(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
用紙を選択的に給紙する第1給紙部と第2給紙部とを有し、前記第1給紙部によって給紙された用紙を第1用紙搬送路に沿って用紙搬送方向下流の共通用紙搬送路に向けて搬送し、一方、前記第2給紙部によって給紙された用紙を第2用紙搬送路に沿って前記共通用紙搬送路に向けて搬送する用紙搬送装置において、
前記第1用紙搬送路に沿って固定設置された第1用紙ガイド板と、
前記第1用紙搬送路を挟んで前記第1用紙ガイド板と対向して回動可能に設置され、且つ、人手によって開閉操作される第2用紙ガイド板と、
前記第1用紙搬送路よりも内側に設定された前記第2用紙搬送路に沿って固定設置された第3用紙ガイド板と、
前記第2用紙搬送路を挟んで前記第3用紙ガイド板と対向し、且つ、前記第2用紙ガイド板にも対向して回動可能に設置された第4用紙ガイド板と、
前記第2用紙ガイド板の開閉動作に連動して前記第4用紙ガイド板を開閉させる連動手段とを備え、
前記連動手段は、
前記第4用紙ガイド板に取り付けられた連結部材と、
前記第2用紙ガイド板と前記第4用紙ガイド板との間に設置された軸に回動可能に軸支され、且つ、一端側が前記連結部材と嵌合し、他端側には、前記第2用紙ガイド板に形成されたカム部に対して接離するカムフォロワーを有するリンク部材とを具備することを特徴とする用紙搬送装置。
前記第2用紙ガイド板は、前記第4用紙ガイド板に向かって押圧部が形成されていると共に、前記第4用紙ガイド板と対向して前記カム部として凹曲線カム部と該凹曲線カム部の下方に連接して水平カム部とが形成されており、
更に、前記第4用紙ガイド板は、前記第2用紙ガイド板に向かって被押圧部が形成されており、
前記第2用紙ガイド板の閉じ動作に伴って、前記カムフォロワーが前記凹曲線カム部に接しているときに前記リンク部材を介して前記第4用紙ガイド板を閉じ方向に回動させるも、前記カムフォロワーが前記凹曲線カム部から前記水平カム部に接したときに前記リンク部材を介して前記第4用紙ガイド板の回動が一時停止され、その後、前記第2用紙ガイド板に形成した前記押圧部で前記第4用紙ガイド板に形成した前記被押圧部を押圧することで前記第4用紙ガイド板を閉じることを特徴とする請求項2に記載の用紙搬送装置。
【背景技術】
【0002】
一般的に、用紙を搬送する用紙搬送装置は、用紙に画像や文字を印刷する印刷装置や、用紙に画像や文字を複写する複写機などの画像形成装置に適用されている。
【0003】
上記した画像形成装置は、用紙を給紙する給紙部と、用紙上に画像を形成する画像形成部と、画像形成済みの用紙を排紙する排紙部と、各部を全体的に制御する制御部とを装置筐体内に少なくとも備えて構成されている。
【0004】
この画像形成装置において、用紙を給紙部から画像形成部に向けて搬送している最中に、何らかの原因で用紙ジャムが発生する場合があり、これに伴ってジャム用紙を装置筐体の外部に容易に取り出すことができるシート搬送装置(用紙搬送装置に相当)がある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
ここで、上記した特許文献1を参照して、この特許文献1に開示されたシート搬送装置について、
図18を用いて簡略に説明する。
【0006】
図18に示す如く、特許文献1に開示された従来のシート搬送装置100では、この装置100内の下方部位に、用紙Pを複数積載した第1給紙トレイ101と、用紙Pを複数積載した第2給紙トレイ102とが上段と下段とに分かれて設置されている。
【0007】
そして、第1,第2給紙トレイ101,102内に積載された複数の用紙Pのうちで最上位の用紙Pが第1,第2給紙トレイ101,102と対応して設置された給紙ローラ103,104により選択的に給紙されている。
【0008】
また、第1給紙トレイ101の上方には、凸曲面状の第1湾曲部105aを左方に形成した第1ガイド部材105が固定設置されている。
【0009】
また、第1ガイド部材105と第1搬送路HR1を挟んで第2ガイド部材106がこの下端側に設けた第1軸107を中心にして回動可能に設置されており、且つ、この上端側に設けた円柱部108が第1ガイド部材105の上方でシート幅方向へと外れて形成した切り欠き部105bに接離自在になっている。
【0010】
この第2ガイド部材106は、第1ガイド部材105に形成した凸曲面状の第1湾曲部105aと対向して凹曲面状の第2湾曲部106aが内側に形成されていると共に、凹曲面状の第2湾曲部106aとは反対の外側に凸曲面状の第3湾曲部106bが形成されている。
【0011】
また、第2ガイド部材106と第2搬送路HR2を挟んで第3ガイド部材109がこの下端側に設けた第2軸110を中心にして回動可能に設置されており、且つ、第3ガイド部材109のうちでシート幅方向へと外れた上端部109aが第2ガイド部材106の上端側に設けた円柱部108に接離自在になっている。
【0012】
この第3ガイド部材109は、第2ガイド部材106に形成した凸曲面状の第3湾曲部106bと対向して凹曲面状の第4湾曲部109bが内側に形成されている。
【0013】
上記のように、第1,第2給紙トレイ101,102に対応して用紙Pの搬送をガイドする第1,第2,第3ガイド部材105,106,109を設けたときの動作は、下記のようになる。
【0014】
即ち、上段に設置された第1給紙トレイ101から給紙ローラ103により給紙された用紙Pは、第1ガイド部材105の第1湾曲部105aと、第2ガイド部材106の第2湾曲部106aとの間に設定された第1搬送路HR1を通って上方に向かい、第1ガイド部材105の上方部位に設定された合流部111を経て不図示の記録部に搬送されている。
【0015】
一方、下段に設置された第2給紙トレイ102から給紙ローラ104により給紙された用紙Pは、第2ガイド部材106の第3湾曲部106bと、第3ガイド部材109の第4湾曲部109bとの間に設定された第2搬送路HR2を通って上方に向かい、合流部111を経て不図示の記録部に搬送されている。
【0016】
上記構成により回動可能な第2,第3ガイド部材106,109が閉じられているときに、第2,第3ガイド部材106,109のうちでシート幅方向へと外れた各上端部側が円柱部108により位置規制されている。これにより、第1,第2ガイド部材105,106間及び第2,第3ガイド部材106,109間の各ガイド幅を一定に維持することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
ところで、特許文献1に記載のシート搬送装置100では、第1,第2搬送路HR1,HR2中で何らかの原因により用紙ジャムが発生した場合に、ユーザ又はサービスマン(以下、ユーザのみ記す)は第2,第3ガイド部材106,109を第1,第2軸107,110を中心にしてそれぞれ反時計方向に回動させて開き、ジャム用紙を装置100の外に取り出すことができる。
【0019】
この際、第2ガイド部材106と第3ガイド部材109との間に設定された第2搬送路HR2内で詰まった用紙Pを除去する場合には、第3ガイド部材109のみを1動作で開くことによりジャム用紙を除去することができる。
【0020】
しかしながら、第1ガイド部材105と第2ガイド部材106との間に設定された第1搬送路HR1内で詰まった用紙Pを除去する場合には、第3ガイド部材109を開いた後に、第2ガイド部材106を開くことになるので、ユーザは第2,第3ガイド部材106,109を2動作で開くことになり、ジャム用紙を除去する操作がわずらわしいという問題が生じている。
【0021】
また、第1搬送路HR1内の上方部位で用紙ジャムが発生している場合に、第3ガイド部材109を開いても、ジャム用紙が第2ガイド部材106によって隠されてしまうのでジャム用紙が見えにくいなどの問題もある。
【0022】
そこで、用紙を選択的に給紙する第1,第2給紙部を有し、第1給紙部によって給紙された用紙を第1用紙搬送路に沿って下流の共通用紙搬送路に向けて搬送し、一方、第2給紙部によって給紙された用紙を第2用紙搬送路に沿って下流の共通用紙搬送路に向けて搬送する際に、各用紙搬送路中で用紙ジャムが発生した場合に、ジャム用紙を簡単な操作により装置筐体の外部に容易に取り出すことができる用紙搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、第1の発明は、用紙{
図5に示したP(P1,P2)}を選択的に給紙する第1給紙部(11)と第2給紙部(15)とを有し、前記第1給紙部(11)によって給紙された用紙(P1)を第1用紙搬送路(PP1)に沿って用紙搬送方向下流の共通用紙搬送路(Pk)に向けて搬送し、一方、前記第2給紙部(15)によって給紙された用紙(P2)を第2用紙搬送路(PP2)に沿って前記共通用紙搬送路(Pk)に向けて搬送する用紙搬送装置(10)において、
前記第1用紙搬送路(PP1)に沿って固定設置された第1用紙ガイド板(31)と、
前記第1用紙搬送路(PP1)を挟んで前記第1用紙ガイド板(31)と対向して回動可能に設置され、且つ、人手(H)によって開閉操作される第2用紙ガイド板(32)と、
前記第1用紙搬送路(PP1)よりも内側に設定された前記第2用紙搬送路(PP2)に沿って固定設置された第3用紙ガイド板(41)と、
前記第2用紙搬送路(PP2)を挟んで前記第3用紙ガイド板(41)と対向し、且つ、前記第2用紙ガイド板(32)にも対向して回動可能に設置された第4用紙ガイド板(42)と、
前記第2用紙ガイド板(32)の開閉動作に連動して前記第4用紙ガイド板(42)を開閉させる連動手段(60)とを備えたことを特徴とする用紙搬送装置(10)である。
【0024】
また、第2の発明は、上記した第1の発明の用紙搬送装置(10)において、
前記連動手段(60)は、
前記第2用紙ガイド板(32)に形成したカム部(32g,32h)と、
前記第4用紙ガイド板(42)に取り付けた連結部材(44)と、
前記第2用紙ガイド板(32)と前記第4用紙ガイド板(42)との間に設置した軸(24)に回動可能に軸支されており、前記軸(24)を介した一端側に形成した長孔(61a)内に前記連結部材(44)が該長孔(61a)の長手方向に移動可能に嵌め込まれていると共に、前記軸(24)を介した他端側に前記カム部(32g,32h)に接離するカムフォロワー(62)を取り付けたリンク部材(61)とを具備し、
前記第2用紙ガイド板(32)の開き動作に伴って、前記カムフォロワー(62)が前記カム部(32g,32h)から離間したときに前記リンク部材(61)を介して前記第4用紙ガイド板(42)を開かせる一方、前記第2用紙ガイド板(32)の閉じ動作に伴って、前記カムフォロワー(62)が前記カム部(32g,32h)に接したときに前記リンク部材(61)を介して前記第4用紙ガイド板(42)を閉じさせることを特徴とする用紙搬送装置(10)である。
【0025】
また、第3の発明は、上記した第2の発明の用紙搬送装置(10)において、
前記第2用紙ガイド板(32)は、前記第4用紙ガイド板(42)に向かって押圧部(32f)が形成されていると共に、前記第4用紙ガイド板(42)と対向して前記カム部(32g,32h)として凹曲線カム部(32g)と該凹曲線カム部(32g)の下方に連接して水平カム部(32h)とが形成されており、
更に、前記第4用紙ガイド板(42)は、前記第2用紙ガイド板(32)に向かって被押圧部(42f)が形成されており、
前記第2用紙ガイド板(32)の閉じ動作に伴って、前記カムフォロワー(62)が前記凹曲線カム部(32g)に接しているときに前記リンク部材(61)を介して前記第4用紙ガイド板(42)を閉じ方向に回動させるも、前記カムフォロワー(62)が前記凹曲線カム部(32g)から前記水平カム部(32h)に接したときに前記リンク部材(61)を介して前記第4用紙ガイド板(42)の回動が一時停止され、その後、前記第2用紙ガイド板(32)に形成した前記押圧部(32f)で前記第4用紙ガイド板(42)に形成した前記被押圧部(42f)を押圧することで前記第4用紙ガイド板(42)を閉じることを特徴とする用紙搬送装置(10)である。
【発明の効果】
【0026】
第1発明の用紙搬送装置によれば、第1用紙搬送路に沿って固定設置された第1用紙ガイド板と、第1用紙ガイド板と対向して回動可能に設置されて人手によって開閉操作される第2用紙ガイド板と、第1用紙搬送路よりも内側の第2用紙搬送路に沿って固定設置された第3用紙ガイド板と、第3用紙ガイド板と対向し且つ第2用紙ガイド板にも対向して回動可能に設置された第4用紙ガイド板と、第2用紙ガイド板と第4用紙ガイド板とを連動させる連動手段とを備えている。
【0027】
この結果、第1,第2給紙部によって選択的に給紙された用紙を第1,第2用紙搬送路に沿って用紙搬送方向下流の共通用紙搬送路に向けて搬送する最中に、何らかの原因により用紙ジャムが発生した場合に、ユーザ(又はサービスマン)が第2用紙ガイド板を開くときの1動作により連動手段を介して第4用紙ガイド板を開いてジャム用紙を装置外に容易に取り出すことができるので、ジャム用紙除去に対して操作性が良好で、且つ、部品点数が少なく構造が簡単な用紙搬送装置を提供することができる。
【0028】
また、第2用紙ガイド板を開いたときに第4用紙ガイド板が連動して開くので、第1用紙搬送路中で発生したジャム用紙は勿論のこと、第2用紙搬送路中で発生したジャム用紙が見え易いので、ユーザはいずれの用紙搬送路中に発生したジャム用紙を容易に取り出すことができる。
【0029】
また、第2用紙ガイド板を開くときの開き角度を大きく設定できるので、ジャム用紙の除去時に人手が入り易くなる。
【0030】
また、第2発明の用紙搬送装置によれば、連動手段を構成するリンク部材の一端側に形成した長孔内に第4用紙ガイド板に取り付けた連結部材をこの長孔の長手方向に移動可能に嵌め込ませている。
【0031】
この結果、第2用紙ガイド板を閉じる動作に伴って、カムフォロワーが第2用紙ガイド板のカム部に沿って移動してリンク部材を回動させ、且つ、このリンク部材の回動と連動して連結部材を介して第4用紙ガイド板を回動させたときに、連結部材をリンク部材に形成した長孔内で移動させることにより、リンク部材の一端側の回動軌跡と、第4用紙ガイド板上に取り付けた連結部材の回動軌跡とのずれ量を、長孔とこの長孔内を移動する連結部材とにより吸収することができる。従って、複数のリンク部材を用いることなく、一つのリンク部材により第2用紙ガイド板と第4用紙ガイド板とを無理なく連動させることができる。
【0032】
また、第3の発明の用紙搬送装置によれば、用紙ガイド板の閉じ動作に伴って、カムフォロワーが凹曲線カム部に接しているときにリンク部材を介して第4用紙ガイド板を閉じ方向に回動させるも、カムフォロワーが凹曲線カム部から水平カム部に接したときにリンク部材を介して第4用紙ガイド板の回動が一時停止され、その後、第2用紙ガイド板に形成した押圧部で第4用紙ガイド板に形成した被押圧部を押圧することで第4用紙ガイド板を閉じている。
【0033】
この結果、とくに、リンク部材に取り付けたカムフォロワーが第2用紙ガイド板に形成した水平カム部に接しているときに、リンク部材が回動を一時停止しているために、リンク部材の一端部側が固定設置された第3用紙ガイド板に衝突することがない。また、リンク部材が回動を一時停止しているために、第2用紙ガイド板を例えばフレームに係止する際に係止が容易となる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に本発明に係る用紙搬送装置を実施する形態につき、
図1〜
図17を参照して詳細に説明する。
【0036】
本発明に係る用紙搬送装置を説明する前に、この用紙搬送装置を適用した画像形成装置について、
図1を用いて説明する。
【0037】
(画像形成装置1)
図1は本発明に係る用紙搬送装置を適用した画像形成装置の外観を斜視的に示している。
【0038】
図1に示す如く、本発明に係る用紙搬送装置を適用した画像形成装置1では、箱状に形成した装置筐体2の天面2a上に操作パネル3が取り付けられ、且つ、装置筐体2の正面側となる前面2bの外側左右に扉4,5が開閉自在に取り付けられている。
【0039】
また、扉4,5の下方に本発明に係る用紙搬送装置10の一部を構成する第1給紙部11と第2給紙部15とが下段と上段とに2段重ねで設けられている。
【0040】
上記した下段の第1給紙部11では、下段に設置した第1給紙トレイ12が装置筐体2の前面2b側に向かって引き出し方向(矢印Y方向)に引き出し自在に設置されており、この第1給紙トレイ12内に例えばA3サイズの用紙(P…図示せず)が複数枚積載されている。
【0041】
一方、上記した上段の第2給紙部15では、上段に設置した第2給紙トレイ16が第1給紙トレイ12の上方に重ねて装置筐体2の前面2b側に向かって引き出し自在に設置されており、この第2給紙トレイ16内に例えばA4サイズの用紙Pが複数枚積載されている。
【0042】
また、第1給紙トレイ12の用紙給紙方向の前方に用紙Pを内部給紙する給紙ローラRk1(
図5)を回転自在に取り付けた第1給紙機構部(13…図示せず)が設けられ、同様に、第2給紙トレイ16の用紙給紙方向(矢印X方向)の前方に用紙Pを内部給紙する給紙ローラRk2(
図5)を回転自在に取り付けた第2給紙機構部17が設けられている。
【0043】
そして、第1給紙トレイ12及び第2給紙トレイ16のうちいずれか一方を選択して、各給紙トレイ12,16内に積載された複数枚の用紙Pのうちで最上位の用紙Pを給紙方向(矢印X方向)に向かって給紙可能とされている。
【0044】
また、装置筐体2の前面2bの外側左右に開閉自在に設けた扉4,5の内側には、用紙P上に画像を形成する画像形成部6が第1,第2給紙部11,15の上方に設置されている。
【0045】
また、装置筐体2の左側面2c側の内部上方部位には、画像形成部6から送られた画像形成済みの用紙Pを排紙する排紙部7を構成する排紙トレイ8が装置筐体2の外部に向かって突出形成されている。また、画像形成装置1を全体的に制御する制御部9が装置筐体2内の適宜な場所に設置されている。
【0046】
更に、装置筐体2の左側面2cの内側には、本発明に係る用紙搬送装置10を構成する用紙搬送ガイド部20が設けられている。この用紙搬送ガイド部20は、第1,第2給紙部11,15により選択的に給紙された用紙Pを、給紙方向(矢印X方向)から上方に向かう用紙搬送方向(矢印Z方向)に方向転換しながら画像形成部6に搬送している。
【0047】
そして、画像形成部6で印刷又は複写により画像形成された用紙Pは排紙部7の排紙トレイ8に順次積層されるように構成されている。
【0048】
(用紙搬送装置10)
図2は本発明に係る用紙搬送装置の外観を斜視的に示している。
また、
図3は本発明に係る用紙搬送装置において、用紙搬送ガイド部のフレーム構成を斜視的に示している。また、
図4は本発明に係る用紙搬送装置において、(a)は用紙搬送ガイド部が初期状態又は用紙搬送状態に至っている場合を示し、(b)は用紙搬送ガイド部がジャム用紙除去状態に至っている場合をそれぞれ斜視的に示している。
【0049】
図2に示す如く、本発明に係る用紙搬送装置10は、第1,第2給紙部11,15と、用紙搬送ガイド部20とで構成されている。
【0050】
そして、本発明に係る用紙搬送装置10は、第1,第2給紙部11,15により選択的に給紙された用紙Pを用紙搬送ガイド部20内の第1,第2用紙搬送路PP1,PP2(
図5)に沿って画像形成部6(
図1)に向けて搬送するときに、用紙搬送ガイド部20内の第1,第2用紙搬送路PP1,PP2中で用紙ジャムが発生した場合に、ジャム用紙JP{
図4(b)}を簡単な操作により装置筐体2(
図2)の外側に容易に取り出させるように改善を施している。
【0051】
この改善は、装置筐体2(
図1)の左側面2cの下方に設けたサイドカバー付きの第2用紙ガイド板32をユーザ又はサービスマン(以下、ユーザのみ記す)が開くときの1動作により、第2用紙ガイド板32と連動手段60(
図5)を介して連動させた第4用紙ガイド板42(
図5)を開くことで、用紙搬送ガイド部20内からジャム用紙JP{
図4(b)}を装置筐体2の外側に容易に取り出すことができるように構成されている。
【0052】
即ち、本発明に係る用紙搬送装置10では、装置筐体2(
図1)の下方に第1給紙部11の第1給紙トレイ12が下段側に設置され、且つ、第1給紙部11の上方に第2給紙部15の第2給紙トレイ16が第1給紙トレイ12に対して重なり合って上段側に設置されている。そして、第1給紙トレイ12の給紙方向(矢印X方向)の先端側は、第2給紙トレイ16の先端側よりも左方に突出している。
【0053】
また、用紙搬送ガイド部20は、装置筐体2(
図1)の前面内側と後面内側とに対応して設けた前側板21と後側板22との間に取り付けられている。
【0054】
これらの前側板21及び後側板22は、板金材を用いて形成されており、且つ、用紙搬送方向(矢印Z方向)と直交する用紙幅方向(矢印W方向)に沿って間隔を隔て互いに対向していると共に、用紙Pの幅寸法よりも間隔を広げて設けられている。
【0055】
この際、
図3に示す如く、前側板21と後側板22との間には、第1,第3用紙ガイド板31,41が下方と上方とに分かれて両側板21,22に固定して取り付けられている。
【0056】
これらの第1,第3用紙ガイド板31,41は、板金材を用いて用紙幅方向(矢印W方向)に沿って長尺に形成され、且つ、用紙Pを搬送する駆動ローラRaが用紙幅方向に沿って例えば2個が間隔を離して回転軸Saに固着された状態で回転自在に支持されている。
【0057】
また、第1,第3用紙ガイド板31,41の各下端で2個の駆動ローラRa間に切り欠き部31d,41dが下方に向かって凹状にそれぞれ切り欠かれており、これらの切り欠き部31d,41dは後述するようにジャム用紙JP{
図4(b)}を容易に除去するために形成されている。
【0058】
また、駆動ローラRaを用紙幅方向に沿って取り付けた回転軸Saは、前側板21と後側板22との間に合計3本架け渡されており、第1用紙ガイド板31側に1本横設され,第3用紙ガイド板41側に2本横設されている。そして、第3用紙ガイド板41側に横設した2本の回転軸Saのうちで下方の一つの回転軸Saは、前側板21の外側前方に突出してこの端部に操作ノブNが固着されている。
【0059】
そして、操作ノブNが固着された一つの回転軸Saは、不図示のモータ及び減速歯車機構部とに連結されて各駆動ローラRaを回転駆動していると共に、この一つの回転軸Saの回転駆動力を後側板22の外側に突出した他の2本の回転軸Saに不図示のタイミングプーリ及びタイミングベルトを介して伝達している。
【0060】
この際、ジャム用紙JP{
図4(b)}が発生したときに、ユーザが一つの回転軸Saに固着した操作ノブNを手動で回転することにより、各駆動ローラRaを手動回転させてジャム用紙JPを取り出し易くしている。
【0061】
更に、上記した第1用紙ガイド板31は、第1給紙トレイ12(
図1,
図2)から給紙された用紙Pの一方の面をガイドする機能を有している。また、上記した第3用紙ガイド板41は、第2給紙トレイ16(
図1,
図2)から給紙された用紙Pの一方の面をガイドする機能を有している。
【0062】
そして、前側板21と後側板22との間に第1,第3用紙ガイド板31,41を取り付けた状態で用紙搬送ガイド部20のフレームFRが構成されている。
【0063】
図2に戻り、用紙搬送ガイド部20は、装置筐体2(
図1)の左側面2cの下方にサイドカバー付きの第2用紙ガイド板32が回動可能に設けられている。この第2用紙ガイド板32は先に説明した第1用紙ガイド板31(
図3)と対向して第1給紙トレイ12から給紙された用紙Pの他方の面をガイドする機能を有している。
【0064】
また、第2用紙ガイド板32のサイドカバー部32aに貫通して形成した角孔32a1内には、この第2用紙ガイド板32を開閉するための操作レバー34が取り付けられている。
【0065】
この操作レバー34は、後述する係止レバー36(
図5)を取り付けた回動軸35(
図5)に同軸的に取り付けられて、係止レバー36と一体に回動可能になっており、ユーザが操作レバー34を手前に向かって回動させると係止レバー36がフレームFR(
図3)側から係止を解除されるようになっている。
【0066】
そして、
図4(a)に示す如く、第2用紙ガイド板32が閉じられているときには、用紙搬送ガイド部20が初期状態に至っている場合、又は、用紙搬送ガイド部20が用紙搬送状態に至っている場合である。
【0067】
この際、用紙搬送ガイド部20が初期状態のときは、第1,第2給紙部11,15(
図1,
図2)から用紙Pが送られていない場合であり、一方、用紙搬送状態のときは、第1,第2給紙部11,15から選択的に送られた用紙Pが画像形成部6(
図1)に向かって搬送される場合である。
【0068】
また、
図4(b)に示す如く、ユーザによって第2用紙ガイド板32を開いたときには、用紙搬送ガイド部20の内部が大きく開口されるので、用紙搬送路中で発生したジャム用紙JPをユーザが容易に取り出すことができるようになっている。
【0069】
<用紙搬送ガイド部20>
ここで、用紙搬送ガイド部20について、
図5を用いて説明する。
【0070】
図5(a)〜(c)は用紙搬送ガイド部を説明するために模式的に示しており、且つ、用紙搬送ガイド部が初期状態又は用紙搬送状態に至っているときを示している。
尚、
図5(a)は
図3に示したフレーム中の前側板を取り外して見た状態を模式的に示している。
【0071】
図5(a)に示す如く、下段に設置された第1給紙部11の第1給紙トレイ12の給紙方向(矢印X方向)の下流側には、第1用紙搬送路(ペーパーパス1)PP1に沿ってフレームFR(
図3)に固定設置された第1用紙ガイド板31と、第1用紙搬送路PP1を挟んで第1用紙ガイド板31と対向して第1回動軸33を中心にして回動可能に設置され、且つ、人手H(
図11)によって開閉操作される第2用紙ガイド板32とが設けられている。
【0072】
一方、上段に設置された第2給紙部15の第2給紙トレイ16の給紙方向(矢印X方向)の下流側には、第1用紙搬送路PP1よりも内側に設定された第2用紙搬送路PP2に沿ってフレームFR(
図3)に固定設置された第3用紙ガイド板41と、第2用紙搬送路PP2を挟んで第3用紙ガイド板41の上流側と対向し、且つ、第2用紙ガイド板32にも対向して第2回動軸43を中心にして回動可能に設置された第4用紙ガイド板42とが設けられている。
【0073】
また、第2用紙ガイド板32の開閉動作に連動して第4用紙ガイド板42を開閉させる連動手段60が設けられている。この連動手段60は本実施形態の要部の一部を構成する部材であり、この連動手段60については後述する。
【0074】
更に、第3用紙ガイド板41の下流及び第4用紙ガイド板42よりも下流には、第3用紙ガイド板41の下流側と対向して共通用紙ガイド板51が共通用紙搬送路Pkを挟んで設けられている。
【0075】
この際、用紙搬送ガイド部20の初期状態及び用紙搬送状態では、互い対向した第1,第2用紙ガイド板31,32間に設定された第1用紙搬送路PP1の間隔、及び、互い対向した第3,第4用紙ガイド板41,42間に設定された第2用紙搬送路PP2の間隔は、それぞれ所定の値に設定されている。
【0076】
また、第2用紙ガイド板32が第1回動軸33を中心にして時計方向に回動して閉じているときに、第2用紙ガイド板32に取り付けた従動ローラRbが、不図示のバネの付勢力により第1用紙ガイド板31に取り付けた駆動ローラRaを押圧している。
【0077】
一方、第2用紙ガイド板32が閉じているときに、第4用紙ガイド板42に取り付けた従動ローラRbも、不図示のバネの付勢力により第3用紙ガイド板41に取り付けた駆動ローラRaを押圧している。
【0078】
更に、共通用紙ガイド板51に取り付けた従動ローラRbも、不図示のバネの付勢力により第3用紙ガイド板41に取り付けた駆動ローラRaを押圧している。
【0079】
そして、下段に設置した第1給紙トレイ12から給紙ローラRk1により給紙された用紙P1(P)は、第1,第2用紙ガイド板31,32間に設定された第1用紙搬送路PP1に沿って用紙搬送方向下流の共通用紙搬送路Pkに向かって搬送され、この後、画像形成部6(
図1)に送られている。
【0080】
一方、上段に設置した第2給紙トレイ16から給紙ローラRk2により給紙された用紙P2(P)は、第3,第4用紙ガイド板41,42間に設定された第2用紙搬送路PP2に沿って用紙搬送方向下流の共通用紙搬送路Pkに向かって搬送され、この後、画像形成部6(
図1)に送られている。
【0081】
従って、共通用紙搬送路Pkは、第1給紙トレイ12からの用紙P1と、第2給紙トレイ16からの用紙P2とが選択的に通過するようになっている。
【0082】
ここで、本実施形態の要部の一部を構成する連動手段60について説明する。
【0083】
上記した連動手段60は、
図5(a)〜(c)に示す如く、第2用紙ガイド板32に形成したカム部(32g,32h)と、第4用紙ガイド板42に取り付けた連結部材(移動駒)44と、第2用紙ガイド板32と第4用紙ガイド板42との間に設置した軸24に回動可能に軸支されており、軸24を介した一端側に形成した長孔(長方形孔)61a内に連結部材44がこの長孔61aの長手方向に移動可能に嵌め込まれていると共に、軸24介した他端側にカム部(32g,32h)に接離するカムフォロワー62を取り付けたリンク部材61とを具備している。
【0084】
具体的に説明すると、連動手段60は、回動可能な第2用紙ガイド板32と、回動可能な第4用紙ガイド板42とをリンク部材61を介して連動させるように構成されている。
【0085】
このリンク部材61は、
図5(c)にも示したように、く字型アーム状に形成されており、且つ、前側板21(
図3)の内面に取り付けた軸24に回動自在に軸支されている。
【0086】
また、リンク部材61は、軸24を介した一端側に長方形孔61aが貫通して形成されており、且つ、軸24を介した他端側にカムフォロワー62が取り付けられている。
【0087】
また、リンク部材61の一端側に形成した長方形孔61a内には、第4用紙ガイド板42に取り付けた連結部材44がこの長方形孔61aの長手方向に沿って移動可能に嵌め込まれている。
【0088】
この実施形態では、連結部材44の一例として正方形状の移動駒44を用いているが、移動駒に代えて連結ピンを用いても良い。
【0089】
上記した連結部材(以下、移動駒と記す)44は、リンク部材61の一端側に形成した長方形孔61a内に移動可能に嵌め込まれた正方形状の駒が、この1辺の長さを長方形孔61aの短辺の長さに対応させて形成されており、且つ、駒の中心部位にシャフトが一体的に固着されて、このシャフト側が第4用紙ガイド板42の一方の側面42d{
図9(c)}に取り付けられている。
【0090】
一方、リンク部材61の他端側に取り付けたカムフォロワー62は、
図5(b)にも示すように、第2用紙ガイド板32の一方の内側面32dの上方部位に形成された凹曲線カム部32gと、この凹曲線カム部32gの下方に連接して形成された水平カム部32hとに接離可能に転動している。
【0091】
尚、第2用紙ガイド板32の一方の内側面32d及び他方の内側面32e(
図7)は、第2用紙ガイド板32のサイドカバー部32aの用紙幅方向の寸法よりも内側に入り込んでいるので内側面と以下呼称する。
【0092】
従って、後述の動作で説明するように、ユーザが第2用紙ガイド板32を閉じる動作に伴って、カムフォロワー62が第2用紙ガイド板32の凹曲線カム部32gに沿って移動してリンク部材61を回動させ、且つ、このリンク部材61の回動と連動して移動駒44を介して第4用紙ガイド板42を回動させたときに、移動駒44をリンク部材61に形成した長方形孔61a内で移動させることにより、リンク部材61の一端側の回動軌跡と、第4用紙ガイド板42上の移動駒44の回動軌跡とのずれ量を、長方形孔61aとこの長方形孔61a内を移動する移動駒44とにより吸収することができる。
【0093】
従って、複数のリンク部材を用いることなく、一つのリンク部材61により第2用紙ガイド板32と第4用紙ガイド板42とを無理なく連動させることができる。
【0094】
また、第2用紙ガイド板32には、第4用紙ガイド板42に向かって押圧部32fが形成されており、これと対応して、第4用紙ガイド板42には、第2用紙ガイド板32に向かって被押圧部42fが形成されているが、第2用紙ガイド板32の押圧部32fで第4用紙ガイド板42の被押圧部42fを押圧する動作については後述する。
【0095】
また、第2用紙ガイド板32のサイドカバー部32aの裏面32bには、用紙幅方向に沿って長尺に形成された回動軸35が
図3に示した前側板21側及び後側板22側に向かって取り付けられている。
【0096】
この回動軸35の両端部には、
図5(b)に拡大して示す如く、
図3に示した前側板21側及び後側板22側と対応して一対の係止レバー36(片側のみ図示)が回動可能に取り付けられており、且つ、各係止レバー36のフック部36aが前側板21及び後側板22の各内面に取り付けた一対の係止ピン23(片側のみ図示)に接離自在に係止している。
【0097】
また、回動軸35には、前述したように、第2用紙ガイド板32のサイドカバー部32aに形成した角孔32a1内に臨んでいる操作レバー34が取り付けられている。
【0098】
ここで、用紙搬送ガイド部20内に設けた複数の用紙ガイド板の各形状について、
図6〜
図10を用いて説明する。
【0099】
図6〜
図9は第1〜第4用紙ガイド板の形状をそれぞれ示している。また、
図10は共通用紙ガイド板の形状を示している。
【0100】
<第1用紙ガイド板31>
図6(a)〜(e)に示した第1用紙ガイド板31は、
図3に示した前側板21及び後側板22の各下方部位に固定されており、下段に設置した第1給紙トレイ12{
図5(a)}からの用紙P1の一方の面をガイドする機能を有している。
【0101】
この第1用紙ガイド板31は、板金材を用いて用紙幅方向(矢印W方向)に沿って長尺に形成されており、且つ、用紙Pをガイドする表面31a側が用紙搬送方向(矢印Z方向)に沿って凸曲面状に形成されている。
【0102】
また、第1用紙ガイド板31は、裏面31b側から表面31a側に向かって駆動ローラRa(
図3)が臨む矩形孔31cが用紙幅方向に沿う同一軸線上に2箇所貫通して形成されている。
【0103】
また、第1用紙ガイド板31は、2箇所の矩形孔31c間に切り欠き部31dが下方に向かって凹状に切り欠かれている。この切り欠き部31dは、ジャム用紙JP{
図4(b)}が発生したときに、人手でジャム用紙JPをつかみ易くしていると共に、第2用紙搬送路PP2(
図5)中に発生したジャム用紙JPを見ることかできる。
【0104】
<第2用紙ガイド板32>
図7(a)〜(g)に示した第2用紙ガイド板32は、第1用紙ガイド板31と対向して下方に設けた第1回動軸33に回動可能に支持されており、下段に設置した第1給紙トレイ12{
図5(a)}からの用紙P1の他方の面をガイドする機能を有している。
【0105】
この第2用紙ガイド板32は、剛性を有する樹脂材を用いて用紙幅方向(矢印W方向)に沿って長尺に形成されており、サイドカバー部32aが外装面として平坦に形成されている。
【0106】
また、第2用紙ガイド板32は、用紙Pをガイドする裏面32b側が、第1用紙ガイド板31に形成された凸曲面状の表面31a(
図6)と対応して用紙搬送方向(矢印Z方向)に沿って凹曲面状に形成されている。
【0107】
また、第2用紙ガイド板32は、従動ローラRbが臨む矩形孔32cが用紙幅方向に沿う同一軸線上に2箇所形成されており、且つ、2箇所の矩形孔32cは有底孔として形成されている。
【0108】
尚、第2用紙ガイド板32のサイドカバー部32aの下方には、下サイドカバー37が垂下した様態で取り付けられている。
【0109】
また、
図7(a),(c),(f)に示す如く、第2用紙ガイド板32のサイドカバー部32aに形成した角孔32a1内には先に説明した操作レバー34が取り付けられており、この操作レバー34は
図7(e),(g)に示した一対の係止レバー36と一体に回動可能になっている。
【0110】
また、第2用紙ガイド板32は、
図7(b),(e),(g)に示す如く、一方の内側面32d及び他方の内側面32eの各上方先端部位に一対の押圧部32fが形成されており、これら一対の押圧部32fは第4用紙ガイド板42に形成した一対の被押圧部42f{
図9(c),(d),(g)}に接離自在になっている。
【0111】
また、第2用紙ガイド板32は、
図7(b),(e)に示す如く、一方の内側面32dの上方先端部位に形成した押圧部32fの下方に、凹曲線カム部32gと水平カム部32hとが連接して形成されており、且つ、一方の内側面32dと用紙幅方向に沿って間隔を離して対向した他方の内側面32eにはカム部が形成されていない。
【0112】
<第3用紙ガイド板41>
図8(a)〜(e)に示した第3用紙ガイド板41は、
図3に示した前側板21及び後側板22の各上方部位に固定されており、上段に設置した第2給紙トレイ16{
図5(a)}からの用紙P2の一方の面をガイドする機能を有している。
【0113】
この第3用紙ガイド板41は、板金材を用いて用紙幅方向(矢印W方向)に沿って長尺に形成されており、且つ、用紙Pをガイドする表面41a側が用紙搬送方向(矢印Z方向)に沿って凸曲面状に形成されている。
【0114】
また、第3用紙ガイド板41は、裏面41b側から表面41a側に向かって駆動ローラRa(
図3)が臨む矩形孔41cが用紙幅方向に沿う上下同一軸線上にそれぞれ2箇所ずつ貫通して形成されている。
【0115】
また、第3用紙ガイド板41は、下方に形成した2箇所の矩形孔41c間に切り欠き部41dが下方に向かって凹状に切り欠かれており、この切り欠き部41dもジャム用紙JP{
図4(b)}が発生したときに、人手でジャム用紙JPをつかみ易くしている。
【0116】
<第4用紙ガイド板42>
図9(a)〜(g)に示した第4用紙ガイド板42は、第3用紙ガイド板41の上流側と対向して下方に設けた第2回動軸43に回動可能に支持されており、上段に設置した第2給紙トレイ16{
図5(a)}からの用紙P2の他方の面をガイドする機能を有している。
【0117】
この第4用紙ガイド板42は、剛性を有する樹脂材を用いて用紙幅方向(矢印W方向)に沿って長尺に形成されており、
図9(c)に拡大して示す如く、表面42a側が下段に設置した第1給紙トレイ12{
図5(a)}からの用紙P1の一方の面が接するのを許容するように滑らかに形成されている。また、用紙Pをガイドする裏面42b側が、第3用紙ガイド板41に形成された凸曲面状の表面41a(
図6)と対応して用紙搬送方向(矢印Z方向)に沿って凹曲面状に形成されている。
【0118】
また、第4用紙ガイド板42は、従動ローラRbが臨む矩形孔42cが用紙幅方向に沿う同一軸線上に2箇所形成されており、且つ、2箇所の矩形孔42cは有底孔として形成されている。
【0119】
また、第4用紙ガイド板42は、
図9(c)に拡大して示す如く、一方の側面42dの上方部位にリンク部材61(
図5)と連結するための移動駒44のシャフトが外側に向かって取り付けられている。
【0120】
従って、第4用紙ガイド板42の一方の側面42dには、下方の第2回動軸43と、上方の移動駒44のシャフトとで2つの軸を有している。
【0121】
また、第4用紙ガイド板42は、
図9(c),(d),(g)に示す如く、一方の側面42d及び他方の側面42eの各上方部位に一対の被押圧部42fが形成されており、且つ、一対の被押圧部42fが前述した第2用紙ガイド板32の一方の内側面32d及び他方の内側面32eの各上方先端部位に形成した一対の押圧部32f{
図7(b),(e)}によって接離自在に押圧されるようになっている。
【0122】
<共通用紙ガイド板51>
図10(a)〜(f)に示した共通用紙ガイド板51は、第3用紙ガイド板41の下流側と対向して固定設置されており、第1,第2給紙トレイ12,16{
図5(a)}からの各用紙P1,P2の他方の面を共通してガイドする機能を有している。
【0123】
この共通用紙ガイド板51は、剛性を有する樹脂材を用いて用紙幅方向(矢印W方向)に沿って長尺に形成されており、且つ、表面51a側に補強用のリブ51a1が縦横に複数形成されていると共に、用紙Pをガイドする裏面51b側が用紙搬送方向(矢印Z方向)に沿って略直線状に平坦に形成されている。
【0124】
また、共通用紙ガイド板51は、従動ローラRbが臨む矩形孔51cが用紙幅方向に沿う同一軸線上に2箇所形成されており、且つ、2箇所の矩形孔51cは有底孔として形成されている。
【0125】
次に、上記のように構成した用紙搬送ガイド部20の動作について、
図11〜
図16を用いて動作順に説明する。
【0126】
<用紙搬送ガイド部20の動作>
図11〜
図16は用紙搬送ガイド部の動作を説明するために模式的に示した第1〜第6動作図である。尚、
図11〜
図16は第1,第2給紙トレイの図示を省略して、
図3に示したフレーム中の前側板を取り外して見た状態を示している。
【0127】
ここで、用紙搬送ガイド部20内において、先に
図5を用いて説明したように、下段の第1給紙トレイ12から給紙された用紙P1(P)を第1用紙搬送路PP1及び共通用紙搬送路Pkを通って画像形成部6(
図1)に搬送する最中、又は、上段の第2給紙トレイ16から給紙された用紙P2(P)を第2用紙搬送路PP2及び共通用紙搬送路Pkを通って画像形成部6(
図1)に搬送する最中に、用紙P1又は用紙P2の搬送状態を用紙搬送装置10内に設けた不図示の光センサを介して制御部9(
図1)で監視している。
【0128】
そして、用紙P1又は用紙P2が不図示の光センサに至るまでに所定の用紙搬送時間よりもオーバーした場合に、制御部9は用紙ジャムが発生したと判断してユーザに警告を出している。
【0129】
これに伴って、ユーザは用紙搬送装置10内からジャム用紙JP{
図4(b)}を取り出すためにジャム用紙除去動作を第1動作〜第6動作の順に実行している。
【0130】
まず、
図11に示した第1動作は、第2用紙ガイド板32を開いてジャム用紙JPを人手Hで取り外す状態を示している。
【0131】
即ち、
図11に示す如く、先に
図5に示した状態からユーザが第2用紙ガイド板32のサイドカバー部32aに取り付けた操作レバー34を係止レバー36と一体に回動軸35を中心にして時計方向に回動させると、係止レバー36のフック部36aが前側板21(
図3)の内面に取り付けた係止ピン23から係止を解除される。
【0132】
この係止レバー36の係止ピン23への係止解除に伴って、第2用紙ガイド板32は自重により第1回動軸33を中心にして反時計方向に回動して下方に向かって開く。このとき、第2用紙ガイド板32は、前側板21(
図3)の内面に取り付けたストッパ25によって開き位置が規制される。
【0133】
また、第2用紙ガイド板32の開き動作に伴って、連動手段60のリンク部材61に取り付けたカムフォロワー62が、第2用紙ガイド板32の一方の内側面32dに形成した水平カム部32hから離間する。
【0134】
従って、第2用紙ガイド板32の開き角度を大きく設定することができ、ジャム用紙JPの除去時に人手Hが入り易くなる。
【0135】
また、第2用紙ガイド板32からリンク部材61が離れる動作に伴って、リンク部材61の一端側に形成した長方形孔61a内で第4用紙ガイド板42に取り付けた移動駒44を介して連結された第4用紙ガイド板42は、自重により第2回動軸43を中心にして反時計方向に回動して開かれて、不図示のストッパによって開き位置が規制されている。この時、移動駒44は長方形孔61a内の右端側に位置している。
【0136】
これにより、第1,第2用紙ガイド板31,32間に設定された第1用紙搬送路PP1と、第3,第4用紙ガイド板41,42間に設定された第2用紙搬送路PP2とが共に解放されるために、第1用紙搬送路PP1又は第2用紙搬送路PP2中で発生したジャム用JPを人手Hで容易に取り出すことができるので、ジャム用紙除去に対して操作性が良好で、且つ、部品点数が少なく構造が簡単な用紙搬送装置10を提供することができる。
【0137】
また、第2用紙ガイド板32を開いたときに第4用紙ガイド板42が連動して開くので、第1用紙搬送路PP1中に発生したジャム用紙JPは勿論のこと、第2用紙搬送路PP2中で発生したジャム用紙JPが第1用紙ガイド板31に形成した切り欠き部31d(
図3,
図6)を通して見え易いので、ユーザはいずれの用紙搬送路(PP1,PP2)中に発生したジャム用紙JPを容易に取り出すことができる。
【0138】
次に、
図12に示した第2動作は、ユーザがジャム用紙JP(
図11)を除去した後に、第2用紙ガイド板32を閉じ始めた状態を示している。
【0139】
即ち、
図12に示す如く、ユーザが第2用紙ガイド板32を閉じ方向に押し始めると、第2用紙ガイド板32が第1回動軸33を中心にして時計方向に回動を開始する。これにより、連動手段60のリンク部材61に取り付けたカムフォロワー62が第2用紙ガイド板32の一方の内側面32dに形成した凹曲線カム部32gに接触し始めて、リンク部材61が軸24を中心にして反時計方向に回動し始める。
【0140】
これに伴って、リンク部材61に形成した長方形孔61a内で第4用紙ガイド板42に取り付けた移動駒44を介して連結された第4用紙ガイド板42が、第2回動軸43を中心にして時計方向に回動を開始する。この時も、
図11と同様に、移動駒44は長方形孔61a内の右端側に位置している。
【0141】
次に、
図13に示した第3動作は、第2用紙ガイド板32を閉じている最中に、第4用紙ガイド板42が回動を一時停止する状態を示している。
【0142】
即ち、
図13に示す如く、ユーザが第2用紙ガイド板32を第1回動軸33を中心にして
図12よりも更に時計方向に回動させると、連動手段60のリンク部材61に取り付けたカムフォロワー62が第2用紙ガイド板32の一方の内側面32dに形成した凹曲線カム部32gに沿って下方に移動した後に、この凹曲線カム部32gに連接形成した水平カム部32hに接触し始める。
【0143】
そして、カムフォロワー62が水平カム部32hに接しているときに、リンク部材61に形成した長方形孔61a内で第4用紙ガイド板42に取り付けた移動駒44を介して連結された第4用紙ガイド板42が、回動を一時停止する。この時、移動駒44は長方形孔61a内の右端側から左方に移動している。
【0144】
次に、
図14に示した第4動作は、第2用紙ガイド板32を閉じている最中に、第2用紙ガイド板32で第4用紙ガイド板42を閉じ方向(右方)に押し始める状態を示している。
【0145】
即ち、
図14に示す如く、ユーザが第2用紙ガイド板32を第1回動軸33を中心にして
図13よりも更に時計方向に回動させると、第2用紙ガイド板32のサイドカバー部32aが略垂直な姿勢を取る。
【0146】
この際、連動手段60のリンク部材61に取り付けたカムフォロワー62は、第2用紙ガイド板32の一方の内側面32dに形成した水平カム部32hに沿って左方に移動するも、第4用紙ガイド板42は回動を停止したままの状態であるので、移動駒44は長方形孔61a内で
図13の状態と略同じ位置にいる。
【0147】
これにより、リンク部材61に取り付けたカムフォロワー62が第2用紙ガイド板32に形成した水平カム部32hに接しているときに、リンク部材61が回動を一時停止しているために、リンク部材61の一端部側が固定設置された第3用紙ガイド板41に衝突することがない。
【0148】
そして、第2用紙ガイド板32の一方の内側面32dの上方先端部位に形成した押圧部32fが、第4用紙ガイド板42に形成した被押圧部42fを押圧し始めると、第2用紙ガイド板32に取り付けた係止レバー36のフック部36aが前側板21(
図3)の内面に取り付けた係止ピン23に係止される。この際、リンク部材61が回動を一時停止しているために、第2用紙ガイド板32をフレームFR(
図3)に係止する際に係止レバー36の係止ピン23への係止が容易となる。
【0149】
次に、
図15に示した第5動作は、第2用紙ガイド板32を閉じている最中に、第2用紙ガイド板32で第4用紙ガイド板42を更に右方に押し込む状態を示している。
【0150】
即ち、
図15に示す如く、ユーザが第2用紙ガイド板32を第1回動軸33を中心にして
図14よりも更に時計方向に回動させて、第2用紙ガイド板32に形成した押圧部32fで第4用紙ガイド板42に形成した被押圧部42fを更に押し込む。
【0151】
これにより、第4用紙ガイド板42が第2回動軸43を中心にして時計方向に再び回動するが、連動手段60のリンク部材61の一端側の回動軌跡と、第4用紙ガイド板42上に取り付けた移動駒44の回動軌跡とのずれ量を、長方形孔61aとこの長方形孔61a内を移動する移動駒44とにより吸収することができる。従って、第2用紙ガイド板32と第4用紙ガイド板42とを無理なく連動させることができる。
【0152】
また、第2用紙ガイド板32の第4用紙ガイド板42への押し込み動作により、係止レバー36のフック部36aと係止ピン23との間に隙間Sが生じる。
【0153】
更に、リンク部材61上のカムフォロワー62は水平カム部32hに接したままの状態である。
【0154】
次に、
図16に示した第6動作は、第2用紙ガイド板32が完全に閉じられた状態を示している。
【0155】
即ち、
図16に示す如く、第2用紙ガイド板32で第4用紙ガイド板42を押し込んだ後に、駆動ローラRaと従動ローラRbとからの反力により第2用紙ガイド板32が左方に押し戻されるので、第4用紙ガイド板42に形成した被押圧部42fは第2用紙ガイド板32に形成した押圧部32fに追従する。
【0156】
この第2用紙ガイド板32が左方に押し戻される動作に伴って、係止レバー36のフック部36aと係止ピン23との間に隙間S(
図15)がなくなり、第2用紙ガイド板32が係止ピン23に確実に係止される。
【0157】
更に、連動手段60のリンク部材61上のカムフォロワー62は水平カム部32hに接したままの状態であり、且つ、第4用紙ガイド板42上の移動駒44はリンク部材61の長方形孔61a内の右方で余裕を持って遊嵌している。
【0158】
これにより、用紙搬送ガイド部20内において、第1,第2用紙搬送路PP1,PP2の各間隔が当初の値に戻るので、
図5を用いて説明したと同様の初期状態に戻る。
【0159】
(変形例の用紙搬送装置)
図17は本発明に係る用紙搬送装置を一部変形させた変形例の用紙搬送装置の外観を斜視的に示している。
【0160】
図17に示した変形例の用紙搬送装置70、先に
図2を用いて説明した本発明に係る用紙搬送装置10に対して給紙部が1ユニット増加して給紙トレイが3台設置されている点が異なるだけであるので、ここでは簡略に説明する。
【0161】
上記した変形例の用紙搬送装置70では、装置筐体2(
図1)の下方に第1給紙部11の第1給紙トレイ12が下段に設置され、且つ、第1給紙部11の上方に第2給紙部15の第2給紙トレイ16が第1給紙トレイ12に対して重なり合って中段に設置され、更に、第2給紙部15の上方に第3給紙部71の第3給紙トレイ72が第2給紙トレイ16に対して重なり合って上段に設置されている。
【0162】
そして、第1給紙トレイ12の給紙方向の先端側は、第2給紙トレイ16の先端側よりも左方に突出していると共に、第2給紙トレイ16の先端側は第3給紙トレイ72の先端側よりも左方に突出しているので、第1給紙トレイ12の先端側が最も左方に位置している。
【0163】
また、この変形例でも用紙搬送ガイド部20は、装置筐体2(
図1)の前面内側と後面内側とに対応して設けた前側板21と後側板22との間に取り付けられている。この用紙搬送ガイド部20は、第1給紙部11の第1給紙トレイ12と、第2給紙部15の第2給紙トレイ16とに対応させているので、先に
図5を用いて説明した用紙搬送ガイド部20と同じである。
【0164】
一方、第3給紙部71の第3給紙トレイ72に対応して第3用紙搬送路(図示せず)が別途設定されているので、この第3用紙搬送路中で用紙ジャムが発生した場合には用紙搬送ガイド部20とは別途設置した用紙搬送ガイド部(図示せず)で対応している。
【0165】
従って、本発明に係る用紙搬送装置10及び変形例の用紙搬送装置70は、共に第1,第2給紙トレイ12,16を設置した例に対応できるものである。