(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6389460
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
H02M 7/12 20060101AFI20180903BHJP
【FI】
H02M7/12 B
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-525961(P2015-525961)
(86)(22)【出願日】2013年7月16日
(65)【公表番号】特表2015-530066(P2015-530066A)
(43)【公表日】2015年10月8日
(86)【国際出願番号】IB2013055845
(87)【国際公開番号】WO2014024064
(87)【国際公開日】20140213
【審査請求日】2016年7月14日
(31)【優先権主張番号】61/680,318
(32)【優先日】2012年8月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】フィリップス ライティング ホールディング ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】ウェンツ マティアス
【審査官】
木村 励
(56)【参考文献】
【文献】
特開平8−228026(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/135505(WO,A1)
【文献】
国際公開第2011/055284(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気消費装置であって、前記電気消費装置の制御可能な電力消費を可能にするための制御可能なパルス幅変調シャントスイッチを持つ電気消費装置と、
前記電気消費装置に電力を供給するための電源装置とを有する電力分配システムであって、前記電源装置が、出力電流制御され、前記電気消費装置によって消費される電力に依存して前記出力電流を供給するよう適合させられ、
前記電源装置が、前記出力電流を供給するための電源と、前記電気消費装置によって消費される電力を検出するために前記電源の出力電圧を検出するよう適合させられる電力消費検出ユニットとを有し、
前記電源が、検出される前記出力電圧の振幅及びタイミングのうちの少なくとも1つに依存して、前記出力電流の振幅及びタイミングのうちの少なくとも1つを制御するよう適合させられる電力分配システム。
【請求項2】
前記電源が、前記検出される出力電圧の振幅と1つ又は幾つかのしきい値振幅を比較し、それによって、比較結果を生成するよう適合させられ、前記電源が、生成される前記比較結果に依存して前記出力電流の振幅を制御するよう適合させられる請求項1に記載の電力分配システム。
【請求項3】
前記電源が、前記検出される出力電圧の振幅がしきい値電圧より大きい場合は、より高い振幅の前記出力電流を、前記検出される出力電圧の振幅が前記しきい値電圧より小さい場合は、より低い振幅の前記出力電流を供給するよう適合させられる請求項2に記載の電力分配システム。
【請求項4】
前記出力電流の前記より高い振幅及び前記より低い振幅のうちの少なくとも1つが、前記検出される出力電圧の振幅が前記しきい値電圧より小さい期間の時間的な長さに依存する請求項3に記載の電力分配システム。
【請求項5】
前記電源が、前記検出される出力電圧の振幅が、前記しきい値電圧より大きい場合は、前記より高い振幅の前記出力電流を、前記検出される出力電圧の振幅が、時間しきい値より短い期間、前記しきい値電圧より小さい場合は、第1のより低い振幅の前記出力電流を、前記検出される出力電圧の振幅が、前記時間しきい値より長い期間、前記しきい値電圧より小さい場合は、前記第1のより低い振幅より低い第2のより低い振幅の前記出力電流を供給するよう適合させられる請求項4に記載の電力分配システム。
【請求項6】
前記電源が、前記比較結果から前記パルス幅変調のデューティサイクルを決定するよう適合させられ、前記より高い振幅及び前記より低い振幅のうちの少なくとも1つが、決定される前記デューティサイクルに依存する請求項3に記載の電力分配システム。
【請求項7】
前記電源が、前記デューティサイクルが短ければ短いほど、前記出力電流の前記より高い振幅が低くなるように適合させられる請求項6に記載の電力分配システム。
【請求項8】
前記電源が、前記電力消費の変化が所定のしきい値より高速である場合には、一定の電力を供給するよう適合させられる請求項1に記載の電力分配システム。
【請求項9】
前記電気消費装置及び前記電源装置が、イーサネット(登録商標)ケーブルを介して電気的に接続される請求項1に記載の電力分配システム。
【請求項10】
電気消費装置の電力消費を制御するために前記電気消費装置のパルス幅変調シャントスイッチを制御するステップと、
電源装置によって前記電気消費装置に電力を供給するステップとを有する電力分配方法であり、前記電源装置が、出力電流制御され、前記電気消費装置によって消費される電力に依存して、前記出力電流を供給し、前記電源装置が、前記出力電流を供給するための電源と、前記電気消費装置によって消費される電力を検出するために前記電源の出力電圧を検出するよう適合させられる電力消費検出ユニットとを有する電力分配方法であって、
前記電源によって、検出される前記出力電圧の振幅及びタイミングのうちの少なくとも1つに依存して、前記出力電流の振幅及びタイミングのうちの少なくとも1つを制御するステップを有する電力分配方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力分配システム内の可変電力消費を持つ電気消費装置に電力を供給するための電源装置に関する。本発明は、更に、前記電源装置と前記電気消費装置とを有する電力分配システム、電力分配方法、及び電力分配コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
出力電圧制御又は出力電流制御され得る電源装置と、可変電力消費を持ち得る1つ又は幾つかの電気消費装置とを電気的に接続するためにイーサネットケーブルを用いるシステムが知られている。1つ又は幾つかの電気消費装置、例えば、発される光の強度を変更し、従って、電力消費を変更するための減光機能を持つランプであり得る。
【0003】
電源装置が、出力電流制御される場合には、それは、イーサネットケーブルを通じて一定の公称電流を供給し、イーサネットケーブルにおいて、並びに各々、イーサネットケーブルと電源装置及び1つ又は幾つかの電気消費装置を接続する電気コネクタにおいて、電圧降下が存在する。これらの電圧降下は、電力分配システムにおける電力分配効率を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、電力分配システム内の可変電力消費を持つ電気消費装置に電力を供給するための電源装置であって、前記電力分配システム内の電力分配効率の改善を可能にする電源装置を提供することである。本発明の他の目的は、前記電源装置と前記電気消費装置とを有する電力分配システム、並びに対応する電力分配方法及び電力分配コンピュータプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様においては、電力分配システム内の可変電力消費を持つ電気消費装置に電力を供給するための電源装置が提示され、前記電源装置は、出力電流制御され、前記電気消費装置によって消費される電力に依存して前記出力電流を供給するよう適合させられる。
【0006】
前記出力電流が、一定ではなく、前記電気消費装置によって消費される電力に依存して制御されることから、前記出力電流は、実際に消費される電力に適合させられることができ、それによって、前記電力分配システムにおける電力分配効率の改善を可能にする。詳細には、前記電気消費装置によってあまり電力が消費されない場合には、より低い出力電流が供給されることができ、それによって、前記電力分配システムのケーブル及び電気コネクタにおける損失を減らす。
【0007】
前記電力分配システムは、優先的には、直流(DC)電力分配システム、即ち、一方向電流を用いるシステムであり、前記DC出力電流の振幅は、前記電気消費装置によって消費される電力に依存して変更され得る。
【0008】
前記電気消費装置によって消費される電力は、パルス幅変調シャントスイッチを用いることによって、可変であってもよく、前記電気消費装置は、ユーザが、前記電気消費装置によって消費される電力を変更するためにパルス幅変調(PWM)を制御することを可能にするためのユーザ制御ユニットを有してもよい。前記ユーザ制御ユニットは、前記電気消費装置によって消費される電力を変更するために前記PWMのデューティサイクルを制御するよう適合させられ得る。例えば、前記電気消費装置はランプであってもよく、前記ユーザ制御ユニット、PWM及び前記シャントスイッチは、前記ランプの減光機能を供給するよう適合させられ得る。
【0009】
前記電源装置が、前記電気消費装置によって消費される電力を検出するための電力消費検出ユニットと、検出される、前記電気消費装置によって消費される電力に依存して、前記出力電流を供給するための電源とを有することは好ましい。とりわけ、前記電力消費検出ユニットは、前記電力消費を検出するために前記電源の前記出力電圧を検出するよう適合させられ、前記電源は、検出される前記出力電圧に依存して前記出力電流を制御するよう適合させられる。これは、前記電源装置が、単に、前記電源の前記出力電圧を検出することによって、相対的に簡単な方法で、前記電気消費装置の前記電力消費を検出することを可能にする。前記電源は、交流(AC)電力を、前記電気消費装置に供給されるべきDC電力に変換するための電力変換装置を有し得る。
【0010】
優先的には、前記電源は、前記検出される出力電圧の振幅及びタイミングのうちの少なくとも1つに依存して、前記出力電流の振幅及びタイミングのうちの少なくとも1つを制御するよう適合させられる。前記出力電流の前記タイミングは、各々の振幅がどの時間的位置において供給されるのかを規定し、詳細には、前記タイミングは、いつ、前記出力電流が或る特定の振幅に設定されるのかを規定する。前記出力電圧の前記タイミングは、各々の電圧がどの時間的位置において前記電気消費装置によって消費されるのかを規定し、詳細には、前記タイミングは、いつ、前記電圧が或る特定の振幅に変化するのかを規定する。
【0011】
優先的には、前記電源は、前記検出される出力電圧の振幅と1つ又は幾つかのしきい値振幅を比較し、それによって、比較結果を生成するよう適合させられ、前記電源は、生成される前記比較結果に依存して前記出力電流の振幅を制御するよう適合させられる。前記比較を実施するため、前記電源は、例えば、比較器を有し得る。より高度な制御機能のため、前記電源は、例えば、アナログ・デジタル変換器及びマイクロコントローラ又はデジタルシグナルプロセッサ(DSP)を有し得る。
【0012】
優先的には、前記電源は、前記検出される出力電圧の振幅がしきい値電圧より大きい場合は、より高い振幅の前記出力電流を、前記検出される出力電圧の振幅が前記しきい値電圧より小さい場合は、より低い振幅の前記出力電流を供給するよう適合させられる。それ故、前記出力電流の振幅が、前記電気消費装置によって消費される電力に依存して調節され得る。とりわけ、前記電気消費装置が、パルス幅変調される場合には、前記検出される電圧の振幅と前記しきい値電圧の比較は、PWMのデューティサイクルであって、前記電源が前記デューティサイクルに従って調節され得るようなPWMのデューティサイクルをもたらし得る。それ故、前記PWMによる前記電気消費装置の前記電力消費の減少に従って、前記出力電力が減らされることができ、従って、ケーブル及びあり得る他の接続素子における損失が減らされることができる。前記電気消費装置が、パルス幅変調シャントスイッチによって供給される減光機能を持つランプである場合には、検出される前記PWMのデューティサイクルと、短絡期間中の、即ち、シャント期間中の前記より低い振幅の前記出力電流との組み合わせは、前記PWMの低電力期間中の、とりわけ、オフ期間中の損失を減らすと共に、全減光範囲にわたってフリッカ挙動を改善することができる。
【0013】
前記電源装置は、シャント期間だけ、非シャント期間だけ、又はシャント期間及び非シャント期間の両方における前記検出される出力電圧に依存して、前記出力電流、とりわけ、前記出力電流の振幅を制御するよう適合され得る。
【0014】
前記より高い出力電流は、優先的には、前記電力分配システムの公称電流であり、前記より低い出力電流は、例えば、前記公称電流の10パーセントであり得る。
【0015】
実施例においては、前記出力電流の前記より高い振幅及び前記より低い振幅のうちの少なくとも1つが、前記検出される出力電圧の振幅が前記しきい値電圧より小さい期間の時間的な長さに依存する。例えば、前記電源は、前記検出される出力電圧の振幅が、前記しきい値電圧より大きい場合は、前記より高い振幅の前記出力電流を、前記検出される出力電圧の振幅が、時間しきい値より短い期間、前記しきい値電圧より小さい場合は、第1のより低い振幅の前記出力電流を、前記検出される出力電圧の振幅が、前記時間しきい値より長い期間、前記しきい値電圧より小さい場合は、前記第1のより低い振幅より低い第2のより低い振幅の前記出力電流を供給するよう適合させられ得る。この機能は、前記電源装置が、前記電気消費装置が完全にオフに切り換えられている状況も考慮することを可能にし、それによって、ケーブル及び随意の他の接続素子におけるあり得る損失を更に減らすことができる。
【0016】
前記電気消費装置の前記電力消費が、パルス幅変調される場合には、前記電源は、前記比較結果から前記PWMのデューティサイクルを決定するよう適合させられることができ、前記より高い振幅及び前記より低い振幅のうちの少なくとも1つが、決定される前記デューティサイクルに依存する。詳細には、シャント期間中に、より低い振幅の前記出力電流が供給され、非シャント期間中に、より高い振幅の前記出力電流が供給される場合には、前記非シャント期間中の前記より高い振幅は、前記PWMのデューティサイクルに依存し得る。例えば、前記電源は、前記デューティサイクルが短ければ短いほど、前記出力電流の前記より高い振幅が低くなるように適合させられ得る。
【0017】
優先的には、前記検出される電圧から実際のデューティサイクルを決定するために、前記PWMの少なくとも1つの全周期、とりわけ、1つの全PWM周期だけが用いられ、後続の周期においては、前記出力電流の振幅が、決定される前記デューティサイクルに従って、設定され得る。前記電気消費装置が、パルス幅変調シャント減光機能を持つ発光ダイオード(LED)のようなランプである場合には、これは、混合アナログ電流変調による負荷側減光ソリューションをもたらし得る。このような駆動スキームを持つランプは、低い減光レベルのための高効率固体照明(SSL)ソリューションを供給し得る。これらのランプは、例えば、緊急目的のため、最小限の一定の光束レベルを必要とし、使用時にしか全光束レベルを必要としない廊下又は他の空間において用いられ得る。
【0018】
好ましい実施例においては、前記電源は、前記電力消費の変化が所定のしきい値より高速である場合には、一定の電力を供給するよう適合させられる。前記消費される電力の変化の速度は、前記消費される電力の変化の速度を示す適切な指標によって規定され得る。例えば、前記電気消費装置が、パルス幅変調される場合には、前記電源は、前記PWMのデューティサイクルが所定のデューティサイクルしきい値より大きい場合に、一定の電力、とりわけ、公称電力を供給し得る。それ故、前記デューティサイクルが非常に高くて、短いオフ期間しかもたらされない場合はいつでも、前記出力電力、とりわけ、前記出力電流は、優先的には、減らされない。なぜなら、前記供給される電力を変えることが、動的挙動により薦められない、又は損失が減らされる期間が短すぎるからである。
【0019】
本発明の他の態様においては、電力分配システムが提示され、前記電力分配システムは、可変電力消費を持つ電気消費装置と、請求項1に記載の電源装置とを有する。前記電力分配システムは、前記電源装置に接続されている1つ又は幾つかの電気消費装置を有し得る。実施例においては、前記電気消費装置及び前記電源装置は、カテゴリ5(Cat 5)ケーブルのようなイーサネットケーブルを介して電気的に接続され、前記イーサネットケーブルは、電力を運ぶためにしか用いられず、通信目的のためには用いられない。別の実施例においては、前記イーサネットケーブルは、通信目的のためにも用いられてもよく、又は前記電気消費装置及び前記電源装置を電気的に接続するために別の種類のケーブルが用いられてもよい。
【0020】
本発明の他の態様においては、電力分配方法が提示され、前記電力分配方法は、電源装置によって可変電力消費を持つ電気消費装置に電力を供給するステップを有し、前記電源装置は、出力電流制御され、前記電気消費装置によって消費される電力に依存して、前記出力電流を供給する。
【0021】
本発明の他の態様においては、電力分配コンピュータプログラムが提示され、前記電力分配コンピュータプログラムは、前記電力分配コンピュータプログラムが、請求項1に記載の電源装置を制御するコンピュータ上で走らされる場合に、前記電源装置に、請求項14に記載の電力分配方法の前記ステップを実施させるためのプログラムコード手段を有する。
【0022】
請求項1に記載の電源装置、請求項12に記載の電力分配システム、請求項14に記載の電力分配方法、及び請求項15に記載の電力分配コンピュータプログラムは、とりわけ、従属請求項において規定されているような、同様及び/又は同一の好ましい実施例を持つことは理解されるだろう。
【0023】
本発明の好ましい実施例は、従属請求項と各々の独立請求項のあらゆる組み合わせであり得ることは理解されるだろう。
下記の実施例を参照して、本発明のこれら及び他の態様を説明し、明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】電源装置及び電気消費装置を有する電力分配システムの実施例を概略的且つ例示的に示す。
【
図2】より詳細な前記電気消費装置を概略的且つ例示的に示す。
【
図3】検出出力電圧に対する出力電流の依存関係を説明する図を概略的且つ例示的に示す。
【
図4】検出出力電圧に対する出力電流の依存関係を説明する他の図を概略的且つ例示的に示す。
【
図5】電力分配方法を例示的に示すフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、電源装置3から電気消費装置3に電力を分配するための電力分配システムの実施例を概略的且つ例示的に示している。この電力分配システム1においては、電源装置3及び電気消費装置2が、Cat 5ケーブル11を介して電気的に接続され、Cat 5ケーブル11は、電気コネクタ12、32、22を用いて電源装置3及び電気消費装置2に結合される。電力分配システム1は、DC電力を分配するよう適合させられており、電源装置は、出力電流制御される。
【0026】
電気消費装置2によって消費される電力は、パルス幅変調シャント回路23を用いることにより可変であり、PWM、即ち、PWMのデューティサイクルは、ユーザ制御ユニット5を介してユーザによって制御可能である。この実施例においては、電気消費装置2は、ユーザ制御ユニット5と、パルス幅変調シャント回路23と、光源24とを有するランプであり、ユーザ制御ユニット5及びパルス幅変調シャント回路23は、ランプ2に減光機能を与える。より詳細なパルス幅変調シャント回路が、
図2に概略的且つ例示的に示されている。
【0027】
パルス幅変調シャント回路23は、PWM生成装置26と、シャントスイッチ28とを有し、PWM生成装置26によって生成されるPWMのデューティサイクルは、ユーザ制御ユニット5を介して制御可能である。光源24は、この実施例においては、直列に接続される幾つかのLED装置29を有する。
【0028】
減光は、シャントスイッチ28を用いて、光源24にわたる電圧を周期的に短絡することによって容易に適用されることができ、シャントスイッチ28のオン/オフ期間は、PWM生成装置26によって制御される。シャント期間ともみなされ得るシャントスイッチ28のオン期間中、LED装置29における電流は、完全短絡のために零へ減らされ得る。このケースにおいて、既知の電源装置が用いられる場合には、出力電流は、依然として、一定に供給され、Cat 5ケーブル及び電気コネクタを通過し、パルス幅変調シャント回路23を流れるだろう。これは、全ての損失が、ユーザによりユーザ制御ユニット5を介して選択されるオン/オフ状態又は減光レベルに関係なく、一定のままであることを意味する。シャントスイッチ28がオフに切り換えられる場合には、即ち、非シャント期間ともみなされ得るオフ期間中には、全出力電流が、光源24へ流れる。
図2において、I
Sは、パルス幅変調シャント回路23を流れる電流を示しており、I
Dは、光源24を流れる電流を示している。
【0029】
電源装置3は、電気消費装置2によって消費される電力に依存して出力電流を供給するよう適合させられている。電源装置3は、電気消費装置2によって消費される電力を検出するための電力消費検出ユニット14と、検出される、電気消費装置2によって消費される電力に依存して出力電流を供給するための電源13とを有する。電源13は、AC電源によって供給されるAC電力を、電気消費装置2に供給されるべきDC電力に変換するためのAC/DC電力変換装置を有する。この実施例においては、電力消費検出ユニット14は、電力消費を検出するために電源13の出力電圧を検出するよう適合させられ、電源13は、検出出力電圧に依存して出力電流を制御するよう適合させられる。電源13は、検出出力電圧の振幅及びタイミングのうちの少なくとも1つに依存して、出力電流の振幅及びタイミングのうちの少なくとも1つを制御するよう優先的に適合させられる。詳細には、電源13は、検出出力電圧の振幅と1つ又は幾つかのしきい値振幅を比較し、それによって、比較結果を生成するよう適合させられ、電源13は、生成される比較結果に依存して出力電流の振幅を制御する。前記比較を実施するため、電源13は、例えば、比較器を有し得る。下で更に説明する、より高度な制御機能のため、電源13は、例えば、アナログ・デジタル変換器と及びマイクロコントローラ又はDSPを有し得る。
【0030】
電源13は、検出出力電圧の振幅がしきい値電圧より大きい場合は、より高い振幅の出力電流を供給し、検出出力電圧の振幅がしきい値電圧より小さい場合は、より低い振幅の出力電流を供給するよう適合させられ得る。検出出力電圧が、電圧しきい値より大きいか、小さいかに依存した、出力電流の振幅のこの調節は、電気消費装置2のPWMのデューティサイクルに従った出力電流の調節をもたらす。詳細には、この実施例においては、電気消費装置2は、パルス幅変調シャントスイッチ28によって供給される減光機能を持つランプであることから、検出されるPWMデューティサイクルと、短絡期間中、即ち、シャント期間中のより低い振幅の出力電流との組み合わせは、短絡期間中の損失を減らすと共に、全減光範囲にわたってフリッカ挙動を改善する。シャント期間中の検出出力電圧に依存した、出力電流、とりわけ、出力電流の振幅のこの制御を、以下において、
図3を参照して例示的に記載する。
【0031】
図3は、上部において、時間tにわたる検出出力電圧Uを任意単位で概略的且つ例示的に示しており、下部において、時間tにわたる制御出力電流Iを任意単位で概略的且つ例示的に示している。通常のオン期間中、即ち、非シャント期間中、出力電圧70は、しきい値電圧72より高く、
図3においては、出力電圧70は、電気消費装置2におけるフラクチュエーションによりわずかに変化するように示されている。出力電圧70としきい値電圧72を比較することにより検出されるこれらの非シャント期間中、出力電流71は、出力電流のより高い振幅を規定する公称電流レベル73に設定される。検出出力電圧70が電圧しきい値72より低い場合はいつでも、電流設定値は、低い電流レベル68に切り換えられる。前記低い電流レベル68は、出力電流のより低い振幅を規定し、例えば、公称電流レベル73の10パーセントであり得る。これは、電気消費装置2に影響を及ぼさずになされ得る。なぜなら、電気消費装置2がシャントスイッチ28によって短絡されているシャント期間中の電気消費装置2に対する出力電流の絶対値は重要ではないからである。シャントスイッチ28が再び開くとき、出力電圧70は、しきい値電圧72より上へ上昇し、この、しきい値電圧72より上への上昇は、電力消費モニタ14及び電源13によって検出され、その後、電流設定値が、再び、公称電流レベル73へ設定されるだろう。この制御技術は、ドライバにおける、即ち、電源装置3における全ての電流が、電気消費装置2におけるPWMによって調節されることをもたらし、入力電力、並びにケーブル及び接続素子における損失が、比例して減らされる。抵抗損失は、電流の二乗に比例するので、シャント期間中のワイヤハーネスにおける損失は、出力電流のより低い振幅68が、出力電流のより高い振幅73の約10パーセントである場合には、この手段がない場合の損失のほぼ1パーセントであるだろう。
【0032】
電源13は、更に、出力電流71のより高い振幅及びより低い振幅のうちの少なくとも1つが、検出出力電圧70の振幅がしきい値電圧72より小さい期間の時間的な長さに依存するように適合させられ得る。詳細には、電源13は、検出出力電圧70の振幅が、しきい値電圧72より大きい場合に、より高い振幅73の出力電流71を供給し、検出出力電圧70の振幅が、時間しきい値64より短い期間、しきい値電圧72より小さい場合に、第1のより低い振幅68の出力電流71を供給し、検出出力電圧70の振幅が、時間しきい値64より長い期間、しきい値電圧72より小さい場合に、第1のより低い振幅68より低い第2のより低い振幅69の出力電流71を供給するよう適合させられ得る。それ故、設定値変更のタイミングは、検出出力電圧がしきい値電圧より低い状況の時間的な長さに依存して設定値を異なる値へ制御することによって、最適化され得る。検出出力電圧がしきい値電圧より小さい期間の長さに依存した、出力電流の、この付加的な随意の制御は、例えば、電源のアナログ・デジタル変換器及びマイクロコントローラ又はDSPによって、供給されることができ、それは、電源装置3が、電気消費装置2が完全にオフに切り換えられている状況も考慮することを可能にし、それによって、ケーブル及び電気コネクタにおけるあり得る損失を更に減らすことができる。
【0033】
電源13はまた、検出出力電圧としきい値電圧の比較からPWMのデューティサイクルを決定するよう適合させられることができ、より高い振幅及びより低い振幅のうちの少なくとも1つは、決定されるデューティサイクルに依存することができる。詳細には、シャント期間中に、より低い振幅の出力電流が供給され、非シャント期間中に、より高い振幅の出力電流が供給される場合には、非シャント期間中のより高い振幅は、PWMのデューティサイクルに依存することができる。例えば、電源13は、デューティサイクルが短ければ短いほど、出力電流のより高い振幅が低くなるように、適合させられることができる。それ故、検出デューティサイクルが、非シャント期間中に公称電流を調節するために用いられることができ、これは、電力分配システムの効率を更に高め得る。なぜなら、LED装置のような電気消費装置及び記載した回路全体が、低電流駆動時、効率において改善されるからである。この、非シャント期間中の公称電流の調節は、
図4において例示的に図示されている。
【0034】
検出電圧70から実際のデューティサイクルを決定するために、優先的に、全PWM周期が用いられる。例えば、実際のデューティサイクルを決定するために、全PWM周期76が用いられることができ、電源13は、全PWM周期76から検出されるデューティサイクルに依存する振幅74を持つ出力電流を供給するよう適合させられ得る。他の全PWM周期77においては、より短いデューティサイクルであって、電源13が、このデューティサイクルに依存して、出力電流の振幅を振幅75へ下げるようなより短いデューティサイクルが決定される。
【0035】
電源13は、更に、電力消費の変化が所定のしきい値より高速である場合には、一定の電力を供給するよう適合させられ得る。この実施例においては、電源13は、PWMのデューティサイクルが所定のデューティサイクルしきい値より大きい場合には、一定の出力電流、即ち、公称電流を供給する。それ故、デューティサイクルが非常に高くて、短いオフ期間しかもたらされない場合はいつでも、出力電流の振幅は、優先的には、下げられない。なぜなら、この状況においては、供給される電力を変えることは、システムの動的挙動により薦められないからである。
【0036】
以下においては、
図5に示されているフローチャートを参照して、電力分配方法の実施例を例示的に記載する。
【0037】
ステップ101においては、電源が、電気消費装置に公称出力電流を供給する。ステップ102においては、電力消費検出ユニットが、電源装置の出力電圧を検出し、検出出力電圧が、しきい値電圧より小さい場合には、供給される出力電流の振幅が、より低い値へ下げられる。ステップ102における電源装置の出力電圧の検出は、電源装置の出力電圧が、再び、しきい値電圧より上へ上昇する場合には、電源が、より高い公称出力電流、即ち、より高い振幅を持つ出力電流を供給するように、継続的に実施される。この方法においては、出力電流の振幅は、電気消費装置によって実際に消費される電力に従って設定され得る。
【0038】
電力分配システム1は、電源装置から電気消費装置に電力を分配するためのPower over Ethernet規格(IEEE 802.3.af)によってカバーされるようなネットワークケーブルを用いることができる。更に、電気消費装置が、例えば、ランプである場合には、電力分配システムは、イーサネットを通じた照明のために用いられ得る。
【0039】
図1においては、単一の電気消費装置だけが概略的且つ例示的に示されているが、電力分配システムは2つ以上の電気消費装置を含むことができ、各電気消費装置は、別々に電源装置に接続され得るこのケースにおいては、電源装置は、各々の電気消費装置に対するDC電流の供給を、他の電気消費装置に対するDC電流の供給の制御から独立して、制御するために、各電気消費装置に別々にDC電流を供給すると共に、各々の電気消費装置によって消費される電力をモニタするよう、優先的に適合させられる。即ち、例えば、電源装置は、電気消費装置が接続され得る、対応するポートを含むことができ、各ポートは、個々にモニタされることができ、各ポートに対するDC電流は、個々に供給されることができる。電源装置は、個別のモニタ機能及びDC電流供給機能を供給するために、電力分配システムの幾つかの電気消費装置に応じて幾つかの電源及び幾つかの電力消費検出ユニットを含み得る。詳細には、電源装置の各ポートのために、電源及び電力消費検出ユニットが設けられ得る。
【0040】
従って、電源装置は、電源装置の各出力のために、電流ドライバを備える、即ち、電源を備える中央電源装置であるとみなされことができ、電源装置と、優先的にはランプである1つ又は幾つかの電気消費装置を接続するためにコネクタ及びケーブルが用いられる。しかしながら、電気消費装置はまた、ファン、検知装置、ディスプレイ又はスイッチパネルのようなユーザインタフェース装置などのような他の電気装置であり得る。電源装置は、優先的に、各々の電気消費装置のオフ期間を検知し、これらのオフ期間中、各々の電気消費装置のための出力電流をより低い振幅へ下げる。電源装置は、優先的には電圧モニタである電力消費検出ユニットを備えている電流ドライバ回路を有するものとみなされ得る。電源装置によって供給される出力電流の設定値は、優先的には、電流ドライバの出力回路において測定される電圧レベルに依存する。
【0041】
電力分配システムが幾つかの電気消費装置を有する場合には、電気消費装置の少なくとも幾つかはまた、これらの電気消費装置のためのモニタ機能及びDC電流供給機能を同時に供給するために、電源装置の同じポートに直列に接続され得る。
【0042】
上記の実施例においては、電気消費装置によって消費される電力を変更するために、とりわけ、PWMのデューティサイクルを変更するために、ユーザ制御ユニットが用いられているが、他の実施例においては、電気消費装置によって消費される電力を変更するために、他の制御手段も用いられ得る。例えば、特に、電気消費装置が、ランプであり、ランプによって供給される光が、環境光に依存して制御されるべきである場合には、日光センサのような光センサが、制御手段として用いられ得る。例えば、人が、ランプによって照明される部屋の中にいるかどうかを検知する人感センサのような別の種類のセンサも、制御手段として用いられ得る。
【0043】
請求項に記載の発明を実施する当業者は、図面、明細及び添付の請求項の研究から、開示されている実施例に対する他の変形を、理解し、達成し得る。
請求項において、「有する」という用語は、他の要素又はステップを除外せず、単数形表記は、複数の存在を除外しない。
【0044】
単一のユニット又は装置が、請求項に列挙されている幾つかの要素の機能を実現してもよい。単に、特定の手段が、相互に異なる従属請求項において引用されているという事実は、これらの手段の組み合わせが有利になるように用いられることができないことを示すものではない。
【0045】
1つ又は幾つかのユニット又は装置によって実施される、出力電圧の検出、出力電圧としきい値電圧の比較、PWMのデューティサイクルの決定などのような動作は、任意の他の数のユニット又は装置によって実施され得る。電力分配方法に従った、電源装置のこれらの動作及び/又は制御は、コンピュータプログラムのプログラムコード手段として、及び/又は専用のハードウェアとして、実施され得る。
【0046】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に又はそれの一部として供給される光記憶媒体又は固体媒体などの適切な媒体に記憶/分散されてもよいが、インターネット又は他の有線若しくは無線電気通信システムなどを介して、他の形態で分散されてもよい。
【0047】
請求項におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されてはならない。