特許第6389870号(P6389870)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6389870流体試料の収集用装置、装置を受けるレセプタクル、流体試料の収集用アセンブリ、及び流体試料を収集する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6389870
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】流体試料の収集用装置、装置を受けるレセプタクル、流体試料の収集用アセンブリ、及び流体試料を収集する方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/10 20060101AFI20180903BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
   G01N1/10 V
   G01N1/10 N
   G01N1/00 101K
【請求項の数】17
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-506297(P2016-506297)
(86)(22)【出願日】2014年4月4日
(65)【公表番号】特表2016-514843(P2016-514843A)
(43)【公表日】2016年5月23日
(86)【国際出願番号】SG2014000153
(87)【国際公開番号】WO2014163588
(87)【国際公開日】20141009
【審査請求日】2017年3月24日
(31)【優先権主張番号】61/809,070
(32)【優先日】2013年4月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【弁理士】
【氏名又は名称】籾井 孝文
(72)【発明者】
【氏名】シュウ, ジャンション
(72)【発明者】
【氏名】ボーラ, ビピン セワクラム
(72)【発明者】
【氏名】シエ, ホン
(72)【発明者】
【氏名】チョン, ペイニ
(72)【発明者】
【氏名】ビ, シンイエン
【審査官】 高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−526807(JP,A)
【文献】 特表2010−525330(JP,A)
【文献】 特開昭52−053491(JP,A)
【文献】 特開平02−100666(JP,A)
【文献】 特開平02−190738(JP,A)
【文献】 米国特許第07915032(US,B2)
【文献】 米国特許第07282181(US,B2)
【文献】 特開2005−017281(JP,A)
【文献】 特開平05−187976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00− 1/34
B01L 3/00
A61B 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体試料の収集用装置であって、該装置は、
収集スティックと、
前記収集スティックに配置される吸収材と、
前記収集スティックに配置され、力を加えられながら前記吸収材を圧縮する圧縮機構であって、該圧縮機構は、前記収集スティックの非吸収性の先端部を有し、該先端部は、力を加えられながら前記吸収材を圧縮するように可動である、圧縮機構と、
前記吸収材に対するカバーと、
を備える、装置。
【請求項2】
前記先端部は剛性である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記カバーは前記収集スティック上に支持される、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記カバーは、前記吸収材との流体連通用の1つ又は複数の開口を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記先端部を前記カバーに連結する係止機構を更に備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記係止機構は一方向性であり、前記吸収材を圧縮するように第1の方向に所定の距離だけ動く際、前記先端部が前記第1の方向とは反対の方向の動きに抗して係止されるようになっている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記係止機構は、前記先端部が前記第1の方向に前記所定の距離を超えて動くことを制限するように構成されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記先端部と前記吸収材とは、略同じ断面寸法を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記装置がレセプタクルに完全に挿入されていることを示すスナップ機構部材を備える、請求項1〜8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
レセプタクル内での前記装置の正しい位置合わせを示す位置合わせ部材を備える、請求項1〜9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記収集スティックは、前記吸収材内に少なくとも部分的に延在する付勢部材を備える、請求項1〜10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
流体試料の収集用装置のレセプタクルであって、該レセプタクルは、
前記装置を受けるチャネルであって、該チャネルは、前記装置の非吸収性の先端部に当接する壁を有し、前記先端部は、該チャネルの前記壁によって力を加えられながら吸収材を圧縮するように可動であり、該チャネルの前記壁は、該チャネルが前記装置を受ける間、圧縮機構に力を加えるように配置されている、チャネルと、
前記チャネルと流体連通し、前記圧縮された吸収材から出る流体をディスペンスするのに用いる、前記レセプタクルに形成されている開口と、
前記装置が該レセプタクルに完全に挿入されていることを示すとともに、前記吸収材の除圧を防止するスナップ機構部材と、
を備える、レセプタクル。
【請求項13】
前記レセプタクル内での前記装置の正しい位置合わせを示す位置合わせ部材を備える、請求項12に記載のレセプタクル。
【請求項14】
前記装置は、請求項1〜11のいずれか1項に記載の装置を含む、請求項12又は13に記載のレセプタクル。
【請求項15】
流体試料の収集用アセンブリであって、該アセンブリは、
収集スティックと、
前記収集スティックに配置される吸収材と、
前記収集スティックに配置され、力を加えられながら前記吸収材を圧縮する圧縮機構と、
前記吸収材に対するカバーと、
内部にチャネルが形成され、前記カバーを備える前記収集スティックを受けるレセプタクルと、
前記収集スティックを前記チャネルに受ける間、前記圧縮機構に力を加えるように配置される、前記チャネルの壁と、
前記チャネルと流体連通し、前記圧縮された吸収材から出る流体をディスペンスするのに用いる、前記レセプタクルに形成されている開口と、
を備え、前記圧縮機構は、前記収集スティックの非吸収性の先端部を有し、該先端部は、力を加えられながら前記吸収材を圧縮するように可動である、アセンブリ。
【請求項16】
前記チャネルは、前記収集スティックの前記非吸収性の先端部に当接する前記壁を有し、前記先端部は、前記チャネルの前記壁によって力を加えられながら前記吸収材を圧縮するように可動である、請求項15に記載のアセンブリ。
【請求項17】
流体試料を収集する方法であって、該方法は、
収集スティックに配置され、カバーが設けられた吸収材に流体を吸収させるステップと、
前記カバーを備える前記収集スティックを、レセプタクルに形成されているチャネルに受けるステップと、
前記チャネルに前記収集スティックを受ける間、前記吸収材を圧縮するステップと、
前記レセプタクルに形成されている開口を通して前記圧縮された吸収材から出る前記流体をディスペンスするステップと、
を含み、前記圧縮するステップは、前記収集スティックの非吸収性の先端部に力を加えることと、前記先端部を動かして、該先端部に力を加えながら前記吸収材を圧縮することとを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には、流体試料の収集用装置、装置を受けるレセプタクル、流体試料の収集用アセンブリ、及び流体試料を収集する方法に関する。1つの実施形態において、本発明は、流体試料を収集すること、濾過済み又は未濾過の流体をディスペンスチャネル上に抽出すること、及び、マイクロ流体チャネル構造部を介して流体を所定の場所に向けることに関する。
【背景技術】
【0002】
清浄で汚染のない方法での流体試料の収集及び送達が、多くの用途、例えば尿試料の収集、水試料の収集、又は血液試料の収集に向けて所望されている。
【0003】
そのような用途において、収集後、収集された流体試料をマイクロ流体チャネルの入口ポートに一元的にディスペンスすることが所望されている。
【0004】
いくつかの既存の技法には、ピペット及び使い捨てチップ、使い捨てシリンジ、又はポンプ及び弁を備えるマイクロ流体システムの使用が挙げられる。
【0005】
検知システム内の流体(例えば、水、尿、血液等)を収集する既存の方法には、主に、流体をカップに収集し、その後、そのカップにディップスティックを浸すか又はその液体を吸収材にディスペンスして、受動的な流体チャネルを通して流体を所定の検知領域に運び、定性測定を行うことが挙げられる。他の場合、例えば、化学検査ストリップを含む妊娠検査キットでは、排尿中に尿を直接検査ストリップに接触させ、検査キットに組み入れられた受動的なマイクロフルイディクスによって検知場所に運ぶ。
【0006】
既存の方法は、液体試料の溶液中の種々のホルモン又は他の分析物に対して定性測定を実行する測定システムとともに良好に機能することができる。しかし、液体試料が測定システム内の特定の場所に注入される(inserted)必要がある定性測定システムでは、収集された試料は、収集装置、例えば収集カップから、ピペットを用いて測定システムに移される。この手順は、熟練の専門家によってのみ行うことができるのが通常であり、訓練を受けていない使用者が家庭で用いる場合には零してしまう可能性が非常に高い。
【0007】
特許文献1は、試料中の対象の分析物の存在を比較的素早く検出する携帯型装置において用いられる試薬種を保持する高分子媒体を記載している。試料棒の端部に配置されている露出したスワブを用いて試料を収集し、試料棒をスワブとともにまずチャンバー内に挿入し、そこで、スワブ及びスワブの上に配置されたシールが突き破られ、試料棒のリザーバー内に貯留された試薬溶液を放出する。
【0008】
特許文献2は、検体試料の収集装置及び検査システムを記載している。持ち手の自由端部を形成している露出した吸収性パッドを用いて試料を収集し、持ち手をパッドとともにまず圧縮管に挿入し、そこでパッドが圧縮されて、圧縮管に形成されている出口を通して試料流体を収集することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第7,060,223号
【特許文献2】米国特許第8,025,851号
【発明の概要】
【0010】
本発明の実施形態は、当業者には、単に例示として、図面と併せて下記の記載からよりよく理解されるとともに容易に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態例に係る流体試料の収集用アセンブリの概略上面図である。
図2図1の流体試料の収集用アセンブリの一部の概略斜視図である。
図3】一実施形態例に係る流体試料の収集用装置の概略斜視図である。
図4】一実施形態例に従った、センサーレセプタクルへの図3の装置の挿入を示す概略上面図である。
図5】一実施形態例に従った、図4のレセプタクルへ挿入された図3の装置を示す概略正面図である。
図6】一実施形態例に係る流体試料の収集用アセンブリの使用中の流体の流れ方向を示す概略断面図である。
図7】一実施形態例に係る流体試料の収集用装置の概略上面図である。
図8】一実施形態例に従った、レセプタクルへの挿入時の図7の装置の先端部の動きを部分的に断面で示す概略上面図である。
図9】一実施形態例に従った、図7の装置の先端部がレセプタクルへ完全に挿入された際の係止を部分的に断面で示す概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態は、好適な吸収力を有する材料、例えば吸収性スポンジによって吸収することにより流体試料を収集すること、吸収材の体積をマイクロ流体チャネルの所定のポートに向かって圧縮することにより濾過済み又は未濾過の流体を抽出すること、及び、自身の弾力に起因して又は外部のばねの助けにより吸収性スポンジを圧縮することに関する。
【0013】
吸収材は、それ自体が、流体試料を濾過することができる、例えば、流体試料中に存在する有機体よりも著しく大きい物質を濾過する濾過機構としても機能する。
【0014】
吸収材から抽出される流体試料の量は、吸収材が受ける圧縮量及びそれに応じて吸収材が受ける体積変化によって制御することができることが好ましい。このディスペンスされる流体試料の量は、例えばスポンジにより押し出された流体試料を、能動的又は受動的なマイクロ流体作用によって所定の検知領域に移すマイクロ流体チャネルにとって重要であり得る。
【0015】
吸収材と出口ポートとの間の隙間を維持することによって、挿入チャネルを通る流体の逆流を好ましく防止するために、収集スティックの直径は、レセプタクルの受取りチャネルよりも小さくし、チャネルの直径に等しくなるように収集スティックの長さにわたって増大させることができる。この特徴は、スポンジに閉じ込められた/残っている空気を受容するのにも役立つことができ、マイクロ流体チャネル内の気泡の形成を防止することができる。
【0016】
図1は、一実施形態例に係る流体試料の収集用アセンブリ100の概略上面図を示している。実施形態例は、ここではカードセンサー104の形態の検知装置とともに用いることができる、ここでは収集スティック102の形態の試料の収集送達装置を備える。実施形態例では、試料収集スティック102は、流体の吸収が可能な物質、例えばスポンジ又は紙が組み込まれている領域(図1では隠れている、以下図3を比較のこと)を有する。収集スティック102の全体サイズは標準的なペンのサイズと同様であることが好ましく、吸収領域に流体を滴下するか、又は試料流体の入った容器に収集スティックの吸収領域を浸すことで、直接吸収材を濡らすことにより、試料を収集するのに利用することができる。
【0017】
流体の収集後、次に収集スティック102の全体が、吸収材を絞るように設計されているレセプタクル106に挿入され、吸収材内に閉じ込められた流体を抜き出して、抜き出された流体をレセプタクル106の出口ポート108に向ける。実施形態例によると、レセプタクル106はカードセンサー104に取り付けられ、レセプタクル106の出口ポート108はカードセンサー104のマイクロ流体入口ポート110と位置合わせされる。流体が吸収性スポンジから引き出されてカードセンサー104内のマイクロ流体チャネルの入口ポート110に入った後、流体は種々の検知領域(例えば、カードセンサー104上の112、114)に移る。
【0018】
マイクロ流体チャネル(例えば116)にディスペンスされる流体の容量は、特に、吸収材の吸収性、吸収材の表面対体積比、及びまた吸収材が受ける圧縮に左右される。所望のディスペンス容量は、吸収材のこれらのパラメーターのうちの1つ又は複数を制御することによって達成することができることが好ましい。例えば、吸収材として吸収性スポンジが使用される場合、ディスペンス容量を決定するパラメーターには、スポンジの空隙容積、吸収能力、及び保持能力が挙げられる。
【0019】
吸収材には、例えば、流体が吸収性スポンジに完全に染み渡っていない場合、空気が閉じ込められている場合がある。そのような場合、吸収性スポンジを絞った後、マイクロ流体チャネルにはいくらか気泡が入るかもしれない可能性があり得る。この潜在的な問題に好ましく対処するため、1つの実施形態において、収集スティック102は所定のテーパー付きセクションを有する。これは以下でより詳細に記載する。収集スティック102の直径は、レセプタクル106のチャネル118(図2を参照)よりも小さくし、チャネル118の直径に等しくなるように収集スティック102の長さにわたって増大することができる。これにより、吸収材が圧縮され、スティック102がレセプタクル106にスナップ留めされる場合、レセプタクル106の閉鎖端に向かう領域、すなわち、スティック102の直径がチャネル118の直径よりも小さい場所において、収集スティック102とチャネル118の壁との間の空間に空気を逃がすことができる。
【0020】
実施形態において、使用者が流体を零す可能性が低減され得ることが好ましく、また、この実施形態は、流体試料を収集すること及び収集された流体を測定システムのマイクロ流体チャネルに挿入することを可能にし得ることも好ましい。
【0021】
ここで図3を見ると、スティック102は、ここでは剛性先端部300の形態の非吸収性の先端部を有する。これにより、吸収材302が意図せず圧縮されることによる、例えば、チャネル118(図2)との位置ずれによりレセプタクルの壁に当接又は接触することによる、吸収された試料流体が零れることを低減又は排除することができることが有利である。
【0022】
先端部300は、吸収材302と断面寸法が略同じであることが有利である。実施形態例では、先端部300及び吸収材302は、隣接した円筒又は円盤である。したがって、挿入前又は挿入中にレセプタクルの壁に当接又は接触する結果として剛性先端部300に加わる力は、好ましくは分散し、壁が吸収材の一部に直接当接又は接触することにより生じる局所圧力に比べて、吸収材302にもたらされる圧力が低減される。このようなより高い局所圧力は、局所的な圧縮及び吸収された試料流体の望ましくない圧出をもたらし得る。
【0023】
流体試料を収集することに加えて、吸収材302は、流体試料を濾過するのに用いることもできることが好ましい。実施形態例では、吸収材302は、或る特定の規定の孔サイズを有するように設計し、この孔サイズよりも大きいサイズの粒子を取り除くことができる。このようにして、塵又は沈殿物等の巨視的粒子の形態の汚染物を、試料の収集中に流体試料から取り除くことができることが好ましく、したがって、そのような巨視的粒子はマイクロ流体チャネルの検知構造部内に送達されないことが好ましい。
【0024】
図4を参照すると、一実施形態例は、流体試料を収集し、マイクロ流体チャネルを通して検知装置の所定の検知領域に送達する一元的な方法を提供する。スティック102は、吸収材302に棒状支持構造体を提供する。吸収材302の一端は、第1の棒状支持部402の面400に取り付けられる。吸収材302は、接着材料、例えばアクリル接着剤又はエポキシ接着剤等の好適な結合材料を用いて、及び/又は、面400に取り付けられるか若しくは形成され、吸収材302に機械的に係合するフック(図示せず)等の機械的手段によって、面400に取り付けることができる。
【0025】
図6に示されている別の実施形態において、機械的手段は、第1の棒状部602の面601に接続し、剛性先端部604の面603に向かって延びるばね600の形態の付勢構造体を含み、吸収材606に機械的強度及び引張特性を与える。
【0026】
ここで図4に戻ると、剛性先端部300は、スティック102をレセプタクル106に挿入する際の抵抗点として機能することが好ましい。中空レセプタクルチャネル118は、剛性先端部300の自由端からリム406にかけてスティック102の第2の棒状支持部408と把持部410との間に、長さ404よりも特定量だけ短い長さ寸法を有する。したがって、スティック102をレセプタクル106に挿入する最後の部分では、剛性先端部300は面400に向かって動き、それにより、吸収材302に力を及ぼし、結果として吸収材302が圧縮されて流体試料を圧出する。レセプタクルチャネル118に対して垂直な出口ポート108は、カードセンサー104のマイクロ流体チャネル116と位置合わせされる。
【0027】
実施形態例では、第2の棒状支持部408に付勢突起412の形態のスナップ機能部が提供され、この付勢突起412は、対応する穴414内に受けることができる。キー416の形態の位置合わせ機能部も提供され、このキー416は、レセプタクル106の壁に形成されている対応するスロット418内に受ける。スナップ機能部及び位置合わせ機能部は、スティック102が完全に挿入され、かつ正しい位置合わせであることを示すものとして機能することが有利である。
【0028】
実施形態例では、吸収材302を流体流に接触させるか、又は、試料を容器内に収集した後に吸収材302を試料に浸して、直接吸収材302を濡らすことによって、流体試料を収集することができる。吸収材302を除くスティック102の全ての面は、疎水性材料(複数の場合もある)によって作製され、所定の領域、すなわち吸収材302のみが濡らされて、余分な試料がスティック102に残らないことを確実にすることが好ましい。
【0029】
その後、スティック102はレセプタクル106に挿入される。剛性先端部300と、第1の棒状支持部402及び第2の棒状支持部408を含む支持構造体との組合せは、スティック102がレセプタクル106に挿入される際に、スティック102の機械的強度を維持することを可能にすることが好ましい。
【0030】
収集スティック102は、第1の棒状支持部402と第2の棒状支持部408との間に配置されているテーパー付きセクション411も有する。第1の棒状支持部402の寸法(ここでは直径)はレセプタクル106のチャネル118の寸法よりも小さいが、第2の棒状支持部408の寸法(ここでは直径)はチャネル118の寸法と略等しい。テーパー付きセクション411は、第1の棒状支持部402と第2の棒状支持部408との間の寸法を徐々に変化させる。
【0031】
図5を参照すると、剛性先端部300がチャネル118の端部500に接触すると、更なる挿入力により吸収材302が圧縮される。吸収材302は、スティック102の第2の棒状部408がレセプタクル106に挿入されるまで圧縮を続ける。位置合わせキー416(図4)はスロット418(図4)内に収まり、付勢突起412(図4)は穴414(図4)にスナップ留めされ、吸収材302の以後の除圧を防止する。したがって、吸収材からディスペンスされる容量は制御することができることが好ましく、流体試料の逆流を防止することができることが好ましい。この実施形態では、先端部300の自由端部は凹面形状であり、レセプタクル106の中空チャネル118が終端する対応する凸面壁500に受ける。
【0032】
図6に示されている実施形態では、ばね600の長さは吸収材606の未圧縮の全長以下であることが好ましく、ばね600の直径は吸収材606の直径よりも小さいことが好ましい。吸収材606、及びこの実施形態ではばね600の圧縮により、さらに、吸収材606内に収集された流体試料を、符号610で示されている挿入方向に対して垂直に、すなわちレセプタクル612に形成された挿入チャネル611に対して垂直に位置する出口ポート608に向かって絞り出させることが好ましい。その後、流体試料、例えば液体は、マイクロ流体システム(例えば614)を通ってそれぞれの所定の検知場所(例えば、カードセンサー620上の616、618)へと流れることが好ましい。
【0033】
図7は、別の実施形態に係る流体試料の収集用装置700の概略上面図を示している。この実施形態では、支持構造体は、第1の棒状支持部702及び第2の棒状支持部704と、テーパー部分705と、吸収材708の回りのカバー706とを備え、流体が吸収材707に吸収及び収集されると(このことは、吸収材707の機械的強度及び引張特性を低減させる可能性がある)、装置700の機械的強度を維持する。カバー706は、吸収材707との流体連通用の1つ又は複数の開口709を有する。カバー706は、第1の棒状支持部702の周縁部に取り付けられ、一方向係止機構を介して剛性先端部710に連結される。一方向係止機構は、圧縮後に吸収材707が反発することを防ぐことが好ましい。これは、図8及び図9を参照して以下により詳細に記載する。
【0034】
図8は、レセプタクル(図示せず)への挿入時の装置700の剛性先端部710の動きを部分的に断面で示す概略上面図を示している。装置700を流体試料の収集に用いる第1の状態では、剛性先端部710は、突起800を、カバー706に形成されている対応する溝802に受けた状態で配置されている。この実施形態では、突起800及び溝802は環状に延在する。異なる実施形態では、突起及び/又は溝は異なる形態をとることができ、それらの形態には、1つ又は複数、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つの個別の突起、及び対応する単数又は複数の溝が挙げられることが理解される。
【0035】
図8に示されているように、溝802は、先端部710の自由端に面して、溝802の対向する位置にある壁806に比べてより高い壁804を有する。したがって、先端部710の脱落が阻止されることが好ましい。同時に、より低い壁806は、符号808で示されている方向において先端部の動きを引き起こすために、すなわち、屈撓して突起800が溝802から外れることを達成するには、先端部710に加わる所定の力を必要とする。これにより、挿入前又は挿入中にレセプタクル(図示せず)の壁に当接又は接触することにより生じる先端部710の意図しない動きが阻止されることが好ましい。そうでなければ、吸収された試料流体の圧縮及び望ましくない圧出が引き起こされる場合がある。
【0036】
図9に示されているように、第2の状態では、装置700をレセプタクル(図示せず)へ完全に挿入して流体試料を例えばカードセンサー(図示せず)に送達する際、剛性先端部710は、突起800を、カバー706に形成されている第2の対応する溝900に受けた状態で配置されている。この実施形態では、突起800及び溝900は環状に延在する。異なる実施形態では、突起及び/又は溝は異なる形態をとることができ、それらの形態には、1つ又は複数、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つの個別の突起、及び対応する単数又は複数の溝が挙げられることが理解される。図9に示されているように、溝900は、第1の棒状支持部702に面して、溝900の対向する位置にある壁904に比べてより高い壁902を有する。
【0037】
より高い壁902は、例えば図4を参照して上述したのと同様のスナップ機能部及び位置合わせ機能部と一緒に、吸収材707の更なる圧縮を防止し、送達される流体試料の容量の制御を容易にすることが有利である。同時に、突起800を溝900に受けた状態で、剛性キャップが適所に係止され、それにより、好ましくは吸収材の反発を防止することができる。そうでなければ、運ばれる流体試料の望ましくない逆流が引き起こされる場合がある。
【0038】
例えば図9に見られるように、この実施形態の剛性先端部710は、被覆部908内に配置され、先端部710の基部910においてともに接合される内部棒状部906を備える。内部棒状部906は、カバー706内の内部チャネル912に摺動可能に収まり、第1の状態から第2の状態へと動く間、吸収材707を圧縮するのに好適な寸法である。内部棒状部906の寸法(ここでは直径)は、吸収材707の寸法と略同じであることが好ましい。
【0039】
記載の実施形態における収集送達機構は、限定はしないが、尿、水、血液、又は任意の他のタイプの流体を含む流体試料を収集し、検知装置の所定の検知場所に送達するのに用いることができる。
【0040】
実施形態例における吸収材は、異なる形態の吸収機能及び濾過機能を組み込むように変更することができる。このことは、例えば、吸収材の孔サイズ及び材料タイプを制御することによって行うことができる。
【0041】
種々の実施形態において、レセプタクルチャネルと収集スティックの挿入長さとの間の長さの差を制御することによって、様々な容量の流体試料を運ぶことができる。
【0042】
実施形態例において、吸収材に、例えば、流体試料中の分析物と反応して色が変化する乾燥形態の所望の比色試薬を染み込ませることができる。色付きの溶液は、マイクロ流体チャネルを通して、検出を行う検知装置の特定の領域に送達することができる。
【0043】
記載の実施形態では、それぞれの構成要素に対する非限定的な材料例を以下のように挙げることができる。
第1の棒状支持部及び第2の棒状支持部並びに把持部を含む棒状支持構造体:任意の形態の疎水性プラスチック、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリプロピレン(PP)等。
吸収材:任意の形態の一般的なスポンジ材料、例えば、木材セルロース繊維、発泡プラスチックポリマー、低密度ポリエーテル、ポリビニルアセタール(PVA)、又はポリエステル。
付勢構造体:非腐食性材料、例えば、ステンレス鋼又はアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、PP。
剛性先端部:任意の形態の疎水性プラスチック、例えば、PMMA、PP等。
中空レセプタクル:任意の形態の疎水性プラスチック、例えば、PMMA、PP等。
検知装置:光学部品及び/又は電子部品を含み得る任意の形態の検知チップ。この材料はプラスチックであることが好ましいが、同様にガラス又はシリコンとすることもできる。
スナップ機能部及び位置合わせ機能部:任意の形態の疎水性プラスチック、例えば、PMMA、PP等。
【0044】
当業者には、包括的に記載されている本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく、特定の実施形態において示されている本発明に対して数多くの変形及び/又は変更を行うことができることが理解される。したがって、本実施形態は、全ての観点において例示的であり限定的ではないと見なされる。また、本発明は、特徴又は特徴の組合せが特許請求の範囲又は本実施形態に明示的に記載されていなくても、任意の特徴の組合せ、特に、特許請求の範囲における任意の特徴の組合せを含む。
【0045】
記載の実施形態の種々の部分のうちの1つ又は複数は、別個に形成して、例えば、好適な糊若しくは接着剤又は機械的手段を用いて互いに取り付けることができるか、一体的に形成することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9