特許第6390553号(P6390553)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6390553
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】ロータリエンジン
(51)【国際特許分類】
   F02B 53/04 20060101AFI20180910BHJP
   F02B 53/00 20060101ALI20180910BHJP
   F01C 19/02 20060101ALI20180910BHJP
   F01C 19/08 20060101ALI20180910BHJP
   F01C 21/04 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   F02B53/04 H
   F02B53/00 J
   F01C19/02 A
   F01C19/08 A
   F01C21/04 C
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-165010(P2015-165010)
(22)【出願日】2015年8月24日
(65)【公開番号】特開2017-44078(P2017-44078A)
(43)【公開日】2017年3月2日
【審査請求日】2017年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
【住所又は居所】広島県安芸郡府中町新地3番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【弁理士】
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】横山 哲也
【住所又は居所】広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】香川 良二
【住所又は居所】広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ株式会社内
【審査官】 西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭52−129803(JP,U)
【文献】 特許第5418116(JP,B2)
【文献】 実開昭54−073406(JP,U)
【文献】 特開2008−150989(JP,A)
【文献】 実公昭46−027124(JP,Y1)
【文献】 特開2011−073581(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 53/00、04、10
F02B 55/02
F01C 19/00−08
F01C 21/04
F01M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力軸が上下方向に延びる状態で車両に搭載されるロータリエンジンであって、
上下一対のサイドハウジングと、それらの間に配置されるロータハウジングと、前記ロータハウジング内で回転することにより前記出力軸に駆動力を与えるロータとを備え、
前記ロータは、当該ロータのコーナ部に配置されて上側の前記サイドハウジングと摺接するコーナシールと、互いに隣り合う前記コーナシールを結ぶ状態で前記ロータの上面に配置され、上側の前記サイドハウジングと摺接するサイドシールとを有し、
上側の前記サイドハウジングは、当該サイドハウジングの内壁面における前記コーナシールの軌跡に沿った位置に形成されたオイル吐出口を有しかつ前記ロータハウジングの内壁面に向かって斜め下向きに延びるオイル導出路を備えていることを特徴とするロータリエンジン。
【請求項2】
上側の前記サイドハウジングの外周面にオイル噴射装置が設けられ、
前記オイル噴射装置のオイル噴射口は、前記オイル吐出口と連通していることを特徴とする、請求項1に記載のロータリエンジン。
【請求項3】
前記オイル噴射装置は、オイルの逆流を防止するチェックバルブを有することを特徴とする、請求項2に記載のロータリエンジン。
【請求項4】
前記オイル噴射装置は、前記ロータリエンジンにおける圧縮工程の初期にオイルを噴射可能な位置に配置されていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載のロータリエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車の航続距離を延長するための補助電源として、発電専用のエンジン(以下、「発電用エンジン」と称する)を搭載したシリーズ式ハイブリッド車の開発が進められており、この車両はレンジエクステンダ車とも称される。
【0003】
レンジエクステンダ車における発電用エンジンは、リヤフロアパネルの下方に配置される場合が多く、車室スペースを大きく確保するためには、発電用エンジンの上下方向長さを小さくすることにより、リヤフロアパネルを低床化することが望ましい。
【0004】
そこで、本発明者は、レンジエクステンダ車における発電用エンジンにロータリエンジンを採用することにより、リヤフロアパネルを低床化することを考えた。具体的には、1ロータのロータリエンジンをエキセントリックシャフトの軸方向が上下方向に向く姿勢でリヤフロアパネルの下方に配置すること(以下、「縦置き」と称する)を考えた。縦置きされた1ロータのロータリエンジンは、気筒の軸方向が上下方向に向く姿勢のレシプロエンジンと比べて上下方向に偏平であるため、レシプロエンジンを採用する場合と比べて、リヤフロアパネルの低床化を図ることが可能となる。
【0005】
ところで、ロータリエンジンにおけるロータ収容室の内壁面を潤滑する潤滑装置として、特許文献1には、ロータハウジングの周壁を厚み方向に貫通する貫通孔にオイル吐出ノズルが挿入配置され、このオイル吐出ノズルの先端部がロータハウジングのトロコイド内周面で開口する潤滑装置が開示されている。
【0006】
詳しく説明すると、特許文献1の図4に示されるように、ロータハウジングの周壁には、一方側のサイドハウジングに向かって斜め方向に延びるサイドノズルと、ロータハウジングの中心に向かって延びるセンタノズルと、他方側のサイドハウジングに向かって斜め方向に延びるサイドノズルとが、この順序でロータハウジングの軸方向に並ぶように設けられている。一方側のサイドノズルと、他方側のサイドノズルとは、ロータハウジングの内壁面(トロコイド内周面)に近づくほど互いに離れてハの字状をなすように配置されている。センタノズルから吐出されたオイルは、ロータのコーナ部に配置されたアスペックシールとロータハウジングとの間の潤滑に供される。サイドノズルから吐出されたオイルは、ロータの側面(サイドハウジングに対向する面)に配置されたサイドシールおよびコーナシールとサイドハウジングとの間の潤滑に供される。
【0007】
特許文献1に記載のロータリエンジンは、エキセントリックシャフトの軸方向が水平方向に向く姿勢(以下、「横置き」と称する)で車両に搭載されるものであるが、上記の縦置きされたロータリエンジンを潤滑するために、当該技術を転用することが考えられる。すなわち、軸方向が上下方向に向くように配置されたロータハウジングの周壁に、その軸方向に沿ってセンタノズルおよび2つのサイドノズルを並べて配置することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−150989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載のセンタノズルおよびサイドノズルが縦置きのロータリエンジンに設けられる場合には、センタノズルおよびサイドノズルの配置スペースを確保するためにロータハウジングの軸方向長さ(上下方向長さ)が大きく設定される必要があり、その結果、ロータリエンジンが上下方向に十分に偏平とならず、リヤフロアパネルの低床化が難しくなる。
【0010】
そこで、図20に示されるように、ロータリエンジン200にサイドノズルを設けずに、センタノズル310のみからオイルを吐出させることが考えられるが、この場合には、センタノズル310から吐出されたオイルが、重力の影響により上側のサイドハウジング620aに行き渡らず、ロータハウジング640および下側のサイドハウジング620bの内壁面のみが油膜320a,320bで潤滑された状態となり、その結果、上側のサイドハウジング620aの内壁面がロータ660のサイドシールとの摩擦により過度に摩耗する虞がある。なお、図20における符号641は、ロータハウジング64に形成されたオイル導出路である。
【0011】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、レンジエクステンダ車において、フロアパネルの低床化を図りつつ、発電用ロータリエンジンの過度の摩耗を抑制することができるロータリエンジンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明は、出力軸が上下方向に延びる状態で車両に搭載されるロータリエンジンであって、上下一対のサイドハウジングと、それらの間に配置されるロータハウジングと、前記ロータハウジング内で回転することにより前記出力軸に駆動力を与えるロータとを備え、前記ロータは、当該ロータのコーナ部に配置されて上側の前記サイドハウジングと摺接するコーナシールと、互いに隣り合う前記コーナシールを結ぶ状態で前記ロータの上面に配置され、上側の前記サイドハウジングと摺接するサイドシールとを有し、上側の前記サイドハウジングは、当該サイドハウジングの内壁面における前記コーナシールの軌跡に沿った位置に形成されたオイル吐出口を有しかつ前記ロータハウジングの内壁面に向かって斜め下向きに延びるオイル導出路を備えていることを特徴とするロータリエンジンを提供する。
【0013】
本発明によれば、オイル吐出口から吐出されたオイルが、ロータの回転に伴うコーナシールの移動によって、上側のサイドハウジングにおけるコーナシールの軌跡に沿った部分全体に塗り延ばされる。さらに、サイドシールは互いに隣り合うコーナシールを結ぶ状態で配置されたものであるため、ロータの回転に伴うサイドシールの軌跡はコーナシールの軌跡の一部と重複しており、コーナシールの移動によって塗り延ばされたオイルは、サイドシールの移動によってサイドシールの軌跡全体に塗り延ばされる。従って、サイドシールが上側のサイドハウジングと接触しながら移動することによる上側のサイドハウジングの摩耗を抑制することができる。
【0014】
しかも、オイル吐出口から吐出されたオイルが、重力によりロータハウジングの内壁面および下側のサイドハウジングの内壁面に流れ落ちるため、ロータの回転に伴うロータハウジングの内壁面および下側のサイドハウジングの摩耗をも抑制することができる。
【0015】
その上、出力軸が上下方向に向く姿勢のロータリエンジンに特許文献1の技術を転用した場合のように、軸方向が上下方向に向くように配置されたロータハウジングの周壁に、その軸方向に沿って3つのノズルが並べて配置される必要がないので、ロータリエンジンの上下方向長さを小さく抑えることができ、フロアパネルの低床化を図ることができる。
【0017】
さらに、ロータの回転中においてロータがオイル吐出口に対向した位置にないときには、オイル吐出口からロータハウジングの内壁面に向かってオイルが噴射され、ロータハウジングの内壁面に速やかにオイルが供給される。このため、ロータハウジングの内壁面を速やかに潤滑することができる。さらに、ロータハウジングの内壁面に向かってオイルが噴射されることにより、オイルが速やかに下側のサイドハウジングに流れるため、下側のサイドハウジングの内壁面を速やかに潤滑することができる。
【0018】
本発明においては、上側の前記サイドハウジングの外周面にオイル噴射装置が設けられ、前記オイル噴射装置のオイル噴射口は、前記オイル吐出口と連通していることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、オイル噴射装置がサイドハウジングの外周面に設けられているため、オイル噴射装置が上側のサイドハウジングの上面に設けられる場合と比べて、オイル噴射装置を含むロータリエンジンの上下方向長さを小さくすることができ、これにより、オイル噴射装置によってオイルを噴射しつつ、フロアパネルの低床化を図ることができる。
【0020】
本発明においては、前記オイル噴射装置は、オイルの逆流を防止するチェックバルブを有することが好ましい。
【0021】
この構成によれば、ロータリエンジンの作動室内の圧力が、オイルの噴射圧よりも高くなった場合に、作動室内のガスやオイルがオイル噴射装置内に侵入(逆流)するのを防止することができる。
【0022】
本発明においては、前記オイル噴射装置は、前記ロータリエンジンにおける圧縮工程の初期にオイルを噴射可能な位置に配置されていることが好ましい。
【0023】
この構成によれば、ロータリエンジンにおける圧縮工程の初期には、作動室内が低圧状態であるため、オイル噴射装置は低い噴射圧でオイルを噴射することができる。これにより、オイルの噴射圧を高圧にするための装置が不要であり、コストアップを抑えることができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によれば、レンジエクステンダ車において、フロアパネルの低床化を図りつつ、発電用ロータリエンジンの過度の摩耗を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態に係るロータリエンジンを搭載した電気自動車の概略構成図である。
図2】本実施形態における電気自動車の全体構造を示す概略側面図である。
図3】本実施形態における電気自動車の後部構造を示す概略斜視図である(側方かつ斜め下方から見た状態)。
図4】本実施形態における電気自動車の後部構造を示す底面図(下方から見た図)である。
図5】本実施形態における電気自動車の後部構造を示す底面図である(ロータリエンジンにおける下側のサイドハウジングを取り外した状態)。
図6】本実施形態におけるエンジンおよび発電機を支持するユニットフレームを示す底面図(下方から見た図)である。
図7】本実施形態における電気自動車の後部構造を示す平面図である(カバー部材を取り付けた状態)。
図8】本実施形態における電気自動車の後部構造を示す平面図である(カバー部材を取り外した状態)。
図9】本実施形態における電気自動車の後部構造を示す斜視図である(前方かつ斜め上方から見た状態)。
図10】本実施形態におけるロータリエンジンの構造を示す斜視図である。
図11】本実施形態におけるロータリエンジンの構造を示す分解斜視図である(一部断面図)。
図12】本実施形態におけるロータリエンジンの構造を示す概略断面図であり、オイル噴射装置が上側のサイドハウジングの外周面に設けられている状態を示す図である。
図13】本実施形態におけるロータリエンジンの構造を示す底面図であり、ロータの回転中においてオイル吐出口がコーナシールに対向せず、かつ、圧縮工程の作動室に面している状態を示す図である(下側のサイドハウジングを取り外した状態)。
図14】本実施形態におけるロータリエンジンの構造を示す底面図であり、ロータの回転中においてオイル吐出口がコーナシールに対向する位置にある状態を示す図である(下側のサイドハウジングを取り外した状態)。
図15】本実施形態におけるロータリエンジンの構造を示す底面図であり、ロータの回転中においてオイル吐出口がコーナシールに対向せず、かつ、吸気工程の作動室に面している状態を示す図である(下側のサイドハウジングを取り外した状態)。
図16】本実施形態におけるロータの構造を示す図であり、ロータの上面に形成されたコーナシール収容孔からコーナシールおよびコーナシールスプリングが取り出された状態を示す斜視図である。
図17】本実施形態におけるロータの構造を示す図であり、ロータの上面に形成されたサイドシール収容溝からサイドシールおよびサイドシールスプリングが取り出された状態を示す斜視図である。
図18】本実施形態におけるロータの構造を示す図であり、ロータのコーナ部に形成されたアペックスシール収容溝からアペックスシールおよびアペックスシールスプリングが取り出された状態を示す斜視図である。
図19】本実施形態の変形例におけるロータリエンジンの構造を示す概略断面図であり、オイル噴射装置が上側のサイドハウジングの上面に設けられている状態を示す図である。
図20】ロータリエンジンの構造を示す概略断面図であり、オイル噴射装置がロータハウジングに設けられている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について詳述する。なお、以下の説明の「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は、車両の前後左右上下(図中に示される方向指標)に基づくものとする。
【0027】
<車両の概略構成>
本発明の実施形態に係るエンジン搭載の電気自動車は、シリーズ式ハイブリッド車(レンジエクステンダ車)である。
【0028】
図1に示されるように、この車両は、発電機3およびこれを駆動するためのエンジン2を含む発電ユニット1(図1〜5参照)と、インバータ6と、このインバータ6を介して発電機3が発生した電力を充電する、例えばリチウムイオン電池等からなる大容量のバッテリ7と、上記インバータ6を介してバッテリ7から供給される電力により駆動輪(前輪9a)を回転駆動するモータ8と、エンジン2に供給される燃料を収容する燃料タンク5とを備えている。
【0029】
すなわち、この車両は、近距離走行時等には、予めバッテリ7に充電された電力を使用してモータ8を駆動することにより走行しながら、車両の減速時等には、モータ8が発生する回生電力をバッテリ7に充電する。そして、遠距離走行時等にバッテリ7の電気容量が一定値以下に低下すると、エンジン2により発電機3を駆動し、その発電電力をバッテリ7に供給して充電するように構成されている。なお、図示を省略しているが、上記車両は、家庭用電源である普通充電器や、パーキングエリア等に設置される急速充電器等により上記バッテリ7に電力を充電可能な充電用プラグを備えるものであってもよい。
【0030】
<車両の全体構造>
図2に示されるように、上記車両は、車室10の前方部に設置されるダッシュパネル11と、その下端部から車両の後方側に延びるように設置されるフロントフロアパネル12と、該フロントフロアパネル12の後端部から立ち上がるように設けられるキックアップ部13と、当該キックアップ部13の上部から後方に延びるリヤフロアパネル14とを有している。そして、フロントフロアパネル12上に、運転席および助手席からなる前列シート15が設置され、その後方側のリヤフロアパネル14上に、後列シート16が設けられている。
【0031】
キックアップ部13の後方には、前後方向に延びる左右一対のリヤサイドフレーム18がリヤフロアパネル14の下面に沿って設置されている。両リヤサイドフレーム18は、詳しくは、キックアップ部13から車両後方に向かって水平に延びる前側水平部18aと、後列シート16の下方位置から後方斜め上方に向かって延びる傾斜部18bと、後列シート16の直ぐ後方位置から車両後方に向かって水平に延びる後側水平部18cとを有している。両リヤサイドフレーム18の間には、キックアップ部13の背面に接合されて車幅方向に延びる前側クロスメンバ20と、上記リヤフロアパネル14の下方側であってかつ後列シート16の後方側で車幅方向に延びる後側クロスメンバ21とが設置されている。
【0032】
後側クロスメンバ21の後方側には、両リヤサイドフレーム18の間で車幅方向に延びて当該リヤサイドフレーム18に固定される、ユニットフレーム24(図6参照)が設けられ、このユニットフレーム24に、発電ユニット1、燃料タンク5およびインバータ6が組み付けられている。
【0033】
図6に示されるように、ユニットフレーム24は、概略的には平面視H形であり、後輪9bの間の位置で車幅方向に延びる第1サブクロスメンバ25と、後輪9bの後側の位置で車幅方向に延びる第2サブクロスメンバ26と、車幅方向中央よりもやや左方寄りの位置で前後方向に延び、かつ両サブクロスメンバ25、26に接合(溶接)されることで両サブクロスメンバ25、26を連結する連結フレーム27とを含む。
【0034】
各サブクロスメンバ25、26の長手方向両端(車幅方向両端)には、固定用のフランジ部25a、26aが各々形成されており、これらフランジ部25a、26aがリヤサイドフレーム18に備えられるウエルトボルトと図外のナットとで当該リヤサイドフレーム18に締結されることで、上記ユニットフレーム24がリヤサイドフレーム18の下側に固定されている。そして、このユニットフレーム24の下側に、発電ユニット1、燃料タンク5およびインバータ6等が組み付けられている。
【0035】
発電ユニット1は、後述の発電機3が車両の幅方向中央部に位置し、後述のエンジン2が車両右側に位置するように配置され、複数のマウント30(図6参照)を介してユニットフレーム24に組み付けられている。具体的には、発電ユニット1のフレーム部材4の周囲、詳しくはエンジン2の組付位置の前後両側、および発電機3の組付位置の左側には、それぞれフランジ部4aが一体形成されており、これらフランジ部4aにマウント30がボルトB1で固定されている。そして、各マウント30が、ユニットフレーム24の各サブクロスメンバ25、26及び連結フレーム27に備えられるウエルトボルトB2とナットとで当該サブクロスメンバ25、26及び連結フレーム27に締結されることで、発電ユニット1が上記ユニットフレーム24に組み付けられている。詳しくは、フレーム部材4のフランジ部4aのうち、エンジン本体前方のフランジ部4aが第1サブクロスメンバ25に、エンジン本体後方のフランジ部4aが第2サブクロスメンバ26に、発電機3の左方のフランジ部4aが連結フレーム27にそれぞれマウント30を介して組み付けられている。これにより、発電ユニット1がユニットフレーム24に対して下側から組み付けられ、当該ユニットフレーム24に支持されている。
【0036】
図7,8に示されるように、発電ユニット1は、エンジン2と、発電機3と、エンジン2の出力軸51(図8参照)に設けられるエンジン側プーリ49と、発電機3の回転軸53(図8参照)に設けられる発電機側プーリ55と、エンジン側プーリ49と発電機側プーリ55とに巻き掛けられるベルト56と、エンジン2と発電機3とが横並び(車幅方向)に配列された状態で、エンジン2および発電機3の上面に組み付けられるフレーム部材4(図9参照)と、フレーム部材4を上方から覆うカバー部材57とを含む。
【0037】
エンジン2は、1ロータの小型ロータリエンジンであり、発電専用に設けられている。図10,11に示されるように、エンジン2は、上下一対のサイドハウジング62a、62bと、これら一対のサイドハウジング62a、62bの間に介設されるロータハウジング64(センターハウジング)と、これらハウジング62a、62b、64により形成される上下方向に偏平なロータ収容室68内に収容されるロータ66と、上下方向に延びる出力軸51(図13〜15参照)とを含む。そして、ロータ収容室68内のトロコイド内周面とロータ66との間に形成される3つの作動室68a,68b,68c(図13〜15参照)で吸気、圧縮、燃焼(膨張)及び排気の各行程が行われることにより発生するロータ66の回転力を、出力軸51であるエキセントリックシャフトから取り出すように構成されている。
【0038】
図13〜15に示されるように、ロータ66は、ロータハウジング64内で回転する三角形状(ルーローの三角形)の回転子である。ロータ66は、平面視で3つのコーナ部(頂部)66aを有している。ロータ66は、各コーナ部66aに配置されて上側のサイドハウジング62aと摺接するコーナシール66bと、互いに隣り合うコーナシール66b,66bを結ぶ状態でロータ66の上面に配置され、上側のサイドハウジング62bと摺接するサイドシール66cと、各コーナ部66aに配置されてロータハウジング64と摺接するアペックスシール66dとを有する。
【0039】
具体的に説明すると、図16〜18に示されるように、ロータ66は、平面視で三角形状のロータ本体660を有しており、ロータ本体660の各コーナ部66aは、上下方向に延びるアペックスシール収容溝660aと、ロータ本体660の上下両面に各々形成され、アペックスシール収容溝660aと連通する円筒状のコーナシール収容孔660bと、ロータ本体660の上下両面の各々においてロータ本体660の外周に沿って形成され、コーナシール収容孔660bと連通するサイドシール収容溝660cとを有する。
【0040】
図16に示されるように、上側の各コーナシール収容孔660bには、コーナシール66bと、このコーナシール66bを上側のサイドハウジング62a側へ付勢するコーナシールスプリング66b1とが挿入配置される。下側の各コーナシール収容孔660bには、コーナシール66bと、このコーナシール66bを下側のサイドハウジング62b側へ付勢するコーナシールスプリング66b1とが挿入配置される。
【0041】
図17に示されるように、上側の各サイドシール収容溝660cには、サイドシール66cと、このサイドシール66cを上側のサイドハウジング62a側へ付勢するサイドシールスプリング66c1とが挿入配置される。下側の各サイドシール収容溝660cには、サイドシール66cと、このサイドシール66cを下側のサイドハウジング62b側へ付勢するサイドシールスプリング66c1とが挿入配置される。
【0042】
図18に示されるように、各アペックスシール収容溝660aには、アペックスシール66dと、アペックスシール66dを支持するセカンドピース66d1およびサイドピース66d2と、アペックスシール66dおよびセカンドピース66d1をロータハウジング64側へ付勢するアペックスシールスプリング66d3とが挿入配置される。
【0043】
なお、本実施形態では、出力軸51(図8参照)が上下方向に延びるようにエンジン2が配置されるが、これは次の理由による。すなわち、ロータリエンジンが走行用エンジンとして用いられる場合には、トランスミッション等を介して車輪に駆動力を伝達する必要があるため、エンジンは、出力軸が水平方向に延びる姿勢(便宜上、横置きと称す)で車両に搭載される。しかし、上記エンジン2は、発電機3の駆動用エンジンであるため、必ずしもエンジン2を横置きにする必要がない。また、エンジン2は、上記の通り1ロータの小型ロータリエンジンであり、出力軸51の軸方向にエンジン2が偏平な構造を有する。そのため、リヤフロアパネル14下方のスペースを有効に活用しつつリヤフロアパネル14の低床化を図るべく、出力軸51が垂直方向に延びる姿勢(便宜上、縦置きと称す)でエンジン2が車両に組み込まれている。
【0044】
図13〜15に示されるように、エンジン2のロータハウジング64には2つの点火プラグ58a,58bが設けられている。図10〜12に示されるように、エンジン2における上側のサイドハウジング62aには、オイル噴射装置31が設けられている。具体的に説明すると、上側のサイドハウジング62aは、オイル噴射装置31が挿入される噴射装置挿入孔80(図12参照)を有しており、この噴射装置挿入孔80にオイル噴射装置31が挿入配置されている。
【0045】
図12に示される例では、噴射装置挿入孔80は、サイドハウジング62aの外周面から径方向中心側へ延びる径方向部81と、径方向部81の内側端部からロータハウジング64の内壁面に向かって斜め下方に延びる上下方向部(本発明の「オイル導出路」に相当する)82とを有しており、上下方向部82の先端部にオイル吐出口83が形成されている。そして、オイル噴射装置31は、径方向部81に挿入配置されている。つまり、オイル噴射装置31は、上側のサイドハウジング62aの外周面に設けられている。
【0046】
図13〜15に示されるように、オイル吐出口83は、上側のサイドハウジング62bの内壁面におけるコーナシール66bの軌跡(図示略)に沿った位置に形成される。図14は、ロータ66の回転中において、コーナシール66bがオイル吐出口64に対向する位置にある状態を示している。図13,15は、ロータ66の回転中において、コーナシール66bがオイル吐出口64に対向しない位置にある状態を示している。コーナシール66bの軌跡は、サイドシール66cの軌跡(図示略)の一部と重複する。
【0047】
オイル噴射装置31は、オイルの逆流を防止するチェックバルブ(図示略)を有している。オイル噴射装置31の上流側端部には、オイル供給管(図示略)が接続され、このオイル供給管の上流側端部に、オイルタンク(図示略)に設けられたオイルポンプ(図示略)が接続されている。
【0048】
オイルポンプからオイル噴射装置31にオイル(潤滑油)が供給され、オイル噴射装置31内のチェックバルブが開弁することにより、オイル噴射装置31のオイル噴射口31a(図12参照)からオイルが噴射される。オイル噴射装置31のオイル噴射口31aは、オイル吐出口83と連通している。このため、オイル噴射口31aから噴射されたオイルは、オイル吐出口83から噴射される。
【0049】
図13〜15に示されるように、エンジン2は、ロータ66の外周面、ロータハウジング64の内周面(トロコイド面)、上側のサイドハウジング62a、および下側のサイドハウジング62bにより形成される3つの作動室68a,68b,68cを有する。これら3つの作動室68a,68b,68cは、ロータ66の回転に伴い、ロータハウジング64の内周面に沿って周方向に移動する。
【0050】
噴射装置挿入孔80の径方向部81は、吸気ポート70よりも左側の位置で上側のサイドハウジング62aの前側の外周面に開口している。噴射装置挿入孔80の上下方向部82は、吸気ポート70よりも左側の位置で上側のサイドハウジング62aの下面に開口している。換言すると、噴射装置挿入孔80は、オイル噴射装置31がエンジン(ロータリエンジン)2における圧縮工程の初期にオイルを噴射可能な位置に設けられている。
【0051】
図13に示される作動室68aは圧縮工程の初期の状態にあり、コーナシール66bがオイル吐出口83に対向しない位置にある。この状態の作動室68aに対してオイル噴射装置31がオイルを噴射する。圧縮工程の初期における作動室68a内はガスの圧力が低いため、オイル噴射装置31は低い噴射圧でオイルを適正に噴射することができる。コーナシール66bがオイル吐出口64に対向しない位置にあるときは、図12に示されるように、オイル吐出口83から吐出されたオイルがコーナシール66bに衝突しないため、オイル吐出口83から噴射されたオイルがロータハウジング64の内壁面および下側のサイドハウジング62bの内壁面に噴き付けられる。これにより、ロータハウジング64の内壁面に油膜32aが形成され、下側のサイドハウジング62bの内壁面に油膜32bが形成される。油膜32aは、アペックスシール66dとロータハウジング64との間の潤滑に供され、油膜32bは、下側のサイドシール66cと下側のサイドハウジング62bとの間の潤滑に供される。また、ロータハウジング64の内壁面に噴き付けられたオイルは、重力により下側のサイドハウジング62bの内壁面に流れ落ち、これにより油膜32bが形成される。
【0052】
ロータ66が回転して(図13では右回転)図14に示される状態になると、コーナシール66bがオイル吐出口64に対向する状態となる。この状態においても、オイル噴射装置31がオイルを噴射する。コーナシール66bがオイル吐出口64に対向する位置にあるため、噴射されたオイルはコーナシール66bに衝突して付着する。ロータ66の回転に伴い、オイルが付着した状態のコーナシール66bが移動すると(図15参照)、図12に示されるように、コーナシール66bに付着したオイルが上側のサイドハウジング62aの内壁面に塗り延ばされ、さらに、サイドシール66cの移動によってサイドシール66cの軌跡に沿って塗り延ばされる。ロータ66がロータハウジング64内で一回転(出力軸51周りに公転)すると、その回転に伴い、コーナシール66bおよびサイドシール66cにより、オイルがサイドシール66cの軌跡全体に塗り延ばされて、その軌跡全体に油膜32cが形成される(図12参照)。油膜32cは、上側のサイドシール66cと上側のサイドハウジング62aとの間の潤滑に供される。
【0053】
なお、図15に示される作動室68cは吸気工程にあり、この状態においても、オイル噴射装置31は作動室68c内にオイルを噴射する。吸気工程における作動室68c内はガスの圧力が低いため、オイル噴射装置31は低い噴射圧でオイルを適正に噴射することができる。図15に示される状態では、コーナシール66bがオイル吐出口64に対向しない位置にあるため、図12に示されるように、オイル吐出口83から噴射されたオイルがロータハウジング64の内壁面に噴き付けられる。これにより、ロータハウジング64の内壁面に油膜32aが形成され、下側のサイドハウジング62bの内壁面に油膜32bが形成される。ロータハウジング64の内壁面に噴き付けられたオイルは、重力により下側のサイドハウジング62bの内壁面に流れ落ち、これにより油膜32bが形成される。
【0054】
エンジン2は、上側のサイドハウジング62aを介してフレーム部材4に固定されている。フレーム部材4は、図6に示されるように、車幅方向に細長い金属製のプレート状部材であり、エンジン2は、このフレーム部材4の長手方向一端側寄りの位置に固定される。具体的には、エンジン2の上側のロータハウジング64がフレーム部材4の下面にボルトナットで固定されることで、エンジン2がフレーム部材4に固定されている。
【0055】
そして、フレーム部材4の長手方向に沿ってエンジン2に隣接するように、発電機3が当該フレーム部材4に固定されている。具体的には、発電機3のケーシングに形成されるフランジ部がフレーム部材4の下面にボルトナットで固定されることで、発電機3がフレーム部材4に固定されている。
【0056】
図8に示されるように、エンジン2の出力軸51と発電機3の回転軸53とは、当該発電機3及びエンジン2の上方位置で、エンジン側プーリ49、発電機側プーリ55、及びベルト56を介して連結されており、これにより発電機3がエンジン2により駆動されるようになっている。
【0057】
図6に示されるように、フレーム部材4は、エンジン側プーリ49に対向するエンジン側開口部4bと、発電機側プーリ55に対向する発電機側開口部4cとを有している。これらの開口部4b,4cは、カバー部材57(図7参照)によって上方から覆われる。
【0058】
なお、図示を省略するが、発電機3のケーシングとエンジン2のロータハウジング64および下側のサイドハウジング62bとは、適宜、連結用ステーを介して連結されている。これにより、上記エンジン2と発電機3とが強固に一体化された高剛性の発電ユニット1が構築されている。
【0059】
図10,11に示されるように、エンジン2は、ロータハウジング64に吸気ポート70を備える一方、下側のサイドハウジング62bに排気ポート72を備えている。すなわち、エンジン2は、吸気ポート70がペリフェラルポート(ペリポート)とされ、排気ポート72がサイドポートとされた、いわゆるペリ吸気、サイド排気のエンジン構造を有している。吸気ポート70は、ロータハウジング64の前側面に開口している。排気ポート72は、吸気ポート70よりも右側の位置で下側のサイドハウジング62bの前側面に開口している。このことにより、図4に示されるように、吸気マニホールド42は、エンジン2のロータハウジング64の前側面に接続され、排気マニホールド46は、下側のサイドハウジング62bの前側面に接続されている。つまり、吸気マニホールド42は、車両前後方向においてエンジン2よりも車両中心側(車両前方側)に配置されている。また、吸気マニホールド42は、後輪9bの車軸(図示略)よりも後方側に配置されており、上記車軸から車両前後方向に所定の間隔を隔てて配置されている。
【0060】
図5,7〜9に示されるように、吸気マニホールド42は、管状の部材であり、エンジン2の前面から前方に延出する前方延出部42aと、前方延出部42aの先端部から車幅方向発電機3側(図7の左側)に湾曲する湾曲部42bと、湾曲部42bの発電機3側の端部から車幅方向に沿って発電機3側に延びる車幅方向部42cとを有しており、車幅方向部42cは、発電機3の前方位置で、ユニットフレーム24の第1サブクロスメンバ25(図6参照)に沿って車幅方向に延びている。吸気マニホールド42の末端には、エアクリーナー43b(図4参照)が備えられ、また吸気マニホールド42のうち、エアクリーナー43bとエンジン2との間の所定位置にはスロットルボディ43aが介設されている。
【0061】
排気マニホールド46は、管状の部材であり、吸気マニホールド42の下方に配置されている。図4に示されるように、排気マニホールド46は、エンジン2の前方に配置され、発電機3のほぼ前方の位置まで吸気マニホールド42に沿って車幅方向に延びる、三元触媒等からなる排気浄化装置47aと、後述する燃料タンク5の後方に配置されてエンジン2の排気音を抑制するサイレンサー47bとを含み、かつエンジン2から排出されて上記排気浄化装置47aで浄化された排気を、上記発電機3の下方位置を経由して上記サイレンサー47bに案内するように構成されている。排気浄化装置47aおよびサイレンサー47bは、図外のラバーハンガーおよびブラケット等を介して、各サブクロスメンバ25、26に支持されている。
【0062】
そして、発電ユニット1に対して横並びに並ぶように(図4参照)、すなわちエンジン2及び発電機3と共に車幅方向にほぼ一列に並ぶように、発電ユニット1側から順に燃料タンク5とインバータ6とが配列され、これら燃料タンク5およびインバータ6がユニットフレーム24の下面に固定されている。
【0063】
図4に示されるように、燃料タンク5は、ほぼ立方体に近い形状を有している。燃料タンク5は、ユニットフレーム24の各サブクロスメンバ25、26の下面に各々接合される前後のブラケット50、51(図6参照)を介してユニットフレーム24に固定されている。
【0064】
図5,7〜9に示されるように、吸気マニホールド42の湾曲部42bには、燃料噴射弁(フューエルインジェクタ)41が設けられている。この燃料噴射弁41の上流側端部には、蓄圧用のコモンレール(フューエルレール)44が接続され、このコモンレール44の上流側端部に可撓性チューブからなる燃料供給管45(図9参照)が接続されており、この燃料供給管45の上流側端部に、燃料タンク48(図9参照)に設けられた燃料ポンプ(図示略)が接続されている。そして、このコモンレール44内で蓄圧された燃料が燃料噴射弁41に供給されて、燃料噴射弁41が開弁することにより、燃料噴射弁41から吸気マニホールド42内に燃料が噴射される。
【0065】
(本実施形態の効果)
本実施形態によれば、オイル吐出口83から吐出されたオイルが、ロータ66の回転に伴うコーナシール66bの移動によって、上側のサイドハウジング62aにおけるコーナシール66bの軌跡に沿った部分全体に塗り延ばされる。さらに、サイドシール66cは互いに隣り合うコーナシール66bを結ぶ状態で配置されたものであるため、ロータ66の回転に伴うサイドシール66cの軌跡はコーナシール66bの軌跡の一部と重複しており、コーナシール66bの移動によって塗り延ばされたオイルは、サイドシール66cの移動によってサイドシール66cの軌跡全体に塗り延ばされる。従って、サイドシール66cが上側のサイドハウジング62aと接触しながら移動することによる上側のサイドハウジング62aの摩耗を抑制することができる。
【0066】
しかも、オイル吐出口83から吐出されたオイルが、重力によりロータハウジング64の内壁面および下側のサイドハウジング62bの内壁面に流れ落ちるため、ロータ66の回転に伴うロータハウジング64の内壁面および下側のサイドハウジング62bの摩耗をも抑制することができる。
【0067】
その上、出力軸が上下方向に向く姿勢のロータリエンジンに特許文献1の技術を転用した場合のように、軸方向が上下方向に向くように配置されたロータハウジングの周壁に、その軸方向に沿って3つのノズルが並べて配置される必要がないので、ロータリエンジンの上下方向長さを小さく抑えることができ、フロアパネルの低床化を図ることができる。
【0068】
また、本実施形態においては、上側のサイドハウジング62aに形成された噴射装置挿入孔80は、ロータハウジング64の内壁面に向かって斜め下向きに延びる上下方向部82を有し、オイル吐出口83は、上下方向部82の先端に形成されている。このため、ロータ66の回転中においてロータ66がオイル吐出口83に対向した位置にないときには、オイル吐出口83からロータハウジング64の内壁面に向かってオイルが噴射され、ロータハウジング64の内壁面に速やかにオイルが供給される。このため、ロータハウジング64の内壁面を速やかに潤滑することができる。さらに、ロータハウジング64の内壁面に向かってオイルが噴射されることにより、オイルが速やかに下側のサイドハウジング62bに流れるため、下側のサイドハウジング62bの内壁面を速やかに潤滑することができる。
【0069】
また、本実施形態においては、上側のサイドハウジング62aの外周面にオイル噴射装置31が設けられ、オイル噴射装置31のオイル噴射口31aは、オイル吐出口83と連通している。このため、オイル噴射装置31が上側のサイドハウジング62aの上面に設けられる場合(本実施形態の変形例を示す図19参照)と比べて、オイル噴射装置31を含むロータリエンジンの上下方向長さを小さくすることができ、これにより、オイル噴射装置31によってオイルを噴射しつつ、フロアパネルのさらなる低床化を図ることができる。なお、図19に示される本実施形態の変形例では、噴射装置挿入孔80は、上側のサイドハウジング62bを上下方向に貫通するとともに、上側のサイドハウジング62aの上面からロータハウジング64の内周面に向かって斜め下向きに延びて、上側のサイドハウジング62aの下面に開口している。
【0070】
また、本実施形態においては、オイル噴射装置31は、オイルの逆流を防止するチェックバルブを有するため、ロータリエンジンの作動室68a,68b,68c内の圧力が、オイルの噴射圧よりも高くなった場合に、作動室68a,68b,68c内のガスやオイルがオイル噴射装置31内に侵入(逆流)するのを防止することができる。
【0071】
また、本実施形態においては、オイル噴射装置31は、ロータリエンジンにおける圧縮工程の初期にオイルを噴射可能な位置に配置されている。ロータリエンジンにおける圧縮工程の初期には、作動室68a,68b,68c内が低圧状態であるため、オイル噴射装置31は低い噴射圧でオイルを噴射することができる。これにより、オイルの噴射圧を高圧にするための装置が不要であり、コストアップを抑えることができる。
【0072】
なお、上記実施形態においては、発電ユニット1が車両後部に配置されているが、車両前部に配置されてもよい。
【符号の説明】
【0073】
2 エンジン(ロータリエンジン)
3 発電機
4 フレーム部材
31 オイル噴射装置
31a オイル噴射口
41 燃料噴射弁
42 吸気マニホールド
48 燃料タンク
51 エンジンの出力軸
53 発電機の回転軸
62a 上側のサイドハウジング
62b 下側のサイドハウジング
64 ロータハウジング
66 ロータ
66a ロータのコーナ部
66b コーナシール
66c サイドシール
80 噴射装置挿入孔
82 上下方向部(オイル導出路)
83 オイル吐出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
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