(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】「くいつき」が発生する条件を説明する図である。
【
図2】「くいつき」が発生する条件を説明する図である。
【
図3】本発明の第1実施形態における部品挿入装置の構成を示す平面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態における部品挿入装置の構成を示す側面図である。
【
図5】本発明の第1実施形態における部品挿入装置が「くいつき」の発生を回避する作用を説明する図である。
【
図6】本発明の第1実施形態における部品挿入装置が「くいつき」の発生を回避する作用を説明する図である。
【
図7】本発明の第1実施形態における部品挿入装置が「くいつき」の発生を回避する作用を説明する図である。
【
図8】本発明の第2実施形態における部品挿入装置の構成を示す平面図である。
【
図9】本発明の第2実施形態における部品挿入装置が「くいつき」の発生を回避する作用を説明する図である。
【
図10】本発明の第2実施形態における部品挿入装置が「くいつき」の発生を回避する作用を説明する図である。
【
図11】本発明の第2実施形態における部品挿入装置が「くいつき」の発生を回避する作用を説明する図である。
【
図12】本発明の第3実施形態における部品挿入装置の構成を示す平面図である。
【
図13】本発明の第3実施形態における部品挿入装置が「くいつき」の発生を回避する作用を説明する図である。
【
図14】本発明の第3実施形態における部品挿入装置が「くいつき」の発生を回避する作用を説明する図である。
【
図15】本発明の第3実施形態における部品挿入装置が「くいつき」の発生を回避する作用を説明する図である。
【
図16】本発明の第4実施形態における部品挿入装置の構成を示す平面図である。
【
図17】本発明の第4実施形態における部品挿入装置の構成を示す平面図である。
【
図18】プッシャを備えた一般的な部品挿入装置の構成の一例を示す側面図である。
【
図19】プッシャを備えた一般的な部品挿入装置の構成の一例を示す平面図である。
【
図20】
図18および
図19に示した部品挿入装置において、挿入作業完了時の状態を示す側面図である。
【
図21】
図18および
図19に示した部品挿入装置において、挿入作業完了時の状態を示す平面図である。
【
図22】
図18および
図19に示した部品挿入装置において、「引っ掛かり」が発生した状態を示す図である。
【
図23】
図18および
図19に示した部品挿入装置において、「引っ掛かり」が発生した状態を示す図である。
【
図24】
図18および
図19に示した部品挿入装置において、「くいつき」が発生した状態を示す図である。
【
図25】一般的な部品挿入装置による嵌め込み作業開始時の状態を示す平面図である。
【
図26】一般的な部品挿入装置による嵌め込み作業の途中の状態を示す平面図である。
【
図27】一般的な部品挿入装置による嵌め込み作業の途中の状態を示す平面図である。
【
図28】一般的な部品挿入装置による嵌め込み作業完了時の状態を示す平面図である。
【
図29】板バネ125aの構成を説明するための図である。
【
図30】一般的な部品挿入装置による姿勢角度θpが正の場合の嵌め込み作業の状態を示す平面図である。
【
図31】一般的な部品挿入装置による姿勢角度θpが正の場合の嵌め込み作業の状態を示す平面図である。
【
図32】一般的な部品挿入装置による姿勢角度θpが正の場合の嵌め込み作業の状態を示す平面図である。
【
図33】姿勢角度θpが正の場合に挿入部品111の先端付近の状態の一例を示す拡大図である。
【
図34】バネ先端距離Wsおよび溝130の幅Whと挿入深さdとの関係を示す図である。
【
図35】姿勢角度θpが“0°”または正の場合における弾性力Fsと挿入深さdとの関係を示す図である。
【
図36】本発明の第5実施形態における部品挿入装置の構成を示す平面図である。
【
図37】本発明の第5実施形態における部品挿入装置の構成を示す平面図である。
【
図38】本発明の第5実施形態における部品挿入装置の構成を示す平面図である。
【
図39】本発明の第5実施形態における部品挿入装置を用いた際の弾性力Fsの変化を示す図である。
【
図40】本発明の第6実施形態における部品挿入装置の構成を示す平面図である。
【
図41】本発明の第7実施形態における部品挿入装置の構成を示す平面図である。
【
図42】熊手形状のバネ125bの構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0016】
===「くいつき」が発生する条件===
まず、
図1および
図2を参照して、「くいつき」が発生する条件について説明する。
【0017】
「くいつき」は、挿入部品7と被挿入部品9の溝91とが2点で接触し、当該2つの接点で生じる摩擦力と、プッシャ11が挿入部品7を押す力とが釣り合うことによって発生し、その必要条件は、2つの接点が互いの摩擦円錐内に入ることである。ここで、
図1に示すように、挿入部品7の先端と溝91の内部側面との接点をAとし、挿入部品7の側面と溝91の端部との接点をBとする。このような2点接触状態において、接点AおよびBを結ぶ力の作用線(長破線)が、接点AおよびBにおける2つの摩擦円錐(短破線)の中にある場合に、「くいつき」が発生する可能性がある。
【0018】
また、
図2に示すように、挿入部品7が同じ姿勢のままさらに押されると、挿入部品7が溝91に僅かに入り込み、挿入部品7および溝91は、接点Aと接点Bとで挟まれ、あるいは押し広げられて微少な弾性変形が生じ、それにより接点A−B方向の応力Sが発生する。そして、挿入部品7がさらに押されることで、当該応力Sがさらに大きくなり、接点Aで生じる摩擦力Faと接点Bで生じる摩擦力Fbとの和がプッシャ11の押し力Pを上回ると、挿入部品7は「くいつき」状態となる。
【0019】
ここで、2点接触状態から「くいつき」状態となるのは、プッシャ11の先端部と挿入部品7との接点Cで生じる摩擦力が大きく、プッシャ11と挿入部品7との間に滑りが生じない(接点Cが移動しない)ためである。そこで、以下においては、プッシャと挿入部品との間に滑りを生じさせることによって、2点接触状態から「くいつき」状態となるのを回避することができる実施形態について説明する。
【0020】
<第1実施形態>
===部品挿入装置の構成===
以下、
図3および
図4を参照して、第1の実施形態における部品挿入装置の構成について説明する。なお、
図3および
図4は、それぞれ部品挿入装置の構成を示す平面図および側面図であり、
図3においては、プッシャ12を透過して短破線で示している。また、
図3および
図4において、x軸(第2の軸)方向およびy軸(第1の軸)方向は、互いに直交する略水平方向であり、z軸(第3の軸)方向は、略鉛直方向である。
【0021】
図3および
図4に示されている部品挿入装置2は、挿入部品7(第1部品)をy軸方向に移動させ、被挿入部品9(第2部品)の溝91(開口部)に嵌合挿入する装置であり、プッシャ12およびラジアル軸受21(回転機構)を含んで構成されている。
【0022】
部品挿入装置2の略水平面上には、挿入部品7が置かれている。また、プッシャ12は、先端部が溝91の幅方向(x軸方向)における中心線(
図3における一点鎖線)上に沿って+y方向に移動して挿入部品7を押すことにより、挿入部品7を溝91に嵌合挿入する。
【0023】
ここで、プッシャ12が挿入部品7を+y方向に押す際、挿入部品7は、部品挿入装置2の略水平面によってx軸回りの回転自由度を有しない(回転が規制される)ものの、z軸回りの回転自由度を有する(回転が規制されない)状態となっている。そのため、挿入作業の過程で挿入部品7の姿勢が僅かに傾き、挿入部品7と溝91とが2点接触状態となる場合がある。
【0024】
そこで、本実施形態では、挿入部品7が回転自由度を有するz軸回りに回転可能なラジアル軸受21をプッシャ12の先端部に設け、これにより、プッシャ12と挿入部品7との間に滑りを生じさせ、2点接触状態から「くいつき」状態となるのを回避している。ラジアル軸受21は、例えば玉軸受であり、
図4に示すように、内輪がプッシャ12の先端部に固定され、外輪が挿入部品7に接触しながらz軸回りに回転することができる。
【0025】
===部品挿入装置の作用===
次に、
図5ないし
図7を適宜参照して、本実施形態における部品挿入装置が「くいつき」の発生を回避する作用について説明する。
【0026】
図5は、挿入作業の過程で挿入部品7の姿勢が僅かに傾き、
図1と同様に、挿入部品7と溝91とが接点AおよびBで接触し、2点接触状態となった場合を示している。前述したように、この2点接触状態から挿入部品7が同じ姿勢のままプッシャ12によってさらに押されると、挿入部品7が溝91に僅かに入り込み、挿入部品7および溝91は、接点Aと接点Bとで挟まれて微少な弾性変形が生じ、それにより応力が発生する。そして、挿入部品7がさらに押されることで、当該応力がさらに大きくなり、応力によって接点AおよびBで生じる摩擦力がプッシャ12の押し力Pを上回ると、挿入部品7は「くいつき」状態となる。
【0027】
この「くいつき」状態となる直前では、押し力Pの一部は、接点Aを+y方向に押す力Paとなり、接点Bを中心とする回転モーメント(トルク)Mbを生じる。さらに、当該回転モーメントMbは、挿入部品7の後端に+x方向の力Fmを生じる。そして、本実施形態では、プッシャ12の先端部に設けられたラジアル軸受21の外輪が挿入部品7に接触しながらz軸回りに回転可能であるため、プッシャ12と挿入部品7との間に滑りが生じ、挿入部品7は、回転モーメントMbの方向に回転する。
【0028】
図6は、挿入部品7が回転モーメントMbの方向に回転している状態を示している。このとき、ラジアル軸受21は、挿入部品7を押すとともに、挿入部品7から+x方向の力Fmを受けて外輪がz軸回りに回転し、挿入部品7は、回転モーメントMbの方向にさらに回転する。そして、プッシャ12が挿入部品7をさらに押すと、
図7に示すように、挿入部品7は、姿勢が溝91と平行になるまで回転し、挿入可能な状態となり、挿入を継続することができるようになる。
【0029】
このようにして、本実施形態の部品挿入装置2は、z軸回りに回転可能なラジアル軸受21をプッシャ12の先端部に設けることによって、プッシャ12と挿入部品7との間にx軸方向の滑りを生じさせ、2点接触状態から「くいつき」状態となるのを回避している。
【0030】
なお、
図5および
図6においては、挿入部品7は、後端が前端に対して−x側に位置するように姿勢が傾いているが、これに限定されるものではない。前述したように、プッシャ12の先端部は、溝91の中心線上に沿って移動するため、挿入部品7の後端が前端に対して+x側に位置するように姿勢が傾いている場合にも対応することができる。この場合、挿入部品7の後端には−x方向の力が生じ、挿入部品7は、
図5および
図6の回転モーメントMbとは反対方向に回転する。
【0031】
<第2実施形態>
===部品挿入装置の構成===
上記第1実施形態では、プッシャの先端部に1個のラジアル軸受が設けられているが、これに限定されるものではなく、2個以上のラジアル軸受を設けてもよい。以下、
図8を参照して、第2の実施形態における部品挿入装置の構成について説明する。なお、
図8においては、プッシャ13を透過して短破線で示している。また、
図8において、x軸(第2の軸)方向およびy軸(第1の軸)方向は、互いに直交する略水平方向であり、z軸(第3の軸)方向は、略鉛直方向である。
【0032】
図8に示されている部品挿入装置3は、挿入部品7(第1部品)をy軸方向に移動させ、被挿入部品9(第2部品)の溝91(開口部)に嵌合挿入する装置であり、プッシャ13、ラジアル軸受22および23(回転機構)を含んで構成されている。
【0033】
部品挿入装置3の略水平面上には、挿入部品7が置かれている。また、プッシャ13は、先端部が溝91の幅方向(x軸方向)における中心線(
図8における一点鎖線)上に沿って+y方向に移動して挿入部品7を押すことにより、挿入部品7を溝91に嵌合挿入する。本実施形態では、プッシャ13の先端部には、それぞれ、内輪がプッシャ13の先端部に固定され、外輪が挿入部品7に接触しながらz軸回りに回転可能な2個のラジアル軸受22および23が設けられている。なお、ラジアル軸受22および23は、x軸方向の位置が互いに異なるように配置され、好ましくは、溝91の中心線に対して対称に配置される。
【0034】
===部品挿入装置の作用===
次に、
図9ないし
図11を適宜参照して、本実施形態における部品挿入装置が「くいつき」の発生を回避する作用について説明する。なお、
図9は、
図5と同様に、挿入部品7の後端が前端に対して−x側に位置するように姿勢が僅かに傾き、2点接触状態となった場合を示している。この場合、挿入部品7には、プッシャ13の先端部の+x側に設けられたラジアル軸受22の外輪が接触することとなる。
【0035】
図9に示すように、押し力Pの一部は、接点Aを+y方向に押す力Paとなり、接点Bを中心とする回転モーメントMbを生じ、さらに、挿入部品7の後端に+x方向の力Fmを生じる。また、ラジアル軸受22の外輪が挿入部品7に接触しながらz軸回りに回転可能であるため、プッシャ13と挿入部品7との間に滑りが生じ、挿入部品7は、回転モーメントMbの方向に回転する。そして、ラジアル軸受22は、
図10に示すように、挿入部品7を押すとともに、挿入部品7から+x方向の力Fmを受けて外輪がz軸回りに回転し、挿入部品7は、
図11に示すように、姿勢が溝91と平行になるまで回転し、挿入可能な状態となる。
【0036】
このようにして、本実施形態の部品挿入装置3は、それぞれz軸回りに回転可能なラジアル軸受22および23をプッシャ13の先端部に設けることによって、プッシャ13と挿入部品7との間にx軸方向の滑りを生じさせ、2点接触状態から「くいつき」状態となるのを回避している。なお、挿入部品7の後端が前端に対して+x側に位置するように姿勢が傾いている場合、挿入部品7には、プッシャ13の先端部の+x側に設けられたラジアル軸受23の外輪が接触することとなる。また、この場合、挿入部品7の後端には−x方向の力が生じ、挿入部品7は、
図9および
図10の回転モーメントMbとは反対方向に回転する。
【0037】
<第3実施形態>
===部品挿入装置の構成===
上記第1および第2実施形態では、プッシャの先端部に設けられる回転機構として、z軸回りに回転可能なラジアル軸受を用いているが、これに限定されるものではなく、ラジアル軸受の代わりにボールプランジャを用いてもよい。以下、
図12を参照して、第3の実施形態における部品挿入装置の構成について説明する。なお、
図12において、x軸(第2の軸)方向およびy軸(第1の軸)方向は、互いに直交する略水平方向であり、z軸(第3の軸)方向は、略鉛直方向である。
【0038】
図12に示されている部品挿入装置4は、挿入部品7(第1部品)をy軸方向に移動させ、被挿入部品9(第2部品)の溝91(開口部)に嵌合挿入する装置であり、プッシャ14およびボールプランジャ24(回転機構)を含んで構成されている。
【0039】
部品挿入装置4の略水平面上には、挿入部品7が置かれている。また、プッシャ14は、先端部が溝91の幅方向(x軸方向)における中心線(
図12における一点鎖線)上に沿って+y方向に移動して挿入部品7を押すことにより、挿入部品7を溝91に嵌合挿入する。本実施形態では、プッシャ14の先端部には、挿入部品7に接触しながら回転自在なボールを有するボールプランジャ24が設けられている。
【0040】
===部品挿入装置の作用===
次に、
図13ないし
図15を適宜参照して、本実施形態における部品挿入装置が「くいつき」の発生を回避する作用について説明する。なお、
図13は、
図5および
図9と同様に、挿入部品7の後端が前端に対して−x側に位置するように姿勢が僅かに傾き、2点接触状態となった場合を示している。
【0041】
図13に示すように、押し力Pの一部は、接点Aを+y方向に押す力Paとなり、接点Bを中心とする回転モーメントMbを生じ、さらに、挿入部品7の後端に+x方向の力Fmを生じる。また、ボールプランジャ24のボールが挿入部品7に接触しながら回転自在であり、したがって、z軸回りにも回転可能であるため、プッシャ14と挿入部品7との間に滑りが生じ、挿入部品7は、回転モーメントMbの方向に回転する。そして、ボールプランジャ24は、
図14に示すように、挿入部品7を押すとともに、挿入部品7から+x方向の力Fmを受けてボールがz軸回りに回転し、挿入部品7は、
図15に示すように、姿勢が溝91と平行になるまで回転し、挿入可能な状態となる。
【0042】
このようにして、本実施形態の部品挿入装置4は、回転自在であり、z軸回りに回転可能なボールを有するボールプランジャ24をプッシャ14の先端部に設けることによって、プッシャ14と挿入部品7との間にx軸方向の滑りを生じさせ、2点接触状態から「くいつき」状態となるのを回避している。なお、挿入部品7の後端が前端に対して+x側に位置するように姿勢が傾いている場合、挿入部品7の後端には−x方向の力が生じ、挿入部品7は、
図13および
図14の回転モーメントMbとは反対方向に回転する。
【0043】
本実施形態では、プッシャの先端部に1個のボールプランジャが設けられているが、これに限定されるものではなく、第2実施形態のラジアル軸受と同様に、2個以上のボールプランジャを設けてもよい。
【0044】
<第4実施形態>
===部品挿入装置の構成===
上記第1ないし第3実施形態では、挿入部品7が略水平面上に置かれ、プッシャが挿入部品7を略水平方向に押しているが、これに限定されるものではなく、回転機構としてボールプランジャを用いて、挿入部品7を略鉛直方向に押すこともできる。以下、
図16および
図17を参照して、第4の実施形態における部品挿入装置の構成について説明する。なお、
図16および
図17において、x軸(第2の軸)方向およびy軸(第3の軸)方向は、互いに直交する略水平方向であり、z軸(第1の軸)方向は、略鉛直方向である。
【0045】
図16および
図17に示されている部品挿入装置5は、挿入部品7(第1部品)をz軸方向に移動させ、被挿入部品9(第2部品)の穴92(開口部)に嵌合挿入する装置であり、プッシャ14、ボールプランジャ24(回転機構)、および把持部31を含んで構成されている。
【0046】
部品挿入装置5の略水平面上には、挿入部品7が置かれている。また、プッシャ14は、先端部が穴92の中心線(
図17における一点鎖線)上に沿って−z方向に移動して挿入部品7を押すことにより、挿入部品7を穴92に嵌合挿入する。ここで、プッシャ14が挿入部品7を−z方向に押す際、挿入部品7は、x軸回りにもy軸回りにも回転自由度を有する状態となっている。そこで、本実施形態では、プッシャ14の先端部には、挿入部品7に接触しながら回転自在であり、したがって、挿入部品7が回転自由度を有するx軸およびy軸回りにも回転可能なボールを有するボールプランジャ24が設けられている。
【0047】
===部品挿入装置の動作===
次に、本実施形態における部品挿入装置の動作について説明する。
【0048】
まず、
図16に示すように、部品挿入装置5は、チャック機構などの把持部31によって挿入部品7を把持し、穴92の真上まで移動させる。そして、挿入部品7が穴92の真上まで移動すると、
図17に示すように、部品挿入装置5は、把持部31を開きつつ、プッシャ14により挿入部品7を押して−z方向に移動させ、穴92に嵌合挿入する。
【0049】
前述したように、プッシャ14が挿入部品7を−z方向に押す際、挿入部品7は、x軸回りにもy軸回りにも回転自由度を有する状態となっているため、挿入作業の過程で挿入部品7の姿勢が僅かに傾き、挿入部品7と穴92とが2点接触状態となる場合がある。ここで、挿入部品7の姿勢がx軸方向またはy軸方向のみに傾いた場合、本実施形態の部品挿入装置5が「くいつき」の発生を回避する作用は、
図13ないし
図15に示した第3実施形態の部品挿入装置4の場合と同様である。また、ボールプランジャ24のボールは、挿入部品7に接触しながら回転自在であるため、挿入部品7の姿勢がx軸およびy軸に対して角度を持った方向に傾いた場合も、同様に「くいつき」の発生を回避することができる。
【0050】
このようにして、本実施形態の部品挿入装置5は、把持部31によって挿入部品7を把持して穴92の真上まで移動させた後、把持部31を開きつつ、プッシャ14により挿入部品7を押して−z方向に移動させ、穴92に嵌合挿入する。そして、回転自在であり、x軸回りにもy軸回りにも回転可能なボールを有するボールプランジャ24をプッシャ14の先端部に設けることによって、プッシャ14と挿入部品7との間にx軸およびy軸方向の滑りを生じさせ、2点接触状態から「くいつき」状態となるのを回避している。
【0051】
本実施形態では、プッシャの先端部に1個のボールプランジャが設けられているが、これに限定されるものではなく、3個以上のボールプランジャを設けてもよい。この場合、N個(N≧3)のボールプランジャは、すべてが同一直線上に並ばないように配置され、好ましくは、xy平面上の正N角形の頂点の位置に配置される。
【0052】
前述したように、
図3および
図4に示した、z軸(第3の軸)回りの回転自由度を有する状態で挿入部品7をy軸(第1の軸)方向に押すプッシャ12を備えた部品挿入装置2において、外輪が挿入部品7に接触しながらz軸回りに回転可能なラジアル軸受21をプッシャ12の先端部に設けることによって、プッシャ12を用いて挿入部品7を被挿入部品9の溝91に嵌合挿入する際に、プッシャ12と挿入部品7との間にx軸方向の滑りを生じさせ、「くいつき」の発生を回避することができる。
【0053】
また、
図8に示した、z軸(第3の軸)回りの回転自由度を有する状態で挿入部品7をy軸(第1の軸)方向に押すプッシャ13を備えた部品挿入装置3において、それぞれ外輪が挿入部品7に接触しながらz軸回りに回転可能なラジアル軸受22および23をプッシャ13の先端部に設けることによって、プッシャ13を用いて挿入部品7を被挿入部品9の溝91に嵌合挿入する際に、プッシャ13と挿入部品7との間にx軸方向の滑りを生じさせ、「くいつき」の発生を回避することができる。このとき、ラジアル軸受22および23は、x軸方向の位置が互いに異なるように配置され、好ましくは、溝91の中心線に対して対称に配置される。
【0054】
また、
図12に示した、z軸(第3の軸)回りの回転自由度を有する状態で挿入部品7をy軸(第1の軸)方向に押すプッシャ14を備えた部品挿入装置4において、挿入部品7に接触しながら回転自在であり、z軸回りに回転可能なボールを有するボールプランジャ24をプッシャ14の先端部に設けることによって、プッシャ14を用いて挿入部品7を被挿入部品9の溝91に嵌合挿入する際に、プッシャ14と挿入部品7との間にx軸方向の滑りを生じさせ、「くいつき」の発生を回避することができる。
【0055】
また、
図16および
図17に示した、x軸(第2の軸)およびy軸(第3の軸)回りの回転自由度を有する状態で挿入部品7をz軸(第1の軸)方向に押すプッシャ14を備えた部品挿入装置5において、挿入部品7に接触しながら回転自在であり、x軸およびy軸回りに回転可能なボールを有するボールプランジャ24をプッシャ14の先端部に設けることによって、プッシャ14を用いて挿入部品7を被挿入部品9の穴92に嵌合挿入する際に、プッシャ14と挿入部品7との間にx軸およびy軸方向の滑りを生じさせ、「くいつき」の発生を回避することができる。さらに、3個以上のボールプランジャを設けてもよく、このとき、N個(N≧3)のボールプランジャは、すべてが同一直線上に並ばないように配置され、好ましくは、xy平面上の正N角形の頂点の位置に配置される。
【0056】
また、プッシャの先端部を被挿入部品9の溝91や穴92の中心線上に沿って移動させることによって、挿入部品7の姿勢がいずれの方向に傾いている場合にも「くいつき」の発生を回避することができる。
【0057】
<<<挿入部品にバネ部材が設けられている場合>>>
つぎに、
図1ないし
図17で説明した挿入部品等とは異なる挿入部品および被挿入部品を用いた際の、部品の嵌め込み作業(圧入作業)について説明する。部品を嵌め込む方法としては、例えば「しまりばめ(締り嵌め)」がある。「しまりばめ」とは、部材が嵌められる穴に、穴の直径よりも僅かに太い棒状の部材を押し込んで固定する作業である。また、他の嵌め込み方法としては、例えば、バネ部材が取り付けられた棒状の部材を穴に押し込むことにより、バネ部材の弾性力で棒状の部材を穴の内面に固定する方法もある。
【0058】
ここで、部品嵌め込み作業を実行する際に用いられる部品挿入装置の構成の一例を
図25ないし
図28を参照しつつ説明する。
図25は、嵌め込み作業開始時の状態を示す平面図であり、
図26ないし
図27は、嵌め込み作業の途中の状態を示す平面図である。また、
図28は、嵌め込み作業完了時の状態を示す平面図である。
【0059】
図25ないし
図28に示す部品挿入装置は、
図18等で説明した部品挿入装置1と同じであり、挿入部品111を押して+y方向に移動させるプッシャ11を含んで構成される。なお、部品挿入装置1とプッシャ11は、
図18等で説明しているため、ここでは詳細な説明は省略し、挿入部品111、被挿入部品112を中心に説明する。
【0060】
挿入部品111(第1部品)は、被挿入部品112の溝130に嵌合挿入される直方体状の部品(棒状の部品)である。挿入部品111の+x側の側面120には、挿入部品111が嵌合挿入された際に、挿入部品111を被挿入部品112に固定するためのバネ部材125が取り付けられている。なお、被挿入部品111は、例えば円柱状の部品であっても良い。
【0061】
バネ部材125は、
図29に示すような例えば金属性の板バネ125aであり、弾性力が発生するよう、+y方向から+x方向に向かって折り曲げられている。そして、板バネ125aの挿入方向の長さが短い方の片が挿入部品111の側面120に固定されている。具体的には、板バネ125aの長手方向に沿った軸と、挿入部品111の側面120とがなす角度(以下、開き角度θs)が所定角度θa(<90°)となるよう、板バネ125aの末端が側面120に接着剤等で取り付けられている。なお、ここでは、側面120の表面を0°の基準とし、板バネ125aは、開き角度θsが大きくなる方向に弾性付勢されている。つまり、板バネ125aは、板バネ125aの先端部が変位すると、挿入部品111の先端を、z軸を中心に回転させる方向に弾性力が発生するよう、挿入部品111の側面120に取り付けられている。このため、板バネ125aに外力が加えられ開き角度θsが小さくなると、板バネ125aは、挿入部品111の先端を、z軸を+側からみたときにz軸を中心に反時計方向へと回転させる弾性力を生じる。なお、ここでは、板バネ125aの先端部が被挿入部品112の溝130の+x側の側面150(内側面)に接触すると、開き角度θsが小さくなり前述した弾性力が発生する。
【0062】
被挿入部品112(第2部品)には、−y方向および+z方向に開口した溝130(開口部)が形成されている。溝130の幅は、挿入部品111が挿入される入口140が最も広く、入口140から+y方向に離れるにつれて徐々に狭くなった後、所定の幅となる。ここで、板バネ125aの開き角度θsが所定角度θaの状態で溝130の側面150に接触できるよう、溝130の+x方向側の内側面には傾斜面135が連続して設けられている。なお、被挿入部品112が有する開口部は、例えばy軸に沿って形成された穴であっても良い。
【0063】
ところで、
図25ないし
図28では、点線で示したプッシャ11および挿入部品111の幅方向における中心線Aと、一点鎖線で示した溝130の幅方向における中心線Bとは平行となっている。そして、挿入部品111は、挿入部品111が+y方向に押された場合、被挿入部品112の溝130に挿入可能な位置に配置されている。このような場合、プッシャ11が挿入部品111を押して+y方向に移動させると、
図26に示すように、まず、板バネ125aの先端部は、溝130の+x側の傾斜面135に接触する。つぎに、
図27に示すように、挿入部品111が徐々に挿入されると、溝130の幅は狭くなるため板バネ125aの開き角度θsは徐々に小さくなる。この際、板バネ125aの先端部は弾性力に抗して−x方向に変位するため、板バネ125aは+x方向の弾性力を増加させる。この結果、板バネ125aは、挿入部品111を溝130の側面151に押圧する。そして、
図28に示すように、挿入部品111が溝130の奥まで挿入されると、開き角度θsが更に小さくなる。このため、傾斜面135で発生する弾性力より強い弾性力で、挿入部品111は溝130の側面151に固定(嵌合)される。
【0064】
図25ないし
図28では、中心線A,Bが平行、すなわち、中心線A,Bのなす姿勢角度θpが“0°”の場合について説明したが、姿勢角度θpが“0°”でない場合もある。
図30ないし
図32には、姿勢角度θpが正の場合(挿入部品111の先端が+x方向に傾いている場合)の一例を示す。このような場合、プッシャ11が挿入部品111を押して移動させると、まず、
図30に示すように、板バネ125aの先端部は、溝130の+x側の傾斜面135に接触する。また、この際には、挿入部品111の−x側の側面121は、被挿入部品112の側面151における入口140側の角に接触する。
【0065】
つぎに、
図31に示すように、姿勢角度θpが維持された状態で挿入部品111が更に押されると、板バネ125aの先端部および挿入部品111の側面121が、傾斜面135、側面151のそれぞれに接触しつつ、挿入部品111は更に挿入される。この際、板バネ125aの先端部は、姿勢角度θpが正であるため、姿勢角度θpが“0°”の場合と比べ大きく変位する。そして、溝130の幅が更に狭くなる
図32の状態では、板バネ125aが更に大きく変位するため、姿勢角度θpが“0°”の場合と比べ大きな弾性力が発生する。
【0066】
ここで、姿勢角度θpが正の場合における弾性力の変化の詳細を説明する。
図33は、姿勢角度θpが正の場合に挿入部品111の先端付近の状態の一例を示す拡大図である。
図33では、板バネ125aの先端付近の先端部から挿入部品111の側面121までの距離(最短距離)を、バネ先端幅Hsとする。また、板バネ125aの先端部から溝130の側面151までのx軸方向に沿った距離を、バネ先端距離Wsとする。さらに、溝130の入口140から板バネ125aの先端部までのy軸方向に沿った距離を、挿入深さdとする。
図33から明らかなように、バネ先端幅Hs、バネ先端距離Ws、挿入深さd、および姿勢角度θpの間には、式(1)の関係が成立する。
【0067】
Ws=Hs/cosθ+d×tanθ・・・(1)
図34は、バネ先端距離Wsおよび溝130の幅Whと、挿入深さdとの関係を示す図である。
図34に示すように、姿勢角度θpが正の値の場合、バネ先端距離Wsは、挿入深さdが深くなるにつれて増加する。なお、
図34のバネ先端距離Wsは、実際に挿入部品111が溝130に挿入された状態でなく、式(1)に基づいて描かれている。また、姿勢角度θpが“0°”の場合、式(2)の関係が成立する。
【0068】
Ws=Hs・・・(2)
このため、姿勢角度θpが“0°”の場合、バネ先端距離Wsは、
図34に示すように一定の値となる。ところで、板バネ125aの先端部は、バネ先端距離Wsが溝130の幅Whよりも大きくなると押され変位する。そして、板バネ125aの先端部の変位量は、バネ先端距離Wsと、溝130の幅Whとの差に応じて定まる。
【0069】
ここで、板バネ125aの弾性力Fsは、式(3)に示すように、バネ先端距離Wsと、溝130の幅Whとの差に対し、板バネ125aのバネ定数kを乗算した値となる。
【0070】
Fs=(Ws−Wh)×k・・・(3)
したがって、姿勢角度θpが“0°”および正のそれぞれの場合の弾性力Fsは、
図35の様になる。具体的には、姿勢角度θpが“0°”の場合、板バネ125aの先端部が、溝130の幅が狭くなる傾斜面135の領域では、弾性力Fsは、挿入深さdに応じて増加する。そして、板バネ125aの先端部が、溝130の幅が一定となる領域に入ると、弾性力Fsも一定となる。
【0071】
姿勢角度θpが正の場合、板バネ125aの先端部が溝130の幅が狭くなる傾斜面135の領域では、弾性力Fsは、挿入深さdに応じて増加する。さらに、板バネ125aの先端部が溝130の幅が一定となる領域に入った際にも、弾性力Fsは、挿入深さdに応じて増加し続ける。
【0072】
このように、姿勢角度θpが正の場合は、姿勢角度θpが“0°”の場合と比べ、大きな弾性力が発生する。したがって、挿入部品111が深くまで挿入された
図31の状態では、挿入部品111に過大な力がかかり、挿入部品111または被挿入部品112に割れや欠けが発生することがある。以下に、このような部品の嵌め込み作業(圧入作業)の失敗を防ぐことができる部品挿入装置について説明する。
【0073】
<第5実施形態>
図36は、部品挿入装置2を用いて嵌め込み作業をする場合の一例を示す図である。ここで、部品挿入装置2は、例えば、
図3および
図4で示した構成と同じであり、プッシャ12およびラジアル軸受21(回転機構)を含んで構成される。プッシャ12は、挿入部品111をy軸方向に移動させる。プッシャ12の先端に設けられたラジアル軸受21は、例えば玉軸受であり、外輪が自由に回転できるよう内輪がプッシャ12に固定されている。このため、ラジアル軸受21の外輪は、挿入部品111に接触しながらz軸回りに回転することができるため、プッシャ12と挿入部品111との間に滑りを生じさせる。
【0074】
挿入部品111、被挿入部品112は、
図25等で示したそれぞれの部品と同じである。このため、挿入部品111には、板バネ125aが取り付けられており、被挿入部品112には、溝130が形成されている。
【0075】
図37は、ラジアル軸受21が設けられたプッシャ12で、姿勢角度θpが正の挿入部品111を挿入する場合の力の発生を示す図である。プッシャ12で押された挿入部品111は、溝130に挿入されるため、板バネ125aの先端部はz軸を中心に―x方向に変位する。この結果、板バネ125aは、弾性力Fsを挿入部品111の幅方向に発生させる。ここで、挿入部品111の側面121と、溝130の角とが接する挿入部品111上の回転中心点をMとした場合の回転モーメントを考慮すると、弾性力Fsは姿勢角度θpを小さくする方向にモーメントを発生させる。具体的には、挿入部品111の長手方向に沿った軸において、回転中心点Mから板バネ125aの先端部までの距離(腕の長さ)を距離Rsとすると、弾性力Fsによるモーメントは、Fs×Rsとなる。
【0076】
また、板バネ125aの先端部が溝130の側面150に接触するため、接触点においては摩擦力F1が挿入部品111の長手方向に発生する。さらに、プッシャ12の先端のラジアル軸受21と、挿入部品111との間には、摩擦力F2が挿入部品111の幅方向に発生する。これらの摩擦力F1,F2は、姿勢角度θpを大きくする方向にモーメントを発生させる。ここで、挿入部品111の幅方向に沿った軸において、回転中心点Mから板バネ125aの先端部までの距離(腕の長さ)を距離R1とすると、摩擦力F1によるモーメントは、F1×R1となる。また、挿入部品111の長手方向に沿った軸において、回転中心点Mから、挿入部品111およびラジアル軸受21が接触する点までの距離(腕の長さ)を距離R2とすると、弾性力F2によるモーメントは、F2×R2となる。
【0077】
ところで、姿勢角度θpが正の状態で挿入部品111が挿入され続けると、前述の様に、挿入部品111若しくは被挿入部品112に欠けや傷が発生する虞がある。このため、挿入部品111には、姿勢角度θpを小さくする回転が発生することが好ましい。ここで、弾性力FsによるモーメントFs×Rsが、摩擦力F1,F2によるモーメントF1×R1,F2×R2の和よりも大きい場合、姿勢角度θpは小さくなる。つまり、式(4)が成立する場合に、挿入部品111は、姿勢角度θpを小さくすべく、つまり姿勢角度θpが“0°”となるように回転する。
【0078】
Fs×Rs>F1×R1+F2×R2・・・(4)
本実施形態では、プッシャ12の先端には、外輪がz軸回りに自由に回転可能なラジアル軸受21が取り付けられている。このため、ラジアル軸受21と、挿入部品111との間に発生する摩擦力F2を非常に小さくすることができる。さらに、ここでは、挿入部品111がz軸を中心に回転し、挿入部品111の挿入方向がy軸方向となるよう、板バネ125aの先端部が挿入部品111の先端の近く(例えば、板バネ125aの先端部が挿入部品111の長手方向における先端から1/4までの範囲に入る位置)に取り付けられている。このため、板バネ125aの先端部が挿入部品111の先端の近くに取り付けられていない場合と比較すると、回転中心点Mから板バネ125aの先端までの距離Rsが長くなり、弾性力Fsによるモーメントを大きくすることができる。したがって、本実施形態では、姿勢角度θpが正の状態で挿入部品111が挿入されても、最終的には
図38に示すように、姿勢角度θpを“0°”とすることが可能となる。
図39は、姿勢角度θpが正の状態から“0°”になる場合の弾性力Fsの変化の一例を示す図である。なお、
図39では、実際の弾性力Fsの変化を実線で示し、姿勢角度θpが正または“0°”の場合の仮想的な弾性力Fsの変化を点線で示している。ここでは、挿入深さdが0から挿入深さd1までは、弾性力Fsは姿勢角度θpが正の線上を変化する。そして挿入深さdがd1となると、回転中心点Mを中心に姿勢角度θpが小さくなるよう回転する。この結果、これ以降弾性力Fsは姿勢角度θpが“0°”の線上を変化する。
【0079】
なお、ここでは、板バネ125aの先端部が挿入部品111の先端に近くなるよう、つまり、板バネ125aの先端部が、挿入部品111の長手方向における先端から1/4までの範囲に入るよう、板バネ125aを設置したがこれに限られない。例えば、板バネ125aの先端部(つまり、弾性力Fs)が、挿入部品111の先端から長手方向の略中央までの範囲に入るよう板バネ125aを設置すれば、上述した場合と同様の効果を得ることも可能である。
【0080】
<第6実施形態>
図40は、部品挿入装置3を用いて嵌め込み作業をする場合の一例を示す図である。ここで、部品挿入装置3は、例えば、
図8で示した構成と同じであり、プッシャ13およびラジアル軸受22および23(回転機構)を含んで構成される。ラジアル軸受22,23は、外輪がz軸回りに回転できるよう、内輪がプッシャ13の先端部に固定されている。このため、プッシャ13で挿入部品111を押した場合、ラジアル軸受22,23は、挿入部品111との接触点における摩擦力を小さくすることができる。したがって、部品挿入装置3を用いた場合であっても、姿勢角度θpを“0°”にすることが可能であり、部品の嵌め込み作業(圧入作業)の失敗を防ぐことができる。
【0081】
<第7実施形態>
図41は、部品挿入装置4を用いて嵌め込み作業をする場合の一例を示す図である。ここで、部品挿入装置4は、例えば、
図12で示した構成と同じであり、プッシャ14および回転自在なボールを有するボールプランジャ24(回転機構)を含んで構成される。このため、プッシャ14で挿入部品111を押した場合、ボールプランジャ24は、挿入部品111との接触点における摩擦力を小さくすることができる。したがって、部品挿入装置4を用いた場合であっても、姿勢角度θpを“0°”にすることが可能であり、部品の嵌め込み作業(圧入作業)の失敗を防ぐことができる。なお、部品挿入装置としては、部品挿入装置4を用いたが、例えば
図16等に開示された、部品挿入装置5を用いても良い。
【0082】
以上、本実施形態の部品挿入装置について説明した。部品挿入装置2ないし部品挿入装置4は、挿入部品111を挿入する際に、姿勢角度θpが正であっても、姿勢角度御θを“0°”とすることができる。つまり、部品挿入装置2ないし部品挿入装置4は、挿入部品111をz軸を中心に回転させ、挿入部品111の挿入方向をy軸方向にすることができる。このため、挿入部品111の設置精度を緩和できるため、部品挿入装置2ないし部品挿入装置4は、部品の嵌め込み作業(圧入作業)をより高速に行うことができる。
【0083】
また、板バネ125aは、挿入部品111の挿入方向に向かうにつれて弾性力に従って挿入部品111の側面120から離れるよう、側面120に取り付けられている。被挿入部品112の溝130は、入口140が広くなるように傾斜面135が形成されている。このため、姿勢角度θpがある程度大きい場合であっても、挿入部品111を挿入させることが可能となる。また、傾斜面135は、挿入部品111が挿入されるにつれて、板バネ125aの先端を溝130の奥(+y側)へと案内する。このため、傾斜面135は、スムーズに挿入部品111を挿入させることが可能となる。なお、本実施形態では開口部が溝130であるが、例えば円筒状の開口部であっても良い。このような場合であっても、円筒状の開口部の入口を広くして、傾斜面を形成すれば同様の効果を得ることができる。
【0084】
また、溝130の幅は、入口140から離れるにつれて徐々に狭くなった後、所定の幅となる。これにより弾性力Fsは増加するため、確実に挿入部品111は嵌合される。
【0085】
また、板バネ125aは、棒形状の挿入部品111の長手方向であるy軸方向に沿って設けられている。このため、例えば、挿入部品111の幅方向(x軸方向)に沿って設けられている場合に比べ、より確実に姿勢角度θpを“0°”とすることが可能となる。
【0086】
ここでは、バネ部材125は、板バネ125aであることとしたがこれに限られない。例えば、
図42に示す、先端が湾曲した例えば金属性の棒を複数有する熊手状の形状を呈した熊手形状のバネ125bであっても良い。熊手形状のバネ125bは、弾性力が発生するよう、+y方向から+x方向に向かって折り曲げられている。そして、熊手形状のバネ125bの挿入方向の長さが短い方の片が挿入部品111の側面120に溶接等で固定されている。また、熊手形状のバネ125bでは、先端が−x方向に曲げられることにより形成された接触部が被挿入部品112の内面に接触することにより、熊手形状のバネ125bは変位する。なお、熊手形状のバネ125bも、板バネ125aと同様に、開き角度θsが大きくなる方向に弾性付勢されている。
【0087】
また、ここでは、挿入部品111の+x側の側面120にバネ部材125が取り付けられ、被挿入部品112の+x側に傾斜面135が形成されているが、これに限られない。例えば、挿入部品111の−x側の側面121にバネ部材125が取り付けられ、被挿入部品112の−x側に傾斜面135が形成されていても良い。このような構成とすると、姿勢角度θpが負の場合(挿入部品111の先端が−x方向に傾いた場合)に、姿勢角度θpを“0°”として挿入部品111を嵌合挿入することができる。
【0088】
なお、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。