(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6389650
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】プレキャスト基礎施工治具および施工方法
(51)【国際特許分類】
E02D 27/01 20060101AFI20180903BHJP
E02D 27/00 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
E02D27/01 102A
E02D27/00 C
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-118314(P2014-118314)
(22)【出願日】2014年6月9日
(65)【公開番号】特開2015-229914(P2015-229914A)
(43)【公開日】2015年12月21日
【審査請求日】2017年5月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086793
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅士
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(72)【発明者】
【氏名】川上 浩史
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀一
【審査官】
苗村 康造
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−017645(JP,A)
【文献】
実開昭55−085145(JP,U)
【文献】
特開2012−211496(JP,A)
【文献】
特開平07−113240(JP,A)
【文献】
特開平07−286332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/00〜 27/52
E04B 1/00〜 1/36
E02D 29/00〜 37/00
E04B 1/38〜 1/61
E04G 21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
立上り部がプレキャストコンクリート体であるプレキャスト基礎からなり、ベース部が現場打ちコンクリート体からなり、前記プレキャスト基礎の真下に位置する前記ベース部の主筋、および下端が前記主筋に結合された複数本のあばら筋が前記プレキャスト基礎の下端から突出した連続基礎における、前記プレキャスト基礎を基礎構築場所で起立姿勢に支持するプレキャスト基礎施工治具であって、
前記プレキャスト基礎の下面に取付けられる受け部と、この受け部から立ち下がる脚部と、この脚部の下端から前記プレキャスト基礎の厚さ方向に延びる下端広がり部とを有し、前記脚部は前記プレキャスト基礎の前記真下に位置する主筋の側方に位置し、前記脚部の前記主筋が位置する側方に、前記主筋に添わせて重ね継手で接合する継手鉄筋を前記側方から前記主筋に近づけるように導入可能な側方開放空間を有し、前記脚部が、高さ方向の中間部分が前記プレキャスト基礎の厚さ方向に偏るように屈曲ないしは湾曲した中間偏り形状であり、前記脚部の反偏り側となる側方に前記主筋を位置させるプレキャスト基礎施工治具。
【請求項2】
立上り部がプレキャストコンクリート体であるプレキャスト基礎からなり、ベース部が現場打ちコンクリート体からなり、前記プレキャスト基礎の真下に位置する前記ベース部の主筋、および下端が前記主筋に結合された複数本のあばら筋が前記プレキャスト基礎の下端から突出した連続基礎における、前記プレキャスト基礎を基礎構築場所で起立姿勢に支持するプレキャスト基礎施工治具であって、
前記プレキャスト基礎の下面に取付けられる受け部と、この受け部から立ち下がる脚部と、この脚部の下端から前記プレキャスト基礎の厚さ方向に延びる下端広がり部とを有し、前記脚部は前記プレキャスト基礎の前記真下に位置する主筋の側方に位置し、前記脚部の前記主筋が位置する側方に、前記主筋に添わせて重ね継手で接合する継手鉄筋を前記側方から前記主筋に近づけるように導入可能な側方開放空間を有し、前記下端広がり部の端部に、下側に至るに従って大きく凹んだ工具差し込み空間を形成する傾斜断面部が設けられたプレキャスト基礎施工治具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のプレキャスト基礎施工治具において、前記連続基礎を構築する基礎支持面に載せられた状態で前記脚部の高さを調整する高さ調整部が前記下端広がり部に設けられたプレキャスト基礎施工治具。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のプレキャスト基礎施工治具において、前記脚部は、前記主筋の上に配置された前記継手鉄筋を上方から押えて前記主筋上に前記継手鉄筋を保持する押さえ面部を備えたプレキャスト基礎施工治具。
【請求項5】
請求項2に記載のプレキャスト基礎施工治具において、前記脚部に対して前記受け部が前記プレキャスト基礎の厚さ方向の片方へ延び、かつ前記下端広がり部が前記厚さ方向の両側へ延びるユ字状であるプレキャスト基礎施工治具。
【請求項6】
請求項2に記載のプレキャスト基礎施工治具において、前記脚部に対して前記受け部および前記下端広がり部が共に、前記プレキャスト基礎の厚さ方向の両側へ延びるエ字状であるプレキャスト基礎施工治具。
【請求項7】
立上り部がプレキャストコンクリート体であるプレキャスト基礎からなり、ベース部が現場打ちコンクリート体からなり、前記プレキャスト基礎の真下に位置する前記ベース部の主筋、および下端が前記主筋に結合された複数本のあばら筋が前記プレキャスト基礎の下端から突出した連続基礎における、前記プレキャスト基礎を基礎構築場所に起立姿勢に設置し、かつ前記主筋と重ね継手で接続する継手鉄筋を配置するプレキャスト基礎施工方法であって、
前記プレキャスト基礎の下面にプレキャスト基礎施工治具を取付ける過程と、このプレキャスト基礎施工治具が取付けられたプレキャスト基礎を基礎支持面上に配置する過程と、前記継手鉄筋を前記主筋に添わせて結束線で前記主筋に結合する過程とを含み、前記プレキャスト基礎施工治具は、前記プレキャスト基礎の前記主筋の側方に位置する脚部を有し、前記脚部が、高さ方向の中間部分が前記プレキャスト基礎の厚さ方向に偏るように屈曲ないしは湾曲した中間偏り形状であり、前記主筋に結合する過程にて前記脚部の反偏り側となる側方に前記主筋を位置させることを特徴とするプレキャスト基礎施工方法。
【請求項8】
立上り部がプレキャストコンクリート体であるプレキャスト基礎からなり、ベース部が現場打ちコンクリート体からなり、前記プレキャスト基礎の真下に位置する前記ベース部の主筋、および下端が前記主筋に結合された複数本のあばら筋が前記プレキャスト基礎の下端から突出した連続基礎における、前記プレキャスト基礎を基礎構築場所に起立姿勢に設置し、かつ前記主筋と重ね継手で接続する継手鉄筋を配置するプレキャスト基礎施工方法であって、
前記プレキャスト基礎の下面にプレキャスト基礎施工治具を取付ける過程と、このプレキャスト基礎施工治具が取付けられたプレキャスト基礎を基礎支持面上に配置する過程と、前記継手鉄筋を前記主筋に添わせて結束線で前記主筋に結合する過程とを含み、前記プレキャスト基礎施工治具は、前記プレキャスト基礎の前記主筋の側方に位置する脚部と、この脚部の下端から前記プレキャスト基礎の厚さ方向に延びる下端広がり部とを有し、前記下端広がり部の端部に、下側に至るに従って大きく凹んだ工具差し込み空間を形成する傾斜断面部を備え、前記プレキャスト基礎を基礎支持面上に配置する過程にて、前記工具を前記傾斜断面部から前記下端広がり部の下に差し込み前記プレキャスト基礎を横移動させ、前記主筋に結合する過程にて、前記継手鉄筋を、前記脚部の前記主筋が位置する側方から前記主筋に近づけて前記主筋に添わせることを特徴とするプレキャスト基礎施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プレキャスト基礎を基礎構築場所で起立姿勢に支持するプレキャスト基礎施工治具、およびこのプレキャスト基礎施工治具を用いるプレキャスト基礎施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、立ち上がり部がプレキャスト基礎からなり、ベース部が現場打ちコンクリート体からなるハーフプレキャスト構造の連続基礎の施工において、前記プレキャスト基礎を基礎構築場所で起立姿勢に支持するプレキャスト基礎施工治具が用いられている。このプレキャスト基礎施工治具として、例えば
図10に示すものが提案されている(特許文献1)。
プレキャスト基礎11は、現場打ちコンクリート体に埋め込む主筋12が、あばら筋14に接合されて下方に突出しており、主筋12が干渉しないように支持する必要がある。そのため、
プレキャスト基礎施工治具31は、プレキャスト基礎11の底面に取り付けられる取付け部32から、2つの脚部33を突き出させ、両脚部33,33が主筋12を跨ぐようにしている。前記脚部33は、その下端からプレキャスト基礎11の厚さ方向に延びる下端広がり部34を有し、この下端広がり部34には0基礎支持面20に載せられた状態で前記脚部33の高さを調整するボルト39が螺合されている。
【0003】
前記プレキャスト基礎施工治具31を用いた連続基礎の施工では、このプレキャスト基礎施工治具31でプレキャスト基礎11を起立姿勢に支持し、縦列に並ぶ各プレキャスト基礎の真下に位置する各下端の主筋12,12同士を、継手鉄筋15による重ね継手で接合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−211496号公報
【特許文献2】特開2013−227787号公報
【特許文献3】特開2010−70903号公報
【特許文献4】特開2002−212957号公報
【特許文献5】特開平10−168899号公報
【特許文献6】特開平8−326065号公報
【特許文献7】特開平7−286332号公報
【特許文献8】特開平7−113240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記構成のプレキャスト基礎施工治具31では、その脚部33がプレキャスト基礎11の真下に位置する下端主筋12を跨いだ状態となる。そのため、隣り合う下端主筋12,12同士を重ね継手で接合する継手鉄筋15を下端主筋12に添わせるのに、下端主筋12を基礎長手方向に差し込む必要があって、沿わせ作業に手間がかかるという問題がある。
【0006】
また、前記脚部33の下端からプレキャスト基礎11の厚さ方向に延びる下端広がり部34は、端部断面が矩形となった単調な板状部材からなるため、
図11のようにバール21を用いてプレキャスト基礎11を横移動させる操作において、バール21を下端広がり部34の下に入れ難い。すなわち、下端広がり部34の下にバール21を深く差し込もうとすると、
図11(A)のようにバール21を寝かせて差し込む必要がある。また、
図11(B)のように前記下端広がり部34と基礎支持面20との間の隙間d’が狭い場合、バール21を下端広がり部34の下に入れられない。
【0007】
この発明の目的は、プレキャスト基礎の下方に突出した主筋を隣のプレキャスト基礎の下方に突出した主筋と接続する継手鉄筋の配置作業が容易で、プレキャスト基礎の施工の作業性を向上させることができるプレキャスト基礎施工治具および施工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前提構成のプレキャスト基礎施工治具は、立上り部がプレキャストコンクリート体であるプレキャスト基礎からなり、ベース部が現場打ちコンクリート体からなり、前記プレキャスト基礎の真下に位置する前記ベース部の主筋、および下端が前記主筋が結合された複数本のあばら筋が前記プレキャスト基礎の下端から突出した連続基礎における、前記プレキャスト基礎を基礎構築場所で起立姿勢に支持するプレキャスト基礎施工治具であって、
前記プレキャスト基礎の下面に取付けられる受け部と、この受け部から立ち下がる脚部と、この脚部の下端から前記プレキャスト基礎の厚さ方向に延びる下端広がり部とを有し、前記脚部は前記プレキャスト基礎の前記真下に位置する主筋の側方に位置し、前記脚部の前記主筋が位置する側方に、前記主筋に添わせて重ね継手で接合する継手鉄筋を前記側方から前記主筋に近づけるように導入可能な側方開放空間を有する。
【0009】
この構成によると、治具脚部の側方に、継手鉄筋を導入可能な側方開放空間を有する。そのため、前記継手鉄筋を、側方から主筋に近づけるように導入可能であり、縦列に並べられるプレキャスト基礎の真下に配筋される主筋同士を重ね継手で接合する作業を、効率良く行うことができる。
【0010】
この発明において、前記連続基礎を構築する基礎支持面に載せられた状態で前記脚部の高さを調整する高さ調整部
が前記下端広がり部に設
けられても良い。
この構成の場合、前記高さ調整部で前記脚部の高さを調整することで、プレキャスト基礎の高さを調整することができる。
【0011】
この発
明における第1の発明のプレキャスト基礎施工治具は、前記前提構成において、前記脚部が、高さ方向の中間部分が前記プレキャスト基礎の厚さ方向に偏るように屈曲ないしは湾曲した中間偏り形状であり、前記脚部の反偏り側となる側方に前記主筋を位置さ
せる。いわば、このプレキャスト基礎施工治具の側面形状をΣ字状としても良い。
この構成の場合、前記脚部をプレキャスト基礎の厚さ方向の中央に位置させても、前記脚部の中間偏り形状により、前記厚さ方向の中央に位置するベース部の主筋との干渉が回避される。そのため、プレキャスト基礎をバランス良く支持することができる。
【0012】
この発明において、前記脚部
は、前記主筋の上に配置された前記継手鉄筋を上方から押えて前記主筋上に前記継手鉄筋を保持する押さえ面部を
備えても良い。この構成の場合、継手鉄筋が前記主筋と前記押さえ面部との間に挟まれて固定される。そのため、継手鉄筋の結束線による接続作業時に継手鉄筋を作業者が手で支えておく必要がなく、重ね継手による主筋同士の接合をより容易に行うことができる。
【0013】
この発明において、前記脚部に対して前記受け部が前記プレキャスト基礎の厚さ方向の片方へ延び、かつ前記下端広がり部が前記厚さ方向の両側へ延びるユ字状であっても良い。この構成の場合も、脚部の主筋が位置する側方に、主筋に添わせて重ね継手で接合する継手鉄筋を側方から主筋に近づけるように導入可能な側方開放空間が形成される。
この発明において、前記脚部に対して前記受け部および前記下端広がり部が共に、前記プレキャスト基礎の厚さ方向の両側へ延びるエ字状であっても良い。この構成の場合、プレキャスト基礎施工治具の全体の形状が簡素となる。
【0014】
この発
明における第2の発明のプレキャスト基礎施工治具は、前記前提構成において、前記下端広がり部の端部に、下側に至るに従って大きく凹んだ工具差し込み空間を形成する傾斜断面部
が設
けられている。
この構成の場合、バール等の工具を前記下端広がり部の下方に差し込む作業が容易であり、プレキャスト基礎の位置調整を前記工具で行う作業が容易となる。
【0015】
この発明のプレキャスト基礎施工方法は、立上り部がプレキャストコンクリート体であるプレキャスト基礎からなり、ベース部が現場打ちコンクリート体からなり、前記プレキャスト基礎の真下に位置する前記ベース部の主筋、および下端が前記主筋が結合された複数本のあばら筋が前記プレキャスト基礎の下端から突出した連続基礎における、前記プレキャスト基礎を基礎構築場所に起立姿勢に設置し、かつ前記主筋と重ね継手で接続する継手鉄筋を配置するプレキャスト基礎施工方法であって、
前記プレキャスト基礎の下面にプレキャスト基礎施工治具を取付ける過程と、このプレキャスト基礎施工治具が取付けられたプレキャスト基礎を基礎構築面上に配置する過程と、前記継手鉄筋を前記主筋に添わせて結束線で前記主筋に結合する過程とを含み、前記プレキャスト基礎施工治具は、前記プレキャスト基礎の前記主筋の側方に位置する脚部を有し、
前記脚部が、高さ方向の中間部分が前記プレキャスト基礎の厚さ方向に偏るように屈曲ないしは湾曲した中間偏り形状であり、前記主筋に結合する過程にて前記脚部の反偏り側となる側方に前記主筋を位置させることを特徴とする
。
この発明の他のプレキャスト基礎施工方法は、立上り部がプレキャストコンクリート体であるプレキャスト基礎からなり、ベース部が現場打ちコンクリート体からなり、前記プレキャスト基礎の真下に位置する前記ベース部の主筋、および下端が前記主筋に結合された複数本のあばら筋が前記プレキャスト基礎の下端から突出した連続基礎における、前記プレキャスト基礎を基礎構築場所に起立姿勢に設置し、かつ前記主筋と重ね継手で接続する継手鉄筋を配置するプレキャスト基礎施工方法であって、
前記プレキャスト基礎の下面にプレキャスト基礎施工治具を取付ける過程と、このプレキャスト基礎施工治具が取付けられたプレキャスト基礎を基礎支持面上に配置する過程と、前記継手鉄筋を前記主筋に添わせて結束線で前記主筋に結合する過程とを含み、前記プレキャスト基礎施工治具は、前記プレキャスト基礎の前記主筋の側方に位置する脚部と、この脚部の下端から前記プレキャスト基礎の厚さ方向に延びる下端広がり部とを有し、前記下端広がり部の端部に、下側に至るに従って大きく凹んだ工具差し込み空間を形成する傾斜断面部を備え、前記プレキャスト基礎を基礎支持面上に配置する過程にて、前記工具を前記傾斜断面部から前記下端広がり部の下に差し込み前記プレキャスト基礎を横移動させ、前記主筋に結合する過程にて、前記継手鉄筋を、前記脚部の前記主筋が位置する側方から前記主筋に近づけて前記主筋に添わせることを特徴とする。
【0016】
この施工方法によると、継手鉄筋を、前記脚部の主筋が位置する側方から主筋に近づけて主筋に添わせるので、縦列に並べられるプレキャスト基礎の真下に配筋される主筋同士を重ね継手で接合する作業を効率良く行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
この発
明における第1の発明のプレキャスト基礎施工治具は、立上り部がプレキャストコンクリート体であるプレキャスト基礎からなり、ベース部が現場打ちコンクリート体からなり、前記プレキャスト基礎の真下に位置する前記ベース部の主筋、および下端が前記主筋に結合された複数本のあばら筋が前記プレキャスト基礎の下端から突出した連続基礎における、前記プレキャスト基礎を基礎構築場所で起立姿勢に支持するプレキャスト基礎施工治具であって、前記プレキャスト基礎の下面に取付けられる受け部と、この受け部から立ち下がる脚部と、この脚部の下端から前記プレキャスト基礎の厚さ方向に延びる下端広がり部とを有し、前記脚部は前記プレキャスト基礎の前記真下に位置する主筋の側方に位置し、前記脚部の前記主筋が位置する側方に、前記主筋に添わせて重ね継手で接合する継手鉄筋を前記側方から前記主筋に近づけるように導入可能な側方開放空間を
有し(前提構成)、前記脚部が、高さ方向の中間部分が前記プレキャスト基礎の厚さ方向に偏るように屈曲ないしは湾曲した中間偏り形状であり、前記脚部の反偏り側となる側方に前記主筋を位置させるものとしたため、プレキャスト基礎の下方に突出した主筋を隣のプレキャスト基礎の下方に突出した主筋と接続する継手鉄筋の配置作業が容易に行え、前記主筋同士の重ね継手による接合作業を効率良く行うことができる
。
この発明における第2の発明のプレキャスト基礎施工治具は、前記前提構成において、前記下端広がり部の端部に、下側に至るに従って大きく凹んだ工具差し込み空間を形成する傾斜断面部が設けられたため、プレキャスト基礎の下方に突出した主筋を隣のプレキャスト基礎の下方に突出した主筋と接続する継手鉄筋の配置作業が容易に行え、前記主筋同士の重ね継手による接合作業を効率良く行うことができる。
【0018】
この発明のプレキャスト基礎施工方法は、立上り部がプレキャストコンクリート体であるプレキャスト基礎からなり、ベース部が現場打ちコンクリート体からなり、前記プレキャスト基礎の真下に位置する前記ベース部の主筋、および下端が前記主筋に結合された複数本のあばら筋が前記プレキャスト基礎の下端から突出した連続基礎における、前記プレキャスト基礎を基礎構築場所に起立姿勢に設置し、かつ前記主筋と重ね継手で接続する継手鉄筋を配置するプレキャスト基礎施工方法であって、前記プレキャスト基礎の下面にプレキャスト基礎施工治具を取付ける過程と、このプレキャスト基礎施工治具が取付けられたプレキャスト基礎を基礎支持面上に配置する過程と、前記継手鉄筋を前記主筋に添わせて結束線で前記主筋に結合する過程とを含み、前記プレキャスト基礎施工治具は、前記プレキャスト基礎の前記主筋の側方に位置する脚部を有し
、前記脚部が、高さ方向の中間部分が前記プレキャスト基礎の厚さ方向に偏るように屈曲ないしは湾曲した中間偏り形状であり、前記主筋に結合する過程にて前記脚部の反偏り側となる側方に前記主筋を位置させるため、プレキャスト基礎の下方に突出した主筋を隣のプレキャスト基礎の下方に突出した主筋と接続する継手鉄筋の配置作業が容易に行え、前記主筋同士の重ね継手による接合作業を効率良く行うことができる
。
この発明の他のプレキャスト基礎施工方法は、立上り部がプレキャストコンクリート体であるプレキャスト基礎からなり、ベース部が現場打ちコンクリート体からなり、前記プレキャスト基礎の真下に位置する前記ベース部の主筋、および下端が前記主筋に結合された複数本のあばら筋が前記プレキャスト基礎の下端から突出した連続基礎における、前記プレキャスト基礎を基礎構築場所に起立姿勢に設置し、かつ前記主筋と重ね継手で接続する継手鉄筋を配置するプレキャスト基礎施工方法であって、前記プレキャスト基礎の下面にプレキャスト基礎施工治具を取付ける過程と、このプレキャスト基礎施工治具が取付けられたプレキャスト基礎を基礎支持面上に配置する過程と、前記継手鉄筋を前記主筋に添わせて結束線で前記主筋に結合する過程とを含み、前記プレキャスト基礎施工治具は、前記プレキャスト基礎の前記主筋の側方に位置する脚部と、この脚部の下端から前記プレキャスト基礎の厚さ方向に延びる下端広がり部とを有し、前記下端広がり部の端部に、下側に至るに従って大きく凹んだ工具差し込み空間を形成する傾斜断面部を備え、前記プレキャスト基礎を基礎支持面上に配置する過程にて、前記工具を前記傾斜断面部から前記下端広がり部の下に差し込み前記プレキャスト基礎を横移動させ、前記主筋に結合する過程にて、前記継手鉄筋を、前記脚部の前記主筋が位置する側方から前記主筋に近づけて前記主筋に添わせるため、プレキャスト基礎の下方に突出した主筋を隣のプレキャスト基礎の下方に突出した主筋と接続する継手鉄筋の配置作業が容易に行え、前記主筋同士の重ね継手による接合作業を効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】この発明のプレキャスト基礎施工治具を用いて施工される連続基礎の縦断面図である。
【
図3】この発明の第1の実施形態にかかるプレキャスト基礎施工治具の斜視図である。
【
図4】同プレキャスト基礎施工治具でプレキャスト基礎を起立姿勢に支持した状態を示す正面図である。
【
図5】同プレキャスト基礎施工治具で支持されたプレキャスト基礎をバールを用いて横移動操作する場合の操作性の説明図である。
【
図6】この発明の他の実施形態にかかるプレキャスト基礎施工治具でプレキャスト基礎を起立姿勢に支持した状態を示す正面図である。
【
図7】この発明のさらに他の実施形態にかかるプレキャスト基礎施工治具でプレキャスト基礎を起立姿勢に支持した状態を示す正面図である。
【
図8】この発明のさらに他の実施形態にかかるプレキャスト基礎施工治具でプレキャスト基礎を起立姿勢に支持した状態を示す正面図である。
【
図9】この発明のさらに他の実施形態にかかるプレキャスト基礎施工治具でプレキャスト基礎を起立姿勢に支持した状態を示す正面図である。
【
図10】プレキャスト基礎施工治具の従来例を示す正面図である。
【
図11】同プレキャスト基礎施工治具で支持されたプレキャスト基礎をバールを用いて横移動操作する場合の操作性の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明の第1の実施形態を
図1ないし
図5と共に説明する。
図1はこの実施形態のプレキャスト基礎施工治具を用いて施工される連続基礎の縦断面図を示し、
図2はその連続基礎の部分正面図を示す。この連続基礎10は、立上り部10Aがプレキャストコンクリート体であり、ベース部10Bが現場打ちコンクリート体からなるハーフプレキャスト構造である。プレキャスト基礎11は、複数個が縦列に並べて配置される。プレキャスト基礎11の真下には、前記ベース部10Bの主筋12が配筋されると共に、この主筋12に下端が溶接される複数本のあばら筋14がプレキャスト基礎11の下端から突出している。
主筋12は、連続基礎の下端筋となる。隣り合うプレキャスト基礎11の真下にそれぞれ配筋される前記主筋12,12同士は、これら主筋12に継手鉄筋15を添わせ、結束線16で結束する重ね継手により互いに接合される。各プレキャスト基礎11の上部に配筋される主筋13同士は、図示しない機械継手で接続される。
【0021】
前記各プレキャスト基礎11は、
図3に示すこの実施形態のプレキャスト基礎施工治具1を用いて、
図4のように基礎構築場所における前記連続基礎10を構築する基礎支持面20の上に起立姿勢に支持される。このプレキャスト基礎施工治具1は鋳物製品からなり、プレキャスト基礎11の下面に取付けられる受け部2と、この受け部2から立ち下がる脚部3と、この脚部3の下端からプレキャスト基礎11の厚さ方向に延びる板状の下端広がり部4とを有する。脚部3は、プレキャスト基礎11の長手方向に並べられた2本の脚部構成材3A,3Aで構成され、これら脚部構成材3A,3Aは、共通の受け部2および下端広がり部4に続いている。脚部3は、プレキャスト基礎11の真下に位置する主筋12の側方に位置する。
【0022】
前記受け部2には、この受け部2を前記プレキャスト基礎11の下面に結合するボルト5を挿通させるボルト挿通孔6が、プレキャスト基礎11の厚さ方向に振り分けて2つ設けられている。これに対応して、プレキャスト基礎11の下端部には、
図4のように前記ボルト5が螺合する2つの高ナット7が埋設されている。これにより、プレキャスト基礎11の下面に前記受け部2が結合される。
【0023】
前記脚部3は、プレキャスト基礎11の真下に位置する前記主筋12の側方に位置する。すなわち、前記脚部3は、高さ方向の中間部分がプレキャスト基礎11の厚さ方向に偏るように屈曲ないしは湾曲した中間偏り形状、具体的にはΣ字形状とされており、脚部3の反偏り側となる側方に前記主筋12を位置させる。
脚部3をこのようなΣ字形状とすると、この脚部3をプレキャスト基礎11の厚さ方向の中央に位置させても、脚部3の中間偏り形状により、前記厚さ方向の中央に位置するベース部の主筋12との干渉が回避される。そのため、プレキャスト基礎11をバランス良く支持することができる。
【0024】
前記下端広がり部4は、プレキャスト基礎11の厚み方向に延びる板状部とされ、その長手方向の両端部のネジ孔に、前記脚部3の高さを調整する高さ調整部となる高さ調整ボルト9が螺合される。
図1の連続基礎10を構築する前記基礎支持面20の上にプレキャスト基礎施工治具1が載せられた状態で、前記高さ調整ボルト9を廻すことにより、脚部3の高さを調整することができる。
【0025】
前記下端広がり部4における、プレキャスト基礎11の厚さ方向の端部、およびプレキャスト基礎11の長手方向の端部には、下側に至るに従って大きく凹んだ工具差し込み空間を形成する傾斜断面部4aが設けられている。ここでは、下端広がり部4の長手方向および幅方向の両方の端部に前記傾斜断面部4aが設けられているが、長手方向の端部だけに設けられていても、幅方向の端部だけに設けられていても良い。
【0026】
このプレキャスト基礎施工治具1を用いた前記連続基礎10の施工方法は、以下のように行われる。
まず、プレキャスト基礎11の下面に、前記ボルト5を用いてプレキャスト基礎施工治具1の受け部2を取付ける。次に、このプレキャスト基礎施工治具1が取付けられたプレキャスト基礎11を、基礎支持面20上に配置する。次に、
図2のように継手鉄筋15を前記主筋12に添わせて結束線16で主筋12に結合する。プレキャスト基礎施工治具1は、上記したように主筋12の側方に位置する脚部3を有するので、継手鉄筋15を、脚部3の主筋12が位置する側方から主筋12に近づけて主筋12に添わせることができ、プレキャスト基礎施工の施工効率を上げることができる。
【0027】
また、この実施形態では、前記下端広がり部4における、プレキャスト基礎11の厚さ方向の端部、およびプレキャスト基礎11の長手方向の端部に前記傾斜断面部4aが設けられているので、
図5のようにバール21等の工具を用いてプレキャスト基礎11を横移動させる操作において、バール21を下端広がり部4の下に入れ易く、プレキャスト基礎11の横移動操作を容易に行うことができる。例えば、
図10に示した従来のプレキャスト基礎施工治具31は、下端広がり部34に前記傾斜断面部4aを有しないので、
図11(A)のように基礎支持面20と下端広がり部34との隙間dへバール21を深く差し込む(差し込み量L)ために、バール21を寝かせて(傾斜角度θ)差し込む必要がある。これに対して、この実施形態のプレキャスト基礎施工治具1では、下端広がり部4に前記傾斜断面部4aを有するので、
図5(A)のようにバール21を同じ差し込み量Lだけ差し込むのに、バール21の傾斜角度を大きく(2θ)できる。また、バール21の傾斜角度を従来のプレキャスト基礎施工治具31の場合と同じ角度θとする場合には、
図5(B)のように差し込み量を多く(2L)することができる。これにより、バール21による横移動操作を容易に行うことができる。また、従来のプレキャスト基礎施工治具31では、
図11(B)のように基礎支持面20と下端広がり部34との隙間d’が小さくなると、バール21を差し込むことができなくなるが、この実施形態のプレキャスト基礎施工治具1では、下端広がり部4に前記傾斜断面部4aを有するので、前記隙間d’が小さくなった場合でも、
図5(C)のようにバール21を確実に差し込むことができる。
【0028】
図6は、この発明の他の実施形態を示す。この実施形態では、
図1ないし
図5に示した先の実施形態において、前記脚部3に、前記主筋12の上に配置された前記継手鉄筋15を上方から押さえて主筋12上に継手鉄筋15を保持する押さえ面部3aを設けている。その他の構成は、先の実施形態の場合と同様である。
【0029】
このように、前記脚部3に押さえ面部3aを設けた場合、主筋12はあばら筋14と熔接されているため、継手鉄筋15が主筋12と前記押さえ面部3aとの間に挟まれて固定される。そのため、継手鉄筋15の結束線による接続作業時に継手鉄筋15を作業者が手で支えておく必要がない。このため、重ね継手による主筋12,12同士の接合をより容易に行うことができる。
【0030】
図7は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態では、プレキャスト基礎施工治具1が、
図1〜
図5に示した先の実施形態の場合のような鋳物製品ではなく、複数の部材を溶接などで接合して全体としてΣ字形状のものに構成している。この構成の場合、案にプレキャスト基礎施工治具1を製造することができる。その他の構成および作用効果は先の実施形態の場合と同様である。
【0031】
図8は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態では、脚部3に対して受け部2がプレキャスト基礎11の厚さ方向の片方へ延び、かつ下端広がり部4が前記厚さ方向の両側へ延びるユ字状とされている。その他の構成は先の実施形態の場合と同様である。
【0032】
このように構成した場合も、脚部3の主筋12が位置する側方に、主筋12に添わせて重ね継手で接合する継手鉄筋15を側方から主筋12に近づけるように導入可能な側方開放空間8が形成される。これにより、継手鉄筋15を、脚部3の主筋12が位置する側方から主筋12に近づけて主筋12に添わせることができるので、プレキャスト基礎施工の施工効率を上げることができる。
【0033】
図9は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態では、脚部3に対して受け部2および下端広がり部4が共に、プレキャスト基礎11の厚さ方向の両側へ延びるエ字状とされている。その他の構成は先の実施形態の場合と同様である。
【0034】
このように構成した場合も、脚部3の主筋12が位置する側方に、主筋12に添わせて重ね継手で接合する継手鉄筋15を側方から主筋12に近づけるように導入可能な側方開放空間8が形成される。これにより、継手鉄筋15を、脚部3の主筋12が位置する側方から主筋12に近づけて主筋12に添わせることができるので、プレキャスト基礎施工の施工効率を上げることができる。
【符号の説明】
【0035】
1…プレキャスト基礎施工治具
2…受け部
3…脚部
3a…押さえ面部
4…下端広がり部
4a…傾斜断面部
8…側方開放空間
9…高さ調整ボルト(高さ調整部)
10…連続基礎
10A…立上り部
10B…ベース部
11…プレキャスト基礎
12…主筋
14…あばら筋
15…継手鉄筋
16…結束線
20…基礎支持面