(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記レンズが設けられた面よりも前記前端側に突出した前記第2下端面と、前記前端において前記ファイバ保持孔が形成された面よりも前記後端側に凹んで前記第2下端面を収容するように形成された前記第1下端面とが当接している、請求項2記載のレンズ付きコネクタ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本願発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施形態の内容を列記して説明する。
【0010】
本発明に係るレンズ付きコネクタは、その一側面として、光ファイバを保持するフェルールと、フェルールに固定されるレンズアレイとを備え、フェルールは後端と前端とを有し、後端に、後端から前端に向かって形成された光ファイバを保持するファイバ保持孔と連通する開口部を有し、前端に、レンズアレイが接続される第1接続部を有し、レンズアレイは、光ファイバからの光を受ける入射面を含んだ裏面と、光ファイバからの光を出射する出射面を含んだ表面と、を有し、裏面に、光ファイバからの光を受けるレンズと、第1接続部に接続される第2接続部とを有し、表面に、光ファイバからの光を出射する平坦面と、対向するコネクタに接続される第3接続部とを有する。
【0011】
このような構成によれば、フェルールと接続されるレンズアレイの裏面(レンズアレイにおけるフェルールと対向する面)にレンズが配置される。これにより、レンズアレイの表面(レンズ付きコネクタの端面に露出される面)にレンズが配置されない構成とでき、レンズアレイの表面を平坦面とすることができるので、レンズ付きコネクタの端面を容易に清掃することができる。また、フェルール前端の第1接続部と、レンズアレイ裏面の第2接続部とが接続可能とされているので、レンズ付きコネクタを容易に形成することができる。さらに、レンズアレイ表面には、対向するコネクタに接続される第3接続部が設けられているので、相手方コネクタとの接続も容易に行うことができる。以上より、本発明によれば、端面を清掃することが容易な裏面レンズ構成のレンズ付きコネクタを、容易に提供することができる。
【0012】
また、裏面及び前端は、互いに当接してレンズと前端との離間距離を定める当接面を有しており、裏面及び前端の間には、フェルールとレンズアレイとを固定する接着剤を裏面と前端との間に導入するための開放部が形成されていてもよい。レンズアレイの裏面及びフェルールの前端が当接することにより、裏面に設けられたレンズと前端との離間距離が一定の距離に決まる。そして、裏面及び前端が当接した状態において裏面及び前端の間に開放部が形成されるので、当該開放部に接着剤を導入することによって、フェルールとレンズアレイとを離間距離を保ちながら容易に固定することができる。
【0013】
また、当接面は、レンズを囲む周囲4方向のうち3方向を囲むように形成されていてもよい。レンズを囲むように当接面が形成されているので、開放部から導入された接着剤を適切に収容し、接着剤が漏れ出すことを防止できる。
【0014】
また、前端の当接面は、前端においてファイバ保持孔が形成された面よりも裏面側に突出するか又は後端側に凹んだ第1下端面を含み、裏面の当接面は、レンズが設けられた面よりも前端側に突出するか又は表面側に凹んだ第2下端面を含み、第1下端面は、第2下端面が前端側に突出している場合には後端側に凹んでおり、第2下端面が表面側に凹んでいる場合には裏面側に突出しており、第1下端面と第2下端面とが当接していてもよい。第1下端面及び第2下端面は、それらの一方が突出した面であり他方が凹んだ面である。このような第1下端面及び第2下端面が当接することにより、例えば凹凸がない面同士が当接されて当接面が形成される場合と比較して、開放部から導入される接着剤が漏れ出すことをより効果的に防止することができる。
【0015】
また、レンズが設けられた面よりも前端側に突出した第2下端面と、前端においてファイバ保持孔が形成された面よりも後端側に凹んで第2下端面を収容するように形成された第1下端面とが当接していてもよい。これにより、フェルールの前端においては、第2下端面が、ファイバ保持孔が形成された面よりも突出しない(裏面側に突出しない)構成とできるので、フェルールに光ファイバをセットした後(すなわち、ファイバ保持孔に光ファイバを通した後)において、光ファイバを研磨する際に第2下端面が研磨を妨げることがない。以上より、施工性を向上させることができる。
【0016】
また、レンズアレイは、裏面に、入射面の上端から開放部方向へ突出するリブを更に有してもよい。リブを有することによってレンズアレイの機械的強度が高まるので、開放部に導入した接着剤の硬化時における接着剤の体積変化による応力に耐えうる構成とでき、レンズアレイが変形することを防止できる。
【0017】
また、第3接続部は、レンズアレイに対して光が入出射する領域を挟んだ一対の位置に形成されており、第3接続部の一方は表面から突起したピンであり、他方は裏面側に凹んだ孔であってもよい。第3接続部がピンと孔とにより構成されていることにより、コネクタ同士を容易に接続することができる。また、例えばピンが設けられる位置、及び、孔が設けられる位置を各コネクタ間で共通化することにより、接続するコネクタ同士の上下方向を揃えて対向させた場合にはピンと孔とが対向することになるので、コネクタが上下逆に接続されることを防止できる。
【0018】
また、第1接続部は、前端におけるファイバ保持孔を挟んだ一対の位置に形成された孔であり、第2接続部は、レンズを挟んだ一対の位置に形成されたピンであってもよい。ピン(第2接続部)と孔(第1接続部)とが嵌合することによりフェルールとレンズアレイとが接続されるので、接続作業を容易に行うことができる。また、ファイバ保持孔を挟んだ一対の第1接続部、及びレンズを挟んだ一対の第2接続部により接続されることによって、ファイバ保持孔及びレンズの位置を安定的に固定することができ、光軸がずれることを抑制できる。
【0019】
また、第1接続部及び第2接続部には、互いに嵌合して仮固定できるラッチが形成されていてもよい。ラッチが形成されていることにより、第1接続部及び第2接続部を仮固定した後に、接着剤でフェルールとレンズアレイとを固定する作業を容易に行うことができる。
【0020】
また、フェルールとレンズアレイとは、線膨張係数が互いに同じである材料によって構成されていてもよい。これにより、温度変動によってファイバ保持孔の位置及びレンズの位置がずれにくくなり、温度変動によっても光学特性を変動しにくくすることができる。
【0021】
また、フェルールとレンズアレイとは接着剤により固定されており、接着剤はレンズを覆っており、接着剤の屈折率は、空気より大きく且つレンズアレイを構成する材料よりも小さくてもよい。これにより、レンズとファイバ端部との間の屈折率差を小さくすることができ、レンズ面でビームがフレネル反射されることによる損失を低減し、コネクタの光学特性を向上させることができる。
【0022】
[本願発明の実施形態の詳細]
以下、添付図面を参照しながら、本発明のレンズ付きコネクタの一態様について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0023】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るレンズ付きコネクタ1を示す斜視図である。レンズ付きコネクタ1は、多芯の光ファイバFを保持(固定)するとともに、その端部が、同様に光ファイバを保持したレンズ付きコネクタの端部と突き当たることにより、光ファイバ同士の光接続を行うコネクタである。レンズ付きコネクタ1は、光ファイバFを保持するフェルール10と、フェルール10の一端に固定されるレンズアレイ30とを備えている。フェルール10及びレンズアレイ30は線膨張係数が同等の材料で構成されていることが好ましく、例えば同じ材料で構成されている。フェルール10及びレンズアレイ30の材料としては、例えば透明樹脂であるPEI(Poly Ether Imide)又はULTEM等を用いることができる。なお、以下の説明においては、レンズ付きコネクタ1の幅方向をX方向、高さ方向をY方向、X方向及びY方向と交差する方向(光ファイバFの挿入方向)をZ方向として説明する。
【0024】
図2も参照しながらフェルール10の詳細について説明する。
図2は、
図1のレンズ付きコネクタ1のフェルール10を示す斜視図である。フェルール10は、後端11と、前端21とを有している。後端11には、光ファイバFを挿入する開口部12が形成されている。開口部12は、ファイバ保持孔13と連通している。ファイバ保持孔13は、光ファイバFの各芯線を保持する用途で設けられており、開口部12と連通し、後端11から前端21まで貫通形成されている。ファイバ保持孔13は、Y方向に多段(例えば2段)に形成されるとともに、各段のファイバ保持孔13がX方向に複数並んで配列されている。各ファイバ保持孔13は、それぞれ、開口部12側に形成された大径部13aと、大径部13aに連続し前端21側に形成された小径部13bとからなる(
図6参照)。大径部13aは被覆された状態の光ファイバFを保持し、小径部13bは光ファイバFの被覆を除去した裸ファイバを保持する。
【0025】
前端21は、ファイバ保持孔13が形成されたファイバ保持面23と、レンズアレイ30に当接する当接面24とを有している。当接面24は、ファイバ保持面23の上下左右4方向のうち、上方向(Y方向上方)を除く3方向を囲むように設けられている。すなわち、レンズアレイ30と当接した状態において、当接面24は、レンズ34の上下左右4方向のうち、上方向(Y方向上方)を除く3方向を囲むように設けられている。当接面24は、ファイバ保持面23よりも後端11側に凹んだ形状とされている。当接面24は、ファイバ保持面23の左右方向(X方向両側)に設けられた第1接続面24aと、ファイバ保持面23の下方向(Y方向下方)に設けられた第1下端面24bとからなる。第1接続面24a及び第1下端面24bは互いに面一に連続している。
【0026】
第1接続面24aには、レンズアレイ30が接続される第1接続部22が形成されている。第1接続部22は、後述するレンズアレイ30のガイドピンである第2接続部35(
図3参照)が挿入される孔である。第1接続部22は、X方向両側の第1接続面24aそれぞれに形成されている。すなわち、第1接続部22は、X方向に並んで配列されたファイバ保持孔13を挟むようにして、前端21におけるX方向両側に形成されている。
【0027】
上述したように、ファイバ保持面23の上方向(Y方向上方)には当接面24が設けられていない。このため、ファイバ保持面23の上方向には開放部25が形成されている。フェルール10とレンズアレイ30とが当接した状態において、当該開放部25は、ファイバ保持面23の上方向から、前端21及び裏面31(レンズアレイ30の裏面。
図3参照)の間にまで連通している。開放部25から接着剤50(
図1参照)が導入されることにより、ファイバ保持孔13に挿入された光ファイバFがファイバ保持孔13に固定されるとともに、フェルール10とレンズアレイ30とが固定される。なお、接着剤50(
図1参照)の屈折率は、空気よりも大きく且つレンズアレイ30を構成する材料よりも小さくされている。
【0028】
次に、
図3及び
図4も参照しながらレンズアレイ30の詳細について説明する。
図3は、
図1のレンズ付きコネクタのレンズアレイ30を示す斜視図である。
図4(a)はレンズアレイ30の正面図、
図4(b)はレンズアレイ30の背面図、
図4(c)はレンズアレイ30の平面図、
図4(d)はレンズアレイ30の側断面図である。レンズアレイ30は、入射面32を含んだ裏面31と、出射面42を含んだ表面41と、を有している。
【0029】
裏面31は、フェルール10のファイバ保持孔13に保持された光ファイバFからの光を受ける入射面32と、フェルール10に当接する当接面33とを有している。入射面32には、光ファイバFからの光を受けるレンズ34が設けられている。レンズ34は、ファイバ保持孔13の数に対応した数だけ設けられており、各ファイバ保持孔13に保持された光ファイバFの光軸と略一致する位置に配置されている。すなわち、光ファイバFの先端は、レンズ34の焦点位置に配置される。これにより、光ファイバFから出射されるビームは、レンズアレイ30の入射面32に入射しレンズ34でコリメートされた後にレンズアレイ30内を伝搬し、出射面42から出射される。レンズ付きコネクタ1が相手方の(対向する)レンズ付きコネクタと接続されると、コリメートされたビームが相手方のレンズ付きコネクタの出射面に入射しレンズアレイ内を伝搬し入射面のレンズに到達する。そしてレンズでコリメートされたビームが集光され光ファイバの先端に結合される。以上より、本実施形態のレンズ付きコネクタ1を用いれば、ビーム径が拡大されたコリメートビームの態様によりコネクタ間でビームの授受が行われる。そのため、例えばコネクタ端面についたほこり等により光学特性が劣化しにくく、また、フェルール10及びレンズアレイ30の位置決め精度が低い場合であっても光学特性が劣化しにくい(トレランスが広い)。
【0030】
当接面33は、入射面32よりもフェルール10の前端21側(開放部25側)に突出して設けられており、入射面32の左右方向(X方向両側)に設けられた第2接続面33aと、入射面32の下方向(Y方向下方)に設けられた第2下端面33bとからなる。第2接続面33a及び第2下端面33bは互いに面一に連続している。また、入射面32の上端には、入射面32よりもフェルール10の前端21側(開放部25側)に突出したリブ36が設けられている。リブ36の入射面32から前端21側に突出する長さは、当接面33が突出する長さよりも短い。また、リブ36は、入射面32の上端におけるX方向両側において、第2接続面33aを構成する突出部分の一部に繋がるように設けられている。これにより、開放部25から導入した接着剤50が硬化し体積変化が起こった場合においても、レンズアレイ30の入射面32及び出射面42がリブ36を介して左右に強固に支持されるので、入射面32及び出射面42が反りにくくなる。
【0031】
第2接続面33aには、フェルール10の第1接続部22に接続される第2接続部35が設けられている。第2接続部35は、孔状の第1接続部22に挿入されるテーパ状のガイドピンであり、X方向両側の第2接続面33aそれぞれに設けられている。第2接続部35は、フェルール10と組み合わされた状態において、第2接続面33aからフェルール10の前端21側に突出している。第2接続部35がテーパ状とされているので、第2接続部35の第1接続部22への挿入を容易に行うことができる。また、第1接続部22及び第2接続部35は、それぞれ前端21及び裏面31におけるY方向中心付近に配置されている。このことにより、フェルール10及びレンズアレイ30は、第1接続部22及び第2接続部35を介して安定的に支持されている。フェルール10及びレンズアレイ30では、第2接続部35が第1接続部22に挿入され、当接面24,33が互いに当接することにより、レンズ34とフェルール10の前端21との離間距離が定まっている。なお、当接面24,33が互いに当接している状態において、上述した開放部25は、レンズアレイ30とフェルール10との間に形成される隙間まで連通しているので、開放部25から導入された接着剤50は当該隙間にまで充填される。
【0032】
表面41は、光ファイバFからの光を出射する出射面42と、対向するレンズ付きコネクタに接続される第3接続部44とを有している。出射面42には光ファイバFからの光を出射する平坦な面である平坦面43が含まれている。第3接続部44は、レンズアレイ30に対して光が入出射する領域(すなわち平坦面43)を挟んだX方向両側に形成されている。また、第3接続部44は、表面41におけるY方向中心付近に配置されている。一方の第3接続部44aは表面41から突起したテーパ状のガイドピンであり、他方の第3接続部44bは裏面31側に凹んだ孔である。ガイドピンである第3接続部44a、及び、ガイドピンを挿入する孔である第3接続部44bそれぞれの位置関係を、各レンズ付きコネクタ1で共通化することにより、対向するレンズ付きコネクタ1を上下反転させずに接続することができる。このことによって、同じ形状のレンズ付きコネクタ1を用いて全ての接続を行うことが可能となり、雄雌コネクタが存在しないこと、金型を共通化させることができること等によって、低コスト化が実現される。
【0033】
次に、
図5及び
図6も参照しながらフェルール10とレンズアレイ30との接続状態について説明する。
図5は、
図1のレンズ付きコネクタ1の分解斜視図である。
図6は、
図1のレンズ付きコネクタ1の斜視断面図である。なお、
図5及び
図6においては、光ファイバFの図示を省略している。
【0034】
フェルール10及びレンズアレイ30が対向した状態において、フェルール10の第1接続部22及びレンズアレイ30の第2接続部35は、X方向及びY方向の位置が一致している。そして第2接続部35が第1接続部22に挿入されることにより、フェルール10の当接面24とレンズアレイ30の当接面33とが互いに当接する。より詳細には、フェルール10のX方向両側に設けられた第1接続面24aと、レンズアレイ30のX方向両側に設けられた第2接続面33aとが当接する。また、フェルール10のY方向下端に設けられた第1下端面24bと、レンズアレイ30のY方向下端に設けられた第2下端面33bとが当接し、下端当接面60が形成される。
【0035】
当該下端当接面60は、レンズ34が設けられた入射面32よりもフェルール10の前端21側に突出した第2下端面33bと、フェルール10の前端21においてファイバ保持孔13が形成されたファイバ保持面23よりもフェルール10の後端11側に凹んで(段差を形成して)第2下端面33bを収容するように形成された第1下端面24bとが当接することにより形成されている。このように、下端当接面60は、ファイバ保持面23よりもフェルール10の後端11側に凹んだ箇所に形成されているので、開放部25から接着剤50を導入した際に、接着剤50が漏れ出しにくい構造とすることができる。
【0036】
なお、
図6示されるように、ファイバ保持孔13の小径部13b上方においては、前端21から後端11に向かって斜め上方に傾斜した面である後退部28が形成されている。後退部28が形成されていることにより、開放部25とフェルール10の前端21との間隔を大きくすることができ、入射面32の上端からフェルール10の前端21側に突出したリブ36が設けられた構成においても、容易に接着剤50を導入することができる。
【0037】
以上説明した構成によれば、フェルール10と接続されるレンズアレイ30の裏面31にレンズ34が配置される。これにより、レンズアレイ30の表面41にレンズが配置されない構成とでき、レンズアレイ30の表面41を平坦面43とすることができるので、レンズ付きコネクタ1の端面を容易に清掃することができる。また、フェルール10の前端21に形成された第1接続部22と、レンズアレイ30の裏面31に形成された第2接続部35とが接続可能とされているので、レンズ付きコネクタ1を容易に形成することができる。さらに、レンズアレイ30の表面41には対向するコネクタに接続される第3接続部44が設けられているので、相手方コネクタとの接続も容易に行うことができる。以上より、端面を清掃することが容易な裏面レンズ構成のレンズ付きコネクタ1を、容易に提供することができる。
【0038】
また、裏面31及び前端21は、互いに当接してレンズ34と前端21との離間距離を定める当接面33,24を有しており、裏面31及び前端21の間には、フェルール10とレンズアレイ30とを固定する接着剤50を裏面31と前端21との間に導入するための開放部25が形成されている。レンズアレイ30の裏面31及びフェルール10の前端21が当接することにより、裏面31に設けられたレンズ34と前端21との離間距離が一定の距離に決まる。そして、裏面31及び前端21が当接した状態において裏面31及び前端21の間に開放部25が形成されるので、当該開放部25に接着剤50を導入することによって、フェルール10とレンズアレイ30とを離間距離を保ちながら容易に固定することができる。
【0039】
また、当接面33,24は、レンズ34を囲む周囲4方向のうち3方向を囲むように形成されている。レンズ34を囲むように当接面33,24が形成されているので、開放部25から導入された接着剤50を適切に収容し、接着剤が漏れ出すことを防止できる。
【0040】
また、ファイバ保持面23よりも後端11側に凹んだ第1下端面24bがフェルール10の前端21に形成され、入射面32よりも前端21側に突出した第2下端面33bがレンズアレイ30の裏面31に形成され、当該第1下端面24b及び第2下端面33bにより下端当接面60が形成されている。第1下端面24b及び第2下端面33bは、それらの一方が突出した面であり他方が凹んだ面である。このような第1下端面24b及び第2下端面33bが当接することにより下端当接面60が形成されるので、例えば凹凸がない面同士が当接されて当接面が形成される場合と比較して、開放部25から導入される接着剤50が漏れ出すことをより効果的に防止することができる。また、フェルール10の前端21においては、第2下端面33bが、ファイバ保持面23よりも突出しない(裏面31側に突出しない)構成とできるので、フェルール10に光ファイバFをセットした後(すなわち、ファイバ保持孔13に光ファイバFを通した後)において、光ファイバFを研磨する際に第2下端面33bが研磨を妨げることがない。以上より、施工性を向上させることができる。
【0041】
また、レンズアレイ30は、裏面31に、入射面32の上端から開放部25方向へ突出するリブ36を更に有する。リブ36を有することによってレンズアレイ30の機械的強度が高まるので、開放部25に導入した接着剤50の硬化時における接着剤50の体積変化による応力に耐えうる構成とでき、レンズアレイ30が変形することを防止できる。
【0042】
また、第3接続部44は、レンズアレイ30に対して光が入出射する領域を挟んだ一対の位置に形成されており、第3接続部44の一方は表面41から突起したピンであり、他方は裏面31側に凹んだ孔である。第3接続部44をピンと孔とにより構成されていることにより、コネクタ同士を容易に接続することができる。また、例えばピンが設けられる位置、及び、孔が設けられる位置を各コネクタ間で共通化することにより、接続するコネクタ同士の上下方向を揃えて対向させた場合にはピンと孔とが対向することになるので、コネクタが上下逆に接続されることを防止できる。
【0043】
また、第1接続部22は、前端21におけるファイバ保持孔13を挟んだ一対の位置に形成された孔であり、第2接続部35は、レンズ34を挟んだ一対の位置に形成されたピンである。ピン(第2接続部35)と孔(第1接続部22)とが嵌合することによりフェルール10とレンズアレイ30とが接続されるので、接続作業を容易に行うことができる。また、ファイバ保持孔13を挟んだ一対の第1接続部22、及びレンズ34を挟んだ一対の第2接続部35により接続されることによって、ファイバ保持孔13及びレンズ34の位置を安定的に固定することができ、光軸がずれることを抑制できる。
【0044】
また、フェルール10とレンズアレイ30とは、線膨張係数が互いに同じである材料によって構成されている。これにより、温度変動によってファイバ保持孔13の位置及びレンズ34の位置がずれにくくなり、温度変動によっても光学特性を変動しにくくすることができる。
【0045】
また、フェルール10とレンズアレイ30とは接着剤50により固定されており、接着剤はレンズを覆っており、接着剤50の屈折率は、空気より大きく且つレンズアレイ30を構成する材料よりも小さい。これにより、レンズ34とファイバ端部との間の屈折率差を小さくすることができ、レンズ34でビームがフレネル反射されることによる損失を低減し、コネクタの光学特性を向上させることができる。
【0046】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るレンズ付きコネクタについて説明する。なお、本実施形態の説明では、上記実施形態と異なる点について主に説明する。
【0047】
図7は、本発明の第2実施形態に係るレンズ付きコネクタ101を示す斜視図である。
図7に示されるように、レンズ付きコネクタ101は、光ファイバを保持するフェルール110と、フェルール110の一端に固定されるレンズアレイ130とを備えている。レンズ付きコネクタ101の基本構成は第1実施形態のレンズ付きコネクタ1と同様であるが、フェルール110に設けられる第1接続部、レンズアレイ130に設けられる第2接続部、及び、レンズアレイ130に設けられる第3接続部については、第1実施形態のレンズ付きコネクタ1と異なる構成とされている。
【0048】
図8は、
図7のレンズ付きコネクタ101のフェルール110を示す斜視図である。フェルール110の前端21には、レンズアレイ130に当接する当接面124が設けられている。当接面124は、ファイバ保持面23の左右方向(X方向両側)に設けられた第1接続面124aと、ファイバ保持面23の下方向(Y方向下方)に設けられた第1下端面24bとからなる。
【0049】
第1接続面124aには、レンズアレイ130が接続される第1接続部122が形成されている。第1接続部122は、ガイドピン(第2接続部)が挿入される構成である点において、レンズ付きコネクタ1の第1接続部22と一致するものの、その形状が異なっている。すなわち、レンズ付きコネクタ101のフェルール110では、第1接続面124aから後端11にかけて両側面127が円弧状に窪んだ形状とされており、当該円弧状に窪んだ形状のうち第1接続面124a近傍が第1接続部122とされている。また、円弧の開始地点及び終了地点(すなわち、円弧のY方向における上下端部)においては両側面127が更に窪むことにより段差形状122aが形成されている。
【0050】
第1接続部122において、段差形状122aは、前端21から後端11に向かうにつれてX方向内側からX方向外側に張り出すようにZ方向に対して傾斜した傾斜形状122xと、傾斜形状122xの後端(すなわち、傾斜形状122xにおいて最もX方向外側に張り出した箇所)からX方向内側に向かってX方向に延びるラッチ形状122yと、を有している。
【0051】
図9(a)はレンズアレイ130の正面側から見た斜視図、
図9(b)はレンズアレイ130の背面側から見た斜視図である。第1実施形態で説明したレンズアレイ30では第2接続部35が第2接続面33aから突出するように設けられていたのに対し、本実施形態のレンズアレイ130では、レンズアレイ30のX方向両側面137に沿うようにして第2接続部135が設けられている。第2接続部135は、両側面137に沿うように表面41から裏面31(より詳細には第2接続面133a)まで延び、更に、フェルール110と組み合わされた状態において、当接面133の第2接続面133aからフェルール110の前端21側に突出している。第2接続部135は円筒状のガイドピンであり、当該ガイドピンの外径の一部が両側面137からX方向外側(側方)に突出している。
【0052】
第2接続部135の先端部分には、当該先端部分を覆う凸部138が設けられている。凸部138は、円筒状の先端部分のうちX方向両端側の略半円を覆うように設けられている。また、凸部138の円周方向両端部分は、第2接続面133a側からフェルール110の前端21側に向かうにつれてX方向内側から外側へ向かって延びる傾斜形状139とされている。当該傾斜形状139の傾斜角度は、上述した傾斜形状122xの傾斜角度と略一致している。
【0053】
表面41には、X方向両側に第3接続部144が設けられている。一方の第3接続部144a(
図10参照)は表面41から突起したテーパ状のガイドピンであり、他方の第3接続部144bは裏面31側に凹んだ孔である。第3接続部144は、第2接続部135とZ方向において連続するように設けられており、第2接続部135同様、外径の一部が両側面137からX方向外側(側方)に突出している。第3接続部144の外径は、第2接続部135の外径と同じかやや細径とされている。
【0054】
次に、
図10及び
図11も参照しながら、フェルール110とレンズアレイ130との接続について説明する。
図10は、
図7のレンズ付きコネクタ101の分解斜視図である。
図11は、接続箇所の一部拡大図である。なお、
図10及び
図11においては、光ファイバFの図示を省略している。
【0055】
フェルール110及びレンズアレイ130が対向した状態において、フェルール110の第1接続部122及びレンズアレイ130の第2接続部135は、X方向及びY方向の位置が一致している。そして、円弧状に窪んだ第1接続部122に対して第2接続部135を沿わせるように挿入することにより、フェルール110及びレンズアレイ130が位置決めされる。
【0056】
第2接続部135を第1接続部122に挿入する際には、第1接続部122の傾斜形状122xと第2接続部135の傾斜形状139とを当接させた状態でレンズアレイ130をフェルール110側に押し込む。押し込む過程においては、ガイドピン(第2接続部135)及び孔(第1接続部122)の双方ともに、形状がわずかに変形する。変形した状態で、傾斜形状122x及び傾斜形状139の傾斜に沿って更に押し込むことにより、傾斜形状139から順に凸部138全体が傾斜形状122xの後端(すなわち、段差形状122aにおいて最もX方向外側に張り出した部分)を乗り越えた位置にまで到達する。当該乗り越えた位置に凸部138が配置されると、凸部138とラッチ形状122yとが嵌合することにより、凸部138(第2接続部135)が上記挿入方向(押し込み方向)と反対方向に移動することが抑制される。すなわち、フェルール110とレンズアレイ130とが仮固定される。このようにフェルール110とレンズアレイ130とを仮固定した状態で開放部25から接着剤50を導入することにより、フェルール110とレンズアレイ130の固定(本固定)を容易に行うことができ、作業性が向上する。
【0057】
なお、第2実施形態のレンズ付きコネクタ101では、フェルール110の両側面127が円弧状に窪んで第1接続部122が設けられるとともに、第2接続部135及び第3接続部144の外径の一部がレンズアレイ130の両側面137からX方向外側に突出するように設けられているため、レンズアレイ130の入射面32及び出射面42に対して第2接続部135及び第3接続部144が占める面積を減らすことが可能となる。その結果、入射面32により多くのレンズ34を設けることが可能となる。
【0058】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0059】
例えば、第1実施形態においては、ファイバ保持面23よりも後端11側に凹んだ第1下端面24bがフェルール10の前端21に形成され、入射面32よりも前端21側に突出した第2下端面33bがレンズアレイ30の裏面31に形成され、当該第1下端面24b及び第2下端面33bにより下端当接面60が形成されている、として説明したがこれに限定されない。すなわち、ファイバ保持面よりも裏面側に突出した第1下端面が形成されるとともに、入射面よりも表面側に凹んだ第2下端面が形成され、当該第1下端面及び第2下端面により下端当接面が形成されていてもよい。