特許第6389878号(P6389878)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6389878走行変速段を選択するためのシフト・バイ・ワイヤ操作装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6389878
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】走行変速段を選択するためのシフト・バイ・ワイヤ操作装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B60K 20/02 20060101AFI20180903BHJP
   F16H 59/08 20060101ALI20180903BHJP
   F16H 61/02 20060101ALI20180903BHJP
   F16H 61/18 20060101ALI20180903BHJP
   F16H 61/22 20060101ALI20180903BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20180903BHJP
   B60K 37/04 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
   B60K20/02 E
   F16H59/08
   F16H61/02
   F16H61/18
   F16H61/22
   B60K35/00 Z
   B60K37/04
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-521730(P2016-521730)
(86)(22)【出願日】2014年9月10日
(65)【公表番号】特表2016-534922(P2016-534922A)
(43)【公表日】2016年11月10日
(86)【国際出願番号】EP2014069241
(87)【国際公開番号】WO2015051960
(87)【国際公開日】20150416
【審査請求日】2017年5月12日
(31)【優先権主張番号】102013220404.3
(32)【優先日】2013年10月10日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500045121
【氏名又は名称】ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】フリーブス・フィタリ
(72)【発明者】
【氏名】キリレンコ・アレクサンダー
【審査官】 高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−064171(JP,A)
【文献】 特開平07−052673(JP,A)
【文献】 特開2001−334836(JP,A)
【文献】 特開2005−170219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 20/02
B60K 35/00
B60K 37/04
F16H 59/08
F16H 61/02
F16H 61/18
F16H 61/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車変速機の走行変速段を選択するためのシフト・バイ・ワイヤ操作装置(1)であって、
この操作装置(1)が、走行変速段の中の一つ走行変速段を選択するためのスクロール面(6)と、操作に基づき許可信号を発出する許可キー(8)とが配置された操作領域(4)を有し、
このスクロール面(6)を用いた一つの走行変速段のシフトチェンジ作用を奏する全ての選択が、許可キー(8)の操作による許可信号を必要として、この許可信号に基づき阻止・許可機器によって許可されるように、これらのスクロール面(6)と許可キー(8)が阻止・許可機器を介して接続されており、
この操作装置(1)が、少なくとも一つの信号変換器と信号受信機を備えたセンサ機器を有し、
この信号変換器が、スクロール面(6)と接続されるとともに、スクロール面(6)の操作を検出して、このスクロール面(6)の操作から導き出される、選択された走行変速段に関する情報を有する信号を伝送するように、この信号受信機と協力して動作し、
この選択された走行変速段に関する情報を有する信号が、選択された走行変速段に対応する自動車変速機のシフトチェンジを引き起こし、
この阻止・許可機器が、選択された走行変速段に関する情報を有する信号の伝送を阻止及び許可するように構成され、
この阻止・許可機器が、選択された走行変速段に関する情報を有する信号を伝送可能とする、スクロール面(6)から自動車変速機にまで及ぶ伝送区間内に中間接続されており、選択された走行変速段に関する情報を有する信号の伝送を少なくとも許可信号を受信するまで阻止する、
操作装置において、
この許可キー(8)が、走行変速段を選択している間の許可キー(8)の更に別の操作に応じて、選択された走行変速段に関する情報を有する信号の伝送を阻止するための阻止信号を発出するように構成されており、
この阻止・許可機器が、この阻止信号の受信時又は受信後から更に別の許可信号を受信するまで、選択された走行変速段に関する情報を有する信号の伝送を阻止するように構成されている、
ことを特徴とする操作装置。
【請求項2】
請求項1に記載の操作装置(1)において、
当該の阻止・許可機器が、阻止信号を受信しない場合、許可信号の受信後所定の時間が経過した後に、選択された走行変速段に関する情報を有する信号の伝送を阻止するように構成されていることを特徴とする操作装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の操作装置(1)において、
当該の阻止・許可機器が、初期状態でスクロール面(6)を形成するスクロールホイール(7)と係合して、このスクロールホイール(7)の回転運動を阻止するとともに、許可信号に基づき、この係合を解除して、スクロールホイール(7)の回転運動を許可するように構成されている可動式阻止部品を有することを特徴とする操作装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一つに記載の操作装置(1)において、
当該の許可キー(8)が親指により操作されるとともに、当該のスクロール面(6)がユーザーの手のそれ以外の指により操作されるように、当該の操作領域(4)内に配置されていることを特徴とする操作装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一つに記載の操作装置(1)において、
当該の操作領域(4)が、許可キー(8)を有するか、或いは形成する、手の平を載せる部分(10)を有することを特徴とする操作装置。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一つに記載の操作装置(1)において、
当該の許可キー(8)が、操作装置(1)のユーザーを識別するための指紋センサにより形成されるとともに、この許可キー(8)が識別機器と接続されており、この識別機器は、許可キー(8)により検出された指紋像と識別機器に保存された指紋像との照合を行なって、一致した場合に、当該の阻止・許可機器による選択された走行変速段に関する情報を有する信号の伝送を許可するための信号を阻止・許可機器に送出することを特徴とする操作装置。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか一つに記載のシフト・バイ・ワイヤ操作装置を用いて、自動車変速機の走行変速段を選択する方法(100)において、
この方法(100)が、
操作に応じて走行変速段の中の一つ走行変速段の選択を実施するためのスクロール面の操作に基づき、選択された走行変速段に関する情報の伝送を少なくとも許可する許可キーを操作する工程(110)と、
このスクロール面の操作によって、一つの走行変速段を選択する工程(120)と、
を有することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車変速機の走行変速段を選択するためのシフト・バイ・ワイヤ操作装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シフト・バイ・ワイヤ操作装置では、純粋な機械式操作装置と異なり、その操作装置から自動車変速機へのシフトチェンジ指令の伝送が電気又は電子信号を用いて行なわれている。この純粋な機械式操作装置から電気又は電子式操作装置への置き換えは、自動車変速機用操作装置における絶えず新しい構造的及び人間工学的構成の実現に起因して生じており、その際、操作装置又はそれと同時に出現する操作部品に注目しなくとも、ともかく、自動車変速機の操作装置のより安全な操作性を保証するべきである。
【0003】
この分野のシフト・バイ・ワイヤ操作装置は、例えば、特許文献1に開示されている。その周知の操作装置は、自動車変速機を手動でシフトチェンジするための並進移動可能なスライド部品を有し、そのスライド部品は、自動車変速機の走行変速段を手動で選択するためのローレット付ホイールが配備されたグリップ部を有する。その場合、スライド部品の並進スライド特性は、自動車のオートマチック変速機において一般的なタッチ式シフトゲートのために使用される一方、グリップ部に配置されたローレット付ホイールは、オートマチックシフトゲートの役割を果たしている。そのため、そのローレット付ホイールを用いて、少なくとも前進走行又はドライブD、後進走行R及びアイドリング又はニュートラル位置Nの走行変速段の選択が可能である。パーキングロック位置Pの走行変速段は、追加の操作部品によって投入可能である。
【0004】
その周知の操作装置は、更に、パーキングロック位置Pから走行変速段R及びDの中の一つを不注意に選択することを防止するためのシフトロック阻止機器を有する。パーキングロック位置Pの無効化又はパーキングロック位置Pからの走行変速段R及びDの中の一つの選択のためには、先ずはブレーキの操作と同時に操作装置の操作が必要である。それに代わって、追加のパーキングロック操作部品を用いてのみパーキングロックを解除すると規定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】ドイツ特許公開第102007037706号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記の分野の従来技術を出発点として、本発明では、特に、パーキングロック位置と異なる走行変速段からの走行変速段の少なくとも不注意な選択を確実に防止可能とすることによって、絶えず発展する構造的及び人間工学的要求と安全要件に適した、改善されたシフト・バイ・ワイヤ操作装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのために、本発明は、請求項1の特徴を有するシフト・バイ・ワイヤ操作装置を提案する。ここで提案する操作装置は、特に、車両のオートマチック変速機又は車両の自動変速機のために配備される。ここで提案する操作装置は、走行変速段の中の一つの走行変速段を選択するためのスクロール面と、操作に基づき許可信号を発出する許可キーとが少なくとも配置された操作領域を有する。有利には、このスクロール面によって、少なくとも前進走行動作D、ニュートラル位置N及び後進走行動作Rの走行変速段を選択することが可能である。更に有利には、このスクロール面によって、パーキング位置Pの走行変速段を更に選択することが可能である。更に有利には、このスクロール面によって、前記の走行変速段以外の少なくとも一つの走行変速段を選択することが可能である。
【0008】
この操作領域は、有利には、操作装置のユーザーのアクセス範囲内に有り、少なくともそのアクセス範囲内で見ることができる操作装置の範囲によって境界を画定された領域である。有利には、そのために、操作装置は、ユーザーのアクセス範囲内に配置された筐体部分を有し、その部分の筐体表面側が操作領域を形成するか、或いは操作領域の場所を提供し、この筐体部分のアクセス可能な範囲の境界を画定する周縁部が操作領域の最大範囲を定義する。そのような周縁部は、更に有利には、操作装置の筐体部分自体によって形成するか、或いはそれに代わって、例えば、アクセス可能な筐体部分を開放する空所を有する中央コンソールカバーなどの操作装置上に配置可能な部品によって構成することができる。
【0009】
このスクロール面は、有利には、前後に動かすことが可能な可動操作面である。有利には、このスクロール面は、回転軸の周りを回転可能なスクロールホイールの操作表面によって形成され、このスクロールホイール又は操作表面の回転可能性は、有利には、少なくとも一つの方向に限定されるか、或いは限定されない。このスクロールホイールの回転により、走行変速段の選択が行なわれる。それに代わって、このスクロール面は、有利には、非可動操作面、特に、タッチセンサ面により形成され、その面上で、操作装置の操作者は、走行変速段を選択するために、スクロールの動きに対応して、一回又は複数回指を前後にスライドしなければならない。
【0010】
この操作装置は、スクロール面を用いた走行変速段の中の少なくとも一つの走行変速段のシフトチェンジ作用を奏する選択、有利には、走行変速段からのシフトチェンジ作用を奏する選択が、特に、許可信号に基づく阻止・許可機器による許可後にのみ実施可能であるように、スクロール面と許可キーが阻止・許可機器を介して互いに接続されていることを特徴とする。この場合、スクロール面を用いた少なくとも一つの走行変速段の選択が自動車変速機のそれに対応するシフトチェンジを引き起こした時に、その選択がシフトチェンジ作用を奏するものする。
【0011】
この操作装置を用いて、周知の従来技術と異なり、選択可能な走行変速段からの少なくとも一つの走行変速段のシフトチェンジ作用を奏する選択が、許可信号を受信するまで阻止され、それによって、走行変速段選択部品の不注意な操作及びそれと同時に生じる実際の走行変速段と異なる走行変速段の選択を確実に防止することができる。何故なら、それまで選択されていた走行変速段と異なる走行変速段のシフトチェンジ作用を奏する選択を許可するためには、従来技術と異なり、先ずは許可キーの操作による許可信号が必要であるからである。更に、本発明では、従来の操作装置に反して、セレクタレバーの全く異なる実施形態によって、特に、ユーザーが自由にアクセスできる操作部品と選択された走行変速段を伝えるための機械機構又は電子回路とを接続する従来のセレクタレバーロッドを省くことによって、より小さい省スペースな操作装置を提供することができる。
【0012】
有利な実施構成では、この操作装置は、更に、少なくとも一つの信号変換器と信号受信機を備えたセンサ機器を有する。有利には、二つ以上の信号変換器又は信号受信機を配備することができ、それによって、信号の精度を向上することができる。この信号変換器は、スクロール面の操作が、選択された走行変速段に関する情報を送出する、信号変換器の信号を発生させるように、スクロール面と接続されている。これらの信号変換器と信号受信機を用いて、スクロール面の操作を検出して、スクロール面の操作から導き出される、選択された走行変速段に関する情報を信号により伝送することができる。
【0013】
センサ機器として、従来の電子センサ機器を使用することができる。例えば、有利なスクロールホイールと組み合わせて、ホールセンサに基づく位置センサ機器を用いることができ、永久磁石又は電磁石とすることができる信号変換器は、固定位置でスクロールホイールと接続される。それに代わって、有利なタッチセンサ面と組み合わせて、従来の電子タッチセンサ機器を用いることができる。この場合、選択可能な走行変速段は、スクロール面の操作に応じて選択された走行変速段を識別することが可能であるように、スクロール面に渡って規定される。センサ機器により検出されて伝送される、選択された走行変速段に関する情報は、選択された走行変速段に対応して自動車変速機のシフトチェンジを引き起こす。例えば、選択された走行変速段に関する情報は、センサ信号を用いて、センサ機器から変速機制御機器に伝送され、その制御機器は、センサ信号により伝送されて来た、選択された走行変速段に関する情報に基づき、それに対応して自動車変速機のシフトチェンジを実施する。それに代わって、センサ機器と変速機制御機器の間に、センサ信号又はセンサ信号により伝送される選択された走行変速段に関する情報を先ず処理した後、例えば、評価した後、更に転送する別の制御機器又は評価ユニットを中間接続することができる。
【0014】
有利には、阻止・許可機器は、選択された走行変速段に関する情報を有する信号の伝送を阻止及び許可するように構成され、この阻止・許可機器は、選択された走行変速段に関する情報を有する信号を伝送可能とする、スクロール面から自動車変速機にまで及ぶ伝送区間内に中間接続されており、少なくとも許可信号を受信するまで、選択された走行変速段に関する情報を有する信号の伝送を阻止する。
【0015】
この信号伝送方式は、様々な形で行なうことができ、本発明に関して重要なことではない。例えば、相応の中間接続されたインタフェースによる電気式、誘導式又は光学式信号伝送、或いはそれらの組合せが考えられる。
【0016】
この伝送区間は、有利には、少なくとも有線区間及び/又は無線区間から構成され、これらの区間を介して、何れにせよ、選択された走行変速段に関する情報を有する信号の伝送が行なわれる。例えば、ホールセンサに基づく位置センサ機器の場合、信号変換器と信号受信機の間に無線区間が有り、この無線区間を介して、信号変換器から出力された、選択された走行変速段に関する情報が、信号により信号受信機に伝送することが可能であるか、或いは信号受信機から取り出すことが可能である。更に、それに対して、信号受信機から自動車変速機までは、選択された走行変速段に関する情報のための伝送区間の一部として、信号配線、例えば、電気接続配線を考慮することができる。有利なタッチセンサ面をスクロール面とする場合、この信号配線は、例えば、容易に信号変換器を出発点とする。それに追加して、或いはそれに代わって、この伝送区間には、有利には、スクロール面から自動車変速機までの間における、選択された走行変速段に関する情報を有する信号を処理する、例えば、評価、伝送、通過又は同様のことを実施する全ての装置又は機器が含まれる。これらの装置又は機器は、そのために、選択された走行変速段に関する情報を有する信号を伝送するための有線区間として、同じく信号配線を備えるか、或いは信号配線の場所を提供することができる。言い換えると、阻止・許可機器は、少なくとも一つの無線区間及び/又は有線区間、及び/又は少なくとも一つの装置又は機器を含むことが可能な伝送区間の領域内において、選択された走行変速段に関する情報を有する信号の伝送を阻止及び許可するように構成される。有利には、この阻止・許可機器は、有線区間を断続するスイッチ部品、無線区間内に出し入れ可能な、選択された走行変速段に関する情報を有する信号の伝送を遮断する遮蔽部品、或いは少なくともそれぞれ許可キーの操作により発出される許可信号に応答して、選択された走行変速段に関する情報を有する信号の伝送を許容又は許可する、これらの装置又は機器を制御するソフトウェアの中の一つに関するブロックプログラムを用いて構成することができる。
【0017】
この操作装置を用いて、周知の従来技術と異なり、選択された走行変速段に関する情報を有する信号の伝送が、走行変速段の選択後から許可信号を受信するまで阻止され、それによって、走行変速段選択部品の不注意な操作及びそれと同時に起こる実際の走行変速段と異なる走行変速段の選択を確実に防止することができる。何故なら、それまで選択されていた走行変速段と異なる走行変速段の選択に関する情報を有する信号の伝送を許可するためには、従来技術と異なり、先ずは許可キーの操作が必要であり、それにより許可信号が発出されて、それに基づき、選択された走行変速段に関する情報を有する信号の伝送が初めて許可又は可能になるからである。更に、従来の操作装置に反して、セレクタレバーの全く異なる実施形態によって、特に、ユーザーが自由にアクセスする操作部品と選択された走行変速段を伝えるための機械機構又は電子回路とを接続する従来のセレクタレバーロッドを省くことによって、より小さい省スペースな操作装置を提供することができる。
【0018】
有利な実施構成では、この許可キーは、操作時間の間持続する許可信号を送出するように構成される。更に、この阻止・許可機器は、許可信号を伝送している時間の間にのみ、選択された走行変速段に関する情報を有する信号の伝送を許容するように構成される。それによって、選択時間中の別の操作部品、即ち、許可キーの操作によって認識する形で、走行変速段のシフトチェンジ作用を奏する選択が実施されることを保証している。この場合、選択された走行変速段に関する情報を有する信号がそれに対応する自動車変速機のシフトチェンジを引き起こした場合に、選択がシフトチェンジ作用を奏するものする。この許可キーが更に操作されない限り、有利には、許可キーの操作終了と同時に、選択された走行変速段に関する情報を有する信号の伝送の阻止が行なわれる。この許可キーの操作中に最後に伝送された、選択された走行変速段に関する情報を有する信号は、有利には、それに対応する自動車変速機のシフトチェンジのために使用される。
【0019】
代替の有利な実施構成では、許可キーは、更なる操作に対応して阻止信号を送出するように構成される。更に、この阻止・許可機器は、この阻止信号の受信時又は受信後から、その次に許可信号を受信するまで、選択された走行変速段に関する情報を有する信号の伝送を阻止するように構成される。前述した有利な実施構成と異なり、許可キーは、選択された走行変速段に関する情報を有する信号の伝送を許可するために、走行変速段を選択している間連続して操作されない。この有利な実施構成では、許可キーの一回の操作が、選択された走行変速段に関する情報を有する信号の伝送を少なくとも実施するための許可状態に操作装置を移行するのに十分である。許可キーの繰り返される、或いは新たな操作後に初めて、操作装置が、許可キーから発出される阻止信号に基づき、選択された走行変速段に関する情報を有する信号の伝送を阻止する阻止状態に移行する。
【0020】
更に有利には、この阻止・許可機器は、阻止信号を受信しない場合、許可信号の受信後所定の時間が経過した後に、或いは走行変速段を選択するためのスクロール面の操作が終了するまで、選択された走行変速段に関する情報を有する信号の伝送を阻止するように構成される。それにより、操作装置が誤って漠然と長い間許可状態に留まらないことを保証できる。
【0021】
有利な実施構成では、この阻止・許可機器は、初期状態において、スクロール面を形成するスクロールホイールと係合して、このスクロールホイールの回転運動を阻止するとともに、許可信号に基づき、この係合を解除して、スクロールホイールの回転運動を許可するように構成された可動式阻止部品を有する。
【0022】
有利には、この阻止・許可機器は、可動式阻止部品を形成する、或いは装備した出し入れ可能なアンカーを備えた電磁式アクチュエータを有し、このアンカーは、引き出された状態において、スクロールホイールの回転運動を阻止するためにスクロールホイールと係合し、引き入れられた状態において、スクロールホイールの回転運動を許容する。更に有利には、この電磁式アクチュエータは、阻止状態と等しい引き出された状態で無電流状態に有り、許可状態と等しい引き入れられた状態で、許可キーの操作に基づき開始される通電状態に有る。この操作装置のエネルギー負荷は、この電磁式アクチュエータの逆の設計と比べて削減することができる。この電磁式アクチュエータの制御は、有利には、許可キー及び電磁式アクチュエータと接続された制御機器によって行なうことができる。それに代わって、許可キーは、操作している時には、電磁式アクチュエータに電流を流す回路を閉じ、操作していない時には、この回路を開いて、それにより電磁式アクチュエータに電流を流さない押しボタンスイッチとして構成することができる。
【0023】
それに代わって、この阻止・許可機器は、有利には、許可キーを操作している時には、可動式阻止部品を許可状態と等しい非係合状態に移行させ、許可キーを操作していない、或いは離している時には、自動的に係合状態に移行させる、許可キーから可動式阻止部品にまで及ぶ機械機構を有する。それによって、安価な操作装置を提供することができる。
【0024】
本発明の有利な実施構成では、スクロールホイールは、単安定又は多安定形態で設計される。単安定形態とは、本発明の意味において、スクロールホイールが、停止位置が間に有る二つの終端位置の間を移動可能であり、一つの終端位置に達した後、スクロールホイールが自律的に停止位置に戻るようなスクロールホイールの設計であると理解される。各終端位置には、選択された初期走行変速段に応じて、隣り合う次の走行変速段に基づく順番の中の一つが対応付けられる。例えば、走行変速段の所定の順番をP,R,N,Dとすることができ、最後に選択された初期走行変速段が走行変速段Nである場合、スクロールホイールの互いに逆の回転方向に設けられた各終端位置には、前記の変速段順序で初期走行変速段Nの隣の走行変速段R又はDが対応付けられる。それによって、自動車変速機の簡単なシフトアップ又はシフトダウンが可能である。そのために、操作装置は、スクロールホイールの各終端位置を所定の走行変速段順序において最後に選択された走行変速段の直後の走行変速段に自動的に対応付ける制御機器を有するか、或いはそのような制御機器と接続される。
【0025】
スクロールホイールの有利な多安定設計では、操作装置は、スクロールホイールに対して、選択可能な走行変速段と同じ数のロック位置を提供する、スクロールホイールと接続されたロック機器を有する。有利には、スクロールホイールは、二つの互いに逆の回転方向の中の少なくとも一つの方向に無限に回転することが可能である。このロック機器は、シフト・バイ・ワイヤ操作装置に配備された通常のロック機器とすることができる。
【0026】
スクロールホイールの単安定又は多安定設計によって、相応の走行変速段の選択時に、ユーザーに対して触覚によるフィードバックが可能である。
【0027】
本発明では、スクロール面及び許可キーは、ユーザの片手だけで、これら二つの構成部品を特に同時に操作することが可能であるように配置される。それによって、ここで提案する操作装置は、簡単に扱うことができる。有利な実施構成では、許可キーが親指により操作され、スクロール面がそれ以外の指により、更に有利には、人指し指又は中指により操作されるように配備される。それによって、この操作装置の取り扱いを一層簡略化できる。
【0028】
有利な実施構成では、操作領域は、許可キーを備えるか、或いは形成する、手の平を載せる部分を有する。有利には、許可キーは、この手の平を載せる部分の空所内に、或いは手の平を載せる部分の表面上に配置される。更に有利には、この手の平を載せる部分は、有利には、ユーザーが触った場合に、それに対応する許可信号を発出するセンサ面を有する。それに代わって、この手の平を載せる部分自体が許可キーを形成する。更に有利には、そのために、この手の平を載せる部分自体が押しボタン部品として構成される。
【0029】
有利な実施構成では、許可キーは、操作装置のユーザーを識別するための指紋センサによって形成され、この許可キーは識別機器と接続され、この識別機器が、許可キーにより検出された指紋像と識別機器内に保存された、或いは記憶された指紋像との照合を行なって、一致した場合に、阻止・許可機器による選択された走行変速段に関する情報を有する信号の伝送を許可するための信号を阻止・許可機器に発出する。本発明の意味では、許可キーから識別機器に送出される指紋像は、検出された指紋像が保存された指紋像と一致する限り、容易に許可信号に対応付けられる。それによって、権限の無いユーザーによる自動車変速機のシフトチェンジを防止することができ、それによって、この操作装置を自動車盗難防止機器と組み合わせて使用することが可能である。
【0030】
有利な実施構成では、この操作装置は、少なくとも選択された走行変速段を表示する表示機器を有する。更に有利には、この表示機器は、選択された走行変速段の表示に加えて、実際に選択された走行変速段が選択可能な走行変速段と比べて色を変えるか、或いは明るさの強度を変えられるように構成される。更に有利には、この表示機器は、操作領域内に配置される。この表示機器は、選択された走行変速段に関する情報を表示機器により表示できるように、阻止・許可機器と直接的又は間接的に接続される。阻止・許可機器との直接的な接続は、別の機器又は装置を中間接続しない接続を前提とする。間接的な接続は、例えば、選択された走行変速段に関する情報を有する信号を処理する制御機器などの少なくとも一つの装置又は機器を中間接続することを前提とする。
【0031】
本発明の別の観点では、シフト・バイ・ワイヤ操作装置を用いて自動車変速機の走行変速段を選択する方法が提供され、この操作装置は、特に、前述した形式の操作装置とすることができる。ここで提案する方法は、操作に応じて走行変速段の中の一つの走行変速段の選択を実施可能とするスクロール面の操作に基づき、選択された走行変速段に関する情報を有する信号の伝送を許可する少なくとも一つの許可信号を発出する許可キーを操作する工程を有する。更に、本方法は、スクロール面の操作により一つの走行変速段を選択する工程を有する。有利には、本方法は、更に、走行変速段の選択後に、選択された走行変速段に関する情報を有する信号を伝送する工程を有する。更に有利には、本方法は、許可信号を受信するまで、選択された走行変速段に関する情報を有する信号の伝送を阻止する次の工程を有する。本方法により、スクロール面の不注意な操作によって、走行変速段の中の一つの走行変速段の不注意なシフトチェンジ作用を奏する選択を確実に防止することができる。
【0032】
本発明の更なる特徴及び利点は、本発明の主要な細部を図示した図及び図面に基づく本発明の有利な実施例の以下の記述及び請求項から明らかとなる。個々の特徴は、それぞれ本発明の有利な実施構成において、個々に単独で、或いは複数を任意に組み合わせて実現することができる。
【0033】
以下において、添付図面に基づき、本発明の有利な実施例を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】有利な実施例による操作装置の模式的な平面図
図2図1に図示された操作装置の側面図
図3】有利な実施例によるシフト・バイ・ワイヤ操作装置を用いた自動車変速機の走行変速段を選択する方法のフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、有利な実施例によるシフト・バイ・ワイヤ操作装置1の模式的な平面図を図示している。この操作装置1は、自動車の中央コンソールに嵌め込むことが可能であるか、或いは上に配置することが可能である筐体2を有する。この筐体2は、一つ又は複数の筐体部品から組み立てることができる。この筐体2は、中央コンソールに取り付けた状態で筐体2の見える範囲に対応する操作領域4を有する。この操作領域4内には、スクロール面6を有するスクロールホイール7、許可キー8、手の平を載せる部分10及び自動車変速機の選択可能な走行変速段と選択された走行変速段を表示する表示機器12が配置されている。このスクロール面6を有するスクロールホイール7は、互いに逆の回転方向に回転可能である。このスクロールホイール7は、単安定又は多安定形態に設計することができる。スクロールホイール7の単安定形態では、そのホイールは、各回転方向において感知可能な終端ストッパにまで回転可能である。この回転行程は、旋回角又は回転角を相応に調整することによって設定される。この設定は、スクロールホイール7又はスクロール面6の必要に応じた回転行程を提供できるように、事前に、或いは動作中に電子ユニットを用いて実施できる。この場合、互いに逆の回転方向の各々におけるスクロール面6の回転行程は、同じに、或いは異なるようにすることができる。更に、スクロール面6又はスクロールホイール7は、初期位置から動かされると、その初期位置に自動的に回転して戻るように構成される。
【0036】
スクロールホイール7の多安定形態では、スクロールホイールは、それぞれ互いに逆の回転方向において、より多くのロック位置に回転可能であり、スクロールホイール7は、無限に自由に回転可能であるか、或いは走行変速段の順序で最も外側の走行変速段に到達すると終端位置に達する。このスクロールホイール7は、図示されていない、スクロールホイール7又はスクロール面6の回転運動を検知するセンサ機器と接続されている。このスクロールホイール7又はスクロール面6の回転運動の検知は、通常の手法により光学式、磁気式、特に、ホールセンサに基づき行なうか、或いはそれ以外の従来から周知の手法で行なうことができる。この場合、スクロールホイール7又はスクロール面6の所定の回転行程は、それぞれ選択可能な走行変速段に対応付けられる。それによって、スクロールホイール7は、例えば、パーキング位置P、後進走行動作R、ニュートラル位置N及びドライブ又は前進走行動作Dの走行変速段の中の一つ走行変速段を選択することができる。パーキング位置Pの走行変速段は、必ずしもスクロール面6又はスクロールホイール7の操作により選択可能ではない。パーキング位置Pは、例えば、追加の操作部品を用いて、有効化及び/又は無効化可能とすることができる。
【0037】
選択される走行変速段のスクロール面6による選択をユーザーに表示するために、この操作装置1は、操作領域4内に表示機器12を有する。この表示機器12は、一方において選択可能な走行変速段を表示するとともに、他方においてその他の走行変速段に対して色を変えることによって、スクロール面6により選択された実際の走行変速段を表示する。この場合、表示機器12は、照明手段により照明されるディスプレイユニット、例えば、LED表示部、或いは必要に応じてディスプレイを可変に調整可能なプログラマブルディスプレイとすることができる。この表示機器12は、必ずしも操作領域4内に配置する必要はない。例えば、別の有利な実施例では、自動車運転者の視野領域内の計器類の所に表示機器12を配備することができる。この表示機器12に対して、選択可能な走行変速段及び選択された走行変速段を表示するための表示機器を更に配置することも同じく考えられる。
【0038】
手の平を載せる部分10は、この操作装置のユーザーが手又は手の平を手の平を載せる部分10上に快適に置いて、操作面4内の操作部品、即ち、少なくともスクロール面6と許可キー8に指を持って行って操作できるように配置されており、そのような範囲内に固定される。有利には、この手の平を載せる部分10は、操作装置1においてユーザーの手の大きさに合った手の平を載せる部分を提供できるように、操作装置1に対して交換可能なモジュールとして配備される。
【0039】
これらのスクロール面6と許可キー8は、ユーザーの手の親指により許可キー8を操作できるとともに、ユーザーの手の人指し指又は中指によりスクロール面6を操作できるように、操作領域4内に配置されている。この許可キー8は、許可キー上での親指の快適な操作感覚と快適な設置が可能となるように、親指の面に対応して構成された窪み14を有する。この窪み14の領域内には、親指により操作するための信号送出用キー部品16が配置されている。このキー部品16は、例えば、押しボタン又はセンサキーとすることができる。このキー部品16を操作した場合、許可キー8による許可信号が、図示されていない阻止・許可機器に送出される。
【0040】
有利な実施例では、阻止・許可機器は、出し入れ可能なアンカーを備えた電気駆動部を有する。この電気駆動部は、例えば、電磁式アクチュエータとすることができる。このアンカーは、電気駆動部の無電流状態では引き出されており、この引き出された状態では、スクロールホイール7の回転運動を阻止するために、スクロールホイールと係合している。そのために、スクロールホイール7は、このアンカーのための少なくとも一つの係合部を有する。例えば、スクロールホイール7により選択可能な走行変速段毎に、一つの係合部を設けて、その係合部に、一つの走行変速段の選択後に、このアンカーを係合させて、スクロールホイール7の回転運動を阻止することができる。この電気駆動部の通電状態では、アンカーは引き入れられており、スクロールホイール7の回転運動を許容する。このアンカーが引き入れられた状態は、許可キー8の操作又は許可信号によって生み出される。この許可キー8は、操作後に許可キー8から出力される許可信号に基づき、電気駆動部の電気回路が閉路されて電気駆動部に電流を流すように、阻止・許可機器と接続されている。例えば、許可キー8は、電気駆動部の電気回路と直接接続されたスイッチとして構成することができる。この場合、許可キー8は、同時に阻止・許可機器を形成する。そのため、許可キー8を操作している間、電気回路は閉路されており、それに対して、許可キー8を離す又は操作しないことは、電気駆動部の無電流状態を引き起こす。
【0041】
それに代わって、阻止・許可機器は、許可キー8の操作に基づき、アンカーと同等の阻止部品を阻止状態に等しい係合状態と許可状態に等しい非係合状態に移行させることが可能な機械機構を備えることができる。例えば、阻止部品と接続された歯車機構、阻止部品と接続されたリンク機構、或いはそれらの組合せを配備することができる。この場合、許可キー8は、押しボタンとして構成することができ、このボタンの操作は、許可キー8に作用する操作力の力の伝達によって、機械機構に直接作用して、阻止部品を阻止状態から許可状態に移行できるとともに、非操作状態では再び阻止状態に移行できるようになっている。
【0042】
更に、それに代わって、許可キー8は、阻止・許可機器の構成部分とすることが可能な制御機器と接続されたセンサキー又はタッチキーとして構成することができる。この制御機器は、許可キー8の操作に基づき、電気駆動部の電気回路を開閉する信号を電気回路内に配置された、阻止・許可機器の構成部分であるスイッチに送出する。
【0043】
一般的に、図示されていない阻止・許可機器は、少なくとも、選択された走行変速段に関する情報を有する信号のシフトチェンジ作用を奏する伝送を許可信号を受信するまで阻止するように、スクロール面6又はスクロールホイール7と接続されるか、或いはそれに代わって図示されていないセンサ機器と接続されている。
【0044】
このセンサ機器は、有利な実施例では、スクロール面6又はスクロールホイール7と接続された信号変換器として永久磁石又は電磁石を備え、例えば、固定位置で筐体2と接続された信号受信機として一つ又は複数のホールセンサを備えた、ホールセンサに基づく位置センサ機器である。この信号変換器は、固定位置でスクロールホイール7と接続されており、スクロールホイール7の回転運動によって強制的に動かされる。この信号変換器は、信号変換器の回転運動による所定の磁界変化が所定の選択可能な走行変速段に対応するように、信号受信機と互いに調整されている。この信号受信機は、スクロールホイール7の回転運動時に、検出された磁界変化に対応する信号を送出し、その磁界変化は、選択された走行変速段に関する情報に対応する。このセンサ機器から送出された信号は、制御機器により評価することができ、この制御機器は、この信号により伝送されて来た、選択された走行変速段に関する情報に基づき、自動車変速機のシフトチェンジを実施する。
【0045】
更に、有利な実施例では、阻止・許可機器が、スクロール面6又はスクロールホイール7と接続された、信号変換器を形成する電磁石の回路と繋がっている。このスクロールホイール7又はスクロール面6の中又は箇所における信号変換器としての電磁石の電気接続は、例えば、擦り接点を介してスクロールホイール7の取付位置において確保される。許可キー8の操作及びそれと同時に出現する許可信号に基づき、電気回路が閉路され、それにより、磁界変化とそれに応じて出力される選択された走行変速段に関する情報を有する信号とに基づき、選択された走行変速段を識別するための信号変換器と信号受信機の間の協働作用が可能である。
【0046】
この許可信号は、有利な実施例では、操作時間に対応する時間長の間又は許可キー8の操作後に伝送される。更に有利な実施例では、この阻止・許可機器は、許可信号を発出する操作を実施する許可キー8の更に別の操作に応じた更に別の許可信号を受信するまで、選択された走行変速段に関する情報を有する信号の伝送を阻止する阻止信号を伝送するように構成される。更に有利には、この阻止・許可機器は、そのような阻止信号を受信しない場合、許可信号の受信後所定の時間が経過した後に、選択された走行変速段に関する情報を有する信号の伝送を阻止するように構成される。それによって、所定の時間が経過するまでのスクロール面6の不注意な回転が自動車変速機のシフトチェンジを伴うシフトチェンジ作用を奏する信号伝送を引き起こさないことを確実に保証できる。
【0047】
図2は、図1に図示された操作装置1の側面図を図示している。図2は、手の平を載せる部分10上にユーザーの手を快適に置くとともに、操作装置1を簡単かつ快適に取り扱うことを可能にする、ほぼコンピュータマウスの形の操作装置1を図解している。更に、図示されていないセンサ機器及び阻止・許可機器は、操作領域4の下の領域、筐体2の操作領域4と逆側、或いは筐体2内に省スペース形態で配置することができる。
【0048】
図3は、有利な実施例によるシフト・バイ・ワイヤ操作装置を用いて自動車変速機の走行変速段を選択する方法のフローチャート図を図示している。以下において、前述した操作装置1に基づき、この方法を説明する。選択可能な走行変速段に関する信号の伝送が阻止・許可機器により阻止された阻止状態を出発点として、第一の工程110では、選択された走行変速段に関する情報を有する信号を自動車変速機の方向に伝送することを許可するための許可信号を発出するために、許可キー8が操作される。この阻止・許可機器は、許可キー8の操作とそれと同時に出現する許可信号に基づき阻止を解除して、選択された走行変速段に関する情報を有する信号の伝送を許容する。更なる工程120では、スクロール面6の操作によって、所望の走行変速段の選択が行なわれ、それにより、選択された走行変速段に関する情報を有する信号が自動車変速機の方向に出力されて、それに対応する自動車変速機のシフトチェンジを引き起こす。次に、工程130で、選択された走行変速段に関する情報を有する信号の伝送が再び阻止される。それは、操作装置1の実施形態に応じて、例えば、スクロール面6又はスクロールホイール7、或いは信号変換器としてスクロール面6又はスクロールホイール7と固定位置で接続された電磁石の回転運動を阻止する電気駆動部に電気を供給するために配備された電気回路の開路によって、或いは前述した有利な実施例から導き出すことが可能なそれ以外の手法で行なうことができる。この方法100により、スクロール面の不注意な操作による走行変速段の不注意な選択を防止することができる。
【0049】
ここで述べた、図面に図示されている有利な実施例は、単なる例として選択したものである。様々な実施例を全体として、並びに個々の特徴に関して互いに組み合わせることができる。一つの実施例を別の実施例の一つ又は複数の特徴により補完することもできる。ここで述べた構成部品の幾何学形状のサイズは、単なる例であり、相応に調整することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 操作装置
2 筐体
4 操作領域
6 スクロール面
7 スクロールホイール
8 許可キー
10 手の平を載せる部分
12 表示機器
14 窪み
16 キー部品
100 本方法
110 操作工程
120 回転工程
130 阻止工程
図1
図2
図3