(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図10には、従来の暗視野型の欠陥検査装置50の側面図が表されている。本明細書では、被検査対象55が透明である場合の欠陥検査装置50が記載されている。
図10では、投光装置56から受光装置51に向けての方向、すなわち
図10の紙面における上下方向をZ方向、被検査対象55の進行方向、すなわち
図10の紙面における左右方向をY方向、
図10の紙面における奥行き方向をX方向とする。この欠陥検査装置50には、投光装置56と、受光装置51と、が設けられている。投光装置56から放出された検査光は、透明な被検査対象55を通過して受光装置51に到達するはずであるが、検査光遮蔽システム58があるため、明視野として検査光が受光装置51に届くことはなく、欠陥で散乱した検査光が受光装置51に届くことになる。従来、被検査対象55の進行方向、すなわちY方向では、検査光遮蔽システム58を構成する第1遮蔽部59および第2遮蔽部60の長さは、投光装置56が照射する検査光の幅(Y方向の長さ)より長いものであった。これは、受光装置51に投光装置56からの検査光が、明視野として届くことをより確実に防止するためであった。
【0006】
しかし、従来の欠陥検査装置50の第1遮蔽部59および第2遮蔽部60の長さが長いことで、被検査対象55に届く検査光の光量が制限されすぎてしまい、逆に被検査対象55の欠陥に照射される検査光の光量が少なくなりすぎるという問題がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑み、被検査対象に届く検査光の光量を、従来よりも多くし、高精度に欠陥を検出できる欠陥検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明の欠陥検査装置は、表面が平坦面である被検査対象の欠陥を検査する装置であって、前記被検査対象に向けて検査光を放出する線光源の投光装置と、該投光装置からの前記検査光を、前記被検査対象を経由して受光する前記受光装置と、が備えられ、前記被検査対象と前記投光装置との間には、前記検査光が明視野として受光装置に到達しないようにするための検査光遮蔽システムが設けられ、該検査光遮蔽システムには、前記検査光の直線状方向に第1遮蔽部が並べられることで直線状の前記検査光の一部を断続的に遮蔽できる被検査対象側遮蔽板と、前記検査光の直線状方向に第2遮蔽部が並べられることで直線状の前記検査光の一部を断続的に遮蔽できる投光装置側遮蔽板と、が設けられ、前記投光装置と前記受光装置とにより形成される面と垂直な面内において、前記第1遮蔽部の一部、または第2遮蔽部の一部の、前記検査光の直線状方向と垂直な方向の長さが、前記投光装置の直線状方向と垂直な方向の長さよりも短いことを特徴とする。
第2発明の欠陥検査装置は、第1発明において、前記第1遮蔽部の全て、および前記第2遮蔽部の全ては、前記投光装置と前記受光装置とにより形成される面と垂直な面内において、平行四辺形の形状をなしており、前記平行四辺形は、前記検査光の直線状方向と平行な2つの辺と、前記検査光の直線状方向と垂直でない、2つの平行な辺と、から形成されていることを特徴とする。
第3発明の欠陥検査装置は、第1発明または第2発明において、前記被検査対象側遮蔽板と、被検査対象との間に、補助遮蔽板が設けられていることを特徴とする。
第4発明の欠陥検査装置は、第1発明から第3発明のいずれかにおいて、前記第2遮蔽部の前記検査光の直線状方向と垂直な方向の長さのうち最も短いものが、前記第1遮蔽部の前記検査光の直線状方向と垂直な方向の長さのうち最も長いものよりも長いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
第1発明によれば、欠陥検査装置が、検査光が明視野として受光装置に到達しないようにするための検査光遮蔽システムを備えており、検査光の直線状方向と垂直な方向について、この検査光遮蔽システムを構成する第1遮蔽部および第2遮蔽部の長さが、検査光の幅よりも短いことにより、被検査対象に到達する検査光が必要以上にさえぎられることがなくなり、被検査対象の欠陥により生じる散乱光の光量が大きくなり、高精度に欠陥を検出することができる。
第2発明によれば、遮蔽部が検査光の直線状方向と垂直でない、2つの平行な辺を有していることにより、検査光の直線状方向と垂直な端面を遮蔽部が有することがなく、このような端面で検査光が反射されることにより、発生する外乱光がセンサ部に到達するのを抑制でき、より高精度に欠陥を検出することができる。
第3発明によれば、被検査対象側遮蔽板と被検査対象との間に、補助遮蔽板が設けられていることにより、検査光の光量が大きくなりすぎるのを抑制でき、映像レベルが予期せずに増加して、欠陥のコントラストが低下するのを防止できる。
第4発明によれば、検査光の直線状方向と垂直な方向において、投光装置に近い第2遮蔽部の長さが、被検査対象に近い第1遮蔽部の長さよりも長いことにより、受光装置を構成するレンズに入る不要光が少なくなり、レンズ内部での乱反射により検査精度が劣化するのが抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための欠陥検査装置10を例示するものであって、本発明は欠陥検査装置10を以下のものに特定しない。なお、各図面が示す部材の大きさまたは位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。
【0012】
(第1実施形態)
図2には、本発明の第1実施形態に係る欠陥検査装置10の概略の正面図を、
図3にはこの欠陥検査装置10の概略の側面図を示す。本実施形態では、投光装置16から受光装置11に向けての方向、すなわち
図2、
図3の紙面における上下方向をZ方向、検査光の直線状方向、すなわち
図2の紙面における左右方向をX方向、検査光の直線状方向と垂直な方向である被検査対象15の進行方向、すなわち
図3の紙面における左右方向をY方向とする。また、各図面において、破線Kで示したのは、投光装置16から受光装置11へ向けた検査光の最外端を示している。本発明に係る欠陥検査装置10は、樹脂フィルムなど表面を平坦面とすることができる被検査対象15の欠陥を光学的手法により検査する装置である。本発明に係る欠陥検査装置10は、透明な樹脂フィルムのように、光が透過可能であり、張力を付加することで表面を平坦面とすることができるものが主な被検査対象15であるが、他にも、表面が平坦面であり、光を反射可能である金属、または厚みのある押し出し成形樹脂品、紙、ガラスなども被検査対象15とすることができる。なお、請求項における「被検査対象を経由して」との表現は、「被検査対象を透過して」、または「被検査対象で反射して」の両方の意味を含む上位概念として使用している。
【0013】
本実施形態に係る欠陥検査装置10は、被検査対象15に向けて検査光を放出する線光源の投光装置16と、この投光装置16からの検査光を、被検査対象15を経由して受光する受光装置11とが備えられている。被検査対象15は、欠陥検査装置10の前後に設けられている、図示していない2つのロールなどにより
図3の紙面上右から左へ順次送られ、連続して被検査対象15の欠陥の有無が検査される。特許請求の範囲に記載の「表面が平坦面である」被検査対象15とは、被検査対象15において検査が行われている部分の表面が、平坦面を形成できているということを意味する。
【0014】
受光装置11は、公知の構成であり、センサ部12とレンズ13と、を含んで構成されている。センサ部12は、直線状に複数の受光素子12aが被検査対象15の進行方向と垂直方向、すなわちX方向(
図3では奥行き方向)に並べられている。このX方向には少なくとも2以上の受光素子12aが並べられる。受光素子12aは、受光した光の強度を電気信号に変換することができる。また、Y方向にも複数の受光素子12aが並べられていても良いものとする。
【0015】
なお、本明細書での「垂直」または「平行」と言う記載は、厳密に垂直または平行である必要はなく、この言葉が用いられている部分で、その部分の機能を十分満たし得る程度に垂直または平行、すなわち、「実質的に垂直」または「実質的に平行」な範囲を含む意味である。
【0016】
投光装置16は、公知の構成であり、光源17を内部に有している。この光源17は、X方向に伸びる直線形状をしたLEDである。投光装置16には、一方向だけが開口したケース18が設けられている。この開口を通過して、光源17から照射される検査光が受光装置11に向かう。本実施形態では、特許請求の範囲に記載されている「投光装置16の直線状方向と垂直な方向の長さ」は、
図3で示すようにケース18の検査光用開口部18aのY方向の長さとなる。また光源17は、照射される光を和らげるため、表面が荒れた状態であったり、内部に添加物が含有したりしている、光散乱性を有した樹脂、ガラス板、または和紙などの紙でケース18の内側で全体が覆われたり、ケース18の検査光用開口部18aが覆われたりしていることが好ましい。
【0017】
本実施形態に係る欠陥検査装置10は、被検査対象15と投光装置16との間に、投光装置16が放出した検査光が、明視野として受光装置11に到達しないようするための検査光遮蔽システム20が設けられている。そして、検査光遮蔽システム20には、被検査対象側遮蔽板21と、投光装置側遮蔽板22と、が設けられている。なお本明細書では、「遮蔽板」との記載は、これら被検査対象側遮蔽板21と投光装置側遮蔽板22とを合わせたものを意味することがある。被検査対象側遮蔽板21は、検査光の直線状方向、すなわちX方向に第1遮蔽部21aが並べられることで、直線状の検査光の一部を断続的に遮蔽できる。同じように投光装置側遮蔽板22も、X方向に第2遮蔽部22aが並べられることで、直線状の検査光の一部を断続的に遮蔽できる。なお、
図2、
図3では、第1遮蔽部21aおよび第2遮蔽部22aの存在をわかりやすくするため、被検査対象側遮蔽板21および投光装置側遮蔽板22は、第1遮蔽部21aおよび第2遮蔽部22a以外の部分は記載していない。また本明細書では、「遮蔽部」との記載は、第1遮蔽部21aと第2遮蔽部22aとを合わせたものを意味することがある。なお本実施形態は、X方向およびY方向のいずれも暗視野としてのみ検査光が受光装置11に到達する形態であるが、特許請求の範囲の「前記検査光が明視野として前記受光装置に到達しないようにするため」との記載は、X方向またはY方向のいずれかの検査光のみが、暗視野として受光装置11に到達するものも含む。
【0018】
ここで、本実施形態に係る欠陥検査装置10の検査光遮蔽システム20の構成と作用について
図8、
図9を用いて説明する。
図8は暗視野型の検査手法の第1説明図であり、暗視野型の検査手法の一つの例を示したものである。
図8は、欠陥検査装置10を正面から見た
図2の検査光遮蔽システム20の部分を拡大した図である。また
図9は暗視野型の検査手法の第2説明図であり、暗視野型の検査手法の作用を示した図である。
図9(A)は、欠陥検査装置10を側方から見た
図3を模式化したものであり、
図9(B)および
図9(C)は、
図9(A)のS−S矢視図である。
図9(B)と
図9(C)とでは、欠陥Dの形状が異なっている。
【0019】
図9(A)により、暗視野型の検査手法を説明する。暗視野型の検査手法では、受光装置11の焦点位置Fは、被検査対象15の表面となる。受光装置11は、この焦点位置Fから発せられた第2光線Wを受光する装置である。投光装置16は、焦点位置Fに向けて第1光線Vを照射する装置である。暗視野型の検査手法では、受光装置11に入射する全ての第2光線Wが、投光装置16から焦点位置Fに向けて照射された第1光線Vの向きと一致せず、第1光線Vが焦点位置Fで散乱して生じた第2光線Wのみが受光装置11で受光される。
【0020】
上記の暗視野型の検査手法を実現するために本実施形態の欠陥検査装置10では、
図8に示すように、第1遮蔽部21aと第2遮蔽部22aとのX方向の位置がずらされている焦点位置Fが存在する被検査対象15に向けて、第1光線Vが、あらかじめ定められた角度をもって被検査対象15に向けて照射される。このあらかじめ定められた角度は、
図8では第1光線Vの一部である第1光線V1と光源17とによる角度δ1が最大値となり、第1光線Vの一部である第1光線V2と光源17とによる角度δ2が最小値となる。これら二つの角度δ1およびδ2の間に存在する第1光線Vの向きと、焦点位置Fから受光装置11に入射する全ての第2光線Wの向きが一致しないように、第1遮蔽部21aのX方向の位置と、第2遮蔽部22aのX方向の位置とがずれている。
【0021】
図1には、本実施形態に係る欠陥検査装置10を構成する検査光遮蔽システム20の説明図を示す。検査光遮蔽システム20は、前記したように
図1の紙面において左側に示した2枚の遮蔽板(図(A)および図(B))を含んで構成されている。左上の図(A)には、被検査対象側遮蔽板21が記載され、左下の図(B)には、投光装置側遮蔽板22が記載されている。そして右側の図(C)には、検査光遮蔽システム20の一部が、被検査対象側遮蔽板21を上側(
図1の紙面において手前側)にし、投光装置側遮蔽板22を下側(
図1の紙面において奥側)にした状態で記載されている。なお、
図1は、特許請求の範囲で記載されている、投光装置16を構成する直線状の光源17と、受光装置11を構成するセンサ部12とにより形成される面と垂直な面の状態を表したものである。具体的には、
図2の紙面において被検査対象側遮蔽板21の上方からその下側を見た際の図となる。
【0022】
遮蔽板は、非透明な板状の部材からレーザ加工または打ち抜き加工等の除去加工を行う、もしくは金型による成形および3Dプリンティングを行うことにより製作される。遮蔽板の材質は、プラスチック、金属などであるが、材質は、加工性および耐久性、遮光性を考慮して選定される。本実施形態に係る被検査対象側遮蔽板21は、
図1の紙面において上下および左右の中央に、左右が長い空間が設けられ、この空間の部分に、長方形の第1遮蔽部21aが断続的に並ぶように配置されている。第1遮蔽部21aは、被検査対象側遮蔽板21の、
図1の紙面において上下に設けられた縁部に支持片23により固定されている。このように第1遮蔽部21aが並ぶように配置されていることにより、被検査対象側遮蔽板21の長手方向に沿った直線状の検査光の一部が断続的に遮蔽される。また支持片23のX方向の幅は、遮蔽板のX方向の幅よりも狭くし、この支持片23がある部分での検査光の遮蔽を抑制する。
なお、遮蔽板の投光装置16に対する固定は、専用の支持体を設けたり、投光装置16に一体化したりする構造が考えられる。
【0023】
被検査対象15側に位置する第1遮蔽部21aは、被検査対象15からの距離が、20mm以上300mm以下であることが好ましく、50mm以上100mm以下であることがさらに好ましい。
【0024】
また、本実施形態に係る投光装置側遮蔽板22は、被検査対象側遮蔽板21と同じく長方形の第2遮蔽部22aが断続的に並ぶように配置されている。第2遮蔽部22aは、投光装置側遮蔽板22の、
図1の紙面において上下に設けられた縁部に支持片23により固定されている。このように第2遮蔽部22aが並ぶように配置されていることにより、投光装置側遮蔽板22の長手方向に沿った直線状の検査光の一部が断続的に遮蔽される。
【0025】
被検査対象側遮蔽板21と投光装置側遮蔽板22との違いは、被検査対象側遮蔽板21の全体に対する第1遮蔽部21aの位置と、投光装置側遮蔽板22の全体に対する第2遮蔽部22aの位置である。この位置が異なることにより、投光装置16からの検査光が明視野として受光装置11に到達しないようになる。
【0026】
図1に示すように、本実施形態の欠陥検査装置10では、第1遮蔽部21aのY方向の長さL11、および第2遮蔽部22aのY方向の長さL12が、投光装置16のY方向の長さL01よりも短いことを特徴としている。ここで第1遮蔽部21aのY方向の長さL11は、第1遮蔽部21aの、検査光の直線状方向(
図1の左右方向)と垂直な方向の長さである。第2遮蔽部22aのY方向の長さL12は、第2遮蔽部22aの、検査光の直線状方向(
図1の左右方向)と垂直な方向の長さである。また、投光装置16のY方向の長さL01は、投光装置16の直線状方向がX方向(
図1の紙面において左右方向)であるので、検査光の直線状方向と垂直な方向の長さである。なお、先に記載したように、本実施形態では、特許請求の範囲に記載されている「投光装置16の直線状方向と垂直な方向の長さ」は、
図3で示すようにケース18の検査光用開口部18aのY方向の長さとなる。具体的に長さL11、L12は、3mm以上15mm以下が好ましい。
【0027】
欠陥検査装置10が、検査光が明視野として受光装置11に到達しないようにするための検査光遮蔽システム20を備えており、Y方向について、この検査光遮蔽システム20を構成する第1遮蔽部21aおよび第2遮蔽部22aの長さが、検査光の幅よりも短いことにより、被検査対象15に到達する検査光が必要以上にさえぎられることがなくなり、被検査対象15の欠陥Dにより生じる散乱光の光量が大きくなり、高精度に欠陥Dを検出することができる。
【0028】
なお、
図1においては、第1遮蔽部21aのX方向の長さと、第2遮蔽部22aのX方向の長さと、を便宜上等しく記載したが、とくに等しい長さにする必要はなく、検査光の直線状方向において、検査光が明視野として受光装置11に到達しないような大きさであれば問題ない。また、
図1では、第1遮蔽部21aは全て同じ大きさで表されているが、全て同じ大きさである必要はない。これは第2遮蔽部21bについても同じであり、第2遮蔽部21bの全てが同じ大きさである必要はない。ただし、少なくとも第1遮蔽部21aの一部が、投光装置16の直線状方向と垂直な方向の長さよりも短いことが必要であり、第2遮蔽部22aの一部が、投光装置16の直線状方向と垂直な方向の長さよりも短いことが必要である。
【0029】
また、遮蔽板は、非透明な板状の部材からレーザ加工等の除去加工を行うことにより製作される旨を記載したが、これに限定されるものではない。たとえば遮蔽板を透明な板状の部材から構成し、第1遮蔽部21a等を非透明なインクでプリントして遮蔽板を構成することも可能である。
【0030】
(第2実施形態)
図4には、本発明の第2実施形態に係る欠陥検査装置10を構成する検査光遮蔽システム20の説明図を示す。本実施形態におけるXYZ座標は第1実施形態の座標と同じである。検査光遮蔽システム20は、
図4の紙面において左側に示した2枚の遮蔽板(図(A)および図(B))を含んで構成されている。左上の図(A)には、被検査対象側遮蔽板21が記載され、左下の図(B)には、投光装置側遮蔽板22が記載されている。そして右側の図(C)には、検査光遮蔽システム20の一部が、被検査対象側遮蔽板21を上側(
図4の紙面において手前側)にし、投光装置側遮蔽板22を下側(
図4の紙面において奥側)にした状態で記載されている。なお、
図4は、特許請求の範囲で記載されている、投光装置16を構成する直線状の光源17と、受光装置11を構成するセンサ部12とにより形成される面と垂直な面の状態を表したものである。具体的には、
図2の紙面において被検査対象側遮蔽板21の上方からその下側を見た際の図となる。
【0031】
第2実施形態に係る欠陥検査装置10と、第1実施形態に係る欠陥検査装置10との違いは、検査光遮蔽システム20を構成する遮蔽板の形状である。
【0032】
本実施形態に係る被検査対象側遮蔽板21は、
図4の紙面において上下および左右の中央に、左右が長い空間が設けられ、この空間の部分に、平行四辺形の第1遮蔽部21aが断続的に並ぶように配置されている。第1遮蔽部21aの形状は、全てが平行四辺形である。第1遮蔽部21aは、被検査対象側遮蔽板21の、
図1の紙面において上下に設けられた縁部に支持片23により固定されている。このように第1遮蔽部21aが並ぶように配置されていることにより、被検査対象側遮蔽板21の長手方向に沿った直線状の検査光の一部が断続的に遮蔽される。
【0033】
第1遮蔽部21aは平行四辺形であるので、2組の平行な2つの辺から形成されている。1組目の平行な2つの辺は、検査光の直線状方向、すなわちX方向(
図4の左右方向)に伸びる辺である。2組目の平行な2つの辺は、検査光の直線状方向と垂直でない辺である。これはX方向とあらかじめ定められた角度θを有している。この角度θは、25度以上65度以下であることが望ましい。
【0034】
また、本実施形態に係る投光装置側遮蔽板22は、被検査対象側遮蔽板21と同じく
図4の紙面において上下および左右の中央に、左右が長い空間が設けられ、この空間の部分に、平行四辺形の第2遮蔽部22aが断続的に並ぶように配置されている。第2遮蔽部22aの形状は、全てが平行四辺形である。第2遮蔽部22aは、投光装置側遮蔽板22の、
図4の紙面において上下に設けられた縁部に支持片23により固定されている。このように第2遮蔽部22aが並ぶように配置されていることにより、投光装置側遮蔽板22の長手方向に沿った直線状の検査光の一部が断続的に遮蔽される。また支持片23のX方向の幅は、遮蔽板のX方向の幅よりも狭くし、この支持片23がある部分での検査光の遮蔽を抑制する。
【0035】
第2遮蔽部22aは、第1遮蔽部21aと同じく平行四辺形であるので、2組の平行な2つの辺から形成されている。1組目の平行な2つの辺は、検査光の直線状方向、すなわちX方向(
図4の左右方向)に伸びる辺である。2組目の平行な2つの辺は、検査光の直線状方向と垂直でない辺である。これは、第1遮蔽部21aと同じくX方向とあらかじめ定められた角度θを有している。すなわち、第1遮蔽部21aの2組目の平行な2つの辺に該当する、検査光の直線状方向と垂直でない辺と、第2遮蔽部22bの2組目の平行な2つの辺に該当する、検査光の直線状方向と垂直でない辺とは、互いに平行である。第2遮蔽部22aの角度θも、25度以上65度以下であることが望ましい。
【0036】
被検査対象側遮蔽板21と投光装置側遮蔽板22との違いは、被検査対象側遮蔽板21の全体に対する第1遮蔽部21aの位置と、投光装置側遮蔽板22の全体に対する第2遮蔽部22aの位置である。この位置が異なることにより、投光装置16からの検査光が明視野として受光装置11に到達しないようになる。
【0037】
第1実施形態のように、第1遮蔽部21aと第2遮蔽部22aとが長方形である場合、すなわち、遮蔽板がX方向と垂直な端部を有する場合、このX方向と垂直な端部で発生した外乱光は、受光装置11のセンサ部12に入射する場合が比較的多くなる。受光装置11のセンサ部12はX軸方向には短くなるよう配置されているが、このX方向と垂直な端部で発生した外乱光は、左右(例えば
図3の紙面における左右)に振れることなく、Z方向(例えば
図3の紙面において上方向)に進行しセンサ部12に到達するためである。
【0038】
これに対し、本実施形態では、遮蔽部がX方向と垂直でない、2つの平行な辺を有している。この辺を構成する端部で発生した外乱光は、Z方向(例えば
図3の紙面において上方向)に進行する際に、左右(例えば
図3の紙面における左右)いずれかに振れるためセンサ部12に到達することを抑制できる。
【0039】
なお、
図4においては、第1遮蔽部21aのX方向の長さと、第2遮蔽部22aのX方向の長さと、を便宜上等しく記載したが、とくに等しい長さにする必要はなく、検査光の直線状方向において、検査光が明視野として受光装置11に到達しないような大きさであれば問題ない。
【0040】
(第3実施形態)
図5には、本発明の第3実施形態に係る欠陥検査装置10の側面図を示す。本実施形態におけるXYZ座標は第1実施形態の座標と同じである。また、太い2点鎖線G1は、投光装置16の検査光用開口部18aのY方向端部と、被検査対象15上におけるレンズ13の焦点位置とを結んだ直線であり、太い破線G2は、第1遮蔽部21aのY方向端部と、被検査対象15上におけるレンズ13の焦点とを結んだ直線である。第3実施形態に係る欠陥検査装置10と、第1実施形態に係る欠陥検査装置10との違いは、被検査対象側遮蔽板21と被検査対象15との間に、補助遮蔽板24が設けられている点である。なお、理解を容易にするために、
図5では第1遮蔽部21aの上下の位置の記載を変更している。
【0041】
この補助遮蔽板24は、X方向に長い開口部24aを有するようにY方向に2つ並べられている。そしてこの開口部24aのY方向の長さは、被検査対象15上におけるレンズ13の焦点位置に照射される検査光を遮断しないような長さであり、具体的には、補助遮蔽板24が存在するZ座標の位置において、太い2点鎖線G1の間隔よりも長くすることが好ましい。さらには、破線Kの間隔よりも短く、太い2点鎖線G1の間隔よりも長くすることがより好ましい。
【0042】
被検査対象側遮蔽板21と被検査対象15との間に、補助遮蔽板24が設けられていることにより、検査光の光量が大きくなりすぎるのを抑制でき、映像レベルが予期せずに増加して、欠陥Dのコントラストが低下するのを防止できる。
【0043】
(第4実施形態)
図6には、本発明の第4実施形態に係る欠陥検査装置10の側面図を示す。本実施形態では、検査光の直線状方向、すなわち
図6の紙面における奥行き方向をX方向、検査光の直線状方向と垂直な方向である被検査対象15の進行方向、すなわち
図6の紙面における左右方向をY方向、被検査対象15の平坦面に垂直な方向、すなわち
図6の紙面における上下方向をZ方向とする。第4実施形態に係る欠陥検査装置10と、第1実施形態に係る欠陥検査装置10との違いは、受光装置11で受光される検査光が、被検査対象15の表面で反射している点である。このため、本実施形態に係る欠陥検査装置10においては、被検査対象15の一方の側に投光装置16と受光装置11とが配置されることになる。このような構成により、被検査対象15が、検査光を透過しないものであっても欠陥Dの検査が可能となる。
【0044】
(第5実施形態)
図7には、本発明の第5実施形態に係る欠陥検査装置10を構成する検査光遮蔽システム20の説明図を示す。本実施形態におけるXYZ座標は第1実施形態の座標と同じである。検査光遮蔽システム20は、
図7の紙面において左側に示した2枚の遮蔽板(図(A)および図(B))を含んで構成されている。左上の図(A)には、被検査対象側遮蔽板21が記載され、左下の図(B)には、投光装置側遮蔽板22が記載されている。そして、右側の図(C)には、検査光遮蔽システム20の一部が、被検査対象側遮蔽板21を上側(
図7の紙面において手前側)にし、投光装置側遮蔽板22を下側(
図7の紙面において奥側)にした状態で記載されている。なお、
図7は、特許請求の範囲で記載されている、投光装置16を構成する直線状の光源17と、受光装置11を構成するセンサ部12とにより形成される面と垂直な面の状態を表したものである。具体的には、
図2の紙面において被検査対象側遮蔽板21の上方からその下側を見た際の図となる。
【0045】
第5実施施形態に係る欠陥検査装置10と、第1実施形態に係る欠陥検査装置10との違いは、検査光遮蔽システム20を構成する遮蔽板の形状である。本実施形態では、第1遮蔽部21aの全ては同じ形状である。また第2遮蔽部22aの全ては同じ形状である。そして第2遮蔽部22aのY方向の長さ、すなわち検査光の直線状方向と垂直な方向の長さが、第1遮蔽部21aのY方向の長さ、すなわち検査光の直線状方向と垂直な方向の長さよりも長くなっている。なお、第1遮蔽部21aのY方向の長さの種類がいくつかあり、第2遮蔽部22aのY方向の長さの種類がいくつかある場合は、第2遮蔽部22aのY方向の長さのうち最も短いものが、第1遮蔽部21aの長さのうち最も長いものよりも長くなる。
【0046】
検査光の直線状方向と垂直な方向において、投光装置16に近い第2遮蔽部22aの長さが、被検査対象15に近い第1遮蔽部21aの長さよりも長いことにより、受光装置11を構成するレンズ13に入る不要光が少なくなり、レンズ13内部での乱反射による検査精度が劣化するのが抑制できる。
【解決手段】欠陥検査装置10には、投光装置16と、受光装置11と、が備えられ、被検査対象15と投光装置11との間には、検査光が明視野として受光装置11に到達しないようにするための検査光遮蔽システム20が設けられている。検査光遮蔽システム20には、第1遮蔽部21aが並べられている被検査対象側遮蔽板21と、第2遮蔽部22aが並べられている投光装置側遮蔽板22と、が設けられ、所定の方向で第1遮蔽部21aの一部、または第2遮蔽部22aの一部の長さが、投光装置16の長さよりも短い。この構成により、被検査対象15に到達する検査光が必要以上にさえぎられることがなくなり、被検査対象15の欠陥により生じる散乱光の光量が大きくなり、高精度に欠陥を検出することができる。