特許第6389973号(P6389973)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6389973
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】廃棄物処理設備
(51)【国際特許分類】
   F23G 5/44 20060101AFI20180903BHJP
   F23L 5/02 20060101ALI20180903BHJP
   F23L 15/00 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
   F23G5/44 FZAB
   F23L5/02
   F23L15/00 A
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-13944(P2018-13944)
(22)【出願日】2018年1月30日
【審査請求日】2018年2月20日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000192590
【氏名又は名称】株式会社神鋼環境ソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176315
【弁理士】
【氏名又は名称】荒田 秀明
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 圭
(72)【発明者】
【氏名】眞野 文宏
【審査官】 渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−145738(JP,A)
【文献】 特開2015−227747(JP,A)
【文献】 特開昭56−053315(JP,A)
【文献】 実開昭54−058541(JP,U)
【文献】 特開2017−203434(JP,A)
【文献】 特開2011−137576(JP,A)
【文献】 特開2015−227748(JP,A)
【文献】 特開2016−180528(JP,A)
【文献】 米国特許第04253300(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23G 5/44
F23L 5/02
F23L 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を処理する廃棄物処理設備であって、
前記廃棄物を燃焼する焼却炉と、
酸素を含むガスである酸素含有ガスを圧縮するコンプレッサ、及び、前記コンプレッサに接続されており当該コンプレッサを駆動可能なタービンを含む過給機と、
前記コンプレッサから吐出された酸素含有ガスと前記焼却炉から排出された排ガスとを熱交換させることによって前記酸素含有ガスを加熱する予熱器と、
前記コンプレッサ、前記予熱器、前記タービン及び前記焼却炉をこの順に接続しており、前記コンプレッサから吐出された酸素含有ガスを前記焼却炉に供給するための酸素含有ガス供給流路と、
前記焼却炉への前記酸素含有ガスの供給量が低下したことを示す条件である低下条件が成立したときに前記タービンへの前記酸素含有ガスの供給量を増大させる調整部と、を備え、 前記調整部は、
前記酸素含有ガス供給流路のうち前記コンプレッサと前記予熱器との間の部位から前記コンプレッサから吐出された酸素含有ガスの一部を外部に取り出す取出流路と、
前記取出流路に設けられており開度調整が可能な開閉弁と、
開度制御部と、
前記酸素含有ガス供給流路のうち前記予熱器と前記タービンとの間の部位に前記酸素含有ガスを供給可能なガス供給部と、
前記ガス供給部を制御するガス供給部制御部と、を有し、
前記開度制御部は、前記開閉弁が開かれた状態において前記低下条件が成立したときに、まず前記開閉弁の開度を下げ、
前記ガス供給部制御部は、前記開度制御部が前記開閉弁の開度を下げた後、前記コンプレッサを通過する前記酸素含有ガスの流量である通過流量に対する前記取出流路を流れる酸素含有ガスの流量の割合である取出率が規定値未満であるときに、初めて前記ガス供給部からの前記酸素含有ガスの供給量を増大させる、廃棄物処理設備。
【請求項2】
請求項に記載の廃棄物処理設備において、
前記調整部は、
前記ガス供給部から供給される酸素含有ガスが前記タービンに流入する前に当該酸素含有ガスを加熱する加熱部と、
前記加熱部を制御する加熱部制御部と、
前記コンプレッサを通過する前記酸素含有ガスの流量である通過流量と前記コンプレッサに吸い込まれる酸素含有ガスの圧力に対する前記コンプレッサから吐出された酸素含有ガスの圧力の比である圧縮比との関係を示すマップであって、前記コンプレッサの動作が不安定となる領域である不安定領域と前記コンプレッサの動作が安定する領域である安定領域との境界を示す境界ラインと、前記圧縮比が前記境界ラインの値から所定値低い値に設定された予防ラインと、が記憶されたものを格納する格納部と、をさらに有し、
前記加熱部制御部は、前記通過流量と前記圧縮比とに基づいて算出される値であって前記コンプレッサの現在の運転状態を示す現在値が前記マップの前記予防ラインを超えているときに前記加熱部を駆動する、廃棄物処理設備。
【請求項3】
請求項に記載の廃棄物処理設備において、
前記加熱部制御部は、前記加熱部の駆動後、前記現在値が前記予防ラインを超えているときに、前記加熱部による前記酸素含有ガスの加熱量を増大させる、廃棄物処理設備。
【請求項4】
請求項又はに記載の廃棄物処理設備において、
前記加熱部制御部は、前記現在値が前記予防ラインに維持されるように前記加熱部による前記酸素含有ガスの加熱量を調整する、廃棄物処理設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物を処理する廃棄物処理設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、廃棄物を処理する廃棄物処理設備が知られている。例えば、特許文献1には、廃棄物を燃焼する焼却炉と、コンプレッサ及びタービンを含む過給機と、予熱器と、燃焼空気供給流路と、を備える廃棄物処理設備が開示されている。コンプレッサは、外部から吸い込んだ空気を圧縮する。タービンは、コンプレッサに接続されており当該コンプレッサを駆動する。予熱器は、コンプレッサから吐出された空気と焼却炉から排出された排ガスとを熱交換させることによって空気を加熱する。燃焼空気供給流路は、コンプレッサ、予熱器、タービン及び焼却炉をこの順に接続している。つまり、燃焼空気供給流路は、コンプレッサから吐出された空気を焼却炉での廃棄物の焼却に必要な燃焼空気として焼却炉に導く流路である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−170703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されるような廃棄物処理設備では、焼却炉への燃焼用空気の供給量が不足する場合がある。
【0005】
本発明の目的は、焼却炉への燃焼用空気の供給量の不足を抑制することが可能な廃棄物処理設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決する手段として、本発明は、廃棄物を処理する廃棄物処理設備であって、前記廃棄物を燃焼する焼却炉と、酸素を含むガスである酸素含有ガスを圧縮するコンプレッサ、及び、前記コンプレッサに接続されており当該コンプレッサを駆動可能なタービンを含む過給機と、前記コンプレッサから吐出された酸素含有ガスと前記焼却炉から排出された排ガスとを熱交換させることによって前記酸素含有ガスを加熱する予熱器と、前記コンプレッサ、前記予熱器、前記タービン及び前記焼却炉をこの順に接続しており、前記コンプレッサから吐出された酸素含有ガスを前記焼却炉に供給するための酸素含有ガス供給流路と、前記焼却炉への前記酸素含有ガスの供給量が低下したことを示す条件である低下条件が成立したときに前記タービンへの前記酸素含有ガスの供給量を増大させる調整部と、を備える、廃棄物処理設備を提供する。
【0007】
本廃棄物処理設備では、前記低下条件が成立したときに調整部がタービンへの酸素含有ガスの流入量を増大させるので、タービンの回転数が増大する。そうすると、コンプレッサの回転数が増大するので、当該コンプレッサから吐出される酸素含有ガスの流量、つまり、焼却炉へ供給される酸素含有ガスの流量が増大する。よって、焼却炉への酸素含有ガスの供給量の不足が抑制される。
【0008】
記調整部は、前記酸素含有ガス供給流路のうち前記コンプレッサと前記予熱器との間の部位から前記コンプレッサから吐出された酸素含有ガスの一部を外部に取り出す取出流路と、前記取出流路に設けられており開度調整が可能な開閉弁と、前記開閉弁が開かれた状態において前記低下条件が成立したときに、前記開閉弁の開度を下げる開度制御部と、を有する。
【0009】
このようにすれば、前記低下条件が成立したときに取出流路を通じた酸素含有ガスの取出量が減少するので、換言すれば、タービンへの酸素含有ガスの流入量が増大するので、焼却炉へ供給される酸素含有ガスの流量が増大する。
【0010】
また、前記調整部は、前記酸素含有ガス供給流路のうち前記予熱器と前記タービンとの間の部位に前記酸素含有ガスを供給可能なガス供給部と、前記ガス供給部を制御するガス供給部制御部と、を有し、前記ガス供給部制御部は、前記低下条件が成立したときに前記ガス供給部を駆動することが好ましい。
【0011】
このようにしても、タービンへの酸素含有ガスの流入量が増大するので、焼却炉へ供給される酸素含有ガスの流量が増大する。
【0012】
記ガス供給部制御部は、前記開度制御部がまず前記開閉弁の開度を下げた後、前記コンプレッサを通過する前記酸素含有ガスの流量である通過流量に対する前記取出流路を流れる酸素含有ガスの流量の割合である取出率が規定値未満であるときに、初めて前記ガス供給部からの前記酸素含有ガスの供給量を増大させる。
【0013】
このようにすれば、取出率が規定値未満である場合(開閉弁の開度を小さくすることによってタービンへの酸素含有ガスの流入量を増大させることによる対応が困難である場合)であっても、タービンへの酸素含有ガスの流入量を有効に増大させることが可能となる。
【0014】
また、前記調整部は、前記ガス供給部から供給される酸素含有ガスが前記タービンに流入する前に当該酸素含有ガスを加熱する加熱部と、前記加熱部を制御する加熱部制御部と、前記コンプレッサを通過する前記酸素含有ガスの流量である通過流量と前記コンプレッサに吸い込まれる酸素含有ガスの圧力に対する前記コンプレッサから吐出された酸素含有ガスの圧力の比である圧縮比との関係を示すマップであって、前記コンプレッサの動作が不安定となる領域である不安定領域と前記コンプレッサの動作が安定する領域である安定領域との境界を示す境界ラインと、前記圧縮比が前記境界ラインの値から所定値低い値に設定された予防ラインと、が記憶されたものを格納する格納部と、をさらに有し、前記加熱部制御部は、前記通過流量と前記圧縮比とに基づいて算出される値であって前記コンプレッサの現在の運転状態を示す現在値が前記マップの前記予防ラインを超えているときに前記加熱部を駆動することが好ましい。
【0015】
この態様では、タービンへの酸素含有ガスの流入量を増大させることと、現在値がコンプレッサの振動等が生じる不安定領域に入るのを抑制することと、が両立される。具体的に、焼却炉へ供給される酸素含有ガスの流量を維持するために必要な、ガス供給部から供給される酸素含有ガスの流量が増加した場合、前記通過流量は低下しているので、前記現在値が安定領域から不安定領域に向かう方向に移行するが、加熱部が駆動されることにより、タービンへ供給される酸素含有ガスの温度が上昇するので、タービンの回転数が増大する。そうすると、コンプレッサの回転数が増大するので、前記通過流量が増大し、これにより前記現在値がマップにおける安定領域に向けて移行する。よって、現在値が不安定領域に入ることが抑制される。
【0016】
また、前記加熱部制御部は、前記加熱部の駆動後、前記現在値が前記予防ラインを超えているときに、前記加熱部による前記酸素含有ガスの加熱量を増大させることが好ましい。
【0017】
このようにすれば、現在値が不安定領域に入ることがより確実に抑制される。
【0018】
また、前記加熱部制御部は、前記現在値が前記予防ラインに維持されるように前記加熱部による前記酸素含有ガスの加熱量を調整することが好ましい。
【0019】
このようにすれば、現在値が不安定領域に入ることの抑制と、加熱部での消費燃料の抑制と、の双方が達成される。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、焼却炉への燃焼用空気の供給量の不足を抑制することが可能な廃棄物処理設備を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態の廃棄物処理設備の概略を示す図である。
図2図1に示される廃棄物処理設備のコントローラの制御内容を示すフローチャートである。
図3図1に示される廃棄物処理設備のコントローラの制御内容を示すフローチャートである。
図4図1に示される廃棄物処理設備のコントローラの制御内容を示すフローチャートである。
図5】格納部に記憶されたマップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施形態の廃棄物処理設備について、図1図5を参照しながら説明する。
【0023】
図1に示されるように、本実施形態の廃棄物処理設備は、焼却炉10と、過給機20と、予熱器30と、酸素含有ガス供給流路L1と、調整部40と、を備えている。
【0024】
焼却炉10は、下水の汚泥等の廃棄物を焼却する炉である。
【0025】
過給機20は、コンプレッサ21と、タービン22と、を有している。コンプレッサ21は、酸素を含有する酸素含有ガス(空気等)を圧縮する。タービン22は、コンプレッサ21に接続されている。このため、タービン22の回転によりコンプレッサ21が駆動される。
【0026】
予熱器30は、焼却炉10から排出された排ガスによってコンプレッサ21から吐出された酸素含有ガスを加熱する。本実施形態では、予熱器30から排出された酸素含有ガスの温度は、例えば700℃以下である。なお、予熱器30において酸素含有ガスを加熱した後に当該予熱器30から排出された排ガスは、予熱器30の下流側に配置される処理設備で適宜処理される。
【0027】
酸素含有ガス供給流路L1は、コンプレッサ21、予熱器30、タービン22及び焼却炉10をこの順に接続している。このため、コンプレッサ21から吐出された酸素含有ガスは、予熱器30及びタービン22を経由して燃焼用ガスとして焼却炉10に供給される。
【0028】
調整部40は、焼却炉10への酸素含有ガスの供給量が低下したことを示す条件である低下条件が成立したときに、タービン22への酸素含有ガスの供給量を増大させる。なお、低下条件は、予熱器30において酸素含有ガスが回収する熱量が低下したことや、焼却炉10へ供給される酸素含有ガスの流量が低下したことや、タービン22の回転数が低下したこと等が挙げられる。本実施形態では、低下条件として、焼却炉10へ供給される酸素含有ガスの流量(酸素含有ガス供給流路L1のうち焼却炉10の上流側の部位に設けられた流量センサ81の検出値F1)が目標値F0未満になったことが採用されている。調整部40は、取出流路L2と、開閉弁V1と、ガス供給部50と、加熱部60と、コントローラ70と、を有している。
【0029】
取出流路L2は、酸素含有ガス供給流路L1のうちコンプレッサ21と予熱器30との間の部位から、コンプレッサ21から吐出された酸素含有ガスの一部を外部に取り出すための流路である。この取出流路L2に、開度調整が可能な開閉弁V1が設けられている。このため、開閉弁V1の開度が調整されることにより、コンプレッサ21を通過する酸素含有ガスの流量である通過流量に対する取出流路L2を流れる酸素含有ガスの流量の割合である取出率rが調整される。よって、取出率rが調整されることにより、コンプレッサ21から吐出された酸素含有ガスの流量に対するタービン22へ供給される酸素含有ガスの流量の割合が調整される。なお、コンプレッサ21から吐出された酸素含有ガスの流量は、酸素含有ガス供給流路L1のうちコンプレッサ21と取出流路L2との間の部位に設けられた流量センサ83によって検出され、焼却炉10に供給される酸素含有ガスの流量は、酸素含有ガス供給流路L1のうち焼却炉10の上流側の部位に設けられた流量センサ81によって検出され、取出流路L2を流れる酸素含有ガスの流量F6は、取出流路L2に設けられた流量センサ82により検出される。つまり、取出率rは、流量センサ82の検出値F2を流量センサ83の検出値で除して100を乗じることにより算出される。
【0030】
ガス供給部50は、酸素含有ガス供給流路L1のうち予熱器30とタービン22との間の部位に酸素含有ガスを供給する。本実施形態では、ガス供給部50は、ブロワ51と、送風流路L3と、開度調整が可能な第2流量調整弁V2と、を有する。送風流路L3は、ブロワ51が生成した酸素含有ガス(本実施形態では空気)の気流を酸素含有ガス供給流路L1のうち予熱器30とタービン22との間の部位に供給するための流路である。送風流路L3の上流側の端部は、ブロワ51に接続されており、送風流路L3の下流側の端部は、酸素含有ガス供給流路L1の前記部位に接続されている。第2流量調整弁V2は、送風流路L3に設けられている。このため、第2流量調整弁V2の開度が調整されることにより、ブロワ51からタービン22への酸素含有ガスの供給量が調整される。
【0031】
加熱部60は、ガス供給部50から供給される酸素含有ガスがタービン22に流入する前に当該酸素含有ガスを加熱する。本実施形態では、加熱部60は、バーナ61と、燃料ポンプ62と、燃焼用ガス供給流路L4と、開度調整が可能な第3流量調整弁V3と、燃料供給流路L5と、開度調整が可能な第4流量調整弁V4と、を有している。
【0032】
燃焼用ガス供給流路L4は、バーナ61に燃焼用ガス(本実施形態では空気)を供給するための流路である。燃焼用ガス供給流路L4は、送風流路L3から分岐している。具体的に、燃焼用ガス供給流路L4の上流側の端部は、送風流路L3のうちブロワ51と第2流量調整弁V2との間の部位に接続されており、燃焼用ガス供給流路L4の下流側の端部は、バーナ61に接続されている。第3流量調整弁V3は、燃焼用ガス供給流路L4に設けられている。このため、第3流量調整弁V3の開度が調整されることにより、ブロワ51からバーナ61への燃焼用ガスの供給量が調整される。なお、バーナ61に供給された燃焼用ガスは、バーナ61から酸素含有ガス供給流路L1に排出される。
【0033】
燃料供給流路L5は、バーナ61に燃料を供給するための流路である。燃料供給流路L5の上流側の端部は、燃料ポンプ62に接続されており、燃料供給流路L5の下流側の端部は、バーナ61に接続されている。第4流量調整弁V4は、燃料供給流路L5に設けられている。このため、第4流量調整弁V4の開度が調整されることにより、燃料ポンプ62からバーナ61への燃料の供給量が調整される。
【0034】
コントローラ70は、各弁V1〜V4、ブロワ51、バーナ61等を制御する。コントローラ70は、開度制御部71と、ガス供給部制御部72と、加熱部制御部73と、格納部74と、を有している。
【0035】
開度制御部71は、開閉弁V1の開度を調整する。具体的に、開度制御部71は、開閉弁V1が開かれた状態において前記低下条件が成立したときに、開閉弁V1の開度を下げる。
【0036】
ガス供給部制御部72は、ガス供給部50を制御する。具体的に、ガス供給部制御部72は、前記低下条件が成立したときにガス供給部50のブロワ51を駆動(起動)する。また、ガス供給部制御部72は、開度制御部71が開閉弁V1の開度を下げた後、取出率rが規定値r2(例えば1.0%)未満であるときに、ガス供給部50からの酸素含有ガスの供給量を増大させる(第2流量調整弁V2の開度を上げる)。
【0037】
加熱部制御部73は、加熱部60を制御する。具体的に、加熱部制御部73は、通過流量と圧縮比とに基づいて算出される値であってコンプレッサ21の現在の運転状態を示す現在値が図5に示されるマップの予防ラインB2を超えているときに、加熱部60を駆動する(バーナ61を点火する)。ここで、通過流量は、コンプレッサ21を通過する酸素含有ガスの流量(コンプレッサ21に吸い込まれる酸素含有ガスの流量又はコンプレッサ21から吐出された酸素含有ガスの流量)を意味し、圧縮比は、コンプレッサ21に吸い込まれる酸素含有ガスの圧力に対するコンプレッサ21から吐出された酸素含有ガスの圧力の比を意味する。本実施形態では、通過流量は、酸素含有ガス供給流路L1のうちコンプレッサ21と予熱器30との間の部位に設けられた流量センサ83により検出され、コンプレッサ21に吸い込まれる酸素含有ガスの圧力は、酸素含有ガス供給流路L1のうちコンプレッサ21の上流側に設けられた圧力センサ84により検出され、コンプレッサ21から吐出された酸素含有ガスの圧力は、酸素含有ガス供給流路L1のうちコンプレッサ21の下流側に設けられた圧力センサ85により検出される。
【0038】
前記マップは、予め取得され、格納部74に格納されている。このマップは、通過流量と圧縮比との関係を示すものである。図5に示されるように、マップには、コンプレッサ21の動作が不安定となる(振動や騒音等が生じる)領域である不安定領域A1とコンプレッサ21の動作が安定する領域である安定領域A2との境界を示す境界ラインB1と、圧縮比が境界ラインB1の値から所定値(例えば0.1)低い値に設定された予防ラインB2と、圧縮比が境界ラインB1の値から前記所定値よりも大きな値(例えば0.5)低い値に設定された下限ラインB3と、が記憶されている。
【0039】
本実施形態では、加熱部制御部73は、バーナ61の点火後、依然として現在値がマップの予防ラインB2を超えているときに、加熱部60による酸素含有ガスの加熱量を増大させる(第3流量調整弁V3の開度及び第4流量調整弁V4の開度を上げる)。また、加熱部制御部73は、現在値が予防ラインB2に維持されるように加熱部60による酸素含有ガスの加熱量(第3流量調整弁V3の開度及び第4流量調整弁V4の開度)を調整する。
【0040】
以下、図2図4を参照しながら、コントローラ70の具体的な制御内容を説明する。
【0041】
コントローラ70は、焼却炉10及び過給機20が運転されている状態において、まず、取出率rが設定値r1(例えば1.5%)以下であること及びバーナ61が点火中であることの少なくとも一方が成立しているか否かを判断する(ステップST11)。その結果、取出率rが設定値r1よりも大きくかつバーナ61が点火されていない場合、コントローラ70は、流量センサ81の検出値F1が目標値F0未満であるか否かを判断する(ステップST12)。この結果、検出値F1が目標値F0未満である場合、つまり、焼却炉10への酸素含有ガスの供給量が不足している場合、コントローラ70の開度制御部71は、開閉弁V1の開度を下げる(ステップST13)。これにより、取出率rが低下する(酸素含有ガスのタービン22への流入量が増大する)。
【0042】
一方、ステップST12において検出値F1が目標値F0以上である場合(ステップST12でNOの場合)、コントローラ70は、検出値F1が目標値F0よりも大きいか否かを判断する(ステップST14)。この結果、検出値F1が目標値F0よりも大きい場合、コントローラ70は、開閉弁V1の開度を上げる(ステップST15)。これにより、取出率rが上昇する(酸素含有ガスのタービン22への流入量が減少する)。
【0043】
そして、コントローラ70は、ステップST14において検出値F1が目標値F0よりも大きくない場合(検出値F1が目標値F0に等しい場合)、ステップST13の後、あるいは、ステップST15の後、焼却炉10を停止するか否か(焼却炉10の停止を指示する指示信号を受信したか否か)を判断する(ステップST16)。その結果、焼却炉10を停止しない場合、コントローラ70は、再びステップST11に戻り、焼却炉10を停止する場合、コントローラ70は、制御を終了する。
【0044】
また、ステップST11において、取出率rが設定値r1以下であること及びバーナ61が点火中であることの少なくとも一方が成立している場合(ステップST11でYES)、コントローラ70は、ブロワ51が起動中か否かを判断する(ステップST17)。この結果、ブロワ51が停止している場合、コントローラ70のガス供給部制御部72は、ブロワ51を起動する(ステップST18)。
【0045】
そして、コントローラ70は、ステップST18の後又はステップST17においてブロワ51が起動中である場合(ステップST17でYESの場合)、取出率rが規定値r2未満であるか否かを判断する(ステップST19)。この結果、取出率rが規定値r2未満である場合、つまり、開閉弁V1の開度を小さくすることによってタービン22への酸素含有ガスの流入量を増大させることが困難である場合、コントローラ70のガス供給部制御部72は、第2流量調整弁V2の開度を上げる(ステップST20)。これにより、タービン22への酸素含有ガスの流入量が増大する。
【0046】
一方、ステップST19において取出率rが規定値r2以上である場合(ステップST19でNOの場合)、コントローラ70は、取出率rが規定値r2よりも大きいか否かを判断する(ステップST21)。この結果、取出率rが規定値r2よりも大きい場合、つまり、開閉弁V1の開度を小さくすることによってタービン22への酸素含有ガスの流入量を増大させることが可能である場合、コントローラ70は、第2流量調整弁V2の開度を下げる(ステップST22)。これにより、タービン22への酸素含有ガスの流入量が増大する。
【0047】
そして、コントローラ70は、ステップST21において取出率rが規定値r2よりも大きくない場合(取出率rが規定値r2に等しい場合)、ステップST20の後、あるいは、ステップST22の後、現在値がマップの予防ラインB2を超えていること及びバーナ61が点火中であることの少なくとも一方が成立しているか否かを判断する(ステップST23)。この結果、現在値がマップの予防ラインB2を超えていること及びバーナ61が点火中であることの少なくとも一方が成立している場合、次に、コントローラ70は、バーナ61が点火中であるか否かを判断する(ステップST24)。その結果、バーナ61が点火中でない場合、コントローラ70の加熱部制御部73は、バーナ61を点火する(ステップST25)。
【0048】
そして、コントローラ70は、ステップST24においてバーナ61が点火中である場合(ステップST24でYESの場合)、あるいは、ステップST25の後、依然として現在値が予防ラインB2を超えているか否かを判断する(ステップST26)。その結果、現在値が予防ラインB2を超えている場合、コントローラ70の加熱部制御部73は、第3流量調整弁V3の開度及び第4流量調整弁V4の開度を上げる(ステップST27)。これにより、バーナ61による酸素含有ガスの加熱量が増大するので、タービン22へ供給される酸素含有ガスの温度が上昇する。そうすると、タービン22の回転数、つまり、コンプレッサ21の回転数が増大するので、通過流量が増大し、これにより現在値が予防ラインB2を下回る領域に向けて移行する。
【0049】
一方、ステップST26において現在値が予防ラインB2を超えていない場合(ステップST26でNOの場合)、コントローラ70は、現在値が予防ラインB2を下回っているか否かを判断する(ステップST28)。その結果、現在値が予防ラインB2を下回っている場合、コントローラ70は、第3流量調整弁V3の開度及び第4流量調整弁V4の開度を下げる(ステップST29)。
【0050】
そして、ステップST28において現在値が予防ラインB2を下回っていない場合(現在値が予防ラインB2に等しい場合)、ステップ27の後、あるいは、ステップST29の後、コントローラ70は、燃料供給流路L5を通じてバーナ61に供給される燃料の流量F4が下限値でありかつ現在値が下限ラインB3を下回っているか否かを判断する(ステップST30)。その結果、前記流量F4が下限値でありかつ現在値が下限ラインB3を下回っている場合、コントローラ70は、バーナ61を消火する(ステップST31)。なお、燃料供給流路L5を通じてバーナ61に供給される燃料の流量F4は、燃料供給流路L5に設けられた流量センサ87によって検出される。
【0051】
そして、ステップST23において現在値がマップの予防ラインB2を超えておらずかつバーナ61が点火中ではない場合(ステップST23でNOの場合)、ステップST30において前記流量F4が下限値であること及び現在値が下限ラインB3を下回っていることの少なくとも一方が成立していない場合(ステップST30でNOの場合)、あるいは、ステップST31の後、コントローラ70は、取出率rが設定値r1よりも大きいこと及びブロワ51から送出された酸素含有ガスの流量F3がゼロであることの双方が成立しているか否かを判断する(ステップST32)。なお、ブロワ51から送出された酸素含有ガスの流量F3は、送風流路L3のうちブロワ51の下流側に設けられた流量センサ86によって検出される。
【0052】
この結果、取出率rが設定値r1よりも大きいこと及び前記流量F3がゼロであることの双方が成立している場合、コントローラ70は、ブロワ51を停止し(ステップST33)、ステップST12に進む一方、取出率rが設定値r1よりも大きいこと及び前記流量F3がゼロであることの少なくとも一方が成立していない場合(ステップST32でNOの場合)、コントローラ70は、そのままステップST12に進む。
【0053】
以上に説明したように、本廃棄物処理設備では、前記低下条件が成立したときに調整部40がタービン22への酸素含有ガスの流入量を増大させるので、タービン22の回転数が増大する。そうすると、コンプレッサ21の回転数が増大するので、当該コンプレッサ21から吐出される酸素含有ガスの流量、つまり、焼却炉10へ供給される酸素含有ガスの流量が増大する。よって、焼却炉10への酸素含有ガスの供給量の不足が抑制される。
【0054】
具体的に、調整部40の開度制御部71は、開閉弁V1が開かれた状態において低下条件が成立したときに開閉弁V1の開度を下げる。これにより、取出流路L2への酸素含有ガスの流入量が減少するので、換言すれば、タービン22への酸素含有ガスの流入量が増大するので、焼却炉10へ供給される酸素含有ガスの流量が増大する。
【0055】
また、調整部40のガス供給部制御部72は、開度制御部71が開閉弁V1の開度を下げた後(ステップST13の後)、取出率rが規定値r2未満であるときに、ブロワ51を起動し、第2流量調整弁V2の開度を上げる(ステップST20)。このため、取出率rが規定値r2未満である場合(開閉弁V1の開度を小さくすることによってタービン22への酸素含有ガスの流入量を増大させることによる対応が困難である場合)であっても、タービン22への酸素含有ガスの流入量が有効に増大する。
【0056】
さらに、調整部40の加熱部制御部73は、現在値がマップの予防ラインB2を超えているときにバーナ61を駆動する(ステップST25)。このため、タービン22への酸素含有ガスの流入量を増大させることと、現在値がコンプレッサ21の振動等が生じる不安定領域A1に入るのを抑制することと、が両立される。具体的に、焼却炉10へ供給される酸素含有ガスの流量を維持するために必要な、ガス供給部50から供給される酸素含有ガスの流量が増加した場合、前記通過流量は低下しているので、現在値が安定領域A2から不安定領域A1に向かう方向に移行するが、加熱部60のバーナ61が駆動されることにより、タービン22へ供給される酸素含有ガスの温度が上昇するので、タービン22の回転数が増大する。そうすると、コンプレッサ21の回転数が増大するので、通過流量が増大し、これにより現在値がマップにおける安定領域A2に向けて移行する。よって、現在値が不安定領域A1に入ることが抑制される。
【0057】
加えて、加熱部制御部73は、バーナ61の駆動後、現在値が予防ラインB2を超えているときに、第3流量調整弁V3の開度及び第4流量調整弁V4の開度を上げる(ステップST27)。これにより、バーナ61による酸素含有ガスの加熱量が増大するので、現在値が不安定領域A1に入ることがより確実に抑制される。
【0058】
また、加熱部制御部73は、現在値が予防ラインB2に維持されるように加熱部60による酸素含有ガスの加熱量を調整する。このため、現在値が不安定領域A1に入ることの抑制と、バーナ61での消費燃料の抑制と、の双方が達成される。
【0059】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0060】
例えば、取出流路L2、開閉弁V1及び開度制御部71は、省略されてもよい。
【符号の説明】
【0061】
10 焼却炉
20 過給機
21 コンプレッサ
22 タービン
30 予熱器
40 調整部
50 ガス供給部
51 ブロワ
60 加熱部
61 バーナ
62 燃料ポンプ
70 コントローラ
71 開度制御部
72 ガス供給部制御部
73 加熱部制御部
74 格納部
A1 不安定領域
A2 安定領域
B1 境界ライン
B2 予防ライン
B3 下限ライン
L1 酸素含有ガス供給流路
L2 取出流路
L3 送風流路
L4 燃焼用ガス供給流路
L5 燃料供給流路
V1 開閉弁
V2 第2流量調整弁
V3 第3流量調整弁
V4 第4流量調整弁
V5 第5流量調整弁
【要約】
【課題】焼却炉への燃焼用空気の供給量の不足を抑制することが可能な廃棄物処理設備を提供すること。
【解決手段】廃棄物処理設備であって、焼却炉(10)と、コンプレッサ(21)及びタービン(22)を含む過給機(20)と、予熱器(30)と、酸素含有ガス供給流路(L1)と、焼却炉(10)への酸素含有ガスの供給量が低下したことを示す条件である低下条件が成立したときにタービン(22)への酸素含有ガスの供給量を増大させる調整部(40)と、を備えること。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5