特許第6389969号(P6389969)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6389969紙葉集積用ドラム、紙葉の集積装置、及び紙葉処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6389969
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】紙葉集積用ドラム、紙葉の集積装置、及び紙葉処理装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/51 20060101AFI20180903BHJP
   G07D 9/00 20060101ALI20180903BHJP
   B65H 5/28 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
   B65H29/51
   G07D9/00 405C
   B65H5/28 A
【請求項の数】7
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2018-4871(P2018-4871)
(22)【出願日】2018年1月16日
【審査請求日】2018年7月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000230858
【氏名又は名称】日本金銭機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 均
(74)【代理人】
【識別番号】100149892
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 弥生
(74)【代理人】
【識別番号】100185672
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】井澤 伸也
(72)【発明者】
【氏名】石原 悠紀
【審査官】 大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−130547(JP,U)
【文献】 特許第4563435(JP,B2)
【文献】 特許第2814249(JP,B2)
【文献】 特開平06−32514(JP,A)
【文献】 特表平10−508962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H5/00
B65H5/04
B65H5/08−5/20
B65H5/24−5/38
B65H29/00−29/10
B65H29/26−29/30
B65H29/34−29/52
B65H83/00−85/00
G07D1/00
G07D3/00
G07D9/00
G07D9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する過程で一枚ずつ供給される紙葉を外周面上に重ねて集積する紙葉集積用ドラムであって、外周面の紙葉集積部位に所定の周方向配置で設けられて外径方向へ突出した最突出位置と、該最突出位置よりも内径方向へ退避した退避位置との間を出没自在に構成されると共に突出方向へ弾性付勢され、且つ外面で紙葉面と接触する複数の出没部材と、を備え、前記紙葉は、前記出没部材間に跨がって集積されることを特徴とする紙葉集積用ドラム。
【請求項2】
搬送されてきた紙葉を受け入れる受入れ部と、正転する過程で該受入れ部から受け入れられた紙葉を外周面上に一枚ずつ順次重ねて集積して紙葉束を形成する正逆転自在な請求項1に記載の紙葉集積用ドラムと、該紙葉集積用ドラムの外周面の周回移動経路に沿って複数個配置されて紙葉面を紙葉集積用ドラム外周面に接触させる搬送ガイド部材と、
前記紙葉集積用ドラム外周面に集積された紙葉を外部に排出する第1出口と、前記紙葉集積用ドラム外周面と一つの前記搬送ガイド部材との接触走行領域内に進入した紙葉の搬送方向を前記紙葉集積用ドラム外周面方向と前記第1出口方向との何れか一方に選択的に切り替える第1出口切替えガイド部材と、前記紙葉集積用ドラムの駆動源と、前記第1出口切替えガイド部材の駆動源と、前記各駆動源を制御する制御手段と、を備え、
前記第1出口切替えガイド部材は、開放姿勢にある時に前記接触走行領域から前記紙葉集積用ドラム外周面へ向かう経路を開放し、閉止姿勢にある時に前記第1出口に向かう経路を開放し、
前記各搬送ガイド部材は、前記紙葉集積用ドラム外周面に集積された紙葉を介して前記各出没部材を内径方向へ押し込むことにより、前記紙葉集積用ドラムの外周面上の紙幣外周面の外径位置を紙葉の枚数に関わらず常に一定に保持し、
前記制御手段は、前記受入れ部から導入される紙葉を受け入れる期間中は前記第1出口切替えガイド部材を開放し続けながら前記紙葉集積用ドラムを正転させ、受入れが終了して前記紙葉集積用ドラム外周の紙葉を前記第1出口から機外に排出する際には前記第1出口切替えガイド部材を閉止姿勢に移行させ、且つ前記紙葉集積用ドラムを正転させることを特徴とする紙葉の集積装置。
【請求項3】
前記第1出口とは異なった位置に配置されて紙葉保留部に連通した第2出口と、前記紙葉集積用ドラム外周面の紙葉を前記第2出口に導く回動自在な切替えガイド部材と、を備え、
前記切替ガイド部材は常時においては前記第2出口への経路を開放する姿勢にあり、前記出没部材外周面の紙葉が正転方向へ通過する際には前記第2出口への経路を閉止する姿勢となり、
前記制御手段は、前記紙葉集積用ドラム外周面の紙葉を前記第2出口から前記紙葉保留部に排出する際には、前記紙葉集積用ドラムを逆転させることにより紙葉を後端から機外に排出させることを特徴とする請求項2に記載の紙葉の集積装置。
【請求項4】
前記各出没部材のうちの一つは、紙葉との接触面の摩擦抵抗が大きくなるように構成されており、残りの前記出没部材は紙葉との摩擦抵抗が小さくなるように構成されていることを特徴とする請求項2、又は3に記載の紙葉の集積装置。
【請求項5】
前記搬送ガイド部材は、エンドレスベルトをプーリにより張設したベルト機構により構成されていることを特徴とする請求項2乃至4の何れか一項に記載の紙葉の集積装置。
【請求項6】
前記紙葉集積用ドラムは、前記搬送ガイド部材により回転駆動されることを特徴とする請求項2乃至5の何れか一項に記載の紙葉の集積装置。
【請求項7】
請求項2乃至6の何れか一項に記載の紙葉の集積装置を備えたことを特徴とする紙葉処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば自動販売機等の紙葉取扱装置に装備される紙葉処理装置、紙葉処理装置に装備される紙葉の集積装置、及び紙葉集積用ドラムの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
顧客が投入した紙幣を受け入れることによって種々の物品やサービスを提供する機能を備えた自動販売機、遊技場の遊技媒体貸出機、入出金装置、両替機等の紙幣取扱装置に装備される紙幣処理装置としては、複数金種の紙幣の連続取込み、収納、及び払出しが可能な還流式のタイプが知られている。
このような紙幣処理装置は、識別部によって受入れを拒否されたリジェクト紙幣や、紙幣投入後にキャンセルが発生することにより返却することとなった紙幣を一旦集積してから返却口に払出す払出し集積装置を備えている。
この払出し集積装置としては、特許文献1(特開平06−32514号)、特許文献2(特許第2814249号)、特許文献3(特許第4563435号)、特許文献4(特表平10−508962号)に夫々開示されているように、顧客が投入した紙幣を一旦ドラム外周に巻いて一時保留しておき、キャンセル、取り忘れがあった時に一括して返却するものがある。
【0003】
しかし、外周長、及び外径が一定の円筒状のドラムの外周面に複数枚の紙幣を順次積層してから一括して払い出す構成であるため、積層枚数が一枚増加するに連れて紙幣の厚みを含めたドラムの外径(円周)が増大して最外周の紙幣の周速が増大する。このため、ドラムに導入される紙幣の搬送速度が一定であると、ドラム外周の既積層紙幣と後続紙幣の先端を合致させるタイミングが順次ずれを起こしてしまい、積層する紙幣間に位置ずれが発生する。
この不具合に対しては積層紙幣枚数の増大に応じてドラムの周速度を紙幣の搬送速度に一致するように順次減速させる速度調整の制御を行う必要がある。しかし、紙幣の厚みの違い、折れ癖等の変形度合い等々の要因によって実際の外径、及び周速の増加量は一定とはならないため、ドラムの周速の高精度制御は実際には極めて難しく、制御プログラムが複雑となる。
なお、このような問題は、紙幣処理装置に限らず、紙幣以外の紙葉、例えば、チケット、金券、有価証券等を取り扱う紙葉処理装置においても発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平06−32514号公報
【特許文献2】特許第2814249号
【特許文献3】特許第4563435号
【特許文献4】特表平10−508962号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、投入された後で一時保留されていた紙葉について移送(返却、排出)することが確定した場合に、当該紙葉を払出しドラム外周面に順次供給して積層状態で巻き付けて集積してから一括して移送処理するドラム方式の紙葉の集積装置において、払出しドラム外周に集積される紙葉枚数が増大しても格別の速度制御を行うことなく払出しドラム最外周の紙葉の線速を一定に保って紙幣の整列状態を維持することができる技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1の発明に係る紙葉集積用ドラムは、回転する過程で一枚ずつ供給される紙葉を外周面上に重ねて集積する紙葉集積用ドラムであって、外周面の紙葉集積部位に所定の周方向配置で設けられて外径方向へ突出した最突出位置と、該最突出位置よりも内径方向へ退避した退避位置との間を出没自在に構成されると共に突出方向へ弾性付勢され、且つ外面で紙葉面と接触する複数の出没部材と、を備え、前記紙葉は、前記出没部材間に跨がって集積されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、紙葉を払出しドラム外周面に順次供給して積層状態で巻き付けて集積してから一括して排出処理するドラム方式の紙葉の集積装置において、払出しドラム外周に集積される紙葉枚数が増大しても格別の速度制御を行うことなく払出しドラム最外周の紙葉の線速を一定に保って紙幣の整列状態を維持することができる技術を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a)及び(b)は本発明の一実施形態に係る紙葉の集積装置を備えた紙葉(紙幣)処理装置の正面図、及びA−A断面図である。
図2】(a)及び(b)は紙幣処理装置の入金動作、及び確定動作を示す説明図である。
図3】(a)及び(b)は紙幣処理装置の出金動作、及び回収動作を示す説明図である。
図4】(a)(b)及び(c)はエスクロ・集積ユニットの外観斜視図、B−B断面図、及び払出し集積部単体の外観構成を示す斜視図である。
図5】(a)は払出し集積部の右側板を除去した内部構造を示す斜視図、(b)は(a)のC−C断面斜視図、(c)は同D−D断面斜視図、(d)は同D−D側断面図である。
図6】払出しドラムを中心とした搬送機構の概略構成図である。
図7】払出し集積部の左側板を除去した内部構成(ギヤ機構)を示す斜視図である。
図8】(a)(b)及び(c)は払出しドラムに対して各ベルト機構を配置した状態を示す斜視図、払出しドラム単体の外観斜視図、及び出没部材の支持機構を示す縦断面斜視図である。
図9】(a)及び(b)は払出しドラムに対して各ベルト機構、及び各フラッパを配置した状態を示す斜視図である。
図10】(a)(b)及び(c)は払出しドラムの外観斜視図、縦断面斜視図、及び縦断面側面図である。
図11】(a)(b)及び(c)は払出しドラムに紙幣が巻き付く手順を示す斜視図である。
図12】(a)乃至(c)は紙幣を払出しドラム外周に巻き取る集積動作の説明図である。
図13】(d)及び(e)は集積動作の続きの説明図である。
図14】(f)乃至(h)は集積動作の続きの説明図である。
図15】(i)及び(j)は集積動作の続きの説明図である。
図16】(a)乃至(c)は一括払出し動作の手順を示した説明図である。
図17】(a)乃至(c)は取り忘れ紙幣処理動作の手順を示す説明図である。
図18】集積動作、一括払出し動作、及び取り忘れ紙幣処理動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
[紙幣処理装置の構成]
図1(a)及び(b)は本発明の一実施形態に係る紙葉の集積装置を備えた紙葉(紙幣)処理装置の正面図、及びA−A断面図である。
なお、本実施形態では紙葉の一例としての紙幣を処理する装置について説明するが、本発明の紙葉集積ドラム、紙葉の集積装置、紙葉処理装置は紙幣以外にも金券、チケット、有価証券等々の紙葉一般の処理装置にも適用することができる。
また、本例では返却紙幣を処理する装置について説明しているが、返却紙幣に限らず、払出しドラム外周に紙幣を集積してから他へ移送する装置一般に適用することができる。
【0010】
図1に示した還流式紙幣処理装置(以下、紙幣処理装置、という)1は、例えば自動販売機、券売機、遊技場の遊技媒体貸出機、入出金装置、両替機等の紙幣取扱装置に装備、或いは併設されて紙幣の受け入れ、釣銭等としての紙幣の払出し処理を行う手段である。
紙幣処理装置1は、外装体を構成する筐体3と、筐体内に入金された紙幣を所要のルートで機内搬送したり、機外に排出する入出金処理部Mと、紙幣入出金処理部Mから搬送されてきた紙幣を収納したり紙幣入出金処理部Mとの間で紙幣の授受を行う紙幣収納部Nと、種々のルートを経て紙幣を搬送する搬送機構と、各種制御対象を制御する制御手段(CPU、MPU、ROM、RAM等)300(図2図3)と、から概略構成されている。
【0011】
入出金処理部Mは、異金種の紙幣を含めて最大30枚の紙幣束を一括して受け入れたり、入金紙幣を返却する際の返却口となる入出金口5と、最大30枚の紙幣の出金払出し口、及び入金リジェクト返却口となる返却口7と、入出金口5に入金、セットされた紙幣束を一枚ずつの紙幣に分離して入金紙幣搬送経路9aに沿って装置本体内に導入する一括入金部11と、一括入金部11の下流側に配置されて搬送されてきた紙幣の幅方向位置を搬送路の中央部に揃えるセンタリング部13と、センタリング部の下流側に配置されて光学、磁気センサの併用によって入金紙幣の金種、真贋等を判定する識別部15と、識別部を通過した入金紙幣を最大30枚一時保留し、受入れが確定した時は後述する各収納部、回収庫へ繰出し、返金要求等による取消返却時は払出し集積部(払出し集積装置)22へ繰出すエスクロ部(一時保留部)20と、エスクロ部から搬送されてきた返却用の紙幣やリジェクト紙幣(以下、返却紙幣と称する)を集積してから返却口7に払出す払出し集積部(返却紙幣の集積装置)22と、払出し集積部22から返却口7に払い出された返却紙幣が所定時間を経ても顧客により回収されない場合に払出し集積部により逆送されて取り忘れ紙幣として収納する取り忘れ紙幣収納部(紙幣保留部)24と、を備える。
【0012】
紙幣収納部Nは、入金紙幣の受入れが確定した際にエスクロ部20から一枚ずつ繰り出されて収納紙幣搬送経路9b上を搬送されてきた紙幣を金種毎に出入れ自在に収容する第1及び第2の還流式収納部30、32と、第2の還流式収納部32の下方に設けられた収容空間3a内に正面側から着脱自在に装着され、終業時等に各還流式収納部から全金種を回収したり、釣銭として利用されない高額紙幣や各還流式収納部に収容し切れない余剰紙幣を回収する回収庫(回収紙幣収納部)40と、を備える。
搬送機構は、各搬送経路9a、9b、その他の搬送経路に沿って紙幣を搬送する駆動力を生成、伝達するためのモータ、ソレノイド、及びプーリ、ベルト、ゲート等を備える。
制御手段300は、入出金処理部M、紙幣収納部N、及び搬送機構等の制御対象を制御する。
なお、入出金口5や返却口7による紙幣の最大取扱枚数は一例に過ぎない。
本例の第1及び第2の還流式収納部30、32は、夫々最大収納枚数60枚の還流ドラム30a、32aを二個ずつ備えている。各還流ドラム30a、32aは、還流ドラムの外周面に螺旋状に重ねて巻き付けられる一本の長尺テープ間に紙幣を収納する還流に適したタイプであるが、勿論これは一例に過ぎない。
【0013】
[紙幣処理装置の各種動作]
次に、本発明の紙幣の払出し集積部(返却紙幣の集積装置)22を備えた図1に示した紙幣処理装置1における入金動作、確定動作、出金動作、及び回収動作の概要について図2図3により説明する。
即ち、図2(a)及び(b)は紙幣処理装置の入金動作、及び確定動作を示す説明図であり、図3(a)及び(b)は同出金動作、及び回収動作を示す説明図である。
【0014】
まず、図2(a)の入金動作では、入出金口5から一枚、又は複数枚の紙幣が投入されると紙幣を検知したセンサからの信号を受けた制御手段300が搬送機構を作動させて一括入金部11、及び入金紙幣搬送経路9aを用いて紙幣を取込む。一括入金部11は入出金口5にセットされた紙幣束中の最上部の紙幣から一枚ずつ取り出してセンタリング部13に搬送する。センタリング部に搬送された紙幣はセンタリングを受けてから識別部15に移動されて識別を受ける。識別部15により受入れ可能と判定された紙幣はエスクロ部20に搬送されてエスクロドラム21外周に一枚ずつ巻き付けられて一時保留され、入金の確定を待つ。識別部において受入れ不能と判定されたリジェクト紙幣が入出金口5から一枚ずつ投入された紙幣である場合にはそのまま返却口7から機外へ排出する。一方、複数枚一括で投入された紙幣がリジェクトされた場合には払出し集積部22に一旦集積(1〜複数枚)してから返却口7より纏めて機外へ排出、返却する。また、顧客が図示しないキャンセルボタンを操作することにより紙幣の返却を求めた場合には、エスクロ部20において一時保留されていた紙幣が一枚ずつ払出し集積部22に送り出されて回転する払出しドラム105の外周に一枚ずつ重ねて巻き付けられて積層状態で集積される。顧客が投入した全ての紙幣が払出しドラム外周に集積を完了した段階で払出しドラム105が払出し方向へ回転することにより紙幣束を返却口7から外部に突出させて返却し、顧客による受取りを促す。
返却口7から返却のために機外に突出された紙幣束が所定時間経過しても顧客によって回収されない場合には、払出しドラムを戻し方向へ逆転させて機内に逆送させることにより取り忘れ紙幣として取り忘れ紙幣収納部24に収納する。
図2(b)の確定動作ではエスクロ部20に一時保留されていた入金紙幣の入金が確定した段階でエスクロ部から一枚ずつ紙幣を送り出し、釣銭として利用する紙幣は収納紙幣搬送経路9bを経由して金種別に何れかの還流式収納部30、32に収納し、釣銭として利用しない紙幣は回収庫40に収納する。
【0015】
図3(a)の出金動作では、釣銭として紙幣を払い出す際に還流式収納部30、32に収納された紙幣を取り出して識別部15で識別を行い、返却可能な紙幣であれば払出し集積部22に一旦集積(1〜複数枚)してから一括して釣銭として返却口7から払出す。
一方、識別部15での識別により返却不可の紙幣であると判定された場合は、エスクロ部22で一時貯留した後で回収庫40に移送して収納する。
図3(b)の回収動作では、終業時等に還流式収納部30、32に収納されていた紙幣をエスクロ部20で一旦集積してから回収庫40に収納する。
【0016】
[払出し集積部の構成]
以下、払出し集積部(払出し集積装置)22について詳細に説明する。
図4(a)(b)及び(c)はエスクロ・集積ユニットの外観斜視図、B−B断面図、及び払出し集積部単体の外観構成を示す斜視図であり、図5(a)は払出し集積部の右側板を除去した内部構造を示す斜視図、(b)は(a)のC−C断面斜視図、(c)は同D−D断面斜視図、(d)は同D−D側断面図であり、図6は払出しドラムを中心とした搬送機構の概略構成図である。また、図7は払出し集積部の左側板を除去した内部構成(ギヤ機構)を示す斜視図である。
【0017】
図4(a)(b)に示したエスクロ・集積ユニット50は、筐体3の入出金処理部Mに対して着脱自在に構成されており、エスクロ部20と払出し集積部22とを連結した構成を有している。
ここではエスクロ部20の構成の詳細は本発明の要旨と関わりがないので言及しない。
エスクロ部20から分離した払出し集積部22の外観構成は図4(c)に示す通りである。
【0018】
払出し集積部22は、略箱形のケーシング100と、ケーシング100の後面上部に開口形成されてエスクロ部20側の搬送ベルト20aにより長手方向に沿って一枚ずつ搬送されてきた紙幣(リジェクト紙幣、返却紙幣)Bを一枚ずつ受け入れる受入れ口(受入れ部)102と、ケーシング100内に正逆回転自在に軸支され、正転する過程で受入れ口102から一枚ずつ導入された紙幣を外周面に順次積層状態で集積し、集積終了後の返却時には正転することにより集積した紙幣束を出口107から払出すと共に、取り忘れ紙幣の回収時には逆転することにより排出口180から取り忘れ紙幣収納部(紙幣保留部)24へ排出する払出しドラム(紙幣(紙葉)集積用ドラム)105と、払出しドラム外周面に集積された紙幣束をケーシング外(紙幣処理装置の返却口7)へ排出する際の排出口となる出口(第1出口)107と、払出しドラム105の上部外周面の所定の周方向範囲に亘って接触する第1接触走行領域T1を形成し、受入れ方向(図6の時計回り方向a)へ走行することにより受入れ口102から導入された紙幣Bの先端を図6(a)に示した受入れ待機位置にある払出しドラム外面に案内する第1ベルト(搬送ガイド部材)111を備えた第1ベルト機構(第1搬送ガイド部材、受入れ及び排出ベルト機構)110と、第1ベルト機構110を構成する第1ベルト111をエンドレスに張設する複数のプーリのうちの一つのプーリ112aの下方に位置して図示しないバネにより払出しドラム外周面に付勢されて(第1ベルト機構の一つのプーリ112aの回転軸により軸支されて)上下回動自在であり、且つ第1ベルト111との協働により受入れ口から導入された直後の紙幣先端をドラム外周面に案内する逆流防止用の第1フラッパ(受入れ切替えガイド部材)120と、第1ベルト機構110の前部下方において払出しドラム105の外周面に所定の範囲(ドラム外周面の前面から下面)に亘って接触する第2接触走行領域T2を形成する第2ベルト(搬送ガイド部材)131を備えた第2ベルト機構(第2搬送ガイド部材)130と、第2ベルト機構130の後方において払出しドラムの後部外周面に所定の範囲に亘って接触する第3接触走行領域T3を形成する第3ベルト(搬送ガイド部材)141を備えた第3ベルト機構(第3搬送ガイド部材)140と、第2ベルト131をエンドレスに張設する複数のプーリの内の最上部のプーリ132aの上方、及び下方に夫々配置されたプーリ152a、152bによりエンドレスに張設されることにより第1ベルト下面、及び第2ベルト外面と所定の範囲に亘って接触する第4、及び第5接触走行領域T4、T5を夫々形成する第4ベルト151を有した第4ベルト機構150と、第1フラッパ120の前方、且つ出口107の内側において前方一端の軸部161を上下動自在に軸支されて常時においては払出しドラム105の外周面から離間する反時計回り方向へ弾性付勢された第2フラッパ(第1出口切替えガイド部材)160と、第2フラッパをバネに抗して時計回り方向へ回動させて第2フラッパの先端部(右端部)を払出しドラムの内径側へ変位させる図示しないソレノイド(スイングソレノイド、駆動源)と、払出しドラムを間に挟んで約180度、第2フラッパの反対側位置(前面側下部)に配置された軸171を中心として左右に回動すると共に図示しないバネにより図6(a)(b)に示した払出しドラム内径側に付勢された第3フラッパ(切替えガイド部材)170と、図17に示した取り忘れ紙幣BB`を取り忘れ紙幣収納部24へ排出する排出口(第2出口)180と、各ベルト機構、払出しドラムを駆動するモータ(駆動源)190と、を備える。なお、制御手段300とは別に払出し集積部22専用の制御手段を設けても良い。
【0019】
払出しドラム105は、回転軸105aを中心として回転する過程で一枚ずつ供給されてくる紙幣Bを外周面上に重ねて集積する紙葉集積用ドラムであって、回転駆動されるドラム本体250と、ドラム本体の外周面の紙幣集積部位に所定の周方向配置で(間隔を隔てて)設けられて外径方向へ突出した最突出位置と、該最突出位置よりも内径方向へ退避した退避位置との間を出没自在に構成されると共に突出方向へ弾性付勢され、且つ外面で紙幣面と接触する複数の出没部材(紙幣支持部材)280(280A、280B)と、を備え、紙幣集積用ドラム外周面に巻き付く紙幣は出没部材の外面間に跨がって集積される(巻き付く)。図5(c)(d)等に示した最突出位置にある時の各出没部材の外周面の径方向位置は均一であり、弾性付勢力も均一とする。
【0020】
各ベルト機構(各搬送ガイド部材)110、130、140は、払出しドラムの外周面の周回(回転)移動経路に沿って複数個配置されて紙幣面を払出しドラム(出没部材)外周面に接触(密着)させる手段である。また、各ベルト機構110、130、140は、各ベルト111、131、141によりドラム外周面に積層された紙幣を介して各出没部材を等距離ずつ内径方向へ押し込むことにより、払出しドラムの外周面上の紙幣外周面の外径(径方向)位置を紙幣束の枚数(厚み)に関わらず常に一定に保持する手段である。従って、各ベルトの張力、硬度は、出没部材を外径方向へ突出させる弾性力に抗して内径側へ均一に押し込むことができる程度の強さに設定する。
【0021】
第1フラッパ(受入れ切替えガイド部材)120は、プーリ112aの軸部を中心として回動し、受入れ部から導入されてきた直後の紙幣先端部をドラム外周面と搬送ガイド部材との間の第1接触走行領域T1の入口に導く開閉(回動)自在な手段である。更に、第1フラッパ120は、受け入れられた紙幣が受入れ口102へ逆流することを阻止する手段であり、常時(非作動時)においてはバネにより先端部が払出しドラム表面と接するように付勢されている。また、後述する払出しドラムの逆転時には紙幣後端が受入れ口からエスクロ部へ逆送することを阻止して取り忘れ紙幣収納部24へガイドする。
【0022】
第2フラッパ(第1出口切替えガイド部材)160は、図示しないソレノイド(スイングソレノイド)により駆動され、返却される紙幣が全て払出しドラム外周に集積完了した後で作動して出口107へ向かう経路を開放することにより紙幣束の一括払出しを可能とする。即ち、第2フラッパ160は、払出しドラム外周面と第1ベルト111との第1接触走行領域T1内に進入して来た紙幣の搬送方向を払出しドラム外周面に沿った方向(下方)と第1出口方向との何れか一方に選択的に切り替える手段である。即ち、第2フラッパ160は、バネ付勢により図6に示した開放姿勢にある時に第1接触走行領域T1から払出しドラム外周面方向への経路を開放して(第1出口側経路を閉止して)払出しドラム外周面の紙幣(束)を払出しドラム外周面に沿って反時計回りに搬送することを可能とする。また、第2フラッパ160がソレノイドによって付勢されることにより図16(c)に示した閉止姿勢にある時に第1出口側経路を開放して(紙幣集積用ドラム外周面方向への経路を閉じて)、払出しドラム本体外周面の紙幣(束)をその先端から第1出口へ向けてガイドする。
【0023】
制御手段300は、受入れ口102から導入される紙幣を受け入れる期間中はソレノイドを作動させないで第2フラッパ(第1出口切替えガイド部材)160を開放し続けながら払出しドラムを正転させ、受入れが終了してドラム外周の紙幣束を第1出口から機外に排出する際にはソレノイドを作動させて第2フラッパ160を閉止姿勢に移行させつつ(移行させてから)払出しドラムを正転させる。
第2出口180は第1出口107とは異なった位置に配置されて取り忘れ紙幣収納部(紙幣保留部)24に連通している。
【0024】
第3フラッパ170は、常時(非作動時)においては図示しないバネにより払出しドラム側へ付勢されていて取り忘れ紙幣収納部24への経路を開放しているため、払出しドラムの逆転により取り忘れ紙幣BB`を第2出口180から排出する際には第3ベルト機構140との協働により排出をガイドする。即ち、第3フラッパ(切替えガイド部材)170は、第2出口180へ向かう経路を閉じた姿勢と、該経路を開放してドラム外周面の紙幣を第2出口にガイドする姿勢に切替え可能に構成されている。第3フラッパは常時においてはバネによって払出しドラムへ向かう反時計回り方向へ付勢されているが、払出しドラムが正転方向へ回転する過程で通過する出没部材上の紙幣により外径方向へ押圧されて時計回り方向へ回動して払出しドラム周面(出没部材外面)の紙幣の通過を許容する。
【0025】
また、図17において後述するように払出しドラムが逆転して払出しドラム外周面の紙幣束がその後端から時計回り方向へ移動する場合には、第3フラッパ170はバネによって払出しドラム内部へ向かう反時計回り方向へ付勢されているため第2出口へ向かう経路を開放している。
制御手段300は、払出しドラム等の正転によって一旦第1出口から払い出された紙幣束が所定時間経ても顧客によって取り出されない場合には払出しドラムを逆転させて紙幣束を機内に戻して第2出口180から取り忘れ紙幣収納部(紙幣保留部)24に排出する。この際に、第3フラッパ170は第2出口開放位置にあるため、払出しドラムを所定角度逆転させ続けることにより紙幣束を後端を先頭にして第2出口から排出させることができる。
また、受入れ口102、出口107、及び排出口180には夫々紙幣検知センサ102a、107a、180aが配置されている。
【0026】
本例では払出しドラム105は、正逆回転自在に軸支されているだけであり、各ベルト機構を構成するベルトとの接触により回転駆動されるが、払出しドラムをモータにより直接駆動してもよい。
【0027】
第1ベルト機構(搬送ガイド部材)110は、第1ベルト111をプーリ112a乃至112dによりエンドレスに張設されて正逆転する構成を備え、モータ190により駆動される。第1ベルト機構110は、正転時には受入れ口102から受け入れられた紙幣Bを第1接触走行領域T1の右端部から導入することにより払出しドラム(出没部材)外周面に紙幣先端を導いて巻き付け開始する機能と、払出しドラム外周面に集積(積層)された返却紙幣を第2フラッパ160との協働により出口107へ払出す機能を有する。また、第1ベルト機構は、プーリ112aの軸部を中心としてプーリ112c、112dが上下動可能に構成されているため、紙幣を出口107から排出する際に第1ベルト111はプーリ112c、112dを通過する紙幣の厚み増に対応して全体として上昇することができる。なお、紙幣が第2フラッパ160を通過してホームポジションHPに向かって正転移動する際には第1接触走行領域T1を構成するプーリ112a、112c間の第1ベルト111は上下動しない。また、第1接触走行領域T1を構成するプーリ112a、112c間の第1ベルト部分は所定の張力を有することにより、張力に基づいた押圧力を紙幣面に付与して払出しドラムの出没部材を内径側に押し込む役割を有する。即ち、第1接触走行領域T1を形成する第1ベルト111部分にはプーリが存在しないが、同領域T1に対面する払出しドラム外周面上の紙幣の厚みが増大したとしても第1ベルト111は外径側に大きく撓むことなく強い原形保持力により紙幣を介して各出没部材を払出しドラムの内径側へ押し続けて紙幣の外周面の径方向位置(周速)を常に一定に維持することができる。このことは、以下の第2、及び第3ベルト機構130、140の各ベルト131、141に共通している。
【0028】
第2ベルト機構130は、第2ベルト131をプーリ132a乃至132cによりエンドレスに張設されて正逆転する構成を有し、正転時には第1接触走行領域T1の出口から移動して来た紙幣の先端を第2フラッパ160との協働により第2接触走行領域T2へ導く。第2接触走行領域T2を形成する第2ベルト131部分にはプーリが存在せず、同領域T2を通過する紙幣の厚みが増大しても紙幣を介して出没部材を内径側に押し込んで紙幣外周面の径方向位置(周速)を常に一定に維持する。
【0029】
第3ベルト機構140は、第3ベルト141をプーリ142a乃至142cにより張設した構成を有し、正転時には払出しドラム外周面への紙幣の積み重ねと搬送に寄与し、逆転時には第3フラッパ170との協働により取り忘れ紙幣BB`を取り忘れ紙幣収納部24へ排出する役割を果たす。
【0030】
第4ベルト機構150は、第4ベルト151をプーリ152a、152bにより張設した構成を有し、正転時には第2フラッパ160との協働により第4接触走行領域T4を経た出口107への紙幣排出作業を補助する。逆転時には出口107に残っていた取り忘れ紙幣(束)を第1接触走行領域T1内に戻して排出口180へ導く。
【0031】
次に、図7に基づいて払出し集積部の駆動伝達機構の一例について説明する。
モータ190の出力ギヤ190aは2つの従動ギヤ201、202を介して払出しドラム105の回転軸105aにより軸芯を相対回転可能に軸支された大径ギヤ205と噛合している。大径ギヤ205は回転軸105aに対してフリーに組み付けられているため払出しドラムと相対回転可能であり、大径ギヤにより払出しドラムは駆動されない。大径ギヤはモータからの駆動力を各ベルト機構110、130、140、150の各駆動ギヤ207、209、211、213に中継伝達する従動手段である。即ち、各ベルト機構110、130、140、150の各駆動プーリ112a、132a、142a、152aは、夫々各駆動ギヤ207、211、209、213と同一軸心状に一体化されており、各駆動ギヤが大径ギヤ205と噛合することによりモータからの駆動力が同時に各駆動プーリ112a、132a、142a、152bに伝達され、各ベルト111、131、141、151を駆動する。
【0032】
払出しドラム105はその外周面と接する各ベルト111、131、141、151との摩擦により駆動され、各ベルトに連れ回りすることにより、払出しドラムと各ベルトとは同一速度で回転、走行することができる。払出しドラムが各ベルトの摩擦力により同一速度で回転することにより回転駆動され、且つ紙幣をその外周面に巻き取るので、ベルトの走行速度と払出しドラムとの速度差がなくなり、払出しドラム側の巻取り開始部(紙幣先端位置決め部)と、給紙されてくる各紙幣先端の位置をずれさせることなく集積が可能となる。
仮に、払出しドラムと各ベルトとを接触させつつ、払出しドラムとベルト群とを個別に駆動するとなると、払出しドラムの回転速度をベルト群の送り速度とを同期させる必要が生じてしまい、速度制御やギヤの調整等が難しくなる。
本構成によれば、このような不利不便がない。
なお、受入れ口102側の最下部にある中径のギヤ215は取り忘れ紙幣収納部24側の搬送機構を駆動するギヤであり、このギヤ215は大径ギヤ205を介してモータ190により駆動される。
【0033】
次に、図8乃至図11に基づいて払出しドラム、及び周辺部品の構成、動作について説明する。
図8(a)(b)及び(c)は払出しドラムに対して各ベルト機構を配置した状態を示す斜視図、払出しドラム単体の外観斜視図、及び出没部材の支持機構を示す縦断面斜視図であり、図9(a)及び(b)は払出しドラムに対して各ベルト機構、及び各フラッパを配置した状態を示す斜視図であり、図10(a)(b)及び(c)は払出しドラムの外観斜視図、縦断面斜視図、及び縦断面側面図であり、図11(a)(b)及び(c)は払出しドラムに紙幣が巻き付く手順を示す斜視図である。
【0034】
払出しドラム(紙幣集積用ドラム)105は、回転軸105aを中心として正転する過程で受入れ口102から外周面に一枚ずつ供給される紙幣Bをその先端縁を揃えた状態で重ねて集積する手段であって(図11)、回転駆動されるドラム本体250と、ドラム本体の外周面の紙幣積層部位に所定の周方向配置で(間隔を隔てて)設けられてドラム本体から外径方向へ突出した最突出位置と、該最突出位置よりも内径方向へ退避した退避位置との間を出没自在に構成されると共に突出方向へ弾性付勢され、外面で紙幣面と接触する複数の出没部材(紙幣支持部材)280と、を備え、払出しドラム外周面に集積される紙幣は、各出没部材280の外面間に跨がって巻き付くものである。
ドラム本体250は、ドラムの回転軸105aに一体化されたベース部材252と、ベース部材に一体的に設けられて周方向へ90度間隔で外径方向へ突出して配置された出没部材をガイドするガイド部材255と、を備える。本例ではガイド部材255は中空の四角柱状をなしており、その内壁により出没部材280を内外径方向へ出没自在、且つ脱落不能に支持し、各出没部材280は各弾性部材257によって均一な力で外径方向(突出方向へ)弾性付勢される。
各出没部材の重量、及び各弾性部材のバネ力を同等に設定することにより、各出没部材はベルトによる加圧によって等距離ずつ内径側へ変位することが可能となる。
【0035】
ベース部材252は、回転軸105aの軸方向に沿って所定の間隔で配置された7枚の円盤状の仕切部材258と、各仕切部材間に形成されて各フラッパ120、160、170を夫々構成する4枚の爪片120A、160A、170A(図9参照)を夫々受け入れる4つの環状溝部258aと、を備える。なお、軸方向両外側から2番目と3番目の仕切部材258はガイド部材255を兼ねており、ガイド部材255間に出没部材280、及び弾性部材257が軸方向へ進退、変位可能、且つ脱落不能に収容されている。また、図10(b)、(c)に示すように各ガイド部材255の対向面に形成されたフック部255aは出没部材に設けたフック部282aを係止して外径方向へ脱落不能としている。
各フラッパの爪片120A、160A、170Aは、ベース部材252の外周面に軸方向に沿って配置された各環状溝部258aが存在することによって各出没部材の最外周面を越えて内径側にその先端部(紙幣との接触部)を入り込ませることができる。一方、紙幣面が各出没部材の外周面に接触している時には紙幣が各環状溝部258aを塞いでいるため、各爪片の先端部は紙幣と接触することにより紙幣を超えて内径側へ入り込むことはできない。
【0036】
図10に示すように、各出没部材280は、ガイド部材255の内壁に沿って内外径方向へ進退すると共に弾性部材257により付勢される被ガイド部材(スライド部材)282と、被ガイド部材に搭載されて紙幣と接触してこれを外面で支持する接触部材285と、を有する。各被ガイド部材282は周方向中央に凹所282bを有するとともに、凹所の周方向両側からは紙幣ガイド片282cが左右対称に張り出されている。
なお、凹所282bは必須ではない。
4対の出没部材280のうちの一対の出没部材280Aの被ガイド部材282には他の3対の出没部材280Bとは異なり、接触部材285として摩擦パッドから成る巻取り開始部(紙幣先端位置決め部)286が回動(揺動)自在に配置されている。巻取り開始部286は出没部材により支持された軸部286aにより所定の小さい角度範囲で回動自在に軸支されている。
【0037】
軸部286aは、被ガイド部材282の先端部により離脱不能に支持されていれば良く、その支持構造は限定されない。巻取り開始部286は軸部286aと共に回動してもよいし、固定された軸部286aに対して巻取り開始部のみが回動する構成としてもよい。
他の3対の出没部材280Bの被ガイド部材の凹所282b内には摩擦低減用のローラ(回転体)290が軸部290aによって回転自在に軸支されている。この軸部290aの支持構造も軸部286aと同様にどのような支持構造であってもよい。
【0038】
巻取り開始部286は紙幣先端をベルト面との間で挟圧保持しつつ搬送する手段であるため、紙幣と接触する外面の摩擦係数が大きく設定された滑り止め部(ゴム等)となっている。巻取り開始部286を被ガイド部材282によりシーソー式に回動可能に支持することにより、紙幣を介したベルトからの加圧力を受けて柔軟に紙幣先端部の支持姿勢を変更することが可能となり、紙幣に対する過大な負荷が加わることを防止でき、紙幣先端部を安定して巻取り方向へリードすることが可能となる。
【0039】
一方、他の3対の出没部材280Bは、紙幣の肉厚の増加に応じて内径方向へ没する際に紙幣との摩擦を避ける必要から回転自在なローラ290により紙幣との間に滑りが発生し易く構成されている。回転するローラに代えて摩擦抵抗の低い材料から成る部材を巻取り開始部286と同様に所定の狭い角度範囲で揺動自在に支持してもよい。
【0040】
なお、仮に3対の出没部材280Bの外面に摩擦抵抗の大きい滑り止め部を配置するとすれば、払出しドラム外周面の紙幣の厚み増大に応じてベルトからの圧力によって各出没部材280Bが内径方向へ移動しようとしても、滑り止め部とベルトとの間で紙幣の局部が強く挟圧されてスリップできないため、出没部材280Bはスムーズに内径側へ変位できなくなる。それに対して本例のように3つの出没部材280Bと紙幣との接触部にローラ290を設けて紙幣を周方向へスライド自在とすれば、ベルトによる挟圧力に起因して紙幣の張力が出没部材の内径側への変位を妨げる事態を防止できるので、出没部材の内径への退避による紙幣外周面の縮径動作をスムーズ化することができる。
なお、出没部材は本例では周方向に等間隔で4個配置されているがこれは一例に過ぎない。また、各出没部材280を構成する各被ガイド部材282に両端部が内径側に向けて傾斜した紙幣ガイド片282cを設けることにより紙幣との接触面積を広く確保して巻取り時の支持安定性、密着性を高めている。
【0041】
図11(a)(b)及び(c)に示すように払出しドラム外周面に導入されてきた紙幣B1が順次巻取り開始部286から他のローラ290に巻き付いて行く過程で、図示しないベルト機構を構成するベルトが紙幣B1を介して各出没部材280A、280Bを紙幣の厚み分だけ均一に内径方向へ押圧する。この際に、各被ガイド部材282が弾性部材257に抗しながら内径方向へ退避することができるため、出没部材間にロール状に巻き付いた紙幣の最外周面の径方向位置は常に一定となり、周速も一定となる。
【0042】
次に、エンコーダ機構210について説明する。
図6図8乃至図13等に示すように、エンコーダ機構210は、外周に複数のスリット213を所定のピッチで備え払出しドラム105(ドラム本体)と同軸状に構成されて一体回転するコードホイール212と、コードホイールの端縁に所定ピッチで多数形成されたスリット213の移動経路を間に挟んで発光部と受光部を対向配置させたフォトインタラプタから成る払出しドラムのHP検知用の第1検出器220、及び払出しドラムの回転位置検知用(回転角検出器)の第2検出器222と、ドラム本体のベース部材252上に印刷形成されたホーム位置マーク225と、を概略備えている。
各検出器220、222は、各発光部と各受光部をコードホイールのスリット213の移動経路を間に挟んだ状態で装置本体の固定部に固定されている。発光部からの検出光がスリット213を透過して受光部により受光された信号に基づいて制御手段は各検出器の単位時間当りの出力を計数してコードホイール212の回転数、及び回転速度を検出する。
【0043】
スリット213の大半は同じ軸方向長さを有するが、払出しドラムの巻取り開始部286がホームポジションHPに達した時にそのことを検知できるように特定のスリットは他のスリットよりも長尺に構成されている。回転角検出用の短尺のスリットは第2検出器222による検知範囲に配置されており、第2検出器により検知が可能である。短尺スリットから得られるパルス数によって払出しドラムの移動量(回転量、回転角度位置)を検出する。
HP検知用の長尺のスリットの長尺部分(短尺スリットよりも長い部分)は第1検出器220のみによって検出が可能な軸方向位置に配置されている。第1検出器220が長尺のスリットを検出してから所定角度回動した時に巻取り開始部286の周方向中央部がホームポジションに達することとなる。ホームポジションまでの長尺スリットの移動量は第2検出器222により短尺スリットを検出したパルス数に基づいて算出することとなる。
ホーム位置マーク225は、コードホイール212における長尺スリットの位置を組立時等に目視により確認(目視)できるように当該長尺スリットに対応するドラム本体のベース部材252の側面に形成されている。つまり、ホーム位置マーク225と、長尺スリットと、巻取り開始部286は、同じ周方向位置に形成、配置されており、組立時に長尺スリットと巻取り開始部とを一致させるためにホーム位置マーク225が形成されている。
【0044】
[紙幣巻取り集積動作]
次に、図12乃至図15、及び図18のフローチャートに基づいて紙幣を払出しドラム外周に巻き取る集積動作の一例を説明する。
図12(a)乃至(c)、図13(d)、(e)、図14(f)乃至(h)、及び図15(i)(j)は、紙幣を払出しドラム外周に巻き取る集積動作の説明図であり、図18は集積動作、一括払出し動作、及び取り忘れ紙幣処理動作を示すフローチャートである。
紙幣巻き取り動作に先立ち、ステップS1においてエスクロ部20に一時保留されている紙幣(取引不成立による返却紙幣、及びリジェクト紙幣)を返却すべき旨の指令が制御手段から発せられたか否かがチェックされる。当該指令が出力された場合にはエスクロドラム21、搬送ベルト20a等を駆動することによりエスクロ部から払出し集積部22への紙幣一枚ずつの移送が開始される(ステップS2)。
次いでステップS3においてエスクロ部からの一枚目の紙幣B1が受入れ口102に達したか否かがチェックされる。
【0045】
図12(a)は紙幣先端部が紙幣検知センサ102aに検知された状態を示しており、エスクロ部20においてエスクロドラム21外周に収容されていた複数枚の紙幣のうちの一枚目の返却用紙幣B1が搬送ベルト20aにより搬送されてきてその先端部が受入れ口102の手前にある紙幣検知センサ102aに到達した状態を示している(ステップS3、YES)。紙幣先端が紙幣検知センサ102aにより検知される前の待受け状態では、払出しドラムの外周に配置される紙幣先端を揃えるための巻取り開始部(紙幣先端位置決め部)286(出没部材280A)が図12(a)中に示したホーム位置HP(受入れ口102の対向位置)で停止している。搬送ベルト20aにより搬送されてきた紙幣B1が紙幣検知センサ102aにより先端を検知された段階で、各ベルト機構110、130、140、150を正転方向へ駆動開始させることにより払出しドラムを正転開始させると(ステップS4)、その後、紙幣B1の先端が取込位置(受入れ口102)に達するタイミングと、払出しドラム105の巻取り開始部286がホーム位置HPから取込位置に達するタイミングが同じになる。
【0046】
ギヤ伝達機構の構成により搬送ベルト20aによる紙幣の搬送速度と払出しドラムの回転速度とを一定にすると共に、払出しドラムのホーム位置HPを予め適切に設定しておくことにより、取込位置において紙幣B1の先端と払出しドラムの取込開始部286とが一致するように制御できるので制御が容易となる。
巻取り開始部286は、4つの出没部材のうちの一つ280Aに設けられており、この巻取り開始部としての出没部材の外面のみは紙幣面との摩擦抵抗が大きく設定されている。巻取り開始部は導入された直後の紙幣先端を位置ずれさせることなく第1ベルト111との協働により保持する手段である。
【0047】
図12(a)の紙幣検知状態においてモータ190を正転方向へ駆動すると、各ベルト機構110、130、140、150が正転方向へ駆動を開始するため、各ベルト111、131、141、151が矢印aで示す受入れ方向へ走行移動を開始する。払出しドラム105は各ベルトとの接触抵抗により連れ回りするため、各ベルトの走行開始と共に正転方向(巻取り方向)へ回転を開始する。払出しドラム105が巻取り方向である反時計回り方向へ回転して巻取り開始部の外面適所、本例では周方向中央部が同図(b)に示した取込位置(受入れ口102)に達するタイミングに合わせて紙幣B1の先端が取込位置に達するように、制御手段300はエスクロ部のモータを駆動して搬送ベルト20aを走行させる(ステップS4)。これにより待機位置にあった紙幣B1の先端部は巻取り開始部の外面と第1ベルト111とにより挟まれることにより第1接触走行領域T1内に巻き込まれて行く。
巻取り開始部の外面、及び第1ベルト面は、摩擦抵抗が大きいため紙幣先端の両面との間で滑りが生じない。
【0048】
本例ではホームポジションHPは取込位置から180度、周方向位置がずれた箇所に設定されているが、これは一例に過ぎない。
なお、図12(a)に示した位置にあった紙幣B1が(b)に示した取込位置に達するまでの移動速度は、ホームポジションHPにあった巻取り開始部が取込位置に移動する際の移動速度(周速)と同じであり、例えば800mmsecである。本発明では、払出しドラムの特徴的な構成と、ベルトによる押圧力との協働により、出没部材間に保持されている紙幣の枚数が増大しても、紙幣を介して各出没部材が紙幣の厚み分だけ内径側に均等に没することができるため、集積された紙幣外周面の線速(外径側位置)は常に一定となる。
【0049】
図12(a)の状態では、第1フラッパ120はバネによってその先端部を払出しドラム105の外面に向けて付勢されているが、(b)の紙幣導入開始時には巻取り開始部286が取込位置に周回移動してきており、紙幣先端は第1フラッパによって巻取り開始部外面に押し付けられる。この際、第1フラッパ120は紙幣に押圧されて紙幣の厚み分だけ押し上げられる。受入れ口102から進入してきた紙幣B1は第1フラッパ120先端と接触しながら通過することにより、第1接触領域T1内に安定してガイドされる。(b)において第1接触走行領域T1への紙幣巻き込みが開始されると、それ以降は、紙幣先端部は巻取り開始部286と第1ベルト111とにより必要充分な圧接力により挟持されて脱落や位置ずれすることなく第1接触走行領域T1内を反時計回り方向へ移動して行き、先端部より後方の紙幣部分も同様に第1接触走行領域T1内を移動して行く。紙幣は払出しドラム外周面に巻き付く過程で、各出没部材の外面間に密着しつつ各出没部材間に跨がって巻き付いて行く。
【0050】
(c)は一枚目の紙幣B1が払出しドラム外周に巻き付きを完了していない状態を示しており、紙幣後端が紙幣検知センサ102aを通過した後で払出しドラム外周(出没部材間)への巻き付きを完了するまで各ベルト機構の正転駆動を継続して払出しドラムを回転し続ける。
更に図13(d)に示すように紙幣後端が第1接触走行領域T1を抜け出した後も払出しドラムは巻取り開始部(紙幣先端部)がホームポジションHPに達するまで回転を続け、図13(e)のように巻取り開始部がホームポジションに達した時点で一旦回転を停止して二枚目の紙幣B2が紙幣検知センサ102aに達するのを待機する。
(d)では紙幣B1が第3フラッパ170を通過するため、第3フラッパはその内面に沿って通過する紙幣に押圧されて軸171を中心として外側へ回動して紙幣の通過を許容し、(e)のように紙幣後端が通過するとバネにより原位置に復帰する。
【0051】
一枚目の紙幣B1が第1乃至第3接触走行領域T1〜T3内を巻取り方向へ移動する過程では、紙幣を介した各ベルト111、131、141からの圧力により巻取り開始部を有した出没部材280A、及び他の出没部材280Bは、紙幣一枚の厚み分だけ払出しドラムの内径側に均等に没するため、紙幣B1の外周面の線速に変動はなく、取込位置に送り込まれる時の紙幣の搬送速度と一致している。このため、全ての紙幣を払出しドラム外面に巻き付ける過程において払出しドラムの回転速度を減速させる必要がなく、複雑な回転速度の制御が不要となる。
【0052】
図14(f)乃至(h)、図15(i)(j)は図12図13の続きであり、払出しドラムが正転を継続することにより二枚目の紙幣B2を払出しドラム外周に巻き付ける手順を示しているが、一枚目と同じ手順が繰り返される(ステップS5)。
図14(f)は、二枚目の紙幣B2の先端が紙幣検知センサ102aに達して待機した状態を示しており、(g)ではベルト機構、及び払出しドラムの回転によって取込開始部上にある一枚目紙幣B1の先端部が取込位置に達するタイミングに合わせて二枚目の紙幣B2を給紙することにより、両紙幣B1、B2の先端縁を一致させた状態で両紙幣を第1接触走行領域T1に巻き込むことができる。図14(h)、図15(i)(j)は図12(c)、図13(d)(e)に夫々対応している。
【0053】
二枚目の紙幣が一枚目の紙幣の外面に積層された時も、二枚紙幣を介した各ベルト111、131、141からの圧力により巻取り開始部を有した出没部材280A、及び他の出没部材280Bは、紙幣二枚枚の厚み分だけ払出しドラムの内径側に均等に没するため、最外周の紙幣B2の外周面の線速に変動はなく、取込位置に送り込まれる時の紙幣の搬送速度と一致している。このため、全ての紙幣を払出しドラム外面に巻き付ける過程において払出しドラムの回転速度を減速させる必要がなく、複雑な回転速度の制御が不要となる。このことは三枚目以降の紙幣が払出しドラム外周面に巻き付く動作においても同様である。
三枚目以降の紙幣についても二枚目と同様の巻き込み動作が繰り返される。
ステップS6では払出しドラムにより巻取りを完了した紙幣の枚数がN枚に達したか否かが判定され、N枚に達した時にはステップS7に示した一括払出し動作へ移行し、紙幣束を一括して出口107から機外に排出する。
【0054】
[一括払出し動作]
以上の手順により払出しドラム外周に整列状態で巻き付いていた全ての紙幣が払出しドラム外周に移行すると図16(a)に示した状態となる。
即ち、図16(a)乃至(c)は一括払出し動作の手順を示している。
【0055】
図16(a)の集積完了状態になると、次に返却用の紙幣束BBを出口107から一括して返却する動作(一括払出し動作)が行われる(ステップS7)。
図16(a)の状態では紙幣束BBの先端縁はホームポジションHPにあるため、紙幣束BBを出口107から払出すためには払出しドラムを反時計回り方向へ回転させると共に、第2フラッパ160の作用により出口107へ導くことになる。
図16(a)では図示しないバネにより第2フラッパ160は外径方向へ付勢されているため回動軸161よりも右側にある第2フラッパ先端部位が出口107への経路を塞いでいるが、制御手段300は紙幣束BBの後端部が第2フラッパ先端部下面から離脱したタイミングで図示しないソレノイドを作動させて第2フラッパ先端部を内径方向(時計回り方向、出口開放方向)へ回動させる。この開放動作により第2フラッパの上側に出口107への開放経路が形成される((b))。なお、紙幣束BBの後端部が第2フラッパ先端部から離脱するタイミングは紙幣長さに応じて予め設定することができる。
【0056】
第2フラッパ160は図16(b)の段階では出口107への経路を開放しているため、紙幣束先端が第1接触走行領域T1に進入してから出口107に達する過程では、第1ベルト111、及び払出しドラムの払出し方向への回転により紙幣束先端部はスムーズに出口107から外部へ移動することができる((c))。また、第1ベルト機構110は、プーリ112aの軸部を中心として出口側のプーリ112c、112が上下動する構成であるため、紙幣束BBの通過に際しては第1ベルトの出口側が上昇することにより紙幣束BBの通過を更にスムーズ化する。
出口107から排出された紙幣束が顧客により取り去られることにより紙幣束後端が出口107を通過したことが紙幣検知センサ107aにより検知された時期以降にソレノイドをOFFすることにより第2フラッパは図16(a)に示した原位置に復帰する(ステップS8、S9)。
なお、紙幣束BBの機外への最終的な排出は第1ベルト機構110と第4ベルト機構150との協働により行われる。
【0057】
[取り忘れ紙幣処理動作]
次に、取り忘れ紙幣処理動作を示す図17、及び図18のフローチャート(ステップS10、S11)に基づいて取り忘れ紙幣を取り忘れ紙幣収納部24へ排出する手順について説明する。
図16(c)の返却状態では、返却用の紙幣束BBが出口107(返却口7)から先端側の部位だけを外部に突出させており、紙幣束の後部は第1ベルト111と第4ベルト151とからなる第4接触走行領域T4により保持されている。このため、顧客が紙幣束先端を把持して引き抜かない限り紙幣束を取り出すことはできない。紙幣束が取り出されたこと、或いは取り出されていないことは、紙幣検知センサ107aによる検知情報に基づいて判定できる。排出された紙幣が顧客により取り去られた場合には第2フラッパ160を原位置に復帰させて次の紙幣巻取りを待機する(ステップS8、YES、ステップS9)。
【0058】
制御手段300は図17(a)に示すように顧客によって紙幣束が回収されていない状態が一定期間継続した場合(ステップS10、YES)には、同図(b)に示すようにモータ190により全てのベルト機構を逆転させることにより取り忘れ紙幣束BB`を機内へ向けて後退開始させる(ステップS11)。払出しドラムは各ベルト機構の逆転に連れ回りして逆転する。なお、ベルト機構を逆転開始する前提として同図(a)に示すように第3フラッパ170がバネの作用により内径側に退避していることにより、取り忘れ紙幣収納部24への排出口180を開放する。
更に、図17(b)の紙幣束引込み途中の段階以降も各ベルト機構、及び払出しドラムを逆転継続することにより、同図(c)に示すように取り忘れ紙幣束BB`はその後端部側から第1接触走行領域T1、第3接触走行領域T3、排出口180を経て取り忘れ紙幣収納部24へ排出されて収納される(ステップS11)。取り忘れ紙幣束BB`が排出口180を通過したことは紙幣検知センサ180aにより検知することができる。
このように出口107に払い出された取り忘れ紙幣が一定時間経過しても取り出されない場合に機内に回収することにより、遅滞なく次の顧客の利用を可能として稼働率の低下を防止することができる。
取り忘れ紙幣収納部24内に収納された紙幣は、係員が払出し集積部(払出し集積装置)22を引き出して内部を開放して取り出さない限り、取り出すことはできない。
取り忘れ紙幣収納部24への排出が完了すると、払出しドラムを図12(a)に示したホームポジションに復帰させると共に、第2フラッパ160により出口107を閉じることにより次の紙幣の投入を待機する。
【0059】
[本発明の構成、作用、効果のまとめ]
第1の本発明に係る紙葉集積用ドラムは、回転する過程で一枚ずつ供給される紙葉を外周面上に重ねて集積する紙葉集積用ドラム105であって、外周面の紙葉集積部位に所定の周方向配置で(間隔を隔てて)設けられて内径方向へ退避した退避位置との間を出没自在に構成されると共に突出方向へ弾性付勢され、且つ外面で紙葉面と接触する複数の出没部材(紙葉支持部材)280と、を備え、紙葉は、出没部材間に跨がって集積される(巻き付く)ことを特徴とする。
例えば、投入された後で一時保留されていた紙葉について返却することが確定した場合等に、当該返却紙葉を払出しドラム外周面に順次供給して積層状態で巻き付けて集積してから一括して返却処理するドラム方式の返却紙葉の集積装置において、払出しドラム外周に集積される紙葉枚数が増大しても格別の速度制御を行うことなく払出しドラム最外周の紙葉の線速を一定に保って紙幣の整列状態を維持することができる。
返却紙葉に限らず、ドラム周面に紙葉を整列性良く重ねて集積する装置一般に適用することができる。
各出没部材の外周面間を結ぶ円周面が紙葉集積用ドラムの外周面を形成する。
【0060】
従来の紙葉集積用ドラムは、集積する紙葉の枚数の増大に応じてドラムの外径が増大して行くので最外周にある紙葉の周速が増大した。均一速度でドラム外周面に供給されてくる紙葉の速度とドラムの周速を整合させるためにはドラムの回転速度を減速させる必要がある。しかし、紙葉が一枚増える毎に最外周面の径方向位置が変わって周速が変わるので、高精度な減速制御が必要であり、その結果、後続紙葉の先端を先行して巻き付いている紙葉の先端に整合させることが極めて困難であった。
【0061】
本発明の紙葉集積ドラムでは、供給される紙葉を出没部材により受け止めて出没部材間にロール状に支持すると共にベルト等から加わる加圧力によって紙葉の厚みが増えた分だけ出没部材を内径側に退避させるようにした。このため、ドラム外周面の紙葉枚数が増大しても最外周の紙葉の外周面の位置(外径)を一定とすることができ、その結果周速を常に一定とすることができる
この紙葉集積用ドラムは、返却紙葉の集積装置のみならず、ドラム外周面に一枚づつ整列状態で紙葉を集積する機構一般に適用することができる。
【0062】
第2の本発明に係る紙葉の集積装置は、搬送されてきた紙葉を受け入れる受入れ部102と、正転する過程で該受入れ部から受け入れられた紙葉を外周面上に一枚ずつ順次重ねて集積して紙葉束を形成する正逆転自在な前記紙葉集積用ドラム105と、該紙葉集積用ドラムの外周面(出没部材280)の周回(回転)移動経路に沿って複数個配置されて紙葉面を紙葉集積用ドラム外周面(各出没部材外面)に接触(密着)させる搬送ガイド部材110、130、140と、紙葉集積用ドラム外周面(各出没部材外面)に集積された紙葉を外部に排出する第1出口107と、紙葉集積用ドラム外周面(各出没部材外面)と一つの搬送ガイド部材との接触走行領域T1内に進入した紙葉の搬送方向を紙葉集積用ドラム外周面方向と第1出口方向との何れか一方に選択的に切り替える第1出口切替えガイド部材(第2フラッパ)160と、紙葉集積用ドラムの駆動源190と、第1出口切替えガイド部材160の駆動源(ソレノイド)と、各駆動源を制御する制御手段300と、を備え、第1出口切替えガイド部材160は、開放姿勢にある時に接触走行領域T1から紙葉集積用ドラム外周面へ向かう経路を開放し、閉止姿勢にある時に第1出口に向かう経路を開放し、各搬送ガイド部材は、紙葉集積用ドラム外周面(各出没部材外面)に集積された紙葉を介して各出没部材を内径方向へ押し込むことにより、紙葉集積用ドラムの外周面(各出没部材外面)上の紙葉外周面の外径(径方向)位置を紙葉の枚数に関わらず常に一定に保持し、制御手段は、受入れ部から導入される紙葉を受け入れる期間中は第1出口切替えガイド部材を開放し続けながら紙葉集積用ドラムを正転させ、受入れが終了して紙葉集積用ドラム外周(各出没部材外面)の紙葉(束)を第1出口から機外に排出する際には第1出口切替えガイド部材を閉止姿勢に移行させ、且つ紙葉集積用ドラムを正転させることを特徴とする。
外周面(出没部材の外面)の位置が巻き取られる紙葉の厚みに応じて内径側に変位可能な紙葉集積用ドラム105と、出没部材を押圧する搬送ガイド部材110、130、140との協働により、集積用ドラム外周面の紙葉の枚数の増大に関わらず周速を常に一定にすることができるので、紙葉集積用ドラムを常に一定速度で回転すれば先行紙葉と後続紙葉の先端部の位置を容易に整合させることが可能となる。
【0063】
第3の本発明に係る紙葉の集積装置では、第1出口107とは異なった位置に配置されて紙葉保留部24に連通した第2出口180と、紙葉集積用ドラム外周面の紙葉を第2出口に導く回動自在な切替えガイド部材(第3フラッパ)170と、を備え、切替ガイド部材は常時においては第2出口への経路を開放する姿勢にあり、出没部材外周面の紙葉が正転方向へ通過する際には第2出口への経路を閉止する姿勢となり、制御手段300は、紙葉集積用ドラム外周面(出没部材外周面)の紙葉を第2出口から紙葉保留部に排出する際には、紙葉集積用ドラムを逆転させることにより紙葉を後端から機外に排出させることを特徴とする。
一旦、第1出口に排出された紙葉(束)が顧客によって取り出されないことが明らかとなった場合には、取り忘れ紙葉と見なして集積用ドラムを逆転させることにより当該紙葉を機内に回収する。回収した紙葉は紙葉保留部24に後端部から逆送される。集積用ドラムを逆転させるだけで取り忘れ紙葉を紙葉保留部に回収することができる。
この逆転移動中も紙葉(束)は各出没部材と各搬送ガイド部材との協働により内外両面を挟圧されながら搬送されるので、紙葉束がばらけることがない。
【0064】
第4の本発明に係る紙葉の集積装置では、各出没部材280のうちの一つ280Aの外面(接触部材285)は、紙葉との接触面の摩擦抵抗が大きくなるように構成されており、残りの出没部材280Bの外面(接触部材285)は紙葉との摩擦抵抗(搬送抵抗)が小さくなるように構成されていることを特徴とする。
集積用ドラム外周面に最初に供給されてくる紙葉の先端部がドラム外周面、即ち出没部材の外周面と滑りを起こすことを防止するために接触部材285の摩擦抵抗を大きくした特定の出没部材280Aだけを巻取り開始部286として使用する。この出没部材280A以外の残りの各出没部材280Bの接触部材285としては摩擦抵抗が低い構成(回転体)、或いは摩擦抵抗が低い材質を用いる。
紙葉先端を巻取り開始部286により位置ずれしないように保持する一方で、残りの出没部材280Bにより紙葉の他の面を周方向へ滑りやすく支持するようにしたので、スムーズに各出没部材間に巻き付いて展開することができる。また、搬送ガイド部材からの圧力によって各出没部材280Bが内径側に没する際にも紙葉が接触部材285に吸着しないのでスムーズに没することができる。
【0065】
第5の本発明に係る紙葉の集積装置では、搬送ガイド部材110、130、140は、エンドレスベルトをプーリにより張設したベルト機構により構成されていることを特徴とする。
搬送ガイド部材としては、各出没部材を均等に加圧して均等な距離だけ内径側へ変位させることができる構成であればどのようなものでも良いが、ベルト機構が最も便利である。
【0066】
第6の本発明に係る紙葉の集積装置では、紙葉集積用ドラムは、搬送ガイド部材により回転駆動されることを特徴とする。
これによれば、一つの駆動源を用いながら集積用ドラムの周速と搬送ガイド部材の速度を完全に同期させることが容易となる。
【0067】
第7の本発明に係る紙葉処理装置は、前記何れか紙葉の集積装置を備えたことを特徴とする。
この紙葉処理装置は、前記各形態例に係る紙葉の集積装置を装備することにより、各形態例に係る作用、効果を得ることができる。
この紙葉処理装置は、券売機等の自動販売機、両替機、入出金、ATM等々のあらゆる紙葉取扱装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1…紙幣(紙葉)処理装置、3…筐体、3a…収容空間、5…入出金口、7…返却口、
9a…入金紙幣(紙葉)搬送経路、9b…収納紙幣(紙葉)搬送経路、11…一括入金部、13…センタリング部、15…識別部、20…エスクロ部、20a…搬送ベルト、21…エスクロドラム、22…払出し集積部(払出し集積装置)、24…取り忘れ紙幣(紙葉)収納部、30…還流式収納部、30a…還流ドラム、40…回収庫、50…エスクロ・集積ユニット、T1〜T5…接触走行領域、B…紙幣、BB…返却用紙幣、100…ケーシング、102…受入れ口(受入れ部)、102a…紙幣検知センサ、105…紙葉(紙葉)集積用ドラム(払出しドラム)、105a…回転軸、107…出口(第1出口)、107a…紙幣検知センサ、110、130、140、150…ベルト機構(搬送ガイド部材)、111、131、141、151…ベルト、112a〜112c、132a〜132c、142a〜142c、152a、152b…プーリ、120…第1フラッパ、120A…爪片、160…第1出口切替えガイド部材(第2フラッパ)、161…回動軸、170…第3フラッパ、171…軸、180…排出口、180a…紙幣検知センサ、190…モータ(駆動源)、190a…出力ギヤ、201、202…従動ギヤ、205…大径ギヤ、207、209、211、213…駆動ギヤ、210…エンコーダ機構、212…コードホイール、213…スリット、215…ギヤ、220、222…検出器、225…ホーム位置マーク、250…ドラム本体、252…ベース部材、255…ガイド部材、255a…フック部、257…弾性部材、258…仕切部材、258a…環状溝部、280(280A、280B)…出没部材、282…被ガイド部材、282a…フック部、282b…凹所、282c…紙幣ガイド片、285…接触部材、286…巻取り開始部(紙幣先端位置決め部)、286a…軸部、290…ローラ、290a…軸部、300…制御手段
【要約】
【課題】紙葉を払出しドラム外周面に順次供給して積層状態で巻き付けて集積してから一括して返却処理するドラム方式の紙葉の集積装置において、払出しドラム外周に集積される紙葉枚数が増大しても格別の速度制御を行うことなく払出しドラム最外周の紙葉の線速を一定に保って紙幣の整列状態を維持することができる技術を提供する。
【解決手段】回転する過程で一枚ずつ供給される紙葉を外周面上に重ねて集積する紙葉集積用ドラム105であって、外周面の紙葉集積部位に所定の周方向配置で設けられて外径方向へ突出した最突出位置と、該最突出位置よりも内径方向へ退避した退避位置との間を出没自在に構成されると共に突出方向へ弾性付勢され、且つ外面で紙葉面と接触する複数の出没部材280と、を備え、紙葉は、出没部材間に跨がって集積されることを特徴とする。
【選択図】図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18