(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0016】
<定着装置用ロール>
図1は、本発明の実施形態に係る定着装置用ロールの一例を示す、軸に垂直方向の概略断面図であり、
図2は、本発明の実施形態に係る定着装置用ロールの一例を示す、軸方向の概略断面図である。
【0017】
図1,2に示すように、定着装置用ロール10は、円筒状の基材12と、基材12の外周面上に設けられた弾性層14と、弾性層14の長手方向に設けられた複数の連続孔16と、を有し、連続孔16の断面積が、弾性層14の軸方向の中央部から端部に向けて増加している。なお、定着装置用ロール10の構成としては、
図1,2の層構成に限定されるものではなく、弾性層14の外周面上に離型層が設けられていてもよく、各層間にプライマー層(接着層)が設けられていてもよい。
【0018】
画像形成装置における加熱ロールおよび加圧ロールを備えるロール・ロール方式、加圧ロールおよび加熱ベルトを備えるベルト・ロール方式等の定着装置において、例えば連続通紙の際に、非通紙部となる加圧ロールの軸方向の端部の温度が上昇し、通紙部となる加圧ロールの軸方向の中央部に対して非通紙部の熱膨張量が大きくなり、加圧ロールが常温のときに比べて、加圧ロールの軸方向の端部と中央部のロール径の差が大きくなることがある。これにより、用紙幅方向に筋状の用紙変形が発生したり、加圧ロールの軸方向の端部の面圧が上昇して、加圧ロールの耐久性を低下させる等の不具合が発生することがある。本発明者らは、定着装置用ロールの弾性層の長手方向に複数の連続孔を設け、その断面積を軸方向で変化させた形状にすること、具体的には前記連続孔の断面積を、弾性層の軸方向の中央部から端部に向けて増加させることにより、連続通紙等の際の端部と中央部のロール径の熱膨張差が低減されることを見出した。これは、弾性層における連続孔の断面積が弾性層の軸方向の中央部から端部に向けて増加していない場合に比べて、端部側の弾性層内の熱が放出され易くなり、また、熱膨張する体積が減少するためと考えられる。
【0019】
連続孔16は、
図1,2に示すように、弾性層14の端部から中央部に向かって連続的に設けられた空孔である。連続孔16の断面形状としては、空孔の断面積が弾性層の軸方向の中央部から端部に向けて増加していればよく、断面形状に特に制限はない。連続孔16の断面形状は、例えば
図1に示すように円形状であるが、これに限定されず、三角形状、四角形状等の多角形状、楕円形状、扇形状等であってもよい。また、複数の連続孔16について、全て同じ断面形状であってもよいし、異なっていてもよい。一つの連続孔16について、軸方向で断面形状が変わってもよい。
【0020】
連続孔16の端部の最大部の断面積と中央部の最小部の断面積との比率は、弾性層14の軸方向の中央部から端部に向けて増加していればよく、特に制限はない。連続孔16の端部の断面積と中央部の断面積との比率(端部の断面積/中央部の断面積)は、例えば、1以上100以下の範囲である。
【0021】
弾性層14の端部における1つ当たりの連続孔16の断面積の最大部の大きさは特に制限はないが、例えば、弾性層14の軸方向の断面積の1/1000以上1/100以下の範囲程度である。1つ当たりの連続孔16の断面積の最大部の大きさが弾性層14の軸方向の断面積の1/1000未満であると、熱放出の効果が得られにくくなり、1/100を超えると、連続孔16の影響により弾性層14の機能が損なわれ、加熱ロール等との間のニップ幅の確保が困難となる場合がある。
【0022】
連続孔16は、
図2に示すように弾性層の一端部から他端部にかけて貫通していなくてもよいし、
図3に示すように弾性層の一端部から他端部にかけて貫通していてもよい。
【0023】
連続孔16の弾性層の軸方向の長さは、例えば、想定される最小の記録媒体を用いる場合に非通紙部となる部分に少なくとも連続孔16が存在するように設定すればよい。
【0024】
連続孔16の数および弾性層14における設置位置は、弾性層14にできるだけ均一に熱放出の効果が得られるように、複数の連続孔16を、弾性層14の外面とは予め定めた間隔を置いて、基材12の軸方向に沿って等角度間隔になるように設けることが好ましい。
【0025】
図4に示すように、連続孔16の軸方向の断面形状を三角形状等として、弾性層14の径方向の外面側から内面側に向かって小さくなるようにしてもよい。連続孔16の軸方向の断面形状が弾性層14の径方向の外面側から内面側に向かって小さくなっていない場合に比較して、内面側(基材12側)においてかかる応力に対する耐性が強くなり、弾性層の耐久性が向上すると考えられる。また、連続孔16の軸方向の断面形状が弾性層14の径方向の外面側から内面側に向かって小さくなっていることにより、弾性層14の外面側における熱放出の効果が得られやすくなり、弾性層の中央部と端部の熱膨張差がより低減されると考えられる。
【0026】
以上のような構成により、弾性層の加工性と、弾性層の機能を保ち、弾性層の中央部と端部の熱膨張差が低減される定着装置用ロールが提供される。
【0027】
基材12としては、例えば、アルミニウム、SUS(ステンレス鋼)、SUM(硫黄および硫黄複合快削鋼鋼材)、鉄等で構成された円筒体、円柱体等が挙げられる。基材12の外径および肉厚は、例えば、通常、外径15mm以上100mm以下であり、例えば、アルミニウム製の場合は、厚さ5mm以上、SUS、SUMまたは鉄製の場合は、厚さ3mm以上である。
【0028】
弾性層14の材料としては、例えば、硬度が10°以上80°以下(JIS−A)程度のシリコーンゴム、フッ素ゴム等が挙げられる。弾性層14は、発泡構造を有する発泡体であってもよい。
【0029】
弾性層14には、中空状ガラス粒子(ガラスバルーン)等の中空状粒子を含有させてもよい。ガラスバルーンは内部が空洞であるため熱膨張しにくく、ガラスバルーンを含有させることにより、弾性層14が熱膨張しにくくなる。
【0030】
ガラスバルーン等の中空状粒子のメジアン径は、例えば、1μm以上500μm以下の範囲である。
【0031】
ガラスバルーン等の中空状粒子の含有量は、例えば、弾性層14に対して5vol%以上60vol%以下の範囲である。
【0032】
弾性層14の厚みは、例えば、2mm以上10mm以下であり、好ましくは3mm以上10mm以下である。
【0033】
必要に応じて設けてもよい離型層の材料としては、例えば、フッ素樹脂等が挙げられる。フッ素樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等が挙げられる。また、離型層の材料としては、これらフッ素樹脂の複合材料、また、これらの樹脂に充填材(例えばカーボン、アルミナ、硫酸バリウム等)を配合したものも挙げられる。
【0034】
離型層の厚みは、例えば、10μm以上500μm以下であり、好ましくは20μm以上200μm以下である。離型層として、例えば、この厚さのPFAチューブ等のフッ素樹脂チューブを被覆してもよい。
【0035】
必要に応じて設けてもよいプライマー層(接着層)の材料としては、例えば、東レ・ダウコーニング社製、プライマーDY39−051A/B等が挙げられる。
【0036】
<定着装置>
図5は、本実施形態に係る定着装置を示す概略構成図である。本実施形態に係る定着装置20は、例えば、
図5に示すように、熱源32(例えばハロゲンヒータ等)を内部に有する加熱ロール22(第1回転体)と、加熱ロール22の外周面に接離して配置される加圧ロール30として上記定着装置用ロール10(第2回転体)と、を備える。加圧ロール30はその軸方向を加熱ロール22の軸方向と沿うように加熱ロール22に接触して配置されている。ここで、加熱ロール22は、回転駆動するロールであり、加圧ロール30が加熱ロール22と互いの外周面が接触して配置されることで、加圧ロール30は加熱ロール22の回転に伴って回転する。
【0037】
加熱ロール22は、周知の構成であればよく、例えば、円筒状の基材24(例えば、SUS基材や、アルミニウムまたはその合金基材等)と、基材24の外周面に設けた弾性層26(例えば、シリコーンゴム層やフッ素ゴム層等)と、弾性層26上に設けられた離型層28と、で構成されている。
【0038】
本実施形態に係る定着装置20では、加熱ロール22と加圧ロール30とを接触して配置させ、加熱ロール22を回転駆動させる。そして、未定着のトナー像を形成された記録媒体を、双方のロールの間に狭持させ搬送させる。このとき、加熱ロール22から伝達される熱でトナー像を溶融させると共に、双方のロールの間の圧力によりトナー像を記録媒体の表面に圧着させ、トナー像を定着する。
【0039】
また、本実施形態に係る定着装置20では、第1回転体として加熱ロール22、第2回転体として加圧ロール30を採用し、加圧ロール30として上記本実施形態に係る定着装置用ロール10を適用したいわゆるロール・ロール方式の定着装置について説明したが、これに限られず、回転駆動する第1回転体として加熱ベルト、第2回転体として加圧ロールを採用し、加圧ロールとして上記本実施形態に係る定着装置用ロール10を適用した、いわゆるベルト・ロール方式の定着装置であってもよい。
【0040】
<画像形成装置>
本実施形態に係る画像形成装置は、前記本実施形態に係る定着装置用ロール10を備えるものであればよく、特に制限はない。画像形成装置は、例えば、像保持体と、像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、像保持体の表面に形成された静電潜像を現像剤を用いて現像してトナー像を形成する現像手段と、現像されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写されたトナー像を定着するための定着手段とを備え、定着手段は上記本実施形態に係る定着装置用ロール10を有する。本実施形態の画像形成装置は、必要に応じて、転写後の像保持体の表面に残留した残留トナー等を除去して清掃する像保持体清掃手段を備えていてもよい。
【0041】
本実施形態に係る画像形成装置の一例の概略構成を
図6に示し、その構成について説明する。画像形成装置1は、静電潜像が形成される像保持体としての感光体54と、感光体54の表面を帯電する帯電手段としての帯電装置50と、レーザ光あるいは原稿の反射光などにより感光体54の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段としての露光装置52と、感光体54の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する現像手段としての現像装置56と、感光体54表面のトナー像を記録媒体である記録用紙62に転写処理する転写手段としての転写ロール58と、感光体54の表面に接触して、転写後に感光体54の表面に残留した残留トナーなどを除去して清掃する像保持体清掃手段としてのクリーニングブレード60と、記録媒体に転写されたトナー像を定着するための定着手段としての加熱ロール22と上記定着装置用ロール10である加圧ロール30を有する定着装置20とを備える。画像形成装置1において、感光体54の周囲に、帯電装置50、露光装置52、現像装置56、転写ロール58、クリーニングブレード60がこの順序で配置されている。なお、
図6では、他の電子写真プロセスにおいて通常必要な機能ユニットは、その記載を省略してある。
【0042】
本実施形態に係る画像形成装置1の動作について説明する。
【0043】
まず、帯電装置50により感光体54の表面が帯電される(帯電工程)。次に、露光装置52により感光体54の表面に光が当てられ、光の当てられた部分の帯電電荷が除去され、画像情報に応じて静電潜像(静電荷像)が形成される(潜像形成工程)。その後、静電潜像が現像装置56により現像され、感光体54の表面にトナー像が形成される(現像工程)。例えば、感光体54として有機感光体を用い、露光装置52としてレーザビーム光を用いたデジタル式電子写真複写機の場合、感光体54の表面は、帯電装置50により負電荷を付与され、レーザビーム光によりドット状にデジタル潜像が形成され、レーザビーム光の当たった部分に現像装置56でトナーを付与され可視像化される。この場合、現像装置56にはマイナスのバイアスが印加されている。次に転写ロール58で、記録媒体である記録用紙62がこのトナー像に重ねられ、記録用紙62の裏側からトナーとは逆極性の電荷が記録用紙62に与えられ、静電気力によりトナー像が記録用紙62に転写される(転写工程)。転写されたトナー像は、定着手段としての加熱ロール22と加圧ロール30を有する定着装置20において熱および圧力が加えられ、記録用紙62に融着されて定着される(定着工程)。一方、転写されずに感光体54の表面に残存したトナー等の残留物はクリーニングブレード60により除去される(像保持体清掃工程)。この帯電工程から像保持体清掃工程に至る一連のプロセスで一回のサイクルが終了する。なお、
図6において、転写ロール58で記録用紙62に直接トナー像が転写されているが、中間転写ベルト等の中間転写体を介して転写されてもよい。
【0044】
帯電手段である帯電装置50としては、例えば、
図6に示すようなコロトロンなどの帯電器が用いられるが、導電性または半導電性の帯電ロールを用いてもよい。導電性または半導電性の帯電ロールを用いた接触型帯電器は、感光体54に対し、直流電流を印加するか、交流電流を重畳させて印加してもよい。例えばこのような帯電装置50により、感光体54との接触部近傍の微小空間で放電を発生させることにより感光体54表面を帯電させる。なお、通常は、−300V以上−1000V以下に帯電される。また前記の導電性または半導電性の帯電ロールは単層構造あるいは多重構造でもよい。また、帯電ロールの表面をクリーニングする機構を設けてもよい。
【0045】
感光体54は、少なくとも静電潜像(静電荷像)が形成される機能を有する。電子写真感光体は、円筒状の導電性の基体外周面に必要に応じて下引き層と、電荷発生物質を含む電荷発生層と、電荷輸送物質を含む電荷輸送層とがこの順序で形成されたものである。電荷発生層と電荷輸送層の積層順序は逆であってもよい。これらは、電荷発生物質と電荷輸送物質とを別個の層(電荷発生層、電荷輸送層)に含有させて積層した積層型感光体であるが、電荷発生物質と電荷輸送物質との双方を同一の層に含む単層型感光体であってもよく、好ましくは積層型感光体である。また、下引き層と感光層との間に中間層を有していてもよい。また、感光層の上に保護層を有してもよい。また、有機感光体に限らずアモルファスシリコン感光膜など他の種類の感光層を使用してもよい。
【0046】
露光装置52としては、特に制限はなく、例えば、感光体54表面に、半導体レーザ光、LED(Light Emitting Diode)光、液晶シャッタ光などの光源を、所望の像様に露光するレーザ光学系、LEDアレイなどの光学系機器などが挙げられる。
【0047】
現像手段は、感光体54上に形成された静電潜像を静電荷像現像用トナーを含む一成分現像剤あるいは二成分現像剤により現像してトナー像を形成する機能を有する。そのような現像装置としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択すればよく、トナー層が感光体54に接触する方式のものでも、接触しない方式のものでもよい。例えば、
図6のように静電荷像現像用トナーを現像装置56を用いて感光体54に付着させる機能を有する現像器、あるいはブラシなどを用いてトナーを感光体54に付着させる機能を有する現像器など、公知の現像器などが挙げられる。
【0048】
転写手段である転写装置としては、例えば、記録用紙62の裏側からトナーとは逆極性の電荷を記録用紙62に与え、静電気力によりトナー画像を記録用紙62に転写するもの、あるいは
図6に示すような記録用紙62の表面に記録用紙62を介して直接接触して転写する導電性または半導電性のロール等を用いた転写ロールおよび転写ロール押圧装置を用いればよい。転写ロールには、像保持体に付与する転写電流として、直流電流を印加してもよいし、交流電流を重畳させて印加してもよい。転写ロールは、帯電すべき画像領域幅、転写帯電器の形状、開口幅、プロセススピード(周速)等により、任意に設定すればよい。また、低コスト化のため、転写ロールとして単層の発泡ロール等が好適に用いられる。転写方式としては、記録用紙62に直接転写する方式でも、中間転写体を介して記録用紙62に転写する方式でもよい。
【0049】
中間転写体としては、公知の中間転写体を用いればよい。中間転写体に用いられる材料としては、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアルキレンフタレート、PC/ポリアルキレンテレフタレート(PAT)のブレンド材料、エチレンテトラフロロエチレン共重合体(ETFE)/PC、ETFE/PAT、PC/PATのブレンド材料等が挙げられるが、機械的強度の観点から熱硬化ポリイミド樹脂を用いた中間転写ベルトが好ましい。
【0050】
像保持体清掃手段としては、像保持体上の残留トナー等を除去して清掃するものであれば、ブレードクリーニング方式、ブラシクリーニング方式、ロールクリーニング方式を採用したもの等、適宜選定して差し支えない。これらの中でもクリーニングブレードを用いることが好ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。中でも、耐摩耗性に優れていることから、特にポリウレタン弾性体を用いることが好ましい。
【0051】
定着手段としての定着装置20としては、記録用紙62に転写されたトナー像を加熱、加圧あるいは加熱加圧により定着するものであり、前記本実施形態に係る定着装置用ロール10を備えるものであればよく、特に制限はない。
【0052】
トナー像を転写する記録媒体である記録用紙62としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタなどに使用される普通紙、OHPシートなどが挙げられる。定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、転写材の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂などでコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙などが好適に使用される。
【0053】
本実施形態に係る画像形成装置の各構成については、これらに限らず従来から電子写真方式の画像形成装置の各構成として公知の構成を適用してもよい。すなわち、像保持体、帯電手段、潜像形成手段、現像手段、転写手段、像保持体清掃手段、除電手段、給紙手段、搬送手段、画像制御手段等について、必要に応じて従来公知のものが適宜採用される。これらの構成については、本実施形態において特に限定されるものではない。
【0054】
なお、本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真感光体に形成したトナー像を記録媒体へ直接転写する方式の装置について説明したが、これに限られず、電子写真感光体に形成したトナー像を中間転写体を介して記録媒体に転写する中間転写方式の装置、または複数の電子写真感光体を中間転写体の直列に設けたタンデム方式の装置等、周知の構成を適用してもよい。
【0055】
本実施形態に係る画像形成装置は、例えば、複写機、プリンタ、またはファクシミリ等の画像形成装置に適用され得る。
【実施例】
【0056】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0057】
<
参考例1>
信越化学社製シリコーンゴム含有液(KE−1950−10A/B、材料粘度A/B共55Pa・s、比重1.01、硬化後の硬度14°、TypeA)に対し、A液、B液に各々、ガラスバルーン(3M社製、グラスバブルズK37、メジアン径45μm、90%残存耐圧強度21MPa、比重0.37)を25vol%の割合で混合し、プラネタリーミキサ(株式会社井上製作所製、PLM−5)にて30分間撹拌、混練りを行った。その後、A液およびB液を等量ずつ量りとり混合して、再度プラネタリーミキサで30分間撹拌、混練りを行い、ガラスバルーンが略均一に分散されたガラスバルーン分散シリコーンゴム材を得た。
【0058】
[ロールの成型]
φ18mmの円筒状の基材(材質SUM)のシリコーンゴム被覆部に、プライマー剤(東レ・ダウコーニング社製、プライマーDY39−051A/B)を塗布し、30分間風乾させた。その後、150℃のオーブン中で、30分間、加熱処理を行った。
図7に示すような外径30mm、内径φ28mm、長さ400mmの円筒状金属金型に、離型層となるφ27mm、厚み0.05mm、長さ500mmの導電PFAチューブ(グンゼ社製)を挿入し、両端を金型端部で折り返し、金型と導電PFAチューブとの間を真空吸引し、チューブを金型の内面に密着させた。チューブ内面にプライマー剤(東レ・ダウコーニング社製、プライマーDY39−125A/B)を塗布し、10分間風乾させた後、金型に上記基材を挿入し、
図8に示すように金型両端にキャップ型を装着し、金型の中心に基材をセットした。この際、両端に装着するキャップ型の内面には、
図7に示すような円錐状のピン(最大径0.85mm、長さ130mm)を基材の軸方向に沿って等角度間隔で12本設けたものを用いた。このピンにより弾性層の連続孔が形成されることになる。
図7のLSR(液状シリコーンゴム)注入口から、金型内面に真空吸引により密着させた導電PFAチューブと、中心にセットした基材との間に、上記で調製したガラスバルーン分散シリコーンゴム材を注入した。その後、金型を150℃オーブン中で、10rpmの速度で横置きで回転させながら1時間加硫させ、シリコーンゴムの一次加硫を行った。金型からロールを脱型し、余剰のチューブ部とゴムバリ部を、シリコーンゴム幅350mmになるように両端で切断した。200℃オーブン中4時間、二次加硫を行い、
図2に示すような定着装置用ロールを得た。
【0059】
<実施例2>
金型両端に装着するキャップ型として、円錐状のピン(最大径0.85mm、最小径0.2mm、長さ185mm)を基材の軸方向に沿って等角度間隔で12本設けたものを用いた以外は、
参考例1と同様にしてロールを成型し、
図3に示すような定着装置用ロールを得た。
【0060】
<
参考例3>
金型両端に装着するキャップ型として、三角錐状のピン(最大辺0.8mm、最小辺0.2mm、長さ130mm)を基材の軸方向に沿って等角度間隔で12本設けたものを用いた以外は、
参考例1と同様にしてロールを成型し、
図4に示すような定着装置用ロールを得た。
【0061】
<比較例1>
参考例1において、両端に装着するキャップ型の内面に設けたピンの形状を円柱状(径0.85mm、長さ185mm)とした以外は、
参考例1と同様にしてロールを成型し、
図9に示すような定着装置用ロールを得た。
図9の定着装置用ロールでは、円筒状の基材82と、基材82の外周面上に設けられた弾性層84と、弾性層84の長手方向に設けられた複数の連続孔86と、を有し、連続孔86の断面積が弾性層14の軸方向の中央部から端部に向けて増加しておらず、中央部の断面積と端部の断面積がほぼ同じである。
【0062】
<比較例2>
参考例1において、両端に装着するキャップ型にピンを設けなかった以外は、
参考例1と同様にしてロールを成型し、定着装置用ロールを得た。
【0063】
[評価]
得られた定着装置用ロールのサンプルを、富士ゼロックス社製Apeos C3370の定着装置を用いたベンチマシンに加圧ロールとして装着し、記録用紙(J紙、富士ゼロックス社製カラーコピー用紙)で連続走行した場合の、非通紙部と通紙部の定着ロールの熱膨張段差と用紙幅方向に筋状の用紙変形が発生するまでの連続通紙枚数を評価した。なお、Apeos C3370の定着装置は、
図5に示すロール・ロール方式とは異なり、ベルト・ロール方式である。熱膨張段差は、レーザ変位計(KEIENCE社製、LK30型)を用いて、通紙部と非通紙部の加圧ロール表面との距離を同時に測定し、その差分を熱膨張段差とした。
図10に、
参考例1および比較例1における連続通紙枚数と、弾性層の通紙部と非通紙部との熱膨張段差(単位μm)とを示し、
図11に、弾性層の軸方向(単位mm)の熱膨張段差(単位μm)を示す。結果を表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
このように実施例の定着装置用ロールを用いると、比較例の定着装置用ロールを用いた場合に比較して、弾性層の軸方向の中央部と端部の熱膨張差が低減された。