塗布する第1工程と、
塗布面が乾燥した後に、ブラストを行って防水層を除去する第2工程と
を有する防水層の除去方法。
【請求項2】
前記瀝青材料が、タールエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の防水層の除去方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の防水層の除去方法に用いられる防水層の剥離剤であって、
ジクロロメタン50〜90質量%と、フェノール5〜30質量%を含有する、瀝青材料を主成分とする防水層の剥離剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水層の除去方法とそのための剥離剤に関する。
【背景技術】
【0002】
工業用水、工業品製造時の汚水、排水等を一時的に保管しておくために、鋼鉄製の水タンクや水槽類が広く使用されている。鋼鉄製の水タンクや水槽類(以下、「水タンク類」と記載する。)の内面には、錆や亀裂を防止して耐久性を向上させたり、内容物の汚染を防止する目的で、通常、防水層(ライニング)が施されている。
【0003】
防水層に使用される材料としては、従来から、安価で防食性に優れた瀝青材料が利用されてきた。瀝青材料は、鋼材に対する吸着力が強く、止水性能が高いという利点を有している。また瀝青材料は、水に対する長期耐久性に優れ、安価に製造することが可能である。
【0004】
一般に、水タンク類の防水層を除去することは想定されておらず、経年劣化したときには、水タンク類そのものを廃棄していた。そのため、防水層を除去するというような必要性が生じることはなかった。
【0005】
ところが、水タンク類に保管されていた排水等が、非分解性の毒性を有していたり、放射性物質で汚染されていると、防水層自体が汚染される。そのため、水タンク類の廃棄後に環境汚染や健康被害をもたらすという懸念が発生し、水タンク類そのものを廃棄することが困難となった。このようなときには、何らかの方法で防水層を除去することが必要とされる。
【0006】
塗膜の剥離剤としては、既にいくつかのタイプが知られている。特許文献1には、タールエポキシ樹脂等にも適用することが可能な、二塩基酸エステルを主成分とする塗膜剥離剤が開示されている。特許文献2には、ジクロロメタンを主成分とする塗膜剥離剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−63106号公報
【特許文献2】特開平5−171076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示された塗膜剥離剤による塗膜剥離方法では、塗膜が剥離可能となるまでに20時間程度の長時間を要するものであった。また、スクレーパー等で行う剥離作業は塗膜に近接して行う必要があるが、軟化させた塗膜が湿潤状態にあるため、作業者に付着しないように注意する必要がある。また、特許文献2に開示された塗膜剥離剤による塗膜剥離方法は、塗膜を膨潤軟化させた状態で溶解剥離を行うものであるが、特許文献1の方法と同様に、塗膜が湿潤状態にあるため、作業者に付着しないように注意する必要がある。
【0009】
本発明は、上記状況に鑑みて、従来除去することを想定していなかった防水層を除去することを目的としてなされたものである。すなわち、本発明の課題は、瀝青材料を主成分とする防水層を、安全に、短時間で除去することが可能な防水層の除去方法とそのための剥離剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、瀝青材料を主成分とする防水層の除去方法として、短時間で防水層に浸透して膨潤させることが可能な有機溶剤を検討した。その結果、ジクロロメタンは、短時間で瀝青材料を主成分とする防水層に浸透して膨潤させ得ること、ジクロロメタンは短時間で揮発して残存しにくいことを見出した。さらに、膨潤後に乾燥させた防水層は、従来の知見とは異なり、比較的容易に剥離し得ることを見出した。
【0011】
本発明は、このような知見を基になされたものである。すなわち、本発明は、瀝青材料を主成分とする防水層の除去方法であって、ジクロロメタンを主成分とし、フェノールを含有する剥離剤を防水層に塗布する第1工程と、塗布面が乾燥した後に、ブラストを行って防水層を除去する第2工程とを有する防水層の除去方法である。
【0012】
また、本発明は、ジクロロメタンを主成分とし、フェノールを含有する、瀝青材料を主成分とする防水層の剥離剤である。
前記瀝青材料は、タールエポキシ樹脂であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の塗膜剥離剤を用いた防水層の除去方法は、瀝青材料を主成分とする防水層を、安全に、短時間で除去することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について、以下詳細に説明する。但し、以下に記載する実施形態は、本発明の実施態様の一例であり、本発明はこれらの内容に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0015】
本発明において、防水層は、防錆性、耐食性を向上させ、長期耐久性を付与するために、水タンク類の内面に施されるものである。本発明では、水タンク類の基材の材質は限定されないが、特に、鋼鉄系の金属材料で製造されているものに適性を有している。また、水タンク類の中でも、フランジ構造を有するタイプは、フランジを外すことによって内面が開き、防水層の除去作業が容易となるため、好ましい。
【0016】
上記目的で設けられる防水層は、従来から瀝青材料のような炭化水素系の多成分混合樹脂が用いられている。瀝青材料は、耐食性や耐久性に優れ、安価に入手できることから、上記目的に適合している。瀝青材料には、天然アスファルト、コールタール、石油アスファルト、ピッチなどがあり、特に限定されない。
【0017】
瀝青材料は他の樹脂と混合することによって、塗膜としての耐久性や取扱性を向上させることができる。瀝青材料と混合する他の樹脂としては、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂等がある。瀝青材料は、エポキシ樹脂と混合することによって、タールエポキシ樹脂となる。本発明は、タールエポキシ樹脂による防水層の除去に特に有用である。
【0018】
本発明の剥離剤は、ジクロロメタンを主成分とする。ここで、主成分とは、50質量%以上であることを意味する。ジクロロメタンは、塩化メチレンともいい、沸点が40℃と低温であるため、室温においても急速に揮発して、比較的短時間、例えば12時間程度で乾燥する。夏季のように室温が高い場合は乾燥時間がより短くなる。
【0019】
剥離剤中のジクロロメタンの含有量は、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。含有量が高い方が防水層に対する浸透性と揮発性に優れている。また、塗布作業性の観点から90質量%以下が好ましい。
【0020】
本発明者らは、瀝青材料を主成分とする防水層にジクロロメタンを主成分とする組成物を塗布したところ、防水層が膨れ上がって、無数の泡が形成される現象を見出した。さらに、ジクロロメタンが揮発して乾燥した状態になった後に、防水層は、物理的に容易に破壊されて、無数の破片となって基材から剥離し、基材から除去することができることを見出した。
【0021】
ジクロロメタンを主成分とする剥離剤を防水層に塗布した後に起こる現象は、以下のように考えることができる。
ジクロロメタンは、瀝青材料との親和性に優れており、瀝青材料を主成分とする防水層の架橋された樹脂分子の隙間に浸透していく。その後、ジクロロメタンが気化することによって、樹脂分子の隙間で体積が急激に膨張する。このとき、瀝青材料を主成分とする防水層の架橋構造が緻密に存在することによって、膨張時にジクロロメタンの気体は容易には抜けにくい。そのため、防水層中には無数の気泡が生じて、亀甲状の表面形態となる。その後、ジクロロメタンの気体は、気泡の膜から抜けていく。気泡の膜は、ジクロロメタンが抜けていった後に収縮するため、膜の収縮力によって基材から剥離したり、気泡の破断が生じる。また、気泡の膜は、ある程度形態を維持しているため、防水層は薄い膜が多重に重なった状態に変化する。そのため、ブラストの物理的な力によって防水層は容易に破壊されて、無数の破片となって、基材から剥離し、脱落していく。
【0022】
本発明の剥離剤のpHは、揮発を容易にしたり、汚染物質を溶解するという観点から、一般的には酸性である。しかし、基材の発錆を抑制するために剥離剤のpHを中性に調整することができる。
【0023】
本発明の剥離剤は、フェノールを含有する。フェノールの含有量は、5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%がより好ましい。
【0024】
ジクロロメタンとフェノール以外の剥離剤の成分としては、有機溶剤、界面活性剤、乾燥防止剤、酸類、pH調整剤等が挙げられる。さらに、ローラーや刷毛での塗布やエアレスガンによる吹き付けをし易くするため、増粘剤を添加して粘度を調整することもできる。
【0025】
本発明の防水層の除去方法は以下の2つの工程を有している。
(1)ジクロロメタンを主成分とし、フェノールを含有する剥離剤を防水層に塗布する第1工程
(2)塗布面が乾燥した後に、ブラストを行って防水層を除去する第2工程
以下これらの工程について説明する。
【0026】
(第1工程)
第1工程では、ジクロロメタンを主成分とし、フェノールを含有する剥離剤を防水層に塗布して、防水層を膨潤させる。
【0027】
防水層に対する剥離剤の塗布量は、防水層の厚さや膨潤のし易さ等に応じて適宜設定することができる。1回の塗布では不十分なときは、2回以上の塗布を重ねて行う。塗布する方法は、特に制限されず、公知の方法を適宜用いることができる。
【0028】
防水層に剥離剤を塗布すると、ジクロロメタンが防水層に浸透していき、防水層が次第に膨潤していく。同時に、ジクロロメタンが揮発を開始するため、安全性や作業性の観点から、塗布直後からジクロロメタンを排気することが必要である。排気方法は、特に制限されず、公知の方法を適宜用いることができる。乾燥に要する時間は、剥離剤の塗布量、気温、排気設備の能力等によって変わる。1時間以内に乾燥する場合もあり、数時間を要する場合もある。本発明では、第2工程を効率的に行うため、数多くの配合試験を踏まえて、揮発・乾燥しやすい前記組成の剥離剤としている。
【0029】
(第2工程)
第2工程は、剥離剤を塗布した塗布面が乾燥した後に行う。第2工程では、防水層に対してブラストを行って防水層を除去する。
【0030】
塗布面が一旦乾燥した後は、長時間放置しておいても、ブラストによる防水層の剥離・除去のし易さが低下することは少ない。
【0031】
塗布面が乾燥し、塗布面の湿気がなくなると、剥離した塗膜が再付着することがないので、膨潤した防水層を効率的に剥離・除去することができる。また、剥離した塗膜が人体に付着する可能性も低くなるので、健康上の問題を引き起こす可能性も低減される。また、ブラストによる除去時に有機溶剤ガスの発生が低減するため、臭気が少ない。さらに、排気操作を十分行うことによって環境基準値以下にジクロロメタンの気中濃度を制御することができるので、作業環境が向上する。
【0032】
ブラストとは、粉体状の研磨材を基材に衝突させることによって、物理的に基材の表面処理を行う方法である。ブラストには、ショットブラスト、サンドブラスト、ドライアイスブラスト等の方法が知られており、いずれの方法も本発明に適用することができる。また、研磨材を用いず圧縮空気のみを吹付けるエアーブラストも本発明に適用することができる。
【0033】
ショットブラストとは、基材表面に金属ワイヤーを切断したカットワイヤーや鋼鉄や鋳鉄の球形粒子(スチールショット、スチールビーズ)等を圧縮空気とともに噴射して、基材表面の付着物を剥離させる方法である。
サンドブラストとは、基材表面にアルミナ、シリカ、ガラスビーズ等の微粒子を圧縮空気とともに噴射して、基材表面の付着物を剥離させる方法である。
ドライアイスブラストとは、基材表面にドライアイスの微細粒(ドライアイスペレット)を圧縮空気とともに噴射して、基材の表面温度を急激に低下させるとともに、基材表面の付着物の隙間にドライアイスペレットを入り込ませて体積膨張を起こし、付着物を剥離させる方法である。
【0034】
ショットブラストやサンドブラストでは、使用した研磨材が残留するので、防水層が汚染されている場合には、使用後の研磨材も汚染されるため、研磨材の無害化処理を行うことが必要となる場合がある。一方、ドライアイスブラストでは、ドライアイスの微細粒が気化して大気中に発散するので、使用後の研磨材が残留せず、汚染された防水層残渣の発生量を低減化させることができる。そのため、残渣発生量の低減の観点からは、ドライアイスブラストが本発明の防水層の除去方法として適している。
【0035】
膨潤した防水層は、ブラストすることによって、無数の破片となって、基材から剥離される。剥離された破片は、拡散して環境を汚染することがないように、集塵機等によって吸引して捕集される。建物内で除染作業を行う際には、室内を負圧に管理することによって、除去した汚染物質等が飛散することを防止して、防水層を除去することが好ましい。
【0036】
なお、防水層が放射性物質等で汚染されている場合には、ロボット等を用いて遠隔操作でブラストを行えばよい。
【実施例】
【0037】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0038】
供試体として、縦1000mm×横1000mm×厚さ1.5mmの鋼板を用いた。鋼板の表面にタールエポキシ樹脂塗料を200μmの厚さに塗布して、硬化させ、防水層を有する鋼板Aを作製した。タールエポキシ樹脂塗料としては、コールタールを主成分とし、エポキシ樹脂を混合した日本ペイント社製「エポタールBOエコ」を用いた。
実施例の剥離剤1として、以下の組成のものを調製した。尚、比較例の剥離剤2〜5は、いずれも市販品であり、それぞれ、ロックペイント社製「ロックリムーバー」、ナトコ社製「スケルトン S−301」、山一化学工業社製「ハクリパワー#300」、山一化学工業社製「バイオハクリX」である。
【0039】
(剥離剤1)
ジクロロメタン 70〜80質量%
フェノール 10〜20質量%
酸類、乾燥防止剤、界面活性剤、増粘剤 少量
【0040】
(剥離剤2)
ジクロロメタン 79質量%
メタノール 5〜10質量%
アンモニア水、トルエン、乾燥防止剤、ベンジルアルコール 少量
【0041】
(剥離剤3)
ジクロロメタン 70〜80質量%
酢酸、ギ酸、メタノール 20〜30質量%
【0042】
(剥離剤4)
ジクロロメタン 80〜90質量%
メタノール 5〜10質量%
【0043】
(剥離剤5)
アルコール系高沸点溶剤 30〜40質量%
エステル系高沸点溶剤 40〜60質量%
促進剤、増粘剤、染料 少量
【0044】
強制排気装置を設置したドラフト内で、以下のように、鋼板Aに対して剥離剤1〜5を塗布し、乾燥させる作業を行った。
防水層を有する鋼板Aを6枚用意した。組成の異なる剥離剤1〜5を用いて、鋼板Aの防水層の形成された面にローラーを用いて、それぞれ塗布量250μm厚さに塗布した。剥離剤1〜5をそれぞれ、2枚の鋼板Aに塗布した。
【0045】
剥離剤1を用いた実験例1では、剥離剤を塗布した後、いずれも1分程で防水層の膨潤が起こり始めた。防水層内部に多数の気泡が発生し、そのことによって表面がでこぼこに変化し始めた。反応中にドラフト内のジクロロメタンの気中濃度をガス検知器で測定したところ、5ppm以下であった。反応は10分程度で終了したが、そのまま12時間放置した。
【0046】
剥離剤1を用いた実験例1では、12時間経過後に防水層が乾燥した状態となっていた。防水層は多数の泡状にパリパリに変形しており、鋼板から浮き上がっていた。乾燥後は、臭気がほとんどない状態となっていた。
【0047】
剥離剤2〜5を用いた実験例2〜5では、防水層内部に若干の気泡が発生したものの、ほとんど剥離しなかった。
【0048】
同じ剥離剤を塗布した2枚の鋼板Aは、膨潤・乾燥させた後に、1枚はドライアイスブラストに供し、他の1枚はショットブラストに供した。ドライアイスブラストとしては、3mmφ×3mmのペレットを用いた。また、ショットブラストとしては、カットワイヤー#70(粒径0.7mm)を用いた。
【0049】
実験例1でドライアイスブラストを施すことによって、防水層を除去面積95%以上で剥離・除去することができた。除去に要する時間は10秒/m
2程度であった。
なお、剥離剤を塗布しないでドライアイスブラストを実施した場合は、速やかな剥離・除去ができず、除去に要する時間は200分/m
2程度であった。
【0050】
実験例1でショットブラストを施すことによって、防水層を除去面積95%以上で剥離・除去することができた。除去に要する時間は12分/m
2程度であった。
なお、塗膜剥離剤を塗布しないでショットブラストを実施した場合も防水層を剥離・除去することができたが、除去に要する時間は24分/m
2程度であった。
【0051】
剥離剤2〜5を用いた実験例2〜5では、12時間経過後に、ドライアイスブラストまたはショットブラストを試みたが、ほとんど剥離していないため、完全に除去することは困難であった。また、拭き取り、ケレン、ワイヤーブラシ等で塗膜の除去を試みたが、完全に除去することは困難であった。