特許第6389987号(P6389987)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6389987セルロースナノファイバー水性分散体及び分散剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6389987
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】セルロースナノファイバー水性分散体及び分散剤
(51)【国際特許分類】
   C08L 1/00 20060101AFI20180910BHJP
   C08L 23/02 20060101ALI20180910BHJP
   C08J 3/05 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   C08L1/00
   C08L23/02
   C08J3/05CEP
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-76398(P2014-76398)
(22)【出願日】2014年4月2日
(65)【公開番号】特開2015-196790(P2015-196790A)
(43)【公開日】2015年11月9日
【審査請求日】2016年11月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106438
【氏名又は名称】サンノプコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112438
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 健一
(72)【発明者】
【氏名】松村 陽平
(72)【発明者】
【氏名】宮田 努
【審査官】 安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−040535(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/137449(WO,A1)
【文献】 特表平09−509694(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/124652(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00
C08L 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィン(a)及び不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩(b)を必須構成単量体として含む共重合体(x)からなる微粒子と、
セルロースナノファイバーと、
水性媒体と
を含み、
オレフィン(a)単位及び不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩(b)単位の全モル数に基づいて、オレフィン(a)単位の含有量が50〜96モル%、不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩(b)単位の含有量が50〜4モル%であり、
共重合体(x)からなる微粒子の体積基準のメジアン径が、10〜3000nmであり、
共重合体(x)の含有量がセルロースナノファイバーの重量に基づいて、0.1〜0.9重量%であることを特徴とするセルロースナノファイバー水性分散体。
【請求項2】
共重合体(x)の構成単量体として、共重合性モノマー(c)を含み、共重合性モノマー(c)単位の含有量がオレフィン(a)単位及び不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩(b)単位の全モル数に基づいて、0.1〜20モル%である請求項に記載のセルロースナノファイバー水性分散体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載したセルロースナノファイバー水性分散体を調製するための分散剤であって、
オレフィン(a)及び不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩(b)を必須構成単量体として含む共重合体(x)からなる微粒子と、
水性媒体とを含有してなり、
オレフィン(a)単位及び不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩(b)単位の全モル数に基づいて、オレフィン(a)単位の含有量が50〜96モル%、不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩(b)単位の含有量が50〜4モル%であり、
共重合体(x)からなる微粒子の体積基準のメジアン径が、10〜3000nmであることを特徴とするセルロースナノファイバー水性分散体用分散剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセルロースナノファイバー水性分散体及びセルロースナノファイバー水性分散体用分散剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、セルロース繊維、特に木材由来のセルロース繊維(パルプ)を種々の方法で微細化したセルロースナノファイバーが、その優れた特性とリサイクル性から注目を集めている。セルロースナノファイバーは水性分散体として製造されるが、製造効率(微細化処理効率、歩留まり、ろ水性)が不十分であり、かつ取扱い性が悪いため、種々の用途へ応用する際の大きな障害となっている。
【0003】
この問題を解決するため、セルロースナノファイバーの分散体であって、該分散体中に陰イオン性分散剤を含むセルロースナノファイバーの分散体が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−51991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
陰イオン性分散剤を含むセルロースナノファイバー水性分散体であっても、製造効率(微細化処理効率、歩留まり、ろ水性)や取扱い性が悪いため、種々の用途への応用が難しいという問題がある。
本発明の目的は、製造効率(微細化処理効率、歩留まり、ろ水性)や取扱い性に優れたセルロースナノファイバー水性分散体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のセルロースナノファイバー水性分散体の特徴は、オレフィン(a)及び不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩(b)を必須構成単量体として含む共重合体(x)からなる微粒子と、
セルロースナノファイバーと、
水性媒体と
を含み、
オレフィン(a)単位及び不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩(b)単位の全モル数に基づいて、オレフィン(a)単位の含有量が50〜96モル%、不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩(b)単位の含有量が50〜4モル%であり、
共重合体(x)からなる微粒子の体積基準のメジアン径が、10〜3000nmであり、
共重合体(x)の含有量がセルロースナノファイバーの重量に基づいて、0.1〜0.9重量%である点を要旨とする。
【0007】
本発明のセルロースナノファイバー水性分散体用分散剤の特徴は、上記のセルロースナノファイバー水性分散体を調製するための分散剤であって、
オレフィン(a)及び不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩(b)を必須構成単量体として含む共重合体(x)からなる微粒子と、
水性媒体とを含有してなり、
オレフィン(a)単位及び不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩(b)単位の全モル数に基づいて、オレフィン(a)単位の含有量が50〜96モル%、不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩(b)単位の含有量が50〜4モル%であり、
共重合体(x)からなる微粒子の体積基準のメジアン径が、10〜3000nmである点を要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のセルロースナノファイバー水性分散体は、粘度が低いため、製造効率(微細化処理効率、歩留まり、ろ水性)や取扱い性に優れている。
【0009】
本発明のセルロースナノファイバー水性分散体用分散剤は、セルロースナノファイバー水性分散体の粘度を低くできるため、セルロースナノファイバー水性分散体の製造効率(微細化処理効率、歩留まり、ろ水性)や取扱い性に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
セルロースナノファイバーとは、平均繊維径が1〜100nm程度(好ましくは1.5〜50nm、さらに好ましくは2〜40nm、特に好ましくは3〜20nm)のセルロース微細繊維を意味する。
【0011】
セルロースナノファイバー水性分散体とは、水を必須成分とする水性媒体にセルロースナノファイバーを分散させたものを意味する。
【0012】
水性媒体としては、水以外に、低級アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロパノール等)、グリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール及びジエチレングリコール等)、グリセリン、アセトン等を含有できる。これらは1種又は2種以上を混合して用いることができ、水及び水とその他の媒体との混合液が好ましい。
【0013】
水性媒体が、水とその他の媒体との混合液である場合、その他の媒体の含有量(重量%)は、水とその他の媒体の重量に基づいて、0.1〜20が好ましく、さらに好ましくは0.15〜18、特に好ましくは0.2〜15である。また、この場合、水の含有量(重量%)は、水とその他の媒体の重量に基づいて、80〜99.9が好ましく、さらに好ましくは82〜99.85、特に好ましくは85〜99.8である。
【0014】
オレフィン(a)としては、炭素数2〜12の重合性不飽和炭化水素が含まれ、重合性脂肪族不飽和炭化水素及び重合性芳香族不飽和炭化水素等が使用できる。
【0015】
重合性脂肪族不飽和炭化水素としては、モノエン(エチレン、プロペン、シクロプロペン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、α−ピネン、β−ピネン等)及びジエン(ブタジエン、イソプレン、アレン等)等が挙げられる。
【0016】
重合性芳香族不飽和炭化水素としては、ノルボルネン、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、シアノスチレン、アミノスチレン及びヒドロキシスチレン等が挙げられる。
【0017】
これらのオレフィンのうち、エチレン、プロペン及びスチレンが好ましい。また、これらは単独又は任意に組み合わせて用いてもよい。
【0018】
不飽和カルボン酸(塩)(b)としては、炭素数3〜22の不飽和カルボン酸(塩)が含まれ、不飽和モノカルボン酸(塩)及び不飽和ジカルボン酸(塩)等が使用できる。
【0019】
不飽和モノカルボン酸(塩)としては、アクリル酸、クロトン酸、メタクリル酸、2−オクテン酸、マレイン酸(又は無水マレイン酸)とアルコールとのモノエステル及びこれらの塩等が挙げられる。
【0020】
なお、エステルを形成するアルコールとしては、炭素数1〜18のモノオールが含まれ、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、ドデカノール、オクタデカノール、エチルセロソルブ及びブチルセロソルブ等が挙げられる。
【0021】
塩としては、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム等)塩、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)塩、アンモニウム塩及び炭素数1〜18のアミン塩(トリエタノールアミン、トリメチルアミン、プロピルアミン等)等が含まれる。これらは単独又は任意に組み合わせて用いてもよい。
【0022】
不飽和ジカルボン酸(塩)としては、マレイン酸、メチルマレイン酸、ジメチルマレイン酸、フェニルマレイン酸、フルオロマレイン酸及びこれらの塩等が挙げられる。
【0023】
オレフィン(a)単位の含有量(モル%)は、オレフィン(a)及び不飽和カルボン酸(塩)(b)の全モル数に基づいて、50〜99が好ましく、さらに好ましくは52〜98、特に好ましくは54〜97、最も好ましくは60〜96である。この範囲であると、セルロースナノファイバー水性分散体の製造効率及び取り扱い性(以下、製造効率及び取り扱い性と略する。)がさらに良好となる。
【0024】
不飽和カルボン酸(塩)(b)単位の含有量(モル%)は、オレフィン(a)及び不飽和カルボン酸(塩)(b)の全モル数に基づいて、1〜50が好ましく、さらに好ましくは2〜48、特に好ましくは3〜46、最も好ましくは4〜40である。この範囲であると、製造効率及び取り扱い性がさらに良好となる。
【0025】
共重合体(x)は、オレフィン(a)及び不飽和カルボン酸(塩)(b)に加えて、共重合性モノマー(c)を構成単量体として含んでよい。
【0026】
共重合性モノマー(c)としては、ビニルエステル{酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニル等};(メタ)アクリレート{アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソオクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル及び(メタ)アクリル酸ベンジル等};マレイン酸ジアルキル{マレイン酸ジメチル及びマレイン酸ジエチルエステル等};ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート{ポリオキシエチレングリコール(エチレンオキシド付加モル数2〜100)(メタ)アクリル酸モノエステル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン(アルキレンオキシド付加モル数2〜100)グリコール(メタ)アクリル酸モノエステル及びポリオキシプロピレン(プロピレンオキシド付加モル数2〜100)(メタ)アクリル酸モノエステル等};アルコキシポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート{メトキシポリオキシアルキレン(アルキレンオキシド付加モル数2〜100)(メタ)アクリル酸エステル、エトキシポリオキシアルキレン(アルキレンオキシド付加モル数2〜100)(メタ)アクリル酸エステル、プロポキシポリオキシアルキレングリコール(アルキレンオキシド付加モル数2〜100)(メタ)アクリル酸エステル及びブトキシポリオキシアルキレン(アルキレンオキシド付加モル数2〜100)(メタ)アクリル酸エステル等};ポリオキシアルキレンモノビニルエーテル{ポリオキシエチレン(エチレンオキシド付加モル数2〜100)モノビニルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン(アルキレンオキシド付加モル数2〜100)モノビニルエーテル及びポリオキシプロピレン(プロピレンオキシド付加モル数2〜100)モノビニルエーテル等};アルコキシポリアルキレンモノビニルエーテル{エトキシポリオキシアルキレン(アルキレンオキシド付加モル数2〜100)モノビニルエーテル、プロポキシポリオキシアルキレン(アルキレンオキシド付加モル数2〜100)モノビニルエーテル及びブトキシポリオキシアルキレン(アルキレンオキシド付加モル数2〜100)モノビニルエーテル等};ポリオキシアルキレンアリルエーテル{ポリオキシエチレン(エチレンオキシド付加モル数2〜100)アリルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン(アルキレンオキシド付加モル数2〜100)アリルエーテル及びポリオキシプロピレン(プロピレンオキシド付加モル数2〜100)アリルエーテル等};アルコキシポリオキシアルキレンアリルエーテル{メトキシポリオキシアルキレン(アルキレンオキシド付加モル数2〜100)アリルエーテル、エトキシポリオキシアルキレン(アルキレンオキシド付加モル数2〜100)アリルエーテル、プロポキシポリオキシアルキレン(アルキレンオキシド付加モル数2〜100)アリルエーテル及びブトキシポリオキシアルキレン(アルキレンオキシド付加モル数2〜100)アリルエーテル等};ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート{(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル及び(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等};不飽和アミド{アクリルアミド、N’,N’−ジメチルアクリルアミド、N−アルカノールアクリルアミド、メタクリルアミド及びN−アルカノールメタクリルアミド等};ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート{(メタ)アクリル酸ジメチルアミノメチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノメチル及び(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル等};ヘテロ原子含有単量体{塩化ビニル、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びビニルピリジン等}が挙げられる。
【0027】
これらの共重合性モノマー(c)のうち、(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アルコキシポリオキシアルキレン(メタ)アクリレートが好ましい。これらは単独又は任意に組み合わせて用いてもよい。
【0028】
共重合性モノマー(c)を含む場合、共重合性モノマー(c)単位の含有量(モル%)は、オレフィン(a)単位及び不飽和カルボン酸(塩)(b)単位の全モル数に基づいて、0.1〜20が好ましく、さらに好ましくは0.2〜18、特に好ましくは0.3〜16、最も好ましくは0.4〜15である。この範囲であると、製造効率及び取り扱い性がさらに良好となる。
【0029】
共重合体(x)の融点(℃)は、70〜130が好ましく、さらに好ましくは72〜128、特に好ましくは74〜126、最も好ましくは75〜125である。この範囲であると、製造効率及び取り扱い性がさらに良好となる。
【0030】
共重合体(x)からなる微粒子の体積基準のメジアン径(d50)(nm)は、10〜5000が好ましく、さらに好ましくは12〜4500、特に好ましくは15〜4000、最も好ましくは20〜3000である。この範囲であると、製造効率及び取り扱い性がさらに良好となる。
【0031】
体積基準のメジアン径(d50)は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置を使用して測定される{たとえば、Partica LA−950V2(フローセル式、分散質の屈折率=1.50、分散媒の屈折率=1.33、反復回数15)、堀場製作所株式会社を使用して次のように測定される。}。
【0032】
<測定法>
イオン交換水をフローセルに入れて循環(循環強度5)しながら、ブランク測定を行う。測定試料{共重合体(x)からなる微粒子}のイオン交換水分散液をフローセルに少しずつ加えて、適切な透過光強度(青色LEDの透過光強度が80〜90%又は赤色LEDの透過光強度が70〜90%)に調整して測定を行う。
なお、測定値はブランク測定の値が差し引かれて算出される。
【0033】
セルロースナノファイバー水性分散体用分散剤において、共重合体(x)からなる微粒子の含有量(重量%)は、この微粒子及び水性媒体の重量に基づいて、5〜70が好ましく、さらに好ましくは10〜65、特に好ましくは15〜60、最も好ましくは20〜50である。この範囲であると、製造効率及び取り扱い性がさらに良好となる。
【0034】
セルロースナノファイバー水性分散体用分散剤において、水性媒体の含有量(重量%)は、共重合体(x)からなる微粒子及び水性媒体の重量に基づいて、30〜95が好ましく、さらに好ましくは35〜90、特に好ましくは40〜85、最も好ましくは50〜80である。この範囲であると、製造効率及び取り扱い性がさらに良好となる。
【0035】
共重合体(x)は、方法(1)又は方法(2)によって得られる。
方法(1);オレフィン(a)及び不飽和カルボン酸(塩)(b)、並びに必要により共重合性モノマー(c)を公知の重合法{たとえば、高圧ラジカル重合法、ラジカル重合法等(米国特許第3239370号、米国特許第3520861号、カナダ特許第655298号、米国特許3658741号、米国特許第3884857号、米国特許第3988509号、米国特許第4248990号及び米国特許第4252924号等)}で共重合する方法。
【0036】
方法(2);ポリオレフィンを公知の方法{たとえば、不飽和カルボン酸をグラフトさせる方法(特許3455767号等)、ポリオレフィンの表面を酸素またはオゾン含有気体によって酸化させる方法(特開平3−167203号、特開平10−279624号等)等}によって酸化又は酸変性する方法。
【0037】
本発明の分散剤は、公知の界面活性剤、増粘剤、防腐剤及び/又は凍結防止剤を含んでもよい。
【0038】
界面活性剤としては、アニオン型界面活性剤、非イオン型界面活性剤及びこれらの混合が含まれる。
【0039】
非イオン型界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルのエチレンオキシド付加物、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、植物油のエチレンオキシド付加物、ポリオキシエチレンの脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルのエチレンオキシド付加物及び変性シリコーン等が含まれる。
【0040】
アニオン性界面活性剤としては、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルビフェニルエーテルジスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホン酸エステル塩及びポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩が含まれる。
【0041】
増粘剤としてはキサンタンガム、ローカストビーンガム、グァーガム、カラギーナン、アルギン酸及びこの塩、トラガントガム、マグネシウムアルミニウムシリケート、ベントナイト、合成含水珪酸、並びにカルボキシル基を含む合成高分子型増粘剤(商品名として、たとえば、SNシックナー636、SNシックナー641等;サンノプコ株式会社)、ポリオキシエチレン鎖を含む会合型増粘剤(商品名として、たとえば、SNシックナー625N、SNシックナー665T等)等が挙げられる。
【0042】
凍結防止剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリン等が挙げられる。
【0043】
防腐剤としては、防菌・防黴剤辞典、日本防菌防黴学会昭和61年第1版発行、1−32頁に記載されたものが含まれ、ホルマリン及び5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン等が挙げられる。
【0044】
共重合体(x)からなる微粒子は、共重合体(x)を水性媒体中で共重合体(x)の融点以上の温度で乳化分散を行ない、冷却することにより得られる。
【0045】
乳化分散は、共重合体(x)を水性媒体中に乳化分散できれば使用する装置等に制限はないが、乳化分散機(ディスパーミル、ホモジナイザー又はゴーリンホモジナイザー、超音波乳化機)を用いて乳化分散を行ってもよい。
【0046】
本発明のセルロースナノファイバー水性分散体は、オレフィン(a)及び不飽和カルボン酸(塩)(b)を必須構成単量体として含む共重合体(x)からなる微粒子と、セルロースナノファイバーと、水性媒体とを含んでいれば制限なく、上記のセルロースナノファイバー水性分散体用分散剤と、セルロースナノファイバーとからなるものも含まれる。
【0047】
セルロースナノファイバーは、平均繊維径が1〜100nm程度のセルロース微細繊維であれば制限なく使用でき、公知の製造法{たとえば特開2014−9414、特開2008−150719、特開2008−308802、特開2011−56456}によって得られたセルロースナノファイバーが使用できる。
【0048】
セルロースナノファイバー水性分散体において、共重合体(x)からなる微粒子の含有量(重量%)は、セルロースナノファイバーの重量に基づいて、0.1〜3が好ましく、さらに好ましくは0.12〜2.5、特に好ましくは0.15〜2、最も好ましくは0.2〜1である。この範囲であると、製造効率及び取り扱い性がさらに良好となる。
【0049】
セルロースナノファイバー水性分散体において、水性媒体の含有量(重量%)は、セルロースナノファイバーの重量に基づいて、1〜100が好ましく、さらに好ましくは1.5〜90、特に好ましくは2〜75、最も好ましくは2.5〜50である。この範囲であると、製造効率及び取り扱い性がさらに良好となる。
【0050】
本発明のセルロースナノファイバー水性分散体は、(1)セルロースナノファイバー(またはこの水性分散体)と、共重合体(x)からなる微粒子と、水性媒体とを均一混合すること、(2)セルロースナノファイバー(またはこの水性分散体)と、上記のセルロースナノファイバー水性分散体用分散剤とを均一混合すること、または(3)公知のセルロースナノファイバーの製造法の解繊工程で、解繊前のセルロースファイバー水性分散体と共重合体(x)からなる微粒子とを混合してから解繊することにより得られる。
【実施例】
【0051】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、特記しない限り、部は重量部を、%は重量%を意味する。
【0052】
粘度(25℃、Pa・s)は、ANTONPAAR社製粘弾性測定装置MCR301にて、コーンプレート(CP25−2;プレート径25mm、コーン角度2°)を用い、ずり速度を0.01/sから1000/sまで120秒かけて上昇させた際の粘度を測定して、ずり速度10/sでの粘度を読み取った。
【0053】
体積基準のメジアン径(d50)(nm)は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置Partica LA−950V2(フローセル式、分散質の屈折率=1.50、分散媒の屈折率=1.33、反復回数15、株式会社堀場製作所)を使用して、分散媒に水を用い、水をフローセルに入れて循環強度5で循環しながらブランク測定を行い、引き続き、このフローセルに測定試料{共重合体(x)からなる微粒子}の水分散液を適量加えて測定を行い、この測定値からブランク測定の値を差し引いて算出した。
ただし、フローセルに入れる測定試料の量は、青色LED光の透過率が88〜92%になるように調整し、測定試料の量が多いほど透過率が低くなるので、この範囲から外れている場合、測定試料又は分散媒(水)の量により、範囲内に入るように調整した。
【0054】
<実施例1>
共重合体(x1){エチレン/アクリル酸=90/10(モル%)、融点80℃}23.6部、50%水酸化ナトリウム水溶液5部及び水性媒体(1){水道水}76.4部をオートクレーブに仕込み、プロペラ型撹拌機を使用して撹拌混合した(温度:150℃、時間:3時間)。これを、さらに高圧ホモジナイザー(圧力:400kg/cm)で処理した後、25℃に冷却して、本発明の分散剤<共重合体(x2){エチレン/アクリル酸=90/10(モル%)の部分ナトリウム中和物、中和率81モル%}からなる微粒子25部と水性媒体(1)75部との分散体>(y1)を得た。共重合体(x2)の体積基準のメジアン粒子径は60nmであった。
【0055】
<実施例2>
共重合体(x3){エチレン/アクリル酸カリウム = 96/4(モル%)、融点85℃}40部及び水性媒体(1)60部をオートクレーブに仕込み、プロペラ型撹拌機を使用して撹拌混合した(温度:140℃、時間:3時間)。これを、さらに高圧ホモジナイザー(圧力:50kg/cm)で処理した後、25℃に冷却して、本発明の分散剤<共重合体(x3)からなる微粒子40部と水性媒体60部の分散体>(y2)を得た。共重合体(x3)の体積基準のメジアン粒子径は3000nmであった。
【0056】
<実施例3>
共重合体(x4){エチレン/メタクリル酸=60/40(モル%)、融点82℃}17.2部、50%水酸化カリウム水溶液8部及び水性媒体(1)74.8部をオートクレーブに仕込み、プロペラ型撹拌機を使用して撹拌混合した(温度:150℃、時間:3時間)。これを、さらに高圧ホモジナイザー(圧力:500kg/cm)で処理した後、25℃に冷却して、本発明の分散剤<共重合体(x5){エチレン/メタクリル酸=60/40(モル%)の部分中和物、中和率53モル%}からなる微粒子20部と水性媒体(1)80部の分散体>(y3)を得た。共重合体(x5)の体積基準のメジアン粒子径は20nmであった。
【0057】
<実施例4>
共重合体(x6){スチレン/メタクリル酸カリウム=80/20(モル%)、融点125℃}25部及び水性媒体(1)75部をオートクレーブに仕込み、プロペラ型撹拌機を使用して撹拌混合した(温度:150℃、時間:3時間)。これを、さらに高圧ホモジナイザー(圧力:500kg/cm)で処理した後、25℃に冷却して、本発明の分散剤<共重合体(x6)からなる微粒子25部と水性媒体(1)75部の分散体>(y4)を得た。共重合体(x6)の体積基準のメジアン粒子径は15nmであった。
【0058】
<実施例5>
共重合体(x7){エチレン/メタクリル酸/メタクリル酸エチル=75/10/15(モル%)、融点75℃}47.9部、50%水酸化カリウム水溶液6部及び水性媒体(1)46.1部をオートクレーブに仕込み、プロペラ型撹拌機を使用して撹拌混合した(温度:140℃、時間:3時間)。これを、さらに高圧ホモジナイザー(圧力:300kg/cm)で処理した後、25℃に冷却して、本発明の分散剤<共重合体(x8){エチレン/メタクリル酸/メタクリル酸エチル=75/10/15(モル%)の部分カリウム中和物、中和率52モル%}からなる微粒子50部と水性媒体(1)50部の分散体>(y5)を得た。共重合体(x8)の体積基準のメジアン粒子径は600nmであった。
【0059】
<実施例6>
共重合体(x9){エチレン/1−ヘキセン/1−デセン/メタクリル酸=88/1/1/10(モル%)、融点79℃}37.9部、エチレングリコール3部、50%水酸化カリウム水溶液6部及び水性媒体(1)53.1部をオートクレーブに仕込み、プロペラ型撹拌機を使用して撹拌混合した(温度:140℃、時間:3時間)。これを、さらに高圧ホモジナイザー(圧力:400kg/cm)で処理した後、25℃に冷却して、本発明の分散剤<共重合体(x10){エチレン/1−ヘキセン/1−デセン/メタクリル酸=88/1/1/10(モル%)の部分カリウム中和物、中和率50モル%}からなる微粒子40部と水性媒体(1)60部の分散体>(y6)を得た。共重合体(x10)の体積基準のメジアン粒子径は100nmであった。
【0060】
<実施例7>
共重合体(x11){プロペン/無水マレイン酸=98/2(モル%)、融点108℃}29.8部、50%水酸化ナトリウム水溶液2部及び水性媒体(1)68.9部をオートクレーブに仕込み、プロペラ型撹拌機を使用して撹拌混合した(温度:140℃、時間:3時間)。これを、さらに高圧ホモジナイザー(圧力:400kg/cm)で処理した後、25℃に冷却して、本発明の分散剤<共重合体(x12){プロペン/マレイン酸二ナトリウム=98/2(モル%)、中和率100%}からなる微粒子30部と水性媒体(1)70部の分散体>(y7)を得た。共重合体(x12)の体積基準のメジアン粒子径は340nmであった。
【0061】
<実施例8>
共重合体(x13){エチレン/メタクリル酸/ポリエチレングリコールモノアクリレート(ポリエチレングリコールの平均重合度8)=90/9.6/0.4(モル%)、融点83℃}29.3部、50%水酸化カリウム水溶液2部及び水性媒体(1)68.7部をオートクレーブに仕込み、プロペラ型撹拌機を使用して撹拌混合した(温度:140℃、時間:3時間)。これを、さらに高圧ホモジナイザー(圧力:400kg/cm)で処理した後、25℃に冷却して、本発明の分散剤<共重合体(x14){エチレン/メタクリル酸カリウム/ポリエチレングリコールモノアクリレート(ポリエチレングリコールの平均重合度8)=90/9.6/0.4(モル%)}からなる微粒子30部と水性媒体70部の分散体>(y8)を得た。共重合体(x14)の体積基準のメジアン粒子径は80nmであった。
【0062】
<実施例9〜16、比較例1〜4>
セルロースナノファイバーの2%水分散液(BiNFi−s、株式会社スギノマシン)に表1に記載した分散剤又はポリアクリル酸ナトリウム、トリリン酸、ポリエチレンを添加して均一に混合した後、粘度(25℃、Pa・s)を測定した。
また、セルロースナノファイバーの2%水分散液の粘度を測定した(ブランク)。
なお、表中、添加量はセルロースナノファイバーの乾燥重量に対する濃度である(以下同様である。)。
【0063】
【表1】
【0064】
ポリアクリル酸ナトリウム:重量平均分子量13,000。
ポリエチレンの微粒子:体積基準のメジアン粒子径1000nm。
ポリエチレンの微粒子:体積基準のメジアン粒子径3000nm。
【0065】
本発明のセルロースナノファイバー水性分散体は、ブランクや比較用セルロースナノファイバー分散体に比べて大幅に粘度が低かった。すなわち、本発明のセルロースナノファイバー水性分散体は、生産効率や取り扱い性等が向上し、種々の用途への応用も容易になることが期待できる。