(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、豆腐のパック詰めは、所定の形状に切断された豆腐を水中に浮遊させ、下方からパックですくい取ることにより行われていたが、衛生状態に問題が生じ易いこと、大量の汚水が発生すること、効率が悪く大量生産に不向きであること等の理由により、例えば下記特許文献1に記載されたように、大気中(陸上)でパック詰めを行うこと(いわゆる陸詰め)が行われるようになってきている。
【0003】
そのような大気中(陸上)でパック詰めを行うパック詰め装置の一例を
図6〜9に示す。
図6は、従来のパック詰め装置の側面図であり、
図7及び8は、その上面図、
図9は、従来のパック詰め装置を含む豆腐製造ラインを示す上面図である。
図9において、1は豆乳に凝固剤を加えて凝固を行う凝固部、2は凝固した豆腐を成型する成型部、3は成型した豆腐を最終製品の形状に切断するとともに、パック詰めに備えて各豆腐を所定の間隔で整列する切断・整列部であり、1〜3により豆腐製造装置6が構成されている。4は、豆腐製造装置6により製造された豆腐に対してパック詰めを行う従来のパック詰め装置である。
なお、
図6においては、図面の都合上、凝固部1、成型部2を実際よりも短く記載している。
【0004】
図6において、図面左側から搬送された成型済みの豆腐10は、切断・移動手段11により、進行方向と直交する方向で垂直に切断されるとともに、コンベア12に載置される。次に、切断された豆腐14を位置決め手段13により所定位置に位置決めした後、切断・整列手段15により、豆腐14が進行方向と平行に切断されて最終製品となる所定の形状にされるとともに、最終製品の形状にされた各豆腐16が、
図7及び8に示すように、各々所定の間隔で配列するように整列される。そして、整列された各豆腐16は、後述するパック詰め装置4によりパック詰めがなされる。
【0005】
ここにおいて、最終製品となる各豆腐16は1行に整列されているが、2行以上に整列するように配置されていてもよい。
【0006】
最終製品の形状とされ、1行に配列された各豆腐16は、4で示されたパック詰め装置によりパック詰めが行われるが、それについて以下に詳述する。
初めに、
図7〜9において5で示されたパック供給手段により、空のパック51、52がパック搬送コンベア55、56に設置される。
すなわち、
図7及び8に示すように、パック供給手段5において、パックが多数縦に積層されたパック貯蔵部53、54から、図示しないパック取り出し手段により最下の1個のパックが取り出され、取り出されたパック51、52がパック搬送コンベア55、56上に設置される。この例では、大小2種類の豆腐に対応するため、大きなパック51及び小さなパック52が、各々別のパック搬送コンベア55、56に設置される構成とされ、製品の種類に応じてどちらか一方のラインを稼動するようにしている。
【0007】
パック搬送コンベア55、56は、両側に設けられたチェーンにより駆動され、上面に所定間隔でパックに合わせた形状の穴57、58が形成されており、パック取り出し手段により取り出されたパックが、パック搬送コンベア55、56に設けられた穴に嵌るように設置される。それにより、各パック間の間隔を所定の値に保つようにしている。
【0008】
ここにおいて、パックの設置は、複数個のパックについて同時に行われ、例えば、大きなパック51については、切断・整列手段15により切断された豆腐16の個数に等しい8個のパック51が同時にパック貯蔵部53から取り出されてパック搬送コンベア55に設置される。
パック搬送コンベア55、56に設置された複数のパック51、52は、閉位置のシャッター板71の下方に運ばれる。
【0009】
シャッター板71は、大小の2種類の豆腐に対応するため、閉位置においてパック搬送コンベア55、56の両方を覆えるように幅広のものとなっており、当該シャッター板71の下方に、パック供給手段5によって取り出された複数のパック51、52が運ばれると、パック搬送コンベア55、56が一時的に停止されて、複数のパックが閉位置のシャッター板71の下方で静止される。
図7は、この状態を示している。
ここにおいて、各パックは、パック搬送コンベア55、56に設けられた穴57、58に嵌るように設置されているので、各パックを所望の静止位置に正確に位置決めすることができる。
【0010】
一方、最終製品となる所定の大きさに切断され、所定の間隔で1行に配置された豆腐16は、豆腐移動手段17により、閉位置のシャッター板71上の、豆腐の大きさに応じたパック51、52と対応する位置まで移動される。すなわち、大きな豆腐の場合には、大きなパック51を搬送するパック搬送コンベア55上のパック51と対応する位置まで移動され、小さな豆腐の場合には、小さなパック52を搬送するパック搬送コンベア56上のパック52と対応する位置まで移動される。
ここにおいて、シャッター板71上の豆腐16と、シャッター板71下のパックとが、正確に対応する位置となるように、切断・整列手段15により各豆腐16の間隔が調整されている。
【0011】
このように、豆腐16及びパック51、52が所定位置となった後に、
図8に示すように、シャッター板71を図面右方向に高速に移動させて開位置とし、シャッター板71上の豆腐16を、だるま落としの要領で下に位置するパック51、52に落とすことにより、豆腐のパック詰めが行われる。ここで図示はしないが、パック51、52が所定位置となった後に、パック搬送コンベア55、56が上昇してシャッター板71の下に近づいて待機するようにしてもよく、豆腐16がパック51、52に収納されたと同時なしは直後に下降するようして落下する豆腐16の衝撃を和らげるようにしたり、またパック51、52には予め水を適量注いでおき落下する豆腐16の衝撃を和らげるようにしたりすることもある。
豆腐16のパック詰めが完了すると、豆腐16が充填されたパック74、75は、パック搬送コンベア55、56から通常のコンベアであるコンベア76、77に移送され、パック水が注入された後、封止部80で豆腐16が充填されたパック74、75の上部が封止され、製品(いわゆるカット豆腐)が完成する。
実際の製造においては、豆腐16の大きさに応じて、上に述べた2本のラインのうちのいずれか一方のみが稼動し、他のラインは休止状態とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記のような従来のパック詰め装置は、次のような問題点を有し、豆腐の生産効率の低下と生産コストの上昇を招いていた。
まず、第1の問題点は、従来のパック詰め装置は、多品種に対応すればするほど、パック詰めに時間がかかり、スループットが低下し、豆腐の大量生産の障害となるということである。なお、本願では成型される豆腐の進行方向を列方向、その進行方向に略直交する方向を行方向とする。
【0014】
図6を用いて具体的に説明すると、大きな豆腐をパック詰めする場合には、豆腐16を豆腐移動手段17により、
図6において実線で示した大きなパック51が搬送されるパック搬送コンベア55の上方まで移動すれば済むため、豆腐の移動は短時間で完了する。それに対して、小さな豆腐20をパック詰めする場合には、豆腐移動手段17により、
図6において破線で示した小さなパック52が搬送されるパック搬送コンベア56の上方まで移動しなければならず、豆腐は非常に壊れ易く、高速に移動することができないため、小さな豆腐の移動には長い時間がかかっていた。
また、シャッター板71も、大小のパック搬送コンベア55、56の両方を覆う幅広のものとする必要があるため、シャッター板の開閉時間も長くなってしまっていた。
【0015】
図6は大小2種類の豆腐を製造する場合を示したものであるが、更に種類が増えるにしたがって、豆腐の移動距離も更に増加し、また、シャッター板の開閉時間も更に長くなるので、従来のパック詰め装置は、多品種に対応しようとすればするほどパック詰めに時間がかかり、ライン全体のスループットが低下し、短時間で大量の製品を製造することができなくなるという問題点を有していた。
【0016】
第2の問題点は、洗浄に手間がかかるという点である。
すなわち、豆腐の製造においては、清潔に保つために装置をこまめに洗浄する必要があるが、従来のパック詰め装置は、複数のパック搬送コンベアが並列に並んでいるために洗浄箇所が増加することに加え、搬送コンベアの数だけ装置の幅が増して作業者の手が届き難く、洗浄の作業性が悪くなるという問題点を有していた。
この問題点も、多品種に対応しようとすればするほど顕在化し、多品種の豆腐を効率よく製造することを困難にしていた。
【0017】
第3の問題点は、高コストという点である。
従来のパック詰め装置は、多品種に対応しようとすればするほど、上面に穴が設けられたチェーンで駆動されるパック搬送コンベアのライン数を増やす必要があり、また、シャッター板71も、より幅広なものが必要となり、設備のコストが大きく増加してしまうという問題点があった。
また、複数のパック搬送コンベアのラインを設置しなければならず、設備の構造が複雑化するため、保守・点検にもコストがかかる結果となっていた。
さらに、複数のパック搬送コンベアのラインのうち、実際に稼動するのは1つのラインにすぎず、他のラインは停止状態とされるため、設備全体としての稼働率が悪く、製品のコストアップの原因となっていた。
【0018】
第4の問題点は、大きな設置スペースが必要となる点である。
豆腐の製造ラインは、
図9に示すように、略直線状の配置とすることが普通であるが、従来のパック詰め装置においては、シャッター板の下にパックを搬送するために、パック搬送コンベア55、56を豆腐の製造ラインと略直角方向に延在させるしか方法がなく、当該パック搬送コンベア55、56にパックを供給するパック供給手段5を設ける必要があった。
そのため、従来のパック詰め装置は、製造ラインから直角方向に突出したスペースが必要となるため、製造ラインの幅がその分だけ増え、大きな設置スペースが必要となっていた。
また、複数の製造ラインを併設する場合に、隣接するラインとの間隔を広く取らざるを得ず、デッドスペースが増えてスペース効率が悪くなり、結果として製品のコストを押し上げる原因となっていた。
【0019】
そこで、本発明は、従来のパック詰め装置が有していた上記問題点に鑑みてなされたものであり、多品種に対応しても短時間にパック詰めを行うことができ、洗浄に手間がかからず、製造や保守・点検にコストがかからず、設置面積が少なくて済むパック詰め装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明に係る上記の課題は、下記の構成により解決される。
(1)豆腐製造装置により製造された豆腐をパックに詰めるパック詰め装置において、
コンベアと、
前記コンベアの上方に位置し、前記コンベアを覆う閉位置と、前記コンベアを露出させる開位置との間で移動可能なシャッター板と、
前記豆腐を前記閉位置の前記シャッター板上に移動する豆腐移動手段と、
パック貯蔵部から、パックを取り出し、取り出されたパックを、停止状態の前記コンベア上の前記豆腐に対応する位置に設置するパック設置手段と、
前記シャッター板を前記閉位置から前記開位置に移動することにより、前記豆腐を前記コンベア上の前記パックに落下させた後、前記シャッター板を再び前記閉位置に移動するシャッター板制御手段と、
前記パック設置手段により前記パックが設置される前に前記コンベアを停止し、前記豆腐が前記コンベア上の前記パックに落下した後に前記コンベアを運転するコンベア制御手段と、
を備え
、
前記パック設置手段は、前記コンベアを挟んで前記豆腐製造装置の反対側の、前記豆腐製造装置と略一直線となるような位置に配置されていることを特徴とするパック詰め装置。
(2)豆腐製造装置により製造された豆腐をパックに詰めるパック詰め装置において、
コンベアと、
前記コンベアの上方に位置し、前記コンベアを覆う閉位置と、前記コンベアを露出させる開位置との間で移動可能なシャッター板と、
前記豆腐を前記閉位置の前記シャッター板上に移動する豆腐移動手段と、
パック貯蔵部から、パックを取り出し、取り出されたパックを、停止状態の前記コンベア上の前記豆腐に対応する位置に設置するパック設置手段と、
前記シャッター板を前記閉位置から前記開位置に移動することにより、前記豆腐を前記コンベア上の前記パックに落下させた後、前記シャッター板を再び前記閉位置に移動するシャッター板制御手段と、
前記パック設置手段により前記パックが設置される前に前記コンベアを停止し、前記豆腐が前記コンベア上の前記パックに落下した後に前記コンベアを運転するコンベア制御手段と、
を備え、
前記パック設置手段は、前記豆腐製造装置の側方側であって前記豆腐製造装置と並列して平行となるような位置に予め配置されていることを特徴とするパック詰め装置。
(3)豆腐製造装置により製造された豆腐をパックに詰めるパック詰め装置において、
コンベアと、
前記コンベアの上方に位置し、前記コンベアを覆う閉位置と、前記コンベアを露出させる開位置との間で移動可能なシャッター板と、
前記豆腐を前記閉位置の前記シャッター板上に移動する豆腐移動手段と、
パック貯蔵部から、パックを取り出し、取り出されたパックを、停止状態の前記コンベア上の前記豆腐に対応する位置に設置するパック設置手段と、
前記シャッター板を前記閉位置から前記開位置に移動することにより、前記豆腐を前記コンベア上の前記パックに落下させた後、前記シャッター板を再び前記閉位置に移動するシャッター板制御手段と、
前記パック設置手段により前記パックが設置される前に前記コンベアを停止し、前記豆腐が前記コンベア上の前記パックに落下した後に前記コンベアを運転するコンベア制御手段と、
を備え、
前記パック設置手段は、各々異なる種類のパックを設置する複数の前記パック設置手段が予め設けられ、複数の前記パック設置手段は、各々異なる種類のパックを搬送するパック送り手段を備え、そのうちの1つを稼働することにより所望の種類のパックを前記コンベアに設置可能としたことを特徴とするパック詰め装置。
(4)豆腐製造装置により製造された豆腐をパックに詰めるパック詰め装置において、
コンベアと、
前記コンベアの上方に位置し、前記コンベアを覆う閉位置と、前記コンベアを露出させる開位置との間で移動可能なシャッター板と、
前記豆腐を前記閉位置の前記シャッター板上に移動する豆腐移動手段と、
パック貯蔵部から、パックを取り出し、取り出されたパックを、停止状態の前記コンベア上の前記豆腐に対応する位置に設置するパック設置手段と、
前記シャッター板を前記閉位置から前記開位置に移動することにより、前記豆腐を前記コンベア上の前記パックに落下させた後、前記シャッター板を再び前記閉位置に移動するシャッター板制御手段と、
前記パック設置手段により前記パックが設置される前に前記コンベアを停止し、前記豆腐が前記コンベア上の前記パックに落下した後に前記コンベアを運転するコンベア制御手段と、
を備え、
前記パック設置手段は、
複数のパック貯蔵部と、
各パック貯蔵部から複数のパックを同時に取り出して、取り出した複数のパックをパック送りコンベアに移載するパック取り出し手段とを備え、
前記パック送りコンベアは、前記パック取り出し手段によって移載された前記複数のパックをパック載置部まで搬送するものであり、
さらに、前記パック送りコンベアによって前記パック載置部まで搬送された前記複数のパックを、互いの距離を所定の大きさに保ちつつ、前記コンベアまで移動してパックの定位置を決定するパック移動手段と、
を備えることを特徴とするパック詰め装置。
【0021】
(
5)前記豆腐移動手段は、複数の豆腐を同時に前記シャッター板上に移動するものであり、前記パック設置手段は、豆腐の数に対応する複数のパックを前記コンベア上に設置するものであることを特徴とする前記(1)
〜(4)のいずれか1に記載のパック詰め装置。
(
6)前記コンベアは、少なくとも前記シャッター板の下方に位置する領域において、前記豆腐製造装置が配置される方向と略直角方向に移動するものであることを特徴とする前記(1)〜(
5)のいずれか1に記載のパック詰め装置。
(
7)前記コンベアは、昇降可能で表面が略平坦であることを特徴とする前記(1)〜(
6)のいずれか1に記載のパック詰め装置。
(
8)前記パック設置手段は、複数種類のパックを前記コンベア上に設置可能なことを特徴とする前記(1)〜(
7)のいずれか1に記載のパック詰め装置。
【0022】
(
9)前記パック設置手段は、各々異なる種類のパックを設置する複数の前記パック設置手段が移動可能に設けられ、そのうちの1つを設置することにより所望の種類のパックを前記コンベアに設置可能としたことを特徴とする前記(
1)に記載のパック詰め装置。
(
10)前記パック設置手段は、
複数のパック貯蔵部と、
各パック貯蔵部からパックを同時に取り出して、取り出した複数のパックをパック載置部に載置するパック取り出し手段と、
前記パック載置部に載置された複数のパックを、互いの距離を所定の大きさに保ちつつ、前記コンベアまで移動してパックの定位置を決定するパック移動手段と、
を備えることを特徴とする前記(1)
又は(9)に記載のパック詰め装置。
(
11)前記パック移動手段は、前記パックを囲む略コの字型の先端部、又は移動方向に所定の間隔で縦列に並ぶ複数のパックを移動するために各パックを保持するパック保持手段を配する略コの字型の先端部を備えることを特徴とする前記(
10)に記載のパック詰め装置。
(
12)前記パック取り出し手段と、前記パック移動手段とが別々に移動可能に構成されていることを特徴とする前記(
10)又は(
11)に記載のパック詰め装置。
【0023】
(
13)前記略コの字型の先端部の位置が個々に微調整可能であることを特徴とする前記(
11)に記載のパック詰め装置。
【発明の効果】
【0024】
上記(1)
〜(4)の構成のパック詰め装置によれば、品種に応じて複数のコンベアを設ける必要がなく、また、シャッター板も1台のコンベアを覆う小型のもので十分であるから、機長も短くできて、多品種の豆腐を切り替えて生産する場合でも、製品種類に関わらずほぼ同じく短時間に大量に製造することができる。また、品種の数だけコンベアを設ける必要がなく、パック設置手段を容易に移動してスペースが空いて手が届きやすいから、洗浄に手間がかかることがない。また、上記(1)
〜(4)の構成のパック詰め装置において用いられるコンベアは、従来のものと異なり、豆腐の位置決めのために、上面に穴が開いた枠が設けられた長尺のチェーンで駆動される特殊なコンベアを用いる必要がなく、表面が略平坦であるコンベア(スラットバンドチェーンコンベアやベルトコンベア等、特にパックの位置決め用突起物などがないフラットなコンベアでよい。)を用いるから、コンベアの数が1台で済むことと相まって、長尺チェーンの伸びによる位置ずれ問題がなく長期にわたりパックの定位置が安定するので、チェーン交換・位置調整など製造及び保守・点検のコストを安くすることができる。さらに、上記(1)
〜(4)の構成のパック詰め装置によれば、従来のもののように、パックの供給・搬送のために、パック搬送コンベアの上流に、製造ラインから直角方向に突出してパック供給手段を設ける必要がないから、豆腐製造ライン全体の面積を少なくすることができる。
【0025】
上記(
1)の構成のパック詰め装置によれば、豆腐製造ライン全体を略一直線にすることができるから、設置面積を少なくすることができる。また切断・整列部の下流方向からパックを供給するので、切断・整列部での散水や豆腐屑などによる飛沫が空パックに入りにくいドライな区域になるので衛生的である。
上記(
5)の構成のパック詰め装置によれば、どの製品種類でも最短距離で複数の豆腐とパックを供給し複数の豆腐をほぼ同じ時間にパック詰めすることができるから、スループットが上がり、短時間に大量の多品種の製品を製造することができる。
上記(
6)の構成のパック詰め装置によれば、パック詰め及びパック詰め後の豆腐の搬送を効率的に行うことができる。
上記(
7)の構成のパック詰め装置によれば、穴などパックを位置決めする部材が設けられていない通常のコンベアを用いているので、パック詰め装置のコストを低減することができる。またコンベアが昇降可能であるので、上昇状態で、特にパック移動手段が移動方向に所定の間隔で縦列に並ぶ複数のパックを移動するために各パックを保持するパック保持手段を配する略コの字型の先端部を備えている場合に、パック保持手段がパックから完全に離れるので、パック移動手段をパック定位置を乱さずに元に退避させることができる。これはパック保持手段を配さない略コの字型の先端部の場合であっても同様な効果がある。
上記(
8)の構成のパック詰め装置によれば、製品種類によって製品サイズが異なったり1行に並ぶ豆腐数やパック数が異なっても同じコンベアにパックを供給して定位置を出すことができ、複数の品種の豆腐のパック詰めを低コストで行うことが可能となる。また1行だけでなく複数列かつ複数行に並ぶパックも一度に供給して定位置を出すことも可能であり一層処理能力を高めることができる。
【0026】
上記(
9)の構成のパック詰め装置によれば、異なる種類のパックを設置する複数の前記パック設置手段が移動可能に設けられているので、品種に応じてパック設置手段を人手ないしは自動で簡単に交換することができ、多品種の豆腐を低コストで効率よく製造することができる。例えば列車基地の車両に相当のように、台車に乗ったパック設置手段がレールに沿って移動可能、入替えが容易な形態である。また水平空間ではなく、上部の空間を利用して各製品用のパック設置手段を待機させておくような自動倉庫式、ゴンドラ式などであってもよい。
上記(
10)の構成のパック詰め装置によれば、複数のパックを、互いの距離を所定の大きさに保ちつつコンベアに設置することが可能となるので、より失敗の少ない豆腐のパック詰めを行うことができる。また製品種類ごとにパック貯蔵部とパック取り出し手段とパック移動手段をユニットとして構成することで製品の切替えが容易で効率よく行うことができる。
上記(
11)の構成のパック詰め装置によれば、簡単な構成でパックの正確な位置決めが可能となるので、低コストで失敗の少ない豆腐のパック詰めを行うことができる。また複数行かつ複数列の豆腐パック詰めも容易になり、処理能力を倍増することができる。移動方向(列方向)に所定の間隔で縦列に並ぶ複数のパックを移動するために各パックを保持するパック保持手段を配する略コの字型の先端部とは、たとえば略コの字型の先端部の上面に小さな突起物を備えて、その突起物にパックのフランジ部が引っ掛かるようにして、複数のパックの間隔を所定距離にするように突起物の位置を調整可能なように設ける形態である。その他パックを保持する手段であれば限定されない。この突起部を備えた略コの字型の先端部は、パック移動手段でパックを送り出してコンベアに送った後、コンベアが上昇してパックが持ち上がって、突起物がパックフランジから離れた状態になってから、元の位置に戻るようにする。
上記(
12)の構成のパック詰め装置によれば、前記パック取り出し手段と、前記パック移動手段とが別々に移動可能であるから、パックの一辺が同じ製品種類ではパック移動手段を兼用できる場合もあり、パック貯蔵部とパック取り出し手段だけを交換すればよく、装置コストを軽減でき、品種に応じて更に簡単にパック設置手段を交換することができ、多品種の豆腐を更に低コストで効率よく製造することができる。
【0027】
上記(
13)の構成のパック詰め装置によれば、前記パック移動手段の前記略コの字型の先端部において、当該略コの字型の先端部の間隔、向き、位置等が個々に微調整可能となっている。そのようにすることで、略等間隔に整列された各豆腐の微妙な位置の差に応じて個別に簡単に調整できるため、パック詰めの成功率を向上させ、ロスを軽減できる。また、上記(
13)の構成のパック詰め装置によれば、絹ごし豆腐と木綿豆腐との違いや、大豆条件による硬さの違いによって、切断・整列部によって各豆腐を略等間隔に広げる際に、停止位置が微妙に異なっていても、原料などの条件の変化に応じて略コの字型の先端部を作り変える必要がなく、現場の条件に応じて簡単に調整できる。パック種類や製品種類(切断寸法、豆腐数などが異なる)等の条件変更の際は、略コの字型の先端部のみを交換すればよく容易である。このように、上記(
13)の構成のパック詰め装置を用いることにより、多品種の豆腐製品の製造においても切替えが容易でロスを抑えて効率よく製造することができる。
上記(
2)の構成のパック詰め装置によれば、前記パック設置手段は、前記豆腐製造装置の側方側であって前記豆腐製造装置と並列して平行となるような位置に予め固定又は移動可能にして配置されているので、パック供給や搬送工程が直角に突出することなく、豆腐製造ラインの全設置面積をコンパクトにまとめることができる。
上記(
3)の構成のパック詰め装置によれば、前記パック設置手段は、各々異なる種類のパックを設置する複数の前記パック設置手段が予め固定又は移動可能にして設けられ、複数の前記パック設置手段は、各々異なる種類のパックを搬送するパック送りコンベアを備え、そのうちの1つを稼働することにより所望の種類のパックを前記コンベアに設置可能としているので、複数の製品種類やパックサイズに応じて、それぞれに専用のパック取り出し手段やパック送り手段を設けて、それらを豆腐製造ラインに平行に並列に並べることができるので、省スペースと作業効率向上を図ることができる。また製品切替えの際にパック貯蔵部とパック取り出し手段を取り換える必要はなく、前記パック移動手段の前記略コの字型の先端部を交換して、プログラムの製品切替えを行うだけでよく、作業性が向上する。
【0028】
上記(
4)の構成のパック詰め装置によれば、前記パック設置手段は、複数のパック貯蔵部と、各パック貯蔵部から複数のパックを同時に取り出して、取り出した複数のパックをパック送りコンベアに移載するパック取り出し手段とを備え、前記パック送りコンベアは、前記パック取り出し手段によって移載された前記複数のパックをパック載置部(この場合、パック送りコンベアの終端直線部が兼ねる。)まで搬送するものであり、さらに、前記パック送りコンベアによって前記パック載置部まで搬送された複数のパックを、互いの距離を所定の大きさに保ちつつ、前記コンベアまで移動してパックの定位置を決定するパック移動手段と、を備えるので、製品種類やパックサイズがある程度少数(例えば2〜5種類程度)に限られる場合は、パック貯蔵部とパック取り出し手段のユニットと専用コンベアを必要数だけ固定又は移動可能にして設置することによって、製品切替えが素早くできるので好ましい。本発明ではパック送りコンベアにパックサイズに合わせた穴が設けられたパック搬送コンベアを用いる必要がなく、フラットでフレキシブルなコンベアを用いることができる。そのため、従来はパック貯蔵部とパック取り出し手段を豆腐製造ラインから直角に突出した位置に設置するしかなかったが、本発明では前記ユニットの長手方向を豆腐製造ラインと平行に設置したり、豆腐製造ラインと離れた適当な箇所に設置したりでき、前記ユニットの配置は従来よりも自由度が高く、豆腐製造ラインの設置スペースをコンパクトにでき、各工場事情に合わせた配置設計の選択肢が増え、最適な配置にすることができる。
【0029】
以上、本発明について簡潔に説明した。さらに、本発明の詳細を明確にするため、発明を実施するための形態(以下「実施形態」という。)について、図面を用いて以下に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を、
図1〜5を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るパック詰め装置を示す側面図であり、
図2及び3は、各々当該パック詰め装置のシャッター板が閉じた状態及び開いた状態を示す上面図であり、
図4は、本実施形態に係るパック詰め装置を含む豆腐製造ラインを示す上面図であり、
図5は、本実施形態に係るパック詰め装置におけるパック取り出し手段を示す側面図である。
これらの図面において、従来のものと同じ部分には同じ符号を付している。
【0032】
図4において、1は豆乳に凝固剤を加えて凝固を行う凝固部、2は凝固した豆腐を成型する成型部、3は成型した豆腐を最終製品の形状に切断するとともに、パック詰めに備えて各豆腐を所定の位置になるように整列する切断・整列部であり、1〜3により豆腐製造装置6が構成されている。これらの部分については従来の装置と同様である。
そして、
図4の100で示された部分が、本実施形態に係るパック詰め装置であり、
図1はその側面図を示すものである。
【0033】
図1において、図面左側から搬送された成型済みの豆腐10は、切断・移動手段11により、進行方向と直交する方向で垂直に切断されるとともに、コンベア12に載置される。次に、切断された豆腐14を位置決め手段13により所定位置に位置決めした後、切断・整列手段15により、豆腐14が進行方向と平行に切断されて最終製品となる所定の形状にされるとともに、最終製品の形状にされた各豆腐16が、
図2及び3に示すように、各々所定の間隔で配列するように整列される。そして、整列された各豆腐16は、後述する本実施形態に係るパック詰め装置100によりパック詰めがなされる。
【0034】
ここにおいて、最終製品となる各豆腐16は1行に整列されているが、2行以上に整列するように配置されていてもよい。
なお、
図1の18は、コンベア12に付着した豆腐や水等を除去するスクレイパー、19は、スクレイパーにより除去された豆腐や水等を貯蔵する貯蔵手段である。
これらの構成は、スクレイパー18及び貯蔵手段19を備える点を除き、従来の装置と同様である。
【0035】
最終製品の形状とされ、1行に配列された各豆腐16は、本実施形態に係るパック詰め装置100によりパック詰めが行われるが、それについて以下に詳述する。
従来のパック詰め装置においては、各種の豆腐に対応するパックを設置するため、上面に穴が設けられたパック搬送コンベア55、56が、品種の数だけ設けられていた。それに対して、本実施形態に係るパック詰め装置100においては、品種の数にかかわらず、上面に穴のない通常のコンベア155が1台設けられているだけである。
【0036】
また、従来のパック詰め装置においては、パック搬送コンベア55、56にパックを供給するためのパック供給手段5が、パック搬送コンベア55、56の上流となる位置、すなわち、豆腐製造ラインから直角に突出した位置に設置されていたが、本実施形態に係るパック詰め装置においては、このようなパック供給手段5はなく、替わりに、コンベア155を挟んで、豆腐製造装置6と反対側の、豆腐製造装置6と略一直線となるような位置に、コンベア155上の所定位置にパックを設置するパック設置手段170が設けられている。
また、本実施形態に係るパック詰め装置は、従来のものと異なり、
図2に示すように、1台のコンベア155を覆うために必要な幅を有するシャッター板171を備えている。処理能力を倍増するためコンベア155を複数台並行するか、1台のコンベア155に仕切りのガイドを設ける場合でも、最小限に必要な幅のシャッター板171を備えればよい。
【0037】
図1を参照して、パック設置手段170は、パック取り出し手段180及びパック移動手段190を備えている。
まず、パック取り出し手段180により、多数のパックが積層して貯蔵されているパック貯蔵部181から、例えばパック底を吸盤で真空吸引する方法や各種爪(板状爪、螺旋型爪等)でパックフランジ部の隙間に差し込んで切り出す方法等の適宜の手法により最下部のパックが取り出され、取り出されたパック185がパック載置部183の上面に載置される。パック取り出し手段180は、豆腐製造装置6により製造される豆腐の個数に合わせて複数のパック185を同時にパック載置部183に載置する構造となっており、本実施形態においては8個のパックを同時にパック載置部183に載置する。
【0038】
次いで、載置部183に載置された複数のパック185は、エアシリンダ、電動シリンダや油圧シリンダや、モータの正転・逆転によるチェーンやベルトの往復機構等により直線方向に往復駆動されるパック移動手段190により、載置部183からコンベア155まで移動される。このとき、コンベア155は、コンベア制御手段158により、任意の位置で停止状態とされている。
【0039】
パック移動手段190は、
図2、3、10に記載されたように、各々略コの字型に形成された先端部193を有する複数の可動部192を備え、各可動部192の間隔は、豆腐製造装置6により製造された各豆腐16の間隔と一致するように構成されている。そして、パック移動手段190は、先端部193により各パック185を包み込むようにしながら各パック185を一斉にパック載置部183からコンベア155へと移動する。それにより、コンベア155上の所定位置に、各豆腐16の間隔と一致する間隔で、複数のパック185を一斉に定位置に設置することが可能となっている。
【0040】
前記略コの字型に形成された先端部193の例を
図10、11に示す。
図10(a)、(c)及び11(a)は、爪部について調整しない形態、
図10(b)、(d)及び11(b)は、爪部について調整可能な形態を示す。
図11(a)は、先端部193を連結して一体型に構成した略櫛形の形態である。
図10(b)は前記櫛形形態の一体型である前記略コの字型の先端部193について、切断・整列後の各豆腐16の微妙な位置の違いに合わせて、各々に対応するパックの移動停止位置を微妙に調整できるようにした形態である。
図10(c)及び(d)は前記略コの字型の先端部193について、切断・整列後の各豆腐16の微妙な位置の違いを、各々に対応するパックの移動停止する際に、正しい位置に合わせるよう、テーパ部を形成した形態である。
【0041】
図10(b)、(d)及び11(b)に記載されたものは、切断・整列部によって横方向に間隔を広げ整列された各豆腐16に対して、各々に対応する各パックの位置を微妙に修正するため、略コの字型の先端部193を爪部194と爪部ベース195とに分割し、爪部ベース195には長穴が施されており、その長穴に沿って各爪部194を適宜スライドしたり向きを微妙に変更して爪部固定部材196で固定する。それにより、各爪部194の位置、間隔、向き(傾き)、相対的な間隔距離等を個別に簡単に微調整できる。
図10(b)のものは、左右の爪部194が一体に形成され、左右の爪部を、爪部間の間隔を一定に保ったまま調整することができ、
図10(d)のものは、左右の爪部194が別々に形成され、左右の爪部を、爪部間の間隔を含め独立して調整することができる。一般に原料等の条件や製品種類により豆腐の硬さが微妙に変化すると、切断分配後の静止位置は再現性があっても微妙に等間隔ではないことがある。
図10(b)、(d)及び11(b)に記載された先端部193を用いることにより、略等間隔に整列された各豆腐16の位置や間隔の微妙な違いに応じて、前記爪部194を現場で簡単に微調整できるので、日々の微妙な豆腐品質変動に応じて最適に調整し易く、パック詰めの成功率と製品収率を向上させることができる。なお、
図11の場合、パック移動手段190の駆動源であるエアシリンダや油圧シリンダ等の数は1台で構成できて、より経済的で好ましい。
なお、前記パック移動手段190の先端部の構造や微調整機構は上記の例示以外に、略コ字状には限らず、パックを正確に効率よく移動でき、微調整できる形態であれば特に限定しない。
【0042】
ここでコンベア155を昇降手段によって少しないしはゆっくりと上昇させてパック185をシャッター板171の下面に近づけるようにして待機させてもよい。このようにコンベアが上昇状態であれば、特にパック移動手段が移動方向に所定の間隔で縦列に並ぶ複数のパックを移動するために各パックを保持するパック保持手段を配する略コの字型の先端部を備えている場合に、パック保持手段がパックから完全に離れるので、パック移動手段をパック定位置を乱さずに元に退避させることができる。これはパック保持手段を配さない略コの字型の先端部の場合であっても同様な効果がある。またパック移動手段が退避する際に予めパック185に適量注水して重みを付与することで位置が狂いにくいようにできる。また摩擦性やグリップ性の高いコンベア表面素材を採用することも効果的である。また複数行、複数列のパック詰めの際にコンベア並列増設なしはコンベア1台で仕切りガイドを設ける。
【0043】
以上のような構成とすることにより、従来の装置のように上面に穴が設けられた特殊なコンベア55、56を用いることなく、上面が平坦なコンベア155上の所定の位置に、正確にパック185を設置することができる。
【0044】
本実施形態においては、パック設置手段170を構成するパック取り出し手段180及びパック移動手段190が、
図1に記載されたように、各々キャスター184、194により、別々に移動可能に構成されている。それにより、
図5に示すように、製造する豆腐の種類に合わせて設けられた複数種類のパック取り出し手段188、189を、180に替えて設置することにより、品種ごとに複数のコンベアを設けることなく、簡単に多品種の製品を製造することが可能となっている。また、パック取り出し手段188、189の交換に合わせ、共用できる場合もあるが、必要に応じてパック移動手段190も図示しない他のものと交換してもよい。
【0045】
一方、豆腐製造装置6により製造された複数の豆腐16は、豆腐移動手段17により、一斉に閉位置のシャッター板171の上に移動される。
その際、シャッター板171上の豆腐16が、その下のコンベア155上に設置されるパック185の真上となるように、切断・整列手段15、豆腐移動手段17及びパック設置手段170等が予め調整されている。
図2は、複数の豆腐16がシャッター板171上に移動される直前の状態を示すものである。
【0046】
以上のような位置にパック185及び豆腐16を移動した後、シャッター板制御手段172によりシャッター板171を図面右方向に高速に移動させて開位置とする。すると、シャッター板171の上の各豆腐16が、だるま落としの要領でコンベア155上に設置された各パック185の中に落下し、それにより、豆腐のパック詰めが行われる。
図3は、豆腐のパック詰めが行われた直後の状態を示すものである。
次いで、シャッター板制御手段172によりシャッター板171を閉位置に戻すとともに、コンベア制御手段158によりコンベア155を運転状態として、シャッター板171下の豆腐16が充填されたパック186を、
図3の下方向、すなわち、豆腐製造装置6が配置される方向と直角方向に搬送する。なお、豆腐サイズが小さいか、硬い豆腐の場合では、シャッター板171を用いず、豆腐移動手段17によって豆腐16を把持して、パック185に直接落とし込むパック詰め方法であってもよい。
【0047】
最後に、スペース効率を向上するため、コンベア155の主な搬送方向である後半の長手方向を豆腐製造装置6が配置され豆腐が進行する方向である長手方向と平行となるように変更した後、封止部80でパックの上部が封止され、製品が完成される。
【0048】
以上のような本実施形態に係るパック詰め装置は、従来の装置と比較して、以下のような作用効果を奏するものである。
まず、本実施形態に係るパック詰め装置は、パックを設置するためのコンベアが、製造する製品の品種の数にかかわりなく、1台で済み、シャッター板も1台のコンベアを覆うために必要な幅を有するものでよい。またコンベアにガイドを設ける場合、特に複数行、複数列のパック詰めの際にコンベアに仕切りガイドを設ける場合では、コンベア単独の上昇状態でガイドがコンベア表面より下方に位置するようにして、パック移動手段のパック移動の妨げにならないようにすることも可能である。
【0049】
したがって、本実施形態に係るパック詰め装置においては、豆腐製造装置からシャッター板の所定位置に豆腐を移動する際の移動距離が、品種の数にかかわりなく短いため、常に短時間で豆腐の移動が完了する。また、シャッター板も小型で済むため、シャッターの動作も短時間で終了する。
したがって、本実施形態に係るパック詰め装置は、従来の装置と比較して、品種の数にかかわりなく、豆腐を短時間でパック詰めすることができるので、本実施形態に係るパック詰め装置を用いることにより、短時間に大量の製品を製造することが可能となる。
【0050】
また、本実施形態に係るパック詰め装置は、パック詰めに用いるコンベアが、製造する品種の数にかかわりなく、1台で済み、シャッター板も1台のコンベアを覆うために必要な幅を有するものでよいため、複数のコンベアが並び、大きなシャッター板を備える従来の装置と比較して、洗浄箇所が少なく、かつ洗浄の作業性にすぐれたものとなっている。
したがって、本実施形態に係るパック詰め装置は、多品種の豆腐を製造する場合であっても、豆腐を効率よく製造することが可能である。
【0051】
また、本実施形態に係るパック詰め装置は、パック詰めに用いるコンベアが、製造する品種の数にかかわりなく、1台で済むとともに、表面が平坦な通常のコンベアを使用することが可能である。
したがって、本実施形態に係るパック詰め装置は、各コンベアを上面に穴が設けられ、チェーンにより両端を駆動する特殊なコンベアを品種の数だけ設置する必要がある従来の装置と比較して、はるかに低コストであり、また、シャッター板も小さくて済む等、設備全体を小型化・簡素化することがすることができ、保守・点検も容易となる。
【0052】
また、本実施形態に係るパック詰め装置においては、稼動していないのは、交換用に用意されたパック取り出し手段(
図5における188、189)のみであり、他に遊休設備は存在しないから、従来の装置と比較して、設備全体としての稼働率が向上し、生産効率の向上と低コスト化が可能である。
【0053】
さらに、本実施形態に係るパック詰め装置は、コンベアを挟んで豆腐製造装置の反対側の、豆腐製造装置と略一直線となるような位置に配置されているため、従来の装置のように製造ラインから直角方向に突出する部分がなく、ライン全体の幅を少なくすることができ、従来の装置と比較して、設置スペースを大幅に削減することが可能である。
また、複数の製造ラインを併設する場合であっても、隣接するラインとの間隔は、従来の装置と比較して短くて済み、デッドスペースが少なくスペース効率を上げることができるため、結果として、製品の低コスト化を実現することができる。
また、本実施形態に係る別形態のパック詰め装置は、パック貯蔵部とパック取り出し手段のユニットと専用コンベアを豆腐製造ラインと平行に設置したり、豆腐製造ラインから離れた場所に設置したりできるので、前記ユニットの配置は従来よりも自由度が高く、豆腐製造ラインの設置スペースをコンパクトにでき、各工場事情に合わせたレイアウトの選択肢が増え、最適な配置にすることができる。
【0054】
次に、本発明の別の実施形態を、
図12を参照して説明する。
図12は、本実施形態に係るパック詰め装置を含む豆腐製造ラインを示す上面図である。
図12において、
図1〜5の実施形態と同じ部分には、同じ符号を付している。
本実施形態に係るパック詰め装置200が、
図1〜5の実施形態と異なるのは、パック設置手段が、豆腐製造装置6の側方側であって当該豆腐製造装置6と並列して平行となるような位置に予め固定又は移動可能にして配置されている点である。以下、
図12を用いて詳しく説明する。
本実施形態に係るパック詰め装置200は、大きなパック221用のパック取り出し手段201及びパック送りコンベア211、中くらいの大きさのパック222用のパック取り出し手段202及びパック送りコンベア212、並びに小さなパック223用のパック取り出し手段203及びパック送りコンベア213を備えている。
これら3組のパック取り出し手段及びパック送りコンベアは、製造する豆腐の大きさに応じて一組が選択されて稼働する。
【0055】
ここで、大きな豆腐を製造する場合を例にとって説明すると、パック取り出し手段201が、図示しないパック貯蔵部から複数の(この例では2個の)大きなパック221(以下、単に「パック221」という。)を同時に取り出して、パック送りコンベア211上に移載する。ここにおいて、パック送りコンベア211は、一般に広く用いられている表面が平坦なコンベアを用いることができるが、その表面に、豆腐製造装置6により製造される複数の豆腐16間の距離に略等しい間隔ごとに図示しない桟を設け、当該桟にパック221の前端又は後端が接するようにして、パック221を、豆腐製造装置6により製造される複数の豆腐16間の距離に略等しい間隔で運搬できるようにしてもよい。パック取り出し手段201は、パック221を2個ずつ次々に取り出し、各パック間の距離が、豆腐製造装置6により製造される複数の豆腐16間の距離に略等しくなるように、パック送りコンベア211にパック221を移載する。パック送りコンベア211に移載されたパック221は、パック送りコンベア211により搬送される。そして、パック221が、豆腐製造装置6により製造される複数の豆腐16の位置と略対応する位置まで搬送されると、パック送りコンベア211は一時的に停止される。本実施形態においては、パック送りコンベア211上における複数の豆腐16の位置と略対応する箇所が、パック載置部に相当する。
なお、パック送りコンベア211は、上に述べた桟付のコンベアのほか、各パックに対応したフラットな台車で、後端に垂設した桟を有する断面L字型フラットな台車を備えた形態など、各パック221を豆腐製造装置6により製造される複数の豆腐16間の距離に略等しくなるよう位置決めできる他の形態であってもよい。また、桟は平板のほか、突起状部材などパックの一部に当接して位置を制限する部材であれば特に限定しない。
【0056】
次に、パック載置部に載置された複数の(この例では8個の)パック221を、略コの字型に形成された先端部231を有するパック移動手段190が
図12の紙面左方向に押し出し、各パック221を、閉位置のシャッター板171の下方に位置する桟等の突起状部材のないフラットなコンベア155上に設置する。このとき、コンベア155は、コンベア制御手段158により停止状態とされている。ここにおいて、パック移動手段190の先端部231は、隣接する略コの字型の部分の距離が、豆腐製造装置6により製造される複数の豆腐16間の距離と一致するように構成されている。本実施形態では、
図11(a)、(b)に記載されたような一体型のものを用いているが、他の形状のものを用いてもよい。なお、略コの字型に形成された先端部231は奥側がパック221の外寸に近い寸法で、先端側がパック221の外寸より長い寸法になって、略開き気味にするか、または先端内側にテーパ部を形成して、パック移動手段190が
図12の紙面左方向に押し出す際に、パック送りコンベア上に多少位置がずれているパック221を正しく位置決めすることができる(
図10(c)(d))。
【0057】
この後の動作は、
図1〜5の実施形態と同様である。
すなわち、豆腐製造装置6により製造された複数の豆腐16は、豆腐移動手段17により、一斉に閉位置のシャッター板171の上に移動される。その際、シャッター板171上の各豆腐16が、その下のコンベア155上に設置された各パック221の真上となるように、豆腐移動手段17及びパック移動手段190等が予め調整されている。
以上のようにパック221及び豆腐16を移動した後、シャッター板制御手段172によりシャッター板171を図面右方向に高速に移動させて開状態とする。すると、シャッター板171の上の各豆腐16が、だるま落としの要領でコンベア155上に設置された各パック221の中に落下し、それにより、豆腐のパック詰めが行われる。
その後の動作は、
図1〜5の実施形態と同様であるので、説明は省略する。
【0058】
以上、大きな豆腐を製造する場合を例にとって説明したが、中くらいの大きさの豆腐を製造する場合は、パック取り出し手段202及びパック送りコンベア212から成る中くらいの大きさのパック222を設置するためのラインを稼働し、パック移動手段190の先端部を、大きなパック221用の先端部231に代えて、中くらいの大きさのパック222用の先端部232とすることにより、大きな豆腐の場合と同様に中くらいの大きさの豆腐のパック詰めを行うことができる。
また、小さな豆腐を製造する場合は、パック取り出し手段203及びパック送りコンベア213から成る小さなパック223を設置するためのラインを稼働し、パック移動手段190の先端部を、小さなパック223用の先端部233とすることにより、小さな豆腐のパック詰めを行うことができる。
【0059】
以上のような本実施形態に係るパック詰め装置は、従来の装置と比較して、以下のような作用効果を奏するものである。
まず、パック設置手段が、豆腐製造装置6の側方側であって当該豆腐製造装置6と並列して平行となるような位置に予め固定又は移動可能にして配置されているので、パック供給や搬送工程が直角に突出することなく、豆腐製造ラインの全設置面積をコンパクトにまとめることができる。
また、本実施形態に係るパック詰め装置は、各々異なる種類のパックを設置する複数のパック設置手段が予め固定又は移動可能にして設けられ、そのうちの1つを選択して稼働することにより所望の種類のパックをシャッター下のコンベアに設置可能としている。したがって、本実施形態に係るパック詰め装置は、複数の製品種類やパックサイズに応じて、それぞれに専用のパック取り出し手段やパック送り手段を設けて、それらを豆腐製造ラインに平行に並列に並べることができるので、省スペースと作業効率向上を図ることができる。また製品切替えの際にパック貯蔵部とパック取り出し手段を取り換える必要はなく、前記パック移動手段の略コの字型の先端部を交換し、それに合わせて制御プログラムの切替えを行うだけでよいため、作業性が向上する。なお、製品種類が多い場合は、異なる種類のパックを設置する複数のパック設置手段はパック送りコンベアが共用できる範囲で切替え又は移動可能に設けられてもよい。
【0060】
以上、本発明の実施形態について図面を用いて詳述してきたが、上記実施形態は単なる例示にすぎないものであり、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0061】
例えば、本実施形態においては、豆腐製造装置により8個の豆腐が1行になるように製造されているが、豆腐製造装置は、任意の個数の豆腐を任意の数の行だけ製造する構成であってもよい。
その場合には、パック設置手段を、豆腐製造装置により製造された豆腐の行数及び各行の豆腐の個数に合わせた数のパックをコンベア上に設置する構成とすればよい。その際、コンベアの幅は適宜広くすることができ、また、必要であれば行数と同数の複数のコンベアを設け、各コンベア上にパックを設置するようにしてもよい。
【0062】
また、パック設置手段は、本実施形態のものに限らず、複数のパックが貯蔵されたパック貯蔵部から所定の数のパックを取り出して、各パックをコンベア上の所定の位置に設置できる構成であれば、どのようなものであってもよい。各パック貯蔵部や各パック取り出し手段は各々専用に設けて、製品切替え時は、移動式で交換するようにしてもよい。また固定式に設置してパック送りコンベアを備えて交換の手間を省くようにしてもよく、前記パック移動手段の前記略コの字型の先端部の交換と、制御プログラムの切替え等の簡単な操作で済む。
また、本実施形態においては、シャッター板が略矩形の一枚板から構成されているが、そのようなものに限らず、豆腐を載置でき、かつ、当該豆腐をだるま落としの要領で下に落とすことができるものであれば、どのような形状・構造のものであってもよい。
また、本実施形態において、シャッター板制御手段及びコンベア制御手段は、シーケンサやソフトウェア等の任意の手段を用いて実現することができ、また、各種要素を駆動する駆動手段も、電気モータ(インバータ制御、サーボモータ制御、電圧制御、正転逆転制御)や、機械的加減速手段(ギヤボックス式変速機、無段変速機、ベルト掛けプーリー)、ソレノイド、空気圧機器(エアシリンダー等)や油圧機器等の任意の手段を用いて、これら駆動手段の連動、同調、同期等の動作プログラムも実現することができることは、当業者にとって自明である。