特許第6390116号(P6390116)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6390116
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】使い捨ておむつ等の包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/00 20060101AFI20180910BHJP
   B65D 85/07 20170101ALI20180910BHJP
【FI】
   B65D33/00 C
   B65D85/07
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-34829(P2014-34829)
(22)【出願日】2014年2月26日
(65)【公開番号】特開2015-160614(P2015-160614A)
(43)【公開日】2015年9月7日
【審査請求日】2016年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】朝井 欣哉
【審査官】 西山 智宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−104436(JP,A)
【文献】 特開2001−201825(JP,A)
【文献】 特開2010−083497(JP,A)
【文献】 特表2009−520649(JP,A)
【文献】 特開2009−091018(JP,A)
【文献】 米国特許第02324017(US,A)
【文献】 特表平06−511452(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3023383(JP,U)
【文献】 特開2003−175970(JP,A)
【文献】 特開平09−104449(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3045026(JP,U)
【文献】 特開2001−322653(JP,A)
【文献】 特開2006−151429(JP,A)
【文献】 特開2011−201564(JP,A)
【文献】 特開2005−335791(JP,A)
【文献】 特開2013−147256(JP,A)
【文献】 特開2002−104439(JP,A)
【文献】 特開平11−091800(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D30/00−33/38
B65D75/00−77/40
B65D85/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム部材を含んで構成され,
互いに上下に対向する天面部(10)及び底面部(20)と,
前記天面部(10)及び前記底面部(20)を繋ぐ周面部(30)と,を有し,
前記周面部(30)は,互いに対向する前面部(31)及び後面部(32)と,互いに対向する左側面部(33)及び右側面部(34)とを含み,
前記周面部(30)の少なくとも一部において,前記フィルム部材の重なり合った部分を接合したシール部(40a,40b)が形成された,
包装袋であって,
前記シール部(40a,40b)は,前記フィルム部材を合掌状態で重ね合せて接合することにより,前記左側面部(33)と前記右側面部(34)の両方に,前記包装袋の上下方向に延びて形成されており,
前記左側面部(33)側のシール部(40a)と前記右側面部(34)側のシール部(40b)の両方又はいずれか一方に,前記上下方向と直交する周方向と一致する方向に沿って当該シール部(40a,40b)を切断するためのミシン目線(50)が当該シール部(40a,40b)の前記周方向と一致する方向の全域に亘って形成されており,
前記周面部(30)には易開封手段が形成されておらず,
前記フィルム部材は,厚さが10〜80μmであり,引き裂き強度が100〜800cNである
包装袋。
【請求項2】
前記包装袋は,被包装物(P)を前記上下方向に複数段積んだ状態で包装するものであり,
前記ミシン目線(50)は,前記被包装物(P)の段の区切れ位置の少なくとも一つに相当する位置において,前記シール部(40a,40b)に形成されている
請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記ミシン目線(50)は,前記被包装物(P)の段の区切れ位置のそれぞれに相当する位置において,前記シール部(40a,40b)に形成されており,
前記シール部(40a,40b)には,前記被包装物(P)の段を区別するための目印(41)が形成されている
請求項2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記フィルム部材は,裂け易い方向であるMD方向と,当該MD方向に直交するCD方向と,を有し,
前記周面部(30)は,前記周方向が前記フィルム部材のMD方向と一致し,前記上下方向が前記フィルム部材のCD方向と一致する
請求項1から請求項3のいずれかに記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,複数個の使い捨ておむつ等を被覆するための包装袋に関する。具体的に説明すると,本発明の包装袋は,その内部に収納された使い捨ておむつ等を取り出す際に袋を開封するための易開封手段が形成されたものである。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつ等の衛生用品は,一般的に,複数個を一つにまとめて圧縮し,上下に複数段,左右に複数個並べた状態で包装袋内に収納されている。このため,使い捨ておむつは,複数個を一セットとして包装袋に収納した状態で,運搬されたり販売されたりすることが多い。このような使い捨ておむつの包装袋は,運搬時や販売時において,その内部にホコリやゴミなどの異物が混入することを防ぐために,その内部を出来る限り密閉し,衛生状態を保つようにされている。このため,使い捨ておむつを使用するためには,包装袋を開封して開口部を形成し,この開口部から使い捨ておむつを取り出す必要がある。
【0003】
そこで,従来から,使い捨ておむつ等の包装袋に,袋の開封を容易にするためのミシン目線等を設ける技術が提案されている(例えば特許文献1,特許文献2,特許文献3)。
【0004】
例えば,特許文献1に記載の包装袋は,その前面から側面に掛けて,開封用のミシン目線を形成することとしている。すなわち,特許文献1の包装袋は,プラスチックフィルムによって,天地面,前後面,及び左右両側面を有するほぼ直方体の袋体を形成し,その内部に一方の側面から他方の側面にわたって多数の紙おむつを圧縮状態でかつ縦向きに重ね合わせた状態で収容している。そして,特許文献1に記載の包装袋は,一方の側面から前後面の一方の面に繋がり,その前後面の一方の面の裾に向かって,紙おむつの取り出し用のほぼアーチ状のミシン目または切れ目が形成されていることを特徴としている。
【0005】
また,特許文献2に記載の包装袋は,紙おむつ等被包装物用パッケージに関するものである。特許文献2の包装袋は,両谷折り線の離間区間内で前面部に被包装物を取り出す開口部を形成するための線状ミシン目を施しており,該線状ミシン目が,略逆U字形もしくは略逆V字形の急勾配山型形状となっている。
【0006】
また,特許文献3に記載の包装袋は,紙おむつ等の包装袋に関するものである。特許文献3の包装袋は,上開口部のシールラインよりも下方で充填収容される被包装物の上面に至るまでの区間で該包装袋の底面と概ね平行に破断線を付設している。これにより,紙おむつを取り出し易くすると同時に,破断線の上部が開口部を覆うためにゴミ等の混入も防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−100045号公報
【特許文献2】特開2001−294264号公報
【特許文献3】特開2011−301859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで,上記した特許文献1〜3に記載の包装袋は,いずれも,ミシン目線等の易開封手段を,包装袋の前面や,後面,左側面,右側面などの周面部分に形成したものである。しかしながら,これらの従来の技術のように,包装袋の周面部分にミシン目線を形成すると,周面を形成するフィルムに微細な貫通孔が複数形成されることとなる。すると,包装袋に形成されたミシン目線を通じて,包装袋の中に,湿気や,水分,塵,埃,ダニ,ノミなどの異物が入り込む可能性がある。例えば,包装袋の搬送中に雨水や飲料などの液体が掛った場合や,包装袋が埃っぽい場所に保管されている場合など,包装袋の中に異物が混入する恐れがある。そうすると,包装袋中の衛生状態を確保することができず,使い捨ておむつなどの衛生物品に悪影響を及ぼす恐れがあった。つまり,包装袋中の周面部分にミシン目線等を形成すると,包装袋の内部を完全には密閉することが出来ないという問題あった。
【0009】
このように,衛生物品である使い捨ておむつ等について,利用者が包装袋を開封したときに,その使い捨ておむつが塵や埃等で汚れていることは問題となる。また,使い捨ておむつは液体を吸収する性質を持つため,包装袋の中に湿気や水分が混入すると,使い捨ておむつの吸収性能に悪影響を及ぼす可能性がある。特に,包装袋は開封されずに長期間保管されることも想定されるため,包装袋の中に湿気等が入り込むと,その保管期間中に,使い捨ておむつにカビが繁殖してしまい,商品として販売できなくなる恐れもあった。
【0010】
このため,現在では,使い捨ておむつ等の衛生物品を被覆するための包装袋において,それを開封し易くするミシン目線などの易開封手段を設けつつも,そのミシン目線などの微細孔から異物が混入する事態を防止するための技術が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで,本発明の発明者は,上記した従来の問題の解決手段について鋭意検討した結果,包装袋の周面には,フィルム部材が重なり合った部分を接合したシール部が形成されていることに着目し,そのシール部にミシン目線などの易開封手段を設けることとした。包装袋のシール部は,包装袋の周面自体とは異なり,そこにミシン目線等の微細な孔を形成しても,その孔が包装袋の内部まで直接貫通することがない。このため,シール部にミシン目線等を形成することで,包装袋の内部を完全な密封状態に近づけることができるという知見を得た。そして,本発明者は,上記知見に基づけば,従来技術の課題を解決できることに想到し,本発明を完成させた。
具体的に説明すると,本発明は以下の構成を有する。
【0012】
本発明の第1の側面は,使い捨ておむつ等の衛生物品を被覆するための包装袋に関する。
本発明の包装袋は,フィルム部材を含んで構成されるものであり,互いに上下に対向する天面部10及び底面部20と,天面部10及び底面部20を繋ぐ周面部30と,を有する。これらの天面部10,底面部20,及び周面部30は,一枚のフィルム部材で構成されていることが好ましい。
また,本発明の包装袋は,周面部30の少なくとも一部において,フィルム部材の重なり合った部分を接合したシール部40が形成されている。このシール部40は,包装袋の上下方向に延びて形成されている。シール部40は,接着剤などでフィルムを貼り合わせて形成されていてもよいし,ヒートシールや超音波シールなどでフィルムを融着させて形成されていてもよい。
そして,本発明の包装袋において,シール部40には,上下方向と直交する周方向に沿って当該シール部40を切断するための易開封手段50が形成されている。
【0013】
上記構成のように,フィルム部材が複数層に重なって接合されたシール部40に,ミシン目線等の易開封手段50を形成することで,包装袋の周面部30等のような内部に直接貫通する部分にミシン目線等を形成する必要がなくなる。従って,本発明によれば,包装袋を略完全に密封することも可能となり,包装袋内部に湿気や埃などの異物が混入する事態を防止することができる。また,シール部40に周方向に沿って延びる易開封手段50を形成しておくことで,この易開封手段50に沿ってシール部40を切断したときに,シール部40と連動して,包装袋の周面部30が裂けるようになる。従って,シール部40を易開封手段50に沿って切断すれば,簡単に包装袋を開封することができる。
【0014】
本発明の包装袋において,シール部40は,フィルム部材を合掌状態で重ね合せて接合することにより形成されていることが好ましい。
【0015】
上記構成のように,フィルム部材を袋状に構成するにあたり,その一部が合掌状態で重なり合う部分を形成し,この合掌部分を接合することでシール部40を形成する。そして,この合掌状態にあるシール部40に易開封手段50を設けることにより,利用者は,そのシール部40を摘み持つことができるため,易開封手段50を介して包装袋を開封しやすくなる。特に,合掌状態のシール部40に易開封手段50を形成することで,包装袋の周面部30に貫通孔が形成される事態を,その構造上,完全に回避することが可能となる。
【0016】
本発明の包装袋において,周面部30は,互いに対向する前面部31及び後面部32と,互いに対向する左側面部33及び右側面部34と,を有していてもよい。この場合に,シール部40は,左側面部33と右側面部34の両方に形成されていることが好ましい。そして,易開封手段50は,左側面部33側のシール部40aと,右側面部34側のシール部40bの両方に形成されていることが好ましい。なお,易開封手段50は,左側面部33側のシール部40aと,右側面部34側のシール部40bのいずれか一方に形成されていてもよい。
【0017】
上記構成のように,シール部40a,40bを包装袋の左右両側に一つずつ形成し,その両方のシール部40a,40bに易開封手段50を設けることで,左右のどちらからでも包装袋を開封することが可能となる。このため,例えば,利用者は,包装袋の前面側又は後面側に掲載された説明などを読みながらであっても,左右の利き手に関係なく,容易に開封することが可能となる。さらに,本発明の包装袋は,従来技術のように周面部自体にミシン目線等を形成した場合と比較して,多少袋を開封しにくくなることも懸念されるが,包装袋の左右両側に一つずつ易開封手段50を形成することで,袋の開封しにくさを解消することができる。
【0018】
本発明の包装袋は,例えば使い捨ておむつ等の被包装物Pを,上下方向に複数段積んだ状態で包装するものであることが好ましい。この場合に,易開封手段50は,被包装物Pの段の区切れ位置の少なくとも一つに相当する位置において,シール部40に形成されていることが好ましい。
【0019】
上記構成のように,被包装物Pが複数段に積まれて収納されている場合に,その段の区切り位置と一致するように易開封手段50を形成することで,利用者は,包装袋を開封して,被包装物Pを一段毎に取り出すことができる。このため,包装袋を一度開封した後であっても,残りの段の被包装物Pをそのまま収納しておくことが可能となる。また,包装袋が開封される向きに被包装物Pを複数個並べて収納しておくことで,包装袋の形態を保ちながら,天面部10を含む上側部分をきれいに開封することができる。従って,包装袋内に残っている被包装物Pが減っている状態にあっても,この被包装物Pがばらけて,包装袋から飛び出したりする事態を防止できる。
【0020】
本発明の包装袋において,易開封手段50は,被包装物Pの段の区切れ位置のそれぞれに相当する位置において,シール部40に形成されていてもよい。この場合に,シール部40には,被包装物Pの段を区別するための目印41が形成されていることが好ましい。
【0021】
上記構成のように,例えば被包装物Pの一段目,二段目,及び三段目を区別することができるような目印41をシール部40に形成することで,利用者は,易開封手段50を介して包装袋を開封し,上の段から順に被包装物Pを取り出すことができる。これにより,包装袋の開封位置を理解し易くなるとともに,包装袋の利便性が向上する。また,使い捨ておむつ等の包装袋の本体には,一般的に,ミシン目線等の易開封手段に関する取り扱い説明を記載する必要があるが,シール部40に目印41を設けることで,易開封手段に関する説明を省略することもできる。従って,包装袋の本体(天面部,底面部,周面部等)に易開封手段に関する説明を表記する必要がなくなることから,その分,包装袋の本体に製品情報などを表記することができるようになり,パッケージのデザイン的な制約を減らすことができる。
【0022】
本発明の包装袋において,それを構成するフィルム部材は,裂け易い方向であるMD方向と,当該MD方向に直交するCD方向と,を有することが好ましい。この場合において,周面部30は,周方向がフィルム部材のMD方向と一致し,上下方向がフィルム部材のCD方向と一致することが好ましい。
【0023】
上記構成のように,周面部30を構成するフィルム部材のMD方向(フィルムの裂け易い方向)が,包装袋の周方向と一致していることで,易開封手段50に沿ってシール部40を切断したときに,シール部40と連動して包装袋の周面部30を開封し易くなる。また,フィルム部材はMD方向に沿って直線的に裂け易い性質を持つため,易開封手段50に沿ってシール部40を切断したときに,その易開封手段50が延びる方向に沿って周面部30が直線的に破断しやすくなる。よって,包装袋をきれいに開封できるようになる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば,包装袋を開封し易くするミシン目線などの易開封手段を設けた場合であっても,そのミシン目線などの微細孔から異物が混入する事態を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は,第1の実施形態に係る包装袋を示した外観斜視図である。
図2図2は,第1の実施形態に係る包装袋の展開図である。
図3図3は,図1に示した包装袋の開封状態の一例を示している。
図4図4は,包装袋のシール部に形成される易開封手段の様々な形態を示している。
図5図5は,第2の実施形態に係る包装袋を示した外観斜視図である。
図6図6は,第2の実施形態に係る包装袋の展開図である。
図7図7は,第3の実施形態に係る包装袋を示した外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。
【0027】
(1.第1の実施形態)
図1は,本発明の第1の実施形態に係る包装袋100の外観斜視図を示している。図1に示されるように,本実施形態の包装袋100は,天面部10,底面部20,及び周面部30から構成された本体部に,把手部材60が取り付けられた構成となっている。また,図2は,第1の実施形態に係る包装袋100のうち,本体部を構成するフィルム部材100´の展開図を示している。図2の展開図において,フィルム内の実線は折線を示している。図2に示されるように,本実施形態の包装袋は,熱可塑性樹脂からなる一枚の矩形状のフィルム部材100´を折り曲げて,一部を接合することにより,天面部10,底面部20,及び周面部30からなる袋状に構成することができるようになっている。
ただし,図1及び図2に示した実施形態は一例であり,例えば,天面部10,底面部20,及び周面部30からなる本体部を,複数枚のフィルム部材を繋ぎ合わせて構成することも可能である。
【0028】
図1に示されるように,本実施形態の包装袋100は,いわゆるループバック式の構造とされている。具体的に説明すると,本実施形態の包装袋100は,上下方向に互いに対向する天面部10及び底面部20と,これらの天面部10と底面部20とを繋ぐ周面部30を含んで構成されている。周面部30は,互いに対向する前面部31及び後面部32と,互いに対向する左側面部33及び右側面部34とに,区分されている。
【0029】
そして,左側面部33と右側面部34には,それぞれ,包装袋100の上下方向に延びるシール部40(40a,40b)が形成されている。左側面部33側のシール部40aは,左側面部33を構成するフィルムの一部を,合掌状態で二重に重ね合わせた状態で接合することにより形成されている。同様に,右側面部34側のシール部40bは,右側面部34を構成するフィルムの一部を,合掌状態で二重に重ね合わせた状態で接合することにより形成されている。このため,左右のシール部40(40a,40b)は,それぞれ,左右の側面部33,34から外側に突出するように形成されている。シール部40(40a,40b)は,流動性のある接着剤でフィルム部材を貼り合わせて形成されたものであってもよいし,ヒートシールや超音波シールによってフィルム部材を融着させることにより形成されたものであってもよい。
【0030】
また,図2の展開図を参照すればわかるように,本実施形態において,包装袋100を構成するフィルム部材100´は,長手方向の中央部分に天面部10に相当する部分が設けられ,折線に沿って適宜折り曲げることで,袋状に構成されるものである。このとき,左側面部33及び右側面部34の側方には,シール部40(40a,40b)に相当する部分が延出して形成されている。つまり,この延出部分を合掌状態に重ね合わせて接合することで,シール部40(40a,40b)が形成されて,左側面部33と右側面部34が綴じられるようになっている。
【0031】
また,本実施形態では,天面部10を中心にフィルム部材100´を折り曲げて,シール部40(40a,40b)においてフィルム部材100´を接合し,左側面部33と右側面部34を綴じた状態において,底面部20は開封されたままとなる。そこで,この底面部20の開口から,使い捨ておむつ等の被包装物を,複数個まとめて,包装袋100に詰め込むことができる。被包装物は,包装袋100の上下方向に複数段積み上げられて,且つ,包装袋の左右方向に複数個で並んだ状態で,包装袋内に詰め込まれることが好ましい。特に,被包装物が使い捨ておむつである場合,その使い捨ておむつは2つ折り又は3つ折りにされた状態で,包装袋100の左右方向に圧縮されて,包装袋100内に詰め込まれるものであることが好ましい。そして,複数段毎に複数個で並べられた被包装物を詰め込んだ後に,包装袋100の底面部20を接合して,袋内を密封状態とすればよい。
【0032】
また,図1及び図2に示されるように,本実施形態において,天面部10には,上方に突出したリブ11が形成されている。リブ11は,図2に示されるように,天面部10の前後において,フィルム部材100´が二重以上に重なるように,フィルム部材100´を谷折り及び山折りに折り返すことで形成できる。本実施形態では,このようにして形成されたリブ11に,把手部材60を取り付けることができる。把手部材60は,例えば帯状のフィルムや紐などを,リブ11に取り付けることによって構成できる。把手部材60は,前面部31側と後面部32側の両方に設けられていることが好ましい。一対の把手部材60は,例えば,包装袋100を搬送する際などに,人手によって把持することができる。
【0033】
続いて,上記のように構成された包装袋100を開封するための手段について説明する。
図1に示されるように,本発明の包装袋100は,シール部40(40a,40b)に,易開封手段50が形成されている。本実施形態では,シール部40(40a,40b)は,左側面部33と右側面部34のそれぞれに形成されている。この場合に,易開封手段50は,左側面部33側のシール部40aと,右側面部34側のシール40bのそれぞれに,形成されたものであることが好ましい。また,本実施形態において,シール部40(40a,40b)は,フィルム部材の一部を合掌状態で重ね合わせて接合することによって形成されており,このようなシール部40に易開封手段50が設けられている。易開封手段50とは,例えばミシン目線のように,それが形成された方向に沿ってシール部40を切断することを容易にするための手段である。図1に示されるように,本発明において,易開封手段50は,包装袋100の周方向と一致する方向に沿って形成されている。なお,ここにいう「周方向」とは,包装袋100を前面側又は後面側から見たときに,この包装袋100の上下方向(天面部10と底面部20を繋ぐ方向)に直交する方向である。図1に示されるように,周方向に沿って形成された易開封手段50は,上下方向に間隔をおいて複数箇所に形成されている。
【0034】
図3は,図1に示された包装袋100を,易開封手段50を介して,開封した状態を示している。図3に示されるように,易開封手段50に沿ってシール部40を切断すると,それがきっかけとなって,シール部40に連動して包装袋100の周面部30が裂けるようになる。これにより,包装袋100が周方向に沿って開封される。包装袋100を開封することで,包装袋100内に収納されている被包装物Pを取り出すことができる。被包装物Pの例は,使い捨ておむつや,尿パッド,生理用ナプキンなどの衛生物品である。
【0035】
ここで,図2及び図3に示されるように,包装袋100の本体部分を形成するフィルム部材100´は,MD方向とCD方向とを有することが好ましい。「フィルム部材のMD方向」とは,フィルム製造時における流れ方向(押し出し方向)であり,フィルムの分子配向に平行な向きであることから,一般的なフィルム部材はMD方向に裂け易いという性質を有している。他方,「フィルム部材のCD方向」とは,上記のMD方向と直交する方向であり,フィルムの分子配向と直交する向きであることから,一般的なフィルム部材はCD方向には裂け難いという性質を有している。ここで,図2及び図3に示されるように,フィルム部材100´のMD方向は,シール部40に形成された易開封手段50が延びる方向,すなわち包装袋100の周方向と一致することが好ましい。これにより,易開封手段50に沿ってシール部40を切断したときに,このシール部40と連動して,包装袋100の周面部30が周方向(MD方向)に沿って裂け易くなる。
【0036】
なお,本発明に採用されるフィルム部材の素材は,特に限定されるものではなく,公知の熱可塑性素材のものを適宜採用できる。フィルム部材の種類としては,例えば,HDPE(高密度ポリエチレン)フィルム,LDPE(低密度ポリエチレン)フィルム,LLDPE(リニア低密度ポリエチレン)フィルム等のポリエチレンフィルム,ポリスチレンフィルム,ポリプロピレンフィルムである。また,フィルム部材は,これらのフィルムを積層して得られたものであってもよい。また,フィルム部材の厚さは,例えば,10〜80μmであるのが望ましい。フィルム部材の厚さが80μmを超えると,引裂き性が不十分となり,開封作業が困難になる恐れがある。また,フィルム部材の厚さが10μm未満であると,フィルムの強度が十分でなく不用意に破れる恐れが高まる。フィルム部材の引き裂き強度は,100〜800cNであるのが望ましい。なお,ここでの引き裂き強度は,JIS K 7128(トラウザー引き裂き法)に準じて,200mm/minで測定した際のMD方向に引き裂いた時の強度である。この引き裂き強度が100cN未満であると,不用意に破ける恐れがあり,800cNを超えると包装体の開封作業が困難となる。また,フィルム部材の伸長率は,100〜700%であるのが望ましい。なお,ここでのフィルムの伸長率は、JIS K 7127に準じて試験片幅15mm,チャック間距離50mm,速度300mm/minで測定したフィルム部材のMD方向の伸長率である。フィルム部材の伸長率が100%未満であると十分な強度が得られにくく,また,取り扱い性に劣るようになる。フィルム部材の伸びが700%を超えると,開封時に伸びて開封しづらくなったり,包装体の形状が崩れやすくなり,輸送性や取り扱い性が悪化する。
【0037】
また,包装袋100の本体部分を形成するフィルム部材100´は,MD方向へのストレートカット性を確保するために,一軸延伸加工又は二軸延伸加工が施された延伸フィルムであることが好ましい。すなわち,フィルムを構成する合成樹脂は,ある程度の加熱をしながら一定方向に引き揃えることで分子が変形方向に並び強度が増す性質を有している。このため,フィルムを一軸方向又は二軸方向に延伸させることで,MD方向へのストレートカット性と,CD方向の強度を確保することができる。特に,本発明では,フィルム部材100´として,ポリプロピレン系二軸延伸フィルム(OPPフィルム)を用いることが好ましい。延伸フィルムの製造方法等は,公知の手法を用いればよい。
【0038】
図4は,シール部40に形成する易開封手段50の様々なバリエーションを示している。
図4(a)は,図1図3に図示した例と同様に,易開封手段50がミシン目線51である場合を示している。ミシン目線51は,複数のミシン目(微細孔)が,一又は複数列で並んで形成されたものである。ミシン目線は,複数のミシン目が一列に並んだものであってもよいし,二列以上に並んだものであってもよいし,千鳥線状に並んだものであってもよい。シール部40はフィルム部材が二層に重なり合って形成されているが,ミシン目線51は,この二層のフィルム部材の両方を貫通するようにミシン目(微細孔)が形成されたものであることが好ましい。
【0039】
図4(b)は,易開封手段50が,スリット52である場合を示している。スリット52は,シール部40に形成された切り込みである。スリット52は,シール部40の幅方向全体に亘って形成されたものではなく,シール部40の幅方向外側から内側に向かって途中まで形成されている。
【0040】
図4(c)は,易開封手段50が,切欠き53である場合を示している。切欠き53は,シール部40の一部を切り落とすことにより形成される。切欠き53は,例えば,シール部40の幅方向外側から内側に向かって先細となるように略V字型に形成されたものであることが好ましい。
【0041】
図4(d)は,易開封手段50が,シール部40に多数形成された貫通孔54である場合を示している。図4(d)に示した例では,シール部40に多数の貫通孔54を形成することで,どの部分からでも切断することのできるユニバーサルデザインを構成している。なお,このようなユニバーサルデザインは,シール部40に貫通孔54を形成することだけでなく,例えばシール部40を構成するフィルムの素材や繊維配向を調節して,どの位置からでも簡単に切断することができるようにしてもよい。
【0042】
上記構成のように,シール部40にミシン目線等の易開封手段50を形成することで,包装袋の周面部30等のような内部に直接貫通する部分に,ミシン目線等を形成する必要がなくなる。従って,本発明によれば,包装袋を略完全に密封することが可能となり,包装袋内部に湿気や埃などの異物が混入する事態を効果的に防止することができる。特に,合掌状態のシール部40に易開封手段50を形成することで,包装袋の周面部30に貫通孔が形成される事態を,構造上完全に回避することが可能となる。また,シール部40に周方向に沿って延びる易開封手段50を形成しておくことで,この易開封手段50に沿ってシール部40を切断したときに,シール部40と連動して包装袋の周面部30も裂けるようになる。従って,シール部40を易開封手段50に沿って切断すれば,簡単に,包装袋を開封することができる。特に,シール部40(40a,40b)を包装袋の左右両側に一つずつ形成し,その両方のシール部40(40a,40b)の両方に易開封手段50を設けることで,左右のどちらかでも包装袋を開封することが可能となる。さらに,本発明の包装袋は,従来技術のように周面部自体にミシン目線等を形成した場合と比較して,多少袋を開封しにくくなることも懸念されるが,包装袋の左右両側に一つずつ易開封手段50を形成することで,袋の開封しにくさを解消することができる。
【0043】
(2.第2の実施形態)
続いて,図5及び図6を参照して,本発明の第2の実施形態に係る包装袋200について説明する。第2の実施形態については,上述した第1の実施形態と異なる点を中心に説明し,第1の実施形態と同様の構成についてその説明を省略する。
【0044】
図5は,本発明の第2の実施形態に係る包装袋200の外観斜視図を示している。図5に示されるように,本実施形態の包装袋200は,天面部10,底面部20,及び周面部30から構成されている。また,図6は,第2の実施形態に係る包装袋200を構成するフィルム部材200´の展開図を示している。図6の展開図において,フィルム内の実線は折線を示している。図6に示されるように,本実施形態の包装袋200は,熱可塑性樹脂からなる一枚の矩形状のフィルム部材を折り曲げて,一部を接合することにより,天面部10,底面部20,及び周面部30からなる袋状に構成することができるようになっている。
【0045】
図5に示されるように,本実施形態の包装袋200は,いわゆるガゼットチューブ式の構造とされている。具体的に説明すると,本実施形態の包装袋200は,上下方向に互いに対向する天面部10及び底面部20と,これらの天面部10と底面部20とを繋ぐ周面部30を含んで構成されている。周面部30は,互いに対向する前面部31及び後面部32と,互いに対向する左側面部33及び右側面部34とに,区分されている。
【0046】
そして,図6の展開図に示されるように,フィルム部材200´の長手方向一端に位置する面(例えば左側面部33)と,長手方向の他端に位置する面(前面部31)を接合してシール部40を形成する。これにより,前後左右の面31,32,33,34が周方向に繋がるようになっている。具体的には,例えば,本実施形態では,左側面部33から接合代35が延出している。そして,この接合代35を,前面部31の表面に重ね合わせた状態で,接合代35と前面部31を接合することでシール部40が形成される。このように,シール部40は,非合掌状態でフィルム部材の一部を重ね合わせて形成したものであってもよい。これにより,左側面部33と前面部31とが連結する。
【0047】
ただし,第2の実施形態の変形例として,左側面部33と前面部31を連結する際に,左側面部33を構成するフィルム部材の一部を折り返すと共に,前面部31を構成するフィルム部材の一部を折り返して,合掌状態で重ね合わせて接合することも可能である。この場合,この合掌状態で重なりあった部分を,シール部40とすればよい。
【0048】
また,第2の実施形態において,包装袋200の天面部10のうち,前面部31と連結した部分と,後面部32から連結した部分には,開口部12が形成されている。図5に示されるように,天面部10のうちの開口部12が形成された前後の面は,互いに接合される。これにより,天面部10の開口部12が連通して一つの開口が形成される。この開口には,人手を挿し込むことができ,これにより天面部10は包装袋200の把手として機能する。
【0049】
また,本実施形態では,フィルム部材200´を折り曲げて,シール部40と天面部10においてフィルム部材200´を接合して袋状に形成した状態において,底面部20は開封されたままとなる。そこで,この底面部20の開口から,使い捨ておむつ等の被包装物を,複数個まとめて,包装袋200に詰め込むことができる。被包装物は,包装袋200の上下方向に複数段積み上げられて,且つ,包装袋の左右方向に複数個で並んだ状態で,包装袋内に詰め込まれることが好ましい。特に,被包装物が使い捨ておむつである場合,その使い捨ておむつは2つ折り又は3つ折りにされた状態で,包装袋200の左右方向に圧縮された状態で,包装袋200内に詰め込まれるものであることが好ましい。そして,複数段毎に複数個で並べられた被包装物を詰め込んだ後に,包装袋200の底面部20を接合して,袋内を密封状態とすればよい。
【0050】
本実施形態において,図5及び図6に示されるように,シール部40を形成する接合代35に,一又は複数の易開封手段50が形成される。易開封手段50の形態は,例えば図4に示したものを適宜採用することができる。つまり,本実施形態では,シール部40が,接合代35と前面部31の一部を重畳して形成されている。このため,このシール部40の上層を構成する接合代35にのみ易開封手段50を形成することで,易開封手段50がミシン目線等である場合でも,そのミシン目(微細孔)が包装袋200の内部にまで貫通することを防止できる。また,シール部40(特に接合代35)は易開封手段50に沿って簡単に切断することができる。そして,易開封手段50に沿ってシール部40を切断することで,シール部40に連動して,包装袋200の周面部30が周方向に裂けるようになる。これにより,易開封手段50を利用して,包装袋200を開封することができる。
【0051】
また,図6の展開図に示されるように,本実施形態においても,易開封手段50が延びる方向と,フィルム部材200´のMD方向が一致していることが好ましい。フィルム部材200´はMD方向に沿って裂け易い性質を有するため,このMD方向と易開封手段50の延伸方向を一致させることで,包装袋200を開封しやすくなる。
【0052】
また,図示は省略するが,図5及び図6に示した例において,左側面部33の一部と前面部31の一部とを合掌合わせにして接合し,シール部40を形成することもできる。この場合,シール部40を構成する2層のフィルムを貫通するように,易開封手段50を形成することが好ましい。
【0053】
また,図示は省略するが,第2の実施形態において,シール部40が,左側面部33又は右側面部34の中央部に位置するように,包装袋200を構成することも可能である。また,第2の実施形態では,シール部40が,周面部30の角部に位置するように,包装袋200を構成することも可能である。
【0054】
(3.第3の実施形態)
続いて,図7を参照して,本発明の第3の実施形態に係る包装袋300について説明する。第3の実施形態については,上述した第1の実施形態と異なる点を中心に説明し,第1の実施形態と同様の構成についてその説明を省略する。
【0055】
図7は,第3の実施形態に係る包装袋300を示した外観斜視図である。図7では,包装袋300内に収納された複数の被包装物Pを透過的に描画している。第3の実施形態に係る包装袋300は,上述した第1の実施形態と同様に,いわゆるループバック式の構造とされている。
【0056】
図7に示されるように,包装袋300内には,複数の被包装物Pが詰め込まれている。図7に示した例において,被包装物Pは,使い捨ておむつである。使い捨ておむつは,それぞれ,3つ折りとされた状態で包装袋300内に収納されている。被包装物Pは,包装袋300の上下方向に沿って,複数段で積み重なっている。図7に示された例では,被包装物Pは,3段に積み重なっている。その他,被包装物Pは,2段に積み重なっていてもよいし,4段以上で積み重なっていてもよい。また,被包装物Pは,一段毎に,包装袋300の左右方向に沿って,複数個が一列に並んで配置されている。図7に示された例では,一段に5個の被包装物Pが並んでいる。その他,被包装物Pは,一段毎に,3個ずつ並べられていてもよいし,6個以上並べられていてもよい。複数個の被包装物Pは,包装袋300内に詰め込まれる際に,包装袋300の左右方向に沿って圧縮されていることが好ましい。このように,被包装物Pを多少圧縮して包装することで,包装袋300内でバラバラになったり位置がズレたりすることを防止できる。
【0057】
ここで,本実施形態において,包装袋300の左右両側に形成されたシール部40(40a,40b)には,それぞれ,被包装物Pの上下の段の区切れ位置に相当する位置に,易開封手段50(ミシン目線)が形成されている。例えば,被包装物Pの段を,下から順に,一段目,二段目,三段目とする。このとき,一段目と二段目の境目と相当するように,一つ目の易開封手段50がシール部40に形成されている。同様に,二段目と三段目の境目と相当するように,二つ目の易開封手段50がシール部40に形成されている。なお,易開封手段50を形成する位置は,被包装物Pの段の区切れ位置と完全に一致している必要はなく,被包装物Pの段の区切れ位置とおよそ同じ位置(例えば誤差15mm以内)であればよい。また,易開封手段50は,被包装物Pの段の区切れ位置の全てに相当する位置に形成されていることが好ましいが,被包装物Pの段の区切れ位置の少なくとも一つに相当する位置に形成されていればよい。
【0058】
上記構成のように,上記構成のように,被包装物Pが複数段に積まれて収納されている場合に,その段の区切り位置に一致するように易開封手段50を形成することで,利用者は,包装袋300を開封して,被包装物Pを一段毎に取り出すことができる。このため,包装袋300を一度開封した後であっても,残りの段の被包装物Pをそのまま収納しておくことが可能となる。また,包装袋300が開封される向きに被包装物Pを複数個並べて収納しておくことで,包装袋300の形態を保ちながら,天面部10を含む上側部分をきれいに開封することができる。従って,包装袋300内に残っている被包装物Pが減っている状態にあっても,この被包装物Pがばらけて,包装袋300から飛び出したりする事態を防止できる。
【0059】
さらに,本実施形態において,包装袋300のシール部40(40a,40b)には,被包装物Pの段を区別するための目印41が形成されている。例えば,図7に示された例において,シール部40には,被包装物Pの段の下から順に,一段目と二段目と三段目のそれぞれに別々の模様(デザイン)が印刷されている。具体的には,シール部40の下縁からその上の易開封手段50の間と,二つの易開封手段50の間と,シール部40の上縁からその下の易開封手段50の間とで,別々の模様(デザイン)が施されている。これにより,利用者は,被包装物Pの段が区切れる位置を,シール部40に施された模様を見ることで一見して把握することができる。また,シール部40には,被包装物Pの段を区別するための目印41として,文字や数字等を示すこともできる。また,目印41は,シール部40に直接印刷することとしてもよいし,模様が記載されたラベルやステッカーとして貼り合わせることとしてもよい。
【0060】
以上,本願明細書では,本発明の内容を表現するために,図面を参照しながら本発明の実施形態の説明を行った。ただし,本発明は,上記実施形態に限定されるものではなく,本願明細書に記載された事項に基づいて当業者が自明な変更形態や改良形態を包含するものである。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は,使い捨ておむつ等の包装袋に関するものである。このため,本発明は,使い捨ておむつの製造業などにおいて好適に利用し得る。
【符号の説明】
【0062】
10…天面部 11…リブ 12…開口部
20…底面部 30…周面部 31…前面部
32…後面部 33…左側面部 34…右側面部
35…接合代 40…シール部 41…目印
50…易開封手段 51…ミシン目線 52…スリット
53…切欠き 54…無数の貫通孔 60…把手部材
100…包装袋(第1の実施形態) 100´…フィルム部材
200…包装袋(第2の実施形態) 200´…フィルム部材
300…包装袋(第3の実施形態) P…被包装物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7