(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記左右マイクロホンの少なくとも一部が上下方向に重なって配置されたときに、前記左右マイクロホンの互いの収音面が、垂直方向の同一軸線上で交差する、請求項1に記載のステレオ録音用マイクロホンユニット。
垂直方向の基準位置を仮定し、前記左右マイクロホンの前記垂直方向の位置が、前記基準位置にあるときを収納状態と定義し、また、前記左右マイクロホンの前記垂直方向の位置が、前記基準位置よりも上にあるときを展開状態と定義した場合において、
前記出没機構が、
前記収納状態のときに、前記左右マイクロホンの前記垂直方向の位置を同じにし、
前記展開状態のときに、前記左右マイクロホンの前記垂直方向の位置を異ならせる
ように構成される、請求項1〜3のいずれか1項に記載のステレオ録音用マイクロホンユニット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
<第1の問題点>
上述した従来の録音機器は、いずれも左右マイクロホンを逆V字形の配置にしたときの録音品質が低いという問題があった。特許文献1〜4に示されるように、従来の録音機器は、左右マイクロホンを、同一平面上で逆V字形に配置するだけの構成であったために、XY方式の高い録音品質を実現することができない。XY方式の高い録音品質を実現するためには、第1に、左右マイクロホンが垂直方向の異なる位置に配置されなければならず、第2に、左右マイクロホンが上下方向に重なって配置されなければならない。従来の録音機器における逆V字形の配置は、XY方式に必要な2つの構成が欠如しており、厳密な意味で真のXY方式の配置とは言えない。このため、従来の逆V字形の配置では、録音された音の遠近方向の配置関係が十分に表現されない。また、従来の逆V字形の配置では、正面からの音を十分に録音することができない。つまり、従来の録音機器では、XY方式のメリットが得られない。
【0006】
<第2の問題点>
本出願人は、左右マイクロホンを筐体に収納可能としたビデオレコーダを製造・販売している。このビデオレコーダは、「Q4」の商品名で市場に流通されている。本出願人の「Q4」では、録音するときに左右マイクロホンが展開状態となり、また、録音しないときに左右マイクロホンが収納状態となる。「Q4」の左右マイクロホンは、逆V字形に配置され、かつ垂直方向の異なる位置に配置される。「Q4」の左右マイクロホンは、展開状態のときに真のXY方式の配置となり、高い録音品質が得られる。しかし、収納状態のときには、左右のマイクロホンがV字形、逆V字形又は平行のいずれの配置でもなく、録音品質が低下してしまう問題があった。このため、ユーザが、左右マイクロホンの展開操作を怠ってしまい、収納状態のままで録音してしまった場合には、録音品質が低下してしまう。
【0007】
本発明は、以下の技術的効果を奏するステレオ録音用マイクロホンユニットを提供することを目的とする。
−左右マイクロホンの配置を真のXY方式と他の方式とに切り替え可能とすること
−左右マイクロホンを真のXY方式の配置にしたときに高い録音品質が得られること
−左右マイクロホンが筐体に収納された状態であっても良好な録音品質が得られること
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記目的を達成するために、本発明のステレオ録音用マイクロホンユニットは、左右一組の単一指向性を有するマイクロホンと、前記左右マイクロホンのそれぞれに結合された出没機構と、を含むステレオ録音用マイクロホンユニットであって、
前記出没機構が、
−前記左右マイクロホンのそれぞれの水平方向の角度及び垂直方向の位置の変更を可能とし、
−前記左右マイクロホンの前記水平方向の角度が、互いの収音軸が交差する角度となったときに、前記左右マイクロホンの前記垂直方向の位置を異ならせ、これにより、前記左右マイクロホンの少なくとも一部が上下方向に重なって配置され、
−前記左右マイクロホンの前記水平方向の角度が、互いの収音軸が交差しない角度になったときに、前記左右マイクロホンの前記垂直方向の位置を同じにする、
ように構成される。
【0009】
(2)好ましくは、上記(1)のステレオ録音用マイクロホンユニットにおいて、前記左右マイクロホンの少なくとも一部が上下方向に重なって配置されたときに、前記左右マイクロホンの互いの収音面が、垂直方向の同一軸線上で交差する。
【0010】
(3)好ましくは、上記(1)又は(2)のステレオ録音用マイクロホンユニットにおいて、交差する各収音軸の間の角度が、約90〜135°の範囲である。
【0011】
(4)好ましくは、上記(1)〜(3)のいずれかのステレオ録音用マイクロホンユニットにおいて、垂直方向の基準位置を仮定し、前記左右マイクロホンの前記垂直方向の位置が、前記基準位置にあるときを収納状態と定義し、また、前記左右マイクロホンの前記垂直方向の位置が、前記基準位置よりも上にあるときを展開状態と定義した場合において、前記出没機構が、前記収納状態のときに、前記左右マイクロホンの前記垂直方向の位置を同じにし、前記展開状態のときに、前記左右マイクロホンの前記垂直方向の位置を異ならせるように構成される。
【0012】
(5)好ましくは、上記(1)〜(4)のいずれかのステレオ録音用マイクロホンユニットにおいて、前記出没機構が、
−前記左右のマイクロホンのそれぞれに結合された垂直方向に延びる一対のシャフトと、
−各シャフトの壁面、又は各シャフトを包囲する他の部材の壁面に設けられた一対のガイド溝と、
−各ガイド溝に係止される一対のガイド突起と、を含み、
前記ガイド溝の少なくとも一部が、前記シャフトの回動と上下動とを相互に変換するように傾斜して構成される。
【0013】
(6)好ましくは、上記(5)のステレオ録音用マイクロホンユニットにおいて、前記出没機構が、少なくとも各シャフトを上下動させる昇降機構を、さらに含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明のステレオ録音用マイクロホンユニットは、下記の技術的効果を奏する。
【0015】
第1に、出没機構は、左右マイクロホンの配置を、真のXY方式と他の方式とに切り替え可能とする。すなわち、出没機構は、左右マイクロホンの水平方向の角度が、互いの収音軸が交差する角度となったときに、左右マイクロホンの垂直方向の位置を異ならせる。このとき、左右マイクロホンの少なくとも一部が上下方向に重なって配置される。これにより、左右マイクロホンの配置が、真のXY方式となる。一方、出没機構は、左右マイクロホンの水平方向の角度が、互いの収音軸が交差しない角度になったときに、左右マイクロホンの垂直方向の位置を同じにする。このとき、左右マイクロホンが、V字形又は平行に配置されることで、XY方式以外の他の方式の配置が実現される。
【0016】
第2に、左右マイクロホンは、真のXY方式の配置となったときに、高い録音品質を提供する。すなわち、左右マイクロホンは、真のXY方式の配置となったときに、垂直方向の位置が異なり、かつ少なくとも一部が上下方向に重なって配置される。これにより、録音された音の配置関係が、左右方向に加えて遠近方向にも表現される。また、正面からの音を良好に録音することが可能となる。
【0017】
第3に、左右マイクロホンは、筐体に収納された状態であっても、良好な録音品質を提供する。すなわち、左右マイクロホンは、筐体から展開された状態のときに、真のXY方式の配置になる。一方、左右マイクロホンは、筐体に収納された状態のときに、他の方式の配置になる。したがって、左右マイクロホンは、収納状態及び展開状態の両方で、異なる方式に基づく良好な録音品質を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態に係るステレオ録音用マイクロホンユニットを備えたビデオレコーダについて、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
なお、本発明は、以下に説明する実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、本発明のステレオ録音用マイクロホンユニットは、ビデオレコーダに限らず、音声レコーダや外付けマイクロホンに適用することができる。また、以下の説明において、ステレオ録音用マイクロホンユニットは、単に「マイクロホンユニット」と省略する。
【0021】
<ビデオレコーダの全体構成>
図1(a)〜(d)に示すように、本実施形態のビデオレコーダ100は、片手に収まる程のコンパクトな筐体101を有する。筐体101の正面には、画像を撮影するためのレンズ102が設けられる。筐体101の右側面には、バリアブルアングルに構成された表示部103が取り付けられる。筐体101の上面には、操作部104が設けられる。操作部104には、例えば、電源スイッチ104a、録画スイッチ104b及びインプットボリュームダイヤル104cが含まれる。筐体101の背面には、複数の端子孔が配置される。ビデオレコーダ100に必要な端子孔として、HDMI端子孔105a、USB端子孔105b、外部入力端子孔105c及びヘッドホン端子孔105dが例示される。
【0022】
筐体101の後方には、本実施形態のマイクロホンユニット1が設けられる。マイクロホンユニット1は、左マイクロホン10及び右マイクロホン20を備える。左右マイクロホン10、20の正面は、多数の孔が形成された収音面10A、20Aになっている。また、マイクロホンユニット1の内部には、後述する出没機構30及び昇降機構40(
図6及び
図7を参照)が設けられる。左右マイクロホン10、20は、出没機構30及び昇降機構40により、筐体101の上面に対して、出没可能な構成となっている。すなわち、左右マイクロホン10、20は、筐体101の上面に対して、収納状態又は展開状態となる。
【0023】
ここで、本実施形態における「収納状態」及び「展開状態」の用語は、筐体101の上面を基準に定義される。収納状態とは、左右マイクロホン10、20の垂直方向の位置が、筐体101の上面にあるときの状態を意味する。一方、展開状態とは、左右マイクロホン10、20の垂直方向の位置が、筐体101の上面よりも上にあるときの状態を意味する。筐体101の上面には、後述する凹部101a、101aが含まれる。本実施形態のマイクロホンユニット1は、左右マイクロホン10、20を収納状態、第1の展開状態、及び第2の展開状態の3つの態様にすることができる。
【0024】
<収納状態>
図1(a)〜(d)は、左右マイクロホン10、20の収納状態を示す。本実施形態の左右マイクロホン10、20は、収納状態においてV字形に配置される。V字形に配置された左右マイクロホン10、20は、互いの収音軸の間の角度が約60〜120°となる。ここで、「収音軸」とは、一般に、マイクロホンに内蔵された振動板の表面から直角方向に延びる仮想的な軸線をいう。振動板は、音を受けて振動し、この振動を電気変換系に伝える。
図5(a)、(b)に、左右マイクロホン10、20の収音軸AXを示す。左右マイクロホン10、20の内部には、後述するマイクカプセル12、21が設けられる。各マイクカプセル12、21は、それぞれ図示しない振動板を備える。この振動板の表面から直角方向に延びる仮想的な軸線が、収音軸AX1である。
【0025】
本実施形態の筐体101の上面には、V字形に配置された左右マイクロホン10、20の形状に対応する2つの凹部101a、101aが形成される。左右マイクロホン10、20は、収納状態となったときに、筐体101の上面の2つの凹部101a、101aに収納される。
【0026】
<第1の展開状態>
本実施形態のマイクロホンユニット1は、後述する昇降機構40を備える。この昇降機構40は、左右マイクロホン10、20の両方を一緒に上下動させるように構成される。
図1(d)に示す筐体101の背面板105には、昇降機構40の一部の構成要素であるスライド溝41と、スライダー42とが設けられる。スライダー42は、スライド溝42に沿って上下方向に移動可能となっている。スライダー42が移動されたときの直線運動は、左右マイクロホン10、20の両方に伝達される。
【0027】
図1(d)に示すスライダー42が、スライド溝41に沿って上方に移動されると、左右マイクロホン10、20は、
図2(a)〜(d)に示す第1の展開状態となる。本実施形態の左右マイクロホン10、20は、V字形に配置されたまま、収納状態から第1の展開状態となる。左右マイクロホン10、20は、出没機構30を構成する左右シャフト31、32にそれぞれ結合される。左右シャフト31、32は、垂直方向に平行に配置される。左右シャフト31、32は、その長手方向に延びる軸を中心に回転可能な構成となっている。左右マイクロホン10、20は、左右シャフト31、32とともに、水平方向に回転することが可能である。
【0028】
<第2の展開状態>
上述したように、本実施形態のマイクロホンユニット1は、後述する出没機構30を備える。この出没機構30は、左右シャフト31、32の回転運動を直線運動に変換するように構成される。出没機構30は、左右シャフト31、32が水平方向に回転されると、左右シャフト31、32を垂直方向に移動させる。このような構成により、左右シャフト31、32のそれぞれに結合された左右マイクロホン10、20は、水平方向に回転されると、垂直方向に移動する。さらに、本実施形態の出没機構30は、左右マイクロホン10、20の水平方向の角度が、互いの収音軸AX1が交差する角度となったときに、左右マイクロホン10、20の垂直方向の位置を異ならせるように構成される。
【0029】
図2(a)〜(d)に示す第1の展開状態において、左右マイクロホン10、20は、水平方向に回転され、逆V字形に配置されると、
図3(a)〜(d)に示す第2の展開状態となる。左右マイクロホン10、20が逆V字形に配置されると、互いの収音軸AX1は、所定の角度で交差する。各収音軸AX1の交差角度は、例えば、約90〜135°の範囲内である。さらに、第2の展開状態において、左右マイクロホン10、20は、互いの正面側の部分が上下方向に重なって配置される。このとき、左右マイクロホン10、20の互いの収音面10A、20Aが、垂直方向の同一軸線(
図4の軸線AX2を参照)上で交差する。この結果、左右マイクロホン10、20は、第2の展開状態になったときに、真のXY方式に必要な配置に関する条件を全て満たす。
【0030】
<左右マイクロホンの出没動作>
図4は、収納状態、第1の展開状態及び第2の展開状態における左右マイクロホン10、20を示す。以下、
図4に示す左右マイクロホン10、20の直径を「R」と仮定して、左右マイクロホン10、20の出没動作について説明する。なお、
図4に「R」を用いて示された左右マイクロホン10、20の移動量は、あくまで説明のための例示である。本発明のマイクロホンユニットは、
図4に例示した移動量に限定されない。
【0031】
収納状態と第1の展開状態との切り替えは、後述する昇降機構40によって行われる。昇降機構40は、左右マイクロホン10、20の両方を一緒に上下動させる。
図4に示されるように、左右マイクロホン10、20の両方は、収納状態から第1の展開状態になるときに、それぞれ上方に2Rの量を移動する。昇降機構40は、左右マイクロホン10、20の水平方向の角度を変更しない。したがって、左右マイクロホン10、20は、V字形の配置のままで、収納状態から第1の展開状態になる。上記とは逆に、左右マイクロホン10、20の両方は、第1の展開状態から収納状態になるときに、それぞれ下方に2Rの量を移動する。
【0032】
次に、第1の展開状態と第2の展開状態との切り替えは、後述する出没機構30によって行われる。出没機構30は、左右マイクロホン10、20の水平方向の角度に応じて、これら左右マイクロホン10、20を個別に上下動させる。
図4に示されるように、左マイクロホン10は、第1の展開状態から第2の展開状態になるときに、下方に1/2Rの量を移動する。一方、右マイクロホン20は、第1の展開状態から第2の展開状態になるときに、上方に1/2Rの量を移動する。これにより、左右マイクロホン10、20は、垂直方向にRの量だけ異なる位置で、逆V字形に配置される。このとき、互いの収音面10A、20Aは、垂直方向の同一軸線AX2上で交差する。なお、
図4に示されないが、実際は、第2の展開状態となった左右マイクロホン10、20の間に、微小なクリアランスが確保される。
【0033】
<左右マイクロホン>
図5(a)、(b)に示されるように、本実施形態の左右マイクロホン10、20は、同一の構成となっている。左右マイクロホン10、20は、円筒形のケース11、21を備える。ケース11、21内には、単一指向性のマイクカプセル12、22が収納される。上述したように、ケース11、21の正面は、多数の孔が形成された収音面10A、20Aとなっている。
【0034】
マイクカプセル12、22は、収音面10A、20Aの背後に配置される。マイクカプセル12、22内には、図示しない振動板と電界効果トランジスタ(FET)とが収納される。マイクカプセル12、22の正面には、振動板が配置される。マイクカプセル12、22の背面には、FETのソース、ドレイン、GNDに対応する3つの電極が設けられる。ここで、本実施形態のマイクカプセル12、22は、音質に優れる3線式を採用している。このため、FETの3つの電極には、それぞれリード線13、23が接続される。各リード線13、23は、左右シャフト31、32内を通過して、ビデオレコーダ100の図示しない左右の音声入力部に接続される。
【0035】
マイクカプセル12、22の振動板は、収音面10A、20Aを通過した音を受けて振動する。振動板の振動は、FETによって電気信号に変換され、ソースのリード線13、23を介して、ビデオレコーダ100の左右の音声入力部に入力される。
【0036】
<出没機構>
本実施形態の出没機構30は、
図5(a)、(b)及び
図6(a)〜(d)に示される。出没機構30は、左右マイクロホン10、20を個別に上下動させるために、左右シャフト31、32と、4つのガイド突起31a、32aと、2つのシャフトカバー33と、及び4つのガイド溝33aを含む。
【0037】
図5(a)、(b)において、左右シャフト31、32は、いずれも金属製のパイプからなる。左シャフト31の側面の中央よりも下方には、2つのガイド突起31a、31aが設けられる。本実施形態のガイド突起31a、31aは、1本の金属製のピンの両端部によって構成される。この金属製のピンは、左シャフト31の側面を水平に貫通する。したがって、2つのガイド突起31a、31aは、左シャフト31の側面における垂直方向の同じ位置に設けられる。これと同様に、右シャフト32の側面の下方にも、2つのガイド突起32a、32aが設けられる。ガイド突起32a、32aも、右シャフト32の側面を水平に貫通する、1本の金属製のピンの両端部によって構成される。
【0038】
ここで、左右のガイド突起31a、32aは、互いの垂直方向の位置が異なる。
図4の例示に従うと、左右のガイド突起31a、32aの位置は、互いに垂直方向に1/2Rの量だけ異なる。
【0039】
図6(a)に示されるように、左右シャフト31、32の側面のうち、ガイド突起31a、32aが設けられている部分は、シャフトカバー33、33によって覆われる。左右のシャフトカバー33、33は、全く同一の構成となっている。
【0040】
シャフトカバー33は、左右シャフト31、32よりも大きい直径の円筒形の壁部によって構成される。この壁部には、一対のガイド溝33a、33aが対向して設けられる。一対のガイド溝33a、33aは、全く同一の形状を有する。ガイド溝33aの主要な部分は、円筒形の壁部に沿って上下方向に延びる傾斜溝からなる。この傾斜溝の上端及び下端は、水平方向に延びる短い溝にそれぞれ連続する。
図4の例示に従うと、ガイド溝33aの上端と下端とは、垂直方向に1/2Rの量の高低差を有する。
【0041】
一対のガイド溝33a、33aには、2つのガイド突起31a、31a又は32a、32aがそれぞれ係止される。また、シャフトカバー33は、その壁部に設けられた連結凸部33bによって、後述する昇降機構40に固定される。このような構成により、各ガイド突起31a、32aは、左右シャフト31、32の回転に伴って、ガイド溝33aに沿って上下方向に移動する。つまり、左右シャフト31、32の回転運動は、上下方向の直線運動に変換される。
【0042】
ここで、
図6(a)は、上述した収納状態及び第1の展開状態、すなわち、左右マイクロホン10、20がV字形に配置されたときの状態を示す。左右マイクロホン10、20は、以下に述べる構成により、V字形から逆V字形の配置に切り替わる。
【0043】
図6(a)において、左シャフト31のガイド突起31aは、ガイド溝33aの上端に位置する。このため、左シャフト31は、ガイド溝33aに従って、図中の時計回りにのみ回転することが可能である。時計回りに回転した左シャフト31は、ガイド溝33aの高低差である1/2Rの量だけ下方に移動する。
【0044】
一方、
図6(a)において、右シャフト32のガイド突起32aは、ガイド溝33aの下端に位置する。このため、右シャフト32は、図中の反時計回りにのみ回転することが可能である。反時計回りに回転した右シャフト32は、ガイド溝33aの高低差である1/2Rの量だけ上方に移動する。
【0045】
上述した構成により、左右マイクロホン10、20は、垂直方向にRの量だけ異なる位置で、逆V字形に配置される(
図4(b)を参照)。
【0046】
ここで、
図6(b)〜(d)に示されるように、本実施形態の出没機構30は、左右マイクロホン10、20の配置を検出するための左右のスイッチ34、34を含む。左右のスイッチ34、34は、全く同一の構成であるが、シャフトカバー33のガイド溝33aに対する配置が異なる。左シャフト31に対応するスイッチ34は、ガイド溝33aの下端近傍に配置される。右シャフト32に対応するスイッチ34は、ガイド溝33aの上端近傍に配置される。左右マイクロホン10、20が逆V字形に配置されたときに、左右のガイド突起31a、32aが、2つのスイッチ34、34をONにする(
図6(d)を参照)。
【0047】
ビデオレコーダ100に内蔵された演算処理装置は、2つのスイッチ34、34の両方がONになった場合、左右マイクロホン10、20の左右の音声入力を入れ替える。すなわち、演算処理装置は、左右マイクロホン10、20が逆V字形に配置されたときに、左マイクロホン10からの信号を右の音声入力として処理し、また、右マイクロホン20からの信号を左の音声入力として処理する。
【0048】
<昇降機構>
本実施形態のマイクロホンユニット1は、
図7(a)〜(d)に示される昇降機構40を備える。昇降機構40は、スライド溝41、スライダー42及び昇降板43を含む。これらの昇降機構10の構成要素は、筐体101の背面板105に設けられる。
【0049】
スライド溝41は、背面板105の上下方向に形成された直線状の溝である。スライダー42は、背面板105の表側からスライド溝41に摺動可能に取り付けられる。スライダー42は、背面板105の裏側に配置された昇降板43に結合される。昇降板43は、一対の連結凹部43a、43aを有する。連結凹部43a、43aには、出没機構30を構成する2つのシャフトカバー33、33の連結凸部33b、33bが固定される。
【0050】
図4の例示に従うと、スライド溝41は、スライダー42の垂直方向の長さに2Rを加えた長さになっている。スライダー42は、スライド溝41に沿って、上下方向に2Rの量を移動することが可能である。昇降板43は、スライダー42の移動に伴って上下方向に2Rの量を移動する。昇降板43に取り付けられた左右シャフト31、32も、スライダー42の移動に伴って上下方向に2Rの量を移動する。このような構成からなる昇降機構40により、左右マイクロホン10、20を収納状態又は第1の展開状態に切り替えることが可能となる。
【0051】
<技術的効果>
上述した本実施形態のマイクロホンユニット1は、下記の技術的効果を奏する。
【0052】
第1に、出没機構30は、左右マイクロホン10、20を、真のXY方式としての逆V字形の配置と、V字形の配置とに切り替え可能とする。すなわち、出没機構30は、左右マイクロホン10、20が逆V字形に配置されたときに、左右マイクロホン10、20の垂直方向の位置を異ならせる。このとき、左右マイクロホン10、20の正面側の部分が上下方向に重なって配置され、かつ互いの収音面10A、20Aが垂直方向の同一軸線AX2上で交差する。これにより、左右マイクロホン10、20の配置が、真のXY方式となる。一方、出没機構30は、左右マイクロホン10、20がV字形に配置されたときに、左右マイクロホン10、20の垂直方向の位置を同じにする。このように、本実施形態のマイクロホンユニット1は、真のXY方式としての逆V字形の配置と、V字形の配置との両方を成立させることができる。
【0053】
第2に、左右マイクロホン10、20は、真のXY方式の配置となったときに、高い録音品質を提供する。すなわち、左右マイクロホン10、20は、逆V字形の配置となったときに、垂直方向の位置が異なり、かつ互いの収音面10A、20Aが垂直方向の同一軸線AX2上で交差する。これにより、録音された音の配置関係が、左右方向に加えて遠近方向にも表現される。また、正面からの音を良好に録音することが可能となる。
【0054】
第3に、左右マイクロホン10、20は、筐体101に収納された状態であっても、良好な録音品質を提供する。すなわち、左右マイクロホン10、20は、筐体101から展開された状態のときに、真のXY方式の配置になる。一方、左右マイクロホン10、20は、筐体101に収納された状態のときに、V字形の配置になる。したがって、左右マイクロホン10、20は、収納状態及び展開状態の両方で、異なる方式に基づく良好な録音品質を提供する。
【0055】
なお、本発明のマイクロホンユニットは、上述した実施形態に限定されず、種々の構成の変更が可能である。例えば、左右マイクロホンの収納状態のときの配置は、V字形の配置に限定されない。例えば、左右マイクロホンは、収納状態のときに平行に配置されるような構成であってもよい。また、出没機構及び昇降機構は、図面に示した構成に限定されない。さらに、本発明のマイクロホンユニットは、ビデオレコーダーに限らず、例えば、音声レコーダ又は外付けマイクロホンなどに適用することができる。