特許第6389893号(P6389893)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6389893神経系に対する損傷に関与する疾病を治療するためのオメガ3脂肪酸の組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6389893
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】神経系に対する損傷に関与する疾病を治療するためのオメガ3脂肪酸の組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/202 20060101AFI20180903BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20180903BHJP
   A61P 27/06 20060101ALI20180903BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20180903BHJP
   A23L 33/12 20160101ALI20180903BHJP
   A23D 9/00 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
   A61K31/202
   A61P27/02
   A61P27/06
   A61P25/02 101
   A23L33/12
   A23D9/00 516
【請求項の数】11
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2016-540609(P2016-540609)
(86)(22)【出願日】2013年12月19日
(65)【公表番号】特表2017-501169(P2017-501169A)
(43)【公表日】2017年1月12日
(86)【国際出願番号】EP2013077356
(87)【国際公開番号】WO2015090394
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2016年10月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】516176796
【氏名又は名称】ゲオルギウ,タッソス
(74)【代理人】
【識別番号】100112988
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬戸 一宏
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルギウ,タッソス
【審査官】 今村 明子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−523823(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/125034(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/090745(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/125020(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0237548(US,A1)
【文献】 国際公開第2012/103049(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/037794(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/018856(WO,A1)
【文献】 特表2008−525441(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/112340(WO,A1)
【文献】 Investigative Ophthalmology & Visual Scinece,1998年 3月15日,Vol.39, No.4,S261の1186-B67
【文献】 Investigative Ophthalmology & Visual Scinece,1998年 3月15日,Vol.39, No.4,S441の2036
【文献】 PharmaNutrition,2013年 7月,Vol.1,Issue3,p.86-89
【文献】 Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol,2009年,Vol.247,p.1191-1203,DOI:10.1007/s00417-009-1094-6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00− 9/72
A61K 31/00−31/80
A61K 33/00−33/44
A61K 47/00−47/69
A61P 1/00−43/00
A23L 33/00−33/29
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
視神経損傷の治療、改善又は予防における使用のための、1:1から5:1までのEPA:DHAの質量比における、少なくとも5gのエイコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸を含む組成物又は成分セット
【請求項2】
視神経損傷が緑内障に起因する視神経損傷、虚血性視神経症(ION)及び視神経炎、又はこれらの任意の組み合わせから構成される群から選択される、請求項1に記載の組成物又は成分セット
【請求項3】
視神経炎の治療、改善又は予防における使用のための、請求項1又は2に記載の組成物又は成分セット
【請求項4】
緑内障の治療、改善又は予防における使用のための、請求項1に記載の組成物又は成分セット
【請求項5】
投与されるエイコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸の量が一日当たり5〜15gの間を含む(comprised between)、請求項1乃至4のいずれかに記載の組成物又は成分セット
【請求項6】
投与されるエイコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸の量が一日当たり7.5gより上である、請求項1乃至5のいずれかに記載の組成物又は成分セット
【請求項7】
投与されるエイコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸の量が一日当たり7.5〜10gの間を含む、請求項1乃至6のいずれかに記載の組成物又は成分セット
【請求項8】
投与されるエイコサペンタエン酸の量が一日当たり3.0gより上である、請求項1乃至7のいずれかに記載の組成物又は成分セット
【請求項9】
前記組成物が医薬組成物であり、又は前記成分セット医薬成分セットである、請求項1乃至8のいずれかに記載の組成物又は成分セット
【請求項10】
前記組成物が食品組成物であり、又は前記成分セット食品成分セットである、請求項1乃至9のいずれかに記載の組成物又は成分セット
【請求項11】
エイコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸の量は、血液中のアラキドン酸/エイコサペンタエン酸の質量比が0.8〜3の範囲内、好適には1〜1.5の範囲内にあるようなものである、請求項1乃至10のいずれかに記載の組成物又は成分セット
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に薬品、食品および健康食品サプリメントの分野に関する。より詳細には、本発明は疾病の治療における使用のためのオメガ3脂肪酸を含む組成物に関し、特に末梢神経系神経障害及び緑内障のような神経系に対する損傷に関与する種々の疾患、異常及び疾病の治療、改善又は防止における使用のためのエイコサペンタエン酸(EPA)及びドコサヘキサエン酸(DHA)を含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
神経障害は神経に関与する損傷又は疾病であり、これは影響を受ける神経のタイプに依存して、知覚、運動、腺又は器官機能及び他の健康の態様に影響を与え得る。共通の原因は、(糖尿病又はハンセン病のような)全身性疾患、ビタミン欠乏、投薬(例えば化学療法)、外傷、過度のアルコール消費、免疫系疾患又は感染症を含み、あるいは遺伝により引き継がれ(誕生から存在し)得る。
【0003】
末梢神経障害(PN)は神経に関与する損傷又は疾病であり、これは影響を受ける神経のタイプに依存して、知覚、運動、腺又は器官機能及び他の健康の態様に影響を与え得る。共通の原因は、(糖尿病又はハンセン病のような)全身性疾患、ビタミン欠乏、投薬(例えば化学療法)、外傷、過度のアルコール消費、免疫系疾患又は感染症を含み、あるいは遺伝により引き継がれ(誕生から存在し)得る。
【0004】
一般診療設定(family medicine setting)における末梢神経障害の有病率は、55歳以上の人々において8パーセントである(Martyn & Hughes、1997年「J Neurol Neurosurg Psychiatry」第62(4)巻第310〜318頁)。一般人口における有病率は2.4%もの高さであり得る(Hughes、2002年「BMJ」第324(7335)巻第466〜469頁)。共同体を基礎とする研究は、2型糖尿病を有する患者における末梢神経障害の有病率を26.4パーセントであると推定した(Daviesら、2006年「Diabetes Care」第29(7)巻第1518〜1522頁)。
【0005】
末梢神経系(PNS、時にPeNS)は、脳と脊髄の外側の神経と神経節から構成される神経系の一部である。脳神経は、網膜と共に脳神経II、視神経の例外を有するPNSの一部である。第二の脳神経は、真の末梢神経ではなく間脳の管である。脳神経節は、CNSにおいて始まる。しかし、残りの十一個の脳神経軸索は脳を越えて伸び、従ってPNSの一部と考えられる。
【0006】
(第3、第4、第6、第7脳神経障害)
顔面神経障害は、顔の表情及び閉眼の筋肉の弱さを生み出す。自発的な閉眼は可能でないかも知れず、結果として角膜及び結膜に対する損傷を生じ得る。
【0007】
眼球運動は、それぞれの眼の六つの筋肉を刺激する(innervate)眼球運動神経(脳神経3,4及び6)により促進される。眼球運動(第三)神経は、上眼瞼挙筋(levator palpebrae)と共に内直筋、下直筋、上直筋及び下斜筋を刺激する。滑車(第四)神経は上斜筋を刺激し、外転(第六)神経は外直筋を刺激する。顔面及び眼球運動神経障害は、虚血、炎症及び/又は外傷に起因し得る。これらの眼の病理のための現在の治療法は存在しない。
【0008】
(炎症に起因する他の眼の病理)
強膜炎、甲状腺眼疾患、慢性ブドウ膜炎及び結膜炎のような疾患は、炎症に起因する。現在の治療は、ステロイド及び免疫抑制剤を含む。
【0009】
結膜と角膜の傷は炎症に起因し、又は神経部分(supplies)の感覚低下に起因し得る。
【0010】
上記疾患を治療するためのより効果的かつ/又は代替的な治療についての必要が存在する。
【0011】
(視神経損傷)
視神経損傷は、主に緑内障、局所貧血(ischaemia)、炎症又は外傷に起因して発生し得る。現在、これらの患者において軸索損傷を限定して神経機能を改善する治療は存在しない。
【0012】
(緑内障に起因する視神経損傷)
緑内障は世界中において失明の第2位の原因であり、約8700万人の人々を失明させている。これは米国の人口の1〜2%に影響を与える。
【0013】
緑内障は、網膜神経節細胞死に導く疾患群から構成される。緑内障の殆どの形態において、眼圧上昇は緑内障を発症するための単一の最も重要な要因と考えられる。しかし、正常眼圧緑内障のような緑内障のいくつかの形態においては高眼圧が存在しない。
【0014】
緑内障は、周囲から始まって中央に伸びる視野の漸進的な喪失が伴う視神経に対する進行性の損傷により特徴付けられる。これは眼圧のレベルに関連し得るか、あるいは直接的に関連しない場合がある。
【0015】
緑内障は、三つの主要な群に分割され得る。
1)高圧緑内障(原発開放隅角緑内障)と常圧緑内障(正常眼圧緑内障)に細分化される開放隅角緑内障
2)閉塞隅角緑内障
3)続発性緑内障
【0016】
緑内障においては、血液網膜関門の破壊が存在する。これは、局所貧血及び再灌流損傷の期間に結果として生じる血管の調節不全による、網膜神経節細胞に対する炎症反応及び損傷を結果として生じる。局所貧血の結果として、VEGF、TNF‐a、IL、CRP、NO等のような炎症性サイトカイン及びケモカインの上昇が存在する。また、血管収縮物質であるエンドセリン‐1の増加があり、従って網膜神経節細胞死を結果として生じる低酸素症及び局所貧血を促進する。
【0017】
これは慢性疾患であり、治療の現在の主力は、疾患の進行を遅らせるために眼圧を低下させることを目的とする。
【0018】
点眼剤に関する投薬は、レーザー治療及び切開手術が続く、通常受け入れられる第一線の治療である。治療の目標は、対無処置視野検査の悪化の速度の少なくとも40%の減少を示したOHTS、AGIS及びEMGT研究の結果を前提として、眼圧を少なくとも20%低下させることである。一日の異なる時間に、より大きな眼圧の振れを有する患者の間においては、より高い視野欠損の危険が存在する。
【0019】
診断時における診断の遅れ又は高度な視野欠損は、緑内障における失明への進行のための主要な危険因子の一つである。失明する緑内障患者の三分の一において、提示の遅れが失明の主な原因であると推定されている。
【0020】
増加する高齢人口により、世界において緑内障失明の増加が存在する。我々は緑内障の病態生理を理解して、我々の緑内障患者のケアを改善するために我々の治療を向上させることができる。
【0021】
緑内障患者の60%が、生活の質と緑内障治療のコンプライアンスを低下させ得るドライアイ疾患を患う。複数回の毎日の活性化合物及び防腐剤に対する眼表面への曝露は、この集団においてドライアイ疾患の負担を悪化させ得る。
【0022】
緑内障の研究は、神経保護に増加する焦点を見ている。弱視を有する高度な緑内障損傷を有する患者における小さな利益さえ、有益であろう。
【0023】
網膜神経節細胞の変性は、緑内障のないパーキンソン病及びアルツハイマー病のような神経系の疾患において観察されている。炎症は、網膜神経節細胞に対する損傷をも引き起こすこれらの神経系疾患において役割を果たす。
【0024】
最近20年の間に、制御された臨床試験は眼圧を下げることが緑内障の進行を遅らせ得ることを示した。任意の新しい治療法は、眼圧に基づく治療単独により達成されるものより下の残りの進行速度を低減するための神経保護効果を有するべきである。神経保護治療は、そうでない場合に患者により許容されない視覚的な又は全身性の副作用を最小限に有しなければならない。
【0025】
眼圧低下治療は、未処置の進行の速度を約50%遅くする。従って、神経保護の目的は進行を別の50%減少させることである。
【0026】
(虚血性視神経症(ION))
IONの95%は、非炎症性の小血管疾患に対して二次的である。残りは二次的な血管炎に起因する。非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION)は、50歳の年齢を超える患者における急性視神経症の最も一般的な原因である。これは、10万人当たり10人の人々にまで影響を及ぼす。症状は、視覚の急性の片側性の無痛を含む。視野内の任意の領域が影響を受け得る。 IONを有する患者の50%より多くが、狭窄視野を有する盲目(<20/200視覚)である。
【0027】
局所貧血の機構は不明のままである。研究は、高血圧(47〜49%)及び糖尿病(24〜26%)がNAIONに存在したことを示す。睡眠時無呼吸、低灌流、重度の貧血及び夜行性低血圧は、全てNAIONのための潜在的であるが証明されていない危険因子である。
【0028】
虚血性視神経症の殆どの場合において、視覚は2週間に亘って次第に悪化し、その後時間を掛けて安定を保つ。他眼の危険は、5年以内に15%である。視力は、ほぼ視神経乳頭浮腫(disk oedema)が視神経萎縮に取って代わられる時点に進行が止まる(plateau)ように思われる。
【0029】
現在、虚血性視神経症には一般的に受け入れられる治療法が存在しない。全身ステロイドは毛細血管の透過性を減少させ、より高速に浮腫を解消しようとするために使用されている。これは、毛細血管の圧縮を減少させて血流を改善する。 一つの研究において、経口ステロイドを与えられた患者は、未処置の場合における8.2週間と比べて6.8週間にて浮腫の解消を有した。視野と視覚は最大6ヶ月まで改善し得たが、その後は改善しない。硝子体内トリアムシノロンと硝子体内VEGFが使用され、症例報告として報告されている。
【0030】
(視神経炎)
視神経炎は、若年成人に最も頻繁に発生し、多発性硬化症に関連付けられ得る視神経の急性炎症性脱髄疾患である。良好な機能的視力回復が殆どの患者に見られるにもかかわらず、一部の患者は回復することができない(5?10%)。視神経炎は、患者の20%までにおいて、多発性硬化症の初期の提示である。眼科医は通常、多発性硬化症関連の視覚症状を有する患者を診察する最初の医師である。これは血液脳関門を横断する免疫細胞の血管周囲浸潤を伴う自己免疫疾患である。これらの免疫細胞は、ミエリンを破壊して脱髄を引き起こす。炎症性細胞及び体液性免疫機構は、視神経炎において主要な役割を果たす。
【0031】
視神経炎治療試験は、多くの患者が関係なく視力を回復するものの、3日間の静脈内メチルプレドニゾロンが視力回復を早めることを示した。低用量経口ステロイドは再発性視神経炎についてチャンスを増加させることを示したが、その理由は不明である。
【0032】
(炎症に起因する他の眼の病理)
強膜炎、甲状腺眼疾患、慢性ブドウ膜炎及び結膜炎のような疾患は、炎症に起因する。現在の治療は、ステロイド及び免疫抑制剤を含む。
【0033】
結膜と角膜の傷は炎症に起因し、又は神経部分の感覚低下に起因し得る。
【0034】
要約すると、上記疾患を治療するためのより効果的及び/又は代替的な治療法についての必要が存在する。
【0035】
本特許において説明される組成物は、特に第二脳(視)神経障害、第三脳神経障害(眼球運動)、第四脳神経障害(滑車)、第六脳神経障害(外転)、第七脳神経障害(顔面)、視神経損傷及び炎症に起因する他の眼の病理の治療における使用のための、神経系に対する損傷に関与する疾病から結果として生じる罹患率を低減するための新規な治療アプローチを表す(represents)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0036】
本発明は、末梢神経系の神経障害及び緑内障のような神経系に対する損傷に関与する種々の疾患、異常及び疾病の治療、改善又は予防における使用のためのオメガ3脂肪酸を含む新規な組成物及び剤形を提供する。
【0037】
従って本発明の第一の態様は、少なくとも3gのオメガ3脂肪酸を含む、本明細書において以下本発明の組成物とする組成物を指す。本発明の第一の態様の好適な実施形態においては、本発明の組成物は、少なくとも3.4gのオメガ3脂肪酸、より好適には少なくとも5gのオメガ3脂肪酸を含む。
【0038】
本発明の第一の態様の別の好適な実施形態において、本発明の組成物は5gから15gのオメガ3脂肪酸から構成される(comprises from)。
【0039】
本発明の第一の態様の別の好適な実施形態において、オメガ3脂肪酸は、エイコサペンタエン(EPA)酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、α‐リニオレン酸(alpha liniolenic acid、ALA)、ステアリドン酸(SA)、エイコサテトラエン酸(oeicosatetraenoic acid)又はこれらの任意の組み合わせから構成されるリストから選択される。本発明の第一の態様のより好適な実施形態において、オメガ3脂肪酸はエイコサペンタエン酸(EPA)である。
【0040】
本発明の第一の態様のさらなる好適な実施形態において、オメガ3脂肪酸は、エイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)の組み合わせである。本発明の第一の態様のさらにより好適な実施形態においては、エイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)は、1:1から5:1までの質量比にある。さらにより好適には、エイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)は、約2:1の質量比にある。
【0041】
本発明の第一の態様のさらにより好適な実施形態において、前記組成物は許容される医薬担体及び/又は追加の活性成分を選択的に含む医薬組成物である。より好適には、医薬組成物は少なくとも50%の重量のオメガ3脂肪酸を含む。
【0042】
別の好適な実施形態において、組成物は経口剤形である。より好適には、経口剤形は、錠剤、カプセル、カプレット、スラリー、サシェ(sachet)、懸濁剤、チューインガム及び液体中に溶解され得る粉末製剤を含む群から選択される。さらにより好適な実施形態においては、経口剤形が懸濁液である。別のさらにより好適な実施形態においては、経口剤形は粉末である。
【0043】
別の好適な実施形態において、本発明の組成物は食品組成物又は健康食品サプリメントである。より好適には、食品組成物は少なくとも50%の重量のオメガ3脂肪酸を含む。
【0044】
本発明の第二の態様は、1:1から5:1までの質量比においてエイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)を含む部分のキットを指す。
【0045】
本発明の第二の態様の好適な実施形態において、エイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)は約2:1の質量比である。
【0046】
本発明の第二の態様のさらにより好適な実施形態において、部分のキットは許容される医薬担体及び/又は追加の活性成分を選択的に含む部分の医薬キットである。より好適には、追加の活性成分はステロイド、アンチドラッグ又は栄養補助食品である。
【0047】
本発明の第一の態様の別の実施形態において、部分のキットは食品組成物である。
【0048】
本発明の第三の態様は、治療における使用又は医薬としての使用のための組成物又は部分のキットを指す。
【0049】
本発明の第四の態様は、末梢神経系の神経障害及び緑内障のような神経系に対する損傷に関与する疾患の治療、改善又は予防におけるその使用のための、本発明の組成物又は部分のキットを指す。
【0050】
本発明の第四の態様の好適な実施形態においては、神経系に対する損傷に関与する疾病は、第二脳(視)神経障害、第三脳神経障害(眼球運動)、第四脳神経障害(滑車)、第六脳神経障害(外転)、第七脳神経障害(顔面)、視神経損傷、及び炎症に起因する他の眼の病理から構成される群から選択される。
【0051】
視神経の損傷は、主に緑内障、局所貧血(ischaemia)、炎症又は外傷に起因して発生し得る。
【0052】
本発明の第四の態様のより好適な実施形態において、視神経損傷は 緑内障に起因する視神経損傷、虚血性視神経症(ION)及び視神経炎又はこれらの任意の組み合わせから構成される群から選択される。本発明の第五の態様の別の好適な実施形態においては、炎症に起因する眼の病理は、強膜炎、甲状腺眼疾患、慢性ブドウ膜炎、春季カタル及びアトピー性角結膜炎、結膜及び角膜の傷から構成される群から選択される。本発明の第四の態様の特定の実施形態は、緑内障の治療、改善又は予防におけるその使用のための本発明の組成物又は部分のキットを指す。
【0053】
より好適な実施形態において、本発明の医薬組成物又は部分のキットは、オメガ3脂肪酸の典型的な一日の合計量が5gより上であるように、より好適には一日当たり5gより上のエイコサペンタエン酸(EPA)及びドコサヘキサエン酸(DHA)であるように、より好適には一日当たり5gから15gを含む(comprised between)ように、一日一回以上、例えば一日1、2、3又は4回投与され得る。好適には、組み合わせ投与量は一日当たり7.5gから10gまでである。より好適な実施形態においては、本発明の医薬組成物又は部分のキットは、組み合わされるEPAとDHAが血液中のアラキドン酸/エイコサペンタエン酸の質量比が0.8〜3、好適には1〜1.5の範囲にあるような用量にて投与され得る。
【0054】
本発明の第五の態様は、末梢神経系の神経障+害及び緑内障のような神経系に対する損傷に関与する疾病の治療、改善又は予防のための本発明の食品組成物の使用を指す。
【0055】
本発明の第五の態様の好適な実施形態において、神経系に対する損傷に関与する疾病は、第二脳(視)神経障害、第三脳神経障害(眼球運動)、第四脳神経障害(滑車)、第六脳神経障害(外転)、第七脳神経障害(顔面)、視神経損傷、及び炎症に起因する他の眼の病理から構成される群から選択される。
【0056】
視神経の損傷は、主に緑内障、局所貧血、炎症又は外傷に起因して発生し得る。
【0057】
本発明の第五の態様のより好適な実施形態において、視神経損傷は 緑内障に起因する視神経損傷、虚血性視神経症(ION)及び視神経炎又はこれらの任意の組み合わせから構成される群から選択される。本発明の第五の態様の別の好適な実施形態においては、炎症に起因する眼の病理は、強膜炎、甲状腺眼疾患、慢性ブドウ膜炎、春季カタル及びアトピー性角結膜炎、結膜及び角膜の傷から構成される群から選択される。本発明の第五の態様の特定の実施形態は、緑内障の治療、改善又は予防のための本発明の食品組成物の使用を指す。より好適には、本発明の組成物又は部分のキットは、ステロイドに対して乏しい反応性を有し又は反応しない患者集団の治療における使用のためのものである。
【0058】
より好適な実施形態において、本発明の食品組成物は、オメガ3脂肪酸の典型的な一日の合計量が5gより上であるように、より好適には一日当たり5gより上のエイコサペンタエン酸(EPA)及びドコサヘキサエン酸(DHA)であるように、より好適には一日当たり5gから15gを含むように、一日一回以上、例えば一日1、2、3又は4回投与され得る。好適には、組み合わせ投与量は一日当たり7.5gから10gまでである。より好適な実施形態においては、本発明の医薬組成物又は部分のキットは、組み合わされるEPAとDHAが血液中のアラキドン酸/エイコサペンタエン酸の質量比が0.8〜3の範囲、好適には1〜1.5の間の範囲にあるような用量にて投与され得る。
【発明を実施するための形態】
【0059】
(発明の詳細な説明)
本発明は、神経損傷を有する患者における視力及び視野を改善するための問題に直面し、特に緑内障の炎症/局所貧血又は外傷に起因する視神経損傷に直面する。
【0060】
(EDTRS電子カルテを使用して)視力並びにこれらの疾患の徴候及び症状における有意な改善が、示される比率及び投与量における高用量のEPA、並びに好適にはEPA及びDHAを使用して達成され得ることが、本発明者によって発見された。本治療法は、他の治療法に対して無反応であるか反応性が乏しい患者についてさえ有効である。本発明の治療法は、経口投与に特に適している。示された比率及び投与量におけるEPA及びDHAの使用は、既知の治療(例えばステロイド)により経験される副作用をも回避する。
【0061】
いくつかの実施形態において、EPA及びDHAは、同時の、連続的な又は分離した投与のためのさらなる治療剤と共に使用するためのものである。好適には、さらなる治療剤はステロイド及び/又は免疫抑制剤及び/又は他の栄養補助食品である。
【0062】
本発明の組成物及び部分のキットは、脳神経障害、強膜炎、甲状腺眼疾患、慢性ブドウ膜炎、春季/アトピー性角結膜炎、結膜及び角膜の傷、並びに炎症及び損傷を受けた神経に起因する他の身体疾患においても使用され得る。高用量のオメガ3脂肪酸の補給は、そのような患者のための重要な治療選択肢を表し得る。
【0063】
(本発明の組成物及び部分のキット)
従って、本発明の第一の態様によれば、以下本発明の組成物とする、少なくとも3gのオメガ3脂肪酸、より好適には5gのオメガ3脂肪酸を含む組成物が提供される。
【0064】
本発明の第一の態様の好適な実施形態において、本発明の組成物は5gから15gまでのオメガ3脂肪酸を含む。
【0065】
オメガ3脂肪酸は、分子のアルキル末端(すなわちカルボン酸基から離れている末端)から三番目の結合として最終的な炭素 - 炭素二重結合を含む不飽和脂肪酸である。オメガ3脂肪酸の例は、表1に示される。
【表1】

エイコサテトラエン酸(ETA) 20:4(n−3)
全シス‐8,11,14,17‐エイコサテトラエン酸 304
エイコサトリエン酸(ETE) 20:3(n−3)
全シス‐11,14,17‐エイコサトリエン酸 306
ステアリドン酸(SDA) 18:4(n−3)
全シス‐6,9,12,15‐オクタデカテトラエン酸 276
リノレン酸(ALA) 18:3(n−3)
全シス‐9,12,15‐オクタデカトリエン酸 278
ヘキサデカトリエン酸(HTA) 16:3(n−3)
全シス‐7,10,13‐ヘキサデカトリエン酸 250
【0066】
本発明の第一の態様の好適な実施形態において、オメガ3脂肪酸は、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、α‐リニオレン酸(ALA)、ステアリドン酸(SA)、エイコサテトラエン酸(ETA)、又はこれらの任意の組み合わせから構成されるリストから選択される。本発明の第一の態様の好適な実施形態において、オメガ3脂肪酸はエイコサペンタエン酸(EPA)である。実施例1に示されるように、最小3,000mg(3.0g)、好適には3,400mg(3.4g)のEPAが、臨床的に有用な結果を観察するために必要とされる。
【0067】
本発明の第一の態様のさらに好適な実施形態において、オメガ3脂肪酸は、エイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)の組み合わせ、若しくはこれらの塩、エステル、溶媒和物、プロドラッグ、誘導体若しくはEPA及びDHAの類似物、又はこれらの任意の組み合わせである。本発明の第一の態様のさらに好適な実施形態において、エイコサペンタエン酸(EPA)及びドコサヘキサエン酸(DHA)は、1:1から5:1までの質量比において使用される。好適には1:1から4:1までの範囲にあり、より好適には1:1から3:1までにあり、さらにより好適には1.5:1から2.5:1までにあり、さらにより好適には2.1:1から2.4:1にあり、最も好適には2.1:1から2.2:1までの範囲にある。さらにより好適には、エイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)は、約2:1の質量比にある。
【0068】
本発明において定義されるように、エイコサペンタエン酸(EPA又はイコサペンタエン酸とも呼ばれるCAS登録番号:10417‐94‐4、lUPAC名(5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)‐5,8,11,14,17‐イコサペンタエン酸)は、オメガ3脂肪酸である。 生理学に関する文献においては、これには名称20:5(n−3)が与えられている。これは、慣用名チムノドン酸をも有する。化学構造において、EPAは20個の炭素鎖と5つのシス二重結合を有するカルボン酸であり、最初の二重結合はオメガ末端から三番目の炭素に位置する。これは、以下の式(I)の化合物又はその任意の塩、エステル、溶媒和物、プロドラッグ、誘導体若しくはこれらの類似物である。
【化1】
【0069】
EPAは、(血小板凝集を阻害する)プロスタグランジン‐3、トロンボキサン‐3及びロイコトリエン‐5のグループ(全てエイコサノイド)のための前駆体として作用する多価不飽和脂肪酸(PUFA)である。
【0070】
本発明において定義されるように、ドコサヘキサエン酸(DHA)は、ヒトの脳、大脳皮質、皮膚、精子、精巣及び網膜の主要な構成成分であるオメガ3脂肪酸である。これは、α‐リノレン酸から合成され、又は母乳若しくは魚油から直接取得され得る。DHAの構造は、22個の炭素鎖(「ドコサ〜」は「22」についてのギリシャ語)と、6個(ギリシャ語「ヘキサ」)のシス二重結合(「〜エン〜」)を有するカルボン酸(「〜酸(-oic acid)」)であり、最初の二重結合はオメガ末端から三番目の炭素に位置する。その慣用名はセルボン酸であり、その系統名は全シス‐ドコサ‐4,7,10,13,16,19‐ヘキサエン酸であり、その速記名は脂肪酸の命名における22:6(n‐3)である。CAS登録番号6217‐54‐5、lUPAC名(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)‐ドコサ‐4,7,10,13,16,19‐ヘキサエン酸、ドコネキセントである。これは、以下の式(II)の化合物若しくはその任意の塩、エステル、溶媒和物、プロドラッグ、誘導体又はこれらの類似物である。
【化2】
【0071】
本明細書において使用されるように、「誘導体」の語は、薬学的に許容される化合物の両方、すなわちそれらが薬学的に許容される誘導体の調製又は食品組成物の調製において有用であり得るため、薬学的に許容されない誘導体のような薬剤の調製において使用され得る式(I)又は(II)の化合物の誘導体を含む。
【0072】
また、本発明の範囲内には、式(I)又は(II)の化合物のプロドラッグが存在する。本明細書において使用されるような用語「プロドラッグ」は、個体に投与されたときに直接的又は間接的に前記個体に式(I)又は(II)の化合物を与えることが可能である、前記式(I)又は(II)の化合物から誘導される任意の化合物、例えば、カルボン酸エステル、アミノ酸エステル、リン酸エステル、金属塩スルホン酸エステル等を含むエステル、カルバミン酸塩、アミド等を含む。有利には、前記誘導体は、個体に投与されるときに式(I)又は(II)の化合物の生体利用可能性を増加させ、又は生物学的区画において式(I)の化合物の放出を強化する化合物である。前記誘導体の性質は、それが個体に投与され得て、個体の生物学的区画において式(I)又は(II)の化合物を与えると仮定すれば重要ではない。前記プロドラッグの調製は、当業者に公知の従来の方法により実行され得る。
【0073】
いくつかの実施形態において、EPA及び/又はDHAは塩の形態にある。適切な塩は、有機又は無機塩基を有して形成されるものを含む。薬学的に許容される塩基塩は、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えばカリウム及びナトリウムのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、例えばカルシウム及びマグネシウムのアルカリ土類金属塩、有機塩基を有する塩、例えばジシクロヘキシルアミン、N‐メチル‐D‐グルコミン、モルホリン、チオモルホリン、ピペリジン、ピロリジン、モノ‐ 、ジ‐又はトリ‐低級アルキルアミン、例えばエチル‐、三級‐、ブチル‐ 、ジエチル‐、ジイソプロピル‐、トリエチル‐、トリブチル‐又はジメチルプロピルアミン、又はモノ‐、ジ‐若しくはトリ‐ヒドロキシ低級アルキルアミン、例えばモノ‐ 、ジ‐又はトリエタノールアミンを含むが、これらに限られない。
【0074】
他の実施形態において、EPA及び/又はDHAはエステルの形態である。エステル基は、好適にはメタノール、エタノール、n‐プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール又はヘキサノールとオメガ3脂肪酸との反応により形成される、1〜6個の炭素を有するアルコールとオメガ3脂肪酸との反応により形成されるC1−6アルキルエステル、例えばメチル、エチル、n‐プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル又はヘキシルエステルである、1〜12個の炭素を有するアルコールとオメガ3脂肪酸との反応により形成されるC1−12アルキルエステルのような、アルコールとオメガ3脂肪酸の末端カルボン酸部分から形成されるものを含む。好適にはエステルはエチルエステル又はメチルエステルであり、より好適にはエチルエステルである。
【0075】
一つの好適な実施形態において、EPA又はこれらの塩若しくはエステルはEPA及び/又はEPAエチルエステルを含み、DHA又はこれらの塩若しくはエステルは、DHA及び/又はDHAエチルエステルを含む。より好適には、エイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸の組み合わせが使用される(すなわち塩又はエステルよりむしろ、EPAとDHAの遊離酸が使用される)。
【0076】
本発明の第一の態様のさらに好適な実施形態において、前記組成物は許容される医薬担体及び/又は追加の活性成分を選択的に含む医薬組成物である。より好適には、医薬組成物は少なくとも50%の重量のオメガ3脂肪酸を含む。好適には、組成物は少なくとも30%の重量のオメガ3脂肪酸を含み、より好適には少なくとも40%の重量のオメガ3脂肪酸を含み、さらにより好適には少なくとも50%の重量%オメガ3脂肪酸を含む。好適には、組成物は少なくとも30重量%の、より好適には少なくとも40重量%の、さらにより好適には50重量%のエイコサペンタエン酸を含む。より好適には、組成物は、選択的には液体の形態により、少なくとも40重量%の1:1から4:1までの重量比によるエイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸の組み合わせを含み、より好適には選択的には液体の形態により、少なくとも50重量%の1:1から4:1までの重量比によるエイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸の組み合わせを含む。一つの特に好適な実施形態において、組成物は、選択的には液体の形態により、約60重量%の約2:1の重量比によるエイコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸の組み合わせを含む。
【0077】
別の好適な実施形態において、組成物は経口投与形態である。より好適には、経口投与形態は錠剤、カプセル、カプレット、スラリー、サシェ、懸濁剤、チューインガム及び液体中に溶解され得る粉末製剤を含む群から選択される。さらにより好適な実施形態において、経口投与形態は懸濁剤である。別のさらにより好適な実施形態において、経口投与形態は粉末である。
【0078】
別の好適な実施形態において、本発明の組成物は食品組成物又は健康補助食品である。好適には組成物は少なくとも30重量%のオメガ3脂肪酸を含み、より好適には少なくとも40重量%のオメガ3脂肪酸を含み、さらにより好適には少なくとも50重量%のオメガ3脂肪酸を含む。好適には、組成物は少なくとも30重量%の、より好適には少なくとも40重量%の、さらにより好適には50重量%のエイコサペンタエン酸を含む。より好適には、組成物は、選択的には液体の形態により、少なくとも40重量%の1:1から4:1までの重量比によるエイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸の組み合わせを含み、さらに好適には、選択的には液体の形態により、少なくとも50重量%の1:1から4:1までの重量比によるエイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸の組み合わせを含む。一つの特に好適な実施形態において、組成物は、選択的には液体の形態により、約60重量%の約2:1の重量比によるエイコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸の組み合わせを含む。
【0079】
好適な食品組成物は、飲料、点滴される食品、牛乳、ヨーグルト、チーズ、発酵乳、風味付けされた乳飲料、豆乳、調理済みシリアル、パン、ケーキ、バター、マーガリン、ソース、揚げ油、植物油、トウモロコシ油、オリーブ油、大豆油、パーム油、ヒマワリ油、綿実油、調味料、サラダドレッシング、フルーツジュース、シロップ、デザート、アイシング及びフィリング、ソフト冷凍製品、菓子、チューインガム並びに中間食品から選択されるが、これらに限られない。
【0080】
オメガ脂肪酸EPA及びDHA又はこれらの塩若しくはエステルは、同時に、連続的に又は分離して投与され得る。次に、本発明の第二の態様は、1:1から5:1までの質量比におけるエイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)を含む、以下「本発明の部分のキット」とする部分のキットを指す。これは好適には1:1から4:1までの範囲にあり、より好適には1:1から3:1までにあり、さらにより好適には1.5:1から2.5:1までにあり、さらにより好適には2.1:1から2.4:1までにあり、最も好適には2.1:1から2.2:1までの範囲にある。さらにより好適には、エイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)は、約2:1の質量比にある。
【0081】
本発明の第二の態様のよりさらに好適な実施形態において、前記部分のキットは許容される医薬担体及び/又は追加の活性成分を選択的に含む医薬の部分のキットである。より好適には、追加の活性成分はステロイド、アンチドラッグ又は栄養補助食品である。ポリフェノール及び他の酸化防止剤のような他の薬剤が、追加の活性成分であり得る。一つの好適な実施形態において、さらなる活性成分はステロイドである。
【0082】
他の好適な実施形態において、組成物は、(トコフェロール及びトコトリエノール類を含む)ビタミンE、エピガロカテキン‐3‐ガレート(EGCG)、ビタミンC、ルテイン及びゼアキサンチンから構成されるリストから選択される抗酸化剤を実質的に含まない。一つの好適な実施形態において、組成物は抗酸化剤を実質的に含まない。一つの好適な実施形態において、組成物は抗酸化剤を含まない。
【0083】
本発明の第一の態様の別の実施形態において、前記部分のキットは食品の部分のキットである。
【0084】
部分のキットは、エイコサペンタエン酸(EPA)及びドコサヘキサエン酸(DHA)の分離した製剤を含み得る。 EPA及びDHAの分離した製剤は、連続して、分離して、かつ/又は同時に(選択的には反復して)投与され得る。従って、二つの活性成分は同一の組成物(食品又は医薬組成物)の一部として、あるいは分離した組成物(食品又は医薬組成物)によるいずれかにて投与され得る。EPAは、DHAの投与の前に、DHAの投与と同時に、若しくはDHAの投与に続いて、又はこれらのいくつかの組み合わせにより投与され得る。
【0085】
「部分のキット」、「組み合わせ製剤」又は本明細書において「並置(juxtaposition)」とも呼ばれる用語は、組み合わせ製剤の成分が、分離した又は連続的な使用のために利用可能であるように、例えば組成物中の結合体として存在する必要はない(組み合わせの成分が互いとの直接的な相互作用に入っていない)ことを意味していることが強調される。従って、「並置される(juxtaposed)」の語は成分の物理的分離の観点から必ずしも真の組み合わせではないことを意味する。
【0086】
(本発明の部分のキット及び組成物の使用)
本発明の第三の態様は、治療における使用又は薬物若しくは薬剤としての使用のための、本発明の組成物又は部分のキットを指す。
【0087】
本明細書において使用されるような「薬剤」又は「薬物」の語は、ヒト及び/又は動物における疾病の予防、診断、緩和、治療又は治癒について使用される任意の物質を指す。
【0088】
本発明の実施例に示されるように、示された比率及び用量によるEPAとDHAの使用は、これらの疾病のための特に有効な治療を提供し、示される場合にはステロイドの副作用を回避する。現在、緑内障に起因する視神経損傷を有する患者において、視力と視野検査を改善するための治療法は存在しない。
【0089】
本発明の第四の態様は、末梢神経系の神経障害及び緑内障のような神経系に対する損傷に関与する疾病の治療、改善又は予防における使用のための、本発明の組成物又は部分のキットを指す。
【0090】
本発明の第四の態様の好適な実施形態においては、神経系に対する損傷に関与する疾病は、第二脳(視)神経障害、第三脳神経障害(眼球運動)、第四脳神経障害(滑車)、第六脳神経障害(外転)、第七脳神経障害(顔面)、視神経損傷及び炎症に起因する他の眼の病理から構成される群から選択される。
【0091】
視神経の損傷は、主に緑内障、局所貧血、炎症又は外傷に起因して発生し得る。
【0092】
本発明の第四の態様のより好適な実施形態において、視神経損傷は 緑内障に起因する視神経損傷、虚血性視神経症(ION)及び視神経炎又はこれらの任意の組み合わせから構成される群から選択される。本発明の第五の態様の別の好適な実施形態においては、炎症に起因する眼の病理は、強膜炎、甲状腺眼疾患、慢性ブドウ膜炎、春季カタル及びアトピー性角結膜炎、結膜及び角膜の傷から構成される群から選択される。本発明の第四の態様の特定の実施形態は、緑内障の治療、改善又は予防におけるその使用のための本発明の組成物又は部分のキットを指す。
【0093】
さらなる活性成分の正確な投与量は、投与スケジュール、選択される特定の薬剤の経口効力、被験体の年齢、サイズ、性別及び状態、治療されるべき異常の性質及び重篤性、並びに他の関連する医療的及び物理的要因により変化する。従って、正確な薬学的に有効な量は前もって特定され得ないが、介護者又は臨床医により容易に決定され得る。適切な量は、動物モデルおよびヒトの臨床研究から、日常的な実験により決定され得る。ヒトについては、有効な用量は既知であるか、そうでなければ一人の当業者によって決定されることが可能である。
【0094】
本発明の薬剤は、有利には一日一回の用量にて投与され得て、あるいは一日の総用量は一日二回、三回又は四回の用量にて投与され得る。好適には、EPA及びDHA、又はその塩若しくはエステルは、一日当たり一回又は一日当たり二回の投与のためのものである。
【0095】
より好適な実施形態において、本発明の医薬組成物又は部分のキットは、オメガ3脂肪酸の典型的な一日の合計量が5gより上であるように、より好適には一日当たり5gより上のエイコサペンタエン酸(EPA)及びドコサヘキサエン酸(DHA)であるように、より好適には一日当たり5gから15gまでを含むように、一日一回以上、例えば一日1、2、3又は4回投与され得る。好適には、組み合わせ投与量は一日当たり7.5gから10gまでである。より好適な実施形態においては、本発明の医薬組成物又は部分のキットは、組み合わされるEPAとDHAが血液中のアラキドン酸/エイコサペンタエン酸の質量比が0.8〜3の範囲、好適には1〜1.5の間の範囲にあるような用量にて投与され得る。
【0096】
本発明の第五の態様は、末梢神経系障害及び緑内障のような神経系に対する損傷に関与する疾患の治療、改善又は予防のための本発明の食品組成物の使用を指す。
【0097】
本発明の第五の態様の好適な実施形態においては、神経系に対する損傷に関与する疾病は、第二脳(視)神経障害、第三脳神経障害(眼球運動)、第四脳神経障害(滑車)、第六脳神経障害(外転)、第七脳神経障害(顔面)、視神経損傷及び炎症に起因する他の眼の病理から構成される群から選択される。
【0098】
視神経の損傷は、主に緑内障、局所貧血、炎症又は外傷に起因して発生し得る。
【0099】
本発明の第五の態様のより好適な実施形態において、視神経損傷は 緑内障に起因する視神経損傷、虚血性視神経症(ION)及び視神経炎又はこれらの任意の組み合わせから構成される群から選択される。本発明の第五の態様の別の好適な実施形態においては、炎症に起因する眼の病理は、強膜炎、甲状腺眼疾患、慢性ブドウ膜炎、角結膜炎、結膜及び角膜の傷から構成される群から選択される。本発明の第五の態様の特定の実施形態は、緑内障の治療、改善又は予防のための本発明の食品組成物の使用を指す。より好適には、本発明の組成物又は部分のキットはステロイドに対して乏しい反応性を有するか無反応である患者集団の治療における使用のためのものである。
【0100】
より好適な実施形態において、本発明の食品組成物は、オメガ3脂肪酸の典型的な一日の合計量が5gより上であるように、かつより好適には一日当たり5gより上のエイコサペンタエン酸(EPA)及びドコサヘキサエン酸(DHA)であるように、より好適には一日当たり5gと15gの間を含むように、一日一回以上、例えば一日1、2、3又は4回投与され得る。好適には、組み合わせ投与量は一日当たり7.5gから10gまでである。より好適な実施形態においては、本発明の医薬組成物又は部分のキットは、組み合わされるEPAとDHAが血液中のアラキドン酸/エイコサペンタエン酸の質量比が0.8〜3の範囲、好適には1〜1.5の間の範囲にあるような用量にて投与され得る。
【0101】
本発明の治療法は、示される疾患の治療のために特に有効であることが示された。使用される用量及び比率におけるEPA及びDHAの投与は、患者における改善された視力及び/又は改善された症状を結果として生じることが示された。緑内障に起因する視神経損傷を有する患者において、発明者は視力及び視野検査において改善を見た。このことは、使用される用量及び比率における高用量のEPA及びDHAが、視神経についての神経保護をもたらすために有益であり得ることを示唆する。
【0102】
本発明の組成物が、神経炎を除去して脳神経軸索の神経再生をもたらすことが信じられる。これは、脳及び眼窩のための潜在的な抗炎症薬としても作用する。
【0103】
好適な実施形態において、疾患は緑内障/炎症/局所貧血/毒性又は手術に起因する視神経障害である。本発明の治療法は、おそらく神経再生及び神経炎の除去に起因して、視力及び視野検査を改善することが示された。
【0104】
好適な実施形態において、疾患は複視を引き起こす第三/第四/第六脳神経障害に起因する。本発明の治療法は、神経障害の完全な解消をもたらすことが示された。このことは、おそらく神経再生及び神経炎の除去に起因する。
【0105】
好適な実施形態において、疾患は顔面神経障害である。本発明の治療法は、神経障害の完全な解消をもたらすことが示された。
【0106】
好適な実施形態において、疾患は任意の脳神経障害である。本発明は、神経再生及び神経炎の除去に起因する完全な解決法を提供し得る。
【0107】
好適な実施形態において、疾患は強膜炎である。本発明の組成物は、患者の症状及び徴候を改善することが示された。これは、おそらく神経炎の解消に起因する。
【0108】
好適な実施形態において、疾患は眼の中又は周囲の炎症、例えば甲状腺眼疾患、慢性ブドウ膜炎、春季カタル又はアトピー性角結膜炎に起因する。本発明の組成物は、これらの患者の症状及び徴候を改善することが示された。これは、おそらく神経炎の解消に起因する。
【0109】
好適な実施形態において、疾患は角膜又は結膜の傷に起因する。本発明の組成物は、これらの患者の症状及び徴候を改善することが示された。
【0110】
(定義)
本明細書において使用されるように、「活性成分」、「活性物質」、「活性医薬物質」、「活性原理(principle)」又は「活性医薬成分」は、疾病の診断、治癒、緩和、治療若しくは予防において潜在的に診断薬理学的活性若しくは別の異なる効果を提供する任意の成分、又は人体及び他の動物の構造及び機能に影響を与える任意の成分を意味する。前記用語は、薬剤の同化(elaboration)における化学変化を促進し、特異的活性または効果をもたらす予測される変形された形態において薬剤に存在する、これらの成分を含む。
【0111】
本発明のいずれかの組成物及び部分のキットは、当該技術分野において既知の種々の形態により、動物における、より好適にはヒトを含む哺乳動物におけるその投与のために処方され得る。従って、それらは滅菌水溶液、又は血清のような生物学的流体に含まれ得るが、これらに限られない。水溶液は緩衝化され得るか又は緩衝化され得ず、それらは他の活性又は不活性成分をも含有し得る。追加の成分は、イオン強度を調節するための塩、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤及び類似物を含むがこれらに限られない防腐剤、並びにグルコース、デキストロース、ビタミン及びミネラルを含む栄養素を含む。代替的には、組成物は、固体形態による投与のために調製され得る。組成物は、微結晶性セルロースのような凝集剤、トラガカント、ゼラチン、デンプン若しくはラクトースのような賦形剤、トウモロコシデンプンのアルギン酸のような分散剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、コロイド状二酸化ケイ素のような滑沢剤(glinding agents)、スクロース又はサッカリンのような甘味料、ミント又はサリチル酸メチルのような芳香剤を含むがこれらに限定されない、他の種々の増量剤(vehicles)又は不活性賦形剤と組み合わされ得る。
【0112】
用語「薬剤」は、本報告において使用されるように、ヒト及び動物における疾患の予防、診断、救済、治療又は治癒のために使用される任意の物質を指す。本発明の文脈において、疾病(疾患)は神経系に対する損傷に関与する疾病(疾患)である。
【0113】
そのような組成物若しくは組み合わせ調製品及び/又はその製剤は、腹腔内、静脈内、筋肉内、皮下、髄腔内、脳室内、経口、経腸、非経口、鼻腔内又はトピック(topic)を含むがこれらに限られない種々の形態により、哺乳動物を含み従ってヒトを含む動物に投与され得る。
【0114】
治療的に有効な量を得るための用量は、例えば哺乳動物の年齢、性別、体重、耐性のような種々の要因に依存する。本明細書において使用される意味において、用語「治療的に有効な量」は、好適にはエイコサペンタエン酸(EPA)であり、より好適にはエイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)の組み合わせである、所望の効果を生じ、一般的には他の要因の中から、得られるべきプロドラッグ、誘導体又は類似物の固有の特性及び治療効果により決定される、オメガ3脂肪酸の量を指す。そのような組成物に使用され得る「アジュバント」及び「薬学的に許容可能な増量剤」は、当該分野において良く知られる増量剤である。
【0115】
明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるように、用語「薬学的に許容される担体」は、安定化させ、可溶化させ、そうでなければヒトを含む生きている動物に投与されるべき活性成分と混合されるために使用される配合物を含むことが意図される。これは、医薬投与に適合する任意かつ全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、並びに等張剤及び吸収遅延剤等を含む。任意の従来の媒体又は薬剤が活性化合物に不適合である場合を除き、組成物におけるそのような使用が考慮される。
【0116】
本発明は、以下の実施例について今説明される。しかし、本発明の範囲はそれらによって制限されることが意図されない。
(実施例)
【実施例1】
【0117】
方法及び材料:緑内障に起因する高度な視神経損傷を有する10個の眼の予備研究である。全ての眼は、低下した視力と減少した視野検査を有する。それらは、液体製剤のための1グラム当たりEPA(400mg)及びDHA(200mg)中の豊富な純化されたエチルエステルからから構成されるオメガ3により治療された。本予備研究において使用された用量は、一日当たり凡そ5.1〜6.8gのEPAと2.4〜3.2gのDHAをもたらす15〜21mlの液体製剤であった。用量は、それぞれ7.5〜10mlの二日分の用量に分割された。用量は、血液AA/EPA比率が1〜1.5以内であるように調節された。全ての眼の眼圧(The intraocular pressures an all eyes)は、抗緑内障点滴(drops)により良好に調節された。
【0118】
研究1結果:視力は6週間及び3ヶ月において、EDTRS電子カルテを使用して記録された。視野検査は、視野検査機械(ツァイス(Zeiss)、ハンフリーズ(Humphreys))によっても記録された。
【0119】
図1は、研究期間について得られたラインの数と眼の数を示す。6週間における1.5ラインの視力の増加と3ヶ月における2.1ラインの増加が存在する。全ての場合において、視野検査は改善した。従来技術の使用は、この眼科疾患を有する被験者に対するいかなる治療効果も結果として生じない。特に、従来技術のそれぞれにおけるオメガ3脂肪酸、エイコサペンタエン酸(EPA)の水準は、任意の治療的効果を有するには遥かに低過ぎる。本特許出願の発見である治療効果を誘導するのは、必要とされるEPAのこの臨界の閾値である。
【0120】
図2は、抗緑内障点滴により調節された眼圧を有する65歳の女性の例を示す。視野検査は、一日当たり10gの本発明の組成物により開始する3ヶ月以内の改善を示す。視力もまた、3ヶ月以内に3.5ライン改善した。視神経機能、すなわち視野における任意の改善又は視力における任意の改善を示す、以前の技術は存在しない。
【0121】
図3は、高度な緑内障を有する53歳の男性の別の例を示す。彼の眼圧は抗緑内障点眼薬により制御されている。左眼における彼の視力は20/50であって、視野検査に示されるように高度の視野損失を有する。彼は一日当たり8gの本発明の組成物について開始された。2.4ヶ月において、彼は2ラインの視力を得て、示されるように彼の視野検査は改善した。視力又は視野検査における任意の臨床的改善を示す以前の技術は存在しない。
【0122】
研究1の結論:緑内障性視神経損傷を有する患者における視力及び視野検査を改善するための現在の治療法は存在しない。我々の研究から、我々の発明は緑内障に起因する視神経損傷を有する患者における視力及び視野を改善するために使用され得る。緑内障に起因する視神経損傷については、疾患の進行を停止するための既存の治療法が存在しないため、本予備研究において得られた肯定的な臨床的改善は、眼の100%が視力及び視野検査における増加を有したため顕著である(striking)と考えられるべきである。視力及び視野検査における任意の改善を示す以前の技術は存在しない。このことは、本特許出願における、臨床的に有用な結果を観察するために最小3,000mg、好適には3,400mgのEPAが必要とされる発見を再度示す。
【実施例2】
【0123】
方法及び材料:緑内障、炎症及び外傷後に起因する視神経損傷を有する10個の眼の予備研究である。これらの患者は、我々の治療を開始する前に最小6ヶ月の事後視神経損傷を有した。彼らは、液体製剤のための1グラム当たりEPA(400mg)及びDHA(200mg)中の豊富な純化されたエチルエステルからから構成されるオメガ3により治療された。本予備研究において使用された用量は、一日当たり凡そ5.1〜6.8gのEPAと2.4〜3.2gのDHAをもたらす15〜20mlの液体製剤であった。用量は、それぞれ7.5〜10mlの二日分の用量に分割された。用量は、血液AA/EPA比率が1〜1.5以内であるように調節された。
【0124】
研究2結果:視力は6週間、3ヶ月及び4.5ヶ月において、ETDRS電子カルテを使用して記録された。
【0125】
図4は、4.5ヶ月の期間について得られたラインの数と眼の数を示す。6週間における1.6ラインの視力と、3ヶ月における2.4ラインと、4.5ヶ月における2.5ラインの増加が存在する。
【0126】
検査された全ての場合においても、改善された視野検査が存在した。
【0127】
図5A乃至図5Cは、診療所における提示以前の6ヶ月に虚血性視神経障害を有した55歳の男性の例を示す。彼の視力は20/50であった。彼は本発明により10g/日について開始された。治療に続く5ヶ月に、彼の視覚は4ライン改善し、示されるように視野検査が改善した。
【0128】
図6A乃至図6Cは、道路交通事故に続く14ヶ月に提示した15歳の少年の例を示す。彼の視力は20/40であって、視野検査により示されるように視神経損傷を有した。彼は7.5g/日の本発明の組成物について開始された。治療に続く5.5ヶ月に、彼の視覚は2.5ライン改善し、示されるように視野検査が改善した。
【0129】
研究2の結論:本発明は、炎症/緑内障又は外傷に起因する視神経損傷を有する患者における視力及び視野を改善するために使用され得る。従来技術の使用は、この眼科疾患を有する被験体に対していかなる治療効果をも結果として生じない。特に、従来技術のそれぞれにおけるオメガ3脂肪酸、エイコサペンタエン酸(EPA)の水準は、任意の治療効果を有するには遥かに低過ぎる。
【実施例3】
【0130】
10mgのプレドニゾロンにより制御されるのみである強膜炎を有する二人の患者は、ステロイドの副作用のために停止しなければならなかった。両方の場合において、一日当たり8gの本発明のEPA及びDHAを使用することが、少なくとも1年間の経過観察について彼らの症状を制御するために使用された。
【実施例4】
【0131】
本発明は、第四脳神経障害を有する四人の患者と、第三神経障害を有する三人の患者と、第六神経障害を有する三人の患者と、第七脳神経障害を有する二人の患者において使用された。患者の症状は、一日当たり7.5〜10gのEPA及びDHAを使用し、1〜1.5内のAA/EPAの比率を有することにより、2〜3ヶ月以内に解消した。
【実施例5】
【0132】
本発明は、中等度の甲状腺眼疾患を有する3人の患者において使用された。患者は、10mgのプレドニゾロン又は7.5〜10gのEPA及びDHAにより制御され、1〜1.5以内のAA/EPA比率を有した。
【実施例6】
【0133】
6ヶ月以上の非治癒性角膜上皮欠損を有する三人の患者は、本発明により治療された。 1〜1.5以内のAA/EPA比率を有する、7.5〜10gのEPA及びDHAによる2〜3ヶ月以内の完全な治癒が存在した。
【図面の簡単な説明】
【0134】
図1】緑内障に起因する高度な視神経損傷について得られるライン(line)の数である。試験期間についての得られるラインの数と眼の数を示す。6週間における視力の1.5ラインの増加と3ヶ月における2.1ラインの増加が存在する。全ての場合において、視野検査は改善した。3ヶ月において得られる平均ラインは2ラインである。
図2】抗緑内障点滴により制御される眼圧を有する65歳の男性の例を示す。視野検査は、本発明の一日当たり10gにより開始する3ヶ月以内の改善を示す。視力もまた、3ヶ月以内に3.5ライン改善した。視力における任意の改善又は視神経機能(すなわち視野)における任意の改善を示す以前の技術は存在しない。
図3A】高度な緑内障を有する53歳の男性の別の例を示す。彼の眼圧は、抗緑内障点眼薬により制御されている。彼の左目における視力は20/50であり、視野検査に示されるような高度な視野欠損を有する。彼は一日当たり8gの本発明の組成物について開始された。2.4ヶ月において、彼は2ラインの視力を得て、示されるように彼の視野検査は改善した。視力又は視野検査における任意の臨床的改善を示す以前の技術は存在しない。
図3B】高度な緑内障を有する53歳の男性の別の例を示す。彼の眼圧は、抗緑内障点眼薬により制御されている。彼の左目における視力は20/50であり、視野検査に示されるような高度な視野欠損を有する。彼は一日当たり8gの本発明の組成物について開始された。2.4ヶ月において、彼は2ラインの視力を得て、示されるように彼の視野検査は改善した。視力又は視野検査における任意の臨床的改善を示す以前の技術は存在しない。
図4】虚血性視神経症について得られるラインの数である。実施例2において4.5ヶ月の期間について得られるラインの数と眼の数を示す。6週間において1.6ラインと、3ヶ月における2.4ラインと、4.5ヶ月における2.5ラインの視力の増加が存在する。検査された全ての場合において、改善された視野検査が存在した。3ヶ月において得られる平均ラインは2である。
図5A】診療所における提示以前の6ヶ月に虚血性視神経症を有した55歳の男性の例を示す。彼の視力は20/50であった。彼は、10g/日の本発明による組成物について開始された。治療後5ヶ月に彼の視力は4ライン改善し、示されるように視野検査が改善した。
図5B】診療所における提示以前の6ヶ月に虚血性視神経症を有した55歳の男性の例を示す。彼の視力は20/50であった。彼は、10g/日の本発明による組成物について開始された。治療後5ヶ月に彼の視力は4ライン改善し、示されるように視野検査が改善した。
図5C】診療所における提示以前の6ヶ月に虚血性視神経症を有した55歳の男性の例を示す。彼の視力は20/50であった。彼は、10g/日の本発明による組成物について開始された。治療後5ヶ月に彼の視力は4ライン改善し、示されるように視野検査が改善した。
図6A】道路交通事故後14ヶ月に提示した15歳の少年の例を示す。彼の視力は20/40であり、視野検査により示されるように視神経損傷を有した。彼は一日当たり7.5gの本発明の組成物について開始された。治療後5.5ヶ月に、彼の視力は2.5ライン改善し、示されるように視野検査が改善した。
図6B】道路交通事故後14ヶ月に提示した15歳の少年の例を示す。彼の視力は20/40であり、視野検査により示されるように視神経損傷を有した。彼は一日当たり7.5gの本発明の組成物について開始された。治療後5.5ヶ月に、彼の視力は2.5ライン改善し、示されるように視野検査が改善した。
図6C】道路交通事故後14ヶ月に提示した15歳の少年の例を示す。彼の視力は20/40であり、視野検査により示されるように視神経損傷を有した。彼は一日当たり7.5gの本発明の組成物について開始された。治療後5.5ヶ月に、彼の視力は2.5ライン改善し、示されるように視野検査が改善した。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7