特許第6389871号(P6389871)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニーの特許一覧

特許6389871ゾーンコートされた触媒ウォッシュコートを含むフィルタ基材
<>
  • 特許6389871-ゾーンコートされた触媒ウォッシュコートを含むフィルタ基材 図000003
  • 特許6389871-ゾーンコートされた触媒ウォッシュコートを含むフィルタ基材 図000004
  • 特許6389871-ゾーンコートされた触媒ウォッシュコートを含むフィルタ基材 図000005
  • 特許6389871-ゾーンコートされた触媒ウォッシュコートを含むフィルタ基材 図000006
  • 特許6389871-ゾーンコートされた触媒ウォッシュコートを含むフィルタ基材 図000007
  • 特許6389871-ゾーンコートされた触媒ウォッシュコートを含むフィルタ基材 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6389871
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】ゾーンコートされた触媒ウォッシュコートを含むフィルタ基材
(51)【国際特許分類】
   B01J 35/04 20060101AFI20180903BHJP
   B01J 29/76 20060101ALI20180903BHJP
   B01J 35/10 20060101ALI20180903BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20180903BHJP
   F01N 3/035 20060101ALI20180903BHJP
   F01N 3/022 20060101ALI20180903BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20180903BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20180903BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20180903BHJP
   F02D 43/00 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
   B01J35/04 301L
   B01J29/76 AZAB
   B01J35/04 301E
   B01J35/10 301F
   B01D53/94 222
   B01D53/94 241
   F01N3/035 A
   F01N3/035 E
   F01N3/022 C
   F01N3/08 A
   F01N3/08 B
   F01N3/10 A
   F01N3/28 301A
   F01N3/28 301B
   F01N3/28 301C
   F01N3/28 301Q
   F02D43/00 301E
   F02D43/00 301T
【請求項の数】28
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-509547(P2016-509547)
(86)(22)【出願日】2014年4月23日
(65)【公表番号】特表2016-523689(P2016-523689A)
(43)【公表日】2016年8月12日
(86)【国際出願番号】GB2014051257
(87)【国際公開番号】WO2014174279
(87)【国際公開日】20141030
【審査請求日】2017年1月19日
(31)【優先権主張番号】1307421.6
(32)【優先日】2013年4月24日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】61/815,443
(32)【優先日】2013年4月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】PCT/GB2013/051039
(32)【優先日】2013年4月24日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1320342.7
(32)【優先日】2013年11月18日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ブレイクマン, フィリップ ジェラルド
(72)【発明者】
【氏名】グリーンウェル, デーヴィッド ロバート
【審査官】 森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−518753(JP,A)
【文献】 特開2010−269205(JP,A)
【文献】 特表2011−525579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 − 38/74
B01D 53/86
B01D 53/94
F01N 3/00 − 3/38
F02D 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
火花点火式内燃機関から排出される排ガスから粒子状物質を濾過するための触媒化フィルタであって、前記フィルタが、合計基材長さを有するとともに、セラミック入口壁表面によって部分的に画成される入口チャネルと、セラミック出口壁表面によって部分的に画成される出口チャネルとを有する、セラミック多孔質壁流フィルタ基材を含み、第一の平均孔径の孔を含む第一の多孔質構造によって前記セラミック入口壁表面が前記セラミック出口壁表面から分離され、触媒ウォッシュコート組成物を用いて前記セラミック多孔質壁流フィルタ基材が部分的にコートされ、前記セラミック多孔質壁流フィルタ基材のウォッシュコートされた部分の第の多孔質構造が第二の平均孔径の孔を含み、前記第二の平均孔径が前記第一の平均孔径よりも小さく、触媒ウォッシュコート組成物が前記合計基材長さよりも短い第一の基材長さの前記セラミック入口壁表面を含む第一の区域に堆積され、第二の基材長さの前記セラミック出口壁表面を含む第二の区域がウォッシュコートを含まず、前記第一の区域の前記基材長さと前記第二の区域の前記基材長さの合計が>100%であ前記第一の基材長さが前記セラミック多孔質壁流フィルタ基材の入口端から測定され、前記第二の基材長さが前記セラミック多孔質壁流フィルタ基材の出口端から測定される、フィルタ。
【請求項2】
前記触媒ウォッシュコート組成物が、三元触媒ウォッシュコート組成物、酸化触媒ウォッシュコート組成物、NO吸収剤触媒ウォッシュコート組成物、および選択的接触的還元(SCR)触媒ウォッシュコート組成物から成る群から選択される、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項3】
前記触媒ウォッシュコート組成物が三元触媒ウォッシュコート組成物である、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項4】
前記三元触媒ウォッシュコート組成物が、高表面積酸化物上で支持される少なくとも一の白金族金属、および酸素貯蔵成分を含む、請求項2または3に記載のフィルタ。
【請求項5】
前記少なくとも一の白金族金属が、(i)白金およびロジウム、(ii)パラジウムおよびロジウム、(iii)白金、パラジウム、およびロジウム、(iv)パラジウムのみ、ならびに(v)ロジウムのみから成る群から選択される、請求項4に記載のフィルタ。
【請求項6】
前記NO吸収剤触媒ウォッシュコート組成物が、ジルコニア系混合酸化物、セリア−ジルコニア混合酸化物、または任意選択的に安定化アルミナ上で支持されるロジウムの混合物、ならびに、アルミナ系高表面積支持体およびセリア上で支持される白金および/もしくはパラジウム、またはセリアおよびアルカリ土類金属を含む混合酸化物、アルカリ金属、または前記セリアもしくはセリアを含む混合酸化物上で支持されるランタニドを含む、請求項2に記載のフィルタ。
【請求項7】
前記SCR触媒ウォッシュコート組成物が、AEI、MFI(ZSM−5)、ERI、モルデナイト、フェリエライト、BEA、Y、CHA、およびLEVから成る群から選択される、合成アルミノシリケートゼオライトモレキュラーシーブ上で支持されるか、またはそれに交換される、Cu、Fe、および/またはCeを含む、請求項2に記載のフィルタ。
【請求項8】
前記第一の区域における前記ウォッシュコートローディングが>1.60gin−3である、請求項1から7のいずれか一項に記載のフィルタ。
【請求項9】
前記第一の区域における前記基材長さが前記合計基材長さの25〜75%である、請求項1から8のいずれか一項に記載のフィルタ。
【請求項10】
前記第一の区域における前記基材長さが、前記合計基材長さの<45%である、請求項9に記載のフィルタ。
【請求項11】
前記触媒ウォッシュコート組成物が、三元触媒ウォッシュコート組成物、酸化触媒ウォッシュコート組成物、またはNO吸収剤触媒ウォッシュコート組成物であり、前記第一の区域における合計の白金族金属ローディングが>50gft−3である、請求項2、および請求項2に従属する場合の請求項3から10のいずれか一項に記載のフィルタ。
【請求項12】
固体ウォッシュコート粒子を含む表面触媒ウォッシュコート組成物を含み、触媒ウォッシュコート組成物層が前記多孔質構造の表面孔を実質的に覆い、前記ウォッシュコートされるセラミック多孔質壁流フィルタ基材の前記第二の平均孔径の前記孔が、前記触媒ウォッシュコート組成物中の前記粒子間の空間(粒子間孔)によって部分的に画成される、請求項1から11のいずれか一項に記載のフィルタ。
【請求項13】
前記固体ウォッシュコート粒子のD90サイズが10〜40μmの範囲内である、請求項12に記載のフィルタ。
【請求項14】
前記固体ウォッシュコート粒子の平均粒子径(D50)が1〜20μmの範囲内である、請求項12または13に記載のフィルタ。
【請求項15】
前記ウォッシュコートが固体ウォッシュコート粒子を含み、前記多孔質構造の表面にある前記孔が孔開口を含み、前記ウォッシュコートによってすべての前記表面孔開口が狭まる、請求項1から11のいずれか一項に記載のフィルタ。
【請求項16】
前記ウォッシュコートが固体ウォッシュコート粒子を含み、前記ウォッシュコートが前記セラミック多孔質壁流フィルタ基材の前記多孔質構造内に置かれる、請求項1から11のいずれか一項に記載のフィルタ。
【請求項17】
固体ウォッシュコート粒子の平均径(D50)が前記セラミック多孔質壁流フィルタ基材の平均孔径よりも小さい、請求項15または16に記載のフィルタ。
【請求項18】
固体ウォッシュコート粒子のD90径が4〜6μmの範囲である、請求項15から17のいずれか一項に記載のフィルタ。
【請求項19】
固体ウォッシュコート粒子の平均径(D50)が1〜3μmの範囲内である、請求項15から18のいずれか一項に記載のフィルタ。
【請求項20】
コートされていない前記セラミック多孔質壁流フィルタ基材が>40%の孔隙率を有する、請求項1から19のいずれか一項に記載のフィルタ。
【請求項21】
前記セラミック多孔質壁流フィルタ基材の前記多孔質構造の第一の平均孔径が8〜45μmである、請求項1から20のいずれか一項に記載のフィルタ。
【請求項22】
前記第一の区域が前記第二の区域の上流側に配設される、請求項1から21のいずれか一項に記載の触媒化フィルタを備える、火花点火式内燃機関のための排気系。
【請求項23】
前記排気系が、前記触媒化フィルタの上流側に配設される、三元触媒組成物またはNO吸収剤触媒組成物を含む流動モノリス基材を備える、請求項22に記載の排気系。
【請求項24】
前記触媒化フィルタの上流側を流れる排ガスに窒素系還元剤を注入するインジェクタ手段を備える排気系であって、前記触媒ウォッシュコート組成物が選択的接触的還元(SCR)触媒ウォッシュコート組成物であ、請求項2に従属する場合の請求項22または23に記載の排気系。
【請求項25】
請求項22、23、または24のいずれか一項に記載の排気系を備える火花点火式エンジン。
【請求項26】
前記触媒ウォッシュコート組成物が選択的接触的還元(SCR)触媒ウォッシュコート組成物であり、前記排気系が、前記触媒化フィルタの上流側に配設される、三元触媒組成物またはNO吸収剤触媒組成物を含む前記流動モノリス基材上でその場でアンモニアを発生させるため、少なくとも1つのエンジンシリンダを制御し、それによって濃縮排ガスを排出する、エンジン管理手段を備える、請求項2に従属する場合の請求項23に従属する場合の請求項25による排気系を含む火花点火式エンジン。
【請求項27】
請求項25または26に記載の火花点火式エンジンを備える車両。
【請求項28】
火花点火式内燃機関の排ガス中の窒素酸化物および粒子状物質を同時に変換する方法であって、合計基材長さを有するとともに入口表面および出口表面を有する多孔質基材を含む触媒化フィルタをガスと接触させるステップを含み、第一の平均孔径の孔を含む第一の多孔質構造によって前記入口表面が前記出口表面から分離され、前記多孔質基材が触媒ウォッシュコート組成物で部分的にコートされ、前記多孔質基材のウォッシュコートされた部分の第二の多孔質構造が第二の平均孔径の孔を含み、前記第二の平均孔径が前記第一の平均孔径よりも小さく、触媒ウォッシュコート組成物が、前記合計基材長さよりも短い第一の基材長さの前記入口表面を含む第一の区域に配設され、第二の基材長さの前記出口表面を含む第二の区域がウォッシュコートを含まず、前記第の区域の前記基材長さと前記第二の区域の前記基材長さの合計が>100%であ前記第一の基材長さが前記多孔質基材の入口端から測定され、前記第二の基材長さが前記多孔質基材の出口端から測定される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、火花点火式内燃機関から排出される排ガスから粒子状物質を濾過するための、触媒化フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
火花点火式エンジンは、火花点火を使用して炭化水素と空気の混合物の燃焼を引き起こす。対照的に、圧縮点火機関は、炭化水素を圧縮空気に注入することによって炭化水素の燃焼を引き起こす。火花点火式エンジンは、ガソリン燃料、メタノールおよび/もしくはエタノールを含むオキシジェネートとブレンドしたガソリン燃料、液体石油ガス、または圧縮天然ガスによって燃料供給され得る。火花点火式エンジンは、化学量論的に運転されるエンジンまたはリーン燃焼により運転されるエンジンであり得る。
【0003】
周囲のPMは、ほとんどの著者によって、それらの空気動力学的直径に基づいて次の種類に分類される(空気動力学的直径は、空気中における沈降速度が測定された粒子と同じである密度1g/cmの球体の直径として定義される)。
(i)空気動力学的直径が10μm未満のPM10粒子、
(ii)直径2.5μm未満の微細粒子(PM2.5)、
(iii)直径0.1μm(100nm)未満の超微粒子、および、
(iv)50nm未満の直径によって特徴付けられるナノ粒子。
【0004】
1990年代中盤以降、内燃機関から排気される粒子の粒度分布は、微細粒子および超微粒子の潜在的な健康への悪影響という理由から、より一層注目を集めてきた。周囲空気中のPM10微粒子の濃度は、米国では法律で規制されている。PM2.5に対する新しい付加的な大気環境質基準は、人間の死亡率と2.5μm未満の微細粒子の濃度との強い相関関係を示した健康研究の結果として、1997年に米国で導入された。
【0005】
ディーゼルエンジンおよびガソリンエンジンによって発生するナノ粒子は、2.5〜10.0μm範囲の微粒子に関する研究の発見から推定して、より大径の微粒子よりも深くヒトの肺に進入し、結果としてより大径の粒子よりも有害であると考えられるので、現在はそれらのナノ粒子に関心が移っている。
【0006】
ディーゼル粒子の粒度分布は、粒子の核生成および凝集メカニズムに相当する十分に確立された双峰性の性質を有し、対応する粒子タイプはそれぞれ、核モードおよび累積モードと呼ばれる(図1を参照)。図1から分かるように、核モードでは、ディーゼルPMは非常に小さい質量を有する多数の小さい粒子で構成される。ディーゼル微粒子はほぼすべてが1μmを大幅に下回る径を有し、即ち、1997年の米国法に基づいて、超微粒子およびナノ粒子の範囲に入る細粒の混合物を含む。
【0007】
核モード粒子は、大部分が揮発性の凝縮物(炭化水素、硫酸、硝酸など)で構成され、灰分および炭素などの固体材料をほとんど含まないと考えられる。累積モード粒子は、凝縮物および吸着材料(重炭化水素、硫黄種、窒素酸化物誘導体など)と相互混合された固体(炭素、金属灰など)を含むものと理解される。粗大モード粒子は、ディーゼル燃焼プロセスで発生するとは考えられず、粒子状材料が沈着し、それに続いて、エンジンシリンダ、排気系、または微粒子サンプリングシステムの壁から再飛散するなどのメカニズムによって、形成されてもよい。これらのモード間の関係は図1に示される。
【0008】
粒子を核化する構成は、エンジンの運転条件、環境条件(特に温度と湿度)、希釈およびサンプリングシステム条件に伴って変化することがある。実験室研究および理論によって、ほとんどの核モード形成および成長は低い希釈比範囲で生じることが示されている。この範囲では、重炭化水素および硫酸など、揮発性粒子前駆物質のガスから粒子への変換は、核モードにおける同時の核生成および成長、ならびに累積モードにおける既存の粒子上への吸着に結び付く。実験室試験(例えば、SAE980525およびSAE2001−01−0201を参照)によって、空気希釈温度の減少に伴って核モード形成が強固に増加することが示されているが、湿度が影響するか否かについては証拠が矛盾している。
【0009】
一般に、低温、低い希釈比、高湿、および長い滞留時間は、ナノ粒子の形成および成長に好都合である。研究によって、固体が非常に高負荷でのみ分画するという証拠により、ナノ粒子は主に重炭化水素および硫酸などの揮発性材料から成ることが示されている。
【0010】
対照的に、定常状態運転におけるガソリン微粒子のエンジン出口粒度分布は、ピークが約60〜80nmの単峰分布を示している(例えば、SAE1999−01−3530の図4を参照)。ディーゼル粒度分布と比較すると、ガソリンPMは主として超微細であって、累積および粗大モードは無視できる程度である。
【0011】
ディーゼル微粒子フィルタにおけるディーゼル微粒子の集塵は、多孔質隔膜を使用してガス中粒子をガス相から分離する原理に基づく。ディーゼルフィルタは、ディープベッド形フィルタおよび/または表面型フィルタとして定義することができる。ディープベッド形フィルタでは、フィルタ媒質の平均孔径は収集した粒子の平均径よりも大きい。粒子は、拡散沈着(ブラウン運動)、慣性沈着(衝突)、およびフローラインの遮断(ブラウン運動または慣性)を含む、深層濾過メカニズムの組合せによって媒質上に堆積される。
【0012】
表面型フィルタでは、フィルタ媒質の孔径はPMの直径未満なので、PMはふるい分けによって分離される。分離は、収集したディーゼルPM自体の蓄積によって行われ、その蓄積物は一般に「濾過ケーキ」と呼ばれ、プロセスは「ケーキ濾過」と呼ばれる。
【0013】
セラミックの壁流モノリスなどのディーゼル微粒子フィルタは、深層濾過および表面濾過の組合せによって働いてもよいことが理解され、深層濾過容量が飽和し、微粒子層が濾過表面を覆い始めると、濾過ケーキが発展してすすの負荷がより多くなる。深層濾過は、ケーキ濾過よりも多少濾過効率が低く圧力降下が少ないことによって特徴付けられる。
【0014】
当該分野において示唆される、ガソリンPMをガス相から分離するための他の技術としては、渦流による回収が挙げられる。
【0015】
2014年9月1日以降の欧州における排出規制(ユーロ6)は、ディーゼル式およびガソリン(火花点火)式両方の乗用車から放出される粒子数を制御することを要している。ガソリン式のEU軽量自動車の場合、許容限度は、一酸化炭素1000mg/km、窒素酸化物(NO)60mg/km、全炭化水素100mg/km(そのうち、≦68mg/kmは非メタン炭化水素)、粒子状物質((PM)、直接噴射式エンジンの場合のみ)4.5mg/kmである。ユーロ6PM基準は数年にわたって段階的に実行されることになっており、2014年初めからはkm当たり6.0×1012に設定され(ユーロ6)、2017年初めからはkm当たり6.0×1011で設定されている(ユーロ6+)。実践的感覚では、法規制される微粒子の範囲は23nm〜3μmである。
【0016】
米国では、2012年3月22日に、カリフォルニア州大気資源局(CARB)が、2017年およびその後のモデル年度からの、「LEV III」乗用車、軽量トラック、および中量自動車の新たな排ガス基準を採択し、それには、3mg/マイルの排気限度と、後に暫定的な再検討によって実現可能であると見なされる限り、1mg/マイルの導入を可能にすることが含まれている。
【0017】
新しいユーロ6(ユーロ6およびユーロ6+)排出基準は、ガソリン排出基準を満たすための多数の困難な設計上の問題を提示する。特に、PMガソリン(火花点火)排出の数を低減すると同時に、例えばEU駆動サイクルの最大オンサイクル背圧によって測定されるような、すべて許容可能な背圧における、窒素酸化物(NO)、一酸化炭素(CO)、および未焼炭化水素(HC)の1つ以上など、非PM汚染物質に対する排出基準も満たす、フィルタを、またはフィルタを含む排気系をいかに設計するか。
【0018】
TWCは、
(i)一酸化炭素から二酸化炭素への酸化、(ii)未焼炭化水素から二酸化炭素および水への酸化、ならびに(iii)窒素酸化物から窒素および酸素への還元という3つの併発反応を触媒することを意図する。これら3つの反応は、TWCが、化学量論点またはその付近で稼働しているエンジンからの排ガスを受け取ったときに、最も効率的に生じる。当該分野において周知であるように、ガソリン燃料を火花点火式(例えば、スパーク点火式)内燃機関で燃焼させたときに排出される一酸化炭素(CO)、未焼炭化水素(HC)、および窒素酸化物(NO)の量は、主として燃焼シリンダ内の空燃比によって影響を受ける。化学量論的に均衡がとれた組成を有する排ガスは、酸化ガス(NOおよびO)と還元ガス(HCおよびCO)の濃度が実質的に一致したものである。この化学量論的に均衡がとれた排ガス組成を生成する空燃比は、典型的に14.7:1として与えられる。
【0019】
三元触媒(TWC)は、典型的に一又はそれ以上の白金族金属を、特に白金、パラジウム、およびロジウムから成る群から選択されたものを含有する。
【0020】
理論上、化学量論的に均衡がとれた排ガス中のO、NO、CO、およびHCを、CO、HO、およびN(ならびに残りのO)へと完全に変換することが可能であるべきであり、これがTWCの役割である。したがって、理想的には、エンジンは、燃焼混合物の空燃比によって化学量論的に均衡がとれた排ガス組成を生成するような形で運転されるべきである。
【0021】
排ガスの酸化ガスと還元ガスとの組成の均衡を定義する方法は、排ガスのラムダ(λ)値であり、それは式(1)に従って定義することができる。
実際のエンジンの空燃比/化学量論的なエンジンの空燃比 (1)
式中、1のラムダ値は化学量論的に均衡がとれた(または化学量論的)排ガス組成を表し、1超過のラムダ値はOおよびNOが過剰であることを表し、組成は「リーン」として説明され、1未満のラムダ値はHCおよびCOが過剰であることを表し、組成は「リッチ」として説明される。また、当該分野では一般に、空燃比が発生させる排ガス組成に応じて、エンジンが作動する空燃比を「化学量論的」、「リーン」、または「リッチ」と呼び、したがって、化学量論的に運転されるガソリンエンジンまたはリーンバーンガソリンエンジンである。
【0022】
排ガス組成が化学量論よりもリーンであるとき、TWCを使用したNOからNへの還元はより低効率であることが認識されるべきである。同様に、排ガス組成がリッチであるとき、TWCはCOおよびHCを酸化させることができない。したがって、TWCに流入する排ガスの組成を可能な限り化学量論的組成の近くで維持することは困難である。
【0023】
当然ながら、エンジンが定常状態のとき、空燃比が化学量論的であることを担保するのは相対的に簡単である。しかしながら、エンジンが車両を推進するのに使用されるとき、必要な燃料の量は、運転者がエンジンに与える負荷需要に応じて過渡的に変化する。これによって、三元変換のために化学量論的排ガスを発生させるように、空燃比を制御することが特に困難になる。実際には、空燃比は、排ガス組成に関する情報を排ガス酸素(EGO)(またはラムダ)センサから受信する、エンジン制御部によって制御され、いわゆる閉ループフィードバックシステムである。かかるシステムの特徴は、空燃比の調節と関連付けられるタイムラグが存在するため、化学量論(または制御設定)点のわずかにリッチ側とわずかにリーン側との間で空燃比が振動(または摂動)するという点である。この摂動は、空燃比および応答周波数(Hz)の振幅によって特徴付けられる。
【0024】
排ガス組成が設定点よりもわずかにリッチ側であるとき、少量の酸素が未反応COおよびHCを消費する、即ち反応をより化学量論的にする必要がある。反対に、排ガスがわずかにリーン側になると、余分な酸素を消費する必要がある。これは、摂動中に酸素を発散または吸収する酸素貯蔵成分が生じることによって達成された。現在のTWCで最も一般に使用されている酸素貯蔵成分(OSC)は、酸化セリウム(CeO)またはセリウムを含有する混合酸化物、例えばCe/Zr混合酸化物である。
【0025】
典型的なTWC中の有効成分は、高表面積酸化物上で支持された、白金およびパラジウムの一方もしくは両方とロジウムの組合せ、またはさらにはパラジウムのみ(ロジウムなし)と、酸素貯蔵成分とを含む。
【0026】
三元触媒化微粒子フィルタに関する最低限の粒子還元が、等価の流動触媒に対するユーロ6のPM数基準を満たすのは≧50%であることが想到される。それに加えて、等価の流動触媒に対して三元触媒化壁流フィルタのある程度の背圧増加は不可避なので、本発明者らの経験上、大部分の乗用車に関して、MVEG−B駆動サイクルにわたるピーク背圧(「未使用」からの3回の試験にわたる平均)は、<180mbar、<150mbar、および好ましくは120mbarなど、<200mbar、例えば<100mbarに制限されるべきである。
【0027】
ユーロ6排出基準を満たすためにTWCをフィルタと組み合わせる多数の最新の取組みがあり、それにはUS2009/0193796が含まれ、炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物、および微粒子を含む排ガスを処理するための、直接噴射式ガソリンエンジンの下流側にある排気処理システムであって、白金およびパラジウムから成る白金族金属を含む酸化触媒でゾーンコートされる微粒子トラップを任意に備える排気処理システムを開示している。
【0028】
新しい排出基準により、火花点火式内燃機関から排出される排ガスから粒子状物質を濾過するため、フィルタを使用することを強いられるであろう。しかしながら、かかる粒子状物質の径はディーゼルエンジンから排出される粒子状物質よりもはるかに微細であるため、設計上の問題は、火花点火排ガスからの粒子状物質を、ただし許容可能な背圧で濾過することである。
【0029】
本発明者らは、車両の火花点火式エンジンの排気系で使用されるフィルタを触媒化し、それによって排気系の構成要素の総体積を別個のフィルタおよび触媒基材の構成要素と比べて低減する方法を既に発見しており、これは、空間が制限され得る乗用車の場合に特に重要であるが、均質にコートされた、即ちウォッシュコートローディングを同じにして入口端および出口端の両方を介して適用されたコーティングを有する、触媒化フィルタと比べより低い背圧を有する。
【発明の概要】
【0030】
1つの態様によれば、本発明は、火花点火式内燃機関から排出される排ガスから粒子状物質を濾過するための触媒化フィルタを提供し、該フィルタは、合計基材長さを有するとともに、セラミック入口壁表面によって部分的に画成される入口チャネルと、セラミック出口壁表面によって部分的に画成される出口チャネルとを有する、セラミック多孔質壁流フィルタ基材を含み、第一の平均孔径の孔を含む第一の多孔質構造によって入口表面が出口表面から分離され、触媒ウォッシュコート組成物を用いて多孔質基材が部分的にコートされ、多孔質基材のウォッシュコートされた部分の第二の多孔質構造が第二の平均孔径の孔を含み、第二の平均孔径が第一の平均孔径よりも小さく、触媒ウォッシュコート組成物が合計基材長さよりも短い第一の基材長さの入口表面を含む第一の区域に配設され、第二の基材長さの出口表面を含む第二の区域がウォッシュコートを含まず、第一の区域の基材長さと第二の区域の基材長さの合計が>100%である。
【0031】
本発明の第一の態様によれば、第二の基材長さを有する第二の区域はウォッシュコートを含まない出口表面を含む。第二の区域はウォッシュコートを含まないので、「ウォッシュコートされていない」第二の区域の長さは常に、(壁流フィルタの出口チャネルの一端にエンドプラグが存在する場合はそれを考慮に入れた)合計基材長さとほぼ同じになる。入口表面は合計基材長さよりも短い第一の基材長さを有する第一の区域を含むので、第一の区域における基材長さと第二の区域における基材長さの合計は>100%になる。
【0032】
実施形態では、第二の多孔質構造は第一の多孔質構造で構成され、例えば、図2Bおよび2Cに示される実施形態では、ウォッシュコート粒子の少なくとも一部は多孔質構造内にあることが理解されるであろう。
【0033】
平均孔径は水銀孔隙率測定によって決定することができる。
【0034】
実施形態では、触媒ウォッシュコート組成物は、三元触媒ウォッシュコート組成物、酸化触媒ウォッシュコート組成物、NO吸収剤触媒ウォッシュコート組成物、または選択接触還元(SCR)触媒ウォッシュコート組成物であるが、好ましくは三元触媒ウォッシュコート組成物である。しかしながら、好ましくは、触媒ウォッシュコート組成物は三元触媒ウォッシュコート組成物である。
【0035】
本発明の第一の態様で使用されるTWCウォッシュコート組成物は、白金およびパラジウムの一方または両方とロジウムの組合せを含み、あるいは実施形態では、高表面積酸化物(例えば、ガンマアルミナ)上で支持されたパラジウムのみ(白金もしくはロジウムを含まない)またはロジウムのみ(白金もしくはパラジウムを含まない)と、酸素貯蔵成分(例えば、セリウムを含む混合酸化物を含む)とを含む。
【0036】
酸化触媒ウォッシュコート組成物は、屈折金属酸化物(例えば、活性アルミナ)上で支持された、卑金属触媒、白金族金属触媒、またはそれら両方の組合せを含有してもよい。卑金属触媒は、希土類金属酸化物、特に酸化ランタン、酸化セリウム、および酸化プラセオジムを含んでもよい。特定の白金族金属触媒は、白金、パラジウム、ロジウム、およびそれらの組合せを含んでもよい。有用な耐火金属酸化物は、シリカ、アルミナ、ガンマアルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカアルミナ、およびセリアジルコニアを含んでもよい。任意に、触媒ウォッシュコート組成物はまた、助触媒および安定剤など、他の添加剤を含有してもよい。ゼオライトなどの分子ふるいも、酸化触媒に有用であることがある。
【0037】
NO吸収剤触媒(NAC)は、例えば米国特許第5,473,887号によって知られており、窒素酸化物(NO)をリーン排ガス(ラムダ>1)から吸着し、排ガス中の酸素濃度が減少するとNOを脱着するように設計される。脱着されたNOは、NAC自体の、またはNACの下流側に位置する、ロジウムなどの触媒成分で促進された適切な還元剤(例えば、ガソリン燃料)を用いて、Nに還元されてもよい。実際には、酸素濃度の制御は、NACの計算された残りのNO吸着容量に応答して、所望の酸化還元組成物に合わせて断続的に、例えば通常のエンジン稼働動作よりもリッチ(ただし依然として化学量論よりもリーン、もしくはラムダ=1の組成物)、化学量論的、または化学量論よりもリッチ(ラムダ<1)に調節することができる。酸素濃度は、多数の手段によって、例えばスロットリング、排気行程中などにエンジンシリンダに追加の炭化水素燃料を注入すること、またはエンジンマニホルドの下流側で排ガスに炭化水素燃料を直接注入することによって、調節することができる。
【0038】
典型的なNAC調合物は、白金などの触媒酸化成分と、相当量の、即ちTWC中の助触媒などの助触媒として使用するのに必要であるよりも大幅に多い、バリウムまたはセリア(CeO)などのNO貯蔵成分と、還元触媒(例えば、ロジウム)とを含む。この調合物のリーン排ガスからのNO貯蔵に関して一般に与えられる1つのメカニズムは次式の通りである。

NO+ 1/2 O→NO (2)、および
BaO+NO+ 1/2 O→Ba(NO (3)

式中、反応(2)で、酸化窒素は白金の活性酸化部位で酸素と反応して、NOを形成する。反応(3)は、無機硝酸の形態の貯蔵材料によるNOの吸着を伴う。
【0039】
より低い酸素濃度および/または高温では、硝酸種は熱力学的に不安定になり分解して、以下の反応(4)に従ってNOまたはNOを生成する。適切な還元剤の存在下において、これらの窒素酸化物は続いて、一酸化炭素、水素、および炭化水素によってNに還元されるが、これは還元触媒の上で起こり得る(反応(5)を参照)。

Ba(NO → BaO + 2NO + or Ba(NO→ BaO + 2NO + 1/2 O (4)、および
NO + CO → 1/2N + CO (5)

(他の反応は、Ba(NO+8H→BaO+2HN+5HO、それに続くNH+NO→N+yHO、または2NH+2O+CO→N+3HO+COなどを含む)。
【0040】
上記(2)〜(5)の反応では、反応性バリウム種が酸化物として与えられる。しかしながら、空気の存在下では、ほとんどのバリウムが炭酸塩または場合によっては水酸化物の形態であることが理解される。当業者であれば、上述の反応スキームを、酸化物以外のバリウム種、および排気流中の一連の触媒コーティング、および他の任意のアルカリ土類金属、アルカリ金属、またはNO吸着のために含まれるランタニドに対して、適宜適応させることができる。
【0041】
ハニカム状の流動モノリス基材上にコートされる現代的なNO吸収剤触媒は、典型的に、層化した構成で配置される。しかしながら、フィルタ基材上に塗布された複数層は背圧の問題をもたらす場合がある。したがって、本発明で使用されるNO吸収剤触媒が「単層」NO吸収剤触媒であることが非常に好ましい。特に好ましい「単層」NO吸収剤触媒は、セリアジルコニア混合酸化物または任意に安定化したアルミナ(例えば、シリカもしくはランタンもしくは別の希土類元素で安定化したもの)上で支持されたロジウムの第一の成分と、白金および/またはパラジウムを支持する第二の成分との組合せを含む。第二の成分は、アルミナ系の高表面積支持体上で支持された白金および/もしくはパラジウムと、微粒子状の「バルク」セリア(CeO)成分、またはセリアを含む混合酸化物、即ち微粒子支持体上で支持された可溶性セリアではなく、Ptおよび/もしくはPdをそのようにして支持することができる「バルク」セリアとを含む。微粒子状セリア(もしくはセリアを含む混合酸化物)は、NO吸収剤成分を含み、白金および/またはパラジウムに加えて、アルカリ土類金属および/またはアルカリ金属、好ましくはバリウムを支持する。アルミナ系の高表面積支持体は、アルミン酸マグネシウム、例えばMgAlであることができる。
【0042】
好ましい「単層」NAC組成物は、ロジウムと白金および/またはパラジウム支持体成分の混合物を含む。これらの成分は、別個に調製することができ、即ちそれらを混合物中で組み合わせる前に予備形成することができ、またはロジウム、白金、およびパラジウムの塩類ならびに支持体および他の成分を組み合わせ、ロジウム、白金、およびパラジウムの成分を優先的に加水分解して、所望の支持体上に沈着させることができる。
【0043】
本発明で使用されるSCR触媒は、2NH+2NO→NO+3HO+Nなどの望ましくない、非選択的な副反応に優先して、4NH+4NO+O→4N+6HO(即ち、1:1 NH:NO);4NH+2NO+2NO→4N+6HO(即ち、1:1 NH:NO);および8NH+6NO→7N+12HO(即ち、4:3 NH:NO)の反応を選択的に促進し、また、耐火酸化物または分子ふるい上で支持される、Cu、Hf、La、Au、In、V、ランタニド、およびFeなどのVIII族遷移金属の少なくとも1つから成る群から選択することができる。特に好ましい金属は、Ce、Fe、およびCu、ならびにそれらのうち任意の2つ以上の組合せである。適切な耐火酸化物としては、Al、TiO、CeO、SiO、ZrO、およびそれらの二またはそれ以上を含む混合酸化物を含む。また、非ゼオライト触媒としては、タングステン酸化物、例えばV/WO/TiO、WO/CeZrO、WO/ZrO、またはFe/WO/ZrOも含む。
【0044】
特に好ましい実施形態では、SCR触媒ウォッシュコートは、アルミノケイ酸ゼオライトまたはSAPOなど、少なくとも1つの分子ふるいを含む。少なくとも1つの分子ふるいは、例えば、小孔、中孔、または大孔の分子ふるいであることができる。「小孔の分子ふるい」によって、本明細書では、CHAなど、最大リングサイズ8を含む分子ふるいを意味し、「中孔の分子ふるい」によって、本明細書では、ZSM−5など、最大リングサイズ10を含む分子ふるいを意味し、「大孔の分子ふるい」によって、本明細書では、ベータなど、最大リングサイズ12を有する分子ふるいを意味する。小孔の分子ふるいは、SCR触媒で使用するのに潜在的に有利である(例えば、WO2008/132452を参照のこと)。
【0045】
本発明においてSCR触媒としての用途を有する好ましい分子ふるいは、AEI、ZSM−5、ZSM−20、ZSM−34を含むERI、モルデナイト、フェリエライト、ベータを含むBEA、Y、CHA、Nu−3を含むLEV、MCM−22およびEU−1、好ましくはAEIまたはCHAから成る群から選択され、約15対約40など、約10対約50のシリカ対アルミナ比を有する、合成アルミノケイ酸ゼオライトの分子ふるいである。
【0046】
本発明の特定の特徴は、排気系において上流側に配向されることを意図する第一の区域が、WO2010/097634の実施例に開示されているものなど、これまで見なされてきた最大のウォッシュコートローディングよりも高いローディングであり得、一方で第二の区域はウォッシュコートを含まないことである。添付の実施例では、結果として得られる三元触媒化フィルタは、同じ白金族金属ローディングで均質にゾーンコートされるフィルタよりも低い背圧を有する。特定の一実施形態では、第一の区域におけるウォッシュコートローディングは、>2.00gインチ−3など、>1.60gインチ−3、または例えば1.6〜2.4gインチ−3であり、好ましい実施形態では、第一の区域におけるウォッシュコートローディングは>2.4gインチ−3である。しかしながら、好ましくは、第一の区域におけるウォッシュコートローディングは≦3.0g/インチ−3である。
【0047】
本発明では、出口表面はウォッシュコートを含まないので、第二の基材長さは常に100%である。実施形態では、第一の区域の長さ(即ち、合計基材長さから第一の基材長さを引いたもの)は、合計基材長さの25〜75%、例えば50%であり得る。しかしながら、好ましい一実施形態では、第一の区域の基材長さは合計基材長さの<50%である。好ましい実施形態は、NO吸収剤触媒ウォッシュコート組成物を含む実施形態、酸化触媒ウォッシュコート組成物を含む実施形態、または、排気系が触媒化フィルタの上流側に三元触媒組成物を含む流動モノリス基材を含む、排気系で使用されるとき、三元触媒ウォッシュコート組成物を含む好ましい実施形態において望ましい。これは、フィルタがより低い背圧を有するが、系が全体として、例えばCO、HC、およびNOにおける還元のために、排出基準を満たすのに十分な白金族金属を含有するためである。
【0048】
実施形態では、第一の区域の基材長さは、合計基材長さの<40%など、<45%、例えば<35%である。
【0049】
しかしながら、触媒ウォッシュコート組成物がSCR触媒ウォッシュコート組成物である実施形態では、系中におけるNO変換の所望の全体レベルを達成するため、より長い第一の区域の長さ、例えば>50%が好ましいことがある。しかしながら、不確かさを回避するために、上述のパラグラフにおける限定、即ち「実施形態では、第一の区域の基材長さは、<45%などである」というのは、SCR触媒ウォッシュコート組成物を含む本発明の第一の態様によるフィルタに等しく当てはめることができる。
【0050】
触媒ウォッシュコート組成物が三元触媒、NO吸収剤触媒、または酸化触媒である実施形態など、貴金属、特に白金族金属を含む実施形態では、第一の区域における合計貴金属ローディングは、>50gft−3であることができるが、好ましくは60〜250gft−3であり、典型的には70〜150gft−3である。
【0051】
好ましい実施形態では、第一の区域は表面ウォッシュコートを含み、ウォッシュコート層は多孔質構造の表面孔を実質的に覆い、ウォッシュコートされた多孔質基材の孔は、ウォッシュコートの粒子間の空間(粒子間の孔)によって部分的に画成される。この好ましい実施形態では、多孔質ウォッシュコートの平均粒子間孔径は、0.1〜1.0μmなど、5.0nm〜5.0μmである。表面がコートされた多孔質フィルタ基材を作成する方法は、ポリマーを、例えばポリビニルアルコール(PVA)を多孔質構造に導入すること、ポリマーを含む多孔質フィルタ基材にウォッシュコートを塗布すること、乾燥させ、次にコートされた基材を焼成して、ポリマーを焼き尽くすことを含む。第一の実施形態の概略図が図2Aに示される。
【0052】
この第一の表面コーティングの実施形態における固体ウォッシュコート粒子のD90は、0.1〜20μmの範囲、または15〜30μmもしくは12〜25μmなどの10〜40μm、または18〜40μmなどの>15μm、例えば20〜35μmもしくは25〜30μmであることができる。「D90」は、本明細書で使用するとき、存在する粒子の90%が指定した範囲内の直径を有する、ウォッシュコート中の粒度分布を定義する。実施形態では、固体ウォッシュコート粒子の対応する平均粒径(D50)は、1〜40μmの範囲、例えば、5〜12μmもしくは7〜10μmなどの4〜15μmなど、1〜20μmである。特定の実施形態では、D50粒径は5μmであり、対応するD90は約15μmである。別の実施形態では、D50粒径が7〜10μm、例えば7〜8μmであるとき、D90粒径は約20μmである。ウォッシュコート中の粒径の範囲が広いほど、そのウォッシュコートが多孔質基材の多孔質構造に入ることができる傾向が高まることが理解されるであろう。
【0053】
TWCの実施形態では、酸素貯蔵成分は、高表面積酸化物とは異なる粒径を有することがある。したがって、OSCは、4〜6μmなど、1〜10μmのD50を有してもよく、高表面積酸化物は、4〜6μmなど、1〜10μmのD50を有してもよい。
【0054】
さらなるTWCの実施形態では、固体ウォッシュコート粒子のD90は0.1〜20μmの範囲である。やはり、OSCのD90は高表面積酸化物とは異なってもよい。したがって、OSCのD90は<18μmであることができ、高表面積酸化物のD90は<20μmであることができる。
【0055】
本明細書に開示するD50およびD90の測定値は、体積基準の技術である、Malvern Mastersizer 2000を用いるレーザー回折粒径分析によって得られ(即ち、D50およびD90はDv50およびDv90(もしくはD(v,0.50)およびD(v,0.90))とも呼ばれることがある)、数学的Mie理論モデルを適用して粒度分布を決定する。希釈したウォッシュコートサンプルを、35ワットで30秒間、界面活性剤を含まない蒸留水中で音波処理することによって準備した。
【0056】
多孔質フィルタ基材をコーティングする方法は、当業者には知られており、非限定的に、WO99/47260に開示されている方法、即ち、(a)閉込め手段を支持体の上に位置させるステップと、(b)予め定められた量の液体成分を前記閉込め手段に供与するステップとを、(a)の次に(b)または(b)の次に(a)の順序で行い、また、(c)圧力もしくは真空を適用することによって、前記液体成分を支持体の少なくとも一部分に引き込み、前記量のほぼすべてを支持体内で保持するステップを含む、モノリシック支持体をコーティングする方法を含む。かかるプロセスステップは、任意の焼入れ/焼成を用いて第一のコーティングを乾燥させた後、モノリシック支持体の別の端部から繰り返すことができる。
【0057】
あるいは、WO2011/080525に開示されている方法、即ち、(i)ハニカム状のモノリス基材ほぼ垂直に保つステップと、(ii)基材の下端にあるチャネルの開放端部を介して、予め定められた量の液体を基材に導入するステップと、(iii)導入された液体を基材内で封止して保持するステップと、(iv)保持された液体を含む基材を反転させるステップと、(v)反転された基材の下端にある基材のチャネルの開放端部に真空を適用して、基材のチャネルに沿って液体を引くステップとを含む、方法を使用することができる。
【0058】
第二の実施形態によれば、ウォッシュコートは、入口表面上に、また多孔質基材の多孔質構造内でコートされ得る。本発明者らは、孔の周りの表面コーティングを入口および/または出口表面で開放し、それによって、露出したフィルタ基板の例えば表面孔径を狭めることによって、孔体積を実質的に制限することなく、PMを含むガス相の相互作用が促進されるので、背圧が著しく増加することがないと考える。即ち、多孔質構造の表面の孔は孔開口を含み、ウォッシュコートによってほぼすべての孔開口が狭まる。第二の実施形態の概略図が図2Bに示される。
【0059】
第二の実施形態によるフィルタの作成方法は、粘性および表面湿潤特性を調節することと、多孔質基材のコーティングに続いて適切な真空を適用することとを含む、当業者には知られているウォッシュコートの適切な形成を伴うことができる(WO99/47260も参照)。
【0060】
第一および第二の実施形態では、入口表面は、複数のウォッシュコート層を、例えばNO吸収剤触媒またはTWC組成物を含むことができ、複数の層内の各ウォッシュコート層は同じであるかまたは異なることができ、例えば、第一の層の平均孔径は第二の層と異なることができる。
【0061】
第三の実施形態によれば、ウォッシュコートは実質的に多孔質基材の多孔質構造内に置かれ、即ち浸透している。この第三の実施形態の概略図が図2Cに示される。第三の実施形態によるフィルタの作成方法は、粘性を調節することと、低湿潤特性を選択することと、多孔質基材のウォッシュコートに続いて適切な真空を適用することとを含む、当業者には知られているウォッシュコートの適切な形成を含む(WO99/47260も参照)。あるいは、多孔質基材を塩の適切な溶液に浸漬し、結果として得られる生成物を乾燥し、焼成することができる。
【0062】
EP1663458は、フィルタが壁流モノリスであり、SCR触媒組成物が壁流モノリスの壁に浸透する、SCRフィルタを開示している。該明細書は、全体として、壁流フィルタの壁が、その上またはその中(即ち、両方ではない)に、1つ以上の触媒化材料を含有し得ることを開示している。該開示によれば、「浸透する」とは、壁流モノリス基材上における触媒スラリーの分散について説明するのに使用したとき、触媒組成物が基材の壁全体に分散することを意味する。
【0063】
ウォッシュコートの少なくとも一部が多孔質構造中にある、第二および第三の実施形態では、固体ウォッシュコート粒子の径、例えば平均径が、多孔質フィルタ基材の平均孔径未満、例えば、1〜18μm、1〜16μm、2〜15μm、または3〜12μmなど、0.1〜20μmの範囲であることができる。特定の実施形態では、固体ウォッシュコート粒子の上述の径は平均径の代わりにD90である。好ましい実施形態では、少なくとも1つの壁内入口コーティング組成物は1〜3μmの平均粒径(D50)を有する。かかる実施形態では、少なくとも1つの壁内入口コーティング組成物は4〜6μmのD90粒径を有することができる。
【0064】
本発明によれば、フィルタは、複数の入口チャネルおよび複数の出口チャネルを有するセラミック多孔質フィルタ基材を備える壁流フィルタであり、各入口チャネルおよび各出口チャネルは、多孔質構造のセラミック壁によって部分的に画成され、各入口チャネルは多孔質構造のセラミック壁によって出口チャネルから分離される。このフィルタ構成は、SAE810114にも開示されており、この文書をさらに詳細に参照することができる。
【0065】
実際に使用されているディーゼル壁流フィルタのセル密度は、ディーゼル壁流フィルタのセル密度が一般に、平方インチ当たり300セル(cpsi)以下、例えば100または200cpsiであるので、相対的に大きいディーゼルPM成分が、ディーゼル微粒子フィルタの固体前面面積に衝突し、それによって開放チャネルへのアクセスを粘結し汚損することなく、フィルタの入口チャネルに入ることができるという点で、本発明で使用される壁流フィルタとは異なることができるが、本発明で使用される壁流フィルタは、300cpsi以下、または350cpsi、400cpsi、600cpsi、900cpsi、もしくはさらには1200cpsiなど、300cpsi以上であることができる。
【0066】
より高いセル密度を使用することの利点は、フィルタが、ディーゼル微粒子フィルタよりも低減された断面、例えば直径を有することができる点であり、それは、排気系を車両上に位置させる設計上の選択肢を増大させる有用な実用的利点である。
【0067】
本発明で使用されるフィルタの利益は、コートされていない多孔質基材の孔隙率に実質的に依存しないことが理解されるであろう。孔隙率は、多孔質基材における空間のパーセンテージの指標であり、排気系の背圧と関係し、一般に、孔隙率が低いほど背圧が高い。しかしながら、本発明で使用されるフィルタの孔隙率は、典型的に>40%または>50%であり、50〜65%または55〜60%など、45〜75%の孔隙率が有利に使用することができる。ウォッシュコートされた多孔質基材の平均孔径は濾過にとって重要である。したがって、平均孔径も相対的に高いので、粗いフィルタである相対的に高い孔隙率の多孔質基材を有することが可能である。
【0068】
実施形態では、例えば多孔質フィルタ基材の多孔質構造の表面孔の、第一の平均孔径は、8〜45μm、例えば好ましくは8〜25μm、10〜20μm、または10〜15μmである。好ましい実施形態では、第一の平均孔径は、15〜45μm、20〜45μm、例えば20〜30μm、または25〜45μmなど、>18μmである。
【0069】
第二の態様によれば、本発明は、第一の区域が第二の区域の上流側に配設された、本発明の第一の態様による触媒化フィルタを備える、火花点火式内燃機関の排気系を提供する。
【0070】
本発明による第二の態様の特に好ましい一実施形態では、排気系は、触媒化フィルタの上流側に配設された三元触媒組成物またはNO吸収剤触媒組成物を含む、流動モノリス基材を備える。これは、触媒ウォッシュコート組成物が三元触媒ウォッシュコート組成物である、本発明の第一の態様の実施形態に特に好ましい構成であるが、その理由は、本発明による第一の態様のフィルタが系において生成する背圧はより低いが、三元触媒の体積が上流側の流動モノリス基材コーティングと本発明の第一の態様によるフィルタの第一の区域のコーティングとによって構成されるので、系全体におけるNO変換が維持されるためである。
【0071】
SCR触媒を含む排気系は、NO還元反応を促進する窒素系還元剤を要し、即ち有効であるためには、SCR触媒に流入する排ガス中に窒素系還元剤が存在しなければならない。適切な窒素系還元剤としてはアンモニアが挙げられる。アンモニアは、カルバミン酸アンモニウム(固体)を加熱することによって発生させることができ、発生したアンモニアを排ガスに注入することができる。あるいは、アンモニアは現場で、例えばフィルタの上流側に配設されたNACのリッチ再生中に、またはTWCをエンジン由来のリッチ排ガスと接触させることによって発生させることができる(上述の反応(4)および(5)の代替例を参照)。
【0072】
現場でのアンモニア発生とは別に、またはそれに加えて、窒素系還元剤またはその前駆物質を排ガスに直接注入することができる。適切な前駆物質としてはギ酸アンモニウムおよび尿素が挙げられる。前駆物質のアンモニアおよび他の副産物への分解は、水熱または触媒加水分解によることができる。したがって、実施形態では、本発明の第二の態様による排気系は、触媒化フィルタの上流側を流れる排ガスに窒素系還元剤を注入する、インジェクタ手段を備えることができる。かかるインジェクタは、かかる窒素系還元剤前駆物質源、例えばそのタンクに流体連結され、排気系への前駆物質の弁制御による供与は、適切にプログラムされたエンジン管理手段、および関連する排ガス組成物をモニタリングするセンサによって提供される閉ループまたは開ループフィードバックによって調整される。
【0073】
さらなる好ましい一実施形態では、フィルタは、NO吸収剤触媒ウォッシュコートで触媒化され、SCR触媒(好ましくは、上記に開示した好ましいSCR触媒のいずれか)を含むハニカム状基材のモノリスは、フィルタの下流側に配設される。例えばNO吸収剤触媒のNO吸収能力を再生する、エンジンの断続的でリッチな稼働は、下流側のSCR触媒上でNOを還元するのに使用されるTWCまたはNO吸収剤上において現場でアンモニアを発生させることができる。
【0074】
したがって、本発明の第二の態様による火花点火式エンジンの排気系は、次の構成のうち1つによる、上流から下流へのフロー方向で配設される一連のモノリス基材を備えることができる。
(i)流動モノリス基材上のTWC、およびそれに続く本発明の第一の態様によるTWCを含むフィルタ基材。
(ii)エンジンが断続的にリッチに稼働し、それによってTWC成分上でその場でアンモニアを発生させるように構成された、流動モノリス基材上のTWC、およびそれに続く本発明の第一の態様によるSCR触媒を含むフィルタ基材。
(iii)エンジンが断続的にリッチに稼働し、それによってNO吸収剤触媒成分上でその場でアンモニアを発生させるように構成された、流動モノリス基材上のNO吸収剤触媒、およびそれに続く本発明の第一の態様によるSCR触媒を含むフィルタ基材。
(iv)エンジンが断続的にリッチに稼働し、それによってNO吸収剤触媒成分上でその場でアンモニアを発生させるように構成された、本発明の第一の態様によるフィルタ基材上のNO吸収剤触媒、およびそれに続くSCR触媒を含む流動ハニカム基材。
(v)TWCが本発明によるフィルタ基材上にあり、流動基材モノリスがSCR触媒を含むことを除いて、(ii)と同じもの。
(vi)流動モノリス基材上のTWCが流動モノリス基材上のNO吸収剤触媒の上流側に配設され、TWC成分およびNO吸収剤触媒成分の両方の上でアンモニアを発生させてもよいことを除いて、(iii)と同じもの。
(vii)流動モノリス基材上のTWCが本発明の第一の態様によるフィルタ上のNO吸収剤触媒の上流側に配設され、TWC成分およびNO吸収剤触媒成分の両方の上でその場でアンモニアを発生させてもよいことを除いて、(iv)と同じもの。
(viii)その場でアンモニアを発生させるシステムの代わりに、またはそれに加えて、窒素系還元剤またはその前駆物質を注入するインジェクタ手段が、SCR触媒の上流側であってTWCまたはNO吸収剤触媒の下流側に配設された、(ii)〜(vii)のいずれかを包含するもの。
【0075】
第三の態様によれば、本発明は、本発明の第二の態様による排気系を備える火花点火式エンジンを提供する。
【0076】
本発明の第三の態様による好ましい一実施形態では、触媒ウォッシュコート組成物は選択接触還元(SCR)触媒ウォッシュコート組成物であり、系は、触媒化フィルタの上流側に配設された三元触媒組成物またはNO吸収剤触媒組成物を含む流動モノリス基材上でその場でアンモニアを発生させるため、少なくとも1つのエンジンシリンダを制御し、それによって濃縮排ガスをエンジンから排出する、エンジン管理手段を備える。
【0077】
本発明のこの態様で使用される、スパーク点火式内燃機関などの火花点火式内燃機関は、ガソリン燃料、メタノールおよび/もしくはエタノールを含むオキシジェネートとブレンドしたガソリン燃料、液体石油ガス、または圧縮天然ガスによって燃料供給することができる。火花点火式エンジンは、化学量論的に運転されるエンジンまたはリーン燃焼により運転されるエンジンであることができる。
【0078】
第4の態様によれば、本発明は、本発明の第4の態様による火花点火式エンジンを含む車両を提供する。
【0079】
第5の態様によれば、本発明は、火花点火式内燃機関の排ガス中の窒素および粒子状物質の酸化物を同時に変換する方法を提供し、該方法は、合計基材長さを有するとともに入口表面および出口表面を有する多孔質基材を含む触媒化フィルタをガスと接触させるステップを含み、第一の平均孔径の孔を含む第一の多孔質構造によって入口表面が出口表面から分離され、多孔質基材は触媒ウォッシュコート組成物で部分的にコートされ、多孔質基材のウォッシュコートされた部分の第二の多孔質構造は第二の平均孔径の孔を含み、第二の平均孔径は第一の平均孔径よりも小さく、触媒ウォッシュコート組成物は、合計基材長さよりも短い第一の基材長さの入口表面を含む第一の区域に配設され、第二の基材長さの出口表面を含む第二の区域はウォッシュコートを含まず、第一の区域の基材長さと第二の区域の基材長さの合計は>100%である。
【0080】
本発明をより十分に理解できるようにするため、添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
図1】ディーゼルエンジンの排ガス中のPMの粒度分布を示すグラフである(比較のため、SAE1999−01−3530の図4にガソリン粒度分布を示す)。
図2A】本発明によるウォッシュコートされた多孔質フィルタ基材の実施形態を示す概略図である。
図2B】本発明によるウォッシュコートされた多孔質フィルタ基材の実施形態を示す概略図である。
図2C】本発明によるウォッシュコートされた多孔質フィルタ基材の実施形態を示す概略図である。
図3】多孔質フィルタ基材、多孔質ウォッシュコート層、および多孔質表面ウォッシュコート層を含む多孔質フィルタ基材の孔径分布に関連する水銀孔隙率測定の概略図である。
図4】本発明による排気系の一実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0082】
図2A〜Cは、表面孔12を含む多孔質フィルタ基材10の断面図を示す。図2は、表面孔12を含む多孔質フィルタ基材10の断面図を示す。図2は、固体ウォッシュコート粒子で構成され、粒子間の空間が孔(粒子間孔)を画成する多孔質表面ウォッシュコート層14を特色とする、一実施形態を示す。ウォッシュコート層14が多孔質構造の孔12を実質的に覆っており、粒子間孔16の平均孔径が多孔質のフィルタ基材10の平均孔径12よりも小さいことが分かる。
【0083】
図2Bは、入口表面16上に、またそれに加えて多孔質基材10の多孔質構造12内にコートされる、ウォッシュコートを含む第二の実施形態を示す。ウォッシュコート層14によって表面孔12の孔開口が狭まっており、それによって、コートされる多孔質基材の平均孔径18が多孔質フィルタ基材10の平均孔径12よりも小さくなっていることが分かる。
【0084】
図2Cは、ウォッシュコート14が実質的に、多孔質基材10の多孔質構造12内に置かれ、即ち浸透している、第三の実施形態を示す。
【0085】
図3は、多孔質フィルタ基材20、多孔質ウォッシュコート層22、および表面ウォッシュコート層24を含む多孔質ディーゼルフィルタ基材の、孔径対孔数に関係するグラフの実例を示す。フィルタ基材が約15μm程度の平均孔径を有することが分かる。ウォッシュコート層は、粒子間孔22A(範囲のナノメートル端部にある)および目盛りのマイクロメートル端部に向かう粒子間孔22Bで構成される双峰分布を有する。また、多孔質フィルタ基材を本発明によるウォッシュコートでコートすることによって、露出したフィルタ基材の孔分布が粒子間ウォッシュコート孔径の方向にずれることが分かる(矢印を参照)。
【0086】
図4は、車両の火花点火式エンジン13およびその排気系15を備える、本発明による装置11を示す。排気系15は、触媒後処理成分を、即ち、エンジンの排気マニホルドの近く(いわゆる密結合位置)に配設された不活性コーディエライト流動基材18上にコートされたPd−Rh系TWCを、連結する導管17を備える。密結合触媒18の下流側には、次に、合計長さを有し、上流側から測定した合計長さの3分の2の長さまでコートされた入口チャネル、または第一の区域22をコーティングが画成する2.8gin−3のウォッシュコートローディングを有する壁流フィルタの入口端部を備える、コーディエライト壁流フィルタ20上にコートされたゾーンCuCHA SCR触媒がある。出口チャネルはいずれのコーティングも有さない。エンジン管理手段(図示なし)は、断続的にリッチに、即ち「リッチスパイク」式のモードで稼働され、それによって上流側のTWCを濃縮排ガスと接触させ、アンモニアおよび他の改質窒素系還元剤種をその場で発生させ、下流側のSCR触媒上におけるNO変換を促進する。
【0087】
以下の実施例は単なる例証として提供される。実施例で引用されるウォッシュコートローディングは、WO2011/080525に開示されている方法を使用して得た。
【0088】
実施例
寸法4.66×5.5インチ、平方インチ当たり300セル、壁厚0.012インチ、平均孔径20μm、および孔隙率65%の2つのコーディエライト壁流フィルタをそれぞれ、互いに異なる構成のTWC組成物でコートした。第一の参照フィルタは、入口端から合計フィルタ長さの50%の長さまでと、出口端から合計フィルタ長さの50%の長さまで、40g/ftの合計白金族金属で、合計1.6g/inのウォッシュコートローディングまで、同じ三元触媒ウォッシュコートで均質にゾーンコートされた。本発明による第二のフィルタは、参照例で使用したものと同一の三元触媒ウォッシュコートで、入口端からフィルタの合計長さの50%の長さまでゾーンコートされた。出口端区域はウォッシュコートが何もないままにした。第一の入口区域における合計の白金族金属ローディングは、2.4g/in−3のウォッシュコートローディングで80g/ft−3であり、即ち、白金族金属ローディングは、参照例と本発明によるフィルタとの間で同一であった。
【0089】
コートされたフィルタはそれぞれ、950℃で5時間、10%の水/空気中で水熱的にオーブン老化させた。各部分のコールドフロー背圧は、室温および室内圧力の空気を引き込むSuperFlow(登録商標)背圧実験室試験装置を用いて、室温で測定した。結果を以下の表に提示しており、そこから、試験した流量の範囲に関して、参照例によって発生した背圧は、同じ貴金属ローディングに対して本発明によるフィルタの場合よりも著しく高いという結果が分かる。
【0090】
いかなる不確かさも回避するために、本明細書で引用するすべての従来技術文献の全内容を参照により本明細書に組み込む。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4