特許第6390098号(P6390098)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6390098
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】真空ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 19/04 20060101AFI20180910BHJP
【FI】
   F04D19/04 E
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-267643(P2013-267643)
(22)【出願日】2013年12月25日
(65)【公開番号】特開2015-124616(P2015-124616A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年10月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100084412
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 冬紀
(72)【発明者】
【氏名】坪川 徹也
【審査官】 新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/119191(WO,A1)
【文献】 特表2008−531909(JP,A)
【文献】 特開2007−132346(JP,A)
【文献】 特表2005−537418(JP,A)
【文献】 特開2011−007049(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0141254(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0260518(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空排気部により吸気口から吸気した気体をベースに設けた排気口から排気し、
前記真空排気部は、ステータと、前記ステータと協働して気体を排気するロータ円筒部が形成されたロータとを含むドラッグポンプ部を備え、
前記排気口の少なくとも一部は、前記ステータの外周面と対向して配置され、
前記排気口の吸気口側端部から吸気口側にむけて、前記ステータの外周面と前記ベースの内周面との間には隙間が形成されており、当該隙間は、前記ステータの全長に亘って均一である場合においては排気経路のコンダクタンスを満足しない寸法に設定されている、
真空ポンプにおいて、
前記吸気口側からロータ軸方向の中間位置までのステータ第1領域において、前記ステータの外径は均一であることで前記隙間の寸法が均一であり、
前記ロータ軸方向の中間位置から前記排気口側までのステータ第2領域において、前記ドラッグポンプ部によって排気された気体が前記排気口までに至る排気経路に面する前記ステータの外周面に、コンダクタンス増大機能部が形成されており、
前記コンダクタンス増大機能部は、前記排気口と対向する前記ステータの外周面と前記ベースの内周面との距離が、前記ステータ第1領域における前記隙間の寸法に比べて大きい形状であり、前記ロータ軸方向の中間位置から前記排気口側に向かって前記ステータの外径が連続的に小さくなるテーパー構造を有する、真空ポンプ。
【請求項2】
請求項1に記載の真空ポンプにおいて、
前記ステータは、前記排気口と対向する前記ステータの外周面を含めて、前記ステータの先端部まで全周に形成されたテーパー構造を有する真空ポンプ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の真空ポンプにおいて、
前記ステータは前記吸気口側に形成されたフランジ部を介して前記ベースに固定されている、真空ポンプ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の真空ポンプにおいて、
前記排気経路に面する前記ベースの底面であって、前記ステータの前記排気口側の先端部が対向する前記ベースの底面には、排気経路を拡張しコンダクタンスを増大させる環状溝が形成されている真空ポンプ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の真空ポンプにおいて、
前記排気口の全体が前記ステータの外周面に対向している真空ポンプ。
【請求項6】
真空排気部により吸気口から吸気した気体をベースに設けた排気口から排気し、
前記真空排気部は、ステータと、前記ステータと協働して気体を排気するロータ円筒部が形成されたロータとを含むドラッグポンプ部を備え、
前記排気口の少なくとも一部は、前記ステータの外周面と対向して配置され
前記排気口の吸気口側端部から吸気口側にむけて、前記ステータの外周面と前記ベースの内周面との間には隙間が形成されており、当該隙間は、前記ステータの全長に亘って均一である場合においては排気経路のコンダクタンスを満足しない寸法に設定されている、真空ポンプにおいて、
前記吸気口側からロータ軸方向の中間位置までのステータ第1領域において、前記ステータの外径は均一であることで前記隙間の寸法が均一であり、
前記ロータ軸方向の中間位置から前記排気口側までのステータ第2領域において、前記ドラッグポンプ部によって排気された気体が前記排気口までに至る排気経路に面する前記ステータの外周面に、コンダクタンス増大機能部が形成されており、
前記コンダクタンス増大機能部は、前記排気口と対向する前記ステータの外周面と前記ベースの内周面との距離が、前記ステータ第1領域における前記隙間の寸法に比べて大きい形状であり、
前記排気経路に面する前記ベースの底面であって、前記ステータの前記排気口側の先端部が対向する前記ベースの底面には、排気経路を拡張しコンダクタンスを増大させる環状溝が形成されている、真空ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
ターボ分子ポンプに代表される真空ポンプは、ドライエッチング装置やCVD装置などの真空チャンバに取り付けられる。ターボ分子ポンプは、ロータ翼とロータ円筒部とを有するロータと、ロータ翼と対向配置されるステータ翼と、ロータ円筒部と径方向に対向配置されるネジステータとを備えている。ロータは毎分数万回転で高速回転する。このロータの回転により、ロータ翼とステータ翼とが協働し、また、ロータ円筒部とネジステータが協働して、真空チャンバ内の気体が排気され、真空チャンバ内に高真空状態が作り出される。
【0003】
上述のドライエッチング装置やCVD装置では、大流量のプロセスガスを用いて各種処理を行うことが増えている。このような大流量のプロセスガスを用いる場合にも高真空状態を保つ必要があるため、真空ポンプはより一層の高い排気性能が望まれている。その結果、真空ポンプの段数は多くなる傾向にある。
【0004】
一方、上述のドライエッチング装置やCVD装置の高さは、これらの装置を用いて作業する作業者が作業しやすいように設計される。真空ポンプはこれらの装置の下に取り付けることが一般的であるため、真空ポンプの高さはこれらの装置の下面と設置面との間の距離に制約される。
【0005】
上述のような真空ポンプに対する要求に応えるべく、真空ポンプを設計しようとすると、特許文献1に示すように、排気口がネジステータと対向する位置に配置されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4594689号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
その場合、ロータ円筒部とネジステータが協働して排気する気体の排気口までの排気経路が狭くなり、排気経路のコンダクタンスが悪化する。その結果として、真空ポンプの排気性能が悪化する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)第1の態様による発明は、真空排気部により吸気口から吸気した気体をベースに設けた排気口から排気し、真空排気部は、ステータと、ステータと協働して気体を排気するロータ円筒部が形成されたロータとを含むドラッグポンプ部を備え、排気口の少なくとも一部は、ステータの外周面と対向して配置され、排気口の吸気口側端部から吸気口側にむけて、ステータの外周面とベースの内周面との間には隙間が形成されており、当該隙間は、ステータの全長に亘って均一である場合においては排気経路のコンダクタンスを満足しない寸法に設定されている、真空ポンプにおいて、吸気口側からロータ軸方向の中間位置までのステータ第1領域において、ステータの外径は均一であることで隙間の寸法が均一であり、ロータ軸方向の中間位置から排気口側までのステータ第2領域において、ドラッグポンプ部によって排気された気体が排気口までに至る排気経路に面するステータの外周面に、コンダクタンス増大機能部が形成されており、コンダクタンス増大機能部は、排気口と対向するステータの外周面とベースの内周面との距離が、ステータ第1領域における隙間の寸法に比べて大きい形状であり、ロータ軸方向の中間位置から排気口側に向かってステータの外径が連続的に小さくなるテーパー構造を有する。
(2)コンダクタンス増大機能部を有するステータは、排気口と対向するステータの外周面を含めて、ステータの先端部まで全周に形成されたテーパー構造を有するのが好ましい。このテーパー構造は、ステータの外周面の全域に設けてもよい。
(3)コンダクタンス増大機能部を有するステータは、吸気口側に形成されたフランジ部を介してベースに固定することができる。
(4)排気経路に面するベースの底面であって、ステータの排気口側の先端部が対向するベースの底面には、排気経路を拡張しコンダクタンスを増大させる環状溝を形成することができる。
(5)排気経路に面するベースの底面であって、ステータの排気口側の先端部が対向するベースの底面に、排気経路を拡張しコンダクタンスを増大させる環状溝を設けることができる。
(6)第2の態様による発明は、真空排気部により吸気口から吸気した気体をベースに設けた排気口から排気し、真空排気部は、ステータと、ステータと協働して気体を排気するロータ円筒部が形成されたロータとを含むドラッグポンプ部を備え、排気口の少なくとも一部は、ステータの外周面と対向して配置され排気口の吸気口側端部から吸気口側にむけて、ステータの外周面とベースの内周面との間には隙間が形成されており、当該隙間は、ステータの全長に亘って均一である場合においては排気経路のコンダクタンスを満足しない寸法に設定されている、真空ポンプにおいて、吸気口側からロータ軸方向の中間位置までのステータ第1領域において、ステータの外径は均一であることで隙間の寸法が均一であり、ロータ軸方向の中間位置から排気口側までのステータ第2領域において、ドラッグポンプ部によって排気された気体が排気口までに至る排気経路に面するステータの外周面に、コンダクタンス増大機能部が形成されており、コンダクタンス増大機能部は、排気口と対向するステータの外周面とベースの内周面との距離が、ステータ第1領域における隙間の寸法に比べて大きい形状であり、排気経路に面するベースの底面であって、ステータの排気口側の先端部が対向するベースの底面には、排気経路を拡張しコンダクタンスを増大させる環状溝が形成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、排気口とネジステータとが対向する真空ポンプであっても、ネジステータおよびベースの内周面の少なくとも一方にコンダクタンス増大機能部が形成されているので、排気経路のコンダクタンスを高めることができる。そのため、たとえばポンプを低背化する必要があっても、真空ポンプの排気性能の悪化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態のターボ分子ポンプを示した図。
図2】比較例のターボ分子ポンプを示した図。
図3】第1実施形態の変形例のターボ分子ポンプを示した図。
図4】第2実施形態のターボ分子ポンプを示した図。
図5】第3実施形態のターボ分子ポンプを示した図。
図6】第4実施形態のターボ分子ポンプを示した図。
図7】本発明におけるネジステータの部位と排気口との位置関係を示した図。
図8】ネジステータのテーパー構造、ネジステータの段部、ベース内周面の溝、ベース底面の溝を形成する範囲について示した図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
真空ポンプには、高い排気性能が望まれる一方で、真空ポンプの高さに様々な制約がかかっている。すなわち、真空ポンプには、排気性能に対する小型化が要求されている。本発明は排気性能を落とすことなく小型化、特に低背化を行うようにした真空ポンプに関するものである。
本発明の真空ポンプを説明するにあたり、ターボポンプ部とドラッグポンプ部を真空排気部として有するターボ分子ポンプを例に説明する。なお、本発明は、ターボポンプ部を有さず、ドラッグポンプ部のみを真空排気部として有するモレキュラドラッグポンプなどの真空ポンプにも適用できる。
【0012】
―第1実施形態―
図1は、ターボ分子ポンプ100の概略構成を示す断面図である。ターボ分子ポンプ100は、真空排気部として、ターボポンプ部とドラッグポンプ部とを有する。このターボ分子ポンプ100のケーシング52内にはロータ組立体10が回転自在に設けられている。ロータ組立体10は、ロータ4と、シャフト5と、ロータディスク6から構成されている。ターボ分子ポンプ100は磁気軸受式のポンプであり、ロータ組立体10は、上部ラジアル電磁石62、下部ラジアル電磁石64、スラスト電磁石66によって非接触支持される。
【0013】
ロータ4には、複数段のロータ翼20とロータ円筒部8とが設けられている。複数段のロータ翼20の各段の間には、それぞれステータ翼44が設けられ、これらロータ翼20とステータ翼44とによりターボポンプ部が構成される。ロータ円筒部8の外周側にはネジステータ11が設けられ、これらの部材によりドラッグポンプ部が構成される。ネジステータ11はアルミ合金などで形成されている。ネジステータ11は、フランジ部11aを介してベース50にボルト15で固定されている。
【0014】
各ステータ翼44は、スペーサ58を介してベース50上に配設されている。ケーシング52がベース50に固定されると、積層されたスペーサ58がベース50とケーシング52との間に挟持され、各ステータ翼44が位置決めされる。
【0015】
ベース50には排気口56が設けられ、この排気口56にバックポンプが接続される。ロータ組立体10が上部ラジアル電磁石62、下部ラジアル電磁石64、スラスト電磁石66によって磁気浮上されつつモータ40により高速回転駆動される。これにより、吸気口31から吸気した気体は、ターボポンプ部であるロータ翼20とステータ翼44とが協働する排気動作により、また、ドラッグポンプ部であるロータ円筒部8とネジステータ11とが協働する排気動作により排気口56から排気される。なお、本実施形態では、排気口56の全体は、ネジステータ11の外周面と対向して配置される。
【0016】
ネジステータ11とロータ円筒部8が協働して排気された気体は、ネジステータ11の外周面とベース50の内周面とベース50の底面50bに囲まれた空間を主な排気経路として通り、排気口56から排気される。本実施形態では、排気口56の全体がネジステータ11と対向している。ネジステータ11の外周面のうち、少なくとも排気口56と対向する領域から先端側の外周面には、テーパー構造T1が形成されている。すなわち、ネジステータ11は、排気口56と対向するネジステータ11の外周面を含めて、ネジステータ11の先端部11cまで全周に形成されたテーパー構造T1を有する。
【0017】
詳細に説明すると以下の通りである。少なくとも、排気口56の吸気口31側の端部56aと対向する位置11dよりネジステータ11の先端部11cまでの領域には、全周にテーパー構造T1が形成されている。ここで、先端部11cとは、ターボ分子ポンプ100の回転軸方向、すなわち、ロータ組立体10の回転軸方向におけるネジステータ11の先端のことであり、これは以降でも同様である。テーパー構造T1とは、下流側に行くほどネジステータの径が連続的に小さくなる(つまり、ネジステータ外周とベース内周との距離が連続的に大きくなる)形状である。テーパー構造は、図1のように直線状のテーパーに限定されず、曲線状(放物線、指数関数)のテーパーであってもよい。
【0018】
このテーパー構造T1により、ネジステータ11の先端部11cの外周面と排気口56近傍のベース50の内周面との距離s2は、ネジステータ11のフランジ部11a近傍におけるネジステータ11の外周面とベース50の内周面との距離s1よりも大きい。
なお、テーパー構造T1は、排気口56の吸気口31側の端部56aと対向する位置11dより吸気口31側のネジステータ11の外周面上の位置11bからネジステータ11の先端部11cまで形成されている。
【0019】
図7(a)を参照してさらに詳細に説明する。図7(a)において、排気口56の吸気口側の端部56aをネジステータ11に投影した軸方向位置を符号Aで表し、排気口56のベース50の底面50b側の端部56bをネジステータ11に投影した軸方向位置を符号Bで表している。また、ベース50のネジステータ11を取り付ける面の軸方向位置を符号Cで表している。
【0020】
排気口56と対向するネジステータ11の外周面の領域R1は、AとBで挟まれた領域である。排気口56と対向するネジステータ11の外周面の領域R1よりも吸気口側に位置するネジステータ11の外周面の領域R2は、図7(a)のAとCで挟まれた領域である。軸方向位置Aにおけるネジステータ11とベース50との間の距離saは、ネジステータ11の領域R1の外周面とベース50の内周面との距離の最小値である。その距離saは、ネジステータ11の領域R2の外周面とベース50の内周面との距離s1に比べて大きい。
なお、第1実施形態のターボ分子ポンプ100では、軸方向位置Bにおけるネジステータ11とベース50との間の距離sbは上記軸方向位置Aにおけるネジステータ11とベース50との間の距離saよりも大きい。ネジステータ11の先端部の外周面とベース内周面との上記距離s2は次の大小関係である。
s2>sb>sa>s1
【0021】
以上のようなテーパー構造T1により、ネジステータ11とロータ円筒部8によって排気される気体が排気口56に至るまでの排気経路の気体のコンダクタンスを向上させることができる。したがって、排気口56とネジステータ11を対向させてポンプを低背化しても、ターボ分子ポンプ100の排気性能が悪化することがない。
【0022】
以上のように構成した第1実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
(1)第1実施形態のターボ分子ポンプ100は、真空排気部によりケーシング52の吸気口31から吸気した気体をベース50に設けた排気口56から排気する真空ポンプである。第1実施形態のターボ分子ポンプ100の真空排気部は、ターボポンプ部、すなわちタービン排気部と、ドラッグポンプ部、すなわちネジ排気部とを有する。吸気口31から吸気された気体はターボポンプ部で真空引きされ、その気体はドラッグポンプ部によりさらに真空引きされて排気される。ドラッグポンプ部から排気される気体はネジステータ11の外周面とベース50の内周面との間の排気経路を通って排気口56から外部へ排気される。ドラッグポンプ部は少なくとも、ベース50に固定されるネジステータ11と、ネジステータ11と協働して気体を排気するロータ円筒部8が形成されたロータ4とを備える。
【0023】
ここで、コンダクタンス増大機能部という概念について説明する。ポンプ回転軸方向(図1の図示上下方向)において、排気口56とネジステータ11が対向する外周面から、排気経路に面するベース50の底面50bまでに位置するネジステータ11の外周面、ベース50の内周面は、排気経路に面しており、ネジステータ11の外周面およびベース50の内周面のうち、少なくともいずれか一方には、排気経路を拡張するためのコンダクタンス増大機能部が設けられている。第1実施形態におけるコンダクタンス増大機能部は、ネジステータ11の外周面に設けたテーパー構造T1である。このコンダクタンス増大機能部は、第1〜4実施形態におけるターボ分子ポンプ100の全てに設けられている。なお、排気経路に面するベース50の底面50bも、第1実施形態の変形例3で示すように、環状溝を設けて排気経路を拡張することができる。
【0024】
図2は、比較例のターボ分子ポンプ200を示す図である。このターボ分子ポンプ200(図2)と本実施形態のターボ分子ポンプ100(図1)の構成の主たる相違はネジステータ11の外周面の形状にある。図2に示すように、比較例のターボ分子ポンプ200では、ネジステータ11と排気口56とが対向し、かつ、ネジステータ11の外周面が同一径(直筒状)になっている。すなわち、図1で示す距離s1と距離s2が等しい。このような構成では、排気口56とネジステータ11の間の排気経路が狭くなり、排気経路のコンダクタンスが低減し、真空排気性能が低下するという問題があった。
しかし、本実施形態では、ネジステータ11にはテーパー構造T1が形成されているため、上述のように、ネジステータ11とロータ円筒部8によって排気された気体が排気口56に至るまでの排気経路のコンダクタンスを向上させることができる。そのため、ターボ分子ポンプの排気性能を向上させることができる。
【0025】
(2)ネジステータ11にテーパー構造T1を形成したことで、図2に示す比較例のターボ分子ポンプ200のネジステータ11よりもネジステータ11の体積を小さくすることができる。ネジステータ11がロータ円筒部8から受ける熱量が一定であるとすると、ネジステータ11をテーパー構造T1にした分だけ、ネジステータ11の単位体積当たりのロータ円筒部8から受ける熱量が増えるため、ネジステータ11の温度が高くなる。
ターボ分子ポンプ100が取り付けられる真空チャンバでは、各種処理によって発生してポンプ内に侵入した各種物質がネジステータ11表面に付着する。第1実施形態のターボ分子ポンプ100によれば、比較例のターボ分子ポンプ200よりも、ネジステータ11が高温状態になるため、すなわち、ネジステータ11が好ましくは各種物質の昇華温度以上に加温されるため、あるいは、昇華温度近傍まで加温されるため、真空チャンバなどで発生した物質がネジステータ11の表面に付着することを抑制できる。
【0026】
(3)ネジステータ11にテーパー構造T1を形成したことで、図2に示す比較例のターボ分子ポンプ200のネジステータ11よりもネジステータ11の体積を小さくすることができるので、材料費を安くできる。
【0027】
なお、本実施形態に示したように、テーパー構造T1は、排気口56の吸気口31側の端部56aと対向する位置11dから先端部11cまでの領域、すなわち、図7(a)に示す領域R1には少なくとも形成されているのが好ましい。しかしながら、例えば、図7(b)や(d)に示すように、領域R1の一部の範囲の全周にテーパー構造T1が設けられているだけでも、図2に示すターボ分子ポンプ200のネジステータ11のようなテーパー構造が設けられていないネジステータ11に比べて、排気性能が向上する。また、ネジステータ11の表面に物質が付着するのを抑制でき、さらには、材料費も安くすることができる。
【0028】
―第1実施形態の変形例1―
ケーシング52には、吸気口フランジとケーシング52の直筒部とを接続するくびれ部が形成されることがある。くびれ部は、真空チャンバの排気口の口径がターボ分子ポンプ100のケーシング52の直筒部の径より小さく、ターボ分子ポンプ100の吸気口31の口径を真空チャンバの排気口の口径に合わせる必要がある場合に設けられる。くびれ部内部には、排気機構を設けないのが一般的であり、排気性能を維持したまま、このくびれ部を形成しようとすると、ターボ分子ポンプ100の全体の高さに更なる制約がかかる。このようなくびれ部を有するターボ分子ポンプ100にも本発明は効果的である。
【0029】
―第1実施形態の変形例2―
近年は、ポンプ本体の真下に電源装置が設けられる一体型のターボ分子ポンプ100も実用化されている。このような一体型のターボ分子ポンプ100を設置するには、ポンプ本体の高さに、より一層の制約がかかる。このような電源装置一体型のターボ分子ポンプ100にも本発明は効果的である。
【0030】
―第1実施形態の変形例3―
図3は、第1実施形態の変形例3におけるターボ分子ポンプ100を示す図である。第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
図3に示すように、排気経路に面したベース50の底面50bの全周に環状溝50aが形成されている点が、図1に示す第1実施形態におけるターボ分子ポンプ100との主たる相違点である。
【0031】
ネジステータ11とロータ円筒部8によって排気された気体が排気口56に至るまでの排気経路は、ネジステータ11の外周面とベース50の内周面とベース50の底面50bに囲まれた空間である。ネジステータ11の先端部11cが対向するベース50の底面50bの全周に環状溝50aが形成されている。このような環状溝50aにより上述の排気経路が拡張され、気体のコンダクタンスを向上させることができる。したがって、第1実施形態と同様の作用効果に加えて、さらにターボ分子ポンプ100の排気性能を向上させることができる。
なお、環状溝50aは、ネジステータ11の先端部11cと対峙する領域には少なくとも設けられる。
【0032】
―第1実施形態の変形例4―
第1実施形態では、ネジステータ11の外周面の全周にテーパー構造T1を設けたが、全周に設けることなく、排気口56の周辺に少なくとも設けてもよい。図8(a)は、吸気口31側から見た図であって、テーパー構造T1をネジステータ11の外周面の一部11gには設けず、残りの部分11f(太線部分)には設けたターボ分子ポンプ100を説明する図である。このようなターボ分子ポンプ100であっても、排気性能の悪化を多少なりとも防ぐことができる。
【0033】
―第1実施形態の変形例5―
第1実施形態の変形例3では、ベース50の底面50bの全周に環状溝50aを設けた。環状溝50aは、ベース50の底面50bの全周に設けずに、排気口56の周辺に少なくとも設けてもよい。図8(c)は、吸気口31側からベース底面50bの環状溝50aを見た図である。環状溝50aは、ベース50の底面50bの全周には設けず、太線で示すように所定角度範囲にのみ設けている。このようなターボ分子ポンプ100であっても、排気性能の悪化を多少なりとも防ぐことができる。
【0034】
―第2実施形態―
図4は、第2実施形態におけるターボ分子ポンプ100を示す図である。第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。第2の実施形態のコンダクタンス増大機能部はネジステータ11の外周面を大径部と小径部として構成したものである。
【0035】
第2実施形態におけるターボ分子ポンプ100のネジステータ11の外周面は、コンダクタンス増大機能部として、吸気口31側の一端に形成された大径部11Aと、先端部11c側の他端に設けられた小径部11Bとを有する。ネジステータ11は、大径部11Aと小径部11Bの境界として、段部STを有する。排気口56は、小径部11Bの周面と対向することで、ネジステータ11の外周面と対向する。
【0036】
詳細に説明すると以下の通りである。ネジステータ11の外周面には、少なくとも、排気口56の吸気口31側の端部56aと対向する位置11dからネジステータ11の先端部11cまでに、小径部11Bが形成されている。ネジステータ11の外周面において、小径部11Bの吸気口31側には、大径部11Aが設けられている。大径部11Aの径は、小径部11Bの径よりも大きい。ネジステータ11の小径部11Bの周面と排気口56近傍のベース50の内周面との距離s3は、ネジステータ11の大径部11Aの周面とベース50の内周面との距離s1よりも大きい。
なお言い換えると、大径部11Aと小径部11Bが形成されたネジステータ11の外周面には段部STが設けられ、この段部STにより排気経路のコンダクタンスの向上を図っている。
【0037】
図7(g)を参照してさらに詳細に説明する。排気口56と対向するネジステータ11の外周面の領域R1は軸方向位置AとBで挟まれた領域である。ネジステータ11の外周面において、領域R1の吸気口側には、軸方向位置AとCで挟まれた領域R2が設けられている。領域R1のネジステータ11の外周面とベース50の内周面との距離s3は、領域R2の外周面とベース50の内周面との距離S1に比べて大きい。
【0038】
これにより、ネジステータ11とロータ円筒部8によって排気される気体が排気口56に至るまでの排気経路のコンダクタンスを向上させることができる。したがって、排気口56とネジステータ11を対向させてポンプを低背化しても、ターボ分子ポンプ100の排気性能が悪化することがない。
【0039】
以上のように構成された第2実施形態は、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0040】
なお、本実施形態(図4図7(g))に示したように、少なくとも、領域R1から先端部11cに含まれるネジステータ11の外周面を小径部11Bとするのが好ましい。しかし、図7(h)、(j)に示すように、領域R1の一部の範囲のネジステータ11の全周を小径部11Bとしても良い。この場合も、図2に示すターボ分子ポンプ200のネジステータ11のような大径部および小径部が設けられていないネジステータ11に比べて、排気性能が良くなる。また、ネジステータ11の表面に物質が付着するのを抑制でき、さらに材料費も安くすることができる。
【0041】
―第2実施形態の変形例1―
第2実施形態では、ネジステータ11の全周に小径部11Bを設けたが、全周に設けることなく、排気口56の周辺に少なくとも設けてもよい。図8(a)は、吸気口31側から見た図であって、段部STをネジステータ11の外周面の一部11gには設けず、残りの部分11f(太線部分)には設けたターボ分子ポンプ100を説明する図である。このようなターボ分子ポンプ100であっても、排気性能の悪化を多少なりとも防ぐことができる。
【0042】
―第2実施形態の変形例2―
第1実施形態の変形例3で示した環状溝50aを第2実施形態のベース50の底面に形成することも可能である。
【0043】
―第2実施形態の変形例3―
第2実施形態の変形例2では、ベース50の底面50bの全周に環状溝50aを設けた。環状溝50aは、ベース50の底面50bの全周に設けなくてもよく、排気口56の周辺に少なくとも設けてもよい。図8(c)は、吸気口31側からベース底面50bの環状溝50aを見た図である。環状溝50aは、ベース50の底面50bの全周には設けず、太線で示すように所定角度範囲にのみ設けている。このようなターボ分子ポンプ100であっても、排気性能の悪化を多少なりとも防ぐことができる。
【0044】
―第3実施形態―
図5は、第3実施形態のターボ分子ポンプ100を示す図である。ネジステータ11は、図2に示すターボ分子ポンプ200のネジステータ11と同様である。ネジステータ11と後述する点以外は、第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。第3の実施形態のコンダクタンス増大機能部はベース50の内周面に設けた溝として構成したものである。
【0045】
本実施形態では、ベース50の内周面において、全周に環状溝50cが形成されており、排気口56は、環状溝50cに面して開口している。すなわち、ベース50の内周面において排気口56が開口する領域を包含する周方向の所定角度、第3実施形態では360度の範囲には、内周面から凹設した環状溝50cが設けられている。本実施形態では、環状溝50cがコンダクタンス増大機能部である。
【0046】
ターボ分子ポンプ100の回転軸方向における環状溝50cの幅は、排気口56の直径より大きい。このような環状溝50cが設けられることで、ネジステータ11の外周面と排気口56近傍のベース50の内周面との距離s4は、ネジステータ11のフランジ部11a近傍におけるネジステータ11の外周面とベース50の内周面との距離s1よりも大きい。これによって、ネジステータ11とロータ円筒部8によって排気された気体が排気口56に至るまでの排気経路のコンダクタンスを向上させることができるため、ターボ分子ポンプ100の排気性能を向上させることができる。
【0047】
−第3実施形態の変形例−
第3実施形態では、ベース50の内周面の全周に環状溝50cを設けた。環状溝50cは、ベース50の内周面の全周に設けなくてもよい。排気口56の周辺、すなわち、開口する領域を包含する周方向の所定角度のみに設けてもよい。図8(b)は、吸気口31側から見た図である。太線で示す環状溝50cは、ベース50の内周面の全周には設けず、所定角度範囲にのみ形成している。このようなターボ分子ポンプ100であっても、排気性能の悪化を多少なりとも防ぐことができる。
【0048】
―第4実施形態―
図6は、第4実施形態におけるターボ分子ポンプ100を示す図である。第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0049】
図6に示すように、第4実施形態におけるネジステータ11およびロータ円筒部8は、多重構造になっている。多重構造とは、ターボ分子ポンプ100の径方向、すなわち、図示左右方向にロータ円筒部8又はネジステータ11の円筒部分が複数設けられている構造を意味する。本実施形態では、ネジステータ11およびロータ円筒部8の両者の対向面のうち、ネジステータ11側の対向面にネジ溝が設けられている。このような多重構造にすることで、気体をより圧縮することができ、より高真空に到達させることができる。
【0050】
第4の実施形態では、ネジステータ11の最外周面の所定範囲に、コンダクタンス増大機能部として、テーパー構造T2を設けている。テーパー構造T2が設けられたネジステータ11の最外周面とベース50の内周面との距離s5は、テーパー構造T2が設けられていないネジステータ11の外周面とベース50の内周面との距離s1よりも大きくなっている。なお、図6では、先端部11cにおけるネジステータ11の最外周面からベース50の内周面までの距離を、距離s5の一例として示している。
【0051】
テーパー構造T2が形成され、距離s1より距離s5が大きくなることによって、ネジステータ11とロータ円筒部8から排気された気体が排気口56に至るまでの排気経路のコンダクタンスを向上させることができる。その結果、ターボ分子ポンプ100の排気性能を向上させることができる。
【0052】
本実施形態では、ネジステータ11およびロータ円筒部8の両者の対向面のうち、ネジステータ11側の対向面にねじ溝が設けられているとしたが、ネジステータ11およびロータ円筒部8の両者の対向面のうち、少なくともいずれか一方の対向面にネジ溝が設けられていればよい。
【0053】
―第4実施形態の変形例1―
第4実施形態では、ネジステータ11にテーパー構造T2を、全周に設けるとしたが、全周に設けることなく排気口56の周辺には少なくとも設ければよい。図8(a)は、吸気口31側から見た図であって、テーパー構造T2を、ネジステータ11の外周面の一部11gには設けず、残りの部分11f(太線部分)には設けたターボ分子ポンプ100を示した図である。このようなターボ分子ポンプ100であっても、排気性能の悪化を多少なりとも防ぐことができる。
【0054】
第1実施形態の変形例で示した環状溝50aを、第4実施形態のベース50の底面に形成することも可能である。
【0055】
第1〜4実施形態では、排気口56の全体がネジステータ11の外周面と対向しているが、排気口56の一部のみがネジステータ11の外周面と対向しているターボ分子ポンプ100、すなわち、ネジステータ11の先端部11cが排気口56と対向しているターボ分子ポンプ100においても本発明を適用することができる。
【0056】
なお、「排気口56の全体がネジステータ11の外周面と対向している」とは、排気口56の断面形状をネジステータ11の外周面に投影した場合に、その投影像の全てがネジステータ11の外周面上に形成されることを意味する。また、「排気口56の一部のみがネジステータ11の外周面と対向している」とは、排気口56の断面形状をネジステータ11の外周面に投影した場合に、その投影像の一部がネジステータ11の外周面上から外れていることを意味する。
【0057】
図7(a)〜(j)に、ネジステータ11の先端部11cおよび位置11bと、排気口56との具体的な位置関係を示す。図7(a)は、上述したとおり、第1実施形態のネジステータ11、および、そのネジステータ11と排気口56との位置関係を示している。図7(b)〜(f)は、第1実施形態を変形したものであって、外周面にテーパー構造T1を有するネジステータ11、および、そのネジステータ11と排気口56との位置関係を示している。
【0058】
図7(g)は、上述したとおり、第2実施形態のネジステータ11、および、そのネジステータ11と排気口56との位置関係を示している。図7(h)〜(j)は、第2実施形態を変形したものであって、外周面に段部STを有するネジステータ11、および、そのネジステータ11と排気口56との位置関係を示している。なお、第4実施形態で示したテーパー構造T2は、第1実施形態で示したテーパー構造T1と同様であるので、図7では、代表して、第1実施形態のテーパー構造T1の変形を示す。これらすべての実施形態、変形例のターボ分子ポンプは上述した作用効果を奏することができる。
【0059】
図7(a)は、第1実施形態であり、位置11bが位置Aよりも吸気口側に位置し、先端部11cが位置Bよりもベース底面側に位置することが特徴である。なお、位置11bがフランジ部11aの排気口56側の端部11eと等しいときは、図7(e)に示すように、ネジステータ11の外周面の全域に、テーパー構造T1が形成される。
【0060】
図7(b)は、位置11bが位置Aよりもベース底面側に位置し、先端部11cが位置Bよりもベース底面側に位置することが特徴である。図7(c)は、位置11bが位置Aよりも吸気口側に位置し、先端部11cが位置Bよりも吸気口側に位置することが特徴である。図7(d)は、位置11bが位置Aよりもベース底面側に位置し、先端部11cが位置Bよりも吸気口側に位置することが特徴である。なお、図7(c)において、位置11bがフランジ部11aの排気口56側の端部11eと等しいときは、図7(f)に示すように、ネジステータ11の外周面の全域に、テーパー構造T1が形成される。
【0061】
図7(g)は、第2実施形態であり、位置11bが位置Aよりも吸気口側に位置し、先端部11cが位置Bよりもベース底面側に位置することが特徴である。
【0062】
図7(h)は、位置11bが位置Aよりもベース底面側に位置し、先端部11cが位置Bよりもベース底面側に位置することが特徴である。図7(i)は、位置11bが位置Aよりも吸気口側に位置し、先端部11cが位置Bよりも吸気口側に位置することが特徴である。図7(j)は、位置11bが位置Aよりもベース底面側に位置し、先端部11cが位置Bよりも吸気口側に位置することが特徴である。
【0063】
以上、図7(a)〜(i)で示したターボ分子ポンプ100のいずれにおいても第1の実施形態で説明した作用効果を奏する。
【0064】
以上に示した実施形態および変形例は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、組み合わせることが可能である。たとえば、コンダクタンス増大機能部をネジステータ11とベース50の内周面の双方に設けてもよい。
【0065】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明は、以上の説明に何ら限定されるものではない。したがって、本発明は、ベースに固定されるネジステータと、ネジステータと協働して気体を排気するロータ円筒部が形成されたロータとを備え、排気口の少なくとも一部がネジステータの外周面と対向して配置され、真空排気部によりケーシングの吸気口から吸気した気体をベースに設けた排気口から排気する真空ポンプであって、排気口とネジステータとが対向する領域において、ネジステータおよびベースの内周面の少なくとも一方にコンダクタンス増大機能部が形成されている種々の形態の真空ポンプも含む。
【符号の説明】
【0066】
4:ロータ、 5:シャフト、 6:ロータディスク、 8:ロータ円筒部、
10:ロータ組立体、 11:ネジステータ、 11a:フランジ部、
11c:先端部、 11e:端部、 15:ボルト、 20:ロータ翼、
31:吸気口、 40:モータ、 44:ステータ翼、 50:ベース、
50a、50c:環状溝、
50b:底面、 52:ケーシング、 56:排気口、 56a:端部、
58:スペーサ、 62:上部ラジアル電磁石、 64:下部ラジアル電磁石、
66:スラスト電磁石、 ST:段部、 T1、T2:テーパー構造、
s1〜s5:距離、 100、200:ターボ分子ポンプ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8