特許 6389872 回転工具用迅速交換システム

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】6389872

(24)【登録日】2018年8月24日

(45)【発行日】2018年9月12日

(54)【発明の名称】回転工具用迅速交換システム

(51)【国際特許分類】

   B23B 51/12 20060101AFI20180903BHJP

   B23B 51/04 20060101ALI20180903BHJP

   B23B 31/02 20060101ALI20180903BHJP

【ＦＩ】

   B23B51/12

   B23B51/04 Z

   B23B31/02 E

【請求項の数】18

【全頁数】20

(21)【出願番号】特願2016-512868(P2016-512868)

(86)(22)【出願日】2014年5月5日

(65)【公表番号】特表2016-517806(P2016-517806A)

(43)【公表日】2016年6月20日

(86)【国際出願番号】NL2014050288

(87)【国際公開番号】WO2014178718

(87)【国際公開日】20141106

【審査請求日】2017年4月12日

(31)【優先権主張番号】1040196

(32)【優先日】2013年5月3日

(33)【優先権主張国】NL

【早期審査対象出願】

(73)【特許権者】

【識別番号】515306161

【氏名又は名称】ボールウェルク・ベスローテン・フェンノートシャップ

【氏名又は名称原語表記】Ｂｏｏｒｗｅｒｋ Ｂ．Ｖ．

(74)【代理人】

【識別番号】100101454

【弁理士】

【氏名又は名称】山田 卓二

(74)【代理人】

【識別番号】100081422

【弁理士】

【氏名又は名称】田中 光雄

(72)【発明者】

【氏名】リシャルト・アレクサンドル・ボスケ

【審査官】 久保田 信也

(56)【参考文献】

【文献】 特表２００８−５２２８４４（ＪＰ，Ａ）

【文献】 実公昭３６−０２８１７０（ＪＰ，Ｙ１）

【文献】 特開平１０−２７７８２４（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】（Int.Cl.，ＤＢ名）

Ｂ２３Ｂ ５１／００ − ５１／１４

Ｂ２３Ｂ ３１／０２

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

回転工具を保持するための工具ホルダーを有する迅速交換システムであって、前記工具ホルダーは、
細長いシャンクと、
回転工具を前記シャンクに連結するための工具アダプターと、
を有し、
前記シャンクは、第１端部が穴あけ加工機のドリルチャックに接続可能である接続部として具現化され、
前記工具アダプターは、内部にシャンク受容空洞部を備えたアダプター本体を有し、
前記シャンク及び前記シャンク受容空洞部は、前記シャンクを前記アダプター本体に係合させるために前記シャンクの第２端部を前記シャンク受容空洞部に挿入可能であるような断面形状を有し、
前記工具ホルダーはまた、
前記細長いシャンク及び前記工具アダプターの少なくとも１つに配置され、前記工具アダプターが前記細長いシャンクと係合されると前記シャンクの長手方向中心軸の周りに前記シャンクに対する前記工具アダプターの回転を阻止するように構成された回転阻止部と、
操作可能であると共に前記細長いシャンク及び前記工具アダプターの少なくとも１つに配置され、且つ阻止モードと解放モードとの間で操作可能である第１軸方向阻止部であって、前記工具アダプターが前記細長いシャンクと係合されると、
前記阻止モードでは、前記長手方向中心軸に沿う前記細長いシャンクに対する前記工具アダプターの平行移動が前記シャンクの第１端部から第２端部の方向において阻止され、
前記解放モードでは、前記長手方向中心軸に沿う前記細長いシャンクに対する前記工具アダプターの平行移動が前記シャンクの第１端部から第２端部の方向において自由である、第１軸方向阻止部と、
を有し、
前記工具アダプターは、解放モードで、前記シャンクの第１端部から第２端部の方向に前記長手方向中心軸に沿って前記シャンクに対して該工具アダプターに配置された前記回転工具を備えた前記工具アダプターを平行移動させることによって前記回転工具及び前記工具アダプターを前記シャンクから取り外すことができるように、一体物を形成するために回転工具と一体化される、又は該工具アダプターに回転工具を配置するように構成され、
前記工具ホルダーはまた、
操作不能であると共に、前記シャンクの第２端部から第１端部の方向に前記長手方向中心軸に沿う前記細長いシャンクに対する前記工具アダプターの平行移動を阻止し、前記シャンクの第１端部から第２端部の方向に前記長手方向中心軸に沿う前記細長いシャンクに対する前記工具アダプターの平行移動を可能にする第２軸方向阻止部を有し、
前記第２軸方向阻止部は、前記工具アダプターが前記第１軸方向阻止部の阻止モードで前記細長いシャンクと係合されるときに前記第２軸方向阻止部が前記細長いシャンクの第２端部から第１端部の方向に前記長手方向中心軸に沿う前記細長いシャンクに対する前記工具ホルダーの平行移動を阻止するように位置付けられる、
迅速交換システム。

【請求項2】

前記第１軸方向阻止部は、
前記アダプター本体に配置されると共に両端部の間に凹部を有するブロックピンと、
前記シャンクに配置されるブロック溝部と、
を有し、
前記ブロックピンは、前記シャンク受容空洞部の前記長手方向中心軸に対して横切る方向に延在するブロックピン空洞部内に延在すると共に前記シャンク受容空洞部の前記長手方向中心軸に対してオフセットし、前記ブロックピン空洞部は、前記シャンク受容空洞部と一部交差し、
前記ブロックピンは、阻止位置と解放位置との間で前記ブロックピン空洞部内で移動可能であり、
前記阻止位置では、前記凹部は前記ブロックピンが前記シャンク受容空洞部内に一部延在するように位置付けられ、
前記解放位置では、前記凹部は前記シャンク受容空洞部が前記ブロックピンから離れてあるように位置付けられ、
前記ブロック溝部及び前記ブロックピンは、前記シャンクが前記アダプター本体と係合されるときに、前記ブロック溝部が、前記ブロックピンの阻止位置で前記シャンク受容空洞部内に延在する前記ブロックピンの一部がまた前記ブロック溝部内に延在するように前記ブロックピンに対して位置付けることができるように配置される、
請求項１に記載の迅速交換システム。

【請求項3】

前記ブロックピンは、前記阻止位置と前記解放位置との間で、
前記ブロックピンの前記長手方向中心軸の周りに回転可能である、及び、
前記ブロックピンの前記長手方向中心軸に沿って平行移動可能である、
の少なくとも１つである、
請求項２に記載の迅速交換システム。

【請求項4】

前記第２軸方向阻止部は、
前記シャンクの前記長手方向中心軸に対する前記シャンクの径方向寸法の増加と、
前記シャンク受容空洞部の前記長手方向中心軸に対する前記シャンク受容空洞部の径方向寸法の減少との少なくとも１つを有し、それによって、
前記シャンクの前記長手方向中心軸に対する径方向に少なくとも延在する前記シャンクの多数のブロック面が、前記シャンク受容空洞部の前記長手方向中心軸に対する径方向に少なくとも延在する前記工具アダプターの多数のブロック面と係合可能である、
請求項１から請求項３の何れか１項に記載の迅速交換システム。

【請求項5】

前記シャンクの前記ブロック面と該ブロック面と係合される前記工具アダプターの前記ブロック面とは、前記シャンクの断面周囲に沿う多数の位置にある、
請求項４に記載の迅速交換システム。

【請求項6】

前記回転阻止部は、前記シャンクの回転阻止部分と前記シャンク受容空洞部の回転阻止部分とを有し、
前記シャンクの前記回転阻止部分は、前記シャンク受容空洞部の前記回転阻止部分と係合可能であり、
前記シャンクの前記回転阻止部分は、前記シャンクの断面において円形とは異なる形状を有し、
前記シャンク受容空洞部の前記回転阻止部分は、円形とは異なる断面形状を有する、
請求項１から請求項５の何れか１項に記載の迅速交換システム。

【請求項7】

前記シャンクの回転阻止部分と前記シャンク受容空洞部の回転阻止部分とは、同一断面形状を有する、
請求項１に記載の迅速交換システム。

【請求項8】

前記シャンクの前記回転阻止部分及び前記シャンク受容空洞部の前記回転阻止部分の寸法は、前記シャンクの前記回転阻止部分及び前記シャンク受容空洞部の前記回転阻止部分が断面周囲全体に沿って相互に係合可能であるように設定されている、
請求項７に記載の迅速交換システム。

【請求項9】

前記シャンク受容空洞部は、連通孔である、
請求項１から請求項８の何れか１項に記載の迅速交換システム。

【請求項10】

前記シャンクは、前記第２端部にパイロットドリルを受容するためのパイロットドリル受容空洞部を備えている、
請求項９に記載の迅速交換システム。

【請求項11】

パイロットドリルは、前記パイロットドリル受容空洞部に受容される、
請求項１０に記載の迅速交換システム。

【請求項12】

前記回転工具は、ホールソーであり、
前記シャンクの第１端部から第２端部の方向に延在する前記シャンクの一部において、前記シャンク受容空洞部及び前記シャンクの断面及び長さは、前記シャンクの第２端部を前記シャンク受容空洞部から取り外した状態で、前記シャンクの前記第１端部を使用して前記ホールソーから中心栓部を押圧するために前記シャンクの前記第１端部が前記シャンク受容空洞部を通じて挿入して配置することができるように具現化される、
請求項９から請求項１１の何れか１項に記載の迅速交換システム。

【請求項13】

回転工具は、前記工具アダプターに配置される、
請求項１から請求項１２の何れか１項に記載の迅速交換システム。

【請求項14】

前記工具アダプターのそれぞれに、回転工具を備えた複数の工具アダプターを有する、
請求項１から請求項１３の何れか１項に記載の迅速交換システム。

【請求項15】

請求項１から請求項１４の何れか１項に記載の迅速交換システムを形成するためのシャンク。

【請求項16】

請求項１から請求項１４の何れか１項に記載の迅速交換システムを形成するための工具アダプター。

【請求項17】

請求項１から請求項１４の何れか１項に記載の迅速交換システムを製造するための方法。

【請求項18】

回転工具を保持するための工具ホルダーを有する迅速交換システムであって、前記工具ホルダーは、
細長いシャンクと、
回転工具を前記シャンクに連結するための工具アダプターと、
を有し、
前記シャンクは、第１端部が穴あけ加工機のドリルチャックに接続可能である接続部として具現化され、
前記工具アダプターは、内部にシャンク受容空洞部を備えたアダプター本体を有し、
前記シャンク及び前記シャンク受容空洞部は、前記シャンクを前記アダプター本体に係合させるために前記シャンクの第２端部を前記シャンク受容空洞部に挿入可能であるような断面形状を有し、
前記工具ホルダーはまた、
前記細長いシャンク及び前記工具アダプターの少なくとも１つに配置され、前記工具アダプターが前記細長いシャンクと係合されると前記シャンクの長手方向中心軸の周りに前記シャンクに対する前記工具アダプターの回転を阻止するように構成された回転阻止部と、
操作可能であると共に前記細長いシャンク及び前記工具アダプターの少なくとも１つに配置され、且つ阻止モードと解放モードとの間で操作可能である第１軸方向阻止部であって、前記工具アダプターが前記細長いシャンクと係合されると、
前記阻止モードでは、前記長手方向中心軸に沿う前記細長いシャンクに対する前記工具アダプターの平行移動が前記シャンクの第１端部から第２端部の方向において阻止され、
前記解放モードでは、前記長手方向中心軸に沿う前記細長いシャンクに対する前記工具アダプターの平行移動が前記シャンクの第１端部から第２端部の方向において自由である、第１軸方向阻止部と、
を有し、
前記工具アダプターは、解放モードで、前記シャンクの第１端部から第２端部の方向に前記長手方向中心軸に沿って前記シャンクに対して該工具アダプターに配置された前記回転工具を備えた前記工具アダプターを平行移動させることによって前記回転工具及び前記工具アダプターを前記シャンクから取り外すことができるように、一体物を形成するために回転工具と一体化される、又は該工具アダプターに回転工具を配置するように構成され、
前記工具ホルダーはまた、
操作不能であると共に、前記シャンクの第２端部から第１端部の方向に前記長手方向中心軸に沿う前記細長いシャンクに対する前記工具アダプターの平行移動を阻止し、前記シャンクの第１端部から第２端部の方向に前記長手方向中心軸に沿う前記細長いシャンクに対する前記工具アダプターの平行移動を可能にする第２軸方向阻止部を有し、
前記第２軸方向阻止部は、前記工具アダプターが前記第１軸方向阻止部の阻止モードで前記細長いシャンクと係合されるときに前記第２軸方向阻止部が前記細長いシャンクの第２端部から第１端部の方向に前記長手方向中心軸に沿う前記細長いシャンクに対する前記工具ホルダーの平行移動を阻止するように位置付けられ、
前記第２軸方向阻止部は、
前記シャンクの取付溝部の上のブロッククリップによる、前記シャンクの前記長手方向中心軸に対する前記シャンクの径方向寸法の増加と、
前記シャンク受容空洞部の前記長手方向中心軸に対する前記シャンク受容空洞部の径方向寸法の減少と、の少なくとも１つを有し、それによって、
前記シャンクの前記長手方向中心軸に対する径方向に少なくとも延在する前記シャンクの多数のブロック面が、前記シャンク受容空洞部の前記長手方向中心軸に対する径方向に少なくとも延在する前記工具アダプターの多数のブロック面と係合可能である、迅速交換システム。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、回転工具用、特にホールソー用迅速交換システムに関する。

【背景技術】

【0002】

ホールソー用迅速交換システムが知られている。既知の迅速交換システムは、複雑で多数の操作機構を有すると共に当該システムの異なる構成要素の複雑な製造を必要とし、それによって高価である。

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0003】

本発明の目的は、特に既知の迅速交換システムのこれら及びその他の欠点を克服することである。

【課題を解決するための手段】

【0004】

本発明に係る迅速交換システムは、回転工具を保持するための工具ホルダーを有し、前記工具ホルダーは、
細長いシャンクと、
回転工具を前記シャンクに連結するための工具アダプターと、
を有し、
前記シャンクは、第１端部が穴あけ加工機のドリルチャンクに接続可能である接続部として具現化され、
前記工具アダプターは、内部にシャンク受容空洞部を備えたアダプター本体を有し、
前記シャンク及び前記シャンク受容空洞部は、前記シャンクを前記アダプター本体と係合させるために前記シャンクの第２端部を前記シャンク受容空洞部に挿入可能であるような断面形状を有し、
前記工具ホルダーはまた、
前記細長いシャンク及び前記工具アダプターの少なくとも１つに配置され、前記工具アダプターが前記細長いシャンクと係合されると前記シャンクの長手方向中心軸の周りに前記シャンクに対する前記工具アダプターの回転を阻止するように構成された回転阻止部（rotation blocking）と、
阻止モードと解放モードとの間で操作可能である第１軸方向阻止部（axial blocking）であって、前記工具アダプターが前記細長いシャンクと係合されると、
前記阻止モードでは、前記長手方向中心軸に沿う前記細長いシャンクに対する前記工具アダプターの平行移動が前記シャンクの第１端部から第２端部の方向において阻止され、
前記解放モードでは、前記長手方向中心軸に沿う前記細長いシャンクに対する前記工具アダプターの平行移動が前記シャンクの第１端部から第２端部の方向において自由である、第１軸方向阻止部と、
を有し、
前記工具ホルダーはまた、
操作不能であると共に、前記細長いシャンクの第２端部から第１端部の方向に前記長手方向中心軸に沿う前記細長いシャンクに対する前記工具アダプターの平行移動を阻止し、前記細長いシャンクの第１端部から第２端部の方向に前記長手方向中心軸に沿う前記細長いシャンクに対する前記工具アダプターの平行移動を可能にする第２軸方向阻止部を有し、
前記第２軸方向阻止部は、前記工具アダプターが前記第１軸方向阻止部の阻止モードで前記細長いシャンクと係合されるときに前記第２軸方向阻止部が前記細長いシャンクの第１端部の方向に前記長手方向中心軸に沿う前記細長いシャンクに対する前記工具ホルダーの平行移動を阻止するように位置付けられる。

【0005】

これらの手段は、製造及び組立が容易である、格別に簡単な設計の構成要素を備えた迅速交換システムを可能にする。工具アダプターをシャンクと係合させ、それによって回転工具をシャンクに連結するために工具アダプターのシャンク受容空洞部に挿入可能であるシャンクの適用は、例えば出発材料のロッド状部品から、シャンクの簡単な具現化及び製造を可能にする。解放モードでは、操作可能である第１軸方向阻止部は、例えば回転工具及び工具アダプターを別の回転工具及び工具アダプターと交換するために、シャンクから回転工具及び工具アダプターを取り除くことができ、阻止モードでは、例えば回転工具が作業操作中に地面の方に向けられるときに、工具アダプターに配置される回転工具を備えた工具アダプターがシャンクから非意図的に取り外されることを防止する。ユーザーが穴あけ加工機を介して回転工具及び工具アダプターに及ぼす穴あけ加工される材料の方向における押圧力に対して回転工具で操作が行われるときに、操作不能であると共に第１軸方向阻止部と同時に作動し、且つ操作要素を用いて阻止位置と解放位置との間で移動不能である第２軸方向阻止部は、材料が穴あけ加工されることによって回転工具及び工具アダプターに及ぼされる力による穴あけ加工機の方向における工具アダプターの移動を阻止する。回転工具をシャンクから取り外させる力は、すなわち回転工具及び工具アダプターが穴あけ加工機から離れて配置させられる力は、回転工具及び工具アダプターが穴あけ加工機の方に移動させられる力に比べて低い。これは特に、回転工具としてホールソーを備える場合である。第２軸方向阻止部の使用を通じて、第１軸方向阻止部は、小さい力に耐えることができることのみが必要であり、それによって簡単な操作機構を備えた簡単な設計とすることができる。操作可能である第１軸方向阻止部の使用のために、第２軸方向阻止部を操作する必要がなく、従って比較的に大きい軸方向の力に耐えるように最適に構成することができ、これは、第２軸方向阻止部の比較的に簡単な具現化を可能にする。

【0006】

シャンクは、第１端部が穴あけ加工機のドリルチャンクに接続可能である接続部として具現化されるので、工具ホルダーの穴あけ加工機への接続は、工具ホルダーの一部を形成する回転阻止部、第１軸方向阻止部及び第２軸方向阻止部の具現化とは無関係である。シャンクの第１端部は従って、標準ドリルチャックと協働する接続部として具現化することができる。これは、本発明に係る迅速交換システムの工具ホルダーを穴あけ加工機の標準ドリルチャックと組み合わせて適用することができ、穴あけ加工機は、工具ホルダーのために特に具現化されたドリルチャックを備える必要がないという利点を有する。ドリルチャックへの接続のための既知のシャンクの標準実施形態は、ＳＤＳシャンク、ＨＥＸシャンク、三角形シャンク及びストレートシャンクである。

【0007】

本発明に係る迅速交換システムは、ホールソーの迅速交換に特に適しているが、本発明に係る迅速交換システムはまた、コアドリル、ブラシ、研磨ディスク、研摩ディスクなどの他の回転工具の迅速交換のために有利である。

【0008】

操作可能である第１軸方向阻止部は、第２軸方向阻止部の使用を通じて比較的に簡単な方法で具現化することができるので、操作機構の移動可能な要素は、簡単な設計とすることができ、それによって費用効率の高い方法で工具アダプターに一体化することができる。特に有利な実施形態では、第１軸方向阻止部が阻止モードと解放モードとの間で操作可能であるそれらの移動可能な要素は、工具アダプターに配置される。シャンクはそれによって、移動可能である操作要素から離れて（clear）保持することができ、それによって特に簡単な設計とすることができる。本発明に係る迅速交換システムの好ましい実施形態で使用される。この実施形態では、前記第１軸方向阻止部は、
前記アダプター本体に配置されると共に両端部の間に凹部を有するブロックピンと、
前記シャンクに配置されるブロック溝部と、
を有し、
前記ブロックピンは、前記シャンク受容空洞部の前記長手方向中心軸に対して横切る方向に延在するブロックピン空洞部内に延在すると共に前記シャンク受容空洞部の前記長手方向中心軸に対してオフセットし、前記ブロックピン空洞部は、前記シャンク受容空洞部と一部交差し、
前記ブロックピンは、阻止位置と解放位置との間で前記ブロックピン空洞部内で移動可能であり、
前記阻止位置では、前記凹部は前記ブロックピンが前記シャンク受容空洞部内に一部延在するように位置付けられ、
前記解放位置では、前記凹部は前記シャンク受容空洞部が前記ブロックピンから離れてあるように位置付けられ、
前記ブロック溝部及び前記ブロックピンは、前記シャンクが前記アダプター本体と係合されるときに、前記ブロック溝部が、前記ブロックピンの阻止位置で前記シャンク受容空洞部内に延在する前記ブロックピンの一部がまた前記ブロック溝部内に延在するように前記ブロックピンに対して位置付けることができるように配置される。

【0009】

この実施形態では、ブロック溝部のみが、第１軸方向阻止部を形成するためにシャンク内に配置される必要があり、それはシャンクの製造を簡単にする。工具アダプターの製造はまた、空洞部内で移動可能であるブロックピンの適用のために簡単である。ブロックピンは、ブロック溝部のほんの一部のみに沿ってシャンクの一方側においてのみブロック溝部内に延在する。第１軸方向阻止部は、小さい力に耐えることのみが必要であるので、これは問題ではない。代替的に、ブロックピンは、ブロック溝部内に直接突き出ていないが、阻止位置でブロック溝部内に突き出ると共に解放位置で前記溝部から外に引っ張る又は押圧することができるブロック要素を介して間接的に突き出る。前記ピンは好ましくは、ばね部材を用いて阻止位置の方向に付勢される。ブロック溝部と組み合わせたブロックピンは、特にその簡単さのために特に勧められるが、別の具現化された制御可能なブロック要素は、例えばプレート状のブロック要素、一端部が例えばばねとして具現化されるプレート状のブロック要素は、ブロックピンのブロック機能を果たすことができる。

【0010】

この有利な実施形態では、前記ブロックピンは、前記阻止位置と前記解放位置との間で、
前記ブロックピンの前記長手方向中心軸の周りに回転可能である、及び、
前記ブロックピンの前記長手方向中心軸に沿って平行移動可能である、
の少なくとも１つである。

【0011】

これらの手段は、阻止位置から解放位置にブロックピンを移動することから、穴あけ加工中にブロックピンに及ぼされる力を回避することができる。

【0012】

本発明に係る迅速交換システムの更に有利な実施形態では、前記第２軸方向阻止部は、
前記シャンクの前記長手方向中心軸に対する前記シャンクの径方向寸法の増加と、
前記シャンク受容空洞部の前記長手方向中心軸に対する前記シャンク受容空洞部の径方向寸法の減少との少なくとも１つを有し、それによって、
前記シャンクの前記長手方向中心軸に対する径方向に少なくとも延在する前記シャンクの多数の、すなわち１つ若しくは複数のブロック面が、前記シャンク受容空洞部の前記長手方向中心軸に対する径方向に少なくとも延在する前記工具アダプターの多数の、すなわち１つ若しくは複数のブロック面と係合可能である。

【0013】

これらの手段は、第２軸方向阻止部の格別に簡単で有効な具現化及びそれの格別に簡単な製造を可能にする。このようなブロック面はまた、停止面又は突合面として呼ばれる。シャンクの寸法の径方向の増加及びシャンク受容空洞部の寸法の径方向の減少は、シャンク又はシャンク受容空洞部にそれぞれ配置され、あるいは一体化される径方向に突き出る要素を用いて実現することができる。

【0014】

この有利な実施形態では、共に係合されるシャンクのブロック面及び工具アダプターのブロック面は、シャンクの断面周囲に沿って多数の位置にある。

【0015】

これらの手段は、特に有効な軸方向阻止部を可能にする。

【0016】

本発明に係る迅速交換システムの更に有利な実施形態では、前記回転阻止部は、前記シャンクの回転阻止部分（rotation blocking part）と前記シャンク受容空洞部の回転阻止部分とを有し、
前記シャンクの前記回転阻止部分は、前記シャンク受容空洞部の前記回転阻止部分と係合可能であり、
前記シャンクの前記回転阻止部分は、前記シャンクの断面において円形とは異なる形状を有し、
前記シャンク受容空洞部の前記回転阻止部分は、円形とは異なる断面形状を有する。

【0017】

これらの手段は、前記回転阻止部の特に簡単で有効な具現化及びそれの特に簡単な製造を可能にする。

【0018】

この有効な実施形態では、前記シャンクの回転阻止部分と前記シャンク受容空洞部の回転阻止部分とは実質的に同一断面形状を有する。この有利な実施形態では、前記シャンクの回転阻止部分及び前記シャンク受容空洞部の回転阻止部分の寸法は、前記シャンクの回転阻止部分及び前記シャンク受容空洞部の回転阻止部分が断面周囲全体に実質的に沿って相互に係合可能であるようである。この手段は、特に有効な回転阻止部を可能する。

【0019】

本発明に係る迅速交換システムの更に有利な実施形態では、前記シャンク受容空洞部は連通孔である。

【0020】

この手段は、パイロットドリルが前記シャンクの第２端部に配置されることを可能にする。この手段はまた、前記シャンクが工具アダプターを通じて突き出ることを可能し、これは、工具アダプターの安定性に寄与する。また、工具アダプターを通じて突き出るシャンクの部分に、第１アダプターのシャンク受容空洞部と同様に、シャンクの第２端部を受容することができるシャンク受容空洞部を備えた第２工具アダプターを配置することができる。

【0021】

この有利な実施形態では、前記シャンクは、第２端部にパイロットドリルを受容するためのパイロットドリル受容空洞部を備えている。この手段は、前記シャンクにパイロットドリルを配置することを可能にする。

【0022】

本発明はまた、パイロットドリルがパイロットドリル受容空洞部に受容される前記のような本発明に係る迅速交換システムに関する。

【0023】

本発明に係る迅速交換システムの更に有利な実施形態では、前記シャンク受容空洞部は連通孔であり、前記回転工具は、ホールソーであり、前記シャンクの第１端部から第２端部の方向に延在する前記シャンクの一部において、前記シャンク受容空洞部及び前記シャンクの断面（section）及び長さは、前記シャンクの第１端部を使用してホールソーからコアプラグ（core plug）を押圧するために前記シャンクの第１端部が前記シャンク受容空洞部を通じて配置することができるように具現化される。この手段は、ホールソーを用いて穴をドリル加工した後に、前記シャンクの第１端部を穴あけ加工機のドリルチャンクから取り外すこと、前記シャンクの第２端部を前記シャンク受容空洞部から取り外すこと、及び前記シャンクの第１端部を使用して前記ホールソーからコアプラグを押圧するために前記シャンクの第１端部を前記シャンク受容空洞部を通じて挿入することを可能にする。

【0024】

本発明はまた、ホールソーが工具アダプターに配置される前記のような本発明に係る迅速交換システムに関する。

【0025】

本発明はまた、前記工具アダプターのそれぞれにホールソーを備えた複数の工具アダプターを有する前記のような本発明に係る迅速交換システムに関する。

【0026】

本発明はまた、前記のような本発明に係る迅速交換システムを形成するためのシャンクに関する。

【0027】

本発明はまた、前記のような本発明に係る迅速交換システムを形成するための工具アダプターに関する。

【0028】

本発明はまた、前記のような本発明に係る迅速交換システムを製造するための方法に関する。

【0029】

本発明は、添付図面に概略的に示される本発明に係る迅速交換システムの多数の例示的実施形態に基づいて以下にさらに説明する。これらは、非制限的な例示的実施形態である。

【図面の簡単な説明】

【0030】

【図1】本発明に係るホールソー用迅速交換システムを備えた穴あけ加工機の斜視図である。

【図2】分解組立図で表された部品を有する図１の迅速交換システムを備えた穴あけ加工機の斜視図である。

【図3】本発明に係る迅速交換システムの一実施形態の斜視図である。

【図4】分解組立図で表された部品を有する図３の迅速交換システムを示す図である。

【図5】図３の迅速交換システムの縦断面図である。

【図6A】阻止モードにあるアダプター本体を通る図３の迅速交換システムの断面図である。

【図6B】解放モードにあるアダプター本体を通る図３の迅速交換システムの断面図である。

【図7】図３の迅速交換システムの別の実施形態の斜視図である。

【図8】分解組立図で表された部品を有する図７の迅速交換システムの斜視図である。

【図9】図１の穴あけ加工機のドリルチャックに配置された図７の迅速交換システムの縦断面図である。

【図10】図３の迅速交換システムの更に別の実施形態の斜視図である。

【図11】分解組立図で表された部品を有する図１０の迅速交換システムの斜視図である。

【図12】図１０の迅速交換システムの縦断面斜視図である。

【図13A】阻止モードにあるアダプター本体近くの図１２の縦断面の詳細図である。

【図13B】解放モードにあるアダプター本体近くの図１２の縦断面の詳細図である。

【発明を実施するための形態】

【0031】

図１は、ドリルチャック３を備えた穴あけ加工機１を示す。穴あけ加工機１は、ホールソーホルダー７として具現化されると共にホールソー９として具現化される回転工具が穴あけ加工機１に配置される工具ホルダーを有する迅速交換システム５を備えている。

【0032】

図２は、迅速交換システム５のホールソーホルダー７がシャンク１１を有し、シャンク１１が、その第１端部を用いてドリルチャック３にクランプされると共に、その第２端部にパイロットドリル１３を備えていることを示す。図１のホールソーホルダー７がまた、図１に示されるホールソー９をシャンク１１に連結することができるホールソーアダプター１５を有することも示されている。ホールソーアダプター１５は、別のホールソーアダプター１９に配置される別のホールソー１７、例えば異なる直径のホールソーのシャンク１１への連結を可能にするように、図２に示されるようにシャンク１１から解放可能である。図１のホールソー９は従って、パイロットドリル１３を備えたシャンク１１をドリルチャック２から取り外すことなく別のホールソー１７と交換可能である。

【0033】

図３から図６は、図１に示されるような本発明に係る迅速交換システムの第１実施形態を詳細に示す。

【0034】

図３、図４及び図５は、ホールソーホルダー１０７の細長いシャンク１１１の一部が、第１端部が図１に示されるような穴あけ加工機のドリルチャックに接続可能である接続部１２１として具現化されることを示す。示される例示的実施形態では、接続部１２１は、周囲断面形態が六角形である所謂六角形タイプからなる。シャンク１１１は、第２端部にパイロットドリル受容空洞部１２３を備え、パイロットドリル受容空洞部１２３に、パイロットドリル１１３をシャンク１１１に配置するためにパイロットドリル１１３の円錐形状をした接続部１２５が押圧可能である。パイロットドリルはまた、例えばコレットチャック又は締付ねじを用いて受容可能である。ホールソーアダプター１１５は、内部にシャンク受容空洞部１２９を備えたアダプター本体１２７を有する。ホールソーアダプター１１５は、一方側にホールソーをねじ留めすることができるねじ山１３０の形をした接続部材を備えている。ホールソー及びホールソーアダプターは代替的に、一体物（one whole）を形成するように一体化され得る。

【0035】

シャンク１１１とシャンク受容空洞部１２９とは、シャンク１１１をアダプター本体１２７と係合させるためにシャンク１１１の第２端部をシャンク受容空洞部１２９に配置することができるような断面の実施形態、すなわち形状及び寸法を有する。示される例示的実施形態では、シャンク１１１の回転阻止部分１３１は、シャンク１１１の第１端部の方向にシャンク１１１の第２端部から延在し、六角形の形をした断面周囲で具現化される。シャンク受容空洞部１２９は、示される例示的実施形態ではその長さの一部に沿って六角形の形をした内側断面周囲を有する連通孔として具現化され、従って回転阻止部分１３３を形成する。シャンク１１１の回転阻止部分１３１とシャンク受容空洞部１２９の回転阻止部分１３３とは、同一断面周囲形状を有すると共に、シャンク１１１をホールソーアダプター１１５と係合させるためにシャンク１１１の第２端部をシャンク１１１及びシャンク受容空洞部１２９の長手方向Ａにシャンク受容空洞部１２９に挿入可能であるような寸法を有する。これらの寸法はまた、シャンク１１１の回転阻止部分１３１とシャンク受容空洞部１２９の回転阻止部分１３３とが、断面周囲全体に実質的に沿って相互に係合可能であるようである。円形とは異なる形状のために、シャンク１１１の回転阻止部分１３１とシャンク受容空洞部１２９の回転阻止部分１３３とは、シャンク１１１とホールソーアダプター１１５とが相互に係合するとき、シャンク１１１及びシャンク受容空洞部１２９の長手方向Ａに互いに対して移動可能であるが、シャンク１１１の長手方向中心軸１３７及びシャンク受容空洞部１２９の長手方向中心軸１２９の周りに、それらの軸はシャンク１１１とホールソーアダプター１１５とが相互に係合しているときに一致しているが、それらの軸の周りに矢印Ｂの方向に互いに対して回転することができない。シャンク１１１の回転阻止部分１３１とシャンク受容空洞部１２９の回転阻止部分１３３とはこれによって、共に回転阻止部を形成する。別の方法では、楕円又は六角形以外の多角形などの円形とは異なる他の形状もまた可能である。

【0036】

図３、図４及び図５はまた、第１軸方向阻止部がシャンク１１１及びアダプター本体１２７に配置され、第１軸方向阻止部は、アダプター本体１２７に配置されて両端部の間に狭くされた部分１４３の形をした凹部を有するブロックピン１４１と、シャンクに配置されたブロック溝部１４５との形をしていることを示している。

【0037】

ブロックピン１４３は、シャンク受容空洞部１２９の長手方向中心軸１３９に対して横切る方向に延在するブロックピン空洞部１４７内に延在すると共にシャンク受容空洞部１２９の長手方向中心軸１３９に対してオフセットする。

【0038】

ブロック溝部１４５は、シャンク１１１の周囲の周りに延在する。

【0039】

図５に示すように、シャンク受容空洞部１２９は、一端部にシャンク受容空洞部１２９の径方向の断面寸法の減少を備えている。この径方向寸法の減少は、ホールソーアダプター１１５にブロック面１５１を形成し、ブロック面１５１は、径方向Ｃに延在すると共にシャンク１１１の第２端部をシャンク受容空洞部１２９に挿入した後にシャンク１１１の第２端部に径方向に延在するブロック面１４９と接触し、それによって、シャンク１１１の第２端部から第１端部の方向Ｄにシャンク１１１の長手方向中心軸１３７に沿うホールソーアダプター１１５の更なる移動が阻止される。図５に示すように、ブロック面１４９と１５１とは、ブロック溝部１４５内に一部延在するブロックピン１４１を用いて形成される第１軸方向阻止部の阻止モードで相互に接触している。第２軸方向阻止部は、２つのブロック面１４９、１５１が相互に接触して径方向Ｃに延在することで形成される。シャンク１１１が、図５に示すようにホールソーアダプター１１５と係合しているとき、この第２軸方向阻止部は、シャンクの第２端部から第１端部の方向Ｄにシャンク１１１に沿うホールソーアダプター１１５の移動を阻止するが、シャンク１１１の第１端部から第２端部の方向Ｅの移動を可能にする。

【0040】

ブロックピン１４１は、図５に示すように第１軸方向阻止部の阻止モードでブロック溝部１４５内に一部延在するので、ブロックピン１４１及びブロック溝部１４５を用いて形成される第１軸方向阻止部は、シャンク１１１の第１端部から第２端部の方向Ｅにシャンク１１１に沿うホールソーアダプター１１５の移動を阻止する。

【0041】

図示されるように、この実施形態では、シャンク１１１の第２端部は、シャンク受容空洞部１２９から突き出る。

【0042】

特に図６Ａに、ブロックピン空洞部１４７が、シャンク受容空洞部１２９の長手方向中心軸１３９に対して横切る方向に延在すると共にブロックピン空洞部１４７がシャンク受容空洞部１２９と一部交差するようにシャンク受容空洞部１２９の長手方向中心軸１３９に対してオフセットすることが示されている。ブロックピン１４１は、矢印Ｆ及びＧの方向にブロックピン空洞部１４７内で移動可能である。ブロックピン空洞部１４７は、めくら穴として形成される。ブロックピン１４１は、螺旋ばね１５３、特に圧縮ばねを用いて矢印Ｆの方向に押圧される。ブロックピン１４１は、ブロックピン１４１が図６Ａに示される位置からブロックピン空洞部１４７内で矢印Ｆの方向に更に移動することができないようにブロックピン１４１の狭くされた部分１４３内に一部延在する溝付きピン１５５を用いてここに保持される。図３Ａは、阻止位置にあるブロックピン１４１を示し、ここでは、狭くされた部分１４３は、ブロックピン１４１がシャンク受容空洞部１２９内に一部延在するように位置付けられる。図５及び図６Ａに示すように、ブロックピン１４１はまた、第１軸方向阻止部が阻止モードにあるようにブロック溝部１４５内に延在する。ブロックピン１４１はこのモードではブロック溝部１４５内に延在するので、シャンク１１１の第１端部から第２端部の方向Ｅにシャンク１１１の長手方向軸１３７に沿うシャンク１１１に対するホールソーアダプター１１５の移動は、この位置では阻止される。図５はまた、第２軸方向阻止部がシャンク１１１の第２端部から第１端部の方向にシャンク１１１の長手方向軸１３７に沿うシャンク１１１に対するホールソーアダプター１１５の移動を阻止するように第１軸方向阻止部の阻止モードでブロック面１４９、１５１が相互に接触するようにブロック溝部１４５が位置付けられることを示す。

【0043】

ブロックピン１４１は、図６Ａに示すようにその位置から矢印Ｆの方向に移動することができないが、しかしながら、矢印Ｇの方向の移動は、螺旋ばねによって及ぼされる力とは反対に矢印Ｇの方向にブロックピン１４１を押圧することによって可能である。ブロックピン１４１はこれによって、阻止位置から図６Ｂに示される解放位置に移動することができる。解放位置では、前記凹部は、シャンク受容空洞部１２９がブロックピン１４１から離れてあるように位置付けられる。ブロックピン１４１が解放位置にあるとき、ホールソーアダプター１１５は、シャンク１１１の第１端部から第２端部の方向Ｅにシャンク１１１に対して移動することができ、従ってシャンク１１１から取り外すことができる。ブロックピン１４１及びブロック溝部１４５によって形成される第１軸方向阻止部はそのとき解放モードにある。第１軸方向阻止部は、阻止モードと解放モードとの間で操作可能である。解放モードでは、シャンク１１１の第２端部から第１端部の方向Ｄにホールソーアダプター１１５の移動は、この移動は第２阻止部によって阻止されるので行うことができない。第２阻止部は、操作不能である。

【0044】

図３から図６に示される実施形態は、製造することが格別に容易である。前記シャンクは、六角形の断面周囲を有する出発材料のロッド状部品から簡単な操作で形成することが特に容易である。

【0045】

図７から図９は、図１に詳細に示されるような本発明に係る迅速交換システムの第２実施形態を示す。この第２実施形態は、図３から図６に示されるような実施形態に大部分において対応するため、記載に関して、図３から図６に示される実施形態の構成要素と同一である図７から図９に示される実施形態の構成要素は、各数字の第１桁が１に代えて２ではあるが、同一符号を有することを述べることで十分である。しかしながら、以下に記載される２つの実施形態間の相違点がある。

【0046】

図７から図９に示されるような迅速交換システムの実施形態は、図３から図６に示される実施形態と、シャンク２１１、第２軸方向阻止部及び回転阻止部が異なる形態をとることにおいて異なる。

【0047】

図７から図９は、ホールソーホルダー２０７の細長いシャンク２１１が第１端部に３つのクランプ面を備えたタイプの接続部２２１として具現化された第１端部分を有し、その断面周囲形状は、３つの位置において平らにされた円形形状である。第２端部に、シャンク２１１は、六角形断面周囲形状を備えたナット２６１をねじ留めすることができるねじ山２５９を一部備えた円形断面の第２端部分２５７を備えている。ナット２６１がねじ山２５９にねじ留めされた後に、シャンク２１１の第１端部から離間した第１端部分２２１の端部は、シャンク２１１の第１端部の方に面するナットの側面と共にブロック溝部２４５を形成し、ブロック溝部２４５はブロックピン２４１と共に、第１軸方向阻止部を形成する。代替的には、ブロック溝部２４５が配置されるより厚いナットが適用される。ねじ山２５９は、ホールソーを用いて表面に穴がドリル加工されるときに、ナット２６１が、シャンク２１１の第１端部の方向に付勢されてシャンクの第１端部の方に面するねじ山２５９の端部で停止するような方向を有する。随意的に、ねじ山２５９及びナット２６１のねじ山との間のロック材料を用いてシャンク２１１にナットを付加的にロックすることができる。

【0048】

ホールソーアダプター２１５は、内部にシャンク受容空洞部２２９を備えたアダプター本体２２７を有する。シャンク受容空洞部２２９は、六角形の形をした断面内側周囲を有する回転阻止部分２３３と円形の断面内側周囲を有する部分２６３とを備えた連通孔として形成される。回転阻止部分２３３は、１つの回転方向の回転を阻止する回転阻止部を共に形成するためにナット２６１の六角形の外側周囲と係合可能である。ナット２６１はここでは、シャンク２１１の回転阻止部分２３１を形成する。円形の断面内側周囲を有するシャンク受容空洞部２２９の部分２６３は、シャンク受容空洞部２２９の回転阻止部分２３３と円形の断面内側周囲を有する部分２６３との移行の位置にシャンク受容空洞部２２９の径方向寸法の減少を形成する。この径方向寸法の減少は、ホールソーアダプター２１５に、軸方向Ｅ、Ｄ及び径方向Ｃに延在すると共に、シャンク２１１の第２端部がシャンク受容空洞部２２９に挿入されるとシャンク２１１の第２端部の方に面してブロック面を形成するナットの径方向に延在する表面２４９と接触するブロック面２５１を形成し、それによって、シャンク２１１の第２端部から第１端部の方向Ｄにシャンク２１１の長手方向中心軸２３７に沿うホールソーアダプター２１５の更なる移動が阻止される。図９に示すように、ブロック面２４９及び２５１は、ブロック溝部２４５内に一部延在するブロックピン２４１によって形成される第１軸方向阻止部の阻止モードで相互に接触する。

【0049】

図７から図９に示される実施形態は、製造することが特に容易である。特にシャンクは、円形の断面周囲を有するロッド状出発材料から簡単な操作で形成することが容易である。

【0050】

図１０から図１３は、図１に詳細に示されるような本発明に係る迅速交換システムの第３実施形態を示す。この第３実施形態はまた、図３から図６に示されるような実施形態に大部分において対応するため、記載に関して、図３から図６に示される実施形態の構成要素と同一である図１０から図１３に示される実施形態の構成要素は、各数字の第１桁が１に代えて３ではあるが、同一符号を有することを述べることで十分である。しかしながら、以下に記載される２つの実施形態間の相違点がある。

【0051】

図１０から図１３に示されるような迅速交換システムの実施形態は、図３から図６に示される実施形態と、第１軸方向阻止部及び第２軸方向阻止部が異なる形態をとることにおいて異なる。

【0052】

図１０から図１３は、ホールソーホルダー３０７の細長いシャンク３１１が、断面周囲形状が六角形である細長いロッドから形成されることを示す。２つの溝部がシャンク３１１に配置され、ブロックピン３４１が図１２及び図１３Ａに示されるように第１軸方向阻止部の阻止モードで一部延在するブロック溝部３４５と、取付溝部３６５とが、シャンク３１１に配置される。取付溝部３６５は、シャンク３１１の第１端部とブロック溝部３４５との間に配置され、ブロッククリップ３６７を取り付ける機能を果たす。シャンク３１１に配置されると、ブロッククリップ３６７は、シャンク３１１の長手方向中心軸に対してシャンク３１１の径方向寸法の増加を形成し、径方向Ｃに延在するブロック面３４９を形成する。図１２及び図１３は、シャンク３１１がその第２端部をシャンク受容空洞部３２９に挿入することによってホールソーアダプター３１５と係合されるときにシャンク３１１のブロック面３４９が径方向Ｃに延在すると共にシャンク３１１の第１端部の方に面し、且つブロック面を次に形成する表面３５１と接触することを示す。２つのブロック面３４９、３５１は相互に接触すると共に径方向Ｃに延在するので、第２軸方向阻止部が形成される。シャンク３１１が、図１２及び図１３に示すようにホールソーアダプター３１５と係合しているとき、この第２軸方向阻止部は、シャンクの第２端部から第１端部の方向Ｄにシャンク３１１に沿うホールソーアダプター３１５の移動を阻止するが、シャンク３１１の第１端部から第２端部の方向Ｅの移動を可能にする。

【0053】

図３から図６の実施形態のように、ブロックピン空洞部３４７は、シャンク受容空洞部３２９の長手方向中心軸３３９に対して横切る方向に延在すると共にシャンク受容空洞部３２９の長手方向中心軸３３９に対してオフセットし、それによって、ブロックピン空洞部３４７は、シャンク受容空洞部３２９と一部交差し、ブロックピン３４１は、ブロックピン空洞部３４７内に延在する。しかしながら、ブロックピン３４１は、平行移動のためではなく、矢印Ｈ及びＩの方向にブロックピン３４１の長手方向中心軸３６９の周りにブロックピン空洞部３４７内に回転のために受容されている。ブロックピン３４１は、ブロック凹部３４３と取付凹部３７１とを備えている。取付状態では、溝付きピン３４５は、ブロックピン３４１がブロックピン空洞部３４７から出ることを回避するために取付凹部３７１内に延在する。

【0054】

図１３Ａは、阻止位置にあるブロックピン３４１を示し、ブロック凹部３４３は、ブロックピン３４１がシャンク受容空洞部３２９内に一部延在するように位置付けられる。図１２及び図１３Ａに示すように、ブロックピン３４１はまた、第１軸方向阻止部が阻止モードにあるようにブロック溝部３４５内に延在する。ブロックピン３４１は、ねじりばね３５３を用いて矢印Ｈの方向に押圧され、図１３Ａに示される状態から矢印Ｈの方向に更なる回転が溝付きピン３４５によって阻止される。ブロックピン３４１は、この状態でブロック溝部３４５内に延在するので、シャンク３１１の第１端部から第２端部の方向Ｅにシャンク３１１の長手方向軸３３７に沿うシャンク３１１に対するホールソーアダプター３１５の移動がこの状態で阻止される。図１２及び図１３はまた、ブロック溝部３４５が、ブロック面３４９、３５１が第１軸方向阻止部の阻止モードで相互に接触するように位置づけられ、それによって、第２軸方向阻止部が、シャンク３１１の第２端部から第１端部の方向Ｄにシャンク３１１の長手方向軸３３７に沿うシャンク３１１に対するホールソーアダプター３１５の移動を阻止する。

【0055】

図示されるように、シャンク３１１の第２端部は、この実施形態ではシャンク受容空洞部３２９から突き出る。

【0056】

ブロックピン３４１は、図１３Ａに示されるようにその位置から矢印Ｈの方向に回転不能であるが、しかしながら、矢印Ｉの方向の回転は、ブロックピン３４１をねじりばね３５３によって及ぼされる力とは反対に矢印Ｉの方向に回転することによって行うことができる。ブロックピン３４１はこれによって、阻止位置から図１３Ｂに示される解放位置に移動することができる。解放位置では、ブロック凹部３４３は、シャンク受容空洞部３２９がブロックピン３４１から離れてあるように位置付けられる。ブロックピン３４１が解放位置にあるとき、ホールソーアダプター３１５は、シャンク３１１の第１端部から第２端部の方向Ｅにシャンク３１１に対して移動することができ、それによってシャンク３１１から取り外すことができる。ブロックピン３４１及びブロック溝部３４５によって形成される第１軸方向阻止部はそのとき、解放モードにある。第１軸方向阻止部は、阻止モードと解放モードとの間で操作可能である。解放モードでは、シャンク３１１の第２端部から第１端部の方向Ｄにホールソーアダプター３１５の移動は、この移動は第２阻止部によって阻止されるので、行うことができない。第２阻止部は、操作不能である。

【0057】

図１０から図１３に示される実施形態は、製造することが格別に容易である。特にシャンクは、六角形の断面周囲を有する出発材料のロッド状部品から簡単な操作で形成することが容易である。必要なことは、２つの溝部を形成すること、第２端部に空洞部を形成すること、及び溝部の１つにブロッククリップを配置することだけである。

【0058】

図１０から図１３に示す実施形態では、パイロットドリル３１３が配置されるシャンクの第２端部がシャンク受容空洞部３２９から取り外されると、シャンク３１１の第１端部をシャンク受容空洞部３２９を通じて配置することができる。第１端部とブロッククリップ３６７との間のシャンク３１１の部分が十分に長い場合、シャンク３１１の第１端部を使用して、コアプラグが加工物から切り取られるとねじ山３３０に配置されるホールソーからコアプラグを押圧することができる。当然に第１に、コアプラグが切り取られるときに第１端部がクランプされるドリルヘッドからシャンク３１１の第１端部を取り外すことが必要である。

【0059】

図示される実施形態のそれぞれの場合、ブロックピン及びブロック溝部によって形成される第１軸方向阻止部は、操作可能であると共に格別に簡単な方法で具現化されて実現可能である軸方向阻止部を形成し、ブロックピンは、シャンクの断面周囲の周りにただ１つの位置にあるブロック溝内に阻止モードで延在する。第２軸方向阻止部のブロック面は、シャンクの周囲の周りに多数の位置で相互に接触する。シャンクの周囲の周りに多数の位置に作用するこのような軸方向阻止部は、第２軸方向阻止部が操作不能であるので特に実現することが容易である。

【0060】

図３から図９の実施形態に示されるような平行移動可能なブロックピンは、図１０から図１３の実施形態に示されるような回転可能なブロックピンとして具現化することができ、その逆もまた同様である。第２軸方向阻止部及びシャンクの第１端部にある接続部分の異なる実施形態は、相互に置き換えることができる。

【0061】

六角形形状に加えて、三角形、正方形、矩形などを含む円形とは異なるあらゆる形状は、回転阻止部としての機能を果たすことができる。シャンクの回転阻止部分の断面寸法は、ここでは穴あけ加工機のドリルチャック用の接続部としての機能を果たすシャンクの部分の断面寸法より大きくすることができる。この場合、シャンクはまた、出発材料のロッド状部品から製造することができる。

【0062】

図示される例示的実施形態では、シャンクの接続部、第１軸方向阻止部、第２軸方向阻止部及び回転阻止部の異なる実施形態が示されている。これらの異なる実施形態は相互に置き換えることができる。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6A】

【図6B】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13A】

【図13B】