特許第6389715号(P6389715)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6389715
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】布類搬送装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 67/04 20060101AFI20180903BHJP
   D06F 95/00 20060101ALI20180903BHJP
   B65G 47/68 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
   D06F67/04
   D06F95/00
   B65G47/68 A
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-190907(P2014-190907)
(22)【出願日】2014年9月19日
(65)【公開番号】特開2016-59660(P2016-59660A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2017年7月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】502407130
【氏名又は名称】株式会社プレックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】特許業務法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江浪 寧彦
(72)【発明者】
【氏名】近藤 眞徳
(72)【発明者】
【氏名】矢野 誠
【審査官】 大宮 功次
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−079822(JP,U)
【文献】 特開平06−019548(JP,A)
【文献】 実開平05−014029(JP,U)
【文献】 特開平04−231100(JP,A)
【文献】 特開2004−089473(JP,A)
【文献】 特開平06−308135(JP,A)
【文献】 特表2007−511302(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 67/04
B65G 47/68
D06F 95/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
布類を保持する走行体と、
前記走行体が走行し、前記布類の供給位置と排出位置とを循環する搬送ラインと、
前記搬送ラインのうち前記排出位置で前記布類を排出した後の空の前記走行体が走行する部分から分岐し、空の前記走行体を待避させる待避ラインと、を備える
ことを特徴とする布類搬送装置。
【請求項2】
前記搬送ラインと前記待避ラインとの分岐点を切り換える分岐器と、
前記走行体の周回回数を計数する周回回数計数器と、を備え、
前記分岐器は、前記周回回数計数器が計数した周回回数が所定回数を超えた場合に、前記走行体を前記待避ラインに導くように前記分岐点を切り換える
ことを特徴とする請求項1記載の布類搬送装置。
【請求項3】
前記搬送ラインと前記待避ラインとの分岐点を切り換える分岐器と、
前記走行体の不具合を検知する不具合検知器と、を備え、
前記分岐器は、前記不具合検知器が不具合を検知した場合に、前記走行体を前記待避ラインに導くように前記分岐点を切り換える
ことを特徴とする請求項1または2記載の布類搬送装置。
【請求項4】
前記待避ラインの終端は前記搬送ラインに接続されている
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の布類搬送装置。
【請求項5】
前記走行体を前記待避ラインの終端から前記搬送ラインに押し出す押出機を備え、
前記押出機は、前記走行体が前記搬送ラインから前記待避ラインに導かれた場合に、他の前記走行体を前記待避ラインから前記搬送ラインに押し出す
ことを特徴とする請求項4記載の布類搬送装置。
【請求項6】
前記待避ライン内の前記走行体を昇降させる昇降機を備える
ことを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の布類搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布類搬送装置に関する。さらに詳しくは、リネン設備において布類を搬送するための布類搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、布片をフィーダに搬送するための搬送装置が開示されている。この搬送装置はエンドレスコンベヤレールを備えており、そのコンベヤレールを複数のレールコンベヤが循環して入口ステーションとフィーダとの間を行き来する。レールコンベヤには布片を把持するコンベヤクランプが設けられている。レールコンベヤは入口ステーションにおいて布片を把持し、その布片をフィーダに搬送する。
【0003】
しかし、上記搬送装置では、レールコンベヤが一つでも故障すると、そのレールコンベヤがコンベヤレールの途中で停止するため、搬送装置全体が停止するという問題がある。搬送装置が停止すると布片がフィーダへ供給されず、処理ライン全体の操業が停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2007−511302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、走行体の故障による停止を抑制できる布類搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明の布類搬送装置は、布類を保持する走行体と、前記走行体が走行し、前記布類の供給位置と排出位置とを循環する搬送ラインと、前記搬送ラインのうち前記排出位置で前記布類を排出した後の空の前記走行体が走行する部分から分岐し、空の前記走行体を待避させる待避ラインと、を備えることを特徴とする。
第2発明の布類搬送装置は、第1発明において、前記搬送ラインと前記待避ラインとの分岐点を切り換える分岐器と、前記走行体の周回回数を計数する周回回数計数器と、を備え、前記分岐器は、前記周回回数計数器が計数した周回回数が所定回数を超えた場合に、前記走行体を前記待避ラインに導くように前記分岐点を切り換えることを特徴とする。
第3発明の布類搬送装置は、第1または第2発明において、前記搬送ラインと前記待避ラインとの分岐点を切り換える分岐器と、前記走行体の不具合を検知する不具合検知器と、を備え、前記分岐器は、前記不具合検知器が不具合を検知した場合に、前記走行体を前記待避ラインに導くように前記分岐点を切り換えることを特徴とする。
第4発明の布類搬送装置は、第1、第2または第3発明において、前記待避ラインの終端は前記搬送ラインに接続されていることを特徴とする。
第5発明の布類搬送装置は、第4発明において、前記走行体を前記待避ラインの終端から前記搬送ラインに押し出す押出機を備え、前記押出機は、前記走行体が前記搬送ラインから前記待避ラインに導かれた場合に、他の前記走行体を前記待避ラインから前記搬送ラインに押し出すことを特徴とする。
第6発明の布類搬送装置は、第1、第2、第3、第4または第5発明において、前記待避ライン内の前記走行体を昇降させる昇降機を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
第1発明によれば、故障を起こす前に走行体を待避させてメンテナンスできるので、走行体の故障による停止を抑制できる。
第2発明によれば、周回回数が所定回数を超えた走行体を待避させるので、消耗により故障を起こす前に走行体をメンテナンスできる。
第3発明によれば、不具合が検知された走行体を待避させるので、故障を起こす前に走行体をメンテナンスできる。また、機能を十分に発揮できない走行体を搬送ラインから排除することで、布類搬送装置の性能を維持できる。
第4発明によれば、新たな走行体を搬送ラインに供給できるので、布類搬送装置の処理能力を維持できる。
第5発明によれば、搬送ラインを循環する走行体の数を維持できるので、布類搬送装置の処理能力を維持できる。
第6発明によれば、昇降機により待避ラインからの走行体の排出、供給ができるので、メンテナンス作業が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る布類搬送装置の平面図である。
図2】走行体の正面図である。
図3】走行体の側面図である。
図4】投入機の正面図である。
図5】昇降機の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る布類搬送装置1は、リネン設備において、洗濯済みの布類、例えばシーツやタオル等を、供給位置Aから排出位置Bに搬送するための装置である。布類搬送装置1は、供給位置Aと排出位置Bとを循環する搬送ライン11を備えている。搬送ライン11は、布類を保持する複数の走行体20(図1には図示せず)が図1における矢印方向に走行可能となっている。
【0010】
供給位置Aは走行体20に布類を供給する位置であり、作業員が布類を投入する投入機30が設けられている。排出位置Bは走行体20に保持された布類を、後続の処理装置2に排出する位置である。本実施形態では供給位置Aは3箇所であり、排出位置Bは2箇所である。搬送ライン11は、供給位置Aの近傍で3本の並列ラインに分岐しており、3箇所の供給位置Aのそれぞれを通過するよう構成されている。また、搬送ライン11は、排出位置Bの近傍で2本の並列ラインに分岐しており、2箇所の排出位置Bのそれぞれを通過するよう構成されている。なお、供給位置Aおよび排出位置Bの数は特に限定されず、それぞれ1箇所でもよいし、複数箇所でもよい。
【0011】
処理装置2は、例えば布類投入機である。布類投入機2には、その下流側にロールアイロナーや布類折畳機等が接続されており、これらで処理ラインが構成されている。排出位置Bから布類投入機2に受け渡された布類は、上記処理ラインによりアイロンがけや折畳み等の処理されるが施される。
【0012】
図2および図3に示すように、走行体20は、水平に設けられた梁21と、梁21の両端部に設けられた一対のチャック22、22とを備えている。一対のチャック22、22により布類Fの一角部を所定間隔を開けて把持することにより、布類Fをぶら下げた状態で保持できる。
【0013】
また、梁21の中央部にはローラ部23が設けられている。搬送ライン11は、断面略コの字形の長尺部材2つを、その開口部を互いに向かい合わせて左右に配置し、内部に空洞部を形成した構造である。走行体20のローラ部23は搬送ライン11の空洞部に嵌め込まれている。ローラ部23が転動することにより、走行体20が搬送ライン11に沿って走行する。
【0014】
走行体20は布類Fをぶら下げた状態で保持するため、搬送中に布類Fが地面に引き摺られないように、搬送ライン11は高所に設置されている。例えば、布類Fがシーツの場合、搬送ライン11は地上から3〜4mの高さに設置される。
【0015】
図4に示すように、投入機30は、作業員により投入された布類を、高所に設置される搬送ライン11で待機している走行体20に布類Fを受け渡す装置である。投入機30は、布類の一角部を所定間隔を開けて把持する一対の投入チャック31、31と、それら投入チャック31、31が固定されたチャックベース32と、チャックベース32とともに投入チャック31、31を昇降させる昇降機構33とを備えている。チャックベース32は人間の肩幅程度の幅を有しており、その左右両端部に投入チャック31、31が設けられている。
【0016】
昇降機構33の構成は特に限定されないが、例えば、無端ベルトと、無端ベルトに巻回され上下に配置された駆動ローラおよび従動ローラと、駆動ローラを回転させる電動モータとからなる。無端ベルトにチャックベース32が固定されている。
【0017】
チャックベース32の最下降位置は人間の腕の高さ程度に設定されており、最上昇位置は搬送ライン11より少し高い位置に設定されている。作業者が洗濯済みの布類を手作業で投入チャック31、31に把持させると、昇降機構33は投入チャック31、31とともに布類を上昇させ、搬送ライン11で待機している走行体20に布類を受け渡す。布類を受け渡した後、投入チャック31、31を下降させ、再び布類が把持されるのを待機する。
【0018】
つぎに、布類搬送装置1の通常動作を説明する。
図1に示すように、供給位置Aに配置された作業員が洗濯済みの布類を投入機30に投入すると、投入機30はその布類を搬送ライン11の供給位置Aに待機している走行体20に受け渡す。搬送ライン11には複数の走行体20が走行しており、3箇所の供給位置Aのそれぞれから布類が連続して走行体20に供給される。
【0019】
布類を保持した走行体20は搬送ライン11を排出位置Bに向かって走行する。走行体20は所定の割合で2箇所の排出位置Bに分配される。排出位置Bに到着した走行体20は保持していた布類を布類投入機2に受け渡す。排出位置Bの手前では複数の走行体20が待ち行列を作り一時的に待機している。排出位置Bに到着した走行体20が布類を布類投入機2に受け渡すと、次の走行体20が排出位置Bに送られ、その走行体20が保持する布類が布類投入機2に受け渡される。
【0020】
このように、布類投入機2に次々と布類を供給できるので、布類投入機2の待ち時間を削減でき、実質的に布類投入機2を最高処理速度で運転させることができる。そのため、リネン設備全体としての処理効率が高くなる。
【0021】
布類を布類投入機2に受け渡した後の空の走行体20は、搬送ライン11を走行して再び供給位置Aに戻る。走行体20は所定の割合で3箇所の供給位置Aに分配される。供給位置Aの手前でも複数の走行体20が待ち行列を作り一時的に待機している。
【0022】
本実施形態の布類搬送装置1は、搬送ライン11から分岐した待避ライン12を備えるところに特徴を有する。待避ライン12はその始端および終端が搬送ライン11に接続されている。すなわち、待避ライン12は搬送ライン11の一部と並列に接続されている。
【0023】
待避ライン12の構造は搬送ライン11と同一であり、走行体20が走行できるように構成されている。しかし、上記通常動作において走行体20は搬送ライン11を走行し、待避ライン12に進入することはない。以下の待避動作において、故障を起こす前の走行体20を待避ライン12に待避させることで、走行体20の故障による布類搬送装置1の停止を抑制できる。
【0024】
なお、待避ライン12は、搬送ライン11のうち空の走行体20が走行する部分と並列に接続されており、空の走行体20が待避されるよう構成されている。
【0025】
搬送ライン11と待避ライン12との分岐点C(搬送ライン11と待避ライン12の始端との接続部分)には、走行体20の進行方向を切り換える分岐器41が設けられている。また、搬送ライン11上における分岐点Cの手前には、停止押出機42が設けられている。停止押出機42は走行体20の走行を一時停止させる機能と、一時停止した走行体20を押し出し走行させる機能とを有する。その停止押出機42の近傍には周回回数計数器51が設けられている。
【0026】
周回回数計数器51は、それぞれの走行体20の周回回数を計数する装置である。その構成は特に限定されないが、例えば以下の構成である。走行体20にはそれぞれ個別のIDを示すバーコードが貼り付けられている。周回回数計数器51にはバーコードリーダが設けられており、停止押出機42により停止した走行体20のバーコードを読み取り可能となっている。また、周回回数計数器51はCPUやメモリで構成されたコンピュータが内蔵されており、バーコードの読み取りにより取得したID毎に、読み取り回数を計数する。この読み取り回数が、そのIDに対応する走行体20の周回回数に相当する。なお、上記バーコードに代えて二次元バーコードを用いても良いし、RFID等の無線通信によりIDを読み取る構成としてもよい。
【0027】
周回回数計数器51と分岐器41とは有線または無線で接続されており、周回回数計数器51から出力された制御信号により分岐器41を動作できるよう構成されている。周回回数計数器51はいずれかのIDの周回回数が所定回数を超えた場合に制御信号を出力する。制御信号が入力された分岐器41は、走行体20を待避ライン12に導くように分岐点Cを切り換える。これにより、該当のIDに対応する走行体20、すなわち周回回数が所定回数を超えた走行体20を待避ライン12に待避させることができる。前記所定回数は任意の回数に設定される。例えば、走行体20の耐久試験により、走行体20が消耗により故障を起こす前の周回回数として設定される
【0028】
以上のように、周回回数が所定回数を超えた走行体20を待避ライン12に待避させるので、消耗により故障を起こす前に走行体20を搬送ライン11から排除し、メンテナンスできる。
【0029】
各排出位置Bには走行体20の不具合を検知する不具合検知器52が設けられている。ここで、本明細書において「故障」とは走行体20が走行不能となる状態を意味し、「不具合」とは走行体20は走行可能であるが機能を十分に発揮できない状態を意味する。不具合検知器52の構成は特に限定されないが、例えば以下の構成である。不具合検知器52は光電センサなどの非接触センサを備えており、排出位置Bに到着した走行体20に布類が保持されているか否かを検知するよう構成されている。走行体20に布類が保持されていない場合は、チャック22が閉まらないなどの不具合が生じていると判断できる。
【0030】
不具合検知器52と分岐器41とは有線または無線で接続されており、不具合検知器52から出力された制御信号により分岐器41を動作できるよう構成されている。不具合検知器52は走行体20の不具合を検知した場合に制御信号を出力する。制御信号が入力された分岐器41は、該当の走行体20が分岐点Cに達するタイミングで、その走行体20を待避ライン12に導くように分岐点Cを切り換える。これにより、不具合が検知された走行体20を待避ライン12に待避させることができる。
【0031】
以上のように、不具合が検知された走行体20を待避ライン12に待避させるので、故障を起こす前に走行体20をメンテナンスできる。
【0032】
チャック22の不具合により布類を保持できない走行体20など、機能を十分に発揮できない走行体20が存在すると布類の搬送に失敗するため布類搬送装置1の性能が低下する。これに対して本実施形態では、機能を十分に発揮できない走行体20を搬送ライン11から排除するので、布類搬送装置1の性能を維持できる。
【0033】
待避ライン12上における待避ライン12の終端と搬送ライン11との接続部分の手前には、停止押出機43と昇降機60とが設けられている。停止押出機42は走行体20の走行を一時停止させる機能と、一時停止した走行体20を押し出し走行させる機能とを有する。また、昇降機60は待避ライン12内の走行体20を昇降させる機能を有する。なお、停止押出機43は、特許請求の範囲に記載の「押出機」に相当する。
【0034】
図5に示すように、昇降機60は、昇降ライン61と、ベース62と、昇降機構63とを備えている。待避ライン12は一部が分断されており、その間を昇降ライン61が接続している。昇降ライン61の構造は搬送ライン11と同一であり、走行体20が走行できるように構成されている。また、昇降ライン61と待避ライン12とは若干離間しており、走行体20が待避ライン12から昇降ライン61に乗り移ることを可能としつつ、昇降ライン61を昇降可能としている。
【0035】
停止押出機43は昇降ライン61に設けられている。また、昇降ライン61および停止押出機43はベース62に固定されている。昇降機構63により停止押出機43とともに昇降ライン61を昇降させることができる。
【0036】
昇降機60および停止押出機43は以下のように動作する。常時は昇降ライン61は上昇位置で待機しており、待避ライン12と接続された状態である。待避ライン12を走行する走行体20が昇降ライン61に到達すると、停止押出機43により走行体20が停止する。ついで、昇降機構63により昇降ライン61とともに走行体20が下降される。作業員は下降した昇降ライン61から走行体20を抜き取る。抜き取られた走行体20は点検や補修などのメンテナンス作業が行われる。昇降ライン61の下降位置は人間の腕の高さ程度に設定されており、昇降ライン61から走行体20を抜き取る作業が容易となっている。
【0037】
また、昇降機60は新たな走行体20の供給にも用いられる。具体的には、作業員は昇降ライン61を下降させ、新たな走行体20を昇降ライン61に導入する。ついで、昇降ライン61を上昇させ、待避ライン12と接続された状態とする。そして、停止押出機43が走行体20を押し出して、走行体20を待避ライン12から搬送ライン11に供給する。
【0038】
このように、昇降機60により待避ライン12からの走行体20の排出、供給ができるので、メンテナンス作業が容易になる。特に、待避ライン12は、搬送ライン11と同じく高所に設置されるが、昇降機60によりメンテナンス時に作業員が待避ライン12の高さまで登る必要がなくなる。また、新たな走行体20を搬送ライン11に供給できるので、布類搬送装置1の処理能力を維持できる。
【0039】
停止押出機43は新たな走行体20を保持しておき、走行体20が搬送ライン11から待避ライン12に導かれた場合に、その新たな走行体20を待避ライン12から搬送ライン11に押し出すよう構成してもよい。走行体20が搬送ライン11から待避ライン12に導かれたタイミングは、周回回数計数器51や不具合検知器52の制御信号の出力タイミングのほか、分岐器41の動作タイミングにより検知できる。このような構成とすれば、搬送ライン11を循環する走行体20の数を維持できるので、布類搬送装置1の処理能力を維持できる。
【0040】
以上のように、布類搬送装置1は故障を起こす前に走行体20を待避させてメンテナンスできるので、走行体20が故障して搬送ライン11の途中で停止することによる布類搬送装置1の停止を抑制できる。したがって、処理ライン全体の操業が停止することも抑制できる。
【0041】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、分岐器41の切り換えを判断する装置として周回回数計数器51と不具合検知器52の両方を備える構成としてが、これらのいずれか一方を備える構成としてもよい。また、周回回数計数器51や不具合検知器52に代えて、または追加して他の装置により分岐器41の切り換えを判断してもよい。また、単純なスイッチを設けて、作業員の判断により分岐器41の切り換えを行ってもよい。
【0042】
待避ライン12の終端は搬送ライン11に接続されていなくてもよい。この場合、搬送ライン11に待避された走行体20は待避ライン12から排出されるのみである。待避ライン12とは別に、搬送ライン11に走行体20を供給する供給ラインを設けてもよい。
【0043】
走行体20は、タオルやシーツ等の方形状の布類を把持する構成に限定されない、ユニフォームや、病院着、寝巻き等の衣服を保持するハンガータイプでもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 布類搬送装置
11 搬送ライン
12 待避ライン
20 走行体
30 投入機
41 分岐器
42 停止押出機
43 停止押出機
51 周回回数計数器
52 不具合検知器
60 昇降機
61 昇降ライン
62 ベース
63 昇降機構
図1
図2
図3
図4
図5