特許第6389645号(P6389645)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6389645
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】ガスコンロ
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/12 20060101AFI20180903BHJP
【FI】
   F24C3/12 L
   F24C3/12 G
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-107207(P2014-107207)
(22)【出願日】2014年5月23日
(65)【公開番号】特開2015-222158(P2015-222158A)
(43)【公開日】2015年12月10日
【審査請求日】2017年4月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】100092071
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 均
(72)【発明者】
【氏名】中川 靖
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 美紀
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−024475(JP,A)
【文献】 特開2006−292218(JP,A)
【文献】 特開2006−064273(JP,A)
【文献】 特開平06−272865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱用位置に位置する被加熱物を加熱するバーナと、
前記被加熱物の温度を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段の検出情報に基づいて前記バーナの作動を制御する燃焼制御手段とを備え、
前記燃焼制御手段は、前記バーナの燃焼中において前記温度検出手段が検出する温度を設定温度に維持するように前記バーナの火力を制御する自動温度調節制御を実行し、かつ、前記自動温度調節制御の実行中において前記温度検出手段が検出した温度の低下に伴い前記バーナの火力を大火力側に変更する場合に、前記バーナの火力を大火力側に変更する前に火力増加報知を行うように構成されたガスコンロであって、
前記燃焼制御手段は、(a)前記火力増加報知を電子音によって行い、かつ、(b)前記電子音による前記火力増加報知が行われた後に、前記バーナの火力が大火力側に変更される旨の、音声による電子音説明用報知を行うように構成されていること
を特徴とするガスコンロ。
【請求項2】
前記燃焼制御手段は、前記自動温度調節制御の実行中に、前記電子音説明用報知を所定の時間間隔で繰り返すことを特徴とする請求項1記載のガスコンロ。
【請求項3】
前記燃焼制御手段は、前記自動温度調節制御の実行中において前記温度検出手段が所定の温度上昇を検出した場合に、前記バーナの火力を小火力側に変更するとともに、その直後に前記電子音説明用報知を行うことを特徴とする請求項1または2記載のガスコンロ。
【請求項4】
前記電子音説明用報知を行っている最中に、前記火力増加報知を行う必要が生じたときには、前記電子音説明用報知を中断して、前記火力増加報知を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガスコンロ。
【請求項5】
前記電子音説明用報知を中断して、前記火力増加報知を行った場合、前記火力増加報知の終了後に、改めて、前記電子音説明用報知を行うことを特徴とする請求項4記載のガスコンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスコンロに関し、詳しくは、火力変更操作を行う場合に、それを使用者に報知して、安全に火力の変更を行うことができるように構成されたガスコンロに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスコンロは、通常、燃料ガスの供給量を制御することにより、火力の調整が行われるように構成されている。
【0003】
そのようなガスコンロとして、特許文献1には、調理容器の下面の温度を検知する温度センサを備え、調理容器の下面の温度を一定に保つように制御部による火力調節を行うことで自動調理を行うガスコンロにおいて、自動調理の実行中に温度検出手段が検出した温度の低下に伴いバーナの火力を大火力側に変更する場合に、バーナの火力を大火力側に変更する前に自動温度調節火力増加報知を行うように構成されたガスコンロが提案されている。
【0004】
この特許文献1のガスコンロによれば、自動温度調節制御の実行中において温度検出手段が検出した温度の低下に伴ってバーナの火力を大火力側に変更する場合において、バーナの火力が小火力から大火力に変更される前に自動温度調節火力増加報知により、使用者は火力が大火力に変更されることを知らされるので、使用者が戸惑いを感じたり驚いたりすることがなく、自動調理による利便性を損なわないようにしながら、快適性を向上させることが可能になる。
【0005】
なお、特許文献1のガスコンロでは、例えば、「大火力に変更します。」などの音声による報知を行うことで、火力が大火力に変更されることを使用者が確実に認識できるように構成されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1の場合、自動調理の実行中、温度検出手段が検出した温度の低下に伴いバーナの火力を大火力側に変更する場合に、「大火力に変更します。」などの音声報知が繰り返し行われたときには、繰り返される音声報知に対して、使用者が煩わしさを感じる場合がある。
【0007】
また、「大火力に変更します。」などの音声による報知を行った後、バーナの火力を大火力側に変更するようにしていることから、温度検出手段による検出温度の低下に伴って、バーナの火力を大火力側に変更する必要が生じた時点から、「大火力に変更します。」などの音声報知に要する時間が経過した後に、バーナの火力を大火力側に変更することになる。そのため、火力を大火力側に変更するタイミングの遅れに起因して、自動調理に関する制御特性が悪くなり、アンダーシュートの発生するおそれがある。また、該アンダーシュートを回復するためにバーナによる加熱時間を長くすることが必要になったり、調理容器や内容物の熱容量によって熱伝達特性が遅れたりすることに起因して、オーバーシュートが発生するおそれもある。
【0008】
そこで、上述の火力を大火力側に変更するタイミングの遅れによる不都合を解消するために、音声報知に代えて、例えば、「ピピピッ」などの電子音による報知を行うことによって報知に要する時間を短縮することが考えられる。しかし、電子音による報知の後にバーナの火力が大火力側に変更されることを使用者が失念している場合には、上記自動温度調節火力増加報知による効果が発揮されないという問題点がある。
【0009】
一方、上述の火力を大火力側に変更するタイミングの遅れによる不都合を解消するため、温度検出手段による測定温度の下降変化から温度下降勾配を算出し、この温度下降勾配に基づいて、火力増加温度に到達するまでの予測時間を求め、この予測時間に基づいて、火力変更を、音声による報知手段によって報知するようにした調理装置が提案されている(例えば、特許文献2)。
【0010】
しかしながら、温度検出手段による測定温度の下降変化は、使用者による調理に関する行動の影響を受けやすいものであり、例えば、自動調理によって天婦羅調理を行っている場合など、調理容器に具材が投入されたときには、温度検出手段による測定温度が急激に低下するため、調理容器に具材が投入される前の温度下降勾配から求めた予測時間と調理容器に具材が投入された後の温度下降勾配から求めた予測時間とは異なることになる。したがって、温度検出手段による温度下降勾配に基づいて、火力増加温度に到達するまでの予測時間を求めることは困難であり、この信頼度の低い予測時間に基づいて、報知手段に火力変更を音声によって報知させたとしても、信頼性が低いという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2013−024475号公報
【特許文献2】特開2013−164194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するものであり、制御部により小火力から大火力への火力の変更が自動的に行われようとしているバーナに、使用者が不用意に接近した場合にも、使用者に戸惑いや驚きを感じさせることなく、小火力から大火力への火力の変更が行われることを確実に伝えることが可能で、かつ、自動調理の制御特性の低下を招くことのないガスコンロを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明(請求項1)のガスコンロは、
加熱用位置に位置する被加熱物を加熱するバーナと、
前記被加熱物の温度を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段の検出情報に基づいて前記バーナの作動を制御する燃焼制御手段とを備え、
前記燃焼制御手段は、前記バーナの燃焼中において前記温度検出手段が検出する温度を設定温度に維持するように前記バーナの火力を制御する自動温度調節制御を実行し、かつ、前記自動温度調節制御の実行中において前記温度検出手段が検出した温度の低下に伴い前記バーナの火力を大火力側に変更する場合に、前記バーナの火力を大火力側に変更する前に火力増加報知を行うように構成されたガスコンロであって、
前記燃焼制御手段は、(a)前記火力増加報知を電子音によって行い、かつ、(b)前記電子音による前記火力増加報知が行われた後に、前記バーナの火力が大火力側に変更される旨の、音声による電子音説明用報知を行うように構成されていること
を特徴としている。
【0014】
また、本発明のガスコンロにおいて、前記燃焼制御手段は、前記自動温度調節制御の実行中に、前記電子音説明用報知を所定の時間間隔で繰り返すことが好ましい。
【0015】
また、本発明のガスコンロにおいて、前記燃焼制御手段は、前記自動温度調節制御の実行中において前記温度検出手段が所定の温度上昇を検出した場合に、前記バーナの火力を小火力側に変更するとともに、その直後に前記電子音説明用報知を行うように構成されていることが好ましい。
【0016】
また、本発明のガスコンロにおいては、前記電子音説明用報知を行っている最中に、前記火力増加報知を行う必要が生じたときには、前記電子音説明用報知を中断して、前記火力増加報知を行うことが好ましい。
【0017】
また、本発明のガスコンロは、前記電子音説明用報知を中断して、前記火力増加報知を行った場合、前記火力増加報知の終了後に、改めて、前記電子音説明用報知を行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明(請求項1)のガスコンロは、上述のように、自動温度調節制御の実行中における火力増加報知を電子音によって行うとともに、自動温度調節制御の実行後に、「電子音による火力増加報知が行われるとその後にバーナの火力が大火力側に変更される」旨の、音声による電子音説明用報知を行うようにしているので、自動調理に係る制御特性を低下させることなく、かつ、使用者に戸惑いや驚きを感じさせずに、小火力から大火力への火力の変更が行われることを使用者に確実に伝えることが可能になる。
【0019】
すなわち、電子音による火力増加報知に要する時間は短時間であることから、火力増加報知開始後、短時間で大火力側に変更することが可能になり、自動調理の制御特性の低下を抑制することができるようになる。
また、自動温度調節制御の実行後に、「電子音による火力増加報知が行われるとその後にバーナの火力が大火力側に変更される」旨の、音声による電子音説明用報知を行うようにしているので、電子音による火力増加報知の後にバーナの火力が大火力側に変更されることを使用者が失念することを防止して、信頼性の高い報知を行うことができる。
【0020】
また、本願請求項2のガスコンロのように、燃焼制御手段が、自動温度調節制御の実行中に、音声による電子音説明用報知を所定の時間間隔で繰り返すようにした場合、電子音による火力増加報知の後にバーナの火力が大火力側に変更されることを使用者が失念することをさらに確実に防止することが可能になり、本発明をより実効あらしめることができる。
【0021】
また、本願請求項3のガスコンロのように、自動温度調節制御の実行中において温度検出手段が所定の温度上昇を検出した場合に、バーナの火力を小火力側に変更するとともに、その直後に電子音説明用報知を行うようにした場合、電子音による火力増加報知の後にバーナの火力が大火力側に変更されることを使用者が失念することを抑制することが可能になる。
また、音声による電子音説明用報知を所定の時間間隔で繰り返す場合には、つぎの電子音説明用報知を行う時期と電子音による火力増加報知をおこなう時期とが重複することを抑制できる。
【0022】
また、本願請求項4のガスコンロのように、音声による電子音説明用報知を行っている最中に、火力増加報知を行う必要が生じたときに、音声による電子音説明用報知を中断して、電子音による火力増加報知を行うことにより、自動調理の制御特性の低下を抑制することができる。
【0023】
また、本願請求項5のガスコンロのように、音声による電子音説明用報知を中断して、電子音による火力増加報知を行った場合において、火力増加報知の終了後に、改めて、音声による電子音説明用報知を行うようにした場合、電子音による火力増加報知の後にバーナの火力が大火力側に変更されることを使用者が失念することを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態にかかるガスコンロの構成を示す平面図である。
図2】本発明の一実施形態にかかるガスコンロを構成するバーナ周辺の側面図である。
図3】本発明の一実施形態にかかるガスコンロにおける燃料供給路の説明図である。
図4】本発明の一実施形態にかかるガスコンロを構成するバーナ周辺の、火力を大火力側に変更する前の状態の側面図である。
図5】本発明の一実施形態にかかるガスコンロを構成するバーナ周辺の、火力を大火力側に変更した状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を示して、その特徴とするところを詳しく説明する。
[実施形態1]
図1は、本発明の一実施形態(実施形態1)にかかるガスコンロ(ガステーブルコンロ)の構成を示す平面図、図2は、実施形態1のガスコンロを構成するバーナ周辺の側面図、図3は燃料供給路の説明図である。
【0026】
図1,2に示すように、本発明の実施形態にかかるガスコンロ(ガステーブルコンロ)Aは、ガスコンロ本体1の上面がトッププレート2で覆われている。また、ガスコンロAは、円筒状の外形(本実施形態では外径66mm)を有する左バーナ(コンロバーナ)31および右バーナ(コンロバーナ)32の2口のバーナ(ガスバーナ)を備えており、トッププレート2に形成したバーナ用開口(図示せず)を介して、夫々のバーナの外周に形成された炎孔部33をトッププレート2の上方に突出させている。
【0027】
図1に示すように、ガスコンロAにおいて左バーナ31および右バーナ32より前方側に位置しているその前面には、使用者が手動にて左バーナ31の点消火操作を行うための左点消火操作部41および使用者が手動にて右バーナ32の点消火操作を行うための右点消火操作部42が設けられている。
【0028】
また、ガスコンロA内には、左点消火操作部41および右点消火操作部42の操作に基づいて、図3に示すように、ガス供給路8に備えるガスバルブ9の開閉および図示しないイグナイタの発停により左バーナ31および右バーナ32の点消火の制御を行い、また、ガス供給路8からの分岐路8aに備える図示しないステッピングモータ駆動による流量制御弁10の開度調節を行って左バーナ31および右バーナ32に供給されるガス量を調節して左バーナ31および右バーナ32の火力の制御を行う制御部(燃焼制御手段)11を備えている。
【0029】
また、ガスコンロAはガスグリル部(図示せず)を備えており、ガスコンロAの前面には、ガスグリル部の前面に備える扉(図示せず)を開閉するためのグリル取っ手44およびガスグリル部の点消火操作を行うためのグリル点消火操作部43を備えおり、ガスグリル部における調理に伴う排気はトッププレート2の後方に設けたグリル排気口45から排出されるように構成されている。
【0030】
トッププレート2上における左バーナ31および右バーナ32夫々の炎孔部33の周囲には、コンロバーナ(左バーナ31、右バーナ32)によって加熱される調理容器60を載置する五徳50が配置してある。五徳50は、調理容器60を載置するための五徳爪51を炎孔部33の周囲に複数放射状に配置してあり、夫々の五徳爪51の下端が円環状の五徳リング52で結合されて、トッププレート2上に載置されている。
【0031】
また、左バーナ31および右バーナ32は、調理容器60の底面と接して、調理容器60の温度を検出する調理容器温度検出手段(温度検出手段)72を備えている。
【0032】
なお、ガスコンロAは左バーナ31および右バーナ32の2つのコンロバーナを備えるものであるが、左バーナ31および右バーナ32ともに本発明の実施形態としては同様の形態を有するものであるので、以下、左バーナ31の実施形態について詳しく説明し、右バーナ32についての詳細な説明は省略する。
【0033】
ガスコンロAが備える左バーナ31について詳細に説明すると、図3に示すように、左バーナ(コンロバーナ)31と、手動にて操作される左点消火操作部41と、使用者による左点消火操作部41の操作によって左点消火操作部41から出力される指令に基づいて左バーナ31の点消火および火力の制御を行う制御部(燃焼制御手段)11を備えている。
【0034】
<本発明のガスコンロの特徴構成>
上述の制御部(燃焼制御手段)11は、温度検出手段72の検出情報に基づいて左バーナ31の作動を制御するように構成されている。
【0035】
制御部(燃焼制御手段)11は、左バーナ31の燃焼中において温度検出手段72が検出する温度を温度設定部(図示せず)にて設定された設定温度(例えば、180℃)に維持するように左バーナ31の火力を制御する自動温度調節制御を実行する。
【0036】
そして、制御部(燃焼制御手段)11は、前記自動温度調節制御の実行中において温度検出手段72が検出した温度の低下(例えば、175℃まで低下)に伴い左バーナ31の火力を大火力側に変更する場合に、左バーナ31の火力を大火力側に変更する前に火力増加報知を行う。
このときの火力増加報知を、制御部(燃焼制御手段)11は、「ピピピッ」という電子音によって行う。
【0037】
なお、例えば「ピピピッ」という電子音による火力増加報知に要する時間は短時間であることから、「ピピピッ」という電子音の後に、左バーナ31の火力を大火力側に変更することにより、自動調理の制御特性を高く保つことができる。
【0038】
また、制御部(燃焼制御手段)11は、前記自動温度調節制御の実行開始後、例えば、「ピピピッという電子音による火力増加報知が行われた後に左バーナ31の火力が大火力側に変更される」旨の音声による電子音説明用報知を行う。電子音説明用報知は、具体的には、例えば「温調を開始します。ピピピッとなったら炎が大きくなります。」というような音声によって行われる。
【0039】
このように、自動温度調節制御の実行開始後に、例えば、「ピピピッという電子音による火力増加報知が行われた後に左バーナ31の火力が大火力側に変更される」旨の音声による電子音説明用報知を行うことにより、「ピピピッ」という電子音による火力増加報知の後に、バーナの火力が大火力側に変更されることを使用者が失念することが抑制され、燃焼制御手段により小火力から大火力への火力の変更が自動的に行われようとしているバーナに、使用者が不用意に接近することを防止することができる。
【0040】
すなわち、燃焼制御手段により小火力から大火力への火力の変更が行われることを使用者に的確に伝えて、使用者に戸惑いや驚きを与えたり、危険を感じさせたりすることを抑制することが可能になる。
【0041】
また、この実施形態のガスコンロAにおいて、制御部(燃焼制御手段)11は、自動温度調節制御の実行中に、音声による電子音説明用報知を所定の時間間隔(例えば、3分間隔)で繰り返すように構成されている。
音声による電子音説明用報知を所定の時間間隔で繰り返すことで、電子音による火力増加報知の後にバーナの火力が大火力側に変更されることを使用者が失念することがより確実に抑制される。
【0042】
また、この実施形態のガスコンロAにおいては、音声による電子音説明用報知、つまり、例えば、「ピピピッという電子音が発報された後に左バーナ31の火力が大火力側に変更される」というような音声報知を行っている最中に、火力増加報知を行う必要、つまり、温度検出手段72が検出した温度の低下(例えば、175℃まで低下)に伴い、左バーナ31の火力を大火力側に変更する必要が生じたときには、音声による電子音説明用報知の途中であっても、当該電子音説明用報知を中断して電子音による火力増加報知を行い、この火力増加報知の終了後に、改めて、音声による電子音説明用報知を行う。これによって、自動調理の制御特性を低下させることなく、安全に大火力側への火力の変更を行うことができる。
【0043】
なお、音声による電子音説明用報知が中断され、例えば、「ピピピッという電子音が発報された後に左バーナ31の火力が大火力側に変更される」旨の一連の音声報知が途切れると、使用者は違和感を感じることになるが、制御部(燃焼制御手段)11が、自動温度調節制御の実行中において温度検出手段72が検出した温度の上昇(例えば、182℃まで上昇)に伴い左バーナ31の火力を小火力側に変更した直後に、電子音説明用報知を行うことにより、左バーナ31の火力を小火力側に変更した直後には左バーナ31の火力を大火力側に変更する必要が生じる蓋然性は低く、電子音説明用報知が上述のように中断される蓋然性が低いことから、使用者が違和感を感じることを減じるとともに、その後所定の間隔で電子音説明用報知を行うようにすることにより、次の電子音説明用報知を行う時期と火力増加報知をおこなう時期とが重複することが抑制されるようにしている。
【0044】
この実施形態のガスコンロAにおいては、上述のように、自動温度調節制御の実行中における火力増加報知を電子音によって行うとともに、自動温度調節制御の実行後に、「電子音による火力増加報知が行われるとその後にバーナの火力が大火力側に変更される」旨の、音声による電子音説明用報知を行うようにしているので、例えば、図4に示すように、大火力側に火力が変更される前の段階の、左バーナ31に形成される火炎81の先端が調理容器60の底面の外周からはみ出さないような状態から、図5に示すように、火力が大火力側に変更され、火炎81の先端が調理容器60の底面の外周からはみ出すような状態になるような場合(図4および5では、火力が大火力側になると火炎81の先端が調理容器60の底面の外周からはみ出しやすい、比較的小さい調理容器60が用いられている場合を示している)にも、使用者は、上述の電子音による火力増加報知と、音声による電子音説明用報知により、大火力側への火力の変更が行われることを確実に認識することができるため、使用者が不用意に調理容器60の底面の外周からはみ出した火炎81に近づきすぎたりすることを防止して、高い安全性を確保することができる。
【0045】
上記実施形態では、本発明をガスコンロ(ガステーブルコンロ)に適用した場合について説明したが、本発明はビルトインコンロにも適用することが可能である。
また、上記実施形態では、ガスコンロが備えるバーナの数が2つである場合を例にとって説明したが、本発明はバーナの数は2つに限定されるものではなく、1口のガスコンロ、3口以上のガスコンロにも適用することが可能である。
【0046】
また、上記実施形態では、音声による電子音説明用報知を繰り返す所定の時間間隔を3分としたが、この時間間隔は3分に限られるものではなく、それ以外の時間間隔とすることも可能である。
【0047】
本発明はさらにその他の点においても上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において種々の変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0048】
A ガスコンロ(ガステーブルコンロ)
1 ガスコンロ本体
2 トッププレート
8 ガス供給路
9 ガスバルブ
10 流量制御弁
11 制御部(燃焼制御手段)
31 左バーナ(コンロバーナ)
32 右バーナ(コンロバーナ)
33 炎孔部
41 左点消火操作部
42 右点消火操作部
43 グリル点消火操作部
44 グリル取っ手
45 グリル排気口
50 五徳
51 五徳爪
52 五徳リング
60 調理容器
72 調理容器温度検出手段(温度検出手段)
81 火炎
図1
図2
図3
図4
図5