(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
図1(A)〜(C)を用いて、第1実施形態に係る部材端部構造について説明する。
ここに、
図1(A)は第1実施形態に係る部材端部構造の斜視図、(B)は(A)のX1−X1線断面図、(C)は部材端モーメントの大きさを示す特性図である。
【0016】
図1(A)、(B)に示すように、本実施形態に係る部材端部構造は、柱(第1鋼材)12、梁(第2鋼材)14、及び複数のリブ(補強鋼材)18、20を有する柱梁接合部10の接合構造である。柱12は接合部12Sを有し、接合部12Sには、梁14とリブ18、20が接合されている。
【0017】
柱12は、断面形状が矩形状の角形鋼管柱である。柱12の側壁には接合部12Sが設けられ、柱12の内部の接合部12Sの位置には、補強用のダイアフラム(補強鋼材)16が設けられている。ダイアフラム16は、梁14のフランジ14Fが接合される位置に、横方向に設けられている。また、ダイアフラム16は、必要に応じて、後述するリブ18、20が接合される位置にも設けられている。
【0018】
梁14は、H形鋼製の梁であり、柱12側の梁端部(第1鋼材側端部)14Eが、柱12の接合部12Sに接合(溶接接合)されている。梁14のウェブ14Wには、リブ18、20が接合されている。リブ18、20は、ウェブ14Wの片面に2本ずつ、両面で4本が接合されている。なお、リブ18、20は、ウェブ14Wを挟んで対称に配置されているので、片面のみについて以後説明する。
【0019】
リブ18、20は、例えば梁14と同じ材質の鋼材で平板状に形成されている。リブ18、20の幅W1や長さL1は、いずれも同じ寸法とされ、これらの値は、柱梁接合部10に要求される曲げ耐力により決定される。
2枚のリブ18、20は、梁14に曲げモーメントが作用したときのモーメントの中立軸MCを挟んで、フランジ14Fと並行に1枚ずつ取付けられている。中立軸MCからリブ18、20までの距離h1、h2は、等距離が望ましいが、異なっていても良い。
【0020】
リブ18、20の柱12側の
長手方向の端部18E、20Eは、柱12の接合部12Sに接合(例えば溶接接合)されている。また、梁14側の長手方向
に沿った端部18S、20Sは、梁14のウェブ14Wの側面に接合されている。
これにより、リブ18、20にも、梁14の軸方向の応力を負担させることができる。
【0021】
本構成とすることにより、例えば、梁14が、
図1(A)に示す曲げモーメントMを受けたとき、リブ18は引張力に抵抗するよう作用し、リブ20は圧縮力に抵抗するよう作用する。これにより、梁14の曲げ耐力を向上させることができる。
なお、曲げモーメントMの方向が
図1(A)に示す方向と反対方向の場合には、リブ18、20に作用する引張力と圧縮力は、それぞれ入れ替わる。
【0022】
また、リブ18、20の端部18E、20Eが柱12の接合部12Sに接合されているため、梁14に作用する曲げモーメントMによる塑性変形領域を、梁14の端部14Eから、梁14の中央部方向へ広げることがでる。
これにより、梁14の端部14Eへの塑性変形の集中が抑制され、梁14の端部14Eの損傷を抑制することができる。
【0023】
次に、柱梁接合部10に作用する部材端モーメントについて説明する。
図1(C)に部材端モーメントの特性を示す。横軸は部材回転角、縦軸は部材端モーメントである。破線で示す特性22がリブ18、20を有しない通常の柱梁接合部の計算結果であり、実線で示す特性24が本実施形態の柱梁接合部10の計算結果である。
【0024】
図1(C)において、部材回転角を増大させると、部材回転角に比例して部材端モーメントは、徐々に増大する。部材端モーメントの大きさは、部材回転角の増大開始から丸印で示す初期降伏点A1までの範囲においては、特性22と特性24は殆ど差がない。
【0025】
一方、部材回転角が初期降伏点A1より大きい範囲においては、特性24が特性22を上回っている。即ち、範囲AR1で示す二次剛性、及び範囲AR2で示す終局耐力は、いずれも特性24が特性22より高くなっている。
即ち、本実施形態では、梁14の初期降伏点をほとんど変えることなく、二次剛性及び終局耐力を高め、梁14の端部の損傷を抑制することができるといえる。
【0026】
以上説明したように、本実施形態によれば、リブ18、20の端部18E、20Eは柱12の接合部12Sに接合され、端部18S、20Sは梁14のウェブ14Wに接合されている。これにより、梁14のフランジ14Fのみでなく、ウェブ14Wに接合されたリブ18、20にも、梁14の軸方向の応力を負担させることができる。
即ち、梁14が地震力等で曲げモーメントMを受けたとき、モーメントの中立軸MCを挟んで設けられたリブ18、20の一方は、引張力に抵抗するよう作用し、他方は、圧縮力に抵抗するよう作用し、梁14の曲げ耐力を向上させる。
【0027】
更に、モーメントの中立軸MCに沿って、梁14のウェブ14Wの両面に設けられたリブ18、20を、モーメントの中立軸MCと平行に設けることにより、梁14に作用する曲げモーメントMによる塑性変形領域を、梁14の中央部方向へ広げ、梁14の部材端部14Eの塑性ひずみを小さくすることができる。これにより、梁14を破断や疲労に強くすることができる。
また、梁14のウェブ14Wにリブ18、20を接合する構成なので、新築建物への適用のみならず、既築建物の改修にも容易に適用できる。
【0028】
なお、本実施形態では、2枚のリブ18、20を採用した場合について説明した。しかし、これに限定されることはなく、3枚以上の枚数のリブを採用しても良い。しかし、ウェブ14Wへの接合場所の制約がある。このため、リブ18、20の板厚を変更して補強強度の調節を行ってもよい。即ち、板厚を厚くすることで補強強度を高くし、板厚を薄くすることで補強強度を低くすることができる。
【0029】
また、リブ18、20を、梁14と異なる材質で形成してもよい(異材質リブ)。例えば、リブ18、20の部材強度を、梁14より高い材質とすることにより、リブ18、20の形状を大きくすることなく必要な強度を持たせることができる。また、使用目的によっては、リブ18、20の強度を、梁14より低い材質としてもよい。
これにより、設計の自由度を増すことができる。
【0030】
また、本実施形態では、柱12は角形鋼管柱を例にとり説明した。しかし、これに限定されることはなく、例えばH形鋼等、他の断面形状の部材であってもよい。
また、梁14はH形鋼を例にとり説明した。しかし、これに限定されることはなく、例えばI形鋼等、他の断面形状の部材であってもよい。
また、ダイアフラム16については内ダイアフラムを例にとり説明したが、これに限定されることはなく、外ダイアフラム、通しダイアフラム等であってもよい。
【0031】
(第2実施形態)
図2(A)を用いて、第2実施形態に係る部材端部構造について説明する。
ここに、
図2(A)は、第2実施形態に係る部材端部構造の正面図を示している。
図2(A)に示すように、第2実施形態に係る部材端部構造は、柱12、梁14、及びリブ32、33を有する柱梁接合部30の接合構造である。柱梁接合部30は、リブ32とリブ33の間の間隔が、梁14の端部から中央部へ向けて狭められている点において、第1実施形態と相違する。相違点を中心に説明する。
【0032】
リブ(中央側接近リブ)32、33は、鋼材で平板状に形成され、梁14に曲げモーメントが作用したときのモーメントの中立軸MCを挟んで、中立軸MCの両側に1枚ずつ設けられている。また、リブ32、33の端部32E、33Eは、いずれも柱12の接合部12Sに接合されている。また、リブ32、33の長手方向
に沿った端部32S、33Sは、いずれも、梁14のウェブ14Wの側面に接合されている。
【0033】
リブ32、33は、梁14の端部14Eから中央部へ向けて、リブ間の上下方向の間隔が狭められている。即ち、リブ32、33の上下方向の間隔は、柱12の接合部12Sでは距離D1であるが、梁の中央側の端部では距離D2に狭くされている(距離D1>距離D2)。
このように、梁14の端部14Eから中央部へ向けて、リブ間の上下方向の間隔が狭められたリブ32、33を設けることにより、梁14の曲げ耐力を、柱12に近い端部ほど大きくすると共に、中央部へ向けて小さくすることができる。
【0034】
この結果、梁14の端部14Eに集中する塑性変形を、リブ32、33で効率よく、梁14の中央方向へ広げ(分散させ)、梁14の端部14Eの塑性ひずみを小さくすることができる。即ち、梁14の端部14Eへの塑性変形の集中が抑制される。
他の構成は、第1実施形態と同じであり説明は省略する。
【0035】
次に、他の展開例である、柱梁接合部36について説明する。
図2(B)の正面図に示ように、柱梁接合部36は、柱12、梁14、及びリブ34、35を有している。リブ(中央側離間リブ)34、35は、梁14の端部14Eから中央部へ向けて、リブ間の間隔が上下方向に広げられている点において、リブ32、33と相違する。即ち、リブ34、35の上下方向の間隔は、柱12の接合部12Sでは距離D3であるが、梁の中央側の端部では距離D4に広くされている(距離D3<距離D4)。
【0036】
このように、梁14の端部14Eから中央部へ向けて、リブ間の間隔が広げられたリブ34、35を設けることにより、梁14の塑性変形領域を、梁14の端部14Eに限定することができる。この結果、梁14の中央部を梁材として再利用することができる。他の構成は、リブ32、33と同じであり説明は省略する。
【0037】
(第3実施形態)
図3(A)、(B)を用いて、第3実施形態に係る部材端部構造について説明する。
ここに、
図3(A)は、第3実施形態に係る部材端部構造の水平断面図であり、(B)は梁の曲げ耐力を説明するための模式図である。
図3(A)に示すように、第3実施形態に係る部材端部構造は、柱12、梁14、及びリブ42、44を有する柱梁接合部40の接合構造である。柱梁接合部40は、リブ42、44の幅が、梁14の端部から中央部へ向けて狭められている点において、第1実施形態と相違する。相違点を中心に説明する。
【0038】
リブ(幅縮小リブ)42、44は、鋼材で平板状に形成され、梁14に曲げモーメントが作用したときのモーメントの中立軸MCを挟んで両側に1枚ずつ、合計4枚設けられている。リブ42、44はウェブ14Wに上下方向に配置されている。端部42E、44Eが柱12の接合部12Sに接合され、長手方向
に沿った端部42S、44Sが、梁14のウェブ14Wの側面に接合されている。
【0039】
リブ42、44は、平面視において、柱12側の端部リブ42E、44Eから中央部へ向けて幅Wが狭められている。即ち、柱12との接合部の幅W2より、梁14の中央側の幅W3が狭くされている(幅W2>幅W3)。
これにより、梁14の曲げ耐力を、柱12に近い端部ほど大きくすると共に、中央部へ向けて小さくすることができる。
【0040】
次に、
図3(B)を用いて、柱梁接合部40の曲げ耐力について説明する。横軸は梁14の長さであり、縦軸は梁14の曲げ耐力である。
【0041】
実線で示す特性T1〜T3は、地震力を受けたときの梁14に生じる曲げモーメントである。地震力が小さい場合には、曲げモーメントT1は小さく、非地震時の基準線T0に対して若干の傾斜を持った直線となる。このとき、曲げモーメントT1は梁14の中央部がゼロとなり、両端部に向けて直線的に増大する。特性T0と特性T1の間にのみ、ハッチングを記載している。地震力が増大するに伴い、梁14に生じる曲げモーメントT2、T3は、傾斜が大きくなる。
【0042】
一方、梁14の曲げ耐力S1は、梁14の長さ方向に関係なく破線で示すように一定である。このため、例えば、曲げモーメントT3が作用しようとしても、梁14の端部14Eは曲げ耐力S1を超える曲げモーメントP1を負担できないので、塑性変形が端部14Eで生じ、かつそこに集中する。
しかし、
図3(B)に示すように、梁14の両端部にリブ42、44を設けることで、リブ42、44が負担する曲げ耐力S2を、梁14の曲げ耐力S1に加算することができる。
【0043】
この結果、梁14の両端部の曲げ耐力S1+S2は、破線で示す傾斜した特性となる。これにより、曲げモーメントT3が作用しても、曲げ耐力S1+S2が曲げモーメントT3より大きいため、梁14の端部14Eの塑性変形を抑制できる。
このとき、リブ42、44が負担する曲げ耐力S2の傾きは、リブ42、44の幅を調整することで、曲げモーメントT3の傾きに一致させることができる。これにより、T3より大きな曲げモーメントが作用しようとした時、塑性変形は、梁中央方向に長さL2の範囲に渡ってほぼ一様に分散するため、端部14Eへの集中を避けることができる。
【0044】
以上説明したように、本構成とすることにより、柱梁接合部40の曲げ耐力を、曲げモーメントの大きさに対応させて、柱12に近い部位ほど大きく、中央部へ向けて小さくすることができる。この結果、梁14の端部14Eに集中する塑性変形を、リブ42、44で効率良く、塑性変形領域を分散させ、梁14の中央方向へ広げることで、梁14の端部14Eの塑性ひずみを小さくすることができる。
なお、リブ42、44は中央に向かって連続的に幅が縮小する補強鋼材を例にとって説明したが、これに限定されることはなく、段階的に幅が縮小する補強鋼材等でもよい。
他の構成は、第1実施形態と同じであり説明は省略する。
【0045】
(第4実施形態)
図4(A)、(B)を用いて、第4実施形態に係る部材端部構造について説明する。
ここに、
図4(A)は、第4実施形態に係る部材端部構造の水平断面図であり、(B)は梁の曲げ耐力を説明するための模式図である。
図4(A)に示すように、第4実施形態に係る部材端部構造は、柱12、梁14及びリブ52、54を有する柱梁接合部50の接合構造である。柱梁接合部50は、リブ52、54の長手方向の中央部に貫通孔56が設けられている点において、第1実施形態と相違する。相違点を中心に説明する。
【0046】
リブ(孔あきリブ)52、54は、鋼材で平板状に形成され、梁14に曲げモーメントが作用したときのモーメントの中立軸MCを挟んで、ウェブ14Wの上下方向に配置されている。リブ52、54の端部52E、54Eは、柱12の接合部12Sに接合され、リブ52、54の長手方向
に沿った端部52S、54Sは、梁14のウェブ14Wの側面に接合されている。
【0047】
また、リブ52、54の長手方向の中央部には、貫通孔56が開けられている。貫通孔56を設けることにより、簡単な構成で、貫通孔56の位置で梁14の曲げ耐力を小さくすることができ、塑性変形領域を任意の位置に形成させることができる。
【0048】
次に、
図4(B)を用いて、柱梁接合部50の曲げ耐力について説明する。横軸は梁14の長さであり、縦軸は梁14の曲げ耐力である。
【0049】
実線で示す特性T1〜T3は、第3実施形態と同じであり説明は省略する。
一方、梁14の曲げ耐力S1は、梁14の長さ方向に関係なく破線で示すように一定である。このため、例えば、曲げモーメントT3が作用しようとしても、梁14の端部14Eは曲げ耐力S1を超える曲げモーメントP2を負担できないので、塑性変形が端部14Eで生じ、かつそこに集中する。
しかし、
図4(B)に示すように、梁14の両端部にリブ52、54を設けることで、リブ42、44による曲げ耐力S3を梁14の曲げ耐力S1に加算することができる。ここに、S3は、貫通孔56の位置で凹部を形成している。
【0050】
この結果、梁14の両端部の曲げ耐力S1+S3は、破線で示す凹凸部を備えた特性となる。これにより、梁14の端部14Eの曲げ耐力S1+S3を曲げモーメントT3より大きくすることで、曲げモーメントT3が作用しても、梁14の端部14Eの塑性変形を抑制できる。
このとき、曲げ耐力S2の凹凸部の位置を、リブ52、54に設ける貫通孔の位置と大きさで調整することにより、曲げモーメントT3が梁の曲げ耐力S1+S3に最初に到達する位置をL3の範囲内で任意に設定することができる。
【0051】
以上説明したように、本構成とすることにより、梁14の曲げ耐力を、曲げモーメントの大きさに対応させて、柱12に近い部位ほど大きくすることができる。また、梁14の曲げ耐力を、S1以上ではあるが、S1に近い値まで小さい部位を作ることができる。
この結果、梁14の端部14Eに集中する塑性変形を、リブ52、54で効率良く、塑性変形領域を分散させ、梁14の中央方向へ広げることができ、梁14の端部14Eの塑性ひずみを小さくすることができる。さらに、塑性変形が集中する位置を、溶接接合部である端部14Eではなく、貫通孔56が設けられる位置にすることができる。これにより、溶接部の破断を回避することができる。
他の構成は、第1実施形態と同じであり説明は省略する。
【0052】
(第5実施形態)
図5(A)を用いて、第5実施形態に係る部材端部構造について説明する。
ここに、
図5(A)は、第5実施形態に係る部材端部構造の水平断面図である。
図5(A)に示すように、第5実施形態に係る部材端部構造は、柱12、梁14、及びリブ62、64を有する柱梁接合部60の接合構造である。柱梁接合部60は、リブ62、64に、ドッグボーンと呼ばれる切欠き部66が開けられている点において、第1実施形態と相違する。相違点を中心に説明する。
【0053】
リブ(ドッグボーンリブ)62、64は、鋼材で平板状に形成され、梁14に曲げモーメントが作用したときのモーメントの中立軸MC(不図示)を挟んで、ウェブ14Wの上下方向に配置されている。リブ62、64の端部62E、64Eは柱12の接合部12Sに接合され、長手方向
に沿った端部62S、64Sは、梁14のウェブ14Wの側面に接合されている。
【0054】
リブ62、64は、平面視において、長手方向の中間部に周囲より幅が狭いドッグボーンと呼ばれる切欠き部66が設けられている。これにより、切欠き部66の位置で梁14の曲げ耐力を小さくでき、塑性変形領域を任意の位置に形成させることができる。
【0055】
この結果、梁14の端部14Eに集中する塑性変形を、リブ62、64で効率良く、効率的に、塑性変形領域を分散させることができる。即ち、塑性変形領域を梁14の中央方向へ広げ、溶接接合部である端部14Eではなく、切欠き部66の位置に集中させることができる。
他の構成は、第1実施形態と同じであり説明は省略する。
【0056】
(第6実施形態)
図5(B)を用いて、第6実施形態に係る部材端部構造について説明する。
ここに、
図5(B)は、第6実施形態に係る部材端部構造の水平断面図である。
図5(A)に示すように、第6実施形態に係る部材端部構造は、柱12、梁78、及びリブ72、74を有する柱梁接合部70の接合構造である。柱梁接合部70は、リブ72、74が、ウェブ14Wの片面にのみ設けられている点において、第1実施形態と相違する。相違点を中心に説明する。
【0057】
リブ(片面リブ)72、74は、鋼材で平板状に形成され、梁78のウェブ78Wの片面にのみ、上下方向に2枚設けられている。
リブ72、74は、梁78に曲げモーメントが作用したときのモーメントの中立軸MC(不図示)を挟んで、上下に設けられている。リブ72、74の端部72Eは柱12の接合部12Sに接合され、リブ62A、62Bの長手方向
に沿った端部72S、74Sは、梁14のウェブ14Wの側面に接合されている。
【0058】
本構成とすることにより、梁78が偏心して柱12と接合されている場合に、リブ72、74で、柱12と梁78の偏心の度合いを低減することができる。
この結果、梁78の端部78Eに集中する塑性変形領域を、リブ72、74で効率良く、効率的に分散させることができる。即ち、塑性変形領域を梁の中央方向へ広げ、梁78の端部78Eの塑性ひずみを小さくすることができる。
他の構成は、第1実施形態と同じであり説明は省略する。
【0059】
(第7実施形態)
図6(A)、(B)を用いて、第7実施形態に係る部材端部構造について説明する。
ここに、
図6(A)は、第7実施形態に係る部材端部構造の正面図であり、(B)は斜視図である。
図6(A)に示すように、第7実施形態に係る部材端部構造は、柱12、梁14及びリブ82、84を有する柱梁接合部80の接合構造である。柱梁接合部80は、リブ82、84が、ウェブ14Wの片面にそれぞれ1枚ずつ設けられている点において、第1実施形態と相違する。相違点を中心に説明する。
【0060】
リブ(面違いリブ)82、84は、鋼材で平板状に形成され、梁14のウェブ14Wの片面に1枚ずつ設けられている。リブ82、84は、梁14に曲げモーメントが作用したときのモーメントの中立軸MCを挟んで、上下に設けられている。
また、リブ82、84の端部82E、84Eは、柱12の接合部12Sに接合され、リブ82、84の長手方向
に沿った端部82S、84Sは、梁14のウェブ14Wの側面に接合されている。
【0061】
モーメントの中立軸MCを挟んで、ウェブ14Wの片面にのみ設けられたリブ82、84を用いることにより、リブ82、84の総数量を減らすことができる。また、リブ82、84のウェブ14Wへの溶接接合スペースを広くすることができる。
【0062】
この結果、梁14の端部14Eに集中する塑性変形を、リブ82、84で効率良く、効率的に分散させることができる。即ち、塑性変形領域を梁14の中央方向へ広げ、梁14の端部14Eの塑性ひずみを小さくすることができる。
他の構成は、第1実施形態と同じであり説明は省略する。
【0063】
(第8実施形態)
図7(A)、(B)を用いて、第8実施形態に係る部材端部構造について説明する。
ここに、
図7(A)は、第7実施形態に係る部材端部構造の正面図であり、(B)は部材端モーメントの特性図である。
図7(A)に示すように、第8実施形態に係る部材端部構造は、柱12、梁14及びリブ92の柱梁接合部90の接合構造である。柱梁接合部90は、リブ92が、放物線状に曲げられている点において、第1実施形態と相違する。相違点を中心に説明する。
【0064】
リブ(放物線状リブ)92は、鋼材で、梁14の中央側に凸の放物線状に曲げられ、放物線の中心線をモーメントの中立軸MCと一致させている。
リブ92は、片面に1枚、両面で2枚が、梁14のウェブ14Wに接合されている。リブ92の両端部92Eは、柱12の接合部12Sに接合され、長手方向
に沿った端部92Sは、ウェブ14Wに接合されている。
【0065】
これにより、梁14が地震力等で曲げモーメントを受けたとき、モーメントの中立軸MCを挟んで設けられたリブ92の一方は、引張力に抵抗するよう作用し、他方は圧縮力に抵抗するよう作用し、梁14の曲げ耐力を向上させることができる。
更に、リブ92の両端部は、梁14に接合され、リブ92の中央部は、梁14の中央側でありモーメントの中立軸MCと交差する位置で折り曲げられている。これにより、梁14に作用する曲げモーメントによる塑性変形領域を、梁14の中央部方向へ広げ、梁14の部材端部14Eの塑性ひずみを小さくすることができる。
【0066】
次に、柱梁接合部90の部材端モーメントについて説明する。
図7(B)に部材端モーメントを示す。横軸は部材回転角で、縦軸は部材端モーメントである。破線で示す特性74が、リブ92を備えていない通常の柱梁接合部の場合の特性であり、実線で示す特性76が、本実施形態の柱梁接合部90の特性である。
【0067】
部材回転角の増大に伴い部材端モーメントは増大し、丸印で示す領域A1では、両者の部材端モーメントはほぼ等しく直線状に増大している。また、領域A2における降伏点までの範囲も両者はほぼ等しい。一方、降伏点を超えた領域A3における二次剛性、及び領域A4における終局耐力は、本実施形態の柱梁接合部90の方が高くなっている。
この結果、本実施形態の柱梁接合部90は、梁14の二次剛性、及び終局耐力を高め、最大塑性ひずみを小さく抑えることができるといえる。即ち、梁14を破断や疲労に強くしている。これにより、梁14の端部の損傷を抑制することができる。
他の構成は、第1実施形態と同じであり説明は省略する。
【0068】
(第9実施形態)
図8(A)〜(C)を用いて、第9実施形態に係る部材端部構造について説明する。
ここに、
図8(A)は第9実施形態に係る部材端部構造の正面図であり、(B)は(A)のZ1−Z1線断面図であり、(C)は(B)の展開例である。
第9実施形態に係る部材端部構造は、柱106、床104及びリブ102を備えた柱床接合部100の接合構造である点において、第1実施形態と相違する。相違点を中心に説明する。
【0069】
図8(A)、(B)に示すように、柱床接合部100は柱106を有し、柱106は、ベースプレート108を介して、床104に固定されている。ベースプレート108は、アンカーボルト94で床104に固定されている。
【0070】
柱106は、断面形状が矩形状の鋼管柱である。柱106の内部には、リブ(補強鋼材)102が複数設けられている。
リブ102は、鋼材で平板状に、いずれも同一形状に形成されている。リブ102は、2枚1組で、柱106の同一平面状の壁面に固定されている。このとき、リブ102は、柱106に曲げモーメントが作用したときのモーメントの中立軸MCXを挟んで2枚ずつ、モーメントの中立軸MCYを挟んで2枚ずつ、合計8枚が取付けられている。
【0071】
リブ102は、下端部102Eがベースプレート108に接合され、長手方向
に沿った端部102Sが、柱106の内壁に接合されている。
また、リブ102の幅W1は、柱106の対向する壁面間の距離D1の半分より小さくされており、柱106の内部では、対向するリブ102は中央部で重複せず、中立軸MCXを挟むリブ102と、中立軸MCYを挟むリブ102は中央部で交差しない。
【0072】
本構成とすることにより、柱106に作用する曲げモーメントによる塑性変形領域を、柱106の中央部方向へ広げ、柱106の部材端部106Eの塑性ひずみを小さくすることができる。この結果、柱106の損傷を抑制することができる。
【0073】
図8(C)に柱床接合部100の展開例を示す。
図8(C)に示すように、リブ110は、鋼材で平板状に形成され、柱106の対向する壁面間の距離D1と等しい長さに形成されている。
【0074】
リブ110を、柱106に曲げモーメントが作用したときのモーメントの中立軸MCXを挟んで、対向する壁面の間に2枚設け、モーメントの中立軸MCYを挟んで、対向する壁面の間に2枚設け、合計4枚のリブ110を平面視が格子状に配置している。
リブ110は、下端部110Eがベースプレート108に接合され、長手方向
に沿った端面110Sが、柱106の内壁面に接合されている。
【0075】
本構成とすることにより、柱106に作用する曲げモーメントによる塑性変形領域を、柱106の中央部方向へ広げ、柱106の部材端部106Eの塑性ひずみを小さくすることができる。この結果、柱106の部材端部106Eの損傷を抑制することができる。
他の構成は、第1実施形態と同じであり説明は省略する。