(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、デッキ扉が不意に開くことを防止できる高所作業車におけるデッキ扉の安全装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明の高所作業車におけるデッキ扉の安全装置は、ブームと、該ブームの先端に設けられたデッキとを備える高所作業車の安全装置であって、前記デッキの地上高を検出する地上高検出手段と、前記デッキのデッキ扉を施錠する施錠手段と、前記施錠手段の施錠と解錠とを切り替える切替手段と、
前記デッキの姿勢を記憶する姿勢記憶手段と、を備え、前記切替手段は、前記地上高検出手段により検出された地上高が、閾値より低い場合に前記施錠手段を解錠し、閾値以上の場合に前記施錠手段を施錠
し、前記切替手段は、前記デッキの姿勢が前記姿勢記憶手段に記憶された姿勢と一致した場合にも前記施錠手段を解錠することを特徴とする。
第2発明の高所作業車におけるデッキ扉の安全装置は、第1発明において、前記地上高検出手段は、前記ブームの起伏角度を検出する起伏角度検出器と、前記ブームの長さを検出する長さ検出器と、前記起伏角度検出器により検出された起伏角度と、前記長さ検出器により検出された長さとから、前記デッキの地上高を求める地上高演算手段と、を備えることを特徴とする。
第3発明の高所作業車におけるデッキ扉の安全装置は、第1または第2発明において、前記ブームの格納状態を検出するブーム格納状態検出器を備え、前記切替手段は、前記ブーム格納状態検出器が格納状態と検出している場合にも前記施錠手段を解錠することを特徴とする。
第4発明の高所作業車におけるデッキ扉の安全装置は、第1、第2または第3発明において、解錠操作手段を備え、前記切替手段は、前記施錠手段が施錠されている状態において前記解錠操作手段により解錠操作された場合に該施錠手段を解錠することを特徴とする。
第5発明の高所作業車におけるデッキ扉の安全装置は、第4発明において、前記切替手段は、前記解錠操作手段の解錠操作により前記施錠手段を解錠した後、所定時間経過後に該施錠手段を施錠することを特徴とする。
第6発明の高所作業車におけるデッキ扉の安全装置は、第4発明において、前記切替手段は、前記解錠操作手段の解錠操作により前記施錠手段を解錠した後、前記デッキの移動操作がなされたときに該施錠手段を施錠することを特徴とする。
第7発明の高所作業車におけるデッキ扉の安全装置は、第1、第2、第3、第4、
第5または第6発明において、前記デッキ扉の開閉状態を検出するデッキ扉開閉状態検出器を備え、前記切替手段は、前記地上高検出手段により検出された地上高が閾値以上であり、かつ、前記デッキ扉開閉状態検出器が閉状態と検出している場合に前記施錠手段を施錠することを特徴とする。
第8発明の高所作業車におけるデッキ扉の安全装置は、第1、第2、第3、第4、第5、
第6または第7発明において、前記施錠手段は、キープ型のソレノイドロックであることを特徴とする。
第9発明の高所作業車におけるデッキ扉の安全装置は、第1、第2、第3、第4、第5、第6、
第7または第8発明において、前記デッキ扉を閉める方向に付勢する付勢手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第1発明によれば、デッキの地上高が閾値以上の場合にデッキ扉を施錠するので、デッキを高所に移動させた状態で物体との接触や振動によってデッキ扉が不意に開くことを防止できる。また、デッキの地上高が閾値より低い場合にデッキ扉を解錠するので、地上乗り込みの際には自動でデッキ扉が解錠され、作業員がデッキ扉の施錠・解錠を意識する必要がない。
さらに、デッキの姿勢が予め登録された姿勢になった場合にデッキ扉が自動で解錠されるので、地上と高所とを往復して荷物の積み降ろしを繰り返す場合などに、作業員が高所でいちいち解錠操作をする必要がないので、作業員の手間が省ける。
第2発明によれば、一般的な高所作業車に備えられる検出器でデッキの地上高を求めることができるので、高所作業車のコスト増加とならない。
第3発明によれば、ブームが格納状態である場合にデッキ扉が解錠されるので、通常乗り込みの際には自動でデッキ扉が解錠され、作業員がデッキ扉の施錠・解錠を意識する必要がない。
第4発明によれば、解錠操作手段により任意のタイミングでデッキ扉を解錠できるので、高所作業中の荷物の積み降ろしができる。
第5発明によれば、解錠操作手段の解錠操作によりデッキ扉を解錠した後、所定時間経過後にデッキ扉が施錠されるので、デッキ扉を解錠したまま高所作業を行うことを防止でき、物体との接触や振動によってデッキ扉が不意に開くことを防止できる。
第6発明によれば、解錠操作手段の解錠操作によりデッキ扉を解錠した後、デッキの移動操作がなされたときにデッキ扉が施錠されるので、デッキ扉を解錠したまま高所作業を行うことを防止でき、物体との接触や振動によってデッキ扉が不意に開くことを防止できる。
第7発明によれば、デッキ扉が閉状態である場合に施錠手段を施錠するので、デッキ扉が開いたまま施錠手段が施錠状態となることを防止でき、デッキ扉を確実に施錠できる。
第8発明によれば、キープ型のソレノイドロックによりデッキ扉を施錠するので、デッキを高所に移動させた状態で安全装置の電源をOFFにしても、デッキ扉を施錠したまま保持でき、デッキ扉が不意に開くことを防止できる。
第9発明によれば、付勢手段によりデッキ扉が自動的に閉まるので、デッキ扉が開いたまま施錠手段が施錠状態となることを防止でき、デッキ扉を確実に施錠できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
まず、高所作業車100の構成について説明する。
図6において符号110は車両であり、この車両110には車両走行用の駆動源や運転室、車輪の外、作業中の安定を確保するアウトリガ111が設けられている。車両110の荷台の後方には旋回台120が搭載され、旋回モータにより水平面内で360°旋回できるようになっている。
【0011】
旋回台120にはブーム130が起伏自在に取り付けられている。旋回台120とブーム130との間には起伏シリンダが取り付けられている。この起伏シリンダを伸長させるとブーム130が起仰し、起伏シリンダを収縮させるとブーム130が倒伏する。ブーム130はテレスコピック状に構成されており、伸縮シリンダにより伸縮する。
【0012】
ブーム130の先端にはレベリングシリンダにより鉛直方向に姿勢が維持された支柱131が設けられており、その支柱131にデッキ140が旋回可能に設けられている。旋回台120の旋回、ブーム130の起伏、伸縮、デッキ140の旋回を組み合わせることで、立体空間内の任意の位置にデッキ140を移動させることができる。
【0013】
デッキ140は略矩形の籠状であり、床面141と、床面141の四方を覆う柵142とからなる。柵142の一部はデッキ扉143となっており、デッキ扉143を開けて作業員や荷物の出入りが可能となっている。また、デッキ140内には操作パネル144が設けられており、デッキ140の移動操作ができるようになっている。
【0014】
車両110の荷台、旋回台120、ブーム130の基端部にはステップ150が設けられている。ブーム130を格納状態にすると、作業員がステップ150を用いて地面とデッキ扉143との間を移動でき、デッキ140に乗り降りできる。以下、ブーム130を格納状態としてデッキ140に乗り降りすることを「通常乗り込み」と称する。ここで、
図6に示す高所作業車100においてブーム130の格納状態とは、ブーム130を前方に旋回し、全縮、倒伏させて、ブームレスト132に載せた状態である。
【0015】
また、通常乗り込みの他に、デッキ140を地面に近づけて脚立などを用いて乗り込む場合もある。以下、デッキ140を地面に近づけてデッキ140に乗り降りすることを「地上乗り込み」と称する。
【0016】
(第1実施形態)
つぎに、本発明の第1実施形態に係る安全装置Aを説明する。
本実施形態の安全装置Aは、上記のような高所作業車100におけるデッキ扉143が不意に開くことを防止するための安全装置である。
図1に示すように、安全装置Aは、起伏角度検出器11と、長さ検出器12と、制御装置20と、ソレノイドロック30とを備えている。
【0017】
起伏角度検出器11はブーム130の起伏角度を検出する検出器であり、長さ検出器12はブーム130の長さを検出する検出器である。起伏角度検出器11および長さ検出器12は、例えばポテンショメータである。制御装置20は、CPUやメモリ等で構成されたコンピュータである。制御装置20がプログラムを実行することにより、地上高演算手段21と、切替手段22とが実現されている。後述のごとく、地上高演算手段21は起伏角度検出器11と長さ検出器12の検出結果に基づきデッキ140の地上高を求める。これら起伏角度検出器11、長さ検出器12および地上高演算手段21は、特許請求の範囲に記載の「地上高検出手段」に相当する。
【0018】
ソレノイドロック30は、電気的に施錠と解錠とを切り替えることができる施錠手段である。
図7(B)に示すように、ソレノイドロック30は、本体31と、ラッチ32とを備えている。ラッチ32は、本体31から突き出した状態(施錠状態)と、本体31に引き込まれた状態(解錠状態)とで切り替えることができる。この切り替えは、ソレノイドロック30に電気信号を送ることで行われる。
【0019】
図7(A)に示すように、デッキ扉143は、その左右の柵142a、142bの間に配置された開き戸である。デッキ扉143の一方の側縁部と一方の柵142aとが、バネヒンジ40を介して連結されており、バネヒンジ40を軸として回動することで開閉する。また、デッキ扉143は、バネヒンジ40により常に閉める方向に付勢されている。そのため、作業員が手でデッキ扉143を開けることができ、手を離せば自動的にデッキ扉143が閉まるようになっている。
【0020】
デッキ扉143の開閉側の側縁部には、上下に2つのストッパー50が固定されている。ストッパー50は、板状の部材であり柵142b側に突出している。デッキ扉143を閉じると、ストッパー50が柵142bに係止して、デッキ扉143の回動が止まるようになっている。
【0021】
また、デッキ扉143の開閉側の側縁部には、手動開閉式のドアラッチ60が設けられている。デッキ扉143を閉じる場合にはドアラッチ60を操作せずとも閉まり、デッキ扉143を開ける場合にはドアラッチ60を操作すれば開くことができる。
【0022】
図7(B)に示すように、ソレノイドロック30は、デッキ扉143の開閉側の柵142bに固定されており、ラッチ32がストッパー50側に向くように配置されている。デッキ扉143を閉めてストッパー50を柵142bに係止させて、ラッチ32を本体31から突き出した状態(施錠状態)とすると、ストッパー50が柵142bとラッチ32との間に挟まれる。これによりデッキ扉143が回動不能となり施錠される。また、ラッチ32を本体31に引き込んだ状態(解錠解錠)とすると、ストッパー50がラッチ32に当たらなくなる。これによりデッキ扉143が回動可能となり解錠される。
【0023】
図1に戻り説明する。起伏角度検出器11および長さ検出器12の検出結果は地上高演算手段21に入力されている。地上高演算手段21は、起伏角度検出器11により検出されたブーム130の起伏角度と、長さ検出器12により検出されたブーム130の長さとから、デッキ140の地上高を求める。
【0024】
デッキ140の地上高の算出は例えば以下のように行われる。
図8に示すように、起伏角度検出器11によりブーム130の起伏角度θが検出できる。起伏角度θは水平面に対するブーム130の角度である。また、長さ検出器12によりブーム130の長さlが検出できる。長さlはブーム130の基端から先端までの長さである。また、地面Gからブーム130の基端までの高さをh1とし、ブーム130の先端からデッキ140までの高さをh2とする。そうすると、デッキ140の地上高Hは、下記数1で求められる。
【数1】
【0025】
地上高演算手段21により求められたデッキ140の地上高Hは切替手段22に入力されている。切替手段22は、その地上高Hを基にソレノイドロック30の施錠と解錠とを切り替える。より詳細には、切替手段22は、地上高Hが閾値より低い場合にソレノイドロック30を解錠し、地上高Hが閾値以上の場合にソレノイドロック30を施錠する。ここで、閾値は任意に設定することができ、例えば地上乗り込みの際のデッキ140の地上高(例えば、2m)が設定される。
【0026】
したがって、デッキ140が地面に近く作業員が地上乗り込みできる状態であれば、デッキ140の地上高Hが閾値より低くなり、ソレノイドロック30が自動的に解錠される。このように、地上乗り込みの際には自動でデッキ扉143が解錠されるため、作業員がデッキ扉143の施錠・解錠を意識する必要がない。
【0027】
また、作業員がデッキ140に乗り込んでデッキ140を上昇させると、デッキ140の地上高Hが閾値以上となり、ソレノイドロック30が自動的に施錠される。このように、ブーム130が高所に移動した場合にデッキ扉143を施錠するので、デッキ130を高所に移動させた状態で物体との接触や振動によってデッキ扉143が不意に開くことを防止できる。
【0028】
なお、ソレノイドロック30は、特許請求の範囲に記載の「施錠手段」に相当する。施錠手段としては、キープ型のソレノイドロック30を用いることが好ましい。ここで、キープ型のソレノイドロックとは、パルス電圧を印加することにより施錠/解錠の切り替えができ、それぞれの状態を無電力で維持できるソレノイドロックである。キープ型のソレノイドロック30によりデッキ扉143を施錠すれば、デッキ140を高所に移動させた状態でエンジンを停止させた場合など、安全装置Aの電源をOFFにしても、デッキ扉143を施錠したまま保持でき、デッキ扉143が不意に開くことを防止できる。
【0029】
施錠手段としてはソレノイドロック30以外にも、切替手段22の制御によりデッキ扉143の施錠/解錠を制御できる手段であれば特に限定されない。
【0030】
バネヒンジ40は、特許請求の範囲に記載の「付勢手段」に相当する。付勢手段としてはバネヒンジ40以外にも、ドアクローザーなどデッキ扉143を閉める方向に付勢する手段であれば特に限定されない。このような付勢手段を設ければ、デッキ扉143を開けた後は付勢手段により自動的に閉まるので、デッキ扉143が開いたままソレノイドロック30が施錠状態となることを防止でき、デッキ扉143を確実に施錠できる。
【0031】
(第2実施形態)
前述のごとく、高所作業車100を用いた作業においては、地上乗り込みの他に、ブーム130を格納状態としてデッキ140に乗り降りする通常乗り込みも行われる。本発明の第2実施形態に係る安全装置Bは、地上乗り込みと通常乗り込みとを考慮した実施形態である。
【0032】
図2に示すように、本実施形態の安全装置Bは、第1実施形態に係る安全装置Aにおいて、さらにブーム格納状態検出器13を備える構成である。ブーム格納状態検出器13は、ブーム130の格納状態を検出する検出器であり、例えばブームレスト132に設けられたスイッチで構成されている。
【0033】
ブーム格納状態検出器13の検出結果は切替手段22に入力されている。切替手段22は、ブーム格納状態検出器13が格納状態と検出している場合にもソレノイドロック30を解錠する。より詳細には、切替手段22には、地上高演算手段21により求められたデッキ140の地上高Hと、ブーム格納状態検出器13の検出結果とが入力されている。切替手段22は、地上高Hが閾値より低い場合またはブーム格納状態検出器13が格納状態と検出している場合にソレノイドロック30を解錠する。それ以外の場合、すなわち、地上高Hが閾値以上であり、かつ、ブーム格納状態検出器13が非格納状態と検出している場合にソレノイドロック30を施錠する。
【0034】
したがって、ブーム130が格納状態であり通常乗り込みできる状態であれば、ソレノイドロック30が自動的に解錠される。このように、通常乗り込みの際にも自動でデッキ扉143が解錠されるため、作業員がデッキ扉143の施錠・解錠を意識する必要がない。
【0035】
また、作業員がデッキ140に乗り込んでデッキ140を移動させると、ブーム130が非格納状態となり、ソレノイドロック30が自動的に施錠される。このように、ブーム130が非格納状態である場合にデッキ扉143を施錠するので、デッキ140を高所に移動させた状態で物体との接触や振動によってデッキ扉143が不意に開くことを防止できる。
【0036】
(第3実施形態)
高所作業車100を用いた作業においては、デッキ140を高所に移動させた状態で荷物の積み降ろしをする場合がある。このような場合には、デッキ140が高所にあるとしてもデッキ扉143を開閉する必要がある。本発明の第3実施形態に係る安全装置Cは、このような場合を考慮した実施形態である。
【0037】
図3に示すように、本実施形態の安全装置Cは、第2実施形態に係る安全装置Bにおいて、さらに解錠スイッチ14を備える構成である。なお、解錠スイッチ14は、特許請求の範囲に記載の「解錠操作手段」に相当する。解錠スイッチ14の取り付け位置は特に限定されないが、例えば、車両110や旋回台120に設けられた操作パネルや、デッキ扉143などに取り付けられる。
【0038】
解錠スイッチ14の信号は切替手段22に入力されている。切替手段22は、ソレノイドロック30が施錠されている状態において、解錠スイッチ14により解錠操作された場合に、ソレノイドロック30を解錠する。より詳細には、切替手段22には、地上高演算手段21により求められたデッキ140の地上高Hと、ブーム格納状態検出器13の検出結果と、解錠スイッチ14の信号とが入力されている。切替手段22は、地上高Hが閾値より低い場合またはブーム格納状態検出器13が格納状態と検出している場合にソレノイドロック30を解錠し、それ以外の場合にソレノイドロック30を施錠する。そして、ソレノイドロック30が施錠されている状態において、解錠スイッチ14により解錠操作された場合に、ソレノイドロック30を解錠する。
【0039】
したがって、デッキ140が高所にある場合でも、解錠スイッチ14により任意のタイミングでデッキ扉143を解錠できる。そのため、高所作業中の荷物の積み降ろしができる。
【0040】
また、切替手段22は、解錠スイッチ14の解錠操作によりソレノイドロック30を解錠した後、所定時間経過後にソレノイドロック30を施錠する。したがって、解錠スイッチ14の解錠操作によりデッキ扉143を解錠した後、所定時間経過後にデッキ扉143が自動的に施錠される。そのため、デッキ扉143を解錠したまま高所作業を行うことを防止でき、物体との接触や振動によってデッキ扉143が不意に開くことを防止できる。
【0041】
所定時間経過後にソレノイドロック30を施錠するのに代えて、切替手段22は、解錠スイッチ14の解錠操作によりソレノイドロック30を解錠した後、デッキ140の移動操作がなされたときにソレノイドロック30を施錠するように構成してもよい。デッキの移動操作は、デッキ140内の操作パネル144の操作信号などにより検知できる。
【0042】
このようにすれば、解錠スイッチ14の解錠操作によりデッキ扉143を解錠した後、デッキ140の移動操作がなされたときにデッキ扉143が自動的に施錠される。そのため、デッキ扉143を解錠したまま高所作業を行うことを防止でき、物体との接触や振動によってデッキ扉143が不意に開くことを防止できる。
【0043】
(第4実施形態)
高所作業車100を用いた作業においては、地上と高所とを往復して荷物の積み降ろしをする場合がある。この場合、デッキ140を高所の特定の場所に移動させて荷物の積み降ろしを行う。この際にもデッキ扉143を開閉する必要がある。本発明の第4実施形態に係る安全装置Dは、このような場合を考慮した実施形態である。
【0044】
図4に示すように、本実施形態の安全装置Dは、第2実施形態に係る安全装置Bにおいて、さらに姿勢比較手段23と、姿勢記憶手段24とを備える構成である。これら姿勢比較手段23および姿勢記憶手段24は、制御装置20がプログラムを実行することにより実現されている。
【0045】
姿勢比較手段23には、デッキ140の姿勢を検出する姿勢検出器からの検出結果が入力されている。ここで、デッキ140の姿勢とは、立体空間内におけるデッキ140の位置および旋回角度を意味する。立体空間内におけるデッキ140の位置は、ブーム130の姿勢、すなわちブーム130の起伏角度、長さ、および旋回角度で表すことができる。デッキ140の姿勢を検出する姿勢検出器としては、前記起伏角度検出器11および長さ検出器12の他に、ブーム130の旋回角度を検出するブーム旋回角度検出器15と、デッキ140の旋回角度を検出するデッキ旋回角度検出器16とが含まれる。ブーム旋回角度検出器15およびデッキ旋回角度検出器16は、例えばポテンショメータやロータリエンコーダである。なお、姿勢検出器として、これらのうちの一部を省略してもよいし、他の検出器を加えてもよい。
【0046】
姿勢記憶手段24には、予めデッキ140の姿勢が記憶されている。例えば、デッキ140を地上と高所とを往復させる場合の、高所の位置におけるデッキ140の姿勢が記憶されている。記憶の方法は特に限定されないが、制御装置20に接続された入力装置によりデッキ140の姿勢を入力できるよう構成すればよい。
【0047】
姿勢比較手段23は、姿勢検出器11、12、15、16の検出結果であるデッキ140の姿勢と姿勢記憶手段24に記憶された姿勢とを比較し、それらが一致する場合に姿勢一致信号を切替手段22に出力する。そして、切替手段22は姿勢比較手段23から姿勢一致信号が入力された場合にソレノイドロック30を解錠する。すなわち、デッキ140の姿勢が姿勢記憶手段24に記憶された姿勢と一致した場合にソレノイドロック30を解錠するのである。
【0048】
より詳細には、切替手段22には、地上高演算手段21により求められたデッキ140の地上高Hと、ブーム格納状態検出器13の検出結果と、姿勢比較手段23の比較結果とが入力されている。切替手段22は、地上高Hが閾値より低い場合、ブーム格納状態検出器13が格納状態と検出している場合、または姿勢比較手段23から姿勢一致信号が入力された場合にソレノイドロック30を解錠する。それ以外の場合、すなわち、地上高Hが閾値以上であり、ブーム格納状態検出器13が非格納状態と検出しており、かつ、姿勢比較手段23から姿勢一致信号が入力されていない場合にソレノイドロック30を施錠する。
【0049】
したがって、ブーム130が地面に近い状態または格納状態である場合の他にも、デッキ140の姿勢が予め登録された姿勢になった場合にデッキ扉143が自動で解錠される。そのため、例えば、地上と高所とを往復して荷物の積み降ろしを繰り返す場合などに、作業員が高所でいちいち解錠操作をする必要がないので、作業員の手間が省ける。
【0050】
(第5実施形態)
つぎに、本発明の第5実施形態に係る安全装置Eを説明する。
図5に示すように、本実施形態の安全装置Eは、第2実施形態に係る安全装置Bにおいて、さらにデッキ扉開閉状態検出器17を備える構成である。デッキ扉開閉状態検出器17は、デッキ扉143の開閉状態を検出する検出器であり、例えば柵142bに設けられたスイッチで構成されている。
【0051】
デッキ扉開閉状態検出器17の検出結果は切替手段22に入力されている。切替手段22は、地上高演算手段21により求められたデッキ140の地上高Hが閾値以上であり、ブーム格納状態検出器13が非格納状態と検出しており、かつ、デッキ扉開閉状態検出器17が閉状態(デッキ扉143が閉まっている状態)と検出している場合にソレノイドロック30を施錠する。それ以外の場合には、ソレノイドロック30を解錠する。
【0052】
したがって、作業員がデッキ140に乗り込んでデッキ140を移動させたとしても、何らかの原因でデッキ扉143が開いている場合にはソレノイドロック30が施錠されない。デッキ扉143が閉状態である場合にソレノイドロック30を施錠するので、デッキ扉143が開いたままソレノイドロック30が施錠状態となることを防止でき、デッキ扉143を確実に施錠できる。
【0053】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、デッキ140の地上高Hを検出する地上高検出手段として、起伏角度検出器11、長さ検出器12および地上高演算手段21からなる構成としてが、これに代えて他の手段を採用してもよい。例えば、光学式、レーザ光線式、超音波式等の非接触式距離計をデッキ140に設けて、デッキ140の地上高Hを直接検出する構成としてもよい。ただし、一般的な高所作業車100には起伏角度検出器11および長さ検出器12が設けられているので、これらを用いてデッキ140の地上高Hを求める方が、検出器を追加する必要なく、高所作業車100のコスト増加とならない。