特許第6390557号(P6390557)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6390557
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】クリーニング装置、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20180910BHJP
   G03G 15/16 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   G03G21/00 314
   G03G15/16
【請求項の数】4
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-170804(P2015-170804)
(22)【出願日】2015年8月31日
(65)【公開番号】特開2017-49341(P2017-49341A)
(43)【公開日】2017年3月9日
【審査請求日】2017年6月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100174827
【弁理士】
【氏名又は名称】治下 正志
(72)【発明者】
【氏名】大羽 圭介
(72)【発明者】
【氏名】植村 聡
(72)【発明者】
【氏名】木村 亮介
【審査官】 田代 憲司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−029715(JP,A)
【文献】 特開2005−308994(JP,A)
【文献】 特開2007−188058(JP,A)
【文献】 特開2012−088560(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/030120(WO,A1)
【文献】 特開2006−208594(JP,A)
【文献】 特開2007−079332(JP,A)
【文献】 特開2009−294354(JP,A)
【文献】 特開2000−172120(JP,A)
【文献】 特開2001−042723(JP,A)
【文献】 特開2005−091775(JP,A)
【文献】 特開2012−014145(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/08
G03G 15/16
G03G 15/20
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に備えるクリーニング装置であって、
前記画像形成装置に備えられる像担持体の表面と接触して、前記像担持体上のトナー像が用紙に転写された後に前記像担持体上に残留した残留トナー及び前記用紙由来の異物を前記像担持体から除去する除去ローラーと、
前記除去ローラーの表面と接触して、前記除去ローラーで除去した残留トナー及び異物を回収する回収ローラーと、
前記回収ローラーの表面と接触して、前記回収ローラーで回収した残留トナー及び異物を前記回収ローラーから分離するブレードと、
前記回収ローラーから分離された残留トナー及び異物を排出する排出部と、
前記除去ローラーと前記排出部との間に配設し、一方の端部を前記回収ローラーの表面と接触させるシートとを備え、
前記ブレードの反発弾性が、国際ゴム硬さで、45°以上であり、
前記ブレードが、前記回収ローラーに対する線圧で12gf/cm以上、かつ、クリーニング角12°以上であり、
前記回収ローラーの、凹凸の平均間隔が、50〜150μmであり、
前記シートが、基材と、前記基材の少なくとも前記回収ローラーと接触する領域に配置される粉体とを備え、
前記粉体の粒子径が、体積平均粒子径で、前記基材の表面の十点平均粗さより小さく、
前記基材が、熱可塑性ポリウレタンシートであり、
前記除去ローラーを前記像担持体へ食い込ませる量が、画像形成時間の増加に伴って、前記除去ローラーの、前記像担持体と接触している位置と、前記像担持体がなかった場合の位置との距離で、1mm以上から0.75mm以下に低下し、
前記回収ローラーの表面粗さが、画像形成時間の増加に伴って、十点平均粗さで3〜6μmから1.5μm以上3μm未満に低下することを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
前記除去ローラーが、ファーブラシである請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記像担持体が、現像装置によって現像されたトナー像が転写され、転写されたトナー像を用紙に転写する中間転写体である請求項1又は請求項2に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
請求項1〜のいずれか1項に記載のクリーニング装置を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニング装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンター、ファクシミリ装置、及びこれらの複合機等の、電子写真方式を利用した画像形成装置は、感光体と、前記感光体の表面を均一に帯電させる帯電装置と、帯電された感光体の表面を露光することによって、前記感光体の表面に静電潜像を形成させる露光装置と、前記静電潜像が形成された感光体の表面にトナーを供給することによって、前記静電潜像をトナー像として現像する現像装置と、用紙等へ転写する転写装置と、転写されたトナー像を用紙等に定着させる定着装置等を備える。
【0003】
また、感光体や中間転写ベルト等の、像担持体上のトナー像を用紙等に転写した後、前記像担持体上に残留したトナー、いわゆる残留トナーを像担持体から除去するクリーニング装置を備えている。そうすることによって、転写されずに像担持体上に残留したトナーによる、形成される画像の画質低下を抑制することができる。
【0004】
このようなクリーニング装置としては、まず、像担持体にブレードを直接あてて、機械的にトナーをせき止める、いわゆるブレードクリーニング方式が挙げられる。この方式のクリーニング装置は、構成が簡単で安価であるという理由から、例えば、感光体や、ポリイミド製の中間転写ベルト等の、弾性層を持たない中間転写ベルトに対するクリーニング装置に採用されてきた。また、弾性層を有する像担持体に対しては、像担持体から残留トナーを、ファーブラシ等のクリーニングブラシで機械的及び電気的に除去する方式が採用されてきた。この方式のクリーニング装置としては、クリーニングブラシで除去された残留トナーを、回収ローラーで回収した後、この回収ローラーにブレードをあてて、残留トナーを回収する方式等が挙げられる。
【0005】
画像形成装置に用いられるクリーニング装置としては、例えば、特許文献1に記載のクリーニング装置が挙げられる。
【0006】
特許文献1には、回転移動可能な像担持体に当接し、前記像担持体表面の残留トナーを除去する板状の弾性体ブレードと、除去されクリーニング装置筐体内に取り込まれた残留トナーを所定の場所へと移送する回転可能な廃トナー移送手段と、を有するクリーニング装置が記載されている。このクリーニング装置は、前記弾性体ブレードと前記像担持体との当接部よりも前記像担持体回転方向上流側に、シール部材を前記像担持体表面に当接配置し、前記シール部材は、前記像担持体との当接部と反対側の端部が、前記クリーニング装置内の前記廃トナー移送手段の直下投影面積範囲内のクリーニング装置筐体内壁に係合され、前記シール部材の平面部に対して垂直方向に可動である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−96630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1によれば、像担持体表面に当接配置したシール部材により、残留トナーをクリーニング装置外へ漏れ出すことを防止する旨が開示されている。また、残留トナーが落下してくる筐体開口部近傍でのトナーの堆積がなく、安定して回収可能である旨が開示されている。
【0009】
また、特許文献1に記載のクリーニング装置は、いわゆるブレードクリーニング方式のクリーニング装置である。このクリーニング装置に備えられているシール部材を、クリーニングブラシで機械的及び電気的に残留トナーを除去する方式のクリーニング装置に適用しても、クリーニングブラシで除去した残留トナーが、像担持体側への漏れ出すことを充分に抑制できない場合があった。
【0010】
このことは、以下のことによると考えられる。
【0011】
まず、像担持体上には、残留トナーだけではなく、紙粉等の用紙由来の異物も存在する。よって、クリーニング装置で除去するのは、残留トナーだけではなく、用紙由来の異物も除去することになる。
【0012】
そして、クリーニング装置で、用紙由来の異物を除去する際、シール部材と像担持体との間に、用紙由来の異物が入り込み、シール部材と像担持体との間に、すき間を形成することがあると考えられる。このことから、シール部材があっても、クリーニングブラシで除去した残留トナーが像担持体側への漏れ出すことを充分に抑制できない場合があると考えられる。このような場合は、優れたクリーニング性能を長期間にわたって、維持できないと考えられる。
【0013】
本発明は、かかる事情を鑑みてなされたものであって、優れたクリーニング性能を長期間にわたって、維持できるクリーニング装置を提供することを目的とする。また、本発明は、前記クリーニング装置を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者が検討したところ、クリーニングブラシで除去した残留トナーが、シール部材があっても、像担持体側への漏れ出すことを充分に抑制できない要因としては、以下のことによると推察した。
【0015】
クリーニングブラシで機械的及び電気的に残留トナーを除去する方式のクリーニング装置は、具体的には、まず、ファーブラシ等の除去ローラーを、像担持体の表面に接触させて、像担持体から残留トナーを除去する。像担持体から除去されたトナーを、除去ローラーの表面に回収ローラーを接触させることによって、回収ローラーに回収する。そして、この回収した残留トナーを、回収ローラーの表面に接触させたブレードにより、回収ローラーから分離し、分離した残留トナーを、排出部で排出する。その際、分離した残留トナーが、像担持体側に戻らないようにするために、除去ローラーと排出部との間に、シール材として、一方の端部を回収ローラーの表面に接触させるようにシートを配置することがある。
【0016】
そして、前記像担持体は、残留トナーだけではなく、紙粉等の用紙由来の異物も搬送してくる。このような異物である紙粉も、残留トナーと同様、除去ローラーにより像担持体から除去される。その際、残留トナーは、紙粉より帯電されていると考えられる。このことから、回収ローラーに付着する力が、残留トナーより紙粉のほうが弱いと考えられる。よって、前記シートを備えている場合、シートと回収ローラーとの間を、紙粉は、残留トナーより通過しにくいと考えられる。そして、このような紙粉が、シートの、回収ローラーの回転方向上流側に徐々に蓄積されることになると考えられる。このような蓄積が進行すると、紙粉が、シートと回収ローラーとの間に入り込み、シートと回収ローラーとの間に、すき間が形成されてしまうと考えられる。このように、回収ローラーとの間にすき間が形成されたシートでは、残留トナーを、像担持体側へ漏れ出すことを充分に抑制できないことになると考えられる。このように、シートを単に設けただけでは、像担持体側への残留トナーの漏れ出しを充分に抑制できない場合があると推察した。
【0017】
そこで、本発明者は、回収ローラーによる、紙粉等の異物の搬送力を高めること等によって、紙粉等の異物も、シートと回収ローラーとの間を円滑に通過できると考えた。
【0018】
しかしながら、このように、搬送力を単に高めた回収ローラーを用いただけでは、シートと回収ローラーとの間を異物が円滑に通過できたとしても、ブレードが損傷してしまうおそれがあることを見出した。特に、長期間にわたって、画像形成を行うと、そのブレードの損傷がより顕著になり、ブレードによる残留トナーの回収ローラーからの分離が好適に行えなくなるおそれがあることを見出した。
【0019】
一方で、像担持体から搬送されてくる、紙粉等の異物は、長期間にわたって、画像形成を行うと、像担持体の搬送力が徐々に低下するため、徐々に減ってくることを見出した。
【0020】
これらのことから、本発明者は、画像形成時間の増加に伴い異物の量が減少することに鑑みて、画像形成時間の増加に伴い、除去ローラーによる像担持体からの残留トナーの除去性能や回収ローラーの搬送力が低下する、以下のような本発明に想到するに到った。
【0021】
本発明の一態様に係るクリーニング装置は、画像形成装置に備えるクリーニング装置であって、前記画像形成装置に備えられる像担持体の表面と接触して、前記像担持体上のトナー像が用紙に転写された後に前記像担持体上に残留した残留トナー及び前記用紙由来の異物を前記像担持体から除去する除去ローラーと、前記除去ローラーの表面と接触して、前記除去ローラーで除去した残留トナー及び異物を回収する回収ローラーと、前記回収ローラーの表面と接触して、前記回収ローラーで回収した残留トナー及び異物を前記回収ローラーから分離するブレードと、前記回収ローラーから分離された残留トナー及び異物を排出する排出部と、前記除去ローラーと前記排出部との間に配設し、一方の端部を前記回収ローラーの表面と接触させるシートとを備え、前記除去ローラーを前記像担持体へ食い込ませる量及び前記回収ローラーの表面粗さが、画像形成時間の増加に伴って低下することを特徴とする。
【0022】
このような構成によれば、優れたクリーニング性能を長期間にわたって、維持できるクリーニング装置を提供することができる。
【0023】
このことは、以下のように考えられる。
【0024】
まず、像担持体から搬送されてくる、紙粉等の異物は、長期間にわたって、画像形成を行うと、像担持体の搬送力が徐々に低下するため、徐々に減ってくる。このことから、画像形成時間の増加に伴い、前記除去ローラーを前記像担持体へ食い込ませる量を徐々に低下させても、像担持体から、紙粉等の異物を好適に除去することができる。また、優れたクリーニング性能を確保できるように、像担持体側への残留トナーの漏れ出しを充分に抑制できる搬送力を有する回収ローラーは、ブレードを損傷させるおそれがある。これに対しても、除去ローラーで除去される残留トナーの量が、画像形成時間の増加に伴い、少なくなるので、回収ローラーの表面粗さを徐々に低下させても、像担持体側への残留トナーの漏れ出しを充分に抑制できると考えられる。そして、画像形成時間の増加に伴い、回収ローラーの表面粗さを徐々に低下させるので、ブレードの損傷も抑制されると考えられる。このため、回収ローラーからのブレードによる残留トナーの除去も、長期間にわたって、好適に行われると考えられる。よって、これらのことから、上記構成によれば、優れたクリーニング性能を長期間にわたって、維持できると考えられる。
【0025】
また、前記クリーニング装置において、前記回収ローラーの表面粗さが、十点平均粗さで3〜6μmから1.5μm以上3μm未満に低下することが好ましい。
【0026】
このような構成によれば、より優れたクリーニング性能を長期間にわたって、維持できる。このことは、以下のことによると考えられる。
【0027】
画像形成開始初期は、回収ローラーの表面粗さが、十点平均粗さで3〜6μmであるので、回収ローラーの搬送力が高く、像担持体側への残留トナーの漏れ出しを充分に抑制できると考えられる。また、画像形成時間の増加とともに、回収ローラーの表面粗さが、十点平均粗さで1.5μm以上3μm未満に低下するので、ブレードの損傷も充分に抑制される。よって、これらのことから、上記構成によれば、より優れたクリーニング性能を長期間にわたって、維持できると考えられる。
【0028】
また、前記クリーニング装置において、前記ブレードの反発弾性が、国際ゴム硬さで、45°以上であることが好ましい。また、前記ブレードが、前記回収ローラーに対する線圧で12gf/cm以上、かつ、クリーニング角12°以上であることが好ましい。
【0029】
このような構成によれば、より優れたクリーニング性能を長期間にわたって、維持できる。このことは、以下のことによると考えられる。
【0030】
画像形成時間の増加に伴う、回収ローラーの表面粗さを好適に低下させることができると考えられる。また、回収ローラーからのブレードによる残留トナーの除去も好適に行われると考えられる。よって、これらのことから、上記構成によれば、より優れたクリーニング性能を長期間にわたって、維持できると考えられる。
【0031】
また、前記クリーニング装置において、前記除去ローラーの、前記像担持体と接触している位置が、前記像担持体がなかった場合の位置との距離で、1mm以上から0.75mm以下に低下することが好ましい。
【0032】
このような構成によれば、優れたクリーニング性能を、より長期間にわたって、維持できる。このことは、以下のことによると考えられる。
【0033】
画像形成時間の増加とともに、像担持体で搬送される、紙粉等の異物の量の減少に合わせて、前記除去ローラーを像担持体に食い込ませる量を好適に低減させることができると考えられる。このことから、除去ローラーと像担持体との接触による、両者の損傷を抑制しつつ、除去ローラーが像担持体から残留トナーを好適に除去できると考えられる。よって、優れたクリーニング性能を、より長期間にわたって、維持できると考えられる。
【0034】
また、前記クリーニング装置において、前記回収ローラーの、凹凸の平均間隔が、50〜150μmであることが好ましい。
【0035】
このような構成によれば、優れたクリーニング性能を、より長期間にわたって、維持できる。このことは、ブレードの損傷を抑制しつつ、回収ローラーによる残留トナーの搬送を好適に行うことができることによると考えられる。
【0036】
また、前記クリーニング装置において、前記シートが、基材と、前記基材の少なくとも前記回収ローラーと接触する領域に配置される粉体とを備えることが好ましい。
【0037】
このような構成によれば、クリーニング性能をより高めることができる。このことは、以下のことによると考えられる。
【0038】
このようなシートは、紙粉等の異物の付着力を低下させる。このため、回収ローラーとシートとの間に紙粉等の異物が入り込むことを抑制することができると考えられる。よって、回収ローラーとシートとの間に紙粉等の異物が入り込むことによる、像担持体側への残留トナーの漏れ出しを充分に抑制できると考えられる。このことから、クリーニング性能をより高めることができると考えられる。
【0039】
また、前記クリーニング装置において、前記基材が、熱可塑性ポリウレタンシートであることが好ましい。
【0040】
このような構成によれば、クリーニング性能をより高めることができる。このことは、以下のことによると考えられる。このような基材を備えるシートは、回収ローラーとシートとの間を、残留トナーや紙粉等の異物を好適に通過させ、さらに、像担持体側への残留トナーの漏れ出しを充分に抑制できると考えられる。このことから、クリーニング性能をより高めることができると考えられる。
【0041】
また、前記クリーニング装置において、前記除去ローラーが、ファーブラシであることが好ましい。
【0042】
このような構成によれば、前記像担持体の損傷を抑制しつつ、前記像担持体上の残留トナーや、紙粉等の用紙由来の異物を、前記像担持体から除去することができる。
【0043】
また、前記クリーニング装置において、前記像担持体が、現像装置によって現像されたトナー像が転写され、転写されたトナー像を用紙に転写する中間転写体であることが好ましい。
【0044】
このような構成によれば、中間転写体上の、残留トナーや、紙粉等の用紙由来の異物を好適に除去することができる。
【0045】
また、本発明の他の一態様に係る画像形成装置は、前記クリーニング装置を備える。
【0046】
このような構成によれば、高画質な画像を長期間にわたって形成することができる。このことは、残留トナーや用紙由来の異物が存在することによる、画質低下を、長期間にわたって好適に抑制することができることによると考えられる。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、優れたクリーニング性能を長期間にわたって、維持できるクリーニング装置を提供することができる。また、本発明によれば、前記クリーニング装置を備えた画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1図1は、本発明の実施形態に係るクリーニング装置が適用された画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係るクリーニング装置の構成を示す概略断面図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係るクリーニング装置が適用された画像形成装置の画像形成部周辺を示す模式図である。
図4図4は、ブレードの状態を説明する図である。
図5図5は、シートの紙粉付着力の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0050】
本発明の実施形態に係るクリーニング装置が適用された画像形成装置として、図1に示す画像形成装置10を例に挙げて説明する。なお、図1は、本発明の実施形態に係るクリーニング装置が適用された画像形成装置の全体構成を示す概略図である。本発明の実施形態に係る画像形成装置10としては、コンピュータ等の外部機器から伝送された画像情報に基づき画像形成処理を行うものであって、いわゆるタンデム方式の画像形成装置(カラープリンタ)10を例に挙げて説明する。
【0051】
ここで、画像形成装置として、タンデム方式の画像形成装置を例に挙げて説明するが、電子写真方式を利用した画像形成装置であればよく、タンデム方式の画像形成装置に限定されない。また、画像形成装置の種類としては、カラープリンターを例に挙げて説明するが、例えば、複写機、ファクシミリ装置、及び複合機等であってもよく、カラープリンターに限定されない。
【0052】
この画像形成装置10は、図1に示すように、箱形を呈した装置本体11内に内装された、用紙Pを給紙する給紙部12と、この給紙部12から給紙された用紙Pを搬送しながら、この用紙P上に画像情報に基づくトナー像を形成する画像形成部13と、この画像形成部13で用紙P上に形成された未定着トナー像を用紙Pに定着する定着処理を施す定着部14とが設けられている。さらに、前記装置本体11の上部には、前記定着部14で定着処理の施された用紙Pが排紙される排紙部15が形成されている。
【0053】
装置本体11の上面の適所には、用紙Pに対する出力条件等を入力操作するための図略の操作パネルが設けられている。この操作パネルには、電源キーや出力条件を入力するための各種のキー等が設けられている。
【0054】
また、装置本体11内には、図1に示す画像形成部13より右側位置に、上下方向に延びた用紙搬送路111が形成されている。用紙搬送路111には、適所に搬送ローラー対112が設けられている。そして、用紙搬送路111は、搬送ローラー対112によって、用紙Pを給紙部12から排紙部15まで搬送し、その搬送中の用紙Pが、画像形成部13の転写部や定着部14を通過するように形成されている。
【0055】
前記給紙部12は、給紙トレイ121、ピックアップローラー122、及び給紙ローラー対123を備えている。給紙トレイ121は、装置本体11内における画像形成部13より下方位置に挿脱可能に装着され、複数枚の用紙Pが積層された用紙束P1を貯留する。ピックアップローラー122は、給紙トレイ121の、用紙Pの搬送方向上流側で上方位置、具体的には、図1に示す右上方位置に設けられ、給紙トレイ121に貯留された用紙束P1の最上面の用紙Pを1枚ずつ取り出す。給紙ローラー対123は、ピックアップローラー122によって取り出された用紙Pを用紙搬送路111に送り出す。そうすることによって、前記給紙部12は、画像形成部13へ向けて用紙Pを給紙する。
【0056】
また、前記給紙部12は、装置本体11の、図1に示す左側側面に取り付けられる手差しトレイ124、ピックアップローラー125、及び給紙ローラー対126をさらに備えている。手差しトレイ124は、用紙Pを手差し操作で画像形成部13へ向けて供給するためのものである。手差しトレイ124は、装置本体11の側面に収納可能であり、手差しで用紙Pを給紙する際、図1に示すように、装置本体11の側面から引き出されて手差し給紙に供される。ピックアップローラー125は、手差しトレイ124に載置された用紙Pを取り出す。ピックアップローラー125によって取り出された用紙Pは、給紙ローラー対123,126によって用紙搬送路111に送り出す。そうすることによって、前記給紙部12は、画像形成部13へ向けて用紙Pを給紙する。
【0057】
前記画像形成部13は、所定の画像処理によって給紙部12から給紙された用紙Pにカラー画像等の画像を形成させるものである。画像形成部13は、複数の画像形成ユニット131と、中間転写ベルト(中間転写体)132と、1次転写ローラー133と、2次転写ローラー134とを備えている。
【0058】
前記画像形成ユニット131としては、本実施形態では、中間転写ベルト132の回転方向上流側から下流側へ(図1に示す左側から右側へ)向けて順次配設された、マゼンタ(M)色の現像剤を用いるマゼンタ用ユニット131M、シアン(C)色の現像剤を用いるシアン用ユニット131C、イエロー(Y)色の現像剤を用いるイエロー用ユニット131Y、及びブラック(K)色の現像剤を用いるブラック用ユニット131Kが備えられている。各ユニット131は、それぞれ像担持体である感光体ドラム135を備え、感光体ドラム135上に画像情報に基づいて各色に対応するトナー像を形成させ、中間転写ベルト132に1次転写する。
【0059】
前記画像形成ユニット131は、中央位置に像担持体としての感光体ドラム135が矢符(図1では時計回り)方向に回転可能に配置されている。そして、感光体ドラム135の周囲には、前記1次転写ローラー133による転写(1次転写)される位置を、感光体ドラム135の回転方向の最も上流側とした場合に、そこから下流側に向かって順に、除電される位置、帯電される位置、露光される位置、現像される位置となるように、除電装置24、帯電装置21、露光装置22、現像装置23等が各々配置されている。
【0060】
前記感光体ドラム135は、その周面上に、画像情報に基づいて各色に対応するトナー像を形成させるためのものである。前記帯電装置21は、矢符方向に回転されている感光体ドラム135の周面を帯電させるためのものである。前記露光装置22は、帯電装置21によって周面が帯電された感光体ドラム135の周面に、画像情報に基づくレーザ光を照射し、感光体ドラム135の周面上に画像情報に基づく静電潜像を形成させるためのものである。露光装置22としては、例えば、LEDヘッドユニットやレーザ走査ユニット(LSU)等が挙げられる。前記現像装置23は、感光体ドラム135の周面上に形成された静電潜像をトナー像に現像するためのものである。
【0061】
前記中間転写ベルト132は、複数の画像形成ユニット131によって、その周面(接触面)に画像情報に基づくトナー像が転写(1次転写)されるためのものである。すなわち、中間転写ベルト132は、本実施形態においては、感光体ドラム135と1次転写ローラー133とで狭持され、感光体ドラム135からトナー像が転写される周面を有する像担持体である。
【0062】
また、中間転写ベルト132は、無端状のベルト状回転体であって、その周面側が各感光体ドラム135の周面にそれぞれ当接するように、駆動ローラー136、及び従動ローラー137に架け渡されている。また、中間転写ベルト132は、中間転写ベルト132を介して各感光体ドラム135と対向する位置に配される各1次転写ローラー133によって各感光体ドラム135に押圧された状態で、駆動ローラー136の回転駆動によって、無端回転するように構成されている。駆動ローラー136は、ステッピングモータ等の駆動源によって回転駆動し、中間転写ベルト132を無端回転させるための駆動力を与える。従動ローラー137は、回転自在に設けられ、駆動ローラー136による中間転写ベルト132の無端回転に伴って従動回転する。
【0063】
また、中間転写ベルト132は、特には限定されないが、具体的には、例えば、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン等の樹脂製のシームレスベルトの表面に、シリコーンゴム及びフッ素ゴム等の合成ゴムやウレタン樹脂等のコーティング層(弾性層)を設けたものからなるベルト等が挙げられる。好ましい中間転写ベルト132の一例としては、例えば、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)の下地層の上に、ウレタン樹脂を含む弾性層を設け、その上にPTFE(ポリ4フッ化エチレン)のコーティング層を形成してなるベルトである。なお、コーティング層には、導電性を付与するためにカーボンブラック等の導電性フィラーが添加される場合もある。
【0064】
1次転写ローラー133は、感光体ドラム135上に形成されたトナー像を、中間転写ベルト132に1次転写するためのものである。すなわち、1次転写ローラー133は、本実施形態においては、中間転写ベルト132を狭持して感光体ドラム135周面上のトナー像を中間転写ベルト132に1次転写させる転写部である。
【0065】
また、1次転写ローラー133は、中間転写ベルト132を介して各感光体ドラム135と対向する位置に配置される。1次転写ローラー133は、各画像形成ユニット131の感光体ドラム135に対して、それぞれ設けられる。また、1次転写ローラー133は、上述したように、中間転写ベルト132が感光体ドラム135に押圧された状態になるように、中間転写ベルト132に接触している。また、1次転写ローラー133は、中間転写ベルト132に接触したまま、中間転写ベルト132の無端回転に従属して回転する。その際、各1次転写ローラー133に、トナーの帯電極性とは逆極性である1次転写バイアス電圧を印加することによって、各感光体ドラム135上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム135とそれに対応する各1次転写ローラー133との間で、中間転写ベルト132に1次転写される。これにより、各感光体ドラム135上に形成されたトナー像が、矢符(図1では、反時計回り)方向に周回する中間転写ベルト132に重ね塗り状態で順次1次転写される。
【0066】
また、2次転写ローラー134は、中間転写ベルト132上のトナー像を給紙部12から給紙された用紙Pに転写(2次転写)させるためのものである。すなわち、2次転写ローラー134は、本実施形態においては、中間転写ベルト132の周面に接触してニップ部を形成し、そのニップ部を通過する記録媒体である用紙Pに、中間転写ベルト132の周面上のトナー像を2次転写させる2次転写部である。
【0067】
また、2次転写ローラー134は、中間転写ベルト132を介して、駆動ローラー136と対向する位置に配置される。また、2次転写ローラー134は、中間転写ベルト132に接触したまま、中間転写ベルト132の無端回転に従属して回転する。その際、2次転写ローラー134に、トナーの帯電極性とは逆極性である2次転写バイアス電圧を印加することによって、中間転写ベルト132上に1次転写されたトナー像が、2次転写ローラー134と駆動ローラー136との間で、給紙部12から給紙された用紙Pに2次転写される。これにより、用紙P上に、画像情報に基づくトナー像が未定着の状態で転写される。
【0068】
また、前記画像形成部13には、中間転写ベルト132の、2次転写位置より回転方向下流側で、1次転写位置より回転方向上流側の位置に、クリーニング装置200をさらに備えている。クリーニング装置200は、2次転写後、中間転写ベルト132の周面上に残存したトナー(残留トナー)を除去して清浄化するためのものである。クリーニング装置200によって清浄化処理された中間転写ベルト132の周面は、新たな1次転写処理のために1次転写位置へ向かう。クリーニング装置200によって除去された残留トナー(廃トナー)は、所定の経路を通って図略のトナー回収ボトルに回収され、貯留される。なお、クリーニング装置200の構成については、後述する。
【0069】
前記定着部14は、画像形成部13で転写された用紙P上のトナー像に対し定着処理を施すものである。定着部14は、内部に加熱源である通電発熱体を備えた加熱ローラー141と、加熱ローラー141と配向配置された定着ローラー142と、定着ローラー142と加熱ローラー141との間に張架された定着ベルト143と、定着ベルト143を介して定着ローラー142と対向配置された加圧ローラー144とを備えている。
【0070】
定着部14へ供給された用紙Pは、定着ベルト143と加圧ローラー144との間に形成される定着ニップ部を通過することで、加熱加圧される。これにより、前記画像形成部13で用紙Pに転写されたトナー像は、用紙Pに定着される。定着処理の完了した用紙Pは、定着部14の上部から延設された用紙搬送路111を経由して、装置本体11の頂部に設けられた排紙部15の排紙トレイ151へ向けて排紙される。
【0071】
前記排紙部15は、装置本体11の頂部が凹没されることによって、形成され、この凹部の底部に排紙された用紙Pを受ける排紙トレイ151が形成されている。
【0072】
以下、前記クリーニング装置200について説明する。図2は、本発明の実施形態に係るクリーニング装置200の構成を示す概略断面図であり、図1に示した画像形成装置10に備えたクリーニング装置200の周辺部を拡大して示したものである。
【0073】
前記クリーニング装置200は、除去ローラー201、回収ローラー202、ブレード204、排出部205、シート203等を備えている。
【0074】
前記除去ローラー201は、像担持体である中間転写ベルト132の表面と接触しながら回転することによって、中間転写ベルト132上の残留トナーを除去する。その際、2次転写時に、2次転写ローラー134によって中間転写ベルト132に用紙が圧接されること等によって、用紙から発生する紙粉等の、用紙由来の異物も、中間転写ベルト132から除去される。
【0075】
また、前記除去ローラー201は、残留トナーや用紙由来の異物を中間転写ベルト132から除去することができれば、特に限定されない。例えば、ファーブラシ等が挙げられる。除去ローラーとして、ファーブラシを用いることによって、像担持体である中間転写ベルト132の損傷を抑制しつつ、中間転写ベルト132上の残留トナーや用紙由来の異物を除去することができる。また、ファーブラシとしては、例えば、複数のフィラメント糸を束ねた束を織ってパイル状にしたものをロール状に巻いたファーブラシ状にしたブラシ等が挙げられる。また、このファーブラシとしては、カーボンブラック等の導電性フィラーを添加すること等により導電性が付与されたアクリル繊維(導電性アクリル繊維)からなるファーブラシが好ましく用いられる。
【0076】
また、前記除去ローラー201は、その食い込み量、すなわち、前記除去ローラー201を像担持体である中間転写ベルト132へ食い込ませる量を、画像形成時間の増加に伴い低下するように設けられる。中間転写ベルト132は、画像形成時間の増加に伴い、白化等が起こり、紙粉等の用紙由来の異物の搬送力が徐々に低下するので、中間転写ベルト132によって搬送される、紙粉等の用紙由来の異物の量は徐々に減ってくる。このため、前記除去ローラー201の食い込み量が、画像形成時間の増加に伴い低下しても、中間転写ベルト132によって搬送されてくる、紙粉等の用紙由来の異物を好適に除去することができる。なお、除去ローラー201の食い込み量は、前記中間転写ベルト132と接触している位置が、前記中間転写ベルト132がなかった場合の位置との距離である。
【0077】
また、除去ローラー201の食い込み量を低下させる方法は、画像形成時間の増加に伴い低下するのであれば、特に限定されない。具体的には、画像形成時間の増加に伴い、その食い込み量が徐々に低下する除去ローラーを用いてもよいし、除去ローラーを画像形成時間の増加とともに、中間転写ベルト132から徐々に離間するようにしてもよい。
【0078】
また、除去ローラー201の食い込み量は、画像形成開始前の初期の状態で、1mm以上であることが好ましく、1〜1.25mmであることがより好ましい。この食い込み量が小さすぎると、中間転写ベルト132から搬送されてきた、紙粉等の用紙由来の異物を好適に除去できない傾向がある。また、食い込み量が大きすぎると、除去ローラー201や中間転写ベルト132にかかるトルクが増大することによる脱調が生じたり、中間転写ベルト132に癖付きが生じることによるクリーニング不良が発生するおそれがある。また、除去ローラー201及び中間転写ベルト132の損傷が大きくなる傾向もある。よって、除去ローラー201の、初期状態での食い込み量は、上記範囲内であることによって、除去ローラー201及び中間転写ベルト132の損傷を抑制しつつ、紙粉等の用紙由来の異物を好適に除去できる。
【0079】
また、除去ローラー201の食い込み量は、画像形成を、用紙P30000枚分行った後の状態で、0.75mm以下であることが好ましく、0.3〜0.75mmであることがより好ましい。この食い込み量が小さすぎると、中間転写ベルト132によって搬送される、紙粉等の用紙由来の異物の量が減少するとはいえ、好適に除去できない傾向がある。また、食い込み量が大きすぎると、中間転写ベルト132によって搬送される、紙粉等の用紙由来の異物の量が減少しているにもかかわらず、除去ローラー201が中間転写ベルト132に必要以上に強くあたることになってしまう。このため、除去ローラー201及び中間転写ベルト132の損傷が大きくなる傾向がある。よって、除去ローラー201の、画像形成を所定時間行った後での食い込み量は、上記範囲内であることによって、紙粉等の用紙由来の異物の搬送量に応じた食い込み量であって、除去ローラー201及び中間転写ベルト132の損傷を抑制しつつ、紙粉等の用紙由来の異物を好適に除去できる。なお、画像形成時間は、画像形成を行う枚数が増えれば、増える。ここでの、所定時間とは、用紙P30000枚分の画像形成を行うのに要する時間である。
【0080】
また、本実施形態に係るクリーニング装置は、除去ローラー201の食い込み量は、画像形成時間の増加に伴い、1mm以上から0.75mm以下に低下してしまう場合であっても、回収ローラー202の表面粗さを以下のように低下させることによって、クリーニング性能を維持できる。
【0081】
前記回収ローラー202は、前記除去ローラー201の表面と接触しながら回転することによって、前記除去ローラー201で除去したトナー及び異物を回収する。回収ローラー202は、残留トナーや用紙由来の異物を前記除去ローラー201から回収することができれば、特に限定されない。具体的には、金属ローラーであって、その金属ローラーに電圧を印加する電圧印加部を備えたものが挙げられる。また、好ましい金属ローラーの一例としては、例えば、硫黄及び硫黄複合快削鋼(SUM)材製のローラー表面に、ブラスト処理を施し、さらに、ニッケル(Ni)を施してなるローラーである。金属ローラーに電圧を印加することで、残留トナーや用紙由来の異物を前記除去ローラー201から回収することができる。このことは、まず、残留トナーは、帯電、例えば、正に帯電していると考えられる。そして、金属ローラーが、トナーとは逆極性に帯電されるように電圧を印加することによって、トナーを吸着されると考えられる。その際、紙粉は、トナーより回収ローラーに吸着される力が弱いと考えられるが、紙粉も回収ローラーによって回収されると考えられる。
【0082】
また、前記回収ローラー202は、その表面粗さを、画像形成時間の増加に伴い低下するように設けられる。上述したように、中間転写ベルト132による、紙粉等の用紙由来の異物の搬送量が、画像形成時間の増加に伴い、減少する。このことから、除去ローラー201で、中間転写ベルト132から除去される紙粉等の用紙由来の異物の量も、画像形成時間の増加に伴い、減少する。このため、回収ローラー202の表面粗さは、除去ローラー201で除去される紙粉等の用紙由来の異物の量の低下に応じて、低下することが好ましい。また、回収ローラー202の表面粗さが大きいと、紙粉等の用紙由来の異物の搬送力が高まる一方で、ブレードの損傷が大きくなる。回収ローラー202の表面粗さがこのように低下することによって、必要な搬送力に応じた、表面粗さとなる。よって、除去ローラー201で除去される紙粉等の用紙由来の異物を好適に回収しつつ、ブレードの損傷を抑制することができる。
【0083】
また、回収ローラー202の表面粗さを低下させる方法は、画像形成時間の増加に伴い低下するのであれば、特に限定されない。具体的には、画像形成時間の増加に伴い、その表面粗さが徐々に低下する回収ローラーを用いてもよい。また、回収ローラーと接触するブレードが、画像形成時間の増加に伴い、回収ローラーの表面粗さを徐々に低下させるものを用いてもよい。また、ブレードの回収ローラーに対する線圧やクリーニング角を、回収ローラーの表面粗さを徐々に低下させるように、ブレードを設置してもよい。
【0084】
また、前記回収ローラー20の表面の十点平均粗さRzは、画像形成開始前の初期の状態で、3〜6μmであることが好ましく、3.5〜5μmであることがより好ましい。十点平均粗さRzが小さすぎると、トナーや紙粉等の異物の搬送力を好適に確保できない傾向がある。また、十点平均粗さRzが大きすぎると、ブレードの損傷を好適に抑制できない傾向がある。また、前記回収ローラー202の表面粗さは、凹凸の平均間隔Smで、50〜150μmであることが好ましく、70〜110μmであることがより好ましい。凹凸の平均間隔Smが小さすぎると、ブレードの損傷を好適に抑制できない傾向がある。また、凹凸の平均間隔Smが大きすぎると、トナーや紙粉等の異物の搬送力を好適に確保できない傾向がある。よって、前記回収ローラー202の表面粗さが、上記範囲内であれば、前記回収ローラー202が、前記残留トナー及び前記異物を好適に搬送させることができる。
【0085】
また、回収ローラー202の表面の十点平均粗さRzは、画像形成を、用紙P30000枚分行った後の状態で、3μm未満であることが好ましく、1.5μm以上3μm未満であることがより好ましい。この十点平均粗さRzが小さすぎると、除去ローラー201によって除去される、紙粉等の用紙由来の異物の量が減少するとはいえ、回収ローラー202で好適に回収できない傾向がある。また、この十点平均粗さRzが大きすぎると、除去ローラー201によって除去される、紙粉等の用紙由来の異物の量が減少しているにもかかわらず、ブレード204を必要以上に損傷させる程の表面粗さとなってしまう。よって、回収ローラー202の、画像形成を所定時間行った後での十点平均粗さRzは、上記範囲内であることによって、紙粉等の用紙由来の異物の量に応じた粗さであって、ブレード204の損傷を抑制しつつ、紙粉等の用紙由来の異物を好適に回収できる。
【0086】
すなわち、回収ローラー202の十点平均粗さRzは、画像形成時間の増加に伴い、3〜6μmから1.5μm以上3μm未満に低下することが好ましい。
【0087】
なお、十点平均粗さRz及び凹凸の平均間隔Smは、JIS B 0601:1994に準拠の方法により測定された値である。例えば、表面粗さ測定機、具体的には、株式会社東京精密製のサーフコム570Aを用いて測定することができる。
【0088】
前記ブレード204は、前記回収ローラー202の表面と接触して、前記回収ローラー202で回収したトナー及び異物を前記回収ローラー202から分離する。分離されたトナーや紙粉は、前記ブレード204の下方方向に位置される排出部205に移動する。
【0089】
また、前記ブレード204は、トナー及び異物を前記回収ローラー202から分離することができれば、特に限定されない。例えば、樹脂製の板状部材等が挙げられ、ポリウレタンゴムからなる板状部材が挙げられる。この板状部材の一方の端部が、前記回収ローラー202の表面と接触している。そして、この板状部材は、他方の端部から、前記回収ローラー202の表面と接触している端部へ向かう方向が、前記回収ローラー200の回転方向とは反対の方向となるように接触している。そうすることによって、前記回収ローラー202で回収したトナー及び異物を、前記ブレード204で掻き取るように、前記回収ローラー202から分離する。
【0090】
また、前記ブレードは、その反発弾性が、国際ゴム硬さで、45°以上であることが好ましく、45〜80°であることがより好ましく、45〜60°であることがさらに好ましい。この反発弾性が小さすぎると、回収ローラーから残留トナーや異物をブレードによって好適に分離することができない傾向がある。すなわち、ブレードからのすり抜けは発生する傾向がある。また、回収ローラーの表面粗さを好適に低下させることができない傾向がある。また、この反発弾性が大きすぎると、回収ローターの表面粗さを低下させすぎる傾向がある。
【0091】
なお、国際ゴム硬さは、例えば、JIS K 6253のN法またはH法に準拠した方法により、規定の試験片(厚さ8mmの上下面が平面形状)を用いて、測定することができる。
【0092】
前記ブレード204は、前記回収ローラー202に接触させるように設けると、図4に示すような状態になる。まず、回収ローラーがなかった場合のブレード204aが、回収ローラー202と接触することで、ブレードの先端が移動する。そして、その際の状態のブレード204bの先端が、実際にはたわむ。前記ブレード204は、前記回収ローラー202に接触させるように設けると、図4に示すような状態のブレード204cとなる。そして、ブレード204の先端の接線と、回収ローラー202のブレードと接触しているところの接線とがなす角θ1がクリーニング角である。なお、図4は、ブレードの状態を説明する図である。
【0093】
また、前記ブレード204の、回収ローラー202に対する線圧は、12gf/cm以上であることが好ましく、12〜25gf/cmであることがより好ましい。この線圧が小さすぎると、回収ローラーから残留トナーや異物をブレードによって好適に分離することができない傾向がある。すなわち、ブレードからのすり抜けは発生する傾向がある。また、回収ローラーの表面粗さを好適に低下させることができない傾向がある。また、線圧が大きすぎると、ブレードの損傷を充分に抑制できない傾向がある。
【0094】
また、前記ブレード204のクリーニング角は、12°以上であることが好ましく、12〜30°であることがより好ましく、15〜20°であることがさらに好ましい。クリーニング角が小さすぎると、回収ローラーから残留トナーや異物をブレードによって好適に分離することができない傾向がある。すなわち、ブレードからのすり抜けは発生する傾向がある。また、回収ローラーの表面粗さを好適に低下させることができない傾向がある。また、クリーニング角が大きすぎると、ブレードの損傷を充分に抑制できない傾向がある。
【0095】
なお、この線圧やクリーニング角は、ブレードの種類やブレードの食い込み量によって調整することができる。ブレードの食い込み量は、図4に示すように、回収ローラー202と接触している位置が、回収ローラーがなかった場合の位置との距離yである。
【0096】
前記排出部205は、前記回収ローラー202から分離されたトナー及び異物を、クリーニング装置200から排出する。前記排出部205は、例えば、前記回収ローラー202等に平行に、排出ローラー等を備え、その排出ローラーの回転によって、トナーや異物を、排出ローラーの延びる方向(図2において、紙面に対して垂直方向)に移動させ、クリーニング装置200から排出するもの等が挙げられる。このクリーニング装置200によって除去された廃トナーは、所定の経路を通って図略のトナー回収ボトルに回収され、貯留される。
【0097】
前記シート203は、前記除去ローラー201と前記排出部205との間に配設し、一方の端部を前記回収ローラー202の表面と接触させる。そして、シート203は、他方の端部から、回収ローラー202の表面と接触している端部へ向かう方向が、前記回収ローラー200の回転方向とは同じ方向となるように接触している。すなわち、前記ブレード204と向かいあうように設置され、前記シート203及び前記ブレード204によって、前記除去ローラー201側と前記排出部205側とを区画する。また、前記シート203は、前記除去ローラー201側と前記排出部205側とを区画できるように、他方の端部を、例えば、クリーニング装置200の筐体に接続する。
【0098】
このようなシート203がないと、前記ブレード203によって、前記回収ローラー202から分離されたトナーや異物は、自由落下に任せているので、ブレード204の下方に位置する排出部205だけではなく、除去ローラー201側にも移行すると考えられる。すなわち、クリーニング装置200によって、中間転写ベルト132から除去した残留トナーが、排出部205だけではなく、像担持体である中間転写ベルト132側に戻ってしまうと考えられる。このことから、前記シート203は、クリーニング装置からのトナー飛散を抑制することができる。
【0099】
そして、前記シート203としては、基材206と、基材206の、少なくとも前記回収ローラー202と接触する領域に配置される粉体からなる層(粉体層)207とを備えるシートを用いることが好ましい。図2には、基材206の、回収ローラー202と接触する側の面の全面に粉体からなる層207を備える場合について記載している。粉体層207は、基材206の、回収ローラー202と接触する側の面のうち、回収ローラー202と接触する領域に配置されていればよい。
【0100】
また、シートとして、従来のシートである粉体を備えないものを用いると、上述したように、ブレードによって回収ローラーから分離されたトナーが、像担持体側に漏れ出すことがあった。このことは、シートと回収ローラーとの間に、紙粉等の異物が入り込むことによって、シートと回収ローラーとの間にすき間ができることによると考えられる。これに対して、上記のようなシート203を、その粉体層207が回収ローラー202と接触するように用いることによって、回収ローラー202から分離されたトナーも異物も、シート203と回収ローラー202との間を通過しやすく、像担持体から除去した残留トナーの、像担持体側への漏れ出しを抑制することができる。
【0101】
また、前記粉体層207は、シート203上に配置することによって、シート203に対する、紙粉等の異物の付着力を低下させることができれば、特に限定されない。前記粉体層207の粉体としては、例えば、像担持体上にトナー像を形成させるためのトナー及び前記トナーに含まれる粒子等が挙げられる。また、トナーに含まれる粒子としては、酸化チタンやステアリン酸亜鉛等の粒子が挙げられる。このような粉体であれば、シート203に対する、紙粉等の異物の付着力を低下させることができ、基材206から脱離して、像担持体等に付着したとしても、形成される画像の画質等に対する影響が少ない。
【0102】
また、前記粉体の粒子径は、体積平均粒子径で、基材の表面の十点平均粗さRzより小さいことが好ましい。具体的には、前記粉体の粒子径は、体積平均粒子径で、200nm〜1μmであることが好ましく、200〜400μmであることがより好ましい。また、本実施形態において、前記基材は、表面粗さが、十点平均粗さRzで、1〜10μmであるものを使用している。このように、前記粉体の粒子径が小さいと、前記シートの基材の凹凸に、粉体が適切に入り込み、基材上に粉体からなる層を好適に形成することができると考えられる。このようにして得られたシートは、粉体からなる層が好適に形成されているので、前記用紙由来の異物、例えば、紙粉の付着力をより好適に低下させることができる。よって、像担持体から除去した残留トナーの、像担持体側への漏れ出しをより抑制することができる。
【0103】
なお、体積平均粒子径は、動的光散乱法等の公知の方法で測定される粒子径分布から算出することができる。例えば、粒度計(ベックマンコールター株式会社製のマルチサイザー3)等によって、測定することができる。
【0104】
また、前記基材206は、回収ローラー202によって搬送されたトナーや異物が、シート203と回収ローラー202との間を通過することができる基材であれば、特に限定されない。具体的には、基材206のヤング率は、100MPa以下であることが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)シートは、ヤング率が100MPaを越え、これをシートとして用いると、回収ローラーによって搬送されたトナーや異物が、シートと回収ローラーとの間を好適に通過することができなくなる。よって、ポリエチレンテレフタレート(PET)シートを基材として用いた場合、本実施形態におけるシートにはならない。また、基材206のヤング率は、45MPa以上であることが好ましい。よって、基材206のヤング率は、45〜100MPaであることが好ましい。基材206のヤング率が高すぎると、回収ローラー202によって搬送されたトナーや異物が、シート203と回収ローラー202との間を好適に通過できない傾向がある。また、基材206のヤング率が低すぎると、シート203がやわらかすぎて、シート203と回収ローラー202との接触状態を好適に維持できない傾向がある。また、前記基材206としては、熱可塑性ポリウレタンシートが好ましい。
【0105】
また、前記粉体層207の形成方法としては、前記基材206上の所定の箇所に形成できれば、特に限定されない。具体的には、前記基材206上に、前記粉体をまぶすことによって形成することができる。
【0106】
また、前記シート203の一方の端部の位置が、前記回収ローラー202がなかった場合の位置との距離で0.2〜1mmである位置に配置されることが好ましい。すなわち、前記シート203の食い込み量は、0.2〜1mmであることが好ましく、0.5〜0.8mmであることがより好ましい。この食い込み量が小さすぎると、像担持体から除去した残留トナーの、像担持体側への漏れ出しを充分に抑制できない傾向がある。また、この食い込み量が大きすぎると、回収ローラー202によって搬送されたトナーや異物が、シート203と回収ローラー202との間を好適に通過できない傾向がある。よって、シート203の食い込み量が、上記範囲内であれば、像担持体から除去した残留トナーの、像担持体側への漏れ出しを好適に抑制できるだけではなく、前記シートと前記回収ローラーとの間を、前記残留トナー及び前記異物を好適に通過させることができる。
【0107】
上記のようなシート203を、粉体層207が回収ローラー202と接触するように用いることによって、像担持体から除去した残留トナーの、像担持体側への漏れ出しを充分に抑制することができる。
【0108】
また、上記クリーニング装置は、優れたクリーニング性能を、長期間にわたって維持できる。このことは、以下のことによると考えられる。
【0109】
上述したように、上記クリーニング装置は、像担持体から除去した残留トナーの、像担持体側への漏れ出しを充分に抑制したクリーニング装置である。そして、像担持体から搬送されてくる、紙粉等の異物は、長期間にわたって、画像形成を行うと、像担持体の搬送力が徐々に低下するため、徐々に減ってくる。このことから、画像形成時間の増加に伴い、前記除去ローラーを前記像担持体へ食い込ませる量を徐々に低下させても、像担持体から、紙粉等の異物を好適に除去することができる。また、優れたクリーニング性能をできるように、像担持体側への残留トナーの漏れ出しを充分に抑制できる搬送力を有する回収ローラーは、ブレードを損傷させるおそれがある。これに対しても、除去ローラーで除去される残留トナーの量が、画像形成時間の増加に伴い、少なくなるので、回収ローラーの表面粗さを徐々に低下させても、像担持体側への残留トナーの漏れ出しを充分に抑制できると考えられる。そして、画像形成時間の増加に伴い、回収ローラーの表面粗さを徐々に低下させるので、ブレードの損傷も抑制されると考えられる。このため、回収ローラーからのブレードによる残留トナーの除去も、長期間にわたって、好適に行われると考えられる。よって、これらのことから、上記構成によれば、優れたクリーニング性能を長期間にわたって、維持できると考えられる。
【0110】
よって、上記のようなクリーニング装置を備えた画像形成装置は、高画質な画像を、長期間にわたって形成することができる。このことは、残留トナーや用紙由来の異物が存在することによる、画質低下を、長期間にわたって好適に抑制することができることによると考えられる。
【0111】
上述した画像形成装置は、本実施形態に係るクリーニング装置が、現像装置によって現像されたトナー像が転写され、転写されたトナー像を用紙に転写するための中間転写体、具体的には、中間転写ベルト上の残留トナーや異物を除去するためのもの、すなわちベルトクリーニング装置として備えられたものである。本実施形態に係るクリーニング装置は、このようなベルトクリーニング装置として用いる場合に限定されず、トナーを除去するためであれば、使用することができる。例えば、図3に示すように、表面上に、現像装置によって現像されたトナー像を形成する感光体、具体的には、感光体ドラム上の残留トナーや異物を除去するためのものとしても使用できる。すなわち、ドラムクリーニング装置等の、感光体をクリーニングするためのクリーニング装置として使用できる。よって、本実施形態に係るクリーニング装置は、ベルトクリーニング装置としても、ドラムクリーニング装置等の、感光体をクリーニングするためのクリーニング装置としても用いることができる。
【0112】
以下、本実施形態に係るクリーニング装置をドラムクリーニング装置として用いた場合について説明する。
【0113】
図3は、本発明の実施形態に係るクリーニング装置が適用された画像形成装置300の画像形成部周辺を示す模式図である。画像形成装置300は、電子写真方式によって記録媒体である用紙330に所定の画像を形成する装置である。また、画像形成装置300は、図3に示すように、像担持体である感光体ドラム331の周囲に、感光体ドラム331の回転方向Aに沿って順に、帯電装置332、露光装置333、現像装置334、転写ローラー336、クリーニング装置200、及び除電装置338等を備えている。なお、クリーニング装置200と除電装置338とが逆の配置であってもよい。
【0114】
前記感光体ドラム331は、本実施形態では、ドラム状の感光体である感光体ドラムを例に挙げて説明するが、これに限定するものではなく、ベルト状の感光体、及びシート状の感光体等に対しても適用できる。前記帯電装置332は、感光体ドラム331の表面を帯電させるものである。前記露光装置333は、画像データに基づく光を照射することにより感光体ドラム331の表面電位を選択的に減衰させて静電潜像を形成するものである。現像装置334は、感光体ドラム331の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像して、トナー像を形成するものである。前記転写ローラー336は、感光体ドラム331上に形成されたトナー像を用紙330上に転写するものである。前記クリーニング装置200は、感光体ドラム331の表面に残留したトナー等を除去するための装置である。また、このクリーニング装置200は、備えられている除去ローラー201が、中間転写ベルトから感光体ドラムに変わったこと以外、上記クリーニング装置と同様である。前記除電装置338は、感光体ドラム331の表面電荷をランプ光によって除電するものである。
【0115】
さらに、画像形成装置300は、用紙330の搬送方向下流側に、定着装置341(加熱ローラー342及び加圧ローラー343)を備えている。定着装置341は、トナー像が転写された用紙330に熱と圧力とを加えてトナー像を定着させて、用紙330上に所定の画像を形成させる。このような画像形成装置によれば、高画質な画像を形成することができる。このことは、クリーニング装置で除去された残留トナーが感光体に戻ることが好適に抑制され、好適に感光体ドラム上がクリーニングされるためと考えられる。
【実施例】
【0116】
まず、前記シートについて、検討した。
【0117】
(シート1)
熱可塑性ポリウレタンシート(シーダム株式会社製のt0.1、ヤング率45MPa、PETシート(PET#125)で裏打ち、表面粗さ:十点平均粗さRz10μm)の表面に、酸化チタン(体積平均粒子径250nm)をまぶした。そうすることによって、粉体層を備えたシート(シート1)が得られた。
【0118】
(シート2)
酸化チタンの代わりに、ステアリン酸亜鉛(体積平均粒子径6μm)を用いたこと以外、実施例1と同様である。そうすることによって、粉体層を備えたシート(シート2)が得られた。
【0119】
(シート3)
酸化チタンを用いないこと以外、実施例1と同様である。すなわち、熱可塑性ポリウレタンシート(シート3)である。
【0120】
(評価)
これらのシートの紙粉付着力を測定した。具体的には、各シート上に紙粉を付着し、遠心分離器を用いて、付着した紙粉の量が半分になるときの力[F50(nN)]を測定した。その結果を、図5に示す。なお、図5は、シートの紙粉付着力の結果を示すグラフである。
【0121】
この結果から、粉体層を備えたシート(シート1及びシート2)の場合は、粉体層を備えていないシート(シート3)より、紙粉付着力が大幅に低いことがわかる。
【0122】
また、本願発明においてシートとして用いることができない、すなわち、異物がシートと回収ローラーとの間を通過させることができないポリエチレンテレフタレート(PET)シート(シート4:東レ株式会社製のルミラー、ヤング率45GPa)の場合であっても、粉体層を備えていなければ、紙粉付着力がシート1及びシート2より高いことがわかる。
【0123】
また、図1に示すような画像形成装置(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製のEcosys P6040)を用いて、前記シートについて検討した。また、中間転写ベルトとしては、大倉工業株式会社製の弾性ベルト(PVDF(ポリフッ化ビニリデン)の下地層の上に、ウレタン樹脂を含む弾性層を設け、その上にPTFE(ポリ4フッ化エチレン)のコーティング層を形成してなるベルト)を用いた。また、除去ローラーとしては、ファーブラシ(東英産業株式会社製のSA−7、導電性が付与されたアクリル繊維(導電性アクリル繊維)からなるファーブラシ)を用いた。回収ローラーとしては、硫黄及び硫黄複合快削鋼(SUM)材製のローラー表面に、ブラスト処理を施し、さらに、ニッケル(Ni)を施してなるローラー(表面粗さ:十点平均粗さRz4.5μm、凹凸の平均間隔Sm80μm)を用いた。ブレードとしては、ポリウレタンゴムのクリーニングブレード(バンドー化学株式会社製の1577E、反発弾性(国際ゴム硬さ)47°、ゴム硬さA77、ヤング率9.5MPa、厚み1.4mm)を用いた。回収ローラーへの印加バイアス値は、−3μAとした。また、シートとしては、シート1を用いた。
【0124】
このとき、ブレードの、回収ローラーに対する線圧と、ブレードのクリーニング角とについて、検討した。様々な線圧及びクリーニング角で、画像形成を行った。その際、トナーのブレードすり抜けを評価した。回収ローラーからトナーを好適に除去できている場合、「○」と評価し、トナーがわずかにすり抜けていると判断された場合は、「△」と評価し、トナーがすり抜けていると判断された場合は、「×」と評価した。その結果、表1に示す。
【0125】
【表1】
【0126】
また、ブレードとしては、ポリウレタンゴムのクリーニングブレード(北辰工業株式会社製の238707、反発弾性(国際ゴム硬さ)40°、ゴム硬さA70、ヤング率6.6MPa、厚み1.6mm)を用いて、上記と同様に、ブレードすり抜けを評価した。その結果、表2に示す。
【0127】
【表2】
【0128】
表1及び表2から、反発弾性45°以上のブレードを、線圧12gf/cm以上、クリーニング角12°以上となるように設けることで、ブレードすり抜けを好適に抑制することができる。
【0129】
そして、ブレードとして、例えば、ポリウレタンゴムのクリーニングブレード(バンドー化学株式会社製の1577E)を、線圧12gf/cm以上、クリーニング角12°以上となるように、例えば、線圧12.6gf/cm、クリーニング角13.4°となるように設けた。このように設けた画像形成装置を、画像形成を用紙P30000枚分行う(画像形成を用紙P30000枚分行うのに必要な時間行う)と、回収ローラーの表面の十点平均粗さRz4.5μmが、3mm未満である1.5μmと徐々に低下した。そして、ファーブラシの食い込み量も、画像形成を用紙P30000枚分行うと、1mm以上である1.25mmから0.75mmに徐々に低下した。
【0130】
このような画像形成装置を用いて、長期間にわたり、画像形成を行っても、クリーニング装置において、シートより除去ローラー側の内部に溜まった紙粉の量が少なかった。このことは、シートの、回収ローラーの下流側に紙粉が蓄積されることが、長期間にわたって、好適に抑制されていることを示すと考えられる。このことから、このような画像形成装置は、長期間にわたって、高画質な画像を形成できることがわかった。
【符号の説明】
【0131】
10 画像形成装置
132 中間転写ベルト(像担持体)
200 クリーニング装置
201 除去ローラー
202 回収ローラー
203 シート
204 ブレード
205 排出部
206 基材
207 粉体層
図1
図2
図3
図4
図5