(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表裏反転工程による前記画像印刷媒体の反転後の前記画像印刷媒体の設置向きを示す向き用マークを切り出しによって前記画像印刷媒体に形成する向き用マーク切り出し工程を備えることを特徴とする請求項1に記載の媒体加工方法。
前記媒体切り出し工程は、前記複数の補正用マークの少なくとも1つが前記境界に接して前記画像印刷媒体に含まれるように前記媒体から前記画像印刷媒体を切り出す工程であり、
前記基準位置特定工程は、前記境界に接している前記補正用マークの位置を前記基準位置として特定する工程であることを特徴とする請求項1から請求項4までの何れかに記載の媒体加工方法。
前記裏面加工工程は、前記画像印刷媒体に対する裏面側からの加工として、前記画像を含む領域の少なくとも一部に対して凹みを付ける罫引きと、前記領域の切り出しとを実行する工程であることを特徴とする請求項1から請求項5までの何れかに記載の媒体加工方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の媒体加工方法においては、補正用マークの位置を媒体の裏面側から検出可能にするために工程の数が多くなるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、媒体の表面に印刷された画像に応じて媒体の裏面側から加工する作業性を従来より向上することができる媒体加工方法、媒体加工システムおよび媒体加工データ処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の媒体加工方法は、画像と、前記画像の画像データを補正するための複数の補正用マークとが表面に印刷された媒体の前記複数の補正用マークの位置を検出する補正用マーク検出工程と、前記画像内又は前記画像より外側に境界が形成されていて、前記画像に対する特定の基準位置が前記境界に対して特定の位置に配置されている画像印刷媒体を前記媒体の表面側から切り出す媒体切り出し工程と、前記媒体切り出し工程によって切り出された前記画像印刷媒体の表裏を反転させる表裏反転工程と、前記表裏反転工程によって反転させられた前記画像印刷媒体の前記境界に基づいて前記基準位置を特定する基準位置特定工程と、前記画像印刷媒体に対する裏面側からの加工のためのデータである裏面加工用データを生成する裏面加工用データ生成工程と、前記表裏反転工程によって反転させられた前記画像印刷媒体に対して裏面側から加工する裏面加工工程とを備え、前記裏面加工用データ生成工程は、反転と、前記補正用マーク検出工程によって検出された前記複数の補正用マークの位置に基づいた補正とを前記画像データに対して実行することによって、前記裏面加工用データを生成する工程であり、前記裏面加工工程は、前記基準位置特定工程によって特定された前記基準位置と、前記裏面加工用データ生成工程によって生成された前記裏面加工用データとに基づいて、前記画像印刷媒体に対して裏面側から加工する工程であることを特徴とする。
【0007】
この構成により、本発明の媒体加工方法は、媒体の表面に印刷された複数の補正用マークの位置を検出して、検出結果に基づいた補正と反転とを画像データに対して実行することによって裏面加工用データを生成するとともに、画像内又は画像より外側に境界が形成されていて画像に対する特定の基準位置が境界に対して特定の位置に配置されている画像印刷媒体を媒体の表面側から切り出した後、表裏を反転させられた画像印刷媒体の境界に基づいて基準位置を特定し、特定した基準位置と、裏面加工用データとに基づいて画像印刷媒体に対して裏面側から加工するので、従来のように補正用マークを媒体の表面側から切り抜く必要がない。したがって、本発明の媒体加工方法は、媒体の表面に印刷された画像に応じて媒体の裏面側から加工する作業性を従来より向上することができる。
【0008】
また、本発明の媒体加工方法は、前記表裏反転工程による前記画像印刷媒体の反転後の前記画像印刷媒体の設置向きを示す向き用マークを切り出しによって前記画像印刷媒体に形成する向き用マーク切り出し工程を備えても良い。
【0009】
この構成により、本発明の媒体加工方法は、反転後の画像印刷媒体の設置向きが向き用マークによって判別されることが可能であるので、作業者による画像印刷媒体の設置の失敗が発生する可能性を抑えることができる。
【0010】
また、本発明の媒体加工方法において、前記表裏反転工程は、定位置に存在するガイド部材に前記画像印刷媒体の前記境界を接触させることによって前記画像印刷媒体の設置位置を決める工程であり、前記表裏反転工程は、表裏を反転した前記画像印刷媒体の前記境界を前記ガイド部材に接触させる場合に、前記向き用マーク切り出し工程によって形成された前記向き用マークを、前記ガイド部材に対して特定の位置に配置する工程であっても良い。
【0011】
この構成により、本発明の媒体加工方法は、定位置に存在するガイド部材に対して特定の位置に向き用マークを配置することによって、反転後の画像印刷媒体の設置向きおよび設置位置を予定通りに合わせることが可能であるので、作業者による画像印刷媒体の設置の失敗が発生する可能性を更に抑えることができる。
【0012】
また、本発明の媒体加工方法において、前記媒体切り出し工程は、前記向き用マーク切り出し工程を含み、前記向き用マークは、前記境界上に形成されていても良い。
【0013】
この構成により、本発明の媒体加工方法は、向き用マークが画像印刷媒体の境界上に形成されていない構成と比較して、少ない工程で向き用マークを形成することができる。
【0014】
また、本発明の媒体加工方法において、前記媒体切り出し工程は、前記複数の補正用マークの少なくとも1つが前記境界に接して前記画像印刷媒体に含まれるように前記媒体から前記画像印刷媒体を切り出す工程であり、前記基準位置特定工程は、前記境界に接している前記補正用マークの位置を前記基準位置として特定する工程であっても良い。
【0015】
この構成により、本発明の媒体加工方法は、画像データを補正するための複数の補正用マークの位置の情報を、基準位置を特定するためにも使用することができるので、情報処理上の負担を軽減することができる。
【0016】
また、本発明の媒体加工方法において、前記裏面加工工程は、前記画像印刷媒体に対する裏面側からの加工として、前記画像を含む領域の少なくとも一部に対して凹みを付ける罫引きと、前記領域の切り出しとを実行する工程であっても良い。
【0017】
この構成により、本発明の媒体加工方法は、裏面に凹みが付いた領域を画像印刷媒体から切り出す作業性を向上することができる。
【0018】
本発明の媒体加工システムは、画像と、前記画像の画像データを補正するための複数の補正用マークとが表面に印刷された媒体の前記複数の補正用マークの位置を検出する補正用マーク検出手段と、前記画像内又は前記画像より外側に境界が形成されていて、前記画像に対する特定の基準位置が前記境界に対して特定の位置に配置されている画像印刷媒体を前記媒体の表面側から切り出す媒体切り出し手段と、前記媒体切り出し手段によって切り出されて表裏を反転させられた前記画像印刷媒体の前記境界に基づいて前記基準位置を特定する基準位置特定手段と、前記画像印刷媒体に対する裏面側からの加工のためのデータである裏面加工用データを生成する裏面加工用データ生成手段と、前記媒体切り出し手段によって切り出されて表裏を反転させられた前記画像印刷媒体に対して裏面側から加工する裏面加工手段とを備え、前記裏面加工用データ生成手段は、反転と、前記補正用マーク検出手段によって検出された前記複数の補正用マークの位置に基づいた補正とを前記画像データに対して実行することによって、前記裏面加工用データを生成し、前記裏面加工手段は、前記基準位置特定手段によって特定された前記基準位置と、前記裏面加工用データ生成手段によって生成された前記裏面加工用データとに基づいて、前記画像印刷媒体に対して裏面側から加工することを特徴とする。
【0019】
この構成により、本発明の媒体加工システムは、媒体の表面に印刷された複数の補正用マークの位置を検出して、検出結果に基づいた補正と反転とを画像データに対して実行することによって裏面加工用データを生成するとともに、画像内又は画像より外側に境界が形成されていて画像に対する特定の基準位置が境界に対して特定の位置に配置されている画像印刷媒体を媒体の表面側から切り出した後、表裏を反転させられた画像印刷媒体の境界に基づいて基準位置を特定し、特定した基準位置と、裏面加工用データとに基づいて画像印刷媒体に対して裏面側から加工するので、従来のように補正用マークを媒体の表面側から切り抜く必要がない。したがって、本発明の媒体加工システムは、媒体の表面に印刷された画像に応じて媒体の裏面側から加工する作業性を従来より向上することができる。
【0020】
本発明の媒体加工データ処理方法は、画像と、前記画像の画像データを補正するための複数の補正用マークとが表面に印刷された媒体の前記複数の補正用マークの位置を検出する補正用マーク検出工程と、前記画像内又は前記画像より外側に境界が形成されていて、前記画像に対する特定の基準位置が前記境界に対して特定の位置に配置されている画像印刷媒体に対する裏面側からの加工のためのデータである裏面加工用データを生成する裏面加工用データ生成工程とを備え、前記裏面加工用データ生成工程は、反転と、前記補正用マーク検出工程によって検出された前記複数の補正用マークの位置に基づいた補正とを前記画像データに対して実行することによって、前記裏面加工用データを生成する工程であることを特徴とする。
【0021】
この構成により、本発明の媒体加工データ処理方法は、媒体の表面に印刷された複数の補正用マークの位置を検出して、検出結果に基づいた補正と反転とを画像データに対して実行することによって裏面加工用データを生成することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の媒体加工方法、媒体加工システムおよび媒体加工データ処理方法は、媒体の表面に印刷された画像に応じて媒体の裏面側から加工する作業性を従来より向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0025】
まず、本発明の一実施の形態に係る媒体加工システムの構成について説明する。
【0026】
図1は、本実施の形態に係る媒体加工システム10のブロック図である。
【0027】
図1に示すように、媒体加工システム10は、PC(Personal Computer)などのコンピューター20と、媒体に対して印刷を実行するインクジェットプリンター30と、媒体に対して切り出しなどの加工を実行するカッティングプロッター40とを備えている。
【0028】
コンピューター20、インクジェットプリンター30およびカッティングプロッター40は、LAN(Local Area Network)、インターネットなどのネットワーク11を介して互いに通信可能に接続されている。
【0029】
図2は、コンピューター20のブロック図である。
【0030】
図2に示すように、コンピューター20は、作業者による種々の操作が入力されるマウス、キーボードなどの入力デバイスである操作部21と、種々の情報を表示するLCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスである表示部22と、ネットワーク11(
図1参照。)経由で通信を行う通信デバイスである通信部23と、各種のデータを記憶しているHDD(Hard Disk Drive)などの記憶デバイスである記憶部24と、コンピューター20全体を制御する制御部25とを備えている。
【0031】
記憶部24は、媒体に対して加工を施すための媒体加工プログラム24aを記憶している。
【0032】
媒体加工プログラム24aは、コンピューター20の製造段階でコンピューター20にインストールされていても良いし、USB(Universal Serial Bus)メモリー、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)などの外部記憶媒体を介してコンピューター20に追加でインストールされても良いし、ネットワーク11上からコンピューター20に追加でインストールされても良い。
【0033】
制御部25は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、プログラムおよび各種のデータを予め記憶しているROM(Read Only Memory)と、CPUの作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)とを備えている。CPUは、ROMまたは記憶部24に記憶されているプログラムを実行するようになっている。
【0034】
制御部25は、記憶部24に記憶されている媒体加工プログラム24aを実行することによって、画像と、画像のデータである画像データを補正するための複数の補正用マークとしての複数のトンボとを媒体の表面にインクジェットプリンター30(
図1参照。)によって印刷する画像印刷手段25a、媒体の複数のトンボの位置をカッティングプロッター40(
図1参照。)によって検出する補正用マーク検出手段25b、画像より外側に境界が形成されている画像印刷媒体を媒体の表面側からカッティングプロッター40によって切り出す媒体切り出し手段25c、媒体切り出し手段25cによって切り出されて表裏を反転させられた画像印刷媒体の境界に基づいて基準位置を特定する基準位置特定手段25d、画像印刷媒体に対する裏面側からの加工のためのデータである裏面加工用データを生成する裏面加工用データ生成手段25e、および、媒体切り出し手段25cによって切り出されて表裏を反転させられた画像印刷媒体に対して裏面側からカッティングプロッター40によって加工する裏面加工手段25fとして機能する。
【0035】
図3は、インクジェットプリンター30の外観斜視図である。
【0036】
図3に示すように、インクジェットプリンター30は、媒体90が載置される媒体載置部31と、矢印30aで示す主走査方向に延在する本体32と、インクジェットプリンター30全体を制御する図示していない制御部とを備えている。
【0037】
媒体載置部31は、矢印30aで示す主走査方向に直交する矢印30bで示す副走査方向に延在していて本体32を副走査方向に移動可能に支持する溝状のレール31aを、主走査方向における両端に備えている。
【0038】
本体32は、矢印30aで示す主走査方向に延在しているガイドレール32aと、主走査方向に移動可能にガイドレール32aに支持されているキャリッジ32bと、キャリッジ32bに搭載されていて媒体載置部31上の媒体90に向けてインクを吐出するインクジェットヘッド32cとを備えている。
【0039】
インクジェットプリンター30の制御部は、例えば、CPUと、プログラムおよび各種のデータを予め記憶しているROMと、CPUの作業領域として用いられるRAMとを備えている。CPUは、ROMに記憶されているプログラムを実行するようになっている。
【0040】
図4は、カッティングプロッター40の外観斜視図である。
【0041】
図4に示すように、カッティングプロッター40は、媒体90が載置される媒体載置部41と、矢印40aで示す主走査方向に延在する本体42と、カッティングプロッター40全体を制御する図示していない制御部とを備えている。
【0042】
媒体載置部41は、矢印40aで示す主走査方向に直交する矢印40bで示す副走査方向に延在していて本体42を副走査方向に移動可能に支持する溝状のレール41aを、主走査方向における両端に備えている。
【0043】
本体42は、矢印40aで示す主走査方向に延在しているガイドレール42aと、主走査方向に移動可能にガイドレール42aに支持されているキャリッジ42bと、キャリッジ42bに搭載されていて媒体載置部41上の媒体90のトンボを読み取るセンサー42cと、キャリッジ42bに搭載されていて媒体載置部41上の媒体90に対して加工を施すカッターなどの加工具42dとを備えている。
【0044】
カッティングプロッター40の制御部は、例えば、CPUと、プログラムおよび各種のデータを予め記憶しているROMと、CPUの作業領域として用いられるRAMとを備えている。CPUは、ROMに記憶されているプログラムを実行するようになっている。
【0045】
次に、本実施の形態に係る媒体加工方法について説明する。
【0046】
まず、媒体90の表面90a(
図3参照。)への画像およびトンボの印刷について説明する。
【0047】
図5は、画像およびトンボを媒体90の表面90aに印刷する場合のコンピューター20の動作のフローチャートである。
【0048】
作業者は、コンピューター20の操作部21および表示部22を使用して、画像を作成することができる。したがって、コンピューター20の画像印刷手段25aは、
図5に示すように、操作部21を介した作業者からの指示に応じて画像を生成する(S101)。
【0049】
作業者は、S101において生成された画像に対するトンボの生成を、操作部21を介してコンピューター20に指示することができる。したがって、画像印刷手段25aは、操作部21を介した作業者からの指示に応じて、画像に対してトンボを生成する(S102)。
【0050】
作業者は、インクジェットプリンター30の媒体載置部31に媒体90を設置するとともに、S101において生成された画像と、S102において生成されたトンボとの印刷を、操作部21を介してコンピューター20に指示することができる。したがって、画像印刷手段25aは、画像の印刷のための画像データと、トンボの印刷のためのトンボデータとを生成する(S103)。最後に、画像印刷手段25aは、S103において生成した画像データおよびトンボデータを通信部23を介してインクジェットプリンター30に送信することによって、画像およびトンボを媒体90の表面90aにインクジェットプリンター30によって印刷する(S104)。
【0051】
図6は、画像91およびトンボ92a、92b、92cおよび92dがインクジェットプリンター30によって印刷された媒体90の一例を示す図である。
【0052】
図6に示すように、媒体90は、画像データに基づいた画像91が表面90aに印刷されているとともに、トンボ92a〜92dが画像91とともに表面90aに印刷されている。トンボ92a〜92dは、画像91が形成された領域の外周に設けられている。
【0053】
なお、以上においては、コンピューター20上で画像が生成されるようになっている。しかしながら、画像は、コンピューター20の外部からコンピューター20の内部に例えば通信部23を介して入力されても良い。
【0054】
また、以上においては、コンピューター20上でトンボが生成されるようになっている。しかしながら、トンボを含んだ画像が、コンピューター20の外部からコンピューター20の内部に例えば通信部23を介して入力されても良い。
【0055】
次に、媒体90の裏面側からの加工について説明する。
【0056】
図7は、媒体90の裏面側から加工する場合のコンピューター20の動作のフローチャートである。
【0057】
作業者は、画像91と、トンボ92a〜92dとが表面90aに印刷された媒体90をカッティングプロッター40の媒体載置部41に表面90aを上にして設置するとともに、媒体90の裏面側からの加工の開始を、操作部21を介してコンピューター20に指示することができる。したがって、コンピューター20の補正用マーク検出手段25bは、媒体90のトンボ92a〜92dの位置の検出を通信部23を介してカッティングプロッター40に指示する(S131)。カッティングプロッター40は、この指示に応じてセンサー42cを媒体載置部41に対して矢印40aで示す主走査方向および矢印40bで示す副走査方向に移動させてセンサー42cによってトンボ92a〜92dの位置を検出し、検出結果をコンピューター20に通知する。
【0058】
コンピューター20の裏面加工用データ生成手段25eは、媒体90上のトンボ92a〜92dの位置がカッティングプロッター40から通知されると、通知されたトンボ92a〜92dの位置と、S104において使用したトンボデータにおけるトンボ92a〜92dの位置とを比較することによって、媒体90に印刷されている画像91が画像データにおける画像に対してどの程度伸縮しているかということ(以下、単に「伸縮率」と言う。)と、媒体90に印刷されている画像91が画像データにおける画像に対してどの程度傾いているかということ(以下、単に「傾き」と言う。)とを算出する(S132)。
【0059】
次いで、コンピューター20の媒体切り出し手段25cは、画像91より外側に境界が形成されている画像印刷媒体を媒体90の表面90a側からカッティングプロッター40によって切り出す(S133)。ここで、媒体切り出し手段25cは、
図8に示すように、トンボ92a〜92bの外側が境界93aになるように画像印刷媒体93を切り出しても良い。
【0060】
次いで、作業者は、媒体切り出し手段25cによって切り出された画像印刷媒体93の表裏を反転させて、カッティングプロッター40の媒体載置部41に設置する。すなわち、作業者は、
図9に示すように、画像印刷媒体93を媒体載置部41に裏面93bを上にして設置する。ここで、作業者は、媒体載置部41上のガイド部材41bに画像印刷媒体93の境界93aを接触させることによって、媒体載置部41に対する画像印刷媒体93の設置位置を決める。ガイド部材41bは、媒体載置部41に対して定位置に存在している。
【0061】
次いで、作業者は、処理の継続を操作部21を介してコンピューター20に指示する。したがって、コンピューター20の基準位置特定手段25dは、
図7に示すように、裏面93bを上にして媒体載置部41に設置されている画像印刷媒体93の境界93aに基づいて、画像91に対する基準位置を特定する(S134)。例えば、
図9に示す画像印刷媒体93においてL字状のトンボ92aの頂点の位置を基準位置94とすると、基準位置94は、画像印刷媒体93の境界93aに対して特定の位置に配置されている。したがって、基準位置特定手段25dは、ガイド部材41bに接触している境界93aに対する位置に基づいて、基準位置94の位置を特定することができる。
【0062】
次いで、コンピューター20の裏面加工用データ生成手段25eは、
図7に示すように、反転と、S132によって算出した伸縮率および傾きの補正とを、S104において使用した画像データに対して実行することによって、裏面加工用データを生成する(S135)。
【0063】
最後に、コンピューター20の裏面加工手段25fは、S134において特定された基準位置94と、S135において生成された裏面加工用データとに基づいて、画像印刷媒体93に対してカッティングプロッター40によって裏面93b側から加工する(S136)。例えば、
図9に示す画像印刷媒体93に対する裏面93b側からの加工として、
図10に示すように、画像91の外周を境界とする領域95の一部に対して凹みとしての罫線95aを付ける罫引きと、領域95の切り出しとを実行する場合、裏面加工手段25fは、S134において特定された基準位置94を加工の原点として、S135において生成された裏面加工用データに基づいて画像印刷媒体93の裏面93b側から罫線95aに対する罫引きを実行した後、S135において生成された裏面加工用データに基づいて画像印刷媒体93の裏面93b側から領域95の切り出しを実行するように、カッティングプロッター40に指示する。なお、カッティングプロッター40は、加工具42dを複数有し、罫引き用の加工具と、切り出し用の加工具を有していてもよく、罫引き用の加工具と、切り出し用の加工具とを自動的に切り替えるようになっていても良いし、作業者に手動で切り替えさせても良い。
【0064】
以上に説明したように、媒体加工システム10は、媒体90の表面90aに印刷された複数のトンボ92a〜92dの位置を検出して(S131)、検出結果に基づいた補正と反転とを画像データに対して実行することによって裏面加工用データを生成する(S135)とともに、画像91より外側に境界93aが形成されていて画像91に対する特定の基準位置94が境界93aに対して特定の位置に配置されている画像印刷媒体93を媒体90の表面90a側から切り出した(S133)後、表裏を反転させられた画像印刷媒体93の境界93aに基づいて基準位置94を特定し(S134)、特定した基準位置94と、裏面加工用データとに基づいて画像印刷媒体93に対して裏面93b側から加工する(S136)ので、従来のようにトンボを媒体90の表面90a側から切り抜く必要がない。したがって、媒体加工システム10は、媒体90の表面90aに印刷された画像91に応じて媒体90の裏面、すなわち画像印刷媒体93の裏面93b側から加工する作業性を従来より向上することができる。
【0065】
媒体加工システム10は、画像印刷媒体93に対する裏面93b側からの加工として、画像91を含む領域95の少なくとも一部に対して凹みとしての罫線95aを付ける罫引きと、領域95の切り出しとを実行するので、裏面93bに凹みが付いた領域95を画像印刷媒体93から切り出す作業性を向上することができる。
【0066】
なお、媒体加工システム10は、以上において、画像91の外周を境界とする領域95を画像印刷媒体93から切り出すようになっているが、画像91を含んでいる領域であれば、画像91より大きい領域を画像印刷媒体93から切り出すようになっていても良い。
【0067】
また、媒体加工システム10は、画像印刷媒体93に対する裏面93b側からの加工として、罫引きおよび切り出し以外の加工を実行しても良い。例えば、媒体加工システム10は、画像印刷媒体93に対する裏面93b側からの加工として、布地などの媒体90の表面90aに印刷された画像91に媒体90を介して完全に重なる反転画像を画像印刷媒体93の裏面93b側から印刷しても良い。
【0068】
媒体加工システム10は、
図11(a)に示すように、媒体切り出し手段25cによって切り出されて表裏を反転させられた画像印刷媒体93の設置向きを示す向き用マーク96を、カッティングプロッター40による切り出しによって画像印刷媒体93に形成しても良い。
図11(a)に示すように、向き用マーク96は、画像91より外側に形成される。媒体加工システム10は、
図11(a)に示すように向き用マーク96を画像印刷媒体93に形成する場合、
図11(b)に示すように、反転後の画像印刷媒体93の設置向きが向き用マーク96によって判別されることが可能であるので、作業者による画像印刷媒体93の設置の失敗が発生する可能性を抑えることができる。特に、媒体加工システム10は、表裏を反転した画像印刷媒体93の境界93aをガイド部材41bに接触させる場合に、定位置に存在するガイド部材41bに対して特定の位置に向き用マーク96を配置することによって、反転後の画像印刷媒体93の設置向きおよび設置位置を予定通りに合わせることが可能であるので、作業者による画像印刷媒体93の設置の失敗が発生する可能性を更に抑えることができる。
【0069】
媒体加工システム10は、
図11(a)に示すように向き用マーク96が画像印刷媒体93の境界93a上に形成されている場合、媒体90の表面90a側から画像印刷媒体93を切り出す際に、画像印刷媒体93とともに向き用マーク96も切り出すことができる。したがって、媒体加工システム10は、向き用マーク96が画像印刷媒体93の境界93a上に形成されていない構成と比較して、少ない工程で向き用マーク96を形成することができる。しかしながら、媒体加工システム10は、
図12に示すように、カッティングプロッター40による切り出しによって向き用マーク96を画像印刷媒体93の境界93a以外の位置に形成しても良い。
【0070】
媒体加工システム10は、
図8に示すようにトンボ92a〜92dが境界93aに接して画像印刷媒体93に含まれるように媒体90から画像印刷媒体93を切り出し(S133)、
図9に示すように画像印刷媒体93の境界93aに接しているトンボ92aの頂点の位置を基準位置94として特定する(S134)ようになっている。媒体加工システム10は、このように、トンボ92a〜92dの少なくとも1つが境界93aに接して画像印刷媒体93に含まれるように媒体90から画像印刷媒体93を切り出し、画像印刷媒体93の境界93aに接しているトンボの位置を基準位置94として特定するようになっている場合、画像データを補正するためのトンボ92a〜92dの位置の情報、すなわち、トンボデータを、基準位置94を特定するためにも使用することができるので、情報処理上の負担を軽減することができる。
【0071】
また、境界93aは画像91内に設けられてもよい。例えば、画像91が画像印刷媒体93の外側まで形成されているような場合には、境界93aは画像91内に設けられてもよい。
【0072】
なお、媒体加工システム10は、トンボ92a〜92dの位置以外の位置を画像91に対する基準位置としても良い。すなわち、媒体加工システム10は、画像91に対する基準位置の位置関係と、画像印刷媒体93の境界93aに対する基準位置の位置関係とをS133の処理以前に記憶しておくようになっていれば、トンボ92a〜92dの位置以外の位置を画像91に対する基準位置とすることができる。したがって、媒体加工システム10は、例えば、
図13(a)に示すようにトンボ92a〜92dの位置より大きく画像印刷媒体93を切り出しても良いし、
図13(b)に示すようにトンボ92a〜92dの位置より小さく画像印刷媒体93を切り出しても良い。
【0073】
媒体加工システム10は、本実施の形態において、ガイド部材41bに画像印刷媒体93の境界93aを接触させることによって画像印刷媒体93の設置位置を決めるようになっている。しかしながら、媒体加工システム10は、ガイド部材41bを備えていなくても良い。例えば、媒体加工システム10は、ガイド部材41bに代えて媒体載置部41上に基準が描かれている場合、この基準に画像印刷媒体93を合わせるように作業者に正確に画像印刷媒体93を媒体載置部41上に設置させるようになっていても良い。
【0074】
また、媒体加工システム10は、カッティングプロッター40のセンサー42cによって画像印刷媒体93の境界93aを検出することによって、媒体載置部41上における画像印刷媒体93の位置および角度を自動的に判断することも可能である。媒体加工システム10は、媒体載置部41上における画像印刷媒体93の位置および角度を自動的に判断する場合、事前に決められている角度に画像印刷媒体93が設置されるように作業者が画像印刷媒体93を設置することによって、多少の角度の誤差があったとしても、媒体載置部41上における画像印刷媒体93の位置および角度を正確に判断することができる。媒体加工システム10は、画像印刷媒体93に向き用マーク96を形成する場合には、事前に決められている角度に画像印刷媒体93が設置されるように作業者が画像印刷媒体93を設置しなくても、向き用マーク96を検出することによって、媒体載置部41上における画像印刷媒体93の角度を正確に判断することができる。
【0075】
媒体加工システム10は、コンピューター20の機能の少なくとも一部をインクジェットプリンター30およびカッティングプロッター40の少なくとも一方によって実現しても良い。例えば、媒体加工システム10は、コンピューター20の機能の全部をインクジェットプリンター30およびカッティングプロッター40の少なくとも一方によって実現する場合には、コンピューター20を備えていなくても良い。
【0076】
また、媒体加工システム10は、インクジェットプリンター30がカッティングプロッター40の機能も備えている場合には、カッティングプロッター40を備えていなくても良い。
【0077】
なお、上述した実施の形態では、媒体90上にトンボ92a〜92dが印刷されたものを用いたが、これらのトンボ92a〜92dを媒体90を貫通するように切り抜き、切り抜かれた状態のトンボ92a〜92dを媒体90に形成してもよい。
【0078】
切り抜かれたトンボ92a〜92dを用いる場合には、画像印刷媒体93の表裏を反転させて、カッティングプロッター40の媒体載置部41に設置後、画像印刷媒体93を媒体90の裏面90b側からカッティングプロッター40によって切り出すことが可能である。つまり、切り抜かれたトンボ92a〜92dを裏面90b側から検出し、上述した実施の形態のS132と同様の処理を行うことで、媒体90に印刷されている画像91の伸縮率や傾きを算出すればよい。なお、切り抜かれたトンボ92a〜92dを裏面90b側から検出するので、伸縮率や傾きを算出する際には、得られたトンボデータを、反転させた方向にあわせて補正を行う必要がある。
【0079】
そして、コンピューター20の媒体切り出し手段25cは、画像91より外側に境界が形成されている画像印刷媒体93を媒体90の裏面90b側からカッティングプロッター40によって切り出すことができる。
【0080】
切り出し後、作業者は、媒体載置部41上のガイド部材41bに画像印刷媒体93の境界93aを接触させることによって、媒体載置部41に対する画像印刷媒体93の設置位置を決めることができる。ガイド部材41bは、媒体載置部41に対して定位置に存在している。
【0081】
次いで、作業者は、処理の継続を操作部21を介してコンピューター20に指示することで、上述した実施の形態と同様の処理を行うことができる。
【0082】
このように、媒体切り出し工程を表裏反転工程よりも後に行うことも可能である。例えば、媒体90の表面90a側にカッティングプロッター40の加工具42dで処理が困難な特殊層が設けられているような場合には、このような構成が有効である。