(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る発信機の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0016】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まずは、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、発信機に関するものである。この「発信機」は、火災を報知する火災信号を送信する機器である。なお、実施の形態に係る発信機の設置対象や適用対象は任意であるが、以下では、トンネル内に設置された消防用設備装置に組み込まれた発信機に適用した場合を例として説明を行う。
【0017】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0018】
(構成)
最初に、本実施の形態に係る消防用設備装置の構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る消防用設備装置の構成を示す斜視図である。なお、以下の説明では、
図1の−X方向を消防用設備装置の左方向、
図1の+X方向を消防用設備装置の右方向、
図1の+Y方向を消防用設備装置の前方向、
図1の−Y方向を消防用設備装置の後方向、
図1の+Z方向を消防用設備装置の上方向、
図1の−Z方向を消防用設備装置の下方向とする。消防用設備装置1は、消防活動に必要な設備を備える装置である。この消防用設備装置1は、トンネルの進行方向に略沿って所定間隔毎に(例えば、50m間隔毎等)に配置されており、トンネルの壁面に対して架台等を介して固定されている。また、
図1に示すように、この消防用設備装置1は、筐体10に、消火器(図示省略)と、赤色表示灯20と、応答ランプ30と、発信機50とを備えている。
【0019】
(構成−筐体)
筐体10は、消防用設備装置1の基本構造体であり、消火器、赤色表示灯20と、応答ランプ30と、発信機50とを外部から保護する保護手段である。この筐体10は、例えば金属材料等にて形成された略箱状体である。また、この筐体10は、一側面(例えば、前面等)を開放した略箱形状のベース部11であって、消火器と、赤色表示灯20と、応答ランプ30と、発信機50とを収容するベース部11と、このベース部11をその開放面側から略覆う正面パネル12とを備えて構成されており、正面パネル12はベース部11に対して嵌合構造や固定具等にて固定されている。
【0020】
ここで、ベース部11には、消火器を固定するための固定部(図示省略)と、赤色表示灯20、応答ランプ30、又は発信機50に接続された電力線(図示省略)や信号線(図示省略)を筐体10の外部に引き出すための引出口(図示省略)とが設けられている。また、正面パネル12には、第1の導光孔12a、第2の導光孔12b、及び操作口12cが設けられている。第1の導光孔12aは、赤色表示灯20の光を外部に向けて導光するための貫通孔である。第2の導光孔12bは、応答ランプ30の光を外部に向けて導光するための貫通孔である。操作口12cは、後述する発信機50の保護板70を操作口12cを介して後述する発信機50の取付部材92に出し入れするための開口部である。
【0021】
(構成−消火器、赤色表示灯、及び応答ランプ)
消火器は、消火剤等を放射して火災を消すための機器である。赤色表示灯20は、消防用設備装置1の設置位置を案内するための表示灯であり、具体的には、常時点灯されることにより、消防用設備装置1の設置位置を案内する。応答ランプ30は、消防用設備装置1の外部に設置された火災受信機(図示省略)が発信機50から火災信号を受信した旨を表示するためのランプであり、具体的には、発信機50から火災信号を受信した火災受信機にて火災警報が出力されるに伴って応答信号が送信された場合に、当該送信された応答信号を受信して点灯する。
【0022】
(構成−発信機)
図2は、
図1における領域Aの拡大斜視図である。
図3は、
図2の分解斜視図である。
図4は、
図2のB−B矢視断面図である。
図5は、保護板枠60を示す図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のC−C矢視断面図、(c)は(a)のD−D矢視断面図である。なお、
図4では、後述する発信機本体80のうち後述するガイド部72に覆われている部分を点線で示している(後述する
図7から後述する
図9についても同様とする)。発信機50は、火災信号を送信する機器であり、具体的には、ユーザによって所定操作が行われた場合に、火災信号を火災受信機に向けて送信する。また、
図2から
図4に示すように、発信機50は、保護板枠60と、保護板70と、発信機本体80とを備えている。
【0023】
(構成−発信機−保護板枠)
保護板枠60は、保護板70を筐体10の正面パネル12に接続するための接続手段である。
図2から
図5に示すように、この保護板枠60は、例えば熱可塑性の樹脂材料にて形成された略円環状体であり、筐体10における正面パネル12の操作口12cに対向する位置に配置されている(具体的には、筐体10における正面パネル12の操作口12cよりも前方側に配置されている)。また、この保護板枠60の後側部には、接続部61と、ストッパ部62とがそれぞれ複数設けられている。
【0024】
接続部61は、保護板枠60を筐体10の正面パネル12に取り付けるための取付手段である。これら接続部61は、当該接続部61の先端部が略フック状に形成された板状体であり、発信機本体80における後述する接続板98に形成された係止孔98aにそれぞれ挿入可能となるように、保護板枠60の後側部に突設して配置されており、当該接続板98を介して正面パネル12に対して係脱可能に接続されている。
【0025】
ストッパ部62は、保護板70を保護板枠60に取り付けるための取付手段である。これらストッパ部62は、略板状体にて形成されており、保護板枠60における後側部の内縁部分近傍において、所定間隔を隔てて当該後側部に突設して配置されている。ここで、ストッパ部62による保護板70の取付方法については任意であるが、例えば、保護板70をストッパ部62における当該保護板70との先端部に形成された係止爪に係合させることにより取り付ける方法等が採用されている。なお、このストッパ部62の係止爪の形状については、具体的には、ユーザによって所定値以上の力で保護板70が押圧された場合に、保護板70が保護板枠60から外れることが可能な形状に設定されている。
【0026】
(構成−発信機−保護板)
保護板70は、後述する発信機本体80の押し釦スイッチ95を保護する保護手段である。
図2から
図4に示すように、保護板70は、例えば透明な熱可塑性の樹脂材料にて形成された略円形状の板状体あり、筐体10から外部に露出されるように配置されており、保護板枠60のストッパ部62によって保護板枠60に取り付けられている。
【0027】
ここで、保護板70及び保護板枠60の具体的な構成については任意であるが、保護板70が保護板枠60に対して正確な位置に取り付けられるように、保護板70及び保護板枠60が構成されてもよい。具体的には、保護板70の上端部に、上方向に沿って凸状となる位置決め部74が設けられると共に、保護板枠60における当該位置決め部74と対向する部分に、スリット状の位置決め部63が設けられてもよい。なお、この保護板70の構成の詳細については、後述する。
【0028】
(構成−発信機−発信機本体)
発信機本体80は、取付部材92と、メカニカル接点カバー91と、防水カバー93と、メカニカル接点(図示省略)とを備えている。
【0029】
(構成−発信機−発信機本体−メカニカル接点カバー)
メカニカル接点カバー91は、メカニカル接点を収容する収容手段である。このメカニカル接点カバー91は、一側面(例えば、前面等)を開放した略箱状体であり、例えば樹脂材料にて形成されている。また、このメカニカル接点カバー91の後側部には、引出口(図示省略)が形成されている。引出口は、メカニカル接点に接続されている電力線や信号線をメカニカル接点カバー91の外部に引き出すための開口である。
【0030】
(構成−発信機−発信機本体−取付部材)
取付部材92は、メカニカル接点カバー91を筐体10の正面パネル12に取り付けるための取付手段であると共に、後述する押し釦スイッチ95を収容する収容手段である。この取付部材92は、略円筒状体にて形成されており、当該取付部材92の前側部が筐体10の正面パネル12と接触し、且つ、当該取付部材92の後側部が筐体10の正面パネル12と対向する位置に配置され、当該正面パネル12に対して略円環状に形成された接続板98を介して固定具等によって固定されている。また、メカニカル接点カバー91を取付部材92に取り付ける方法については任意であるが、例えば、メカニカル接点カバー91における前方部分の外縁部分に対して略円環状のパッキンを複数取り付け、このメカニカル接点カバー91の前方部分を取付部材92における後側部の開口を介して取付部材92に押し込むようにして挿入し、反対側よりねじ止めすることにより、これらパッキンを圧縮して、正面パネル12側より、メカニカル接点カバー91の内部に水が流入することを防止する取付方法等が採用されている。なお、取付部材92、保護板枠60、及び筐体10の正面パネル12のうち取付部材92における前側部の開口と対向する部分は、特許請求の範囲における「収容体」に対応する。
【0031】
(構成−発信機−発信機本体−防水カバー)
防水カバー93は、メカニカル接点カバー91の内部に水が流入することを防止するために、メカニカル接点カバー91における取付部材92に挿入されていない部分を覆う防水手段である。この防水カバー93は、一側面(例えば、前面等)を開放した略箱状体であり、例えば樹脂材料にて形成されており、メカニカル接点カバー91における取付部材92に挿入されていない部分を略覆うように配置されている。また、この防水カバー93の固定方法については任意であるが、例えば、防水カバー93の上側部(又は下側部等)を取付部材92の上側部(又は下側部等)に対して固定具等によって固定する方法等が採用される。また、この防水カバー93の後側部には、引出口(図示省略)が形成されている。引出口は、メカニカル接点カバー91から引き出された電力線や信号線を防水カバー93の外部に引き出すための開口である。
【0032】
(構成−発信機−発信機本体−メカニカル接点)
メカニカル接点は、発信機50の各種機能を実現するためのものであり、メカニカル接点カバー91に対して固定具等にて固定されている。
【0033】
(構成−発信機−発信機本体−メカニカル接点−押し釦スイッチ)
押し釦スイッチ95は、ユーザによる火災信号の送信指示を受け付けるスイッチである。この押し釦スイッチ95は、例えば、自己復帰型のスイッチや位置保持型のスイッチ等の公知の押圧型の釦スイッチを用いて構成されており、メカニカル接点カバー91における前側部の開口を介してメカニカル接点カバー91の外部(具体的には、取付部材92の内部)に露出されるように配置されている。
【0034】
また、この押し釦スイッチ95には、防水キャップ96が設けられている。防水キャップ96は、押し釦スイッチ95の内部に水が流入することを防止するために、押し釦スイッチ95を覆う防水手段であると共に、押し釦スイッチ95と保護板70との相互間に配置された可撓性部材である。この防水キャップ96は、一側面(例えば、後面等)を開放した略箱状体であり、例えば軟質な樹脂材料にて形成されている。また、この防水キャップ96は、押し釦スイッチ95及びメカニカル接点カバー91の前側部の少なくとも一部を略覆うように配置され、メカニカル接点カバー91に対して固定具等によって固定されている。ここで、この防水キャップ96における押し釦スイッチ95の押圧面と対向する対向面97(具体的には、防水キャップ96の前側面)の形状については、具体的には、当該対向面97の面積が押し釦スイッチ95の押圧面よりも大きな面積となる形状に設定されている。
【0035】
(保護板の構成の詳細について)
次に、本実施の形態に係る保護板70の構成等の詳細については、下記に示す工夫が施されている。
【0036】
図6は、保護板70を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は右側面図、(d)は底面図である。具体的には、
図4及び
図6に示すように、保護板70には、押圧領域限定部71とガイド部72とが設けられている。ここで、これら保護板70、押圧領域限定部71、及びガイド部72の形成方法は任意であるが、例えば、保護板70、押圧領域限定部71、及びガイド部72を一体成型により形成する方法等が採用されてもよい。
【0037】
(保護板の構成の詳細について−押圧領域限定部)
押圧領域限定部71は、押し釦スイッチ95が操作される際に、ユーザによって保護板70を介して当該押圧領域限定部71が押圧されることにより、防水キャップ96の対向面97における一部の領域を限定して押圧することが可能な押圧領域限定手段である。この押圧領域限定部71は、略円筒状体にて形成されており(あるいは、これに限られず、例えば直方体、円柱体等の柱状体にて形成されてもよい)、保護板70の後側部の中央部分に突設して配置されている。
【0038】
ここで、押圧領域限定部71の配置については、具体的には、押圧領域限定部71の後側部75の中心位置が、押し釦スイッチ95の前後方向の中心軸の延長線上に位置し、且つ、押圧領域限定部71の後側部75の側面が押し釦スイッチ95の押圧面と略平行となるように、押圧領域限定部71が配置されている。
【0039】
また、押圧領域限定部71の後側部75の形状については、具体的には、ユーザによって所定値以上の力で保護板70が押圧された場合に、押し釦スイッチ95が押し切られた状態にすることが可能となる形状に設定されている。より、具体的には、
図4及び後述する
図7に示すように、防水キャップ96の対向面97の面積よりも小さい面積となる形状であって、押し釦スイッチ95の押圧面の面積と略同一の形状(あるいは、押し釦スイッチ95の押圧面の面積よりも小さい形状)に設定されている。
【0040】
このような構成により、押し釦スイッチ95が操作される際に、押圧領域限定部71によって、防水キャップ96の対向面97における押し釦スイッチ95の押圧面との対向部分を含む領域を限定して押圧することができるため、防水キャップ96における押し釦スイッチ95が押圧される際に必要となる領域のみを変形させることが可能となる。よって、保護板70のみで押し釦スイッチ95が押圧される場合に比べて、保護板70における防水キャップ96から受ける反力を小さくすることができることから、押し釦スイッチ95の操作性を向上させることが可能となる。
【0041】
(保護板の構成の詳細について−ガイド部)
ガイド部72は、押し釦スイッチ95が操作される際に、保護板70を押し釦スイッチ95の押圧方向に略沿って平行移動させるためのガイド手段である。このガイド部72は、保護板70から取付部材92の側部のうち押し釦スイッチ95が取り付けられている側部(すなわち、取付部材92の後側部)に向けて突出するように形成されており、具体的には、略円筒状体にて形成され、押圧領域限定部71を内包するように、保護板70の後側部に突設して配置されている。
【0042】
ここで、ガイド部72の形状については、保護板70が押圧されてから押し釦スイッチ95が操作されるまでの間において、ガイド部72の内縁部分を防水キャップ96の外縁部分に接触させることにより、保護板70を押し釦スイッチ95に向けて正確に移動させることが可能な形状に設定されている。
【0043】
具体的には、
図4及び
図6に示すように、ガイド部72の内径については、ユーザが、ガイド部72の内縁部分の少なくとも一部(例えば、ガイド部72の内縁部分の右側部)と防水キャップ96の外縁部分の少なくとも一部(例えば、防水キャップ96の外縁部分の右側部)とを継続して接触させながら、保護板70を移動させている間において、押圧領域限定部71の後側部75を防水キャップ96における押し釦スイッチ95との対向部分と対向させることが可能となるように、防水キャップ96の外径よりも大きな形状にて設定されている。また、ガイド部72の前後方向の長さについては、保護板70が保護板枠60に取り付けられた状態において、ガイド部72が防水キャップ96の一部を覆うことが可能な長さに設定されている。なお、上述したガイド部72の形状が設定された場合において、防水キャップ96の配置については、具体的には、保護板70を押し釦スイッチ95の押圧方向に略沿って平行移動させることが可能となるように、防水キャップ96におけるガイド部72との接触部分が押し釦スイッチ95の押圧方向に略沿って平行に配置されている。
【0044】
このような構成により、保護板70にガイド部72が設けられていない場合に比べて、保護板70を押し釦スイッチ95に向けて正確に移動させることができるので、押し釦スイッチ95を確実に押圧することが可能となる。
【0045】
また、ガイド部72と取付部材92との配置関係については、具体的には、
図4及び後述する
図7に示すように、ガイド部72の後側部と取付部材92の保護板側の側部との相互間に、押し釦スイッチ95が押しきられた状態においてのみガイド部72と取付部材92とが接触可能とする隙間が設けられ、この隙間を隔ててガイド部72及び取付部材92が配置されている。この隙間の長さについては、具体的には、押圧領域限定部71の後側部75と防水キャップ96の前側部との相互間の長さと、防水キャップ96の前側部と押し釦スイッチ95の前側部との相互間の長さと、押し釦スイッチ95のストロークの長さとを加算した長さに設定されている。
【0046】
このような配置により、ユーザが押し釦スイッチ95を操作した際に、ユーザが押し釦スイッチ95を押切ったことを確認することができるので、押し釦スイッチ95の操作性を一層向上させることが可能となる。また、押し釦スイッチ95に過度な力が働かないため、押し釦スイッチ95の破損を防止することが可能となる。
【0047】
また、ガイド部72の具体的な構成については任意であるが、例えば、
図4及び
図6に示すように、ガイド部72に切欠部73a、73bが形成されてもよい。切欠部73a、73bは、保護板70が筐体10における正面パネル12の取り付け位置よりも取付部材92の内側の位置に移動された状態において、当該保護板70を正面パネル12の操作口12cから取り出すことを補助するための開口である。また、この切欠部73aはガイド部72の上方に配置され、この切欠部73bはガイド部72の下方に配置されている。
【0048】
ここで、切欠部73a、73bの形状については、以下のように設定されている。具体的には、切欠部73a、73bの左右方向の長さについては、保護板70が操作口12cから取り出される際に、保護板70が前方(又は後向)に向けて傾けることにより、ガイド部72と防水キャップ96とが接触することを回避するために、防水キャップ96の外径よりも長く設定されている。また、切欠部73aの前後方向の長さについては、保護板70が操作口12cから取り出される際に、ユーザの指が保護板70又はガイド部72に引掛りやすくなるように、ガイド部72の前端部から後端部に至る長さに設定されている。また、切欠部73bの前後方向の長さについては、保護板70が操作口12cから取り出される際に、保護板70が前方(又は後向)に向けて角度をつけて傾けられると共に、且つ、ガイド部72が防水キャップ96と接触した際に、ガイド部72の撓みを抑制できるように、ガイド部72の後端部から前端部の手前側の部分(例えば、ガイド部72の中央部分等)に至る長さに設定されている。
【0049】
このような構成により、例えば、ユーザによって押し釦スイッチ95が操作された後に、保護板70が保護板枠60における当該保護板70の取り付け位置よりも取付部材92の内側に移動された入りこんだ場合(あるいは、押し釦スイッチ95が操作されていないものの、保護板70が取り外されたことにより、当該保護板70の取り付け位置よりも取付部材92の内側に移動された入りこんだ場合等)に、保護板70が傾けられた場合でも、ガイド部72に切欠部73a、73bが形成されていない場合に比べて、ガイド部72と防水キャップ96とが接触することを回避できる。よって、保護板70及びガイド部72と取付部材92との相互間において、ユーザの指を保護板70又はガイド部72に引掛けることが可能なスペースを確保しやすくなるため、ユーザが保護板70を取付部材92から容易に取り出すことが可能となる。
【0050】
(発信機の機能について)
このように構成された発信機50の機能は、以下の通りである。
【0051】
最初に、押し釦スイッチ95が操作される際の機能について説明する。
図7は、
図4に示す押し釦スイッチ95が押しきられた状態を示す断面図である。ここで、この機能が発揮される場合の初期状態については、具体的には、
図4に示すように、保護板70が保護板枠70に取り付けられた状態に設定されている。
【0052】
まず、ユーザは、所定値以上の力で保護板70を押圧することにより、保護板70を保護板枠60から取り外した後、ガイド部72の内縁部分の右側部と防水キャップ96の外縁部分の右側部とを接触させた状態(あるいは、ガイド部72の内縁部分の左側部と防水キャップ96の外縁部分の左側部とを接触させた状態)で、ガイド部72の後側部が防水キャップ96の対向面97と接触するまで、保護板70を押し釦スイッチ95の押圧方向に沿って平行移動させる。
【0053】
次に、押圧領域限定部71の後側部75と防水キャップ96の対向面97とが接触されると、ユーザは、押し釦スイッチ95を押しきられた状態になるまで、所定値以上の力で保護板70を介して押圧領域限定部71を押圧する。この場合において、押圧領域限定部71によって、防水キャップ96の対向面97における押し釦スイッチ95の押圧面との対向部分を含む領域が限定して押圧されるので、防水キャップ96における押し釦スイッチ95が押圧される際に必要となる領域のみを変形させることが可能となる。
【0054】
その後、
図7に示すように、取付部材92の後側部とガイド部72の後側部とが接触することにより、押し釦スイッチ95が押しきられた状態になると、メカニカル接点から火災信号を火災受信機に送信する。これにより、火災受信機は、発信機50から火災信号を受信すると、火災警報を出力すると共に、応答信号を送信する。また、応答ランプ30は、火災受信機から応答信号を受信すると点灯する。
【0055】
次に、保護板70が取付部材92の内部から取り出される際の機能について説明する。
図8は、
図7に示すガイド部72に切欠部73a、73bが形成されていない場合において、保護板70が取り出されている状態を示す断面図である。
図9は、
図7に示すガイド部72に切欠部73a、73bが形成されている場合において、保護板70が取り出されている状態を示す断面図である。ここで、この機能が発揮される場合の初期状態については、具体的には、
図7に示すように、押し釦スイッチ95が操作された後に、保護板70が取付部材92の内部に入りこんでいる状態に設定されている。
【0056】
まず、ユーザは、保護板70を防水キャップ96の近傍位置から筐体10における正面パネル12の操作口12c近傍位置まで移動させる。
【0057】
次に、ユーザは、保護板70を操作口12cを介して取り出すために、保護板70を前方に傾ける。
【0058】
ここで、保護板70を操作口12cを介して取り出すためには、保護板70及びガイド部72と取付部材92との相互間において、ユーザの指を保護板70又はガイド部72に引掛けること(又は摘まみ出すこと)が可能となるスペースを確保することが重要となる。しかしながら、
図8に示すように、ガイド部72に切欠部73a、73bが形成されていない場合には、保護板70の傾きが比較的小さい場合であっても、ガイド部72と防水キャップ96とが接触してしまうため、上記スペースを確保することが困難となる。特に、
図8の保護板70においては、当該保護板70におけるユーザの指と接触可能な部分が非常に少ないため、ユーザの指をガイド部72の後側部に引掛けることにより、保護板70を取り出すことになる。よって、ユーザの指を上記スペースに挿入する量が多くなることから、上記スペースを確保することが一層困難となる。
【0059】
これに対して、
図9に示すように、ガイド部72に切欠部73a、73bが形成されている場合には、保護板70の傾きが比較的大きい場合でも、切欠部73bによってガイド部72と防水キャップ96との接触を回避することができるので、ガイド部72に切欠部73a、73bが形成されていない場合に比べて、上記スペースを確保しやすくなる。さらに、ユーザの指を切欠部73aを介して保護板70に引掛けることにより、保護板70を取り出すことができるので、ユーザの指をガイド部72の後側部に引掛ける場合に比べて、上記スペースにユーザの指を挿入する量を減らすことができるため、上記スペースを一層確保しやすくなる。
【0060】
その後、ユーザは、取り出された保護板70を保護板枠60に再度取り付ける。
【0061】
(効果)
このように本実施の形態によれば、押し釦スイッチ95が操作される際に、ユーザによって保護板70を介して押圧領域限定部71が押圧されることにより、防水キャップ96の対向面97における一部の領域であって、当該対向面97における押し釦スイッチ95の押圧面との対向部分を含む領域を限定して押圧することが可能な押圧領域限定部71を備えているので、押圧領域限定部71によって、防水キャップ96の上記領域を限定して押圧することができるため、防水キャップ96における押し釦スイッチ95が押圧される際に必要となる領域のみを変形させることが可能となる。よって、保護板70のみで押し釦スイッチ95が押圧される場合に比べて、保護板70における防水キャップ96から受ける反力を小さくすることができることから、押し釦スイッチ95の操作性を向上させることが可能となる。
【0062】
また、押し釦スイッチ95が操作される際に、保護板70を押し釦スイッチ95の押圧方向に略沿って平行移動させるためのガイド部72を、保護板70に設けたので、保護板70にガイド部72が設けられていない場合に比べて、保護板70を押し釦スイッチ95に向けて正確に移動させることができる。このため、保護板70に押圧領域限定部71が設けられている場合でも、押し釦スイッチ95を確実に押圧することが可能となる。
【0063】
また、取付部材92の後側部とガイド部72との相互間に、押し釦スイッチ95が押しきられた状態においてのみ当該後側部に当該ガイド部72が接触可能となる隙間を設けたので、ユーザが押し釦スイッチ95を押切ったことを確認できるため、押し釦スイッチ95の操作性を一層向上させることが可能となる。また、押し釦スイッチ95に過度な力が働かないため、押し釦スイッチ95の破損を防止することが可能となる。
【0064】
また、保護板70が保護板枠60における当該保護板70の取り付け位置よりも取付部材92の内側の位置に移動された状態において、当該保護板70を操作口12cから取り出すことを補助するための切欠部73a、73bを、ガイド部72に形成したので、例えば、保護板70が上記取り付け位置よりも取付部材92の内側に入りこんだ場合に、保護板70が傾けられた場合でも、ガイド部72に切欠部73a、73bが形成されていない場合に比べて、ガイド部72と防水キャップ96とが接触することを回避できる。よって、保護板70及びガイド部72と取付部材92との相互間において、ユーザの指を保護板70又はガイド部72に引掛けることが可能なスペースを確保しやすくなるため、ユーザが保護板70を取付部材92の内部から容易に取り出すことが可能となる。
【0065】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0066】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏したりすることがある。例えば、従来の発信機よりも押し釦スイッチ95の操作性を向上できない場合であっても、従来の発信機と同程度の押し釦スイッチ95の操作性を従来の発信機とは異なる本願発明の発信機によって達成できている場合には、本願発明の課題が解決されている。
【0067】
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。例えば、発信機50をそれぞれ複数の装置に分散して構成してもよい。また、各部を分散する場合において、これら各部の相互間の連携は、有線と無線のいずれか一方又は両方により行うことができる。
【0068】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0069】
(設置対象や適用対象について)
上記実施の形態では、トンネル内に設置された消防用設備装置1に組み込まれた発信機に適用した場合について説明したが、これに限られず、例えば、集合住宅内、オフィスビス内、商業施設内等に設置された消防用設備装置1に組み込まれた発信機、又は単独で設置された発信機に適用されてもよい。
【0070】
(保護板について)
上記実施の形態では、保護板70は、平坦な板状体にて形成されていると説明したが、これに限られない。例えば、ユーザが保護板70を押しやすくなるように、保護板70における前側部の中央部分に、当該ユーザの指を保護板70にフィットさせることが可能な窪み部が形成されてもよい。
【0071】
(押圧領域限定部について)
上記実施の形態では、1枚の保護板70に対して1つの押圧領域限定部71が設けられていると説明したが、例えば、1枚の保護板70に対して複数の押圧領域限定部71が設けられてもよい。
【0072】
また、上記実施の形態では、押圧領域限定部71は、保護板70に設けられていると説明したが、これに限られない。この押圧領域限定部71は、押し釦スイッチ95と保護板70との相互間に配置されていればよいので、例えば、防水キャップ96と押し釦スイッチ95との相互間に配置されてもよい。この場合における押圧領域限定部71の配置方法については、具体的には、防水キャップ96における押し釦スイッチ95に対向する部分に、押圧領域限定部71を収容する収容部を形成し、この収容部に押圧領域限定部71を収容してから防水キャップ96をメカニカル接点カバー91に対して取り付ける方法等が採用される。これにより、保護板70をシンプルな構成にすることが可能となる。
【0073】
(ガイド部について)
上記実施の形態では、ガイド部72が保護板70に設けられていると説明したが、例えばガイド部72を省略してもよい。
【0074】
また、上記実施の形態では、ガイド部72は、直線状の円筒状体にて形成されていると説明したが、これに限られず、例えば、ガイド部72の後側部の外径がガイド部72の前側部の外径よりも小さくなるように、テーパ状の円筒状体にて形成されてもよい。これにより、ガイド部72が取付部材92と接触した際の衝撃力を緩和できるため、ガイド部72に損傷等が生じることを抑制できる。
【0075】
また、上記実施の形態では、ガイド部72は、取付部材92に対して、押し釦スイッチ95が押しきられた状態においてのみガイド部72と取付部材92とが接触可能とする隙間を隔てて配置されていると説明したが、例えば、押し釦スイッチ95が押しきられた状態において、ガイド部72と取付部材92とが非接触となる隙間を隔てて配置されてもよい。
【0076】
(切欠部について)
上記実施の形態では、切欠部73a、73bがガイド部72に形成されていると説明したが、例えば切欠部73a、73bの少なくとも一部を省略してもよい。
【0077】
また、上記実施の形態では、切欠部73aはガイド部72の上方に配置され、この切欠部73bはガイド部72の下方に配置されていると説明したが、これに限られない。これら切欠部73a、73bの配置位置は任意に設定できるので、例えば、切欠部73aがガイド部72の下方に配置されたり、切欠部73bがガイド部72の上方に配置されてもよい。
【0078】
(付記)
上述した課題を解決し、目的を達成するために、付記1に記載の発信機は、火災を報知する火災信号を送信する発信機であって、ユーザによる前記火災信号の送信指示を受け付ける押し釦スイッチと、前記押し釦スイッチを保護する保護板と、前記押し釦スイッチと前記保護板との相互間に配置され、前記押し釦スイッチの押圧面と対向する対向面であって前記押圧面よりも面積が大きく形成された対向面を有する可撓性部材と、前記可撓性部材と前記保護板との相互間に設けられた押圧領域限定手段であって、前記押し釦スイッチが操作される際に、ユーザによって前記保護板を介して当該押圧領域限定手段が押圧されることにより、前記対向面における一部の領域であって、当該対向面における前記押圧面との対向部分の少なくとも一部を含む領域を限定して押圧することを可能とする押圧領域限定手段と、を備えている。
【0079】
付記2に記載の発信機は、付記1に記載の発信機において、前記押し釦スイッチが操作される際に、前記保護板を前記押し釦スイッチの押圧方向に略沿って平行移動させるためのガイド手段を、前記保護板に設けている。
【0080】
付記3に記載の発信機は、付記1又は2に記載の発信機において、前記押し釦スイッチを収容する収容体を備え、前記収容体の側部に、前記押し釦スイッチを取り付け、前記ガイド手段を、前記保護板から前記収容体の前記側部に向けて突出するように形成し、前記収容体の前記側部と前記ガイド手段との相互間に、前記押し釦スイッチが押しきられた状態においてのみ当該側部に当該ガイド手段が接触可能となる隙間を設けている。
【0081】
付記4に記載の発信機は、付記2に記載の発信機において、前記押し釦スイッチを収容する収容体であって、相互に対向する一対の側部を有する収容体を備え、前記収容体の一対の側部のうち、一方の側部には、前記押し釦スイッチを取り付け、前記収容体の一対の側部のうち、他方の側部には、開口部を形成すると共に、当該開口部を介して前記保護板を前記押し釦スイッチに向けて押圧可能となるように前記保護板を取り付け、前記ガイド手段を、前記保護板から前記収容体の前記一方の側部に向けて突出するように形成し、前記保護板が前記収容体の前記他方の側部における取り付け位置よりも前記収容体の内側の位置に移動された状態において、当該保護板を前記開口部から取り出すことを補助するための切欠部を、前記ガイド手段に少なくとも1つ以上形成している。
【0082】
(付記の効果)
付記1に記載の発信機によれば、押し釦スイッチが操作される際に、ユーザによって保護板を介して当該押圧領域限定手段が押圧されることにより、可撓性部材の対向面における一部の領域であって、当該対向面における押圧面との対向部分の少なくとも一部を含む領域を限定して押圧することを可能とする押圧領域限定手段を備えているので、押圧領域限定手段によって、可撓性部材の上記領域を限定して押圧することができるため、可撓性部材における押し釦スイッチが押圧される際に必要となる領域のみを変形させることが可能となる。よって、保護板のみで押し釦スイッチが押圧される場合に比べて、保護板における可撓性部材から受ける反力を小さくすることができることから、押し釦スイッチの操作性を向上させることが可能となる。
【0083】
付記2に記載の発信機によれば、押し釦スイッチが操作される際に、保護板を押し釦スイッチの押圧方向に略沿って平行移動させるためのガイド手段を、保護板に設けたので、保護板にガイド手段が設けられていない場合に比べて、保護板を押し釦スイッチに向けて正確に移動させることができる。このため、保護板に押圧領域限定手段が設けられている場合でも、押し釦スイッチを確実に押圧することが可能となる。
【0084】
付記3に記載の発信機によれば、収容体の側部とガイド手段との相互間に、押し釦スイッチが押しきられた状態においてのみ当該側部に当該ガイド手段が接触可能となる隙間を設けたので、ユーザが押し釦スイッチを押切ったことを確認できるため、押し釦スイッチの操作性を一層向上させることが可能となる。また、押し釦スイッチに過度な力が働かないため、押し釦スイッチの破損を防止することが可能となる。
【0085】
付記4に記載の発信機によれば、保護板が収容体の他方の側部における取り付け位置よりも収容体の内側の位置に移動された状態において、当該保護板を開口部から取り出すことを補助するための切欠部を、ガイド手段に少なくとも1つ以上形成したので、例えば、保護板が上記取り付け位置よりも収容体の内側に入りこんだ場合に、保護板が傾けられた場合でも、ガイド手段に切欠部が形成されていない場合に比べて、ガイド手段と収容体に収容された他の部材(例えば、防水キャップや押し釦スイッチ等)とが接触することを回避できる。よって、保護板及びガイド手段と収容体との相互間において、ユーザの指を保護板又はガイド手段に引掛けることが可能なスペースを確保しやすくなるため、ユーザが保護板を収容体の内部から容易に取り出すことが可能となる。