特許第6389613号(P6389613)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱日立パワーシステムズ株式会社の特許一覧

特許6389613ガスタービン発電設備およびガスタービン冷却空気系統乾燥方法
<>
  • 特許6389613-ガスタービン発電設備およびガスタービン冷却空気系統乾燥方法 図000002
  • 特許6389613-ガスタービン発電設備およびガスタービン冷却空気系統乾燥方法 図000003
  • 特許6389613-ガスタービン発電設備およびガスタービン冷却空気系統乾燥方法 図000004
  • 特許6389613-ガスタービン発電設備およびガスタービン冷却空気系統乾燥方法 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6389613
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】ガスタービン発電設備およびガスタービン冷却空気系統乾燥方法
(51)【国際特許分類】
   F02C 7/18 20060101AFI20180903BHJP
   F02C 7/141 20060101ALI20180903BHJP
   F02C 7/30 20060101ALI20180903BHJP
   F02C 7/32 20060101ALI20180903BHJP
   F02C 6/08 20060101ALI20180903BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20180903BHJP
   F01D 25/12 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
   F02C7/18 Z
   F02C7/141
   F02C7/30
   F02C7/32
   F02C6/08
   F01D25/00 Q
   F01D25/12 E
   F02C7/18 E
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-12719(P2014-12719)
(22)【出願日】2014年1月27日
(65)【公開番号】特開2015-140691(P2015-140691A)
(43)【公開日】2015年8月3日
【審査請求日】2016年11月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 慎一
(72)【発明者】
【氏名】朝來野 二郎
【審査官】 西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−159306(JP,A)
【文献】 特開平09−209713(JP,A)
【文献】 特開2010−112274(JP,A)
【文献】 特開2013−245604(JP,A)
【文献】 特開2013−142357(JP,A)
【文献】 特開2006−329071(JP,A)
【文献】 特開2011−140880(JP,A)
【文献】 特開2004−169618(JP,A)
【文献】 特開平09−329004(JP,A)
【文献】 特開平05−179993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 7/141、18、30、32
F02C 6/08
F01D 25/00、12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機に接続されるタービン、前記タービンに燃焼ガスを供給する燃焼器、および前記燃焼器に圧縮空気を供給する圧縮機を備えるガスタービンと、
前記圧縮機の中間段または出口に一端側が接続され前記タービンに他端側が接続されて途中に前記圧縮空気を冷却する熱交換器を備え前記圧縮機から抽気した圧縮空気を前記タービンに供給しタービン動翼の冷却孔に通過させる冷却空気系統と、
前記冷却空気系統に接続され前記ガスタービンの停止時に前記熱交換器を含む前記冷却空気系統内に乾燥空気を供給する乾燥空気系統と、
前記冷却空気系統の前記熱交換器および前記タービンの間に配されたフィルタと、
を有し、
前記乾燥空気系統は、前記フィルタよりも前記タービン側で前記冷却空気系統に接続されることを特徴とするガスタービン発電設備。
【請求項2】
発電機に接続されるタービン、前記タービンに燃焼ガスを供給する燃焼器、および前記燃焼器に圧縮空気を供給する圧縮機を備えるガスタービンと、
前記圧縮機の中間段または出口に一端側が接続され前記タービンに他端側が接続されて途中に前記圧縮空気を冷却する熱交換器を備え前記圧縮機から抽気した圧縮空気を前記タービンに供給しタービン動翼の冷却孔に通過させる冷却空気系統と、
前記冷却空気系統に接続され前記ガスタービンの停止時に前記熱交換器を含む前記冷却空気系統内に乾燥空気を供給する乾燥空気系統と、
を有し、
前記冷却空気系統は、前記冷却空気系統と前記乾燥空気系統との接続箇所より前記タービン側の冷却空気系統の流量係数Cdと面積Aの積が、前記接続箇所より前記圧縮機側の冷却空気系統の流量係数Cdと面積Aの積よりも小さくなるように構成され、
前記乾燥空気系統は、前記熱交換器よりも前記タービン側で前記冷却空気系統に接続されていることを特徴とするガスタービン発電設備。
【請求項3】
前記乾燥空気系統は、設備内に制御空気を供給する制御空気供給系統から乾燥空気を取得することを特徴とする請求項1または2に記載のガスタービン発電設備。
【請求項4】
請求項1または2に記載のガスタービン発電設備のガスタービン冷却空気系統乾燥方法であって、
前記ガスタービンの停止時に、前記熱交換器を含む前記冷却空気系統内に前記乾燥空気を供給することを特徴とするガスタービン冷却空気系統乾燥方法。
【請求項5】
前記熱交換器よりも前記タービン側に前記乾燥空気を供給することを特徴とする請求項4に記載のガスタービン冷却空気系統乾燥方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービン発電設備、ガスタービン冷却空気系統乾燥装置および乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービン発電設備は、ガスタービンに発電機が接続され、ガスタービンの駆動力を発電機に伝達して発電する。ガスタービンは、圧縮機と燃焼器とタービンとにより構成されている。圧縮機は、空気取入口から取り込まれた空気を圧縮させることで高温・高圧の圧縮空気とする。燃焼器は、圧縮空気に対して燃料を供給して燃焼させることで高温・高圧の燃焼ガスとする。タービンは、ケーシング内の通路に複数のタービン静翼およびタービン動翼が交互に配設されて構成されており、前記通路に供給された燃焼ガスによりタービン動翼が駆動されることで、発電機に連結されたタービン軸を回転駆動する。タービンを駆動した燃焼ガスは、排気ガスとして大気に放出される。
【0003】
従来、例えば、特許文献1に記載のガスタービンは、圧縮器で圧縮された圧縮空気を取り出して熱交換器(TCAクーラ)により冷却した後、タービン側のタービン動翼に供給して当該タービン動翼を冷却する冷却空気系統(冷却空気供給手段)が示されている。
【0004】
なお、例えば、特許文献2に記載の蒸気タービン発電プラントは、発電プラントにおける既設の制御用圧縮空気供給設備を用い、この制御用圧縮空気供給設備からの乾燥空気を用いて蒸気タービンと復水器とを乾燥保管することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−146787号公報
【特許文献2】特開2013−76356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示される冷却空気系統では、その配管に炭素鋼を使用しているため、ガスタービンの停止が長期に亘る場合、大気中の湿分が結露し配管内面に粉状の錆が発生するおそれがある。錆の発生は、配管内面の表面積およびガスタービンの停止時間に比例して増加し、湿度に対しては指数的に増加する。そして、長期停止後、ガスタービンの起動時に、配管内に発生した粉状の錆が冷却空気の流れによって運ばれてタービン側に持ち込まれることは好ましくない。
【0007】
本発明は上述した課題を解決するものであり、ガスタービンの冷却空気系統における配管内面の錆の発生を抑制することのできるガスタービン発電設備、ガスタービン冷却空気系統乾燥装置および乾燥方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明のガスタービン発電設備は、発電機に接続されるタービン、前記タービンに燃焼ガスを供給する燃焼器、および前記燃焼器に圧縮空気を供給する圧縮機を備えるガスタービンと、前記圧縮機の中間段または出口に一端側が接続され前記タービンに他端側が接続されて前記圧縮機から抽気した圧縮空気を前記タービンに供給する冷却空気系統と、前記冷却空気系統に接続され前記ガスタービンの停止時に前記冷却空気系統内に乾燥空気を供給する乾燥空気系統と、を有することを特徴とする。
【0009】
このガスタービン発電設備によれば、ガスタービンの停止時、乾燥空気が冷却空気系統に供給されることで、当該冷却空気系統内が乾燥される。この結果、冷却空気系統における配管内面の錆の発生を抑制することができる。しかも、ガスタービンの停止時、乾燥空気を冷却空気系統に供給することで、当該冷却空気系統内が乾燥されるため、ブロー運転を行わなくてもよくなり、燃料使用量を低減することができる。
【0010】
また、本発明のガスタービン発電設備では、前記冷却空気系統は、その途中に前記圧縮空気を冷却する熱交換器を備え、前記乾燥空気系統は、前記熱交換器よりも前記タービン側で前記冷却空気系統に接続されていることを特徴とする。
【0011】
一般に、ガスタービンの冷却空気系統において、冷却空気系統の一端側が接続される圧縮機側では、抽気された圧縮空気を圧力損失なくタービン側に供給する必要がある。一方、冷却空気系統の他端側が接続されるタービン側は、冷却された空気を不要に消費してガスタービン性能を低下させてしまうことがないよう、シール部分などから漏れる空気量を低減する必要がある。このため、冷却空気系統の一端側である圧縮機側と、冷却空気系統の他端側であるタービン側とのCdA値(流路の流量係数Cdと面積Aとの積)を比較すると、圧縮機側が大きく、タービン側が小さい関係にある。このため、ガスタービンの停止時に冷却空気系統に供給された乾燥空気は、冷却空気系統の一端側である圧縮機側に向けて多く流れることになる。
従って、本発明のガスタービン発電設備のように、乾燥空気系統を熱交換器よりもタービン側で冷却空気系統に対して接続することで、熱交換器に対してより多くの乾燥空気を流すことができ、熱交換器内部の湿度を速やかに低下させることができるから、熱交換器における錆の発生を抑制することができる。
また、一般にガスタービンの冷却空気系統に熱交換器を設ける場合、熱交換器は冷却空気系統の配管の全長のうち半分程度の位置に設けられることが多い。この場合、本発明のガスタービン発電設備によれば、乾燥空気系統は冷却空気系統の配管の全長のうちタービン側寄りの位置に接続されるから、冷却空気系統の配管の全長のうち大きな割合を占める接続点から圧縮機側の配管に効果的に乾燥空気を送ることができる。そのため、冷却空気系統における配管内面の錆の発生を効果的に抑制することができる。
【0012】
また、本発明のガスタービン発電設備では、前記乾燥空気系統は、設備内に制御空気を供給する制御空気供給系統から乾燥空気を取得することを特徴とする。
【0013】
制御空気供給系統は、設備に配置された空気作動弁の駆動源であり、除湿された乾燥空気を発生する。この制御空気供給系統は、ガスタービンの停止時に乾燥空気の需要が少ないことから、この乾燥空気を乾燥空気系統で用いることで、新たな乾燥空気供給源を用意することなく、設備内で用いられている乾燥空気を有効的に利用することができる。
【0014】
上述の目的を達成するために、本発明のガスタービン冷却空気系統乾燥装置は、ガスタービンにおける圧縮機の中間段または出口とタービンとを接続して前記圧縮機から抽気した圧縮空気を前記タービンに供給する冷却空気系統を乾燥させるガスタービン冷却空気系統乾燥装置であって、前記冷却空気系統に接続されて前記冷却空気系統内に乾燥空気を供給する乾燥空気系統を有することを特徴とする。
【0015】
このガスタービン冷却空気系統乾燥装置によれば、ガスタービンの停止中に、冷却空気系統に対して乾燥空気を供給することで、当該冷却空気系統内を乾燥することができる。この結果、冷却空気系統における配管内面の錆の発生を抑制することができる。しかも、ガスタービンの停止時、乾燥空気を冷却空気系統に供給することで、当該冷却空気系統内が乾燥されるため、ブロー運転を行わなくてもよくなり、燃料使用量を低減することができる。
【0016】
また、本発明のガスタービン冷却空気系統乾燥装置では、前記冷却空気系統の途中に熱交換器が設けられ、前記乾燥空気系統は、前記熱交換器よりもタービン側に接続されていることを特徴とする。
【0017】
一般に、ガスタービンの冷却空気系統において、冷却空気系統の一端側が接続される圧縮機側では、抽気された圧縮空気を圧力損失なくタービン側に供給する必要がある。一方、冷却空気系統の他端側が接続されるタービン側は、冷却された空気を不要に消費してガスタービン性能を低下させてしまうことがないよう、シール部分などから漏れる空気量を低減する必要がある。このため、冷却空気系統の一端側である圧縮機側と、冷却空気系統の他端側であるタービン側とのCdA値(流路の流量係数Cdと面積Aとの積)を比較すると、圧縮機側が大きく、タービン側が小さい関係にある。このため、ガスタービンの停止時に冷却空気系統に供給された乾燥空気は、冷却空気系統の一端側である圧縮機側に向けて多く流れることになる。
従って、本発明のガスタービン冷却空気系統乾燥装置のように、乾燥空気系統を熱交換器よりもタービン側で冷却空気系統に対して接続することで、熱交換器に対してより多くの乾燥空気を流すことができ、熱交換器内部の湿度を速やかに低下させることができるから、熱交換器における錆の発生を抑制することができる。
また、一般にガスタービンの冷却空気系統に熱交換器を設ける場合、熱交換器は冷却空気系統の配管の全長のうち半分程度の位置に設けられることが多い。この場合、本発明のガスタービン発電設備によれば、乾燥空気系統は冷却空気系統の配管の全長のうちタービン側寄りの位置に接続されるから、冷却空気系統の配管の全長のうち大きな割合を占める接続点から圧縮機側の配管に効果的に乾燥空気を送ることができる。そのため、冷却空気系統における配管内面の錆の発生を効果的に抑制することができる。
【0018】
上述の目的を達成するために、本発明のガスタービン冷却空気系統乾燥方法は、ガスタービンにおける圧縮機の中間段または出口とタービンとを接続して前記圧縮機から抽気した圧縮空気を前記タービンに供給する冷却空気系統を乾燥させるガスタービン冷却空気系統乾燥方法であって、前記ガスタービンの停止時に、前記冷却空気系統内に乾燥空気を供給することを特徴とする。
【0019】
このガスタービン冷却空気系統乾燥方法によれば、ガスタービンの停止中に、冷却空気系統に対して乾燥空気を供給することで、当該冷却空気系統内を乾燥することができる。この結果、冷却空気系統における配管内面の錆の発生を抑制することができる。しかも、ガスタービンの停止時、乾燥空気を冷却空気系統に供給することで、当該冷却空気系統内が乾燥されるため、ブロー運転を行わなくてもよくなり、燃料使用量を低減することができる。
【0020】
また、本発明のガスタービン冷却空気系統乾燥方法では、前記冷却空気系統の途中に熱交換器が設けられており、前記熱交換器よりもタービン側に乾燥空気を供給することを特徴とする。
【0021】
一般に、ガスタービンの冷却空気系統において、冷却空気系統の一端側が接続される圧縮機側では、抽気された圧縮空気を圧力損失なくタービン側に供給する必要がある。一方、冷却空気系統の他端側が接続されるタービン側は、冷却された空気を不要に消費してガスタービン性能を低下させてしまうことがないよう、シール部分などから漏れる空気量を低減する必要がある。このため、冷却空気系統の一端側である圧縮機側と、冷却空気系統の他端側であるタービン側とのCdA値(流路の流量係数Cdと面積Aとの積)を比較すると、圧縮機側が大きく、タービン側が小さい関係にある。このため、ガスタービンの停止時に冷却空気系統に供給された乾燥空気は、冷却空気系統の一端側である圧縮機側に向けて多く流れることになる。
従って、本発明のガスタービン冷却空気系統乾燥方法のように、熱交換器よりもタービン側に乾燥空気を供給することで、熱交換器に対してより多くの乾燥空気を流すことができ、熱交換器内部の湿度を速やかに低下させることができるから、熱交換器における錆の発生を抑制することができる。
また、一般にガスタービンの冷却空気系統に熱交換器を設ける場合、熱交換器は冷却空気系統の配管の全長のうち半分程度の位置に設けられることが多い。この場合、本発明のガスタービン発電設備によれば、乾燥空気系統は冷却空気系統の配管の全長のうちタービン側寄りの位置に接続されるから、冷却空気系統の配管の全長のうち大きな割合を占める接続点から圧縮機側の配管に効果的に乾燥空気を送ることができる。そのため、冷却空気系統における配管内面の錆の発生を効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ガスタービンの冷却空気系統における配管内面の錆の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の実施形態に係るガスタービン発電設備の概略構成図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係るガスタービン発電設備におけるガスタービンの構成図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係るガスタービン発電設備における冷却空気系統の構成図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係るガスタービン発電設備における冷却空気系統の他の例の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0025】
図1は、本実施形態に係るガスタービン発電設備の概略構成図であり、図2は、本実施形態に係るガスタービン発電設備におけるガスタービンの構成図であり、図3は、本実施形態に係るガスタービン発電設備における冷却空気系統の構成図である。また、図4は、本実施形態に係るガスタービン発電設備における冷却空気系統の他の例の構成図である。
【0026】
図1に示すように、ガスタービン発電設備1は、発電機100と、ガスタービン200と、冷却空気系統300と、乾燥空気系統400と、を有する。
【0027】
発電機100は、駆動軸101が、後述するガスタービン200のタービン軸204に接続され、タービン軸204の回転動力が付与されることで発電を行う。なお、発電機100は、ガスタービン200の起動時に、タービン軸204に回転動力を付与する起動用電動機としても用いられる。
【0028】
ガスタービン200は、圧縮機201と燃焼器202とタービン203とを備えている。このガスタービン200は、圧縮機201、燃焼器202およびタービン203の中心部に、タービン軸204が貫通して配置されている。圧縮機201、燃焼器202およびタービン203は、タービン軸204の軸心Rに沿い、空気の流れの前側から後側に向かって順に並設されている。なお、以下の説明において、タービン軸方向とは軸心Rに平行な方向をいい、タービン周方向とは軸心Rを中心とした周り方向をいう。
【0029】
圧縮機201は、空気を圧縮して圧縮空気とするものである。図2に示すように、圧縮機201は、空気を取り込む空気取入口211を有した圧縮機ケーシング212内に圧縮機静翼213および圧縮機動翼214が設けられている。圧縮機静翼213は、圧縮機ケーシング212側に取り付けられてタービン周方向に複数並設されている。また、圧縮機動翼214は、タービン軸204側に取り付けられてタービン周方向に複数並設されている。これら圧縮機静翼213と圧縮機動翼214とは、タービン軸方向に沿って交互に設けられている。
【0030】
燃焼器202は、図2に示すように、圧縮機201で圧縮された圧縮空気に対して燃料を供給することで、高温・高圧の燃焼ガスを生成するものである。燃焼器202は、燃焼筒として、圧縮空気と燃料を混合して燃焼させる内筒221と、内筒221から燃焼ガスをタービン203に導く尾筒222と、内筒221の外周を覆い、圧縮機201からの圧縮空気を内筒221に導く空気通路225をなす外筒223とを有している。この燃焼器202は、タービン車室をなす燃焼器ケーシング224に対しタービン周方向に複数(例えば16個)並設されている。
【0031】
タービン203は、図2に示すように、燃焼器202で燃焼された燃焼ガスにより回転動力を生じるものである。タービン203は、タービンケーシング231内にタービン静翼232およびタービン動翼233が設けられている。タービン静翼232は、タービンケーシング231側に取り付けられてタービン周方向に複数並設されている。また、タービン動翼233は、タービン軸204側に取り付けられてタービン周方向に複数並設されている。これらタービン静翼232とタービン動翼233とは、タービン軸方向に沿って交互に設けられている。また、タービンケーシング231の後側には、タービン203に連続する排気ディフューザ234aを有した排気室234が設けられている。
【0032】
タービン軸204は、圧縮機201側の端部が軸受部241により支持され、排気室234側の端部が軸受部242により支持されて、軸心Rを中心として回転自在に設けられている。そして、タービン軸204は、圧縮機201側の端部に発電機100の駆動軸101が連結されている。
【0033】
このようなガスタービン200は、圧縮機201の空気取入口211から取り込まれた空気が、複数の圧縮機静翼213と圧縮機動翼214とを通過して圧縮されることで高温・高圧の圧縮空気となる。この圧縮空気に対し、燃焼器202において燃料が混合されて燃焼されることで高温・高圧の燃焼ガスが生成される。そして、この燃焼ガスがタービン203のタービン静翼232とタービン動翼233とを通過することでタービン軸204が回転駆動され、このタービン軸204に連結された発電機100に回転動力を付与することで発電を行う。そして、タービン軸204を回転駆動した後の排気ガスは、排気室234の排気ディフューザ234aを経て排気ガスとして大気に放出される。
【0034】
冷却空気系統300は、上述したガスタービン200に設けられ、圧縮機201から抽気した圧縮空気をタービン203に供給する。
【0035】
冷却空気系統300に係る構成について説明する。図3に示すように、上述したガスタービン200において、タービン軸204は、中間軸250に複数のタービンディスク251などが連結ボルト252により一体に連結されてなり、各軸受部241,242により回転自在に支持されている。タービンディスク251は、その外周部にタービン動翼233が取り付けられている。タービン動翼233は、タービンディスク251の外周端部にタービン周方向に沿って固定される複数の翼根部233aと、各翼根部233aを連結するプラットホーム233bと、プラットホーム233bの外周面に周方向に均等間隔で固定される複数の動翼部233cとから構成されている。
【0036】
そして、タービン軸204の外周辺に、タービン周方向に沿ってリング形状をなす中間軸カバー253が装着されており、この中間軸カバー253の外周において、燃焼器ケーシング224内であって複数の燃焼器202の外側にタービン車室254が区画されている。一方、燃焼器202は、尾筒222が、タービン203においてタービン周方向に沿って環形状に形成された燃焼ガス通路255に連通している。燃焼ガス通路255は、複数のタービン静翼232および複数のタービン動翼233(動翼部233c)がタービン軸方向に沿って交互に配設されている。
【0037】
タービン軸204は、タービンディスク251に、タービン軸方向に沿って設けられて圧縮機201側が入口部として開口された冷却空気供給孔256が形成されている。冷却空気供給孔256は、タービン軸方向に沿って形成されていると共に、各タービンディスク251を介して各タービン動翼233の内部に設けられた冷却孔(図示せず)に通じている。そして、冷却空気供給孔256の入口部の周辺であって中間軸カバー253内に、タービン周方向に沿ってリング形状をなすシールリング保持環257が設けられている。シールリング保持環257は、その外周面側において、タービン軸方向の各端部を中間軸カバー253の内周部に密着して装着され、タービン軸方向の中央において中間軸カバー253との間にタービン周方向に沿って空間部262が区画されている。また、シールリング保持環257は、その内周面側において、シールリング保持環257の内周面とタービン軸204の外周面との間の隙間をシールする複数のシール258,259,260,261が設けられている。そして、中間軸カバー253とシールリング保持環257との間に区画された空間部262は、シールリング保持環257に形成された貫通孔263を介して冷却空気供給孔256の入口部に通じている。
【0038】
燃焼器ケーシング224には、タービン車室254に対して外部に通じるように冷却空気系統300をなす冷却空気配管301の一端側が接続されている。具体的に、冷却空気配管301の一端側は、図1に示すように1本とされ、図3に示すように燃焼器ケーシング224に形成された1つの接続部302に対して接続される。また、冷却空気配管301は、図1に示すように、その他端側が複数(図1では4本)に分岐して形成され、それぞれが燃焼器ケーシング224を貫通して中間軸カバー253に取り付けられ、空間部262を介して冷却空気供給孔256に対して通じている。また、冷却空気配管301は、その途中に熱交換器であるTCAクーラ303が設けられている。TCAクーラ303は、冷却空気配管301の一端側に接続される入口ヘッダ303aと、冷却空気配管301の他端側に接続される出口ヘッダ303bとが熱交換部303cに設けられ、入口ヘッダ303aから供給される圧縮空気を熱交換部303cにて冷媒と熱交換させ、熱交換後の圧縮空気を出口ヘッダ303bから排出する。一般に、このTCAクーラ303は、図1に示すように、ガスタービン200などが収容されているガスタービン発電設備1の建屋1aの外に配置されているため、冷却空気配管301は、建屋1aの外に引き出されてTCAクーラ303に接続されるとともに、TCAクーラ303から再び建屋1aに戻る構成をとる。さらに、図1に示すように、冷却空気配管301は、その途中であってTCAクーラ303よりも他端側にフィルタ304が設けられている。
【0039】
ガスタービン200の運転時には、ガスタービン200の圧縮機201で圧縮された圧縮空気がタービン車室254に供給される。この圧縮空気がタービン車室254から燃焼器202に導かれ、燃焼器202において高温・高圧の燃焼ガスが生成され、尾筒222を経て燃焼ガス通路255に流れ込んでタービン203に送られる。冷却空気系統300は、圧縮機201の出口に通じるタービン車室254に供給された圧縮空気の一部が、冷却空気配管301の一端側から抽気され、冷却空気配管301の他端側から空間部262を経て貫通孔263を通してタービン203側である冷却空気供給孔256に供給され、各タービン動翼233の冷却孔を通過する。冷却空気配管301を通過する圧縮空気は、TCAクーラ303により冷却され、かつフィルタ304により異物が除去されて各タービン動翼233に至り、各タービン動翼233を冷却する。
【0040】
このような冷却空気系統300では、冷却空気配管301は、不要な圧力損失を生じないよう、十分な配管断面積をもって形成されている。また、一般に、ガスタービンの200の冷却空気系統300において、冷却空気配管301の一端側が接続される圧縮機201側のタービン車室254では、抽気された圧縮空気を圧力損失なくタービン側に供給する必要がある。一方、冷却空気配管301の他端側が接続されるタービン203側の冷却空気供給孔256やタービン動翼233の冷却孔は、冷却された空気を不要に消費してガスタービン性能を低下させてしまうことがないよう、シール部分などから漏れる空気量を低減する必要がある。このため、冷却空気配管301の一端側であるタービン車室254と、冷却空気配管301の他端側である冷却空気供給孔256やタービン動翼233の冷却孔とのCdA値(流路の流量係数Cdと面積Aとの積)を比較すると、タービン車室254側が大きく、冷却空気供給孔256やタービン動翼233の冷却孔側が小さい関係にある。
【0041】
ところで、上述した冷却空気系統300は、圧縮機201の出口から圧縮空気を抽気しタービン203側に供給するものであるが、その他の冷却空気系統についても本発明を適用しうる。図4は、本実施形態に係るガスタービン発電設備の他の例の概略構成図であり、冷却空気系統の他の例を示している。図4に示すように、冷却空気系統500は、圧縮機201の中間段から圧縮空気を抽気しタービン203側に供給する。
【0042】
上述したガスタービン200において、図2に示すように、圧縮機201は、圧縮機ケーシング212における圧縮機静翼213の位置の外側に、圧縮機ケーシング212の内部に連通すると共に、タービン周方向に沿って環形状に形成された圧縮機抽気室215が設けられている。また、タービン203は、燃焼器ケーシング224におけるタービン静翼232の位置の外側に、タービン周方向に沿って環形状に形成されたタービン翼環キャビティ235が設けられている。タービン翼環キャビティ235は、各タービン静翼232の内部に設けられた冷却孔(図示せず)に通じている。
【0043】
圧縮機抽気室215には、図4に示すように、冷却空気系統500をなす冷却空気配管501の一端側が接続されている。また、冷却空気配管501は、その他端側がタービン翼環キャビティ235に接続されている。また、冷却空気配管501は、その途中に熱交換器であるTCAクーラ503が設けられている。TCAクーラ503は、冷却空気配管501の一端側に接続される入口ヘッダ503aと、冷却空気配管501の他端側に接続される出口ヘッダ503bとが熱交換部503cに設けられ、入口ヘッダ503aから供給される冷却対象と熱交換部503cにて熱交換を行い、熱交換後の冷却対象を出口ヘッダ503bから排出する。このTCAクーラ503は、熱交換効率の向上を図るため、図4に示すように、ガスタービン200などが収容されているガスタービン発電設備1の建屋1aの外に配置されており、冷却空気配管501が、建屋1aの外に引き出されてTCAクーラ503に接続されている。さらに、図4に示すように、冷却空気配管501は、その途中であってTCAクーラ503よりも他端側にフィルタ504が設けられている。このフィルタ504もガスタービン発電設備1の建屋1aの外に配置されている。
【0044】
従って、冷却空気系統500は、ガスタービン200の圧縮機201で圧縮された圧縮空気が圧縮機抽気室215から冷却空気配管501の一端側から抽気され、冷却空気配管501の他端側からタービン翼環キャビティ235を経て各タービン静翼232の冷却孔を通過する。冷却空気配管501を通過する圧縮空気は、TCAクーラ503により冷却され、かつフィルタ504により圧縮機抽気室215から持ち込まれる異物が除去されて各タービン静翼232に至り、各タービン静翼232を冷却する。
【0045】
このような冷却空気系統500では、冷却空気配管501は、不要な圧力損失を生じないよう、十分な配管断面積をもって形成されている。また、一般に、ガスタービンの200冷却空気系統において、冷却空気配管501の一端側が接続される圧縮機201側の圧縮機抽気室215では、抽気された圧縮空気を圧力損失なくタービン側に供給する必要がある。一方、冷却空気配管501の他端側が接続されるタービン203側のタービン静翼232の冷却孔は、冷却された空気を不要に消費してガスタービン性能を低下させてしまうことがないよう、シール部分などから漏れる空気量を低減する必要がある。このため、冷却空気配管501の一端側である圧縮機抽気室215と、冷却空気配管501の他端側であるタービン静翼232の冷却孔とのCdA値(流路の流量係数Cdと面積Aとの積)を比較すると、圧縮機抽気室215側が大きく、タービン静翼232の冷却孔側が小さい関係にある。
【0046】
乾燥空気系統400は、ガスタービン冷却空気系統乾燥装置であって、冷却空気系統300,500内に乾燥空気を供給するものである。乾燥空気系統400は、図1図4に示すように、乾燥空気供給源401に接続された乾燥空気配管402が、冷却空気配管301,501に接続されている。乾燥空気供給源401は、乾燥した空気を発生させるものであればよく、本実施形態では、設備内に制御空気を供給する制御空気供給系統から乾燥空気を取得している。制御空気供給系統は、発電設備に配置された空気作動弁の駆動源であり、図には明示しないが、空気を圧縮機で圧縮し、除湿機で除湿して乾燥空気を発生させる。制御空気供給系統において、乾燥空気は、空気槽に蓄えられ、そこから発電設備内の各所(例えば、建屋1aやボイラ設備や水処理設備)へ供給され、各種空気作動弁の駆動に用いられる。
【0047】
また、乾燥空気系統400は、図1図4に示すように、乾燥空気配管402が、冷却空気系統300,500の冷却空気配管301,501に対し、その他端側寄りであって、熱交換器であるTCAクーラ303,503よりもタービン203側に接続されていることが好ましい。さらに、乾燥空気系統400は、乾燥空気配管402が、冷却空気系統300,500の冷却空気配管301,501に対し、その他端側寄りであって、フィルタ304,504よりもタービン203側に接続されていることがより好ましい。
【0048】
乾燥空気系統400は、乾燥空気配管402が冷却空気配管301,501に接続され、必要に応じて乾燥空気供給源401から乾燥空気を冷却空気系統300,500に供給可能に構成されている。このため、乾燥空気配管402は、開閉弁が設けられている。開閉弁は、1つでもよいが、安全のため乾燥空気供給源401側から冷却空気系統300,500に向かって第一開閉弁403および第二開閉弁404を有することが好ましい。各開閉弁403,404の間となる乾燥空気配管402には、外気に開放されたブロー配管402aが接続されている。このブロー配管402aは、ブロー開閉弁405により開閉される。
【0049】
そして、乾燥空気系統400は、ガスタービン200の停止時(主にタービン静止またはターニング状態)に用いられる。即ち、ガスタービン200の停止時、開閉弁である第一開閉弁403および第二開閉弁404を開状態とし、ブロー開閉弁405を閉状態とする。すると、乾燥空気供給源401から乾燥空気が乾燥空気配管402を介して冷却空気配管301,501に供給される。このため、冷却空気系統300,500内に乾燥空気が送られ、当該冷却空気系統300,500内が乾燥される。この結果、冷却空気系統300,500における冷却空気配管301,501の内面の錆の発生が抑制されることになる。なお、冷却空気系統300,500に乾燥空気を供給するタイミングとしては、ガスタービン200の停止時から3日経過したときに行ってもよい。ガスタービン200が停止して3日以上経過すると、冷却空気配管301,501内の空気温度が露点以下に下がり、大気中の湿分が結露する可能性が高いためである。
【0050】
なお、乾燥空気系統400は、ガスタービン200の停止時または停止から3日経過したときに、自動的に作動するように構成してもよい。この場合、乾燥空気系統400は、ガスタービン200の停止や運転を検出し、第一開閉弁403、第二開閉弁404およびブロー開閉弁405を制御する制御装置406を有する。制御装置406は、ガスタービン200の停止を検出するため、例えば、ガスタービン200の制御装置(図示せず)に接続される。また、制御装置406は、第一開閉弁403、第二開閉弁404およびブロー開閉弁405を制御するため、第一開閉弁403、第二開閉弁404およびブロー開閉弁405に接続される。そして、制御装置406は、ガスタービン200の運転中、第一開閉弁403、第二開閉弁404およびブロー開閉弁405を閉鎖制御する。また、制御装置406は、ガスタービン200の停止において、ブロー開閉弁405を閉鎖制御したまま、第一開閉弁403、第二開閉弁404の順に開放制御する。また、制御装置406は、ガスタービン200の運転中、第一開閉弁403および第二開閉弁404が閉状態にならない場合、ブロー開閉弁405を開放制御する。
【0051】
このように、本実施形態のガスタービン発電設備1は、発電機100に接続されるタービン203、タービン203に燃焼ガスを供給する燃焼器202、および燃焼器202に圧縮空気を供給する圧縮機201を備えるガスタービン200と、圧縮機201の中間段または出口に一端側が接続されタービン203に他端側が接続されて圧縮機201から抽気した圧縮空気をタービン203に供給する冷却空気系統300,500と、冷却空気系統300,500に接続されガスタービン200の停止時に冷却空気系統300,500内に乾燥空気を供給する乾燥空気系統400と、を有する。
【0052】
このガスタービン発電設備1によれば、ガスタービン200の停止時、乾燥空気が冷却空気系統300,500に供給されることで、当該冷却空気系統300,500内が乾燥される。この結果、冷却空気系統300,500における冷却空気配管301,501の内面の錆の発生を抑制することができる。
【0053】
ところで、ガスタービン200を長期(例えば、30日以上)停止した場合では、冷却空気系統300,500における冷却空気配管301,501の内面の錆を排出する目的で、ガスタービン200を無負荷として冷却空気系統300,500のブロー運転を行うことが考えられるが、このブロー運転は、発電に供さない燃料を費やすことになる。本実施形態のガスタービン発電設備1によれば、ガスタービン200の停止時、乾燥空気が冷却空気系統300,500に供給されることで、当該冷却空気系統300,500内が乾燥されて錆の発生が抑制されるため、ブロー運転を行わなくてもよくなり、燃料使用量を低減することができる。
【0054】
また、本実施形態のガスタービン発電設備1では、乾燥空気系統400は、冷却空気系統300,500に対して他端側寄りに接続されている。
【0055】
冷却空気系統300において、冷却空気配管301の一端側である冷却空気配管301と燃焼器ケーシング224の接続部の開口はCdA値が大きく、冷却空気配管301の他端側に接続されるタービン動翼233の冷却孔側のCdA値が小さいことから、乾燥空気は、冷却空気配管301の一端側である燃焼器ケーシング224側に向けて多く流れることになる。また、冷却空気系統500において、冷却空気配管501の一端側である圧縮機抽気室215側のCdA値が大きく、冷却空気配管501の他端側に接続されるタービン静翼232の冷却孔側のCdA値が小さいことから、乾燥空気は、冷却空気配管501の一端側である圧縮機抽気室215側に向けて多く流れることになる。従って、本実施形態のガスタービン発電設備1のように、乾燥空気系統400を冷却空気系統300,500に対して他端側寄り(好ましくは冷却空気配管301,501の他端部)に接続することで、冷却空気系統300,500全体の雰囲気を効率よく乾燥空気に置換することができ、冷却空気系統300,500における冷却空気配管301,501の内面の錆の発生を抑制する効果を顕著に得ることができる。
【0056】
また、本実施形態のガスタービン発電設備1では、冷却空気系統300,500は、その途中に圧縮空気を冷却するTCAクーラ(熱交換器)303,503を備え、乾燥空気系統400は、TCAクーラ303,503よりもタービン203側で冷却空気系統300,500に接続されている。
【0057】
冷却空気系統300において、冷却空気配管301の一端側である冷却空気配管301と燃焼器ケーシング224の接続部の開口はCdA値が大きく、冷却空気配管301の他端側に接続されるタービン動翼233の冷却孔側のCdA値が小さいことから、乾燥空気は、冷却空気配管301の一端側である燃焼器ケーシング224側に向けて多く流れることになる。また、冷却空気系統500において、冷却空気配管501の一端側である圧縮機抽気室215側のCdA値が大きく、冷却空気配管501の他端側に接続されるタービン静翼232の冷却孔側のCdA値が小さいことから、乾燥空気は、冷却空気配管501の一端側である圧縮機抽気室215側に向けて多く流れることになる。従って、本実施形態のガスタービン発電設備1のように、乾燥空気系統400をTCAクーラ303,503よりもタービン203側で冷却空気系統300,500に対して接続することで、冷却空気系統300,500全体の雰囲気を効率よく乾燥空気に置換することができ、冷却空気系統300,500における冷却空気配管301,501の内面の錆の発生を抑制する効果を顕著に得ることができる。しかも、このガスタービン発電設備1によれば、乾燥空気系統400をTCAクーラ303,503よりもタービン203側で冷却空気系統300,500に対して接続することで、TCAクーラ303,503に対してより多くの乾燥空気を流すことができ、TCAクーラ303,503内部の湿度を速やかに低下させることができるから、TCAクーラ303,503における錆の発生を抑制することができる。
【0058】
また、一般にガスタービン200の冷却空気配管301,501にTCAクーラ303,503を設ける場合、TCAクーラ303,503は冷却空気配管301,501の配管の全長のうち半分程度の位置に設けられることが多い。この場合、本実施形態のガスタービン発電設備1によれば、乾燥空気系統400は冷却空気配管301,501の配管の全長のうちタービン203側(他端側)寄りの位置に接続されるから、冷却空気配管301,501の配管の全長のうち大きな割合を占める接続点から圧縮機201側の配管に効果的に乾燥空気を送ることができる。そのため、冷却空気配管301,501における配管内面の錆の発生を効果的に抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態のガスタービン発電設備1では、冷却空気系統300,500は、その途中に圧縮空気から異物を除去するフィルタ304,504を備え、乾燥空気系統400は、フィルタ304,504よりもタービン203側で冷却空気系統300,500に接続されている。
【0060】
前述の通り、乾燥空気は、冷却空気配管501の一端側である圧縮機抽気室215側に向けて多く流れることになる。従って、本実施形態のガスタービン発電設備1のように、乾燥空気系統400をフィルタ304,504よりもタービン203側で冷却空気系統300,500に対して接続することで、冷却空気系統300,500全体に対してより多くの乾燥空気を流すことができ、冷却空気系統300,500における冷却空気配管301,501の内面の錆の発生を抑制する効果を顕著に得ることができる。しかも、このガスタービン発電設備1によれば、フィルタ304,504に対してより多くの乾燥空気を流すことができ、フィルタ304,504における錆の発生を抑制することができる。
【0061】
また、本実施形態のガスタービン発電設備1では、乾燥空気系統400は、設備内に制御空気を供給する制御空気供給系統から乾燥空気を取得する。
【0062】
制御空気供給系統は、設備に配置された空気作動弁の駆動源であり、除湿された乾燥空気を発生する。この制御空気供給系統は、ガスタービン200の停止時に乾燥空気の需要が少ないことから、この乾燥空気を乾燥空気系統400で用いることで、新たな乾燥空気供給源を用意することなく、設備内で用いられている乾燥空気を有効的に利用することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 ガスタービン発電設備
100 発電機
200 ガスタービン
201 圧縮機
203 タービン
300,500 冷却空気系統
301,501 冷却空気配管
303,503 TCAクーラ(熱交換器)
400 乾燥空気系統
図1
図2
図3
図4