特許第6390488号(P6390488)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6390488文書作成支援装置、プログラムおよび文書作成支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6390488
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】文書作成支援装置、プログラムおよび文書作成支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/27 20060101AFI20180910BHJP
   G06F 17/24 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   G06F17/27 660
   G06F17/24 680
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-66507(P2015-66507)
(22)【出願日】2015年3月27日
(65)【公開番号】特開2016-186709(P2016-186709A)
(43)【公開日】2016年10月27日
【審査請求日】2017年9月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134707
【氏名又は名称】株式会社ナカヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100104570
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 光弘
(72)【発明者】
【氏名】野口 和俊
(72)【発明者】
【氏名】明石 貴靖
【審査官】 成瀬 博之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−228471(JP,A)
【文献】 特開2002−149180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/20−17/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
名詞以外の品詞が省略され、名詞が複数連結されて構成された省略文を用いて、名詞以外の品詞も含む正式文の作成を支援する文書作成支援装置であって、
文章中に登場する名詞のうち二番目以降に登場する名詞をワイルドカードとした雛形文が、当該文章中に登場する名詞の名詞数および当該文章の第一名詞として当該文章中に一番目に登場する名詞に対応付けて記憶された雛形文記憶手段と、
前記省略文の入力を受け付ける省略文入力手段と、
前記省略文入力手段に入力された前記省略文に形態素解析を実施して、当該省略文を名詞単位に分解する形態素解析手段と、
前記形態素解析手段により名詞単位に分解された前記省略文の名詞数および当該省略文の第一名詞として当該省略文に一番目に登場する名詞に対応付けられて、前記雛形文記憶手段に記憶されている雛形文を検索する雛形文検索手段と、
前記雛形文検索手段により検索された雛形文を正式文候補として出力する正式文候補出力手段と、を備える
ことを特徴とする文書作成支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の文書作成支援装置であって、
前記雛形文記憶手段には、
前記雛形文が、さらに、前記文章の第二名詞として当該文章中に二番目に登場する名詞に要求される名詞種別に対応付けられて記憶されており、
前記雛形文検索手段は、
前記形態素解析手段により名詞単位に分解された前記省略文の名詞数および当該省略文の第一名詞に対応付けられて、前記雛形文記憶手段に記憶されている雛形文が複数検索された場合、当該複数検索された雛形文のなかから、当該名詞単位に分解された前記省略文の第二名詞として当該省略文に二番目に登場する名詞の名詞種別に対応付けられている雛形文をさらに検索する
ことを特徴とする文書作成支援装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の文書作成支援装置であって、
前記正式文候補出力手段は、
前記正式文候補の各ワイルドカードを、順次、前記形態素解析手段により名詞単位に分解された前記省略文の第二名詞以降の各名詞に置換して、置換後の前記正式文候補を出力する
ことを特徴とする文書作成支援装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の文書作成支援装置であって、
前記正式文候補出力手段により出力された前記正式文候補のなかから、正式文に採用する前記正式文候補の選択を受け付ける正式文採用雛形選択手段をさらに備え、
前記正式文候補出力手段は、
前記正式文採用雛形選択手段により選択された前記正式文候補の各ワイルドカードを、順次、前記形態素解析手段により名詞単位に分解された前記省略文の第二名詞以降の各名詞に置換して、置換後の前記正式文候補を出力する
ことを特徴とする文書作成支援装置。
【請求項5】
コンピュータで読み取り可能なプログラムであって、
前記プログラムは、前記コンピュータを、名詞以外の品詞が省略され、名詞が複数連結されて構成された省略文を用いて、名詞以外の品詞も含む正式文の作成を支援する文書作成支援装置として機能させ、
前記文書作成支援装置は、
文章中に登場する名詞のうち二番目以降に登場する名詞をワイルドカードとした雛形文が、当該文章中に登場する名詞の名詞数および当該文章の第一名詞として当該文章中に一番目に登場する名詞に対応付けて記憶された雛形文記憶手段と、
前記省略文の入力を受け付ける省略文入力手段と、
前記省略文入力手段に入力された前記省略文に形態素解析を実施して、当該省略文を名詞単位に分解する形態素解析手段と、
前記形態素解析手段により名詞単位に分解された前記省略文の名詞数および当該省略文の第一名詞として当該省略文に一番目に登場する名詞に対応付けられて、前記雛形文記憶手段に記憶されている雛形文を検索する雛形文検索手段と、
前記雛形文検索手段により検索された雛形文を正式文候補として出力する正式文候補出力手段と、を備える
ことを特徴とするプログラム。
【請求項6】
文書作成支援装置を用いて、名詞以外の品詞が省略され、名詞が複数連結されて構成された省略文から、名詞以外の品詞も含む正式文の作成を支援する文書作成支援方法であって、
前記文書作成支援装置は、
前記省略文の入力を受け付け、
入力された省略文に形態素解析を実施して、当該省略文を名詞単位に分解し、
文章中に登場する名詞の名詞数および当該文章の第一名詞として当該文章中に一番目に登場する名詞に対応付けられて予め記憶された、当該文章中に登場する名詞のうち二番目以降に登場する名詞をワイルドカードとした雛形文のなかから、前記形態素解析により名詞単位に分解された前記省略文の名詞数および当該文章の第一名詞として当該省略文に一番目に登場する名詞に対応付けられている前記雛形文を検索し、
検索された雛形文を、前記正式文の候補である正式文候補として出力する
ことを特徴とする文書作成支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書作成支援技術に関し、特に、入力された省略文から正式文の作成を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、既に入力された文字列を検索して、ユーザが現在入力中の文字列の後続文字候補を予測し表示することにより、ユーザの文字入力を支援する文字入力装置が開示されている。この文字入力装置は、ユーザから文字入力を受け付ける文字キー群と、ユーザに後続文字候補を選択させる選択キーと、既に入力された文字列を格納するデータベースと、現在入力中の文字列に後続可能な文字列を予測する予測部と、文字キー群等から入力された文字等を処理する処理部と、予測部により予測された後続可能な文字列を表示する表示部と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−114817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
医療業、建設業、製造業等の職場において、関係者間の迅速なコミュニケーションを図るために、名詞以外の品詞を省略して、名詞のみを複数連結した省略文を用いることがある。ここで、第三者による検証等のために、このような省略文をそのまま関係者間のやり取りとして記録したのでは、第三者がその内容を理解できない可能性がある。したがって、関係者間のやり取りは、名詞以外の品詞も含む正式文で記録することが望ましい。しかしながら、特許文献1に記載の文字入力装置は、この点について何ら考慮されていない。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、入力された省略文から正式文の作成を支援する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明では、文章中に登場する名詞のうち二番目以降に登場する名詞をワイルドカードとした雛形文を、文章中に登場する名詞の名詞数および文章中に一番目に登場する名詞である第一名詞に対応付けて、予め登録しておく。そして、名詞以外の品詞が省略され、名詞が複数連結されて構成された省略文が入力されたならば、この省略文に形態素解析を実施して、この省略文を複数の名詞に分解して、この省略文の名詞数およびこの省略文に登場する一番目の名詞である第一名詞を特定する。それから、特定された名詞数および第一名詞に対応付けられて予め登録されている雛形文を検索し、検索した雛形文を正式文候補として出力する。
【0007】
例えば、本発明は、名詞以外の品詞が省略され、名詞が複数連結されて構成された省略文を用いて、名詞以外の品詞も含む正式文の作成を支援する文書作成支援装置であって、
文章中に登場する名詞のうち二番目以降に登場する名詞をワイルドカードとした雛形文が、当該文章中に登場する名詞の名詞数および当該文章の第一名詞として当該文章中に一番目に登場する名詞に対応付けて記憶された雛形文記憶手段と、
前記省略文の入力を受け付ける省略文入力手段と、
前記省略文入力手段に入力された前記省略文に形態素解析を実施して、当該省略文を名詞単位に分解する形態素解析手段と、
前記形態素解析手段により名詞単位に分解された前記省略文の名詞数および当該省略文の第一名詞として当該省略文に一番目に登場する名詞に対応付けられて、前記雛形文記憶手段に記憶されている雛形文を検索する雛形文検索手段と、
前記雛形文検索手段により検索された雛形文を正式文候補として出力する正式文候補出力手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、名詞以外の品詞が省略され、名詞が複数連結されて構成された省略文を複数の名詞に分解し、この省略文の名詞数および第一名詞に対応付けられて予め登録されている、文章中に一番目に登場する名詞以外の名詞をワイルドカードとした雛形文を検索して、検索した雛形文を正式文候補として出力する。このため、正式文候補の各ワイルドカードを、順次、省略文の第二名詞以降の各名詞に置換して、名詞以外の品詞も含む正式文を作成することができる。したがって、本発明によれば、入力された省略文から正式文の作成を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施の形態に係る文書作成支援システムの概略構成図である。
図2図2は、本発明の一実施の形態に係る文書作成支援システムの動作例を説明するためのシーケンス図である。
図3図3は、文書作成支援装置1の概略構成図である。
図4図4は、雛形文記憶部101の登録内容例を模式的に表した図である。
図5図5は、文書作成支援装置1の動作を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の一実施の形態について説明する。
【0011】
図1は、本実施の形態に係る文書作成支援システムの概略構成図である。
【0012】
図示するように、本実施の形態に係る文書作成支援システムは、LAN3に接続された文書作成支援装置1と、無線アクセスポイント4を介してLAN3に接続された無線通信端末2と、を備えて構成されている。文書作成支援装置1は、無線通信端末2のユーザの文書作成を支援する。
【0013】
図2は、本実施の形態に係る文書作成支援システムの動作例を説明するためのシーケンス図である。ここでは、省略文、雛形文、正式文等の文字列に登場する名詞のうち、最初に登場する名詞を第一名詞、二番目に登場する名詞を第二名詞と呼ぶ。
【0014】
まず、無線通信端末2が、名詞以外の品詞が省略され、名詞のみが複数連結されて構成された省略文の入力をユーザから受け付けると(S100)、この省略文を含む正式文候補要求を文書作成支援装置1に送信する(S101)。
【0015】
文書作成支援装置1は、無線通信端末2から正式文候補要求を受信すると、この正式文候補要求に含まれている省略文に形態素解析を実施して、省略文を名詞単位に分解し、省略文を構成する各名詞、その名詞数、および第二名詞の名詞種別(具体的には数詞か否か)を特定する(S102)。
【0016】
つぎに、文書作成支援装置1は、形態素解析による省略文の解析結果を用いて雛形文の検索を行い、正式文候補を決定する(S103)。具体的には、文書作成支援装置1は、第一名詞以外の各名詞を名詞扱いのワイルドカードとした雛形文を、文章中に登場する名詞の名詞数、第一名詞、第二名詞に要求される名詞種別(具体的には数詞か否か)、および正式文への採用実績に対応付けて記憶している。そして、文書作成支援装置1は、形態素解析により名詞単位に分解された省略文の名詞数および第一名詞に対応付けられている雛形文を検索し、検索された雛形文を正式文候補に決定する。ここで、検索された雛形文が複数存在する場合、これらの検索文のなかから、形態素解析により名詞単位に分解された省略文の第二名詞の名詞種別に対応付けられている一以上の雛形文をさらに検索する。そして、さらに検索された一以上の雛形文を正式文候補に決定する。
【0017】
つぎに、文書作成支援装置1は、正式文候補に決定された雛形文の各ワイルドカードを、順次、形態素解析により名詞単位に分解された省略文の第二名詞以降の各名詞に置換する(S104)。それから、文書作成支援装置1は、正式文候補およびこの正式文候補に対応付けられた採用実績を含む正式文候補通知を生成する。そして、この正式文候補通知を無線通信端末2に送信する(S105)。
【0018】
つぎに、無線通信端末2は、文書作成支援装置1から正式文候補通知を受信すると、この正式文候補通知に含まれている正式文候補を表示する(S106)。ここで、正式文候補通知に正式文候補が複数含まれている場合、これらの正式文候補を、各正式文候補通知に対応付けられている採用実績の多い順に表示する。
【0019】
それから、無線通信端末2は、ユーザから正式文候補の選択操作を受け付けると(S107)、選択された正式文候補を、名詞以外の品詞も含む正式文に確定して表示する(S108)。また、無線通信端末2は、正式文に採用した正式文候補の指定(正式文候補のID)を伴う正式文採用通知を文書作成支援装置1に送信する(S109)。
【0020】
文書作成支援装置1は、無線通信端末2から正式文採用通知を受信すると、この正式文採用通知で指定されている雛形文(正式文候補)に対応付けられている採用実績の値を一つ増加させて更新する(S110)。
【0021】
つぎに、文書作成支援装置1の詳細を説明する。なお、無線通信端末2は、既存の装置を利用できるので、その詳細な説明を省略する。
【0022】
図3は、文書作成支援装置1の概略構成図である。
【0023】
図示するように、文書作成支援装置1は、LANインターフェース部100と、雛形文記憶部101と、正式文候補要求受信部102と、形態素解析部103と、雛形文検索部104と、置換処理部105と、正式文候補通知送信部106と、正式文採用通知受信部107と、採用実績更新部108と、を備えている。
【0024】
LANインターフェース部100は、LAN3を介して無線通信端末2に接続するためのインターフェースである。
【0025】
雛形文記憶部101には、正式文の作成に使用可能な雛形文に関する情報が記憶されている。上述したように、雛形文は、第一名詞以外の名詞(文章中に登場する名詞のうち二番目以降に登場する各名詞)が名詞扱いのワイルドカード「*」で表記された文章である。
【0026】
図4は、雛形文記憶部101の登録内容例を模式的に表した図である。図示するように、雛形文記憶部101には、雛形文毎にレコード1010が記憶されている。レコード1010は、雛形文を識別するためのIDが登録されたフィールド1011と、雛形文中に登場する名詞の名詞数(つまりワイルドカード数+1)が登録されたフィールド1012と、雛形文の第一名詞が登録されたフィールド1013と、雛形文の最初のワイルドカードと置換される名詞(雛形文の第二名詞)に要求される名詞種別(具体的には数詞か否か)が登録されたフィールド1014と、雛形文の正式文への採用実績(採用回数)が登録されるフィールド1015と、雛形文が登録されたフィールド1016と、を有する。
【0027】
正式文候補要求受信部102は、LANインターフェース部100を介して無線通信端末2から、名詞以外の品詞が省略され、名詞のみが複数連結されて構成された省略文を含む正式文候補要求を受信する。
【0028】
形態素解析部103は、正式文候補要求受信部102が受信した省略文に形態素解析を実施して、この省略文を名詞単位に分解する。
【0029】
雛形文検索部104は、形態素解析部103による省略文の解析結果を用いて、雛形文記憶部101に対し、正式文候補とすべき雛形文の検索処理を実施する。
【0030】
置換処理部105は、雛形文検索部104より受け取った正式文候補(雛形文)中の各ワイルドカードを、順次、形態素解析部103により名詞単位に分解された省略文の第二名詞以降の各名詞に置換する。
【0031】
正式文候補通知送信部106は、置換処理部105によって各ワイルドカードが省略文の第二名詞以降の各名詞に置換された正式文候補と、この正式文候補のIDおよび採用実績と、を含む正式文候補通知を生成する。そして、この正式文候補通知を、LANインターフェース部100を介して無線通信端末2に送信する。
【0032】
正式文採用通知受信部107は、LANインターフェース部100を介して無線通信端末2から、正式文に採用された正式文候補のIDを含む正式文採用通知を受信する。
【0033】
採用実績更新部108は、雛形文記憶部101を参照し、正式文採用通知受信部107が受信した正式文採用通知により特定されるレコード1010のフィールド1015に登録されている採用実績を更新する。
【0034】
図5は、文書作成支援装置1の動作を説明するためのフロー図である。なお、本フローは、文書作成支援装置1の電源が投入されて、文書作成支援装置1が無線通信端末2と通信可能な状態に移行することにより開始される。
【0035】
まず、正式文候補要求受信部102は、LANインターフェース部100を介して無線通信端末2から正式文候補要求を受信すると(S200でYES)、この正式文候補要求に含まれている省略文を形態素解析部103に渡す。
【0036】
これを受けて、形態素解析部103は、正式文候補要求受信部102から受け取った省略文に形態素解析を実施して、この省略文を名詞単位に分解する。そして、省略文を構成する各名詞、その名詞数、および省略文の第二名詞の名詞種別(具体的には数詞か否か)を特定する(S201)。例えば、省略文が「主食3」である場合、この省略文を構成する各名詞「主食」、「3」およびその名詞数「2」を特定するとともに、この省略文の第二名詞「3」の名詞種別「数詞」を特定する。あるいは、省略文が「主食パン」である場合、この省略文を構成する各名詞「主食」、「パン」およびその名詞数「2」を特定するとともに、この省略文の第二名詞「パン」の名詞種別「数詞以外」を特定する。それから、形態素解析部103は、省略文の解析結果を雛形文検索部104に渡す。
【0037】
つぎに、雛形文検索部104は、形態素解析部103から受け取った雛形文の解析結果を用いて、雛形文記憶部101に対し、正式文候補とすべき雛形文の検索処理を実施する(S202〜S206)。
【0038】
すなわち、雛形文検索部104は、省略文を構成する名詞の名詞数がフィールド1012に登録され、かつ省略文の第一名詞がフィールド1013に登録されたレコード1010を、雛形文記憶部101から検索する(S202)。
【0039】
つぎに、雛形文検索部104は、S202におけるレコード1010の検索数を判定する(S203)。検索されたレコード1010が一つのみならば(S203で「一つのみ」)、雛形文検索部104は、このレコード1010のフィールド1016に登録されている雛形文を正式文候補に決定する(S204)。そして、この正式文候補を、この正式文候補のレコード1010のフィールド1011およびフィールド1015に登録されているIDおよび採用実績とともに置換処理部105に渡す。
【0040】
一方、検索されたレコード1010が複数ならば(S203で「複数」)、雛形文検索部104は、これらのレコード1010のなかから、省略文の第二名詞の名詞種別がフィールド1014に登録されているレコード1010をさらに絞込み検索する(S205)。そして、絞込み検索された一以上のレコード1010のフィールド1016に登録されている雛形文を正式文候補に決定する(S206)。そして、正式文候補を、この正式文候補のレコード1010のフィールド1011およびフィールド1015に登録されているIDおよび採用実績とともに置換処理部105に渡す。
【0041】
つぎに、置換処理部105は、雛形文検索部104から一以上の正式文候補をIDおよび採用実績とともに受け取ったならば、正式文候補中の各ワイルドカードを、順次、形態素解析部103により名詞単位に分解された省略文の第二名詞以降の各名詞に置換する(S207)。例えば、形態素解析部103による省略文の解析結果が、省略文を構成する各名詞「主食」、「2」、「副食」、「4」、および省略文の第二名詞「2」の名詞種別「数詞」であり、置換処理部105が、雛形文検索部104から、2つの正式文候補「主食を*割、副食を*食べた。」、「主食を*割、副食を*残した。」をそれぞれのIDおよび採用実績とともに受け取ったものとする。この場合、各正式文候補のワイルドカード「*」が省略文の第二名詞以降の名詞「2」、「副食」、「4」に置換されて、それぞれの正式文候補が「主食を2割、副食を4割食べた。」、「主食を2割、副食を4割残した。」に修正される。それから、置換処理部105は、ワイルドカードが名詞に置換処理された正式文候補を、そのIDおよび採用実績とともに正式文候補通知送信部106に渡す。
【0042】
つぎに、正式文候補通知送信部106は、置換処理部105から受け取った、IDおよび採用実績に対応付けられた正式文候補を含む正式文候補通知を生成する。そして、この正式文候補通知を、LANインターフェース部100を介して無線通信端末2に送信する(S208)。それから、正式文採用通知受信部107は、LANインターフェース部100を介して無線通信端末2から正式文採用通知が送られてくるのを待つ(S209)。
【0043】
つぎに、正式文採用通知受信部107は、無線通信端末2からの正式文採用通知を受信すると(S209でYES)、この正式文採用通知に含まれているIDがフィールド1011に登録されているレコード1010を雛形文記憶部101から検索する。そして、検索したレコード1010のフィールド1015に登録されている値を一つ増加させて、採用実績を更新する(S210)。その後、スタートに戻る。
【0044】
以上、本発明の一実施の形態を説明した。
【0045】
本実施の形態では、名詞以外の品詞が省略され、名詞のみが複数連結されて構成された省略文を複数の名詞に分解し、この省略文の名詞数および第一名詞に対応付けられて予め登録されている雛形文を検索して、検索した雛形文を正式文候補として出力している。このため、正式文候補の各ワイルドカードを、順次、省略文の第二名詞以降の各名詞に修正して正式文を作成することができるので、入力された省略文から正式文の作成を支援することができる。
【0046】
また、本実施の形態では、雛形文を、最初のワイルドカードと置換される名詞(正式文の第二名詞)に要求される名詞種別にさらに対応付けて記憶しており、省略文の名詞数および第一名詞に対応付けられて登録されている雛形文が複数存在する場合に、省略文の第二名詞の名詞種別を用いてさらに絞込み検索している。このため、ユーザが入力した省略文に対して、ユーザが意図していない正式候補文が出力される可能性を低減することができ、これにより、ユーザの使い勝手を向上させることができる。
【0047】
また、本実施の形態では、正式文候補の各ワイルドカードを、順次、形態素解析により名詞単位に分解された省略文の第二名詞以降の各名詞に置換して出力するため、ユーザ自身が、正式文候補の各ワイルドカードを、順次、省略文の第二名詞以降の各名詞に修正する必要がない。したがって、ユーザの使い勝手をさらに向上させることができる。
【0048】
また、本実施の形態では、正式文候補に採用実績を対応付けている。このため、正式文候補が複数存在する場合に、例えば、採用実績の多い順に正式文候補を表示することにより、ユーザが所望の正式文候補を迅速に見つけ出すことができる。これにより、ユーザの使い勝手をさらに向上させることができる。
【0049】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0050】
例えば、上記の実施の形態において、文書作成支援装置1は、正式文候補の各ワイルドカードを、順次、形態素解析により名詞単位に分解された省略文の第二名詞以降の各名詞に置換してから出力している。しかし、本発明はこれに限定されない。文書作成支援装置1は、ワイルドカード置換前の正式文候補をそのまま無線通信端末2に出力し、ワイルドカード置換前の正式文候補から、正式文に採用する正式文候補をユーザに選択させてもよい。そして、文書作成支援装置1は、この選択された正式文候補の各ワイルドカードを順次省略文の第二名詞以降の各名詞に置換し、ワイルドカード置換後の正式文候補を無線通信端末2に出力してもよい。
【0051】
具体的には、文書作成支援装置1において、雛形文検索部104は、正式文候補をそのIDおよび採用実績とともに正式文候補通知送信部106に渡す。これを受けて、正式文候補通知送信部106は、IDおよび採用実績に対応付けられた正式文候補を含む正式文候補通知を無線通信端末2に送信する。つぎに、正式文採用通知受信部107は、無線通信端末2から受信した正式文採用通知に含まれているIDを雛形文検索部104に通知する。これを受けて、雛形文検索部104は、このIDに対応付けられている正式文候補を置換処理部105に渡す。置換処理部105は、雛形文検索部104から受け取った正式文候補の各ワイルドカードを、順次、形態素解析により名詞単位に分解された省略文の第二名詞以降の各名詞に置換する。それから、正式文候補通知送信部106は、この置換処理された正式文候補を、無線通信端末2に送信する。
【0052】
また、上記の実施の形態において、文書作成支援装置1は、無線通信端末2から正式文候補要求を受け付けて、正式文候補を含む正式文候補通知を無線通信端末2に送信しているが、本発明はこれに限定されない。有線通信端末から正式文候補要求を受け付けて、正式文候補を含む正式文候補通知を有線通信端末に送信してもよい。あるいは、文書作成支援装置1に、キーボード、マウス等の入力装置およびLCD等の表示装置を含むマンマシンインターフェースを設け、このマンマシンインターフェースを介してユーザから正式文候補要求を受け付けて、正式文候補をマンマシンインターフェースに表示してもよい。
【0053】
また、上記の実施の形態においては、省略文を名詞のみで構成しているが、所定の記号を含んでいてもよい。例えば、複数の文章からそれぞれ省略文を作成し、それらの省略文の間に所定の記号を介在させることにより、1つの省略文として正式文候補要求に含めてもよい。この場合、文書作成支援装置1は、所定の記号により区切られた文字列ごとに、形態素解析部103による解析結果を用いて、雛形文記憶部101に対し、正式文候補とすべき雛形文の検索処理を実施してもよい。
【0054】
また、上記の実施の形態において、図3に示した文書作成支援装置1の機能構成は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積ロジックICによりハード的に実現されるものでもよいし、あるいはDSP(Digital Signal Processor)などの計算機によりソフトウエア的に実現されるものでもよい。または、CPU、メモリ、HDD、DVD−ROM等の補助記憶装置、およびNIC(Network Interface Card)、無線LANアダプタ等の通信装置を備えたPC(Personal Computer)、PDA(Personal Digital Assistant)、スマートホン等の汎用コンピュータにおいて、CPUが所定のプログラムを補助記憶装置からメモリ上にロードして実行することで実現されるものでもよい。
【符号の説明】
【0055】
1:文書作成支援装置、 2:無線通信端末、 3:LAN、 4:無線アクセスポイント、 100:LANインターフェース部、 101:雛形文記憶部、 102:正式文候補要求受信部、 103:形態素解析部、 104:雛形文検索部、 105:置換処理部、 106:正式文候補通知送信部、 107:正式文採用通知受信部、 108:採用実績更新部
図1
図2
図3
図4
図5