特許第6389725号(P6389725)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6389725情報処理装置、経路案内システム、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6389725
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】情報処理装置、経路案内システム、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20180903BHJP
   G08G 1/005 20060101ALI20180903BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
   G01C21/26 P
   G08G1/005
   G09B29/10 A
【請求項の数】10
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-204833(P2014-204833)
(22)【出願日】2014年10月3日
(65)【公開番号】特開2016-75516(P2016-75516A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2017年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】500578216
【氏名又は名称】株式会社ゼンリンデータコム
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】西田 純
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 宜宏
【審査官】 笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−277575(JP,A)
【文献】 特開2013−167516(JP,A)
【文献】 特開2006−193020(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/26
G08G 1/005
G09B 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設が提供する対象を利用した経路を案内する情報処理装置であって、
出発地と目的地の位置情報を取得して出発地から目的地までの経路を検索する経路検索手段と、
施設の対象を利用した対象利用者の数情報が、対象利用者が通過した施設の入り口に対応づけて記憶された数情報記憶手段を参照して、
前記経路検索手段が検索した経路に含まれる施設が有する複数の入り口のうち、前記数情報記憶手段に記憶されている前記数情報が最も多い入り口を決定する入り口決定手段と、を有し、
前記経路検索手段は、前記入り口決定手段が決定した入り口を含む経路を作成する、ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記数情報記憶手段は、対象利用者が通過した入り口と対象利用者が利用した施設の対象に対応づけて施設の対象を利用した対象利用者の数情報を記憶しており、
前記入り口決定手段は、前記数情報記憶手段を参照し、前記経路検索手段が検索した経路に含まれる施設が有する複数の入り口のうち、該経路に含まれる対象に対応づけられた数情報が最も多い入り口を決定する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記数情報記憶手段は、対象利用者が通過した入り口、対象利用者が利用した施設の対象、及び、対象を利用する前の対象利用者の施設に対する相対位置情報に対応づけて、施設の対象を利用した対象利用者の数情報が記憶されており、
前記入り口決定手段は、前記数情報記憶手段を参照し、前記経路検索手段が検索した経路に含まれる施設が有する複数の入り口のうち、
前記経路検索手段が検索した経路に含まれる施設に対する出発地の相対位置情報と前記経路に含まれる対象に対応づけられた数情報が最も多い入り口を決定する、ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記数情報記憶手段には、対象が利用された時間帯ごとに対象を利用した対象利用者の数情報が記憶されており、
前記入り口決定手段は、前記数情報記憶手段を参照し、前記経路検索手段が検索した経路に含まれる施設が有する複数の入り口のうち、ユーザが入り口に到達する時間帯において、最も多い数情報が対応づけられている入り口を決定する、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
記対象利用者の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報から対象利用者が利用した施設、前記対象利用者が利用した該施設の入り口及び対象を判断して、前記施設の入り口に対応づけて、前記対象を利用した対象利用者の前記数情報を前記数情報記憶手段に記憶させる蓄積手段と、
を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記蓄積手段は、前記施設の入り口及び対象利用者が利用した前記対象に対応づけて、前記対象が利用された数の前記数情報を前記数情報記憶手段に記憶させる、ことを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記蓄積手段は、前記位置情報から対象利用者が前記施設を利用する前の前記施設に対する相対位置を判断して、前記施設の入り口、対象利用者が利用した対象及び前記相対位置に対応づけて対象を利用した前記対象利用者の前記数情報を数情報記憶手段に記憶させる、ことを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記施設が駅の場合、前記対象は路線であり、
前記施設がデパート又はショッピングモールの場合、前記対象は店舗又は化粧室であり、
前記施設が空港の場合、前記対象は航空会社であり、入り口は降車ホーム又は駐車場である、ことを特徴とする請求項1〜7いずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
施設が提供する対象を利用した経路を端末に案内する経路案内システムであって、
前記端末から出発地と目的地の位置情報を取得して、出発地から目的地までの経路を検索する経路検索手段と、
施設の入り口を通過して施設の対象を利用した対象利用者の数情報が、入り口に対応づけて記憶された数情報記憶手段を参照して、
前記経路検索手段が検索した経路に含まれる施設が有する複数の入り口のうち、前記数情報記憶手段に記憶されている前記数情報が最も多い入り口を決定する入り口決定手段と、
前記入り口決定手段が決定した入り口を含む経路を表示する経路表示手段と、
を有することを特徴とする経路案内システム。
【請求項10】
施設が提供する対象を利用した経路を案内する情報処理装置に、
出発地と目的地の位置情報を取得して出発地から目的地までの経路を検索する経路検索ステップと、
施設の入り口を通過して施設の対象を利用した対象利用者の数情報が、入り口に対応づけて記憶された数情報記憶手段を参照して、
前記経路検索ステップにより検索された経路に含まれる施設が有する複数の入り口のうち、前記数情報記憶手段に記憶されている前記数情報が最も多い入り口を決定する入り口決定ステップと、を実行させ、
前記経路検索ステップでは、前記入り口決定ステップにより決定された入り口を含む経路を作成する、ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設が提供する対象を利用した経路を案内する情報処理装置、経路案内システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から車載されたナビゲーション装置が知られているが、スマートフォンの普及に伴いスマートフォンにナビゲーション用のアプリケーションソフトウェアを実行させることによりナビゲーション装置として機能させることができるようになった。また、PND(Portable Navigation Device)などと呼ばれる持ち運び可能なナビゲーション装置も知られている。これらのユーザは、スマートフォンやPNDを自動車に搭載してカーナビゲーション装置として用いたり、徒歩で移動する場合の歩行者用ナビゲーション装置として用いたりできる。また、出発地から目的地まで、電車、飛行機、クルマ、バス、徒歩などの様々な交通手段の最適な組み合わせを提案するナビゲーションも実用化されている。
【0003】
この歩行者用ナビゲーション装置にユーザが目的地までの経路案内をさせる場合、歩行者用ナビゲーション装置が列車を使用した経路を案内する場合がある。複数の路線を利用できるような大きな駅を経由地とする場合、駅には多数の出入り口が存在するが、その全てがユーザの経路に含まれる列車の路線に適切であるとは言えず、ユーザの路線に最適な出入り口が存在すると考えられる。
【0004】
このような背景に対し、従来から出入り口が複数ある場合に最適な出入り口を表示するナビゲーションシステムが考案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、目的地の出入口に対応する交通路線・運行情報と該交通機関の乗降口を表示する歩行者用ナビゲーションシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−5683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたナビゲーションシステムでは、路線の利用者により出入り口が実際に利用されているか否かが考慮されておらず、表示される出入り口の精度が低い場合があるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑み、施設に複数の入り口がある場合に適切な入り口を案内する情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題に鑑み、本発明は、施設が提供する対象を利用した経路を案内する情報処理装置であって、出発地と目的地の位置情報を取得して出発地から目的地までの経路を検索する経路検索手段と、施設の対象を利用した数の数情報が、対象利用者が通過した施設の入り口に対応づけて記憶された数情報記憶手段を参照して、前記経路検索手段が検索した経路に含まれる施設が有する複数の入り口のうち、前記数情報記憶手段に記憶されている前記数情報が最も多い入り口を決定する入り口決定手段と、を有し、前記経路検索手段は、前記入り口決定手段が決定した入り口を含む経路を作成する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
施設に複数の入り口がある場合に適切な入り口を案内する情報処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態のナビゲーションサーバによる経路案内の概略を説明する図の一例である。
図2】駅の入り口と改札口の関係を説明する図の一例である。
図3】経路案内システムのシステム構成図の一例である。
図4】ナビゲーションサーバ及び端末のハードウェア構成図の一例である。
図5】経路案内システムが備える機能ブロック図の一例である。
図6】施設情報DBに記憶されている施設情報を模式的に示す図の一例である。
図7】方面路線データDBに記憶されている方面路線データを模式的に示す図の一例である。
図8】方面路線データの蓄積を模式的に説明する図の一例である。
図9】路線利用者のプローブデータを模式的に示す図の一例である。
図10】方面路線データを利用した入り口の判断方法を説明する図の一例である。
図11】端末(経路案内用)の表示装置に表示されたナビ画面の一例を示す図である。
図12】ナビゲーションサーバが方面路線データを蓄積する手順を示すシーケンス図の一例である。
図13】ナビゲーションサーバが入り口を判断して経路情報を作成する手順を示すシーケンス図の一例である。
図14】施設がデパートやショッピングモールの場合の方面路線データを示す図の一例である。
図15】時間帯別に蓄積された方面路線データの一例を示す図である。
図16】駅の入り口、改札口、及び、路線の関係を模式的に示す図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0012】
<本実施形態のナビゲーションサーバの概略的特徴>
まず、図1を用いて本実施形態のナビゲーションサーバによる経路案内の概略を説明する。図1(a)は比較のために示した従来の経路案内を説明する図の一例である。図1(b)は本実施形態のナビゲーションサーバの経路案内を説明する図の一例である。なお、ユーザは後述する端末を携帯している。
【0013】
図示する駅10には4つの入り口11(以下、区別する場合、入り口A〜Dという)が存在する。図1(a)に示すように、駅10の北側から接近したユーザに対し、従来はユーザに最も近い北側の入り口Aを案内していた。
【0014】
これに対し、本実施形態では、入り口ごとに、路線利用者の接近方面(接近方面は相対位置情報の一例である)と路線に対応づけて蓄積された路線利用者の数(又は数に相関する情報であればよく数情報の一例である。)を利用して、入り口を案内する。路線利用者の数を蓄積することで、例えば以下のような情報が得られる。
・北側から路線Iに乗車する人は入り口Bを利用することが多い。
・南側から路線Iに乗車する人は入り口Cを利用することが多い。
【0015】
したがって、北側から路線Iに乗車するユーザが駅10に接近する場合、ナビゲーションサーバは蓄積されている路線利用者の数を参照して、ユーザの接近方面と利用する路線に最適な入り口を案内する。図1(b)に示すように、路線Iを利用するユーザが北側から接近した場合、過去の路線利用者の数によれば入り口Bが多く利用されるので、ナビゲーションサーバはユーザに入り口Bを案内する。路線利用者の数が多い入り口は、多くの路線利用者が接近方面と路線を考慮した場合に利用することが合理的であると判断した入り口であると考えられるので、ナビゲーションサーバは最適な入り口をユーザに案内できる。
【0016】
<入り口について>
本実施形態における施設の入り口11について説明する。入り口11は、ユーザが駅10などの施設に入ることが可能な場所であるが、施設の一部(敷地内)にあるとは限らない。また、入り口11は通常、出口としても使用可能である。
【0017】
図2を用いて、施設として駅10が利用される場合の入り口11について説明する。図2は、駅10の入り口11と改札口12の関係を説明する図の一例である。図2(a)では駅10の入り口11の直後に改札口12が設置されており、駅10を利用するために入り口11を通過した路線利用者は必ずこの改札口12を利用する。このように入り口11と改札口12が一体と見なせる構造の場合、入り口と改札口12を厳密に区別する必要はなく、入り口11を案内することと改札口12を案内することを同一視できる。しかしながら、このような構造の入り口11と改札口12は希であり、図2(b)に示すように1つの改札口12に対し複数の入り口(入り口A〜C)が存在する場合が少なくない。
【0018】
図2(b)では1つの改札口12に3つの入り口A〜Cが設けられている。入り口A、入り口Bは駅10の手前側の道路に設けられており、改札口12と地下道や歩道橋(ペデストリアンデッキ)等でつながっている。路線利用者は入り口A〜Cのいずれを通過しても改札口12に到達できる。そして、改札口12が1つでも入り口A〜Cを利用する路線利用者の数に偏りが生じる場合がある。これは、エスカレータやエレベータの有無、入り口11を通過後の道の広さ・凹凸、雨や日差しを避けられるか否か、歩行時間などに違いがあるためである。日常的に駅10を使用している路線利用者は自分にとって合理的な入り口11を選ぶため、多く使用される入り口11は総合的に多くの路線利用者に支持されている入り口11であると推定できる。よって、本実施形態のナビゲーションサーバは、路線利用者に支持されている入り口をこの駅10をあまり利用しないユーザに対し提案できる。
【0019】
また、図2(c)に示すように、比較的大きな駅10では複数の改札口12を有することが多い。図2(c)では、駅10に路線Iの改札口Aと路線IIの改札口Bとが設けられている。例えば、入り口A〜Cは改札口Aと改札口Bのどちらにも通じているが、入り口Cから改札口Bへ到達するための通路が狭かったり、階段の上り下りが多い場合、X方向から到達する路線利用者の多くは入り口Bを使用する状況が生じうる。本実施形態のナビゲーションサーバは、路線IIを利用する端末のユーザに対し、多く使用される入り口Bをユーザに提案できるので、この駅10をあまり利用しないユーザに対し路線利用者に支持されている入り口を提案できる。
【0020】
このように、本実施形態では図2(b)(c)のように改札口へつながる入り口が1つでない場合に適切な入り口を提案できる。
【0021】
また、本実施形態の路線とは鉄道路線をいい、異なる鉄道会社が運営する路線は区別して扱われる。また、同じ鉄道会社であっても行き先の異なる路線は区別される。
【0022】
本実施形態の入り口の案内は、駅以外の施設についても適用可能であるが詳細は後述する。
【0023】
また、本実施形態では路線を利用する者を路線利用者、端末22を利用する者をユーザと称するが、路線利用者がユーザとなることもあるため便宜的な区別に過ぎない。路線利用者は対象利用者の一例である。
【0024】
<システムなどの構成例>
図3は、本実施形態にかかる経路案内システム100のシステム構成図の一例である。経路案内システム100は、ネットワーク13を介して接続されたナビゲーションサーバ21及び端末22を有している。
【0025】
ネットワーク13は、主にインターネット、WANやLANなどの主に有線で構築される通信網と、携帯電話網や無線LANなどの主に無線で構築される通信網とを有している。有線のみ又は無線のみで構築されていてもよい。端末22は無線で基地局14やアクセスポイント15にアクセスすることでネットワーク13に接続する。
【0026】
ナビゲーションサーバ21は、端末22に対し、ナビゲーションに関するサービス・機能を提供するサーバ装置である。ナビゲーションサーバ21は情報処理装置の一例である。例えば、端末22から現在地と目的地を取得して経路を検索し、経路情報とナビ画面を端末22に送信する。
【0027】
端末22は、路線利用者又はユーザが利用するナビゲーション端末である。端末22は、汎用的な情報処理端末221である場合とナビゲーション専用端末222の場合がある。ナビゲーション専用端末222はPND(Portable Navigation Device)とも呼ばれる。なお、本実施形態の端末22は、情報処理端末221又はナビゲーション専用端末222以外でもよい。
【0028】
情報処理端末221としての端末22は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、ノートPC、及び、ウェアラブルPCなどである。情報処理端末221はこれらに限定されるものではなく、経路案内に適切な装置であればよい。これらの装置は、普段は情報処理端末として利用されるが、ナビゲーションのためのアプリケーションソフトウェアを実行すると、ナビゲーション専用端末222と同様、ルート検索及び経路案内等を行う。情報処理端末221は情報処理装置の一例である。
【0029】
また、端末22は、汎用的な情報処理端末221とナビゲーション専用端末222のどちらの場合でも、車載された状態と携帯可能な状態の切り替えが可能であってもよい。
【0030】
端末22の動作態様には大きく2つある。1つは、端末22が例えば専用のアプリケーションソフトウェアやWebブラウザを起動してナビゲーションサーバ21と通信し、経路案内に関する情報を受信して表示するクライアント型の動作態様である。もう1つは、原則的に地図の描画などの処理を端末内で完結し、地図データの取得など必要な場合にのみナビゲーションサーバ21と通信するアプリケーション型の動作端末である。本実施形態では、クライアント型を例に説明するが、アプリケーション型に対しても本実施形態の経路案内を好適に適用できる。
【0031】
なお、ユーザは2台の端末22を用いて、経路案内システム100を利用してもよい。例えば、ノートPCなどの端末22でドライブポータルサイトにアクセスして、出発地から目的地までのルートを事前に検索しておく。ドライブポータルサイトは、運転者(ドライバ)のための情報サービスサイトである。検索されたルートはドライブポータルサイトに登録しておき、任意のタイミングでスマートフォンなどの端末22から登録されている経路情報をダウンロードする。
【0032】
図4は、ナビゲーションサーバ21及び端末22のハードウェア構成図の一例である。図4(a)に示すように、ナビゲーションサーバ21は、ハードウェア構成として、CPU(Central Processing Unit)211、ROM(Read Only Memory)215、RAM(Random Access Memory)216、補助記憶装置217、入力装置212、表示装置213、及び、通信装置214を有する。
【0033】
また、図4(b)に示すように、端末22は、ハードウェア構成として、CPU211、ROM215、RAM216、補助記憶装置217、入力装置212、表示装置213、通信装置214、音声入出力装置218、及び、GPS受信装置219を有する。
【0034】
CPU211は、各種プログラムの実行や演算処理を行う。ROM215には、起動時に必要なプログラムなどが記憶されている。RAM216は、CPU211での処理を一時的に記憶したり、データを記憶したりする作業エリアである。補助記憶装置217は、各種データ及びプログラム2101、2102を格納する不揮発性のメモリである。入力装置212は、例えばキーボードやマウスである。表示装置213は、ディスプレイであり、例えば、ナビ画面等が表示される。通信装置214は、ネットワーク13に接続して他装置との通信を行う。音声入出力装置218は、音声の入出力を行う装置であり、例えば、ナビゲーションの音声ガイダンスが出力される。GPS受信装置219は、GPS衛星の電波を受信して現在位置を算出する。
【0035】
なお、端末22の入力装置212は、キーボードやマウスに代え又はこれらに加えて、画面に対する接触位置(タッチ座標)を検知可能なタッチパネルにより実現されうる。また、入力装置212は、音声入出力装置218が入力させた音声を認識する音声認識装置としての機能を有していてもよい。
【0036】
ナビゲーションサーバ21又は端末22の補助記憶装置217に記憶されているプログラム2101,2102は、不図示の記憶媒体に記憶された状態で配布される。あるいは、不図示のサーバからダウンロードすることで配布される。端末22のプログラム2102は経路案内に専用のアプリケーションソフトウェアでもよいし、ブラウザソフトウェアでもよい。
【0037】
<経路案内システムの機能構成例>
図5は、本実施形態の経路案内システム100が備える機能ブロック図の一例である。経路案内システム100は、ナビゲーションサーバ21、端末(蓄積用)22a、及び、端末(経路案内用)22bを有している。端末(蓄積用)22aは後述する方面路線データを蓄積するための端末22であり、端末(経路案内用)22bは蓄積された方面路線データを利用して経路案内などを行うための端末22である。図4では説明のため、端末(蓄積用)22aと端末(経路案内用)22bがそれぞれ図示されているが、端末(蓄積用)22aが端末(経路案内用)22bとして使用される場合も生じるので、便宜的な区別に過ぎない。
【0038】
端末(蓄積用)22aはプローブデータ送信部31と位置情報取得部32を有している。プローブデータ送信部31と位置情報取得部32は、図4に示したCPU211がプログラム2102を実行して端末22のハードウェアと協働することで実現される機能又は手段である。これらの機能の一部又は全てがICなどのハードウェア回路により実現されてもよい。
【0039】
端末(蓄積用)22aはプローブデータをナビゲーションサーバ21に送信する。プローブデータとは移動軌跡情報ともいい、厳密な定義はないが、例えば、移動軌跡を特定できる程度の頻度で取得される、以下のような情報である。
【0040】
「時刻、位置情報(経度・緯度・標高)、速度、及び、端末22の識別情報などを含む情報」
端末(蓄積用)22aがプローブデータを送信することで、ナビゲーションサーバ21では、路線利用者がどのような経路で移動したかが判明する。
【0041】
位置情報取得部32は、端末の現在地の位置情報を取得する。例えば、GPS受信装置219により位置を検出してもよいし、屋内であればIMES(Indoor MEssaging System)、Wi-Fi(複数の無線LANのアクセスポイントからの電波強度などから位置を算出する)、超音波(複数の音源を検出して3点測量により位置を算出する)、BLE(Bluetooth Low Energy)などにより位置を検出できる。
【0042】
プローブデータ送信部31は、定期的にプローブデータをナビゲーションサーバ21に送信する。定期的に限られず、位置が所定値以上変動した場合や路線利用者の操作を契機にして送信してもよい。
【0043】
なお、端末(蓄積用)22aは目的地までの経路が検索された経路情報(ルートデータ)を有していてもよい。しかし、端末(蓄積用)22aが経路情報を有し経路案内が行われていても、プローブデータは端末(蓄積用)22aが実際に移動した移動経路に基づいて送信される。
【0044】
端末(経路案内用)22bは端末送受信部33、案内要求受付部34、及び、経路案内部35を有している。端末送受信部33、案内要求受付部34、及び、経路案内部35は、図4に示したCPU211がプログラム2102を実行して端末22のハードウェアと協働することで実現される機能又は手段である。これらの機能の一部又は全てがICなどのハードウェア回路により実現されてもよい。
【0045】
端末送受信部33は、ナビゲーションサーバ21に案内要求を送信したり、ナビゲーションサーバ21からナビ画面や経路情報を受信したりする。案内要求受付部34は、出発地又は現在地(以下、出発地(現在地)という)から目的地までの経路案内をナビゲーションサーバ21に対し要求する。案内要求は、例えば以下のような情報を有している。
【0046】
「出発地(現在地)、及び、目的地など」
経路案内部35は、ナビゲーションサーバ21から送信されたナビ画面を表示装置213に表示したり、経路情報を用いて進路変更の手前などで目的地までの経路を案内する。経路情報は、例えば以下のような情報を有している。
【0047】
「出発地から目的地までの経路(リンクやノード)、進路変更する位置」
ナビゲーションサーバ21はサーバ送受信部41、方面路線データ蓄積部42、経路検索部43、及び、入り口判断部44を有している。サーバ送受信部41、方面路線データ蓄積部42、経路検索部43、及び、入り口判断部44は、図4に示したCPU211がプログラム2101を実行してナビゲーションサーバ21のハードウェアと協働することで実現される機能又は手段である。これらの機能の一部又は全てがICなどのハードウェア回路により実現されてもよい。
【0048】
また、ナビゲーションサーバ21は、方面路線データDB46と施設情報DB47を有している。これらは、例えばナビゲーションサーバ21の補助記憶装置217に構築されるが、ナビゲーションサーバ21が直接有していなくてもよく、ナビゲーションサーバ21がアクセス可能な場所にあればよい。
【0049】
なお、ナビゲーションサーバ21は、一般に、地図を描画するための例えばベクトルデータやラスタデータを記憶した地図DB、ノードデータ及びリンクデータからなる道路ネットワークデータを記憶した道路ネットワークDB、及び、歩行者が通行可能な歩道(横断歩道、歩道橋、建物内や公園内の通り抜け可能な歩行者用通路など)のノードデータ及びリンクデータを記憶した歩行者ネットワークDBを有している。しかしながら、図では便宜的に省略されている。
【0050】
サーバ送受信部41は、端末(蓄積用)22a及び端末(経路案内用)22bと通信し、例えばプローブデータや案内要求を受信する。方面路線データ蓄積部42は、施設情報DB47を参照してプローブデータを方面路線データに加工し、方面路線データDB46に記憶させる。詳細は、図8,9にて説明する。なお、プローブデータは一次的に、バッファに記憶されるがこのバッファは図示が省略されている。
【0051】
経路検索部43は、案内要求に基づき例えばダイクストラ法を用いて目的地までの経路を検索し、ナビ画面や経路情報を作成する。経路情報に駅10やデパート、ショッピングモールなどの特定の施設が含まれている場合、経路検索部43は、入り口判断部44に入り口判断要求を出力する。なお、特定の施設か否かは例えば施設の属性に含まれている。入り口判断要求は例えば以下の情報を有している。
【0052】
「駅などの施設、施設に接近する接近方面、及び、利用する路線など」
なお、利用する路線は、施設がデパートやショッピングモールの場合は、施設内の店舗や化粧室などの位置情報となる。
【0053】
入り口判断部44は、方面路線データDB46を参照して、ユーザの接近方面及び利用する路線に最適な入り口を経路検索部43に返す。経路検索部43は、施設情報DB47を参照して最適な入り口情報の入り口を通過する経路情報を作成し、サーバ送受信部41が経路情報を端末(経路案内用)22bに送信する。
【0054】
<<施設情報DB>>
図6は、施設情報DB47に記憶されている施設情報を模式的に示す図の一例である。施設情報DB47には、各施設の入り口ごとに位置情報が登録されている。位置情報は例えば緯度・経度・標高であるが、最寄りの道路のリンク番号などで特定されていてもよい。また、高さを示す情報として標高ではなく入り口があるフロアの階数が含まれていてもよい。
【0055】
<<方面路線データDB>>
図7は、方面路線データDB46に記憶されている方面路線データを模式的に示す図の一例である。図7(a)は入り口Aの方面路線データを、図7(b)は入り口Bの方面路線データをそれぞれ示している。方面路線データは、駅10への接近方面と路線に路線利用者の数が対応づけられた構造となっている。例えば、入り口Aでは、接近方面が「北」で利用した路線が「I」の路線利用者の数は"40"であり、接近方面が「東」で利用した路線が「I」の路線利用者の数は"30"である。
【0056】
図7では、入り口Aと入り口Bだけが示されているが、図示するような方面路線データが各駅の入り口ごとに(好ましくは全ての入り口に対し)作成されている。このような方面路線データにより、ナビゲーションサーバ21は利用される路線と接近方面に応じて最適な入り口を決定できる。例えば、接近方面が「北」で利用する路線が「I」のユーザに対しては、路線利用者の数が最も多い入り口Bを案内できる。
【0057】
なお、方面路線データには路線利用者の数でなく比率を登録してもよい。この場合、接近方面と路線の組み合わせに対し比率を取るべきなので、例えば入り口Aの接近方面「北」・路線「I」の比率は以下のように算出される。
入り口Aの比率=40/(入り口Aの接近方面「北」・路線「I」の路線利用者の数+入り口Bの接近方面「北」・路線「I」の路線利用者の数+…)
方面路線データの蓄積期間は、十分に大きい路線利用者の数が蓄積される期間を満たせば短い期間の方が好ましい。このような期間は施設ごとに異なると考えられるが、接近方面と路線の組み合わせに対し閾値以上の路線利用者の数の蓄積が得られる期間を実験的に定めることで決定できる。
【0058】
この期間が経過した古いデータを削除して新しいデータを蓄積することで、状況の変化に早期に対応できる。例えば、図2(c)の入り口Bが工事により使用禁止となったものとする。まず、入り口Bが使用禁止になった日から方面路線データに入り口Cを使用する路線利用者の数が増大して蓄積されはじめる。蓄積される期間が短いほど入り口Bを利用した路線利用者の記録が早期に削除され、入り口Cの路線利用者の数が早期に最も大きくなるので、入り口Cをユーザに案内しやすくなる。
【0059】
<方面路線データの蓄積>
図8、9を用いて、方面路線データの蓄積について説明する。図8は、方面路線データの蓄積を模式的に説明する図の一例である。路線利用者1〜3が路線を利用するまでのプローブデータがすでにナビゲーションサーバ21に送信されているものとする。路線利用者1は北から接近し入り口Bを通過して路線Iを利用し、路線利用者2は北から接近し入り口Bを通過して路線IIを利用した。路線利用者3は東から接近し入り口Bを通過して路線Iを利用した。
【0060】
この場合、方面路線データ蓄積部42は、図9のようなプローブデータを参照して、方面路線データを蓄積する。図9は路線利用者1のプローブデータを模式的に示す図の一例である。路線利用者1の端末(蓄積用)22aが検出した位置情報と速度が時系列に登録されている。なお、速度は、端末(蓄積用)22aの加速度センサなどから算出されたものであり本実施形態では用いなくてもよい。
【0061】
プローブデータを方面路線データに加工する手順を説明する。
(i)方面路線データ蓄積部42は、プローブデータの位置情報と一致したとみなせる施設情報DB47の施設の入り口11を検索し、適合した入り口11が対応づけられている駅10を特定する。
(ii)また、検索に適合した入り口11を路線利用者が通過したと判断する。
(iii)入り口11を通過する前に路線利用者が駅10に接近した方向を判断するため、入り口を通過する前の位置情報に基づき、接近方面を判断する。例えば、時系列の位置情報を直線に近似してその傾きを、接近方面(8方向:東西南北、東南、南西、北西、北東のいずれか)に分類する。また、本実施形態では接近方面を東西南北に分類しているが、路線利用者は歩行してくるので歩行した道路を判別してもよい。この場合、方面路線データDB46には歩行した道路(例えばリンク番号)と路線の組み合わせの数が蓄積される。接近方向(東西南北)や路線利用者が歩行した道路は、駅10に対する路線利用者の相対位置と表現できる。
(iv)次に、方面路線データ蓄積部42は路線利用者が路線を利用したか否か、利用した場合はどの路線を利用したかを判断する。すなわち、入り口を通過した後の位置情報を監視し、駅10の別の入り口を出て移動したと判断される場合は、路線を利用しなかったと判断する。また、入り口を通過した後の位置情報が別の駅又は別の駅の入り口の位置と一致したと見なせる場合、路線利用者は別の駅まで路線で移動したと判断する。方面路線データ蓄積部42は2つの駅を結ぶ路線を路線図などから判断する。
【0062】
このようにして、方面路線データ蓄積部42は、路線利用者が使用した駅、入り口、接近方面、及び、路線を判断して、方面路線データを蓄積する。
【0063】
なお、路線利用者が目的地までの経路を検索している場合、ナビゲーションサーバ21が端末(蓄積用)22aに送信した経路情報を一部に利用して方面路線データを蓄積してもよい。すなわち、経路情報には、経路の一部となる駅、入り口及び路線、が含まれており、経路の検索のために使用された出発地(現在地)も既知である。したがって、駅と路線は経路情報から判断できる。実際に路線利用者が通過した入り口は上記(i)と同様に決定できる。接近方面は、出発地(現在地)と、プローブデータのうち入り口と判断された位置情報とを直線で結ぶことなどにより判断できる。
【0064】
このようにして、路線利用者1〜3が利用する駅、入り口、接近方面、及び、路線を判断した方面路線データ蓄積部42は、図8に示すように、方面路線データを1つずつ計数していく。路線利用者1について、入り口Bの接近方面「北」と路線「I」の組み合わせに対し"1"を加算する。また、路線利用者2について、入り口Bの接近方面「北」と路線「II」の組み合わせに対し"1"を加算する。また、路線利用者3について、入り口Bの接近方面「東」と路線「I」の組み合わせに対し"1"を加算する。
【0065】
<方面路線データを利用した入り口の判断>
図10を用いて、ユーザに最適な入り口の判断方法について説明する。図10は、方面路線データを利用した入り口の判断方法を説明する図の一例である。入り口の判断に必要なのは、施設、接近方面及び路線である。
【0066】
ユーザは端末(経路案内用)22bを操作して出発地(現在地)から目的地までの案内要求(出発地(現在地)及び目的地)をナビゲーションサーバ21に送信する。
【0067】
経路検索部43は案内要求を入り口判断要求(駅などの施設、施設に接近する接近方面、及び、利用する路線)に変換する。まず、経路検索により施設と路線を特定できる。次に、施設と出発地(現在地)から接近方面を特定できる。
【0068】
このようにして変換された入り口判断要求により、入り口判断部44は方面路線データDB46を参照して、入り口を特定する。図10に示すように、ユーザが駅10に北から接近し、路線Iを使用する場合、入り口判断部44はこの駅10の各入り口の方面路線データを参照する。すると、入り口Bを利用するユーザが最も多いことが分かるので、入り口判断部44は最適入り口情報として入り口Bを経路検索部43に返す。したがって、ナビゲーションサーバ21は、入り口Bを案内することができる。
【0069】
図11は、端末(経路案内用)22bの表示装置213に表示されたナビ画面の一例を示す図である。駅10には3箇所の入り口A〜Cが有り、ユーザの出発地(現在地)Sから入り口Aまでの経路が強調表示されている。これにより、ユーザは路線I又は路線IIを使用する際に最適な入り口Aから駅10に進入できる。
【0070】
<動作手順>
図12は、ナビゲーションサーバ21が方面路線データを蓄積する手順を示すシーケンス図の一例である。
S1:端末(蓄積用)22aの位置情報取得部32は例えば定期的に位置情報を取得して位置情報をプローブデータ送信部31に送出する。
S2:プローブデータ送信部31は位置情報に、時刻、速度及び端末22の識別情報を加えることでプローブデータを作成する。
S3:プローブデータ送信部31はプローブデータをナビゲーションサーバ21のサーバ送受信部41に送信する。
S4:サーバ送受信部41はプローブデータを方面路線データ蓄積部42に送出する。
S5:方面路線データ蓄積部42は、施設情報DB47を参照し施設と入り口を判断し、プローブデータの位置情報から接近方面、及び、路線を判断する。なお、方面路線データ蓄積部42は、路線を判断できるまでプローブデータをバッファなどに保持しておく。
S6:方面路線データ蓄積部42は、施設の入り口ごとに、接近方面と路線の組み合わせに対応づけられている数を1つ大きくすることで方面路線データDB46に方面路線データを蓄積する。
【0071】
図13は、ナビゲーションサーバ21が入り口を判断して経路情報を作成する手順を示すシーケンス図の一例である。
S1:端末(経路案内用)22bの案内要求受付部34は案内要求を受け付ける。
S2:案内要求受付部34は案内要求を端末送受信部33に送出する。
S3:端末送受信部33は案内要求をナビゲーションサーバ21に送信する。
S4:ナビゲーションサーバ21のサーバ送受信部41は案内要求を経路検索部43に送出する。
S5:経路検索部43は案内要求に基づいて経路検索すると共に、案内要求を入り口判断要求に変換し入り口判断部44に送出する。
S6:入り口判断部44は入り口判断要求に基づき方面路線データDB46を参照し最適な入り口を判断する。
S7:入り口判断部44は判断した入り口を最適入り口情報として経路検索部43に送出する。
S8:経路検索部43は、出発地(現在地)→入り口→路線→目的地を経路とする経路情報及び出発地から目的地までのナビ画面を作成しサーバ送受信部41に送出する。入り口の位置情報は施設情報DB47に登録されている。
S9:サーバ送受信部41は経路情報とナビ画面を端末(経路案内用)22bに送信する。
S10:端末送受信部33は経路情報とナビ画面を経路案内部35に送出する。これにより、経路案内部35はユーザに最適な入り口を含む経路を案内できる。
【0072】
以上説明したように、本実施形態の経路案内システム100は、駅で利用可能な路線に複数の入り口から到達可能な場合に、適切な入り口を案内することができる。
【0073】
<好適な変形例>
本実施形態では、方面路線データにおいて、入り口ごとに接近方面と路線に対応づけて路線利用者の数が登録されていると説明した。しかしながら、図2(b)にて説明したように路線が1つしかない場合は入り口ごとに路線利用者の数が登録されていれば、最適な入り口を案内できる。したがって、入り口ごとに路線利用者の数が登録された方面路線データを作成してもよい。
【0074】
また、駅に路線が複数ある場合は、利用された路線に対応づけて入り口を利用した路線利用者の数が登録されていてもよく、接近方面と路線に対応づけて路線利用者の数が登録されていなくてもよい。路線利用者が極端に遠回りして(例えば、北から接近して南に回り込む)入り口を選択することは希であり、自分の接近方向に近い範囲で都合のよい入り口を選択すると考えられる。したがって、接近方面がわからなくても路線利用者が利用する入り口を蓄積すれば、利用する路線に最適な入り口を特定できる。
【0075】
しかしながら、接近方面と路線に対応づけて路線利用者の数を蓄積することで、ユーザにより合理的な入り口を案内できる。
【0076】
<<駅以外の施設の一例>>
本実施形態では主に施設が駅10であるとして説明したが、本実施形態の経路案内システム100は、複数の入り口を有し利用可能な対象(駅の場合は路線)を有している施設の入り口を案内する場合に好適に適用できる。
【0077】
図14は施設がデパートやショッピングモールの場合の方面路線データの一例を示す。図14の方面路線データは方面店舗データと称してもよい。図14の方面路線データでは、店舗利用者の接近方面と店舗利用者が利用した店舗の組み合わせに対し店舗利用者の数が登録されている。
【0078】
図14の方面路線データの蓄積において利用された店舗はプローブデータに含まれる位置情報と滞在時間から判断できるし、又は、店舗に置かれたBLE端末が発信するビーコンから判断してもよい。
【0079】
方面路線データの蓄積後は、ユーザが出発地(現在地)から目的の店舗までの経路の案内要求をナビゲーションサーバ21に送信することで、ナビゲーションサーバ21は最適な入り口を案内できる。
【0080】
また、駅10やデパート、ショッピングモール以外の施設として空港が挙げられる。空港では降車ホームや駐車場が複数ある場合があり、空港の場合、入り口は例えば路線利用者が空港までの移動に利用した列車などの降車ホームや空港までの移動に利用した車の駐車場が相当する。また、路線は利用する航空会社が相当する。すなわち、利用する航空会社に最適な降車ホームや駐車場を利用する空港利用者の数を蓄積しておくことで、空港をあまり利用しないユーザに対し航空会社に最適な降車ホームや駐車場を案内できる。
【0081】
<<時間帯別の方面路線データの蓄積>>
図15は、時間帯別に蓄積された方面路線データの一例を示す図である。なお、北以外の方面路線データは省略されている。図15(a)は入り口Aについて北から接近し路線Iを利用した路線利用者の数が時間帯別に蓄積されている。図15(b)では入り口Bについて北から接近し路線Iを利用した路線利用者の数が時間帯別に蓄積されている。なお、プローブデータには時刻が含まれているため、時間帯別の方面路線データの蓄積は容易である。どのくらいの時間間隔で方面路線データの蓄積を蓄積するかは任意である。
【0082】
このような方面路線データが蓄積されている場合、ナビゲーションサーバ21は端末(経路案内用)22bを使用するユーザが入り口を使用する時刻に応じた時間帯別の路線利用者の数を参照する。入り口を使用する時刻は、入り口に到達すると予想される時刻であることが好ましいが、ユーザが入力した時刻や案内要求を送信した時刻でもよい。
【0083】
例えば、ユーザが入り口を使用する時刻が6〜7時の間の場合、入り口Aの路線利用者の数は"10"であり、入り口Bの路線利用者の数は"0"である。したがって、ナビゲーションサーバ21は入り口Aをユーザに案内する。これに対し、ユーザが入り口を使用する時刻が7〜9時の間の場合、入り口Aの路線利用者の数は"70"であり、入り口Bの路線利用者の数は"130"である。したがって、ナビゲーションサーバ21は入り口Bをユーザに案内する。
【0084】
入り口Bの路線利用者の数が"0"であることはその時間帯は入り口Bが閉鎖されている可能性が高いので、開放されている入り口Aを案内できる。このように施設に複数の入り口が設けられている場合、常に全ての入り口が開放されているとは限らないが、本実施形態によれば入り口に到達する時間帯で開放されている入り口のみを案内できる。
【0085】
また、平日や祝祭日を区別して、方面路線データを蓄積することも好適である。平日と祝祭日では路線利用者の移動経路が異なることは少なくなく、入り口の開放時間が異なることも有り得るので、時間帯別に方面路線データを蓄積する場合は、きめ細かな案内が可能になる。
【0086】
また、最寄り駅で大きなイベントが開催される場合にだけ、開放される入り口もあり得るため、イベントの開催の有無を区別して方面路線データを蓄積してもよい。このようなイベントとしては、スポーツの試合、コンサート、花火大会、などがある。
【0087】
さらに、天候を区別して方面路線データを蓄積してもよい。例えば、雨の場合、路線利用者は時間に有利な入り口を利用するよりも雨に濡れない経路につながる入り口を利用する場合がある。また、真夏や真冬の場合、路線利用者は時間に有利な入り口を利用するよりも日射や外気を避けられる経路につながる入り口を利用する場合がある。したがって、天候や気温を区別して方面路線データを蓄積することで、ユーザに天候や気温に最適な入り口を案内できる。
【0088】
なお、雨が降っているかどうかや気温は気象情報(例えば気象サーバが提供する)を利用する。そして、平日用、祝祭日用、イベント用のそれぞれについて雨用、真夏日用、真冬日用の方面路線データを蓄積する。
【0089】
<<路線利用者の属性別の方面路線データの蓄積>>
また、路線利用者の属性別に方面路線データを蓄積してもよい。路線利用者の属性とは、例えば、年齢、性別、職業などである。路線利用者の属性別に方面路線データを蓄積すれば、例えば、高齢者に対しエレベータを利用可能な入り口を案内でき、女性には化粧品などの売り場を通る入り口を案内でき、会社員には時間的に有利な入口を案内できる。
【0090】
<<改札口を利用した方面路線データの蓄積>>
これまで説明したように本実施形態では最適な入り口を案内しているが、入り口に加え改札口12を案内してもよい。これは路線利用者が通過した改札口12を特定できれば実現可能である。図16を参照して説明する。図16は駅の入り口、改札口、及び、路線の関係を模式的に示す図の一例である。
【0091】
改札口12を特定しない場合、例えば、入り口Aを通過して路線Iを使用する路線利用者の数と入り口Cを通過して路線Iを使用する路線利用者の数とに有意な差が存在しなかったものとする。
【0092】
これに対し、入り口Aと改札口Aを通過して路線Iを使用する路線利用者の数、入り口Aと改札口Dを通過して路線Iを使用する路線利用者の数、入り口Cと改札口Aを通過して路線Iを使用する路線利用者の数、及び、入り口Cと改札口Dを通過して路線Iを使用する路線利用者の数に有意な差が有れば、ナビゲーションサーバ21は最適な入り口と改札口へ案内できる。
【0093】
<<その他の変形例>>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0094】
例えば、図3では一台のナビゲーションサーバ21を図示したが、ナビゲーションサーバ21は複数台、存在してもよい。また、1台のナビゲーションサーバ21が有する機能が複数のサーバに分散して配置されてもよい。例えば、方面路線データ蓄積部42をサーバAに、経路検索部43及び入り口判断部44をサーバBにそれぞれ配置することができる。
【0095】
また、ナビゲーションサーバ21の機能を端末側が有することもできる。例えば、方面路線データDB46が作成された後は、端末(経路案内用)22bが経路検索部43と入り口判断部44を有していてもよい。この場合、方面路線データDB46は端末が保持してもよいし、ネットワーク13上に存在してもよい。
【符号の説明】
【0096】
10 駅
11 入り口
12 改札口
21 ナビゲーションサーバ
22 端末
100 経路案内システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16