特許第6390372号(P6390372)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6390372車両における車載部品取付用のブラケット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6390372
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】車両における車載部品取付用のブラケット
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20180910BHJP
   B60H 1/00 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   B60R11/02 Z
   B60H1/00 102P
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-232710(P2014-232710)
(22)【出願日】2014年11月17日
(65)【公開番号】特開2016-94154(P2016-94154A)
(43)【公開日】2016年5月26日
【審査請求日】2017年10月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000176811
【氏名又は名称】三菱自動車エンジニアリング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 弘和
【審査官】 上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−082687(JP,U)
【文献】 実開平04−047328(JP,U)
【文献】 実開昭48−026640(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
B60H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左ハンドルの車両に搭載される左ハンドル用車載部材と、前記左ハンドル用車載部材と左右対称の形状で右ハンドルの車両に搭載される右ハンドル用車載部材と、に車載部品を取着するためのブラケットであって、
前記左ハンドル用車載部材と前記右ハンドル用車載部材には、車両前後方向で、車両後面側向きを固定面とした第1の取付部と、前記第1の取付部より車両後方に位置し、車両後面を固定面とした第2の取付部とが形成され、
前記ブラケットは前記車載部品が固定支持されるブラケット側取付片部を有する本体板部と、前記本体板部の一端から屈曲部を介して延出され前記第1の取付部に固定される第1の取付板部と、前記本体板部の一端とは対向する前記本体板部の他端から屈曲部を介して前記第1の取付板部の延出方向と反対方向に延出され前記第1の取付板部と平行する前記第2の取付部に固定される第2の取付板部とを備え、
前記第1の取付板部に、前記左ハンドル用車載部材の第1の取付部と右ハンドル用車載部材の第1の取付部とに取着可能な第1の取付孔が設けられ、
前記第2の取付板部には、前記左ハンドル用車載部材の前記第2の取付部に取着可能な第2の取付孔と、前記右ハンドル用車載部材の前記第2の取付部に取着可能な第3の取付孔とが、前記第2の取付板部の延出方向と直交する方向に所定の間隔をおいて設けられ、
前記第1の取付板部が前記第1の取付部に固定され、かつ、前記第2の取付板部が前記第2の取付部に固定された状態で、前記第1の取付板部と前記本体板部とで囲われた空間部には、前記車載部品が配置され、前記本体板部を挟んだ反対側には、前記空間部よりも狭い空間が形成され、
前記第2の取付孔の中心と前記第3の取付孔の中心とを結ぶ第1の想像線と、前記第1の想像線と直交し前記第1の取付孔の中心を通る第2の想像線とが交差する交点から前記第2の取付孔までの距離と、前記第3の取付孔までの距離は同一であることで、左右対称形状である前記左ハンドル用車載部材および前記右ハンドル用車載部材の双方で前記第1の取付部の前記第1の取付孔を共通に使用することで、前記第2の取付部の位置を共通化でき、且つ、前記第1の取付板部が、前記第2の取付部に固定支持された場合、前記車載部品が前記左ハンドル用車載部材と、前記右ハンドル用車載部材とに当接することにより組付けが防止される、
ことを特徴とする車両における車載部品取付用のブラケット。
【請求項2】
前記第1の取付板部は、前記第1の取付板部の延在方向に沿って延在し前記第1の取付孔が形成された平板部と、前記平板部の延出方向と直交する方向の両側から前記本体板部の前記他端から前記一端に向かう方向に折り曲げられた一対の屈曲片部とを有し、
前記第1の取付孔を介して前記ブラケットが前記左ハンドル用車載部材、前記右ハンドル用車載部材の第1の取付部に取付けられる際に、前記一対の屈曲片部は前記第1の取付部に係合して前記平板部の延在方向と直交する方向の位置決めを行なう、
ことを特徴とする請求項1記載の車両における車載部品取付用のブラケット。
【請求項3】
前記本体板部の一端と前記第1の取付板部との間に位置する前記屈曲部は、前記本体板部と前記第1の取付板部とを鈍角の角度をもって接続している、
ことを特徴とする請求項1または2記載の車両における車載部品取付用のブラケット。
【請求項4】
前記ブラケット側取付片部に、前記車載部品に設けられる車載部品側取付片部が合わされてねじにより固定され、
前記ブラケット側取付片部に、前記ブラケット側取付片部と前記車載部品側取付片部とが合わされた状態で、前記車載部品側取付片部に当接することで前記第1の取付板部から離れる方向における前記車載部品の位置決めを行い、かつ、前記第1の取付板部から離れる方向への移動を阻止する突設部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載の車両における車載部品取付用のブラケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両における車載部品取付用のブラケットに関する。
【背景技術】
【0002】
左ハンドル車と右ハンドル車とで左右対称形状を呈する車載部材として、例えば、インストルメントパネルがある。
すなわち、左ハンドルの車両に搭載される左ハンドル用のインストルメントパネルと、右ハンドルの車両に搭載される右ハンドル用のインストルメントパネルとは、左右対称の形状となっている。
このようなインストルメントパネルにブラケット(ステー)を介して車載部品、例えば電子部品を装着するに際してブラケットも左ハンドル車と右ハンドル車とで形状が異なるものを用意すると、部品コストが嵩む不具合が生じる。
そこで、ブラケットの形状を工夫して、左ハンドル車用のインストルメントパネルに対しても、右ハンドル車用のインストルメントパネルに対しても共通のブラケットを使用することが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−82687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ブラケットの共通化を図った場合、左ハンドル車と右ハンドル車とで、ブラケットを誤った位置関係で車載部材に組み付けるおそれがあるため、誤組み付けを防止して組立作業の効率化を図ることが重要となる。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、車載部品を取付けるブラケットの共通化を図りつつ組立作業の効率化を図る上で有利な車両における車載部品取付用のブラケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、左ハンドルの車両に搭載される左ハンドル用車載部材と、前記左ハンドル用車載部材と左右対称の形状で右ハンドルの車両に搭載される右ハンドル用車載部材と、に車載部品を取着するためのブラケットであって、前記左ハンドル用車載部材と前記右ハンドル用車載部材には、車両前後方向で、車両後面側向きを固定面とした第1の取付部と、前記第1の取付部より車両後方に位置し、車両後面を固定面とした第2の取付部とが形成され、前記ブラケットは前記車載部品が固定支持されるブラケット側取付片部を有する本体板部と、前記本体板部の一端から屈曲部を介して延出され前記第1の取付部に固定される第1の取付板部と、前記本体板部の一端とは対向する前記本体板部の他端から屈曲部を介して前記第1の取付板部の延出方向と反対方向に延出され前記第1の取付板部と平行する前記第2の取付部に固定される第2の取付板部とを備え、前記第1の取付板部に、前記左ハンドル用車載部材の第1の取付部と右ハンドル用車載部材の第1の取付部とに取着可能な第1の取付孔が設けられ、前記第2の取付板部には、前記左ハンドル用車載部材の前記第2の取付部に取着可能な第2の取付孔と、前記右ハンドル用車載部材の前記第2の取付部に取着可能な第3の取付孔とが、前記第2の取付板部の延出方向と直交する方向に所定の間隔をおいて設けられ、前記第1の取付板部が前記第1の取付部に固定され、かつ、前記第2の取付板部が前記第2の取付部に固定された状態で、前記第1の取付板部と前記本体板部とで囲われた空間部には、前記車載部品が配置され、前記本体板部を挟んだ反対側には、前記空間部よりも狭い空間が形成され、前記第2の取付孔の中心と前記第3の取付孔の中心とを結ぶ第1の想像線と、前記第1の想像線と直交し前記第1の取付孔の中心を通る第2の想像線とが交差する交点から前記第2の取付孔までの距離と、前記第3の取付孔までの距離は同一であることで、左右対称形状である前記左ハンドル用車載部材および前記右ハンドル用車載部材の双方で前記第1の取付部の前記第1の取付孔を共通に使用することで、前記第2の取付部の位置を共通化でき、且つ、前記第1の取付板部が、前記第2の取付部に固定支持された場合、前記車載部品が前記左ハンドル用車載部材と、前記右ハンドル用車載部材とに当接することにより組付けが防止されることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、前記第1の取付板部は、前記第1の取付板部の延在方向に沿って延在し前記第1の取付孔が形成された平板部と、前記平板部の延出方向と直交する方向の両側から前記本体板部の前記他端から前記一端に向かう方向に折り曲げられた一対の屈曲片部とを有し、前記第1の取付孔を介して前記ブラケットが前記左ハンドル用車載部材、前記右ハンドル用車載部材の第1の取付部に取付けられる際に、前記一対の屈曲片部は前記第1の取付部に係合して前記平板部の延在方向と直交する方向の位置決めを行なうことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、前記本体板部の一端と前記第1の取付板部との間に位置する前記屈曲部は、前記本体板部と前記第1の取付板部とを鈍角の角度をもって接続していることを特徴とする請求項1または2記載の車両における車載部品取付用のブラケット。
請求項4記載の発明は、前記ブラケット側取付片部に、前記車載部品に設けられる車載部品側取付片部が合わされてねじにより固定され、前記ブラケット側取付片部に、前記ブラケット側取付片部と前記車載部品側取付片部とが合わされた状態で、前記車載部品側取付片部に当接することで前記第1の取付板部から離れる方向における前記車載部品の位置決めを行い、かつ、前記第1の取付板部から離れる方向への移動を阻止する突設部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、左ハンドル用車載部材および右ハンドル用車載部材の双方に共通のブラケットを介して車載部品を取付けることができると共に、ブラケットを正規の位置関係と異なる位置関係にした場合は、車載部品取付片部を介して本体板部に固定支持された車載部品が左ハンドル用車載部材と、右ハンドル用車載部材とに当接することにより誤組みが防止されるようにした。
したがって、ブラケットの誤組みを防止することができ、ブラケットの共通化を図りつつ組立作業の効率化を図る上で有利となる。
請求項2記載の発明によれば、ブラケットの第1の取付板部に設けた一対の屈曲片部を用いることで、第1の取付板部と左ハンドル用車載部材および右ハンドル用車載部材の第1の取付け部との位置決めを簡単かつ確実に行なう上で有利となる。
請求項3記載の発明によれば、車載部品のブラケットへの組付時に、車載部品と第1の取付板部との間に空間が確保されるので、車載部品と第1の取付板部とが面当たりせず、車載部品の接触破損を防止する上で有利となる。
請求項4記載の発明によれば、車載部品のブラケットへの組付時に、車載部品側取付片部が突設部に当接することで車載部品のブラケットに対する位置決めを容易に行なえるため、組付作業の効率化を図る上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】左ハンドル車用のHVACユニットを車両後方から見た図である。
図2】左ハンドル車用のHVACユニットにECUがブラケットを介して取付けられた状態を車両後方から見た図である。
図3図2のAA線矢視図である。
図4】右ハンドル用HVACユニットを車両後方から見た図である。
図5】右ハンドル用HVACユニットにECUがブラケットを介して取付けられた状態を車両後方から見た図である。
図6図5のAA線矢視図である。
図7】(A)はブラケットの平面図、(B)は(A)のB矢視図、(C)は(A)のC矢視図である。
図8】(A)はブラケットにECUが取付けられた状態を示す平面図、(B)は(A)のB矢視図、(C)は(A)のC矢視図である。
図9】ブラケットを左ハンドル車用のHVACユニットに取付ける場合の説明図である。
図10】ブラケットを右ハンドル用HVACユニットに取付ける場合の説明図である。
図11】ブラケットを左ハンドル車用のHVACユニットに誤組みした場合の説明図である。
図12】ブラケットを右ハンドル用HVACユニットに誤組みした場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
本実施の形態では、車載部材はHVAC(Heating Ventilating and Air Conditioning)ユニットであり、車載部品は電子部品であるECUである。
【0009】
まず、HVACユニットについて説明する。
図1は、左ハンドル用HVACユニットを車両後方から見た図、図2は、図1にブラケットを介してECUが取付けられた状態を加えた図、図4は、右ハンドル用HVACユニットを車両後方から見た図、図5は、図4にブラケットを介してECUが取付けられた状態を加えた図である。
なお、本明細書において左右方向は車両の前方を向いた状態で規定するものとする。また、図中、矢印Frは車両の前方を示し、矢印Uは車両の上方を示し、矢印Lは車両の左方を示し、矢印Rは車両の右方を示す。
HVACユニットは、空調装置の一部を構成するもので、インストルメントパネル内部に配置される。
そして、HVACユニットとして、左ハンドルの車両に搭載される左ハンドル用HVACユニット10Aと、右ハンドルの車両に搭載される右ハンドル用HVACユニット10Bとが用意され、左ハンドル用HVACユニット10Aと右ハンドル用HVACユニット10Bとは左右対称の形状である。
【0010】
HVACユニット10A、10Bは、送風機ユニット部12と、送風機ユニット部12よりも大きな外形の熱交換器ユニット部14と、送風機ユニット部12と熱交換器ユニット部14とを連通する送風路部16とを含んで構成されている。
そして、図1に示す左ハンドル用HVACユニット10Aは、右から左に向かって送風機ユニット部12、送風路部16、熱交換器ユニット部14とがこれらの順で並んでいる。
一方、図4に示す右ハンドル用HVACユニット10Bは、図1とは反対に左から右に向かって送風機ユニット部12、送風路部16、熱交換器ユニット部14とがこれらの順で並んでいる。
したがって、これら左右のHVACユニットは、左右対称形状となっている。
【0011】
送風機ユニット部12は、第1の筐体1202と、第1の筐体1202内に設けられた不図示の送風機とを備え、送風機が動作することにより、車室内あるいは車室外の空気を取り込むものである。
熱交換器ユニット部14は、第2の筐体1402と、第2の筐体1402の内部に形成された不図示の空気通路と、第2の筐体1402の内部で空気通路内に配置された不図示のエバポレータおよび不図示のヒータコアとを備えている。
送風路部16は、第3の筐体1602と、第3の筐体1602の内部に形成された不図示の送風路とを備え、第1の筐体1202と第2の筐体1402とを連通するものである。
したがって、冷房時には、送風機により取り込まれた空気が送風路を介して空気通路を流れることでエバポレータにより空気が冷却され、不図示のダクトを介して不図示の吹き出し口から冷却された空気が車室内に吹き出される。
また、暖房時には、送風機により取り込まれた空気が送風路を介して空気通路を流れることでヒータコアにより空気が加熱され、ダクトを介して吹き出し口から加熱された空気が車室内に吹き出される。
【0012】
図1に示すように、左ハンドル用HVACユニット10Aの送風路部16の第3の筐体1602には車両前後方向で、車両後面側向きを固定面とした第1の取付部18が設けられ、第1の取付部18にはねじ孔1802が形成されている。
図3に平面図で示すように、第1の取付部18は、上下方向の幅を有して車幅方向に延在する平板部1804を有し、ねじ孔1802は車両の後方に開放状に平板部1804に形成されている。
図1に示すように、左ハンドル用HVACユニット10Aの送風機ユニット部12の第1の筐体1202には車両後面を固定面とした第2の取付部20が設けられており、第2の取付部20にはねじ孔2002が形成されている。
図1図3に示すように、第2の取付部20は、第1の筐体1202の左側の後部から車幅方向の幅を有して下方に突設された平板部2004を有し、ねじ孔2002は車両の後方に開放状に平板部2004に形成されている。
【0013】
図4に示すように、右ハンドル用HVACユニット10Bの送風路部16の第3の筐体1602には車両前後方向で、車両後面側向きを固定面とした第1の取付部18が設けられ、第1の取付部18にはねじ孔1802が形成されている。
図6に平面図で示すように、第1の取付部18は、上下方向の幅を有して車幅方向に延在する平板部1804を有し、ねじ孔1802は車両の後方に開放状に平板部1804に形成されている。
図4に示すように、右ハンドル用HVACユニット10Bの送風機ユニット部12の第1の筐体1202には車両後面を固定面とした第2の取付部20が設けられており、第2の取付部20にはねじ孔2002が形成されている。
図4図6に示すように、第2の取付部20は、第1の筐体1202の右側の後部から車幅方向の幅を有して下方に突設された平板部2004を有し、ねじ孔2002は車両の後方に開放状に平板部2004に形成されている。
【0014】
ECU22は、本実施の形態では、ナビゲーションシステムのハンズフリー機能を実現するための制御を司るハンズフリーECUである。
図8に示すように、ECU22は、平面視長方形の板状を呈し、長方形状を呈して対向する上面2202および下面2204と、上面2202および下面2204の長辺を接続する一対の側面2206、2208と、上面2202および下面2204の短辺を接続する一対の端面2210、2212とを備えている。
一対の側面のうち上面2202寄りの箇所で対向する角部寄りの箇所から幅方向外側に向かって車載部品側取付片部24がそれぞれ突設され、各車載部品側取付片部24にはねじ挿通孔2402が形成されている。
図中、符号26は、一方の側面に突設されたアンテナを示す。
【0015】
ブラケット28は、ECU22を左ハンドル用HVACユニット10Aおよび右ハンドル用HVACユニット10Bに取付けるものである。
図7に示すように、ブラケット28は、本体板部30と、2つのブラケット側取付片部32と、第1の取付板部34と、第2の取付板部36とを備えている。
本体板部30は、直線状に延在している。
2つのブラケット側取付片部32は、ECU22が固定支持される箇所であり、本体板部30の延在方向と直交する両側の縁部からそれぞれ外側に突設されている。
各ブラケット側取付片部32には、ECU22の車載部品側取付片部24のねじ挿通孔2402を挿通したねじN1が螺合するねじ孔3202が形成され、図8に示すように、ねじN1がねじ孔3202に螺合することでECU22が本体板部30に取着される。
2つのブラケット側取付片部32のうち、一方のブラケット側取付片部32に突設部3210が設けられている。
図8(A)、(C)に示すように、突設部3210は、ブラケット側取付片部32と車載部品側取付片部24とが合わされた状態で、車載部品側取付片部24に当接することで第1の取付板部34から離れる方向におけるECU22の位置決めを行い、かつ、第1の取付板部から離れる方向への移動を阻止する。
したがって、ECU22のブラケット28への組付時に、車載部品側取付片部24が突設部3210に当接することでECU22のブラケット28に対する位置決めを容易に行なえるため、組付作業の効率化を図る上で有利となる。すなわち、車載部品側取付け片部24のねじ挿通孔2402と、ブラケット側取付片部32のねじ孔3202との位置決めが容易となり、また、ECU22がねじ挿通孔2402回りに回転することが抑制されることで組付作業が容易となる。
【0016】
図7(B)に示すように、第1の取付板部34は、本体板部30の長手方向の一端から屈曲部3402、接続板部3404、屈曲部3406を介して長手方向と直交する方向に延出されている。
すなわち、屈曲部3406は、本体板部30の一端と第1の取付板部34との間に位置しており、屈曲部3406は、本体板部30と第1の取付板部34とを鈍角の角度をもって接続している。
したがって、図8(B)に示すように、ECU22のブラケット28への組付時に、ECU22と第1の取付板部34との間に空間Sが確保されるので、ECU22と第1の取付板部34とが面当たりせず、ECU22の接触破損を防止する上で有利となる。
接続板部3404と第1の取付板部34は、平板部3408と、一対の屈曲片部3410とを有している。
第1の取付板部34の平板部3408は、本体板部30の長手方向と直交する方向に延在している。
図7(C)に示すように、第1の取付板部34の平板部3408に、左ハンドル用HVACユニット10Aの第1の取付部18と、右ハンドル用HVACユニット10Bの第1の取付部18とに取着可能な第1の取付孔38が設けられている。
図7(A)に示すように、第1の取付板部34の一対の屈曲片部3410は、平板部3408の延在方向と直交する両側から、本体板部30の長手方向の他端から前記一端に向かう方向に折り曲げられて形成されている。
一対の屈曲片部3410は、第1の取付板部34が第1の取付孔38を介して左ハンドル用HVACユニット10Aおよび右ハンドル用HVACユニット10Bの第1の取付部18に取付けられる際に、第1の取付部18に係合して平板部1804の延在方向と直交する方向の位置決めを行なうものである。
【0017】
図7(A)に示すように、第2の取付板部36は、本体板部30の長手方向の一端とは対向する他端から屈曲部3602を介して第1の取付板部34の延出方向と反対の方向に延出されている。
図7(C)に示すように、第2の取付板部36に、第2の取付板部36の延出方向と直交する方向に所定の間隔をおいて左ハンドル用HVACユニット10Aの第2の取付部20に取着可能な第2の取付孔40と、右ハンドル用HVACユニット10Bの第2の取付部20に取着可能な第3の取付孔42とが設けられている。
【0018】
ここで、図7(C)、図9図10を参照して、第2の取付孔40の中心と第3の取付孔42の中心とを結ぶ想像線を第1の想像線X1とし、第1の取付孔38の中心を通り第1の想像線X1に直交する想像線を第2の想像線X2として、第1の取付孔38、第2の取付孔40、第3の取付孔42の位置関係を説明する。
第2の想像線X2は、第2の取付孔40と第3の取付孔42との間で第1の想像線X1に交差している。
第1の想像線X1と第2の想像線X2が交差する交点Kから第2の取付孔40までの距離D1と、第3の取付孔D2までの距離は同一となっている。
【0019】
次に、ブラケット28によりECU22を左ハンドル用HVACユニット10Aに取付ける場合と、右ハンドル用HVACユニット10Bに取付ける場合について説明する。
まず、ECU22を左ハンドル用HVACユニット10Aに取付ける場合について説明する。
図3図9に示すように、第1の取付板部34を前に、第2の取付板部36を後にして、本体板部30を車両の前後方向に延在させ、車両の後方から見て、第1の取付板部34が本体板部30から左方に突出し、第2の取付板部36が本体板部30から右方に突出するようにブラケット28を位置させる。
そして、第1の取付板部34を左ハンドル用HVACユニット10Aの第1の取付部18に当て付ける。この際、第1の取付板部34の一対の屈曲片部3410が第1の取付部18に係合し、平板部1804の延在方向と直交する方向の位置決めが行なわれる。
この状態で、第1の取付板部34の第1の取付孔38に挿通したねじN2を第1の取付部18のねじ孔1802に螺合することで第1の取付板部34を第1の取付部18に取付ける。
次に、第2の取付板部36の第2の取付孔40に挿通したねじN3を第2の取付部20のねじ孔2002に螺合することで第2の取付板部36を第2の取付部20に取付ける。
これにより、ECU22が左方に向けられた状態でブラケット28を介して左ハンドル用HVACユニット10Aに取付けられる。
このようにECU22がブラケット28に組付され、第1の取付板部34が第1の取付部18に固定され、かつ、第2の取付板部36が第2の取付部20に固定された状態で、第1の取付板部34と本体板部30とで囲われた空間部SPには、ECU22が配置される。一方、本体板部30を挟んだ反対側には、すなわち、本体板部30と左ハンドル用HVACユニット10Aとの間には、空間部SPよりも狭い空間が形成されるように構成されている。
【0020】
次に、ECU22を右ハンドル用HVACユニット10Bに取付ける場合について説明する。
図6図10に示すように、第1の取付板部34を前に、第2の取付板部36を後にして、本体板部30を車両の前後方向に延在させ、車両の後方から見て、第1の取付板部34が本体板部30から右方に突出し、第2の取付板部36が本体板部30から左方に突出するようにブラケット28を位置させる。
そして、第1の取付板部34を右ハンドル用HVACユニット10Bの第1の取付部18に当て付ける。この際、第1の取付板部34の一対の屈曲片部3410が第1の取付部18に係合し、平板部1804の延在方向と直交する方向の位置決めが行なわれる。
この状態で、第1の取付板部34の第1の取付孔38に挿通したねじN2を第1の取付部18のねじ孔1802に螺合することで第1の取付板部34を第1の取付部18に取付ける。
次に、第2の取付板部36の第3の取付孔42に挿通したねじN3を第2の取付部20のねじ孔2002に螺合することで第2の取付板部36を第2の取付部20に取付ける。
これにより、ECU22が右方に向けられた状態でブラケット28を介して右ハンドル用HVACユニット10Bに取付けられる。
前記と同様にECU22がブラケット28に組付され、第1の取付板部34が第1の取付部18に固定され、かつ、第2の取付板部36が第2の取付部20に固定された状態で、第1の取付板部34と本体板部30とで囲われた空間部SPには、ECU22が配置される。一方、本体板部30を挟んだ反対側には、すなわち、本体板部30と右ハンドル用HVACユニット10Bとの間には、空間部SPよりも狭い空間が形成されるように構成されている。
【0021】
次に、誤組みについて説明する。
まず、図11を参照して、ECU22がブラケット28を介して左ハンドル用HVACユニット10Aに誤組みされる場合について説明する。
この場合には、第1の取付板部34を後に、第2の取付板部36を前にして、本体板部30が車両の前後方向に延在し、車両の後方から見て、第1の取付板部34が本体板部30から右方に突出し、第2の取付板部36が本体板部30から左方に突出するようにブラケット28が配置され、ECU22は右方に向けられる。
そして、第2の取付板部36がねじ、第3の取付孔42を介して第1の取付部18に取着される。
次に、第1の取付板部34を、ねじ、第1の取付孔38を介して第2の取付部20に取着しようとすると、車載部品側取付片部24を介して本体板部30に固定支持されたECU22が左ハンドル用HVACユニット10Aに当接し、したがって、ブラケット28を左ハンドル用HVACユニット10Aに取付けることができず、誤組みが防止される。
【0022】
次に、図12を参照して、ECU22がブラケット28を介して右ハンドル用HVACユニット10Bに誤組みされる場合について説明する。
この場合には、第1の取付板部34を後に、第2の取付板部36を前にして、本体板部30が車両の前後方向に延在し、車両の後方から見て、第1の取付板部34が本体板部30から左方に突出し、第2の取付板部36が本体板部30から右方に突出するようにブラケット28が配置され、ECU22は左方に向けられる。
そして、第2の取付板部36がねじ、第2の取付孔40を介して第1の取付部18に取着される。
次に、第1の取付板部34を、ねじ、第1の取付孔38を介して第2の取付部20に取着しようとすると、車載部品側取付片部24を介して本体板部30に固定支持されたECU22が右ハンドル用HVACユニット10Bに当接し、したがって、ブラケット28を右ハンドル用HVACユニット10Bに取付けることができず、誤組みが防止される。
【0023】
以上説明したように、本実施の形態によれば、第2の取付孔40の中心と第3の取付孔42の中心とを結ぶ第1の想像線X1と、第1の想像線X1と直交し第1の取付孔38の中心を通る第2の想像線X2とが交差する交点Kから第2の取付孔40までの距離D1と、第3の取付孔42までの距離D2は同一となるようにした。
また、ECU22がブラケット28に組付され、第1の取付板部34が第1の取付部18に固定され、かつ、第2の取付板部36が第2の取付部20に固定された状態で、第1の取付板部34と本体板部30とで囲われた空間部SPには、ECU22が配置され、本体板部30を挟んだ反対側には、空間部SPよりも狭い空間が形成されるようにした。
そのため、左右対称形状である左ハンドル用HVACユニット10Aおよび右ハンドル用HVACユニット10Bの双方で第1の取付孔38を共通に使用することで第2の取付部20の位置を共通化でき、且つ、第1の取付板部34が、第2の取付部20に固定支持された場合、ECU22が左ハンドル用HVACユニット10Aと、右ハンドル用HVACユニット10Bとに当接することにより組付けが防止される。
言い換えると、左ハンドル用HVACユニット10Aおよび右ハンドル用HVACユニット10Bの双方に共通のブラケット28を介してECU22を取付けることができると共に、ブラケット28を正規の位置関係と異なる位置関係にした場合は、ECU22が左ハンドル用HVACユニット10Aと、右ハンドル用HVACユニット10Bとに当接することでブラケット28の取付けが不能となるようにした。
したがって、左ハンドル用HVACユニット10Aと、右ハンドル用HVACユニット10Bとに対するブラケット28の誤組みを防止することができ、ブラケット28の共通化を図りつつ組立作業の効率化を図る上で有利となる。
【0024】
また、本実施の形態によれば、ブラケット28の第1の取付板部34に設けた一対の屈曲片部3410を用いることで、第1の取付板部34と左ハンドル用HVACユニット10Aおよび右ハンドル用HVACユニット10Bの第1の取付部18との位置決めを簡単かつ確実に行なう上で有利となる。
【0025】
なお、本実施の形態では、車載部材がHVACユニットである場合について説明したが、車載部材は、左ハンドル用車載部材と右ハンドル用車載部材とが、左右対称形状であればよく、例えば、インストルメントパネルなど従来公知の様々な車載部材を用いることができる。
また、本実施の形態では、車載部品が電子部品であるハンズフリーECUである場合について説明したが、車載部品は、車載部材に取付けられるものであればよく、ECU以外の電子部品あるいは電子部品以外の部品など従来公知の様々な車載部品を用いることができる。
【符号の説明】
【0026】
10A 左ハンドル用HVACユニット(左ハンドル用車載部材)
10B 右ハンドル用HVACユニット(右ハンドル用車載部材)
18 第1の取付け部
1802 ねじ孔
20 第2の取付け部
2002ねじ孔
22 ECU(車載部品)
24 車載部品側取付片部
28 ブラケット
30 本体板部
32 ブラケット側取付片部
3210 突設部
34 第1の取付板部
3408 平板部
3410 屈曲片部
36 第2の取付板部
3602 屈曲部
38 第1の取付孔
40 第2の取付孔
42 第3の取付孔
X1 第1の想像線
X2 第2の想像線
K 交点
N ねじ
SP 空間部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12