特許第6389610号(P6389610)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6389610
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】除草剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A01N 43/60 20060101AFI20180903BHJP
   A01N 33/18 20060101ALI20180903BHJP
   A01N 37/18 20060101ALI20180903BHJP
   A01N 37/22 20060101ALI20180903BHJP
   A01N 39/04 20060101ALI20180903BHJP
   A01N 41/06 20060101ALI20180903BHJP
   A01N 41/10 20060101ALI20180903BHJP
   A01N 43/08 20060101ALI20180903BHJP
   A01N 43/12 20060101ALI20180903BHJP
   A01N 43/20 20060101ALI20180903BHJP
   A01N 43/40 20060101ALI20180903BHJP
   A01N 43/42 20060101ALI20180903BHJP
   A01N 43/50 20060101ALI20180903BHJP
   A01N 43/54 20060101ALI20180903BHJP
   A01N 43/56 20060101ALI20180903BHJP
   A01N 43/653 20060101ALI20180903BHJP
   A01N 43/66 20060101ALI20180903BHJP
   A01N 43/70 20060101ALI20180903BHJP
   A01N 43/76 20060101ALI20180903BHJP
   A01N 43/80 20060101ALI20180903BHJP
   A01N 43/84 20060101ALI20180903BHJP
   A01N 43/86 20060101ALI20180903BHJP
   A01N 43/90 20060101ALI20180903BHJP
   A01N 47/12 20060101ALI20180903BHJP
   A01N 47/30 20060101ALI20180903BHJP
   A01N 47/36 20060101ALI20180903BHJP
   A01N 47/38 20060101ALI20180903BHJP
   A01N 57/20 20060101ALI20180903BHJP
   A01P 13/02 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
   A01N43/60 101
   A01N33/18 B
   A01N37/18 A
   A01N37/22
   A01N39/04 B
   A01N41/06 Z
   A01N41/10 A
   A01N43/08 G
   A01N43/12 A
   A01N43/20
   A01N43/40 101E
   A01N43/42 101
   A01N43/50 Q
   A01N43/54 B
   A01N43/54 C
   A01N43/54 F
   A01N43/56 C
   A01N43/56 G
   A01N43/653 Q
   A01N43/66
   A01N43/70
   A01N43/76
   A01N43/76 101
   A01N43/80 101
   A01N43/84 101
   A01N43/86 101
   A01N43/90 103
   A01N43/90 105
   A01N47/12 Z
   A01N47/30 B
   A01N47/30 C
   A01N47/36 101E
   A01N47/38 A
   A01N57/20 G
   A01P13/02
【請求項の数】6
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-538429(P2013-538429)
(86)(22)【出願日】2012年10月4日
(86)【国際出願番号】JP2012006385
(87)【国際公開番号】WO2013054495
(87)【国際公開日】20130418
【審査請求日】2015年7月27日
【審判番号】不服2017-3307(P2017-3307/J1)
【審判請求日】2017年3月6日
(31)【優先権主張番号】特願2011-226640(P2011-226640)
(32)【優先日】2011年10月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000169
【氏名又は名称】クミアイ化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091247
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 雅人
(72)【発明者】
【氏名】永松 敦
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 草平
(72)【発明者】
【氏名】小林 方美
【合議体】
【審判長】 瀬良 聡機
【審判官】 佐藤 健史
【審判官】 齊藤 真由美
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/016841(WO,A1)
【文献】 特表2010−515775(JP,A)
【文献】 特表平11−511141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下に記載される式[I]で表されるオキソピラジン誘導体及びその塩からなる群から選択される[成分A]と、以下に記載される[成分B]とを有効成分として、[成分A]を1とした場合に[成分B]のいずれか1種を以下の重量比で含有することを特徴とする除草剤組成物。
[成分A]
【化1】

[成分B]
アトラジン(atrazine):0.5〜4、イプフェンカルバゾン(ipfencarbazone):0.5、イマゼタピル(imazethapyr):0.2、イマゾスルフロン(imazosulfuron):0.1、インダノファン(indanofan):0.4〜0.5、オキサジアルギル(oxadiargyl):0.67、オキサジクロメフォン(oxaziclomefone):0.2、キンクロラック(quinclorac):1.12、グリホサート・カリウム塩(glyphosate-potassium):0.3〜1.2、クロマゾン(clomazone):0.68、クロメプロップ(clomeprop):2、サフルフェナシル(saflufenacil):0.2、ジウロン(diuron):0.25〜2、シハロホップ・ブチル(cyhalofop-butyl):1.2、ジメタメトリン(dimethametryn):0.4〜0.5、シメトリン(simetryn):0.5、ダイムロン(daimuron):10、チオベンカルブ(thiobencarb):8.96〜10、テンボトリオン(tembotrione):0.75〜3、トリアファモン(triafamone):0.1、トリクロピル(triclopyr):0.8、トリフルラリン(trifluralin):0.5〜2、ハロスルフロン・メチル(halosulfuron-methyl):0.1ビスピリバック・ナトリウム塩(bispyribac-sodium):0.08、ピラゾスルフロン・エチル(pyrazosulfuron-ethyl):0.2、ピラゾリネート(pyrazolynate):4〜10、ピリチオバック・ナトリウム塩(pyrithiobac-sodium):0.1〜0.28、ピリミスルファン(pyrimisulfan):0.05〜0.2、ピリミノバックメチル(pyriminobac-methyl):0.1〜0.4、ピロキサスルホン(pyroxasulfone):0.2、フェノキサスルホン(fenoxasulfone):0.4〜0.5、フェノキサプロップ・P・エチル(fenoxaprop-P-ethyl):0.2、フェントラザミド(fentrazamide):0.2〜2、ブタクロール(butachlor):3、フルオメツロン(fluometuron):2、プレチラクロール(pretilachlor):0.5〜2、プロパニル(propanil):4、プロピリスルフロン(propyrisulfuron):0.1、プロメトリン(prometryn):0.25〜2、ブロモブチド(bromobutide):2、ペノキススラム(penoxsulam):0.1、ペンジメタリン(pendimethalin):4.48、ベンスルフロン・メチル(bensulfuron-methyl):0.2、ベンゾビシクロン(benzobicyclon):1〜2、ベンゾフェナップ(benzofenap):4〜5、ペントキサゾン(pentoxazone):1〜2、ベンフレセート(benfuresate):2〜5、ホメサフェン(fomesafen):0.3、メソトリオン(mesotrione):0.1、メタゾスルフロン(metazosulfuron):0.1。
【請求項2】
請求項1に記載され、且つ、除草剤として活性を示す量の除草剤組成物と、少なくとも1種類の不活性な液体担体及び/又は固体担体を含み、更に必要に応じて少なくとも1種類以上の界面活性剤を含む、除草剤組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載され、且つ、除草剤として活性を示す量の除草剤組成物と;
少なくとも1種類の不活性な液体担体及び/又は固体担体と;
必要に応じて少なくとも1種類以上の界面活性剤;
とを混合する、請求項2に記載の除草剤組成物を製造する方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の除草剤組成物を、有用植物、又は、有用植物を生育させようとする若しくは生育している場所に対して、同時に又は分割して作用させることによる、有用植物に対する望ましくない植物の成長を制御する方法。
【請求項5】
有用植物に対する望ましくない植物の成長を制御するための、請求項1又は2に記載の除草剤組成物の使用方法。
【請求項6】
有用植物が、水田作物或いは畑作、園芸作物、芝、果樹などである請求項5に記載の除草剤組成物の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有用植物に対する雑草の選択的防除に適した、除草活性成分の組み合わせを含んで成る新規の除草作用組成物に関する。
【0002】
又、本発明は、有用植物に対する雑草の成長を制御する方法及びそのための新規除草剤組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
これまでに種々の除草剤が開発されており、農業生産性及び省力化に寄与してきた。しかしながら、ある種の除草剤は長年に亘り使用されてきたため、これら除草剤が効かない難防除雑草が増えてきており、殺草スペクトラムが広く且つこれら難防除雑草に対しても有効な除草剤の出現が望まれている。又、従来の除草剤による環境汚染問題を解消するため、高活性且つ低薬量で有効な除草剤の開発も望まれている。更には、長期間に亘る雑草の斉一ではない発生に対処するため、残効性に優れ、且つ雑草の発生前から生育期までの広範囲の時期に亘って処理しても有効な、処理適期幅の広い除草剤の出現も望まれている。又、従来の除草剤使用において、温度、風や光等の気象条件、土性や土壌有機物含量等の土壌条件、浅い移植深度や深水管理等の栽培管理条件、除草剤の不均一散布や過量散布等の薬剤施用条件等種々の要因により、作物に薬害が発生する場合があることが知られているが、このような条件下でも作物に薬害の心配のない高い安全性を有する除草剤も望まれている。
【0004】
具体的には例えば、非特許文献1乃至非特許文献5などには多くの除草作用を示す化合物が記載されている。又、非特許文献6に記載されている微生物農薬MTB-951(タスマート)は、植物病原性不完全菌Drechslera monocerasであり、特にヒエ類に除草作用を示すことが知られている。しかしながら、これらの除草剤のみでは望まれるような広範囲のスペクトラムや、長期間にわたる雑草の生育制御効果及び有用植物保護のための十分な効果が得られない場合がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Pesticide Manual 13th Edition (2003 BCPC)
【非特許文献2】Ag Chem New Compound Review 2006
【非特許文献3】Ag Chem New Compound Review 2009
【非特許文献4】Ag Chem New Compound Review 2010
【非特許文献5】Pesticide Manual 15th Edition (2010 BCPC)
【非特許文献6】Weed Biology and Management, p71-74, Vol 4(No.2), (2004)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述のような従来技術の難点に鑑みてなされたもので、有用植物に対する望ましくない植物の成長を効果的に制御することができると共に、有用植物に対する高い安全性を有し、しかも低薬量で高い効果を発揮する除草剤組成物を提供することを主たる目的としてなされた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、特定のオキソピラジン誘導体及びその塩からなる群から選択される成分と、公知の除草性化合物より選択される成分とを混用することにより、それぞれの除草効果が単に相加的に得られるのみならず、相乗的殺草効果が発現したり、又、相乗的に薬害が軽減されることを見出した。これにより本発明の除草剤組成物が水田や畑作、園芸、芝地などに発生する多種類の望ましくない植物(雑草)を長期間に亘って防除することが可能であり、且つ、有用植物に対する高い安全性を有することを見出した。又、本発明の除草剤組成物は、発芽前及び発芽後生育中の両方において、雑草の大部分、特に有用植物に対して生じるものを防除することができ、有用植物にほとんど害を与えないということを明らかとし、本発明を完成した。
【0008】
具体的には、式[I]で表されるオキソピラジン誘導体及びその塩からなる群から選択される[成分A]と、以下に示す[成分B]とからなる2種以上の薬剤を併用することにより、[成分A]と[成分B]それぞれの単剤による除草適用範囲に比べ除草スペクトラムが拡大されると同時に、除草効果が早期に達成され、効果も持続し、更にそれぞれの単剤での使用量より低薬量で十分な効果を発揮すると共に、イネ、コムギ、オオムギ、トウモロコシ、サトウキビ、グレインソルガム、ダイズ、ワタ、テンサイ、芝、果樹等に対する安全性も確保され、1回の処理で十分な除草効果を発揮することを見出したのである。
【0009】
即ち、本発明は以下の要旨を有することを特徴とするものである。
【0010】
(1)以下に記載される式[I]で表されるオキソピラジン誘導体及びその塩からなる群から選択される[成分A]と、以下に記載される[成分B]とを有効成分として、[成分A]を1とした場合に[成分B]のいずれか1種を以下の重量比で含有することを特徴とする除草剤組成物。
[成分A]
【化1】

[成分B]
アトラジン(atrazine):0.5〜4、イプフェンカルバゾン(ipfencarbazone):0.5、イマゼタピル(imazethapyr):0.2、イマゾスルフロン(imazosulfuron):0.1、インダノファン(indanofan):0.4〜0.5、オキサジアルギル(oxadiargyl):0.67、オキサジクロメフォン(oxaziclomefone):0.2、キンクロラック(quinclorac):1.12、グリホサート・カリウム塩(glyphosate-potassium):0.3〜1.2、クロマゾン(clomazone):0.68、クロメプロップ(clomeprop):2、サフルフェナシル(saflufenacil):0.2、ジウロン(diuron):0.25〜2、シハロホップ・ブチル(cyhalofop-butyl):1.2、ジメタメトリン(dimethametryn):0.4〜0.5、シメトリン(simetryn):0.5、ダイムロン(daimuron):10、チオベンカルブ(thiobencarb):8.96〜10、テンボトリオン(tembotrione):0.75〜3、トリアファモン(triafamone):0.1、トリクロピル(triclopyr):0.8、トリフルラリン(trifluralin):0.5〜2、ハロスルフロン・メチル(halosulfuron-methyl):0.1ビスピリバック・ナトリウム塩(bispyribac-sodium):0.08、ピラゾスルフロン・エチル(pyrazosulfuron-ethyl):0.2、ピラゾリネート(pyrazolynate):4〜10、ピリチオバック・ナトリウム塩(pyrithiobac-sodium):0.1〜0.28、ピリミスルファン(pyrimisulfan):0.05〜0.2、ピリミノバックメチル(pyriminobac-methyl):0.1〜0.4、ピロキサスルホン(pyroxasulfone):0.2、フェノキサスルホン(fenoxasulfone):0.4〜0.5、フェノキサプロップ・P・エチル(fenoxaprop-P-ethyl):0.2、フェントラザミド(fentrazamide):0.2〜2、ブタクロール(butachlor):3、フルオメツロン(fluometuron):2、プレチラクロール(pretilachlor):0.5〜2、プロパニル(propanil):4、プロピリスルフロン(propyrisulfuron):0.1、プロメトリン(prometryn):0.25〜2、ブロモブチド(bromobutide):2、ペノキススラム(penoxsulam):0.1、ペンジメタリン(pendimethalin):4.48、ベンスルフロン・メチル(bensulfuron-methyl):0.2、ベンゾビシクロン(benzobicyclon):1〜2、ベンゾフェナップ(benzofenap):4〜5、ペントキサゾン(pentoxazone):1〜2、ベンフレセート(benfuresate):2〜5、ホメサフェン(fomesafen):0.3、メソトリオン(mesotrione):0.1、メタゾスルフロン(metazosulfuron):0.1。
【0011】
)前記(1)に記載され、且つ、除草剤として活性を示す量の除草剤組成物と、少なくとも1種類の不活性な液体担体及び/又は固体担体を含み、更に必要に応じて少なくとも1種類以上の界面活性剤を含む、除草剤組成物。
【0012】
)前記(1)又は(2)に記載され、且つ、除草剤として活性を示す量の除草剤組成物と;
少なくとも1種類の不活性な液体担体及び/又は固体担体と;
必要に応じて少なくとも1種類以上の界面活性剤;
とを混合する、前記()に記載の除草剤組成物を製造する方法。
【0013】
)前記(1)又は(2)に記載の除草剤組成物を、有用植物、又は、有用植物を生育させようとする若しくは生育している場所に対して、同時に又は分割して作用させることによる、有用植物に対する望ましくない植物の成長を制御する方法。
【0014】
)有用植物に対する望ましくない植物の成長を制御するための、前記(1)又は(2)に記載の除草剤組成物の使用方法。
【0015】
)有用植物が、水田作物或いは畑作、園芸作物、芝、果樹などである前記()に記載の除草剤組成物の使用方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明の除草剤組成物は、一の有効成分である上記式[I]で表されるオキソピラジン誘導体及びその塩からなる群から選択される[成分A]と、他の有効成分である上記[成分B]の化合物との組み合わせにより、幅広い殺草スペクトラムを有する。又、それぞれ単独の成分で得られる活性の単純な合計に留まらず、相乗的に殺草効果や薬害軽減効果が発揮されるため、農耕地施用量を低減することができる。更に、水田、畑地、非農耕地等において問題となる様々な雑草についても発生を長期間にわたって抑制し、しかも有用植物に薬害を生じさせず、栽培の省力化と作物の増産に寄与することができる。
【0017】
例えば、本発明の除草剤組成物は、水田に発生する一年生雑草のタイヌビエやイヌビエ等のノビエ類、タマガヤツリ、ヒナガヤツリ等のカヤツリグサ類、コナギ、ミズアオイ等のミズアオイ科雑草、アゼナ類、アブノメ等のゴマノハグサ科雑草、キカシグサ、ヒメミソハギ等のミソハギ科雑草、ミゾハコベ等及び多年生雑草であるウリカワ、オモダカ類等のオモダカ科雑草、ミズガヤツリ、シズイ、クログワイ、イヌホタルイ、コウキヤガラ、マツバイ等のカヤツリグサ科雑草、ヒルムシロ、セリ等を、又、畑地や芝地、非農耕地などに発生するノビエ類、メヒシバ類、エノコログサ類、サヤヌカクサ、スズメノカタビラ、メリケンニクキビ、アシカキ、アゼガヤ、チゴザサ、オヒシバ等のイネ科雑草、ヒメジョン、ハルジョン、オオアレチノギク等のキク科雑草、ハマスゲ、ヒメクグ、カヤツリグサ等のカヤツリグサ科雑草、ミミナグサ、ハコベ等のナデシコ科雑草、イヌノフグリ類のゴマノハグサ科雑草、タデ類、スイバ類のタデ科雑草、アオビユ、イヌビユ、オオホナガアオゲイトウ等のヒユ科雑草、イボクサ、ツユクサ、マルバツユクサ等のツユクサ科雑草、スギナ、イヌスギナ等のトクサ科雑草、ニシキソウ類のトウダイグサ科雑草、チドメグサ類のセリ科雑草、アメリカアサガオ、ホシアサガオ、マメアサガオ等のヒルガオ科雑草等の発芽前から生育期の広い範囲にわたって防除することができ、有用植物に対しては高い安全性を示す。尚、ここでいう「有用植物」には、育種法や遺伝子工学的方法によって除草剤又は除草剤群に対して耐性となっているものも含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0019】
本発明の除草剤組成物の一の有効成分である[成分A]は、以下に記載される式[I]で表されるオキソピラジン誘導体及びその塩からなる群から選択されるものである。
【化2】
【0020】
尚、式[I]で表されるオキソピラジン誘導体及びその塩自体は、WО2009/016841に記載されているが、以下に述べる[成分B]との併用は具体的には記載されていない。
【0021】
本発明の除草剤組成物の他の有効成分である[成分B]は、
アトラジン(atrazine)、イプフェンカルバゾン(ipfencarbazone)、イマゼタピル(imazethapyr)、イマゾスルフロン(imazosulfuron)、インダノファン(indanofan)、オキサジアルギル(oxadiargyl)、オキサジクロメフォン(oxaziclomefone)、カルフェントラゾン・エチル(carfentrazone-ethyl)、キンクロラック(quinclorac)、グリホサート・カリウム塩(glyphosate-potassium)、クロマゾン(clomazone)、クロメプロップ(clomeprop)、サフルフェナシル(saflufenacil)、ジウロン(diuron)、シハロホップ・ブチル(cyhalofop-butyl)、ジメタメトリン(dimethametryn)、シメトリン(simetryn)、ダイムロン(daimuron)、チオベンカルブ(thiobencarb)、テフリルトリオン(tefuryltrion)、テンボトリオン(tembotrione)、トリアファモン(triafamone)、トリクロピル(triclopyr)、トリフルラリン(trifluralin)、ハロスルフロン・メチル(halosulfuron-methyl)、ビスピリバック・ナトリウム塩(bispyribac-sodium)、ピラクロニル(pyraclonil)、ピラゾスルフロン・エチル(pyrazosulfuron-ethyl)、ピラゾリネート(pyrazolynate)、ピリチオバック・ナトリウム塩(pyrithiobac-sodium)、ピリミスルファン(pyrimisulfan)、ピリミノバックメチル(pyriminobac-methyl)、ピロキサスルホン(pyroxasulfone)、フェノキサスルホン(fenoxasulfone)、フェノキサプロップ・P・エチル(fenoxaprop-P-ethyl)、フェントラザミド(fentrazamide)、ブタクロール(butachlor)、フルオメツロン(fluometuron)、フルチアセット・メチル(fluthiacet-methyl)、フルミオキサジン(flumioxazin)、プレチラクロール(pretilachlor)、プロパニル(propanil)、プロピリスルフロン(propyrisulfuron)、プロメトリン(prometryn)、ブロモブチド(bromobutide)、ペノキススラム(penoxsulam)、ペンジメタリン(pendimethalin)、ベンスルフロン・メチル(bensulfuron-methyl)、ベンゾビシクロン(benzobicyclon)、ベンゾフェナップ(benzofenap)、ベンタゾン(bentazone)、ペントキサゾン(pentoxazone)、ベンフレセート(benfuresate)、ホメサフェン(fomesafen)、メソトリオン(mesotrione)、メタゾスルフロン(metazosulfuron)から選ばれる少なくとも1種以上の化合物である。
【0022】
上記[成分B]は、いずれも非特許文献1乃至非特許文献5に記載されている化合物である。
【0023】
本発明の除草剤組成物における上記両成分の量比は、対象場面、対象作物、雑草の種類や雑草の状態、散布時期、散布方法、製剤型等により異なるものであり、必要に応じて広い範囲で混合割合、散布量を変えることが可能である。
【0024】
配合割合は、一般的に重量比で[成分A]の1に対して、[成分B]を0.05〜10の範囲内で配合する
【0025】
本発明の除草剤組成物は、使用するにあたっては有効成分それ自体で用いてもよいが、除草剤として活性を示す量の本発明の除草剤組成物と、製剤化に一般的に用いられる不活性な液体担体及び/又は固体担体の1種類以上に、必要に応じて使用される界面活性剤の1種類以上、更には補助剤等の1種類以上を混合して、粉剤、水和剤、顆粒水和剤、フロアブル剤、乳剤、液剤、微粒剤又は粒剤等の除草剤組成物に製剤して使用することも好ましい。
【0026】
製剤化に際して用いられる液体担体としては、例えばイソプロピルアルコール、キシレン、シクロヘキサン、メチルナフタレン、水等の担体等が挙げられ、又、固体担体としては、例えばタルク、ベントナイト、クレー、カオリン、珪藻土、ホワイトカーボン、バーミキュライト、炭酸カルシウム、消石灰、珪砂、硫安、尿素等、が挙げられる。
【0027】
界面活性剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸金属塩、アルキルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物金属塩、アルコール硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、ポリオキシエチレングリコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノアルキレート等が挙げられる。
【0028】
又、補助剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、アラビアゴム等が挙げられる。
【0029】
尚、本発明の除草剤組成物には、必要に応じて殺虫剤、殺菌剤、他の除草剤、植物生長調節剤、微生物、肥料等を混用してもよい。
【0030】
本発明の除草剤組成物は使用に際し、直接施用してもよいし、使用目的に応じた濃度に希釈して、茎葉散布、土壌施用又は水面施用等により使用される。又、本発明の除草剤組成物は[成分A]及び[成分B]をあらかじめ混合して使用してもよいし、目的に応じて順次使用してもよい。又、除草剤組成物製剤として使用してもよい。
【0031】
本発明の除草剤組成物の製剤中の有効成分量は、必要に応じて適宜選ばれるが、粉剤、微粒剤又は粒剤とする場合は0.01〜80%(重量)、好ましくは0.05〜50%(重量)の範囲から選択するのが好ましい。又、乳剤、液剤、フロアブル剤、水和剤及び顆粒水和剤とする場合は1〜90%(重量)、好ましくは5〜80%(重量)の範囲から選択するのが好ましい。
【0032】
本発明の除草剤組成物の施用量は、使用される有効成分の種類、対象雑草、発生傾向、環境条件ならびに使用する剤型等によって変わる。
【0033】
粉剤、微粒剤又は粒剤の場合には、有効成分として10アール当り0.1g〜5kg、好ましくは0.5g〜1kgの範囲から選択して使用する。
【0034】
乳剤、液剤、フロアブル剤又は水和剤等で水に希釈して使用する場合には、使用時の有効成分濃度として一般的に10〜100,000ppmの範囲から選択して使用する。
【0035】
このように調整された本発明の除草剤組成物は、有用植物、又は、有用植物を生育させようとする若しくは生育している場所に対して、同時に又は分割して作用させることにより、有用植物に対する望ましくない植物の成長を制御することができる。尚、上記有用植物とは、水田作物或いは畑作、園芸作物、芝、果樹などを包含する。
【実施例】
【0036】
次に本発明の除草剤組成物に関する実施例を挙げて説明する。化合物、添加剤の種類及び配合比率は、これのみに限定されることなく広い範囲で変更可能である。以下の説明において「部」は重量部を意味する。又、以下の実施例及び試験例中の「化合物[I]」は、上記式[I]で表されるオキソピラジン誘導体を示す。
【0037】
〈実施例1〉 水和剤
化合物[I]1部、ピラクロニル7部、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル0.5部、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩0.5部、珪藻土20部及びクレー71部を混合粉砕し、水和剤を得た。
【0038】
〈実施例2〉 水和剤
化合物[I]1部、テフリルトリオン10部、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル0.5部、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩0.5部、珪藻土20部及びクレー68部を混合粉砕し、水和剤を得た。
【0039】
〈実施例3〉 水和剤
化合物[I]1部、メソトリオン10部、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル0.5部、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩0.5部、珪藻土の20部及び炭酸カルシウムの68部を混合粉砕し、水和剤を得た。
【0040】
〈実施例4〉 顆粒水和剤
化合物[I]10部とテフリルトリオン10部に、リグニンスルホン酸ナトリウム5部、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル1部、ポリカルボン酸ナトリウム3部、ホワイトカーボン5部、α化デンプン1部、炭酸カルシウム65部及び水10部を加え混合練り押し造粒する。得られた粒状物を流動層乾燥機で乾燥し、顆粒水和剤を得た。
【0041】
〈実施例5〉 フロアブル剤
水62.9部に、化合物[I]5部、メソトリオン塩15部、リグニンスルホン酸ナトリウム2部、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸アンモニウム4部、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル0.5部、キタンサンガム0.1部、ベントナイト0.5部及びエチレングリコール10部を加え高速撹拌機で混合し、湿式粉砕機で粉砕しフロアブル剤を得た。
【0042】
〈実施例6〉 粒剤
化合物[I]1部、ピラクロニル7部、タルクとベントナイトを1:3の割合の混合した増量剤77部、ホワイトカーボン10部、界面活性剤(ポリオキシエチレンソルビタンアルキレート、ポリオキシエチレンアルキルアリールポリマー及びアルキルアリールスルホネートの混合物)5部に水10部を加え、よく練ってペースト状としたものを直径1mmのふるい穴から押し出して乾燥した後、0.5〜1mmの長さに切断し、粒剤を得た。
【0043】
次に試験例をあげて本発明の除草剤組成物の奏する効果を説明する。
【0044】
〈試験例1〉 水田における雑草発生前処理時の除草効果試験
1/5000アールのプラスチックポットに水田土壌を充填し、施肥、代かき後、タイヌビエ、イヌホタルイの各種子を播種し、水深1cmに湛水した。実施例1に準じて調製した水和剤の所定量を水で希釈して水面に施用した。その後は湛水深4cmを維持して育成し、処理29日目に除草効果を目視で評価した。結果を表1、表2に示す。尚、薬量は10アールあたりの有効成分量で示し、除草効果は0〜100の指数(0:無作用〜100:完全枯殺)で示した。
【0045】
この試験例1では、[成分A]及び[成分B]を個々に施用した場合の除草作用の形式的な総和を超える本発明の組み合わせの作用がしばしば認められた。試験で認められた値は、好適な低用量で、以下の式にしたがって計算されるコルビーによる期待値を上回る組み合わせの作用を示した{S.R. Colby in Weeds, 15 (1967) pp. 20-22を参照}:
2薬剤間の混用については期待値(E)=X+Y-XY/100,
3薬剤間の混用については期待値(E)=X+Y+Z-(XY+XZ+YZ)/100+XYZ/10000
但し、a剤のx濃度における抑制率をX, b剤のy濃度における抑制率をY, c剤のz濃度における抑制率をZとする。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
〈試験例2〉水田における雑草生育期処理時の除草効果試験
1/5000アールのプラスチックポットに水田土壌を充填し、施肥、代かき後、タイヌビエ、イヌホタルイの各種子を播種し、水深1cmに湛水した。その後、タイヌビエが1.8葉、イヌホタルイが2葉に達した段階で湛水深4cmとし、実施例1に準じて調製した水和剤の所定量を水で希釈して水面に施用した。その後は湛水深4cmを維持して育成し、処理28日目に除草効果を目視で評価した。結果を表3、表4に示す。尚、薬量は10アールあたりの有効成分量で示し、除草効果は0〜100の指数(0:無作用〜100:完全枯殺)で示した。
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】
〈試験例3〉 土壌処理による除草効果試験
縦、幅、深さがいずれも11cmのプラスチックポットに水田土壌を充填し、メリケンニクキビの種子を播種した。実施例1に準じて調製した水和剤の所定量を水で希釈し、土壌表面に均一に処理した。その後、処理後21日目に除草効果を目視で評価した。結果を表5に示す。尚、薬量は10アールあたりの有効成分量で示し、除草効果は0〜100の指数(0:無作用〜100:完全枯殺)で示した。
【0052】
【表5】
【0053】
〈試験例4〉 茎葉処理による除草効果試験
縦、幅、深さがいずれも11cmのプラスチックポットに水田土壌を充填し、イヌビエ、アメリカツノクサネム、マメアサガオの各種子を播種した。その後、イヌビエ2葉、アメリカツノクサネム1葉、マメアサガオ1葉に達した段階で実施例1に準じて調製した水和剤の所定量を水で希釈し、茎葉処理した。その後、処理後19日目に除草効果を目視で評価した。結果を表6、表7及び表8に示す。尚、薬量は10アールあたりの有効成分量で示し、除草効果は0〜100の指数(0:無作用〜100:完全枯殺)で示した。
【0054】
【表6】
【0055】
【表7】
【0056】
【表8】
【0057】
〈試験例5〉 水田における雑草発生前処理時の除草効果試験2
1/5000アールのプラスチックポットに水田土壌を充填し、施肥、代かき後、タイヌビエ、イヌホタルイの各種子を播種し、水深1cmに湛水した。実施例1に準じて調製した水和剤の所定量を水で希釈して水面に施用した。その後は湛水深4cmを維持して育成し、処理32日目に除草効果を目視で評価した。結果を表9、表10に示す。尚、薬量は10アールあたりの有効成分量で示し、除草効果は0〜100の指数(0:無作用〜100:完全枯殺)で示した。
【0058】
【表9】
【0059】
【表10】
【0060】
〈試験例6〉 水田における雑草生育期処理時の除草効果試験2
1/5000アールのプラスチックポットに水田土壌を充填し、施肥、代かき後、タイヌビエ、イヌホタルイの各種子を播種し、水深1cmに湛水した。その後、タイヌビエが2葉、イヌホタルイが2葉に達した段階で湛水深4cmとし、実施例1に準じて調製した水和剤の所定量を水で希釈して水面に施用した。その後は湛水深4cmを維持して育成し、処理33日目に除草効果を目視で評価した。結果を表11、表12に示す。尚、薬量は10アールあたりの有効成分量で示し、除草効果は0〜100の指数(0:無作用〜100:完全枯殺)で示した。
【0061】
【表11】
【0062】
【表12】
【0063】
〈試験例7〉 土壌処理による除草効果試験2
縦、幅、深さがいずれも11cmのプラスチックポットに水田土壌を充填し、マメアサガオ、オオホナガアオゲイトウの各種子を播種した。実施例1に準じて調製した水和剤の所定量を水で希釈し、土壌表面に均一に処理した。その後、処理後19日目に除草効果及び薬害程度を目視で評価した。結果を表13、表14に示す。尚、薬量は10アールあたりの有効成分量で示し、除草効果は0〜100の指数(0:無作用〜100:完全枯殺)で示した。
【0064】
【表13】
【0065】
【表14】
【0066】
〈試験例8〉 茎葉処理による除草効果試験2
縦、幅、深さがいずれも11cmのプラスチックポットに水田土壌を充填し、イヌビエ、スズメノカタビラ、マメアサガオ、オオホナガアオゲイトウの各種子を播種した。その後、イヌビエ2.3葉、スズメノカタビラ1.3葉、マメアサガオ1葉、オオホナガアオゲイトウ1葉に達した段階で実施例1に準じて調製した水和剤の所定量を水で希釈し、茎葉処理した。その後、処理後20日目に除草効果及び薬害程度を目視で評価した。結果を表15、表16、表17、表18に示す。尚、薬量は10アールあたりの有効成分量で示し、除草効果は0〜100の指数(0:無作用〜100:完全枯殺)で示した。
【0067】
【表15】
【0068】
【表16】
【0069】
【表17】
【0070】
【表18】
【0071】
本発明の除草剤組成物は、その有効成分である式[I]で表されるオキソピラジン誘導体及びその塩からなる群から選択される[成分A]と、上記[成分B]から選ばれる少なくとも1つの除草剤との組み合わせにより、それぞれの除草効果が単に相加的に得られるのみならず、相乗的殺草効果が発現したり、又、相乗的に薬害が軽減されると共に、多くの草種に有効であるところから、幅広い殺草スペクトラムを有することが示された。又、既存の除草剤に比べて薬剤処理適期幅が広く、雑草の発生を長期間に亘って抑制し、有用植物に薬害を生じさせず、栽培の省力化と作物の増産に寄与することができる。