特許 6389770 ノズル部材

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】6389770

(24)【登録日】2018年8月24日

(45)【発行日】2018年9月12日

(54)【発明の名称】ノズル部材

(51)【国際特許分類】

   B05B 1/02 20060101AFI20180903BHJP

   B05B 1/34 20060101ALI20180903BHJP

   B65D 83/00 20060101ALI20180903BHJP

   B65D 47/34 20060101ALI20180903BHJP

【ＦＩ】

   B05B1/02 101

   B05B1/34 101

   B65D83/00 K

   B65D47/34 110

【請求項の数】2

【全頁数】13

(21)【出願番号】特願2015-17673(P2015-17673)

(22)【出願日】2015年1月30日

(65)【公開番号】特開2016-140811(P2016-140811A)

(43)【公開日】2016年8月8日

【審査請求日】2017年8月3日

(73)【特許権者】

【識別番号】000006909

【氏名又は名称】株式会社吉野工業所

(74)【代理人】

【識別番号】100064908

【弁理士】

【氏名又は名称】志賀 正武

(74)【代理人】

【識別番号】100094400

【弁理士】

【氏名又は名称】鈴木 三義

(74)【代理人】

【識別番号】100106909

【弁理士】

【氏名又は名称】棚井 澄雄

(74)【代理人】

【識別番号】100140718

【弁理士】

【氏名又は名称】仁内 宏紀

(72)【発明者】

【氏名】角田 義幸

【審査官】 平井 裕彰

(56)【参考文献】

【文献】 特開２０１０−２６９２３３（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開平０２−１６００６５（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２０１４−００８９９９（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特表平０８−５０３６７４（ＪＰ，Ａ）

【文献】 米国特許第０５８１３７８５（ＵＳ，Ａ）

(58)【調査した分野】（Int.Cl.，ＤＢ名）

Ｂ０５Ｂ １／００〜 ９／０８

Ｂ６５Ｄ３５／４４〜３５／５４

３９／００〜５５／１６

８３／００〜８３／７６

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

容器本体内の内容液が泡状に吐出される吐出口に装着されるノズル部材であって、
前記吐出口を塞ぐと共に、複数の吐出孔が形成された蓋板と、
前記蓋板に形成され、前記吐出孔を外部から覆う被覆板と、を備え、
前記吐出孔は、前記蓋板の平面視において、第１方向に向かい合うように配置され、
前記被覆板は、前記蓋板の平面視において、前記吐出孔の外周縁部のうち、前記第１方向に対して直交する第２方向に沿って延び、且つ前記第１方向に向かい合った他の前記吐出孔寄りに位置する外周縁部を開口させると共に、前記吐出孔のうち残りの部分を覆うように形成され、
複数の前記吐出孔は、前記蓋板の平面視において、前記開口した部分のうち、前記第２方向の端部に位置する部分同士が前記第１方向に対向し合うように配置されていることを特徴とするノズル部材。

【請求項2】

請求項１に記載のノズル部材において、
前記被覆板における前記吐出口側を向く裏面は、前記開口した部分に向かうにしたがい、前記吐出口から漸次離間するように前記第１方向に沿って傾斜していることを特徴とするノズル部材。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、ノズル部材に関する。

【背景技術】

【0002】

従来から、容器内の内容液を空気と混合することで泡状にして吐出するフォーマ容器（フォーマディスペンサ）が知られている。例えば下記特許文献１で示されるフォーマ容器は、内容液が収容される容器体の口部に、上方付勢状態で下方移動可能に立設されるステムと、ステムの上端部に配設され、ノズル孔が形成された押下ヘッドと、ステムを上方に付勢する付勢部材と、ステムに連係する液用ピストンと、内部に液用ピストンが上下摺動自在に収容された液用シリンダと、ステムに連係する空気用ピストンと、内部に空気用ピストンが上下摺動自在に収容された空気用シリンダと、液用シリンダからの内容液と空気用シリンダからの空気とを混合する気液混合室と、気液混合室とノズル孔との間に配設され、気液混合室からの気液混合体を発泡するメッシュ部材を有する発泡部材と、を備えている。

【0003】

このフォーマ容器によれば、押下ヘッドを押し下げてステムを下方に移動させることで、容器体内の内容液を気液混合室内で空気と混合させることができると共に、これらの気液混合体を、発泡部材のメッシュ部材を通過させることで発泡させることができる。これにより、内容液を泡状にしてノズル孔から吐出することができる。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【特許文献1】特開２００８−１３６９０４号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

しかしながら、上述した従来のフォーマ容器では、メッシュ部材を通過することで生じた無数の泡が積極的に混じり合うことなく、そのままノズル孔から外部に吐出され易い。従って、例えば内容液をクリーミー等、見た目のきれいな泡状で吐出することに改善の余地があった。

【0006】

本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、泡の状態を変更することで、より見た目のきれいな泡状で内容液を吐出することができるノズル部材を提供することである。

【課題を解決するための手段】

【0007】

上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
（１）本発明に係るノズル部材は、容器本体内の内容液が泡状に吐出される吐出口に装着されるノズル部材であって、前記吐出口を塞ぐと共に、複数の吐出孔が形成された蓋板と、前記蓋板に形成され、前記吐出孔を外部から覆う被覆板と、を備え、前記吐出孔は、前記蓋板の平面視において、第１方向に向かい合うように配置され、前記被覆板は、前記蓋板の平面視において、前記吐出孔の外周縁部のうち、前記第１方向に対して直交する第２方向に沿って延び、且つ前記第１方向に向かい合った他の前記吐出孔寄りに位置する外周縁部を開口させると共に、前記吐出孔のうち残りの部分を覆うように形成され、複数の前記吐出孔は、前記蓋板の平面視において、前記開口した部分のうち、前記第２方向の端部に位置する部分同士が前記第１方向に対向し合うように配置されていることを特徴とする。

【0008】

本発明によれば、吐出口に達した泡状の内容液を、複数の吐出孔を通じて外部に吐出することができる。このとき、複数の吐出孔は、蓋板の平面視において、開口した部分のうち吐出孔の外周縁部に沿って延びる方向の端部に位置する部分同士が対向し合うように配置されている。これにより、複数の吐出孔は、蓋板の平面視において、それぞれ開口した部分が部分的に対向し合うように配置されている。
従って、各吐出孔から外部に吐出された泡状の内容液は、吐出後に、徐々に混じり合いながら、次第にその範囲を広げていき、最終的に全体が渦を巻くように混じり合う。従って、各吐出孔から吐出した泡状の内容液を、例えば螺旋状に混じり合わせながら吐出することができる。これにより、泡の状態を変更でき、内容液をクリーミーな泡状にすることができる。そのため、より見た目がきれいな泡状にして内容液を吐出することができる。
なお、例えば吐出孔の数や各吐出孔の開口形状が異なるノズル部材を複数用意し、必要に応じてノズル部材を吐出口に付け替えることで、吐出口から先の段階で、内容液の泡の状態を容易に変更することも可能である。

【0009】

（２）前記被覆板における前記吐出口側を向く裏面は、前記開口した部分に向かうにしたがい、前記吐出口から漸次離間するように前記第１方向に沿って傾斜しても良い。

【0010】

この場合には、吐出口に達した泡状の内容液を、傾斜した被覆板の裏面を利用してスムーズに吐出孔に案内できるので、泡を潰すことなく吐出孔から勢いよく泡状の内容液を吐出できる。従って、各吐出孔からの泡状の内容液を、より確実に混じり合わせることができる。

【発明の効果】

【0011】

本発明によれば、泡の状態を変更することができ、より見た目のきれいな泡状で内容液を吐出することができる。

【図面の簡単な説明】

【0012】

【図1】本発明に係るノズル部材の実施形態を示す図であって、ノズル部材を具備したフォーマ容器の縦断面図である。

【図2】図１に示すノズル部材を蓋板側から見た平面図である。

【図3】図２に示すＡ−Ａ線に沿ったノズル部材の断面図である。

【図4】図２に示すＢ−Ｂ線に沿ったノズル部材の断面図である。

【図5】図２に示す矢印Ｃ方向から見たノズル部材の側面図である。

【図6】図１に示す状態から押下ヘッドを押し下げて、気液混合室内に空気を送り込んでいる状態を示す図である。

【図7】吐出終了後、図６に示す状態から押下ヘッドが上方に戻り始めている状態を示す図である。

【図8】ノズル部材の変形例を示す図であって、蓋板側から見た平面図である。

【図9】図８に示すＤ−Ｄ線に沿ったノズル部材の断面図である。

【図10】ノズル部材の別の変形例を示す図であって、蓋板側から見た平面図である。

【発明を実施するための形態】

【0013】

以下、本発明に係るノズル部材の実施形態について図面を参照して説明する。
なお、本実施形態では、ポンプフォーマ式のフォーマ容器にノズル部材を適用する場合を例に挙げて説明する。

【0014】

図１に示すように、本実施形態のフォーマ容器１は、内容液が収容される容器本体２と、ステム１０を有するポンプ３と、ステム１０の上端部に配置された押下ヘッド４と、を備えている。

【0015】

なお、本実施形態では、容器本体２における横断面の中央を通る軸線を容器軸Ｏとし、以下では容器軸Ｏに沿って押下ヘッド４側を上側、ポンプ３側を下側とする。また、容器軸Ｏに沿う方向を上下方向とする。さらに、容器軸Ｏ方向から見た平面視において、容器軸Ｏに直交する方向を径方向、容器軸Ｏ回りに周回する方向を周方向とする。

【0016】

ポンプ３は、容器本体２の口部２ａに上方付勢状態で下方移動可能に立設された上記ステム１０と、該ステム１０が上下動自在に挿入される挿通孔１１が形成されると共に容器本体２の口部２ａに装着される装着キャップ１２と、押下ヘッド４及びステム１０に連係した空気用ピストン１３が内部に上下摺動自在に収容された空気用シリンダ１４と、押下ヘッド４及びステム１０に連係した液用ピストン１５が内部に上下摺動自在に収容された液用シリンダ１６と、空気用シリンダ１４からの空気と液用シリンダ１６からの内容液とが合流する気液混合室Ｒ１と、気液混合室Ｒ１で混合された気液混合体を発泡させると共に、所定の泡状にする発泡部材１７と、を備えている。

【0017】

装着キャップ１２は、挿通孔１１が形成された天壁部２０と、天壁部２０の外周縁から下方に向けて延びた周壁部２１と、天壁部２０において挿通孔１１の外周縁部から上方に向けて延びたガイド筒部２２と、を備えている。周壁部２１の内周面にはねじ部が形成され、該ねじ部を利用して容器本体２の口部２ａに螺着されている。
但し、装着キャップ１２の構成は、この場合に限定されるものではなく、例えば周壁部２１を容器本体２の口部２ａに対してアンダーカット嵌合させることで、装着しても構わない。

【0018】

液用シリンダ１６及び空気用シリンダ１４はそれぞれ円筒状をなしており、図示の例では液用シリンダ１６の上端開口部と空気用シリンダ１４の下端開口部とが一体に連設されることで、液用シリンダ１６及び空気用シリンダ１４が一体に形成されている。
より詳細には、空気用シリンダ１４は、有底筒状に形成され、その底面に筒状の液用シリンダ１６が空気用シリンダ１４の内部と連通した状態で連結されている。つまり、大径の空気用シリンダ１４の下側に小径の液用シリンダ１６が連設されている。
但し、液用シリンダ１６と空気用シリンダ１４とをそれぞれ別体に構成したうえで、例えば、両者を係止する等して繋げても構わない。

【0019】

空気用シリンダ１４の上端開口部は、装着キャップ１２における周壁部２１及び天壁部２０の内面にそれぞれ密着した状態で固定されている。これにより、液用シリンダ１６及び空気用シリンダ１４は、装着キャップ１２から垂下した状態で容器本体２の内部に配置されている。

【0020】

押下ヘッド４は、下方に向けて延設されて内部にステム１０が嵌合された装着筒部３０と、下方に向けて延設されて装着筒部３０を径方向外側から囲繞する外筒部３１と、を備えている。
装着筒部３０の上端開口部は、ノズル筒部３２の基端に形成された基端開口部に連通している。ノズル筒部３２の先端には、ノズル孔３２ａが形成されている。ノズル筒部３２の基端開口部は、下方に向けて開口しており、装着筒部３０とノズル筒部３２とは縦断面視でＬ字状をなすように接続されている。

【0021】

装着筒部３０は、装着キャップ１２におけるガイド筒部２２の径方向内側に上下動自在に挿入されている。外筒部３１の内径は、ガイド筒部２２の外径よりも拡径しており、押下ヘッド４を押し下げたときに、外筒部３１の内周面とガイド筒部２２の外周面とが径方向で対向する。

【0022】

ノズル筒部３２の先端には、ノズル筒部３２の長さを延長するための筒状の延長部材５が装着されている。
延長部材５は、ノズル孔３２ａの内側に挿入固定された挿入部５ａと、ノズル筒部３２よりもさらに径方向外側に向かって延び、内部がノズル筒部３２の内部に連通した本体部５ｂと、を備えている。本体部５ｂには、ノズル筒部３２を通じて移送されてきた泡状の内容液を吐出する吐出口６が下方に向けて開口している。これにより、泡状の内容液は、延長部材５によって吐出方向が変更され、下向きに吐出される。
そして、延長部材５の吐出口６にはノズル部材７が装着されている。このノズル部材７については、後に詳細に説明する。

【0023】

発泡部材１７は、押下ヘッド４の装着筒部３０内における上下方向の略中央領域に配設されており、気液混合室Ｒ１とノズル孔３２ａとの間に位置している。この発泡部材１７は、筒状のケーシング４０と、このケーシング４０内に装着された２つの発泡エレメント４１と、を備えている。

【0024】

ケーシング４０は、上側が大径部４０ａ、下側が小径部４０ｂとされた２段円筒状に形成されている。そのうち大径部４０ａは装着筒部３０の内側に挿入固定され、小径部４０ｂはステム１０の上端部の内側に嵌合されている。小径部４０ｂの外周面には、その下端から上方に延びて大径部４０ａの底部外表面に至り、さらにその径方向外側に向けて延在して開口した複数のケーシング溝４２が形成されている。

【0025】

発泡エレメント４１は、それぞれ筒状体４１ａの一端開口端に所定の網目が形成されたメッシュ部材（網）４１ｂが張設された構成とされ、上下に２段に重なった状態でケーシング４０における大径部４０ａの内側に装着されている。この際、２つの発泡エレメント４１のうち、ケーシング４０内の下側に位置する発泡エレメント４１はメッシュ部材４１ｂが下側を向き、ケーシング４０内の上側に位置する発泡エレメント４１はメッシュ部材４１ｂが上側を向くように配置されている。

【0026】

空気用ピストン１３は、空気用シリンダ１４内に気密状態で上下摺動可能に配設され、多段筒状に形成された外筒５０と、この外筒５０の内側に配置された内筒５１と、外筒５０の上端部と内筒５１の外周面とを連結し、上下方向に貫通する空気孔５２が形成された天板部５３と、内筒５１の外周面に嵌合されて空気孔５２を開閉するピストン用弁体５４と、を備えている。

【0027】

内筒５１の内側には、ステム１０において装着筒部３０に嵌合している上端部の下方に連なる部分が上下動可能に挿入されている。この内筒５１の上端縁には、装着筒部３０の下端側内周面に摺接する上側摺接部５１ａが内筒５１の全周に亘って形成されている。外筒５０の下端部には、空気用シリンダ１４の内面に摺接する環状の下側摺接部５０ａが形成されている。
上側摺接部５１ａの上端縁と装着筒部３０の内面との間には、上下方向の隙間Ｓが設けられている。また、装着筒部３０の下端と天板部５３との間にも隙間が設けられている。

【0028】

ステム１０は、押下ヘッド４における装着筒部３０の下端開口部から下方に突出しており、その上端部は上述したように発泡部材１７におけるケーシング４０の小径部４０ｂに固定されている。これにより、ステム１０は発泡部材１７を介して装着筒部３０に固定されている。

【0029】

装着筒部３０の内周面においてステム１０の上端部が嵌合された部分には、上下方向に延在し、かつ下方に開口した複数の縦溝３０ａが形成されている。これらの縦溝３０ａは、ステム１０の上端開口縁を径方向に跨いで、発泡部材１７のケーシング４０に形成された複数のケーシング溝４２に連通していると共に上記隙間Ｓに連通している。

【0030】

ステム１０の内周面において、液用ピストン１５と発泡部材１７との間に位置する部分には、径方向内側に向けて円環状の弁座６０が突設されており、この弁座６０に着座及び離反可能に球状の液吐出弁６１が設けられている。そして、ステム１０の内部において、発泡部材１７におけるケーシング４０の小径部４０ｂの下端と、弁座６０の上面との間の空間が気液混合室Ｒ１とされている。

【0031】

ステム１０の外周面において、空気用ピストン１３における内筒５１が配設された部分には、上下方向に延在し、かつ上記隙間Ｓに連通する複数のステム溝１０ａが形成されている。そして、このステム溝１０ａと、装着筒部３０に形成された縦溝３０ａと、発泡部材１７のケーシング４０に形成されたケーシング溝４２と、前記隙間Ｓとによって、空気用シリンダ１４と上記気液混合室Ｒ１とを連通する空気通路８が構成されている。

【0032】

ステム１０の外周面には、複数のステム溝１０ａの下端が位置する部分に、径方向外側に向けて張り出して、空気用ピストン１３の内筒５１の下端に下方から当接するフランジ状の当接部６２が形成されている。
この当接部６２は、ステム１０に一体に形成されており、押下ヘッド４を押下する前の待機状態では、この当接部６２に空気用ピストン１３における内筒５１の下端が当接している。

【0033】

液用ピストン１５は、その上端側がステム１０の内側に液密状態で挿入固定される小径筒部１５ａとされ、下端側がステム１０の下端開口縁から下方に突出し、且つその外周面がステム１０の外周面とほぼ面一とされた大径筒部１５ｂとされている。

【0034】

液用ピストン１５及び液用シリンダ１６の内部には、上端部が中空逆円錐状をなす上部弁体６５ａとされると共に、下端部が液用シリンダ１６内の下端開口部に着座及び離反可能な下部弁体（不図示）とされた棒状の弁部材６５が設けられている。

【0035】

上部弁体６５ａは、液用シリンダ１６内とステム１０の上端部内との連通及びその遮断を切替える弁とされている。なお、液用ピストン１５と液用シリンダ１６の下端部内面との間には、コイルスプリング６６が配設されている。
このコイルスプリング６６は、液用ピストン１５を、大径筒部１５ｂの下方から上方付勢状態で下方移動可能に支持している。

【0036】

ノズル部材７について詳細に説明する。
図１〜５に示すように、ノズル部材７は、延長部材５の吐出口６を下方から塞ぐ平面視円形状の蓋板７０と、蓋板７０に一体に形成され、吐出口６の内側に固定された環状の固定筒７１と、を備え、固定筒７１が吐出口６の内側に固定されることで、吐出口６に対して同軸に装着されている。なお、吐出口６及びノズル部材７の中心を容器軸Ｏに沿って貫く軸をノズル軸Ｏ１という。

【0037】

蓋板７０は、吐出口６の開口径よりも拡径しており、その外周縁部は吐出口６を外側から囲むように延長部材５における本体部５ｂの下面に接している。固定筒７１は、吐出口６の内側に例えば液密に嵌合固定されている。

【0038】

蓋板７０には、２つの吐出孔７２が形成されていると共に、これら吐出孔７２を下方から覆う被覆板７３が一体に形成されている。
吐出孔７２は、平面視長方形状に形成されている。図示の例では、吐出孔７２は、ノズル軸Ｏ１に直交する方向のうちノズル筒部３２及び延長部材５が延びる方向に沿った第１方向Ｌ１よりも、ノズル軸Ｏ１に直交する方向のうち第１方向Ｌ１に対して直交する第２方向Ｌ２に長い平面視長方形状に形成されている。また、２つの吐出孔７２は、ノズル軸Ｏ１を挟んで第１方向Ｌ１に向かい合うように配置されている。

【0039】

被覆板７３は、吐出孔７２のうち該吐出孔７２の外周縁部の一部７２ａを開口させ、且つ吐出孔７２のうち残りの部分を覆うように形成されている。
図示の例では、被覆板７３は、吐出孔７２の外周縁部のうち、第２方向Ｌ２に沿って延び、且つ、向かい合った他方の吐出孔７２寄りに位置する外周縁部７２ａが開口するように形成されている。これにより、各吐出孔７２の開口した部分Ｐは、第１方向Ｌ１に向かい合っている。

【0040】

但し、２つの吐出孔７２は、開口した部分Ｐのうち、第２方向Ｌ２（吐出孔７２の外周縁部７２ａに沿って延びる方向）の端部に位置する部分Ｐ１同士が第１方向Ｌ１に対向し合うように配置されている。
つまり、２つの吐出孔７２は、それぞれの開口した部分Ｐの全体が第１方向Ｌ１に向かい合っているのではなく、それぞれの開口した部分Ｐが部分的に第１方向Ｌ１に向かい合うように配置されている。

【0041】

さらに、被覆板７３は、開口した部分Ｐに向かうにしたがい、吐出口６から漸次下方に離間するように第１方向Ｌ１に沿って傾斜している。これにより、被覆板７３における吐出口６側を向く裏面７３ａについても、同様に傾斜している。
なお、吐出孔７２によって開口した外周縁部の一部７２ａは、被覆板７３の裏面７３ａの傾斜に対応して傾斜した傾斜面とされている。

【0042】

次に、上述したように構成されたフォーマ容器１を使用する場合について説明する。
はじめに、図１に示すように、押下ヘッド４を押下する前の待機状態では、ステム１０の当接部６２に、空気用ピストン１３における内筒５１の下端が当接し、且つ押下ヘッド４における装着筒部３０の内面と内筒５１の上側摺接部５１ａの上端縁との間に隙間Ｓが形成されている。

【0043】

次に、図６に示すように、押下ヘッド４を押し下げ操作すると、装着筒部３０が下降するので、それに追従して、発泡部材１７、ステム１０、液用ピストン１５が下方移動すると共に、コイルスプリング６６が上下方向に圧縮変形されつつ下方に移動する。
このとき、空気用ピストン１３は移動せず、この空気用ピストン１３における内筒５１の下端とステム１０における当接部６２との間に隙間が形成される。また、空気用ピストン１３における内筒５１の上端縁と装着筒部３０の内面との間の隙間Ｓが小さくなる。これにより、空気通路８を通した空気用シリンダ１４内と気液混合室Ｒ１内とが連通する。

【0044】

さらに、液用ピストン１５の下方への移動に伴い、弁部材６５の下部弁体も下方に移動する。そして、この下部弁体が液用シリンダ１６の下端開口部に着座して閉塞すると、図６に示すように、液用ピストン１５の上端部が弁部材６５の上部弁体６５ａから下方に離反し、液用シリンダ１６とステム１０内とが連通する。

【0045】

そして、さらに押下ヘッド４を押し下げ操作すると、空気用ピストン１３も、ピストン用弁体５４が空気孔５２を閉塞したままの状態で下方に移動する。これにより、空気用シリンダ１４内において空気用ピストン１３の下方に位置する下室内の空気が圧縮される。これにより、下室内の空気が、空気用ピストン１３における内筒５１の下端とステム１０の当接部６２との間の隙間から空気通路８内に流入して気液混合室Ｒ１に移送される。

【0046】

さらにこの際、弁部材６５の下部弁体が液用シリンダ１６の下端開口部を閉塞した状態で、液用ピストン１５が下方移動するので、液用シリンダ１６内の内容液が上昇してステム１０内に到達する。そして、液用シリンダ１６内の液圧を、ステム１０の弁座６０に着座している液吐出弁６１に作用させてこの液吐出弁６１を弁座６０から離反させる。これにより、液用シリンダ１６内の内容液を気液混合室Ｒ１内に移送することができる。

【0047】

以上のことから、気液混合室Ｒ１内で内容液及び空気を合流させて気液混合体にすることができる。すると気液混合体は、小径部４０ｂから発泡部材１７の内部に流れ込んで発泡すると共に、２つの発泡エレメント４１のメッシュ部材４１ｂを通過することで所定の泡状となる。

【0048】

そして、泡状となった内容液は、押下ヘッド４のノズル孔３２ａを通過して延長部材５の内部に流れ、吐出口６に達する。これにより、泡状の内容液を、ノズル部材７の２つの吐出孔７２を通じて外部に吐出することができる。

【0049】

このとき、２つの吐出孔７２は、それぞれの開口した部分Ｐが部分的に対向し合うように配置されている。これにより、各吐出孔７２から外部に吐出された泡状の内容液は、吐出後に、徐々に混じり合いながら、次第にその範囲を広げていき、最終的に全体が渦を巻くように混じり合う。

【0050】

具体的には、図２に示すように、各吐出孔７２から外部に吐出された泡状の内容液は、互いに接触（干渉）することなく第１方向Ｌ１に吐出する流れＲ１と、互いに接触（干渉）し合うことで第２方向Ｌ２側に吐出方向が変化した流れＲ２と、に主に分かれる。これにより、各吐出孔７２から外部に吐出された泡状の内容液は、互いに混じり合いながら、流れＲ２の影響を受けてノズル軸Ｏ１回りに渦を巻くように吐出される。

【0051】

その結果、各吐出孔７２から吐出した泡状の内容液を、例えば螺旋状に混じり合わせながら下方に向けて吐出することができる。これにより、泡の状態を変更でき、内容液をクリーミーな泡状にすることができる。そのため、より見た目がきれいな泡状にして内容液を吐出することができる。
特に、吐出口６に達した泡状の内容液を、傾斜した被覆板７３の裏面７３ａを利用してスムーズに各吐出孔７２に案内できるので、泡を潰すことなく吐出孔７２から勢いよく泡状の内容液を吐出できる。従って、各吐出孔７２からの泡状の内容液を、より確実に螺旋状に混じり合わせることができる。
しかも、外周縁部の一部７２ａが被覆板７３の裏面７３ａの傾斜に対応して傾斜しているので、被覆板７３の裏面７３ａとの相乗効果を期待でき、吐出口６に達した泡状の内容液をよりスムーズに各吐出孔７２に案内して、外部に吐出させることができる。

【0052】

なお、吐出終了後、図７に示すように、押下ヘッド４の押し下げを解除すると、コイルスプリング６６の弾性復元力により押下ヘッド４、ステム１０、このステム１０に連係された空気用ピストン１３及び液用ピストン１５が上方付勢状態に戻ることになる。詳細には、ステム１０の上昇により、空気用ピストン１３における内筒５１の下端部が、当接部６２に当接（着座）し、空気用ピストン１３がステム１０と共に上昇する。この際、空気用シリンダ１４の内部の体積が膨張することで負圧が生じるので、ピストン用弁体５４が開き、空気孔５２を通じて空気用シリンダ１４内に空気が引き込まれる。
これにより、次回の吐出動作に備えることができる。

【0053】

以上説明したように、本実施形態のフォーマ容器１によれば、ノズル部材７を備えているので、泡の状態を変更することができ、より見た目のきれいな泡状で内容液を吐出することができる。
なお、内容液としては、特に限定されるものではないが、例えば調味料等の食品や、石鹸等が挙げられる。

【0054】

また、例えば吐出孔７２の数や各吐出孔７２の開口形状が異なるノズル部材７を複数用意し、必要に応じてノズル部材７を吐出口６に付け替えることで、吐出口６から先の段階で、内容液の泡の状態を容易に変更することも可能である。

【0055】

なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。

【0056】

例えば、上記実施形態では、ポンプフォーマ式のフォーマ容器１にノズル部材７を適用した場合を例に挙げて説明したが、ポンプタイプに限定されるものではなく、スクイズフォーマ式のフォーマ容器に適用しても構わない。さらには、フォーマ容器１に限定されるものではなく、例えばスクイズ容器やチューブ容器の吐出口にノズル部材７を適用しても構わない。
いずれにしても、泡状の内容液が吐出される吐出口であれば、製品の用途や種類に限定されることなく、ノズル部材７を幅広く適用して構わない。

【0057】

また、延長部材５は必須なものではなく、例えばノズル筒部３２のノズル孔３２ａを吐出口として、このノズル孔３２ａに直接ノズル部材７を装着しても構わない。但し、この場合にはノズル孔３２ａが下向きとなるように、ノズル筒部３２の先端側を下方に向けて湾曲することが好ましい。このようにすることで、重力方向に逆らうことなく泡状の内容液を吐出できるので、各吐出孔７２から吐出された泡状の内容液を、適切に螺旋状に混じり合わせながら吐出することができる。

【0058】

また、上記実施形態では、吐出孔７２の数を２つとしたが、３つ以上としても構わない。また、吐出孔７２の形状は平面視長方形状に限定されるものではない。また、吐出孔７２は、蓋板７０の表面に沿う方向にのみ開口させ、蓋板７０の表面に直交する方向に対しては閉じていても構わない。

【0059】

さらに、被覆板７３の全体を傾斜するように形成したが、フラットに形成しても構わない。
例えば、図８及び図９に示すように、蓋板７０の表面（下面）に対してフラットとなるように被覆板８１を形成したノズル部材８０としても良い。この場合、被覆板８１における吐出口６側を向く裏面８１ａは、開口した部分Ｐに向かうにしたがって、吐出口６から漸次下方に離間するように第１方向Ｌ１に沿って傾斜している。
従って、このように構成されたノズル部材８０であっても、上記実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。それに加え、外部に露出する蓋板７０の表面が凹凸のないフラット面となるので、吐出された泡状の内容液が付着して固化する不具合が生じ難いうえ、容易に清浄し易くなる。

【0060】

また、蓋板７０の表面をフラットにする場合、図１０に示すように、３つの吐出孔７２を配置することも可能である。この場合、各吐出孔７２の開口した部分Ｐを、図示のように部分的に対向し合うように配置すれば良い。

【符号の説明】

【0061】

Ｐ…開口した部分
Ｐ１…開口した部分のうち吐出孔の外周縁部に沿って延びる方向の端部に位置する部分
２…容器本体
６…吐出口
７、８０…ノズル部材
７０…蓋板
７２…吐出孔
７２ａ…吐出孔の外周縁部の一部
７３、８１…被覆板

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】