(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6389619
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】床暖房装置の施工方法
(51)【国際特許分類】
F24D 19/02 20060101AFI20180903BHJP
F24D 13/02 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
F24D19/02 B
F24D13/02 H
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-33572(P2014-33572)
(22)【出願日】2014年2月25日
(65)【公開番号】特開2015-158321(P2015-158321A)
(43)【公開日】2015年9月3日
【審査請求日】2017年2月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000150615
【氏名又は名称】株式会社長谷工コーポレーション
(73)【特許権者】
【識別番号】514048039
【氏名又は名称】株式会社サンマックス
(73)【特許権者】
【識別番号】000213769
【氏名又は名称】朝日ウッドテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067448
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 スミ子
(74)【代理人】
【識別番号】100167117
【弁理士】
【氏名又は名称】打越 佑介
(74)【代理人】
【識別番号】100186886
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 嗣畝子
(72)【発明者】
【氏名】井上 雅之
(72)【発明者】
【氏名】橋本 百樹
(72)【発明者】
【氏名】山崎 翔
(72)【発明者】
【氏名】田中 将和
(72)【発明者】
【氏名】占部 彰一
【審査官】
大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−120780(JP,A)
【文献】
特開2013−204928(JP,A)
【文献】
特開2002−022194(JP,A)
【文献】
特開平11−264557(JP,A)
【文献】
特開2008−045347(JP,A)
【文献】
特開2004−084979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D13/02
F24D19/00,19/02
E04F15/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床下地面の上に発熱シート部材を一定の隙間を空けて設置し、当該発熱シート部材の上に粘着両面テープを貼り付けて表面仕上げ材を敷設する床暖房装置の施工方法において、
前記粘着両面テープの幅は前記隙間より狭く、
前記隙間の床下地面に前記粘着両面テープを貼り付け、さらに当該粘着両面テープの上に前記粘着両面テープを重ねて貼り付け、
重ねて貼り付けた前記粘着両面テープの上面及び当該粘着両面テープに隣接する前記発熱シート部材の上面の少なくとも端部を金属箔で被せる
ことを特徴とする床暖房装置の施工方法。
【請求項2】
重ねて貼り付けた前記粘着両面テープの上面が、隣接する前記発熱シート部材の上面を超えない
ことを特徴とする請求項1に記載の床暖房装置の施工方法。
【請求項3】
前記発熱シート部材及び前記金属箔を横断するように前記粘着両面テープを貼り付ける
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の床暖房装置の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば発熱シート部材を床下地面に敷設する床暖房装置の施工方法に関し、さらに詳しくは、当該発熱シート部材をテープで貼り付ける床暖房装置の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から床暖房装置を敷設する場合、各部材に接着剤を塗布して貼り付けた後、一定期間の養生が必要だった。したがって養生期間中は床上での作業や物の配置ができないため、施工業者や住居人に時間や金銭のロスが生じていた。
【0003】
そのため接着剤の代わりに、粘着両面テープを使用する施工方法が採用されてきた。すなわち発熱シート部材と表面仕上げ材とを粘着両面テープで貼り付ける工法である。この工法は養生の時間が不要な上、臭いもなく、貼り付け後すぐに床上での作業や物の配置ができるなどの利点がある。
【0004】
しかしながら一般的な床仕上げのピッチ幅に合わせると、隣接する発熱シート部材同士の間に一定の隙間ができるため、表面仕上げ材の映出が発生する。すなわち発熱シート部材の厚みでできた床下地面との段差で、表面仕上げ材になめらかな凹凸ができてしまう。なお接着剤で施工すると、発熱シート部材同士の隙間に接着剤が流れて埋まるため、映出は発生しなかった。
【0005】
そこで発熱シート部材と床下地面との間に生じる段差を、スペーサ部材で解消する発想が提案されている(例えば特許文献1参照。)。スペーサ部材としてはガムテープなどの粘着テープを用い、複数回重ね合わせてもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−204928号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら上述した従来技術の施工方法では、発熱シート部材を床下地面に仮固定するために粘着テープを使うことが記載されている。すなわちこの施工方法では、発熱シート部材と表面仕上げ材とを接着剤で貼り付けており、粘着テープで貼り付ける発想は無く、養生期間の削減や短縮に関する課題を解決するものではない。
【0008】
また集合住宅では、床暖房装置の導入需要が増加している。このため導入後、発熱シート部材の寿命や破損に応じて交換作業が随時発生している。しかしながら従来技術の施工方法では、接着剤を用いているため表面仕上げ材や発熱シート部材を破壊しなければ交換できない。そのためリフォームするコストが嵩む。
【0009】
また冬季には室内の温度を一定に保つため、床暖房装置を常時稼動しておくことが多い。しかし発熱シート部材同士の間に隙間があると、表面仕上げ材に熱が伝わり難いため、家庭内の電気料金が嵩むばかりでなく、地球温暖化の原因にもなる。
【0010】
そこで本発明の目的は、床暖房装置の施工時間を短縮すると共に、無駄な資材を使わず低コストで手間のかからない施工方法を提供することにある。また本発明の別の目的は、床暖房装置のリフォームの効率化を図ることにある。さらに本発明の別の目的は、床暖房装置の電熱効率の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明による床暖房装置の施工方法の特徴は、床下地面や表面仕上げ材と発熱シート部材との貼り付け用の粘着両面テープで隣接する発熱シート部材同士の間にできる一定の隙間を埋め、床下地面と発熱シート部材との段差を解消することにある。
【0012】
すなわち本発明による床暖房装置の施工方法は、床下地面の上に発熱シート部材を一定の隙間を空けて設置し、当該発熱シート部材の上に粘着両面テープを介して表面仕上げ材を敷設する床暖房装置の施工方法において、前記粘着両面テープの幅は前記隙間より狭く、前記隙間の床下地面に前記粘着両面テープを貼り付け、さらに当該粘着両面テープの上に前記粘着両面テープを重ねて貼り付けることを特徴とする。この構成により、もともと発熱シート部材の貼り付け用に準備した粘着両面テープを流用でき、粘着両面テープが隣接する発熱シート部材同士の隙間を埋めるため、床下地面と発熱シート部材との段差を容易に解消することができる。
【0013】
また粘着両面テープを重ね過ぎると、発熱シート部材の上面から突出してしまい、新たな段差が生じる恐れがある。そこで重ねて貼り付けた前記粘着両面テープの上面が、隣接する前記発熱シート部材の上面を超えないことが望ましい。この構成により、重ね貼り過ぎた粘着両面テープでできる新たな段差の発生を防止することができる。
【0014】
また発熱シート部材同士の隙間を埋めた粘着両面テープに発熱機能がないため、この粘着両面テープの上部に位置する表面仕上げ材に熱が伝わり難い。そこで重ねて貼り付けた前記粘着両面テープの上面及び当該粘着両面テープに隣接する前記発熱シート部材の上面の少なくとも端部を金属箔で被せることが望ましい。この構成により、金属箔に発熱シート部材の熱が伝達し、粘着両面テープの上部に位置する発熱シート部材も温まりやすい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、粘着両面テープの使用により、養生期間が不要で床暖房装置の施工時間を短縮すると共に、無駄な資材を使わず低コストで手間をかけずに床下地面と発熱シート部材との段差を解消し、表面仕上げ材の映出を防止する施工方法を提供することができる。また粘着両面テープは貼り付けも除去も容易なので、床暖房装置のリフォームの効率化を図ることができる。さらに隙間を埋めた粘着両面テープを被う金属箔の使用により、床暖房装置の電熱効率の向上を図ることにある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の床暖房装置の正面図及び側面図である。
【
図2】本発明の床暖房装置の一部拡大断面図である。
【
図3】本発明の床暖房装置の施工方法における一部拡大断面を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1〜
図3を参照しつつ、本発明による暖房装置及び施工方法の1例を説明する。
図1(a)は暖房装置1の正面図、
図1(b)はこの暖房装置の側面図を示す。また
図2は暖房装置1の一部を拡大した断面図を示す。
図3(a)〜(h)は暖房装置1の施工方法における一部を拡大した断面を模式的に説明図を示す。なお
図1〜
図3に示す各部材の縮尺は図解用であり、実寸とは異なる。
図1(a)の点線は、かくれ線である。
【0018】
図1及び
図2に示すとおり、床暖房装置1は、床下地面11の上に発熱シート部材12,12を一定の隙間Kを空けて設置し、この発熱シート部材の上に粘着両面テープ13bを介して表面仕上げ材14を敷設する。粘着両面テープ13bの幅は隙間Kより狭く、この隙間の床下地面に粘着両面テープ13bと同じ粘着両面テープ13aを貼り付け、さらにこの粘着両面テープの上に粘着両面テープ13aを重ねて貼り付ける。また重ね貼りした上側の粘着両面テープ13aの上面が、隣接する左右の発熱シート部材12,12の上面を超えないようにする。さらに重ねて貼り付けた上側の粘着両面テープ13a及びこの粘着両面テープに隣接する発熱シート部材12,12の上面の少なくとも端部を金属箔15で被せる。
【0019】
床下地面11には、例えばスラブ、合板、積水化学工業株式会社製「ゼットロン」(登録商標)などベース材を設けてよく、集合住宅として一般的な構造であれば特に限定はない。
【0020】
発熱シート部材12は、例えばポリエステルフィルムなどからなるベース材、金属箔で構成された面状発熱体、及び電極で構成されており、所定の厚さや面積を有し、一般的な構造及び寸法であれば特に限定はない。なお面状発熱体は、例えばニクロム線を平坦に這わせたもの、パターニングされた金属板が発熱するもので、温度が上がると電気が流れにくく温度が下がると電気が流れやすいPCT特性を利用してもよい。
【0021】
粘着両面テープ13a及び13bは、同一のものである。粘着両面テープ13a及び13bの基材は、例えばポリオレフィンフィルム、セロハンフィルム、アクリルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエステルフィルム、布、不織布、紙、ポリオレフィン発泡体で、経年劣化しにくいものが好ましい。また粘着両面テープ13a及び13bの粘着剤は、例えばゴム系、アクリル系、合成樹脂系で、固着力がありかつ取り外し時に分離しやすいものが好ましい。粘着両面テープ13a及び13bの幅は、隣接する発熱シート部材同士の隙間より狭いことが好ましい。
【0022】
表面仕上げ材14は、例えば合板、パーティクルボード、高密度繊維(HDF)や中密度繊維(MDF)などの木質材料、ポリエチレンやポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂、ポリエステルやエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で、一般的な負荷に対して破損や損傷を起こさない素材であれば特に限定しない。また表面仕上げ材には、例えば装飾用の合成樹脂シート、突板、化粧紙や表面化粧材を設けてもよい。
【0023】
金属箔15は、例えばアルミニウム箔や裏面に粘着剤が塗布してあるアルミテープで、表面仕上げ材を上から敷設したときに映出(凸凹)が発生しない厚みが好ましい。金属箔15の幅は、隣接する発熱シート部材同士の隙間幅より広いことが好ましい。
【0024】
次に、
図3を参照しつつ、このような構成の床暖房装置の施工方法を説明する。
【0025】
まず床下地面1上の所定の位置に(
図3(a))、発熱シート部材12を一定の隙間Kを空けて複数列設置する(
図3(b))。したがって床下地面1と発熱シート部材12とで段差が生じる。なお床下地面11と発熱シート部材12とを粘着両面テープで貼り付けてもよいが、図示しない。
【0026】
次に隙間Kの床下地面1に粘着両面テープ13aを貼り付け(
図3(c))、その上からさらに粘着両面テープ13aを貼り付ける(
図3(d))。このとき隙間Kの床下地面1には、粘着両面テープ13a,13aが発熱シート部材に接しない位置に重ねて貼り付けるのが好ましい。これによりもともと発熱シート部材12の貼り付け用に準備した粘着両面テープ13bを流用でき、この粘着両面テープが隣接する発熱シート部材同士の隙間を埋めるため、床下地面1とこの発熱シート部材との段差を解消することができる。なお重ねて貼り付ける粘着両面テープの枚数は、粘着両面テープの厚さに応じて複数枚重ねて貼り付けてもよい。
【0027】
このとき一番上の粘着両面テープ13aの上面が、隣接する発熱シート部材12,12の上面を超えない高さまで重ねて貼り付ける。これにより重ね貼り過ぎた粘着両面テープでできる新たな段差の発生を防止することができる。
【0028】
さらに重ね貼りした上側の粘着両面テープ13a及びこの粘着両面テープに隣接する発熱シート部材12,12の上面のうち少なくとも粘着両面テープ13aに隣接する端部を金属箔15で被せる(
図3(e))。これにより金属箔15に発熱シート部材12,12の熱が伝達し、粘着両面テープ13aの上部に位置する表面仕上げ材14も温まりやすい。
【0029】
最後に複数の発熱シート部材12及び金属箔15を横断するように粘着両面テープ13bを貼り付ける(
図3(f))。その上から表面仕上げ材14を敷設する(
図3(g))。
【0030】
このような床暖房装置の施工方法によれば、粘着両面テープ13a及び13bの使用により、養生期間が不要で床暖房装置の施工時間を短縮すると共に、無駄な資材を使わず低コストで手間をかけずに床下地面1と発熱シート部材12との段差を解消し、表面仕上げ材14の映出を防止することができる。また粘着両面テープ13a及び13bは貼り付けも除去も容易なので、床暖房装置1のリフォームの効率化を図ることができる。さらに隙間を埋めた粘着両面テープ13a,13aを被う金属箔15の使用により、床暖房装置1の電熱効率の向上を図ることにある。
【実施例】
【0031】
次に、本発明の実施例を説明する。各部材の寸法及び施工方法は以下のとおりである。
発熱シート部材:幅270mm、厚さ0.6mm、長さ任意
粘着両面テープ:幅30mm、厚さ0.3mm、長さ任意
アルミテープ:幅100mm、長さ任意
【0032】
床下地面に対し、発熱シート部材を303mmピッチで設置する。そのため隣接する発熱シート部材同士の間に33mmの隙間ができると共に、この発熱シート部材の厚み分0.6mmの段差が生じる。ここで33mmの隙間に、隣接する発熱シート部材に接しないように、粘着両面テープを2枚重ね貼る。さらに粘着両面テープ及び隣接する発熱シート部材の端部を覆うようにアルミテープを貼る。この上から粘着両面テープをつかって表面仕上げ材を敷設する。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明における床暖房装置の施工方法は、集合住宅のみならず、個別住宅、企業の建築物、及び医療施設や介護施設等に関する産業に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 床暖房装置
11 床下地面
12 発熱シート部材
13a 粘着両面テープ
13b 粘着両面テープ
14 表面仕上げ材
15 金属箔
K 隙間