特許第6390610号(P6390610)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6390610共役ジエン重合用触媒及びそれを用いた共役ジエン重合体、変性共役ジエン重合体、それらの製造方法、タイヤ用ゴム組成物、並びにゴムベルト用ゴム組成物
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  • 特許6390610-共役ジエン重合用触媒及びそれを用いた共役ジエン重合体、変性共役ジエン重合体、それらの製造方法、タイヤ用ゴム組成物、並びにゴムベルト用ゴム組成物 図000055
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6390610
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】共役ジエン重合用触媒及びそれを用いた共役ジエン重合体、変性共役ジエン重合体、それらの製造方法、タイヤ用ゴム組成物、並びにゴムベルト用ゴム組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 4/54 20060101AFI20180910BHJP
   C08F 4/606 20060101ALI20180910BHJP
   C08F 36/04 20060101ALI20180910BHJP
   C08C 19/00 20060101ALI20180910BHJP
   C08L 9/00 20060101ALI20180910BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20180910BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20180910BHJP
   F16G 1/06 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   C08F4/54
   C08F4/606
   C08F36/04
   C08C19/00
   C08L9/00
   C08K3/04
   B60C1/00 Z
   F16G1/06
【請求項の数】37
【全頁数】78
(21)【出願番号】特願2015-505577(P2015-505577)
(86)(22)【出願日】2014年3月13日
(86)【国際出願番号】JP2014056779
(87)【国際公開番号】WO2014142274
(87)【国際公開日】20140918
【審査請求日】2016年11月21日
(31)【優先権主張番号】特願2013-49885(P2013-49885)
(32)【優先日】2013年3月13日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2013-67979(P2013-67979)
(32)【優先日】2013年3月28日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2013-130224(P2013-130224)
(32)【優先日】2013年6月21日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2013-130228(P2013-130228)
(32)【優先日】2013年6月21日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2013-266700(P2013-266700)
(32)【優先日】2013年12月25日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2013-266704(P2013-266704)
(32)【優先日】2013年12月25日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2014-11567(P2014-11567)
(32)【優先日】2014年1月24日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2014-11576(P2014-11576)
(32)【優先日】2014年1月24日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2014-11577(P2014-11577)
(32)【優先日】2014年1月24日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000206
【氏名又は名称】宇部興産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】きさらぎ国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】斯波 晃司
(72)【発明者】
【氏名】村上 真人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 通典
(72)【発明者】
【氏名】岡本 尚美
(72)【発明者】
【氏名】安部 光春
(72)【発明者】
【氏名】田中 雅大
【審査官】 藤本 保
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−161921(JP,A)
【文献】 特開平07−268013(JP,A)
【文献】 国際公開第95/004090(WO,A1)
【文献】 特開昭64−051404(JP,A)
【文献】 特開2001−139634(JP,A)
【文献】 特開2007−161799(JP,A)
【文献】 特開平01−230647(JP,A)
【文献】 特開昭58−001709(JP,A)
【文献】 特開昭54−040890(JP,A)
【文献】 特開昭60−023406(JP,A)
【文献】 特開平07−112989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F4/42−4/70
C08F8/00−8/50
C08C19/00−19/44
C08F36/04−36/08
C08F136/04−136/08
C08F236/04−236/12
C08L9/00−9/10
C08K3/04
B60C1/00
F16G1/06
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される非メタロセン型ガドリニウム化合物(A)と、非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物(B)と、周期律表第2族、12族及び13族から選ばれる元素の有機金属化合物(C)と、を備えたことを特徴とする共役ジエン重合用触媒。
【化1】
(但し、R、R、Rはそれぞれ水素、または炭素数1〜12の置換基を表す。Oは酸素原子を表し、Gdはガドリニウム原子を表す。)
【請求項2】
前記有機金属化合物(C)が、有機アルミニウムであることを特徴とする請求項1に記載の共役ジエン重合用触媒。
【請求項3】
前記イオン性化合物(B)が、含ホウ素化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の共役ジエン重合用触媒。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の共役ジエン重合用触媒を用いて共役ジエン化合物を重合させることを特徴とする共役ジエン重合体の製造方法。
【請求項5】
下記一般式(1)で表される非メタロセン型ガドリニウム化合物(A)と、非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物(B)と、周期律表第2族、12族及び13族から選ばれる元素の有機金属化合物(C)と、を有する共役ジエン重合用触媒を用いて共役ジエン化合物を重合させ、共役ジエン重合体を得る工程と、
該共役ジエン重合体をアミノ基を有するカルボニル化合物により変性させ、変性共役ジエン重合体を得る工程と、
を備えることを特徴とする変性共役ジエン重合体の製造方法。
【化2】
(但し、R、R、Rはそれぞれ水素、または炭素数1〜12の置換基を表す。Oは酸素原子を表し、Gdはガドリニウム原子を表す。)
【請求項6】
前記アミノ基を有するカルボニル化合物が、4,4’−ビスジアルキルアミノベンゾフェノンであることを特徴とする請求項5に記載の変性共役ジエン重合体の製造方法。
【請求項7】
前記共役ジエン化合物を重合させる際に、(1)水素、(2)水素化金属化合物、及び(3)水素化有機金属化合物、から選ばれる化合物で分子量を調節することを特徴とする請求項5又は6に記載の変性共役ジエン重合体の製造方法。
【請求項8】
下記一般式(1)で表される非メタロセン型ガドリニウム化合物(A)と、非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物(B)と、周期律表第2族、12族及び13族から選ばれる元素の有機金属化合物(C)と、を有する共役ジエン重合用触媒を用いて共役ジエン化合物を重合させ、共役ジエン重合体を得る工程と、
該共役ジエン重合体をハロゲン化ベンジル化合物により変性させ、変性共役ジエン重合体を得る工程と、
を備えることを特徴とする変性共役ジエン重合体の製造方法。
【化3】
(但し、R、R、Rはそれぞれ水素、または炭素数1〜12の置換基を表す。Oは酸素原子を表し、Gdはガドリニウム原子を表す。)
【請求項9】
前記ハロゲン化ベンジル化合物が、ピペロニルクロライド、ジメトキシベンジルブロマイド又はメトキシベンジルクロライドであることを特徴とする請求項8に記載の変性共役ジエン重合体の製造方法。
【請求項10】
前記共役ジエン化合物を重合させる際に、(1)水素、(2)水素化金属化合物、及び(3)水素化有機金属化合物、から選ばれる化合物で分子量を調節することを特徴とする請求項8又は9に記載の変性共役ジエン重合体の製造方法。
【請求項11】
下記一般式(1)で表される非メタロセン型ガドリニウム化合物(A)と、非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物(B)と、周期律表第2族、12族及び13族から選ばれる元素の有機金属化合物(C)と、を有する共役ジエン重合用触媒を用いて共役ジエン化合物を重合させ、共役ジエン重合体を得る工程と、
該共役ジエン重合体をアルデヒド化合物により変性させ、変性共役ジエン重合体を得る工程と、
を備えることを特徴とする変性共役ジエン重合体の製造方法。
【化4】
(但し、R、R、Rはそれぞれ水素、または炭素数1〜12の置換基を表す。Oは酸素原子を表し、Gdはガドリニウム原子を表す。)
【請求項12】
前記アルデヒド化合物が、ヘリオトロピン又はベラトルムアルデヒドであることを特徴とする請求項11に記載の変性共役ジエン重合体の製造方法。
【請求項13】
前記共役ジエン化合物を重合させる際に、(1)水素、(2)水素化金属化合物、及び(3)水素化有機金属化合物、から選ばれる化合物で分子量を調節することを特徴とする請求項11又は12に記載の変性共役ジエン重合体の製造方法。
【請求項14】
1,3−ブタジエンをシス−1,4重合し、次いでこの重合系でシンジオタクチック−1,2重合するビニル・シス−ポリブタジエンの製造方法において、
シス−1,4重合の触媒として、下記一般式(1)で表される非メタロセン型ガドリニウム化合物(A)と、非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物(B)と、周期律表第2族、12族及び13族から選ばれる元素の有機金属化合物(C)と、を有する共役ジエン重合用触媒を用い、シンジオタクチック−1,2重合の触媒として、硫黄化合物を含む触媒系を用いることを特徴とするビニル・シス−ポリブタジエンの製造方法。
【化5】
(但し、R、R、Rはそれぞれ水素、または炭素数1〜12の置換基を表す。Oは酸素原子を表し、Gdはガドリニウム原子を表す。)
【請求項15】
前記有機金属化合物(C)が、有機アルミニウムであることを特徴とする請求項14に記載のビニル・シス−ポリブタジエンの製造方法。
【請求項16】
前記イオン性化合物(B)が、含ホウ素化合物であることを特徴とする請求項14又は15に記載のビニル・シス−ポリブタジエンの製造方法。
【請求項17】
前記シンジオタクチック−1,2重合の触媒として、コバルト化合物、トリアルキルアルミニウム化合物、及び硫黄化合物を含む触媒系を用いることを特徴とする請求項14〜16のいずれかに記載のビニル・シス−ポリブタジエンの製造方法。
【請求項18】
1,3−ブタジエンを、下記一般式(1)で表される非メタロセン型ガドリニウム化合物(A)と、非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物(B)と、周期律表第2族、12族及び13族から選ばれる元素の有機金属化合物(C)と、を有する共役ジエン重合用触媒を用いてシス−1,4重合する工程と、
次いでこの重合系で、硫黄化合物を含む触媒系を用いてシンジオタクチック−1,2重合する工程と、を備えた製造方法により得られたことを特徴とするビニル・シス−ポリブタジエン。
【化6】
(但し、R、R、Rはそれぞれ水素、または炭素数1〜12の置換基を表す。Oは酸素原子を表し、Gdはガドリニウム原子を表す。)
【請求項19】
下記一般式(1)で表される非メタロセン型ガドリニウム化合物(A)と、非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物(B)と、周期律表第2族、12族及び13族から選ばれる元素の有機金属化合物(C)と、を有する共役ジエン重合用触媒を用いて共役ジエン化合物を重合させた共役ジエン重合体(α)と、
(α)以外のジエン系重合体(β)と、
ゴム補強剤(γ)とを含むことを特徴とする共役ジエン重合体組成物。
【化7】
(但し、R、R、Rはそれぞれ水素、または炭素数1〜12の置換基を表す。Oは酸素原子を表し、Gdはガドリニウム原子を表す。)
【請求項20】
前記ゴム補強剤(γ)が、カーボンブラックであることを特徴とする請求項19に記載の共役ジエン重合体組成物。
【請求項21】
前記共役ジエン化合物が、(1)水素、(2)水素化金属化合物、及び(3)水素化有機金属化合物、から選ばれる化合物で分子量を調節されることを特徴とする請求項19又は20に記載の共役ジエン重合体組成物。
【請求項22】
前記共役ジエン化合物が、1,3−ブタジエンであることを特徴とする請求項19〜21のいずれかに記載の共役ジエン重合体組成物。
【請求項23】
下記一般式(1)で表される非メタロセン型ガドリニウム化合物(A)と、非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物(B)と、周期律表第2族、12族及び13族から選ばれる元素の有機金属化合物(C)と、を有する共役ジエン重合用触媒を用いて共役ジエン化合物を重合させ、さらにアミノ基を有するカルボニル化合物により変性させた変性共役ジエン重合体(α’)と、
(α’)以外のジエン系重合体(β)と、
ゴム補強剤(γ)とを含むことを特徴とする変性共役ジエン重合体組成物。
【化8】
(但し、R、R、Rはそれぞれ水素、または炭素数1〜12の置換基を表す。Oは酸素原子を表し、Gdはガドリニウム原子を表す。)
【請求項24】
前記ゴム補強剤(γ)が、カーボンブラックであることを特徴とする請求項23に記載の変性共役ジエン重合体組成物。
【請求項25】
前記アミノ基を有するカルボニル化合物が、4,4’−ビスジアルキルアミノベンゾフェノンであることを特徴とする請求項23又は24に記載の変性共役ジエン重合体組成物。
【請求項26】
前記共役ジエン化合物が、(1)水素、(2)水素化金属化合物、及び(3)水素化有機金属化合物、から選ばれる化合物で分子量を調節されることを特徴とする請求項23〜25のいずれかに記載の変性共役ジエン重合体組成物。
【請求項27】
前記共役ジエン化合物が、1,3−ブタジエンであることを特徴とする請求項23〜26のいずれかに記載の変性共役ジエン重合体組成物。
【請求項28】
下記一般式(1)で表される非メタロセン型ガドリニウム化合物(A)と、非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物(B)と、周期律表第2族、12族及び13族から選ばれる元素の有機金属化合物(C)と、を有する共役ジエン重合用触媒を用いて共役ジエン化合物を重合させた共役ジエン重合体(α)と、
(α)以外のジエン系重合体(β)と、からなるゴム成分(α)+(β)と、
ゴム補強剤(γ)とを含み、
上記ゴム成分(α)+(β)100質量部に対して上記ゴム補強剤(γ)30〜80質量部を含有するタイヤ用ゴム組成物。
【化9】
(但し、R、R、Rはそれぞれ水素、または炭素数1〜12の置換基を表す。Oは酸素原子を表し、Gdはガドリニウム原子を表す。)
【請求項29】
下記一般式(1)で表される非メタロセン型ガドリニウム化合物(A)と、非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物(B)と、周期律表第2族、12族及び13族から選ばれる元素の有機金属化合物(C)と、を有する共役ジエン重合用触媒を用いて共役ジエン化合物を重合させ、さらに変性させた変性共役ジエン重合体(α’)と、
(α’)以外のジエン系重合体(β)と、からなるゴム成分(α’)+(β)と、
ゴム補強剤(γ)とを含み、
上記ゴム成分(α’)+(β)100質量部に対して上記ゴム補強剤(γ)30〜80質量部を含有するタイヤ用ゴム組成物。
【化10】
(但し、R、R、Rはそれぞれ水素、または炭素数1〜12の置換基を表す。Oは酸素原子を表し、Gdはガドリニウム原子を表す。)
【請求項30】
前記ジエン系重合体(β)が、天然ゴム及び/又はポリイソプレンであることを特徴とする請求項28又は29に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項31】
前記ゴム補強剤(γ)が、カーボンブラックであることを特徴とする請求項28〜30のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項32】
請求項28〜31のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物をゴム基材として用いることを特徴とするタイヤ。
【請求項33】
下記一般式(1)で表される非メタロセン型ガドリニウム化合物(A)と、非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物(B)と、周期律表第2族、12族及び13族から選ばれる元素の有機金属化合物(C)と、を有する共役ジエン重合用触媒を用いて共役ジエン化合物を重合させた共役ジエン重合体(α)と、
(α)以外のジエン系重合体(β)と、からなるゴム成分(α)+(β)と、
ゴム補強剤(γ)とを含み、
上記ゴム成分(α)+(β)100質量部に対して上記ゴム補強剤(γ)20〜70質量部を含有するゴムベルト用ゴム組成物。
【化11】
(但し、R、R、Rはそれぞれ水素、または炭素数1〜12の置換基を表す。Oは酸素原子を表し、Gdはガドリニウム原子を表す。)
【請求項34】
下記一般式(1)で表される非メタロセン型ガドリニウム化合物(A)と、非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物(B)と、周期律表第2族、12族及び13族から選ばれる元素の有機金属化合物(C)と、を有する共役ジエン重合用触媒を用いて共役ジエン化合物を重合させ、さらに変性させた変性共役ジエン重合体(α’)と、
(α’)以外のジエン系重合体(β)と、からなるゴム成分(α’)+(β)と、
ゴム補強剤(γ)とを含み、
上記ゴム成分(α’)+(β)100質量部に対して上記ゴム補強剤(γ)20〜70質量部を含有するゴムベルト用ゴム組成物。
【化12】
(但し、R、R、Rはそれぞれ水素、または炭素数1〜12の置換基を表す。Oは酸素原子を表し、Gdはガドリニウム原子を表す。)
【請求項35】
前記ゴム補強剤(γ)が、カーボンブラック及び/又はシリカであることを特徴とする請求項33又は34に記載のゴムベルト用ゴム組成物。
【請求項36】
前記ゴム補強剤(γ)が、カーボンブラック及びシリカであり、ゴム補強剤中におけるシリカの配合量が70質量%以下であることを特徴とする請求項33〜35のいずれかに記載のゴムベルト用ゴム組成物。
【請求項37】
請求項33〜36のいずれかに記載のゴムベルト用ゴム組成物をゴム基材として用いることを特徴とするゴムベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非メタロセン型ガドリニウム化合物を用いた共役ジエン重合用触媒及びそれを用いた共役ジエン重合体、変性共役ジエン重合体、それらの製造方法、タイヤ用ゴム組成物、並びにゴムベルト用ゴム組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
1,3−ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエンの重合用触媒に関しては、従来数多くの提案がなされており、その幾つかは工業化されている。例えば、高シス−1,4構造の共役ジエン重合体の製造方法として、チタン、コバルト、ニッケル、ネオジム等の化合物と有機アルミニウムの組合せがよく用いられる。
【0003】
また、周期律表第3族元素を触媒とする共役ジエンの重合は公知であり、これまでに様々な重合方法が提案されている。例えば、特許文献1には、希土類金属の塩、周期律表第I〜III族元素の有機金属化合物、含フッ素有機ホウ素化合物からなる触媒系が開示されている。特許文献2には、周期律表第IIIB族金属の化合物、非配位性アニオンとカチオンとのイオン性化合物、周期律表第I〜III族元素の有機金属化合物からなる重合触媒が開示されている。特許文献3には、周期律表第2族、12族、13族から選ばれる元素の有機金属化合物について列挙されている。また、特許文献4乃至6には、メタロセン型ガドリニウム錯体による共役ジエン重合について報告されている。
しかしながら、特許文献1乃至3に記載の触媒として実施例で効果が示されているのは、主にネオジム系であり、ガドリニウム化合物については未だ明らかにされていない。また、特許文献4乃至6に記載の触媒は、触媒活性が最大でも540g/mmol−Gd/hrと低活性であるという問題がある。
【0004】
また、従来、ポリブタジエンゴム(BR)、あるいはスチレン−ブタジエンゴム(SBR)を主成分とし、他に天然ゴムなどを配合したゴム組成物は、その特徴を生かし、主としてタイヤ用の材料、クローラ式走行装置のクローラ、工業用ゴムベルトなどとして工業的に生産され、使用されている(特許文献7及び8)。
【0005】
タイヤ用の材料としては、近年、自動車の低燃費化の要求と雪上及び氷上における走行安全性の要求が高まり、転がり抵抗が小さく(すなわち、反発弾性の大きく)、かつ雪上及び氷上における路面グリップ(すなわち、ウエットスキッド抵抗)の大きなゴム材料の開発が望まれている。ところが、ポリブタジエンゴム(BR)のように反発弾性の大きなゴムはウエットスキッド抵抗が低い傾向があり、一方、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)には、ウエットスキッド抵抗は大きいが、転がり抵抗も大きいという問題がある。上記のような課題を解決する方法として、リチウム系触媒の存在下で、低シスジエン系ゴムを変性剤によって化学変性させる方法が数多く提案されているが、低シスBRは耐摩耗性が不十分であり、変性によってもこの問題点は解決されない。また、SBRでも反発弾性が低く、変性後もこの欠点の充分な解決には至らない。
【0006】
高シスジエン系ゴムを変性させた例として、特許文献9には、シクロペンタジエニル骨格を有するチタン化合物を触媒として、シス−1,4−ポリブタジエンを製造したのち、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンを反応させて変性する方法が開示されているが、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.5未満と極めて小さいため、加工性に問題がある。
【0007】
また、ブルドーザなどあらゆる分野に使用さているクローラ式走行装置は、駆動スプロケット、アイドラ、及び複数の転輪にわたって無端帯状の弾性クローラを巻き掛けることによって構成されている。ホイル(車輪)に比べ過酷な条件で使用されるケースが多く、走行性能や耐久性などを向上させるためにクローラ構造の改良がなされている。そして、より強靭で、高い耐久性があり、かつ低燃費性に優れたクローラ用ゴム組成物が求められている。
【0008】
また、ゴムベルトに用いられるゴム組成物は、引張強度の大きいこと、適度な硬度で柔軟性や弾性を持ち屈曲性が大きいこと、耐衝撃性が大きいことなどが要求され、さらに、省エネルギー化や軽量化も求められている。これらの要求を満たすため、無機補強剤や短繊維等での補強が提案されている。しかしながら、硬度や引張応力、破断強度、耐摩耗性等を大きくするため、カーボンブラック等の無機補強剤を増量すると、動的発熱が大きくなってしまい、さらに、配合物の比重が大きくなるため軽量化にふさわしくないという問題がある。また、特許文献8に記載のゴム組成物では、マトリックス成分であるブタジエンゴム中への1,2−ポリブタジエン短繊維結晶の極微細分散が十分でないため、引張応力及び耐伸長疲労性などの点で必ずしも十分な効果を得られないという問題がある。
【0009】
また、ポリブタジエンは、ハイシスBRのもつ特徴を生かし、より高機能な特徴を持ったBRとして、ハイシスBR中にシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン(以下、SPBと記載することがある。)を分散させたビニル・シス−ポリブタジエン(以下、VCRと記載することがある。)が知られている。
【0010】
上記VCRの製造方法として、例えば、特許文献10及び11には、コバルト触媒を用いたSPB含有のハイシスBR複合体の製造法が開示されている。特許文献12には、ニッケル触媒を用いたSPB含有のハイシスBR複合体の製造法が開示されている。
【0011】
また、特許文献13には、n−ブタン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン及びブテン−1などのC留分を主成分とする不活性有機溶媒中において、VCRを製造する方法が開示されている。しかしながら、ガドリニウム触媒を用いてVCRを製造する方法は未だ報告されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平7−268013号公報
【特許文献2】特開平11−80222号公報
【特許文献3】特開2007−161921号公報
【特許文献4】特開2004−27179号公報
【特許文献5】特開2004−238637号公報
【特許文献6】特開2007−63240号公報
【特許文献7】特開2007−230266号公報
【特許文献8】特開2004−346220号公報
【特許文献9】特開2000−86719号公報
【特許文献10】特公昭49−17666号公報
【特許文献11】特公昭49−17667号公報
【特許文献12】特公昭63−1324号公報
【特許文献13】特開2000−44633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、シス−1,4構造含有率が高い共役ジエン重合体を高活性で製造することができるガドリニウム化合物を用いた共役ジエン重合用触媒を提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明は、取り扱いが比較的容易で高活性な上記ガドリニウム触媒を用いて、シス−1,4構造含有率が非常に高い共役ジエン重合体、変性共役ジエン重合体、ビニル・シス−ポリブタジエン(VCR)及びそれらの製造方法、並びにそれらを用いた共役ジエン重合体組成物及び変性共役ジエン重合体組成物を提供すること目的とする。
【0015】
また、本発明は、強靭で耐伸長疲労性、耐摩耗性等の耐久性に優れ、かつエネルギーロスの少ないクローラにも使用できるタイヤ用ゴム組成物及びタイヤ、並びに工業用ゴムベルトに好適なゴムベルト用ゴム組成物及びゴムベルトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、以上の目的を達成するために、鋭意検討した結果、非メタロセン型ガドリニウム化合物を用いることで、シス−1,4構造含有率が高い共役ジエン重合体を従来よりも高活性で製造できることを見出し、本発明に至った。
【0017】
また、上記ガドリニウム化合物を用いることで、シス−1,4構造含有率が非常に高い共役ジエン重合体、変性共役ジエン重合体が製造できることを見出し、本発明に至った。
【0018】
また、上記共役ジエン重合体及び変性共役ジエン重合体を用いることで、反発弾性と耐摩耗性に優れる共役ジエン重合体組成物及びさらに耐伸長疲労性に優れる変性共役ジエン重合体組成物を製造できることを見出し、本発明に至った。
【0019】
また、上記ガドリニウム化合物を用いて、シス−1,4構造含有率が高いポリブタジエンを高活性で合成した後に、重合系中でSPBを合成することで、良好にビニル・シス−ポリブタジエン(VCR)を製造できることを見出し、本発明に至った。
【0020】
また、上記共役ジエン重合体、変性共役ジエン重合体を用いたタイヤ用ゴム組成物及びタイヤは、強靭で耐伸長疲労性、耐摩耗性等の耐久性に優れ、かつエネルギーロスの少ないクローラにも使用でき、上記共役ジエン重合体、変性共役ジエン重合体を用いたゴムベルト用ゴム組成物及びゴムベルトは、工業用ゴムベルトに好適であることを見出し、本発明に至った。
【0021】
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される非メタロセン型ガドリニウム化合物(A)と、非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物(B)と、周期律表第2族、12族及び13族から選ばれる元素の有機金属化合物(C)と、を備えたことを特徴とする共役ジエン重合用触媒に関する。
【0022】
【化1】
(但し、R、R、Rはそれぞれ、水素又は炭素数1〜12の置換基を表す。Oは酸素原子を表し、Gdはガドリニウム原子を表す。)
【0023】
本発明の共役ジエン重合用触媒において、前記有機金属化合物(C)が有機アルミニウムであることが好ましく、前記イオン性化合物(B)が含ホウ素化合物であることが好ましい。
【0024】
また、本発明は、前記共役ジエン重合用触媒を用いて共役ジエン化合物を重合させることを特徴とする共役ジエン重合体の製造方法に関する。
【0025】
また、本発明は、下記一般式(1)で表される非メタロセン型ガドリニウム化合物(A)と、非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物(B)と、周期律表第2族、12族及び13族から選ばれる元素の有機金属化合物(C)と、を有する共役ジエン重合用触媒を用いて共役ジエン化合物を重合させ、共役ジエン重合体を得る工程と、該共役ジエン重合体をアミノ基を有するカルボニル化合物により変性させ、変性共役ジエン重合体を得る工程と、を備えることを特徴とする変性共役ジエン重合体の製造方法に関する。
【0026】
【化2】
(但し、R、R、Rはそれぞれ、水素又は炭素数1〜12の置換基を表す。Oは酸素原子を表し、Gdはガドリニウム原子を表す。)
【0027】
本発明の変性共役ジエン重合体の製造方法において、前記アミノ基を有するカルボニル化合物が、4,4’−ビスジアルキルアミノベンゾフェノンであることが好ましく、前記共役ジエン化合物を重合させる際に、(1)水素、(2)水素化金属化合物、及び(3)水素化有機金属化合物、から選ばれる化合物で分子量を調節することが好ましい。
【0028】
また、本発明は、下記一般式(1)で表される非メタロセン型ガドリニウム化合物(A)と、非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物(B)と、周期律表第2族、12族及び13族から選ばれる元素の有機金属化合物(C)と、を有する共役ジエン重合用触媒を用いて共役ジエン化合物を重合させ、共役ジエン重合体を得る工程と、該共役ジエン重合体をハロゲン化ベンジル化合物により変性させ、変性共役ジエン重合体を得る工程と、を備えることを特徴とする変性共役ジエン重合体の製造方法に関する。
【0029】
【化3】
(但し、R、R、Rはそれぞれ、水素又は炭素数1〜12の置換基を表す。Oは酸素原子を表し、Gdはガドリニウム原子を表す。)
【0030】
本発明の変性共役ジエン重合体の製造方法において、前記ハロゲン化ベンジル化合物が、ピペロニルクロライド、ジメトキシベンジルブロマイド又はメトキシベンジルクロライドであることが好ましく、前記共役ジエン化合物を重合させる際に、(1)水素、(2)水素化金属化合物、及び(3)水素化有機金属化合物、から選ばれる化合物で分子量を調節することが好ましい。
【0031】
また、本発明は、下記一般式(1)で表される非メタロセン型ガドリニウム化合物(A)と、非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物(B)と、周期律表第2族、12族及び13族から選ばれる元素の有機金属化合物(C)と、を有する共役ジエン重合用触媒を用いて共役ジエン化合物を重合させ、共役ジエン重合体を得る工程と、該共役ジエン重合体をアルデヒド化合物により変性させ、変性共役ジエン重合体を得る工程と、を備えることを特徴とする変性共役ジエン重合体の製造方法に関する。
【0032】
【化4】
(但し、R、R、Rはそれぞれ、水素又は炭素数1〜12の置換基を表す。Oは酸素原子を表し、Gdはガドリニウム原子を表す。)
【0033】
本発明の変性共役ジエン重合体の製造方法において、前記アルデヒド化合物が、ヘリオトロピン又はベラトルムアルデヒドであることが好ましく、前記共役ジエン化合物を重合させる際に、(1)水素、(2)水素化金属化合物、及び(3)水素化有機金属化合物、から選ばれる化合物で分子量を調節することが好ましい。
【0034】
また、本発明は、1,3−ブタジエンをシス−1,4重合し、次いでこの重合系でシンジオタクチック−1,2重合するビニル・シス−ポリブタジエンの製造方法において、
シス−1,4重合の触媒として、下記一般式(1)で表される非メタロセン型ガドリニウム化合物(A)と、非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物(B)と、周期律表第2族、12族及び13族から選ばれる元素の有機金属化合物(C)と、を有する共役ジエン重合用触媒を用い、シンジオタクチック−1,2重合の触媒として、硫黄化合物を含む触媒系を用いることを特徴とするビニル・シス−ポリブタジエンの製造方法に関する。
【0035】
【化5】
(但し、R、R、Rはそれぞれ、水素又は炭素数1〜12の置換基を表す。Oは酸素原子を表し、Gdはガドリニウム原子を表す。)
【0036】
本発明のビニル・シス−ポリブタジエンの製造方法において、前記有機金属化合物(C)が有機アルミニウムであることが好ましく、前記イオン性化合物(B)が含ホウ素化合物であることが好ましく、前記シンジオタクチック−1,2重合の触媒として、コバルト化合物、トリアルキルアルミニウム化合物、及び硫黄化合物を含む触媒系を用いることが好ましい。
【0037】
また、本発明は、1,3−ブタジエンを、下記一般式(1)で表される非メタロセン型ガドリニウム化合物(A)と、非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物(B)と、周期律表第2族、12族及び13族から選ばれる元素の有機金属化合物(C)と、を有する共役ジエン重合用触媒を用いてシス−1,4重合する工程と、次いでこの重合系で、硫黄化合物を含む触媒系を用いてシンジオタクチック−1,2重合する工程と、を備えた製造方法により得られたことを特徴とするビニル・シス−ポリブタジエンに関する。
【0038】
【化6】
(但し、R、R、Rはそれぞれ、水素又は炭素数1〜12の置換基を表す。Oは酸素原子を表し、Gdはガドリニウム原子を表す。)
【0039】
また、本発明は、下記一般式(1)で表される非メタロセン型ガドリニウム化合物(A)と、非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物(B)と、周期律表第2族、12族及び13族から選ばれる元素の有機金属化合物(C)と、を有する共役ジエン重合用触媒を用いて共役ジエン化合物を重合させた共役ジエン重合体(α)と、(α)以外のジエン系重合体(β)と、ゴム補強剤(γ)とを含むことを特徴とする共役ジエン重合体組成物に関する。
【0040】
【化7】
(但し、R、R、Rはそれぞれ、水素又は炭素数1〜12の置換基を表す。Oは酸素原子を表し、Gdはガドリニウム原子を表す。)
【0041】
本発明の共役ジエン重合体組成物において、ゴム補強剤(γ)がカーボンブラックであることが好ましく、前記共役ジエン化合物が、(1)水素、(2)水素化金属化合物、及び(3)水素化有機金属化合物、から選ばれる化合物で分子量を調節されることが好ましく、前記共役ジエン化合物が、1,3−ブタジエンであることが好ましい。
【0042】
また、本発明は、下記一般式(1)で表される非メタロセン型ガドリニウム化合物(A)と、非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物(B)と、周期律表第2族、12族及び13族から選ばれる元素の有機金属化合物(C)と、を有する共役ジエン重合用触媒を用いて共役ジエン化合物を重合させ、さらにアミノ基を有するカルボニル化合物により変性させた変性共役ジエン重合体(α’)と、(α’)以外のジエン系重合体(β)と、ゴム補強剤(γ)とを含むことを特徴とする変性共役ジエン重合体組成物に関する。
【0043】
【化8】
(但し、R、R、Rはそれぞれ、水素又は炭素数1〜12の置換基を表す。Oは酸素原子を表し、Gdはガドリニウム原子を表す。)
【0044】
本発明の変性共役ジエン重合体組成物において、前記ゴム補強剤(γ)がカーボンブラックであることが好ましく、前記アミノ基を有するカルボニル化合物が、4,4’−ビスジアルキルアミノベンゾフェノンであることが好ましく、前記共役ジエン化合物が、(1)水素、(2)水素化金属化合物、及び(3)水素化有機金属化合物、から選ばれる化合物で分子量を調節されることが好ましく、前記共役ジエン化合物が、1,3−ブタジエンであることが好ましい。
【0045】
また、本発明は、下記一般式(1)で表される非メタロセン型ガドリニウム化合物(A)と、非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物(B)と、周期律表第2族、12族及び13族から選ばれる元素の有機金属化合物(C)と、を有する共役ジエン重合用触媒を用いて共役ジエン化合物を重合させた共役ジエン重合体(α)と、(α)以外のジエン系重合体(β)と、からなるゴム成分(α)+(β)と、ゴム補強剤(γ)とを含み、上記ゴム成分(α)+(β)100質量部に対して上記ゴム補強剤(γ)30〜80質量部を含有するタイヤ用ゴム組成物に関する。
【0046】
【化9】
(但し、R、R、Rはそれぞれ、水素又は炭素数1〜12の置換基を表す。Oは酸素原子を表し、Gdはガドリニウム原子を表す。)
【0047】
また、本発明は、下記一般式(1)で表される非メタロセン型ガドリニウム化合物(A)と、非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物(B)と、周期律表第2族、12族及び13族から選ばれる元素の有機金属化合物(C)と、を有する共役ジエン重合用触媒を用いて共役ジエン化合物を重合させ、さらに変性させた変性共役ジエン重合体(α’)と、(α’)以外のジエン系重合体(β)と、からなるゴム成分(α’)+(β)と、ゴム補強剤(γ)とを含み、上記ゴム成分(α’)+(β)100質量部に対して上記ゴム補強剤(γ)30〜80質量部を含有するタイヤ用ゴム組成物に関する。
【0048】
【化10】
(但し、R、R、Rはそれぞれ、水素又は炭素数1〜12の置換基を表す。Oは酸素原子を表し、Gdはガドリニウム原子を表す。)
【0049】
本発明のタイヤ用ゴム組成物において、前記(α)及び(α’)以外のジエン系重合体(β)が、天然ゴム及び/又はポリイソプレンであることが好ましく、前記ゴム補強剤(F)がカーボンブラックであることが好ましい。
【0050】
また、本発明は、前記タイヤ用ゴム組成物をゴム基材として用いることを特徴とするタイヤに関する。
【0051】
また、本発明は、下記一般式(1)で表される非メタロセン型ガドリニウム化合物(A)と、非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物(B)と、周期律表第2族、12族及び13族から選ばれる元素の有機金属化合物(C)と、を有する共役ジエン重合用触媒を用いて共役ジエン化合物を重合させた共役ジエン重合体(α)と、(α)以外のジエン系重合体(β)と、からなるゴム成分(α)+(β)と、ゴム補強剤(γ)とを含み、上記ゴム成分(α)+(β)100質量部に対して上記ゴム補強剤(γ)20〜70質量部を含有するゴムベルト用ゴム組成物に関する。
【0052】
【化11】
(但し、R、R、Rはそれぞれ、水素又は炭素数1〜12の置換基を表す。Oは酸素原子を表し、Gdはガドリニウム原子を表す。)
【0053】
また、本発明は、下記一般式(1)で表される非メタロセン型ガドリニウム化合物(A)と、非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物(B)と、周期律表第2族、12族及び13族から選ばれる元素の有機金属化合物(C)と、を有する共役ジエン重合用触媒を用いて共役ジエン化合物を重合させ、さらに変性させた変性共役ジエン重合体(α’)と、(α’)以外のジエン系重合体(β)と、からなるゴム成分(α’)+(β)と、ゴム補強剤(γ)とを含み、上記ゴム成分(α’)+(β)100質量部に対して上記ゴム補強剤(γ)20〜70質量部を含有するゴムベルト用ゴム組成物に関する。
【0054】
【化12】
(但し、R、R、Rはそれぞれ、水素又は炭素数1〜12の置換基を表す。Oは酸素原子を表し、Gdはガドリニウム原子を表す。)
【0055】
本発明のゴムベルト用ゴム組成物において、前記ゴム補強剤(γ)が、カーボンブラック又は/及びシリカであることが好ましく、前記ゴム補強剤(γ)が、カーボンブラック及びシリカであり、ゴム補強剤中におけるシリカの配合量が70質量%以下であることがより好ましい。
【0056】
また、本発明は、前記ゴムベルト用ゴム組成物をゴム基材として用いることを特徴とするゴムベルトに関する。
【発明の効果】
【0057】
以上のように、本発明によれば、シス−1,4構造含有率が高い共役ジエン重合体を高活性で製造することができる共役ジエン重合用触媒を提供することができる。
【0058】
また、これにより、取り扱いが比較的容易で高活性な触媒を用いて、シス−1,4構造含有率が非常に高い共役ジエン重合体及び変性共役ジエン重合体、ビニル・シス−ポリブタジエン(VCR)及びそれらの製造方法を提供でき、またフィラーの分散性を向上し、反発弾性と耐摩耗性に優れる共役ジエン重合体組成物及びさらに耐伸長疲労性に優れる変性共役ジエン重合体組成物を提供することができる。
【0059】
さらに、本発明によれば、強靭で耐伸長疲労性、耐摩耗性等の耐久性に優れ、かつエネルギーロスの少ないクローラにも使用できるタイヤ用ゴム組成物及びタイヤ、並びに工業用ゴムベルトに好適なゴムベルト用ゴム組成物及びゴムベルトを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1】本発明の変性共役ジエン重合体の変性度を求めるための、UV/RIの値と(1/Mn)×10との関係を表すグラフである。ここで、UVは、ポリマーのGPC測定によって得られる274nmにおけるUV吸光度から得られるピーク面積値を表し、RIは、示差屈折率から得られるピーク面積値を表す。また、Mnは数平均分子量を表す。
【発明を実施するための形態】
【0061】
(共役ジエン重合用触媒)
本発明に係る共役ジエン重合用触媒に用いられる非メタロセン型ガドリニウム化合物(A)は、下記一般式(1)で表される非メタロセン型ガドリニウム化合物である。
【0062】
【化13】
(但し、R、R、Rはそれぞれ、水素又は炭素数1〜12の置換基を表す。Oは酸素原子を表し、Gdはガドリニウム原子を表す。)
【0063】
一般式(1)のR〜Rにおける炭素数1〜12の置換基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、及びドデシル基などの飽和炭化水素基、ビニル基、1−プロペニル基、及びアリル基などの不飽和炭化水素基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、及びエチルシクロヘキシル基などの脂環式炭化水素基、並びにフェニル基、ベンジル基、トルイル基、及びフェネチル基などの芳香族炭化水素基などが挙げられる。さらに、それらにヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボメトキシ基、カルボエトキシ基、アミド基、アミノ基、アルコキシ基、及びフェノキシ基などが任意の位置に置換されているものも含まれる。中でも、炭素数1〜12の飽和炭化水素基が好ましく、特に炭素数1〜6の飽和炭化水素基が好ましい。
【0064】
非メタロセン型ガドリニウム化合物(A)の具体例としては、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム、トリス(2,6,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム、トリス(2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム、トリス(3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム、トリス(2,4−ペンタンジオナト)ガドリニウム、トリス(2,4−ヘキサンジオナト)ガドリニウム、トリス(1,5−ジシクロペンチル−2,4−ペンタンジオナト)ガドリニウム、トリス(1,5−ジシクロヘキシル−2,4−ペンタンジオナト)ガドリニウムなどが挙げられる。
【0065】
中でも、好ましくは、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム、トリス(2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム、トリス(2,4−ペンタンジオナト)ガドリニウムなどが挙げられる。特に好ましくは、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム、トリス(2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウムが挙げられる。非メタロセン型ガドリニウム化合物(A)は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0066】
非メタロセン型ガドリニウム化合物(A)は、非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物(B)、並びに周期律表第2族、12族、及び13族から選ばれる元素の有機金属化合物(C)と組み合わせることにより、共役ジエン重合用触媒として用いることができる。
【0067】
上記(B)成分である非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物において、非配位性アニオンとしては、例えば、テトラ(フェニル)ボレート、テトラ(フルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラ(トリイル)ボレート、テトラ(キシリル)ボレート、トリフェニル(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(フェニル)ボレート、トリデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェートなどが挙げられる。
【0068】
一方、カチオンとしては、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプタトリエニルカチオン、フェロセニウムカチオンなどが挙げられる。
【0069】
カルボニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ置換フェニルカルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウムカチオンを挙げることができる。トリ置換フェニルカルボニウムカチオンの具体例としては、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオンを挙げることができる。
【0070】
アンモニウムカチオンの具体例としては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;ジ(イソプロピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンを挙げることができる。
【0071】
ホスホニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルホスホニウムカチオン、テトラフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、テトラ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオン、テトラ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのアリールホスホニウムカチオンを挙げることができる。
【0072】
イオン性化合物(B)としては、上記で例示した非配位性アニオン及びカチオンの中から、それぞれ任意に選択して組み合わせたものを好ましく用いることができる。
【0073】
中でも、イオン性化合物(B)としては、含ホウ素化合物が好ましく、その中でも特に、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(フルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1,1’−ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが好ましい。イオン性化合物(B)は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0074】
また、(B)成分である非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物の代わりに、アルモキサンを用いてもよい。アルモキサンとしては、有機アルミニウム化合物と縮合剤とを接触させることによって得られるものであって、一般式(−Al(R’)O−)n(R’は炭素数1〜10の炭化水素基であり、一部ハロゲン原子及び/又はアルコキシ基で置換されたものも含む。nは重合度であり、5以上、好ましくは10以上である。)で示される鎖状アルモキサン、あるいは環状アルモキサンが挙げられる。R’としては、メチル基、エチル基、プロピル基、及びイソブチル基が挙げられるが、メチル基が好ましい。アルモキサンの原料として用いられる有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、及びトリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム並びにその混合物などが挙げられる。それらの中でも、トリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムとの混合物を原料として用いたアルモキサンを好適に用いることができる。
【0075】
縮合剤としては、典型的なものとして水が挙げられるが、この他に上記有機アルミニウム化合物が縮合反応する任意のもの、例えば無機物などの吸着水やジオ−ルなどが挙げられる。
【0076】
上記(C)成分である周期律表第2族、12族、13族から選ばれる元素の有機金属化合物としては、例えば、有機マグネシウム、有機亜鉛、有機アルミニウム等が用いられる。これらの化合物の中で好ましいのは、ジアルキルマグネシウム;アルキルマグネシウムクロライド、アルキルマグネシウムブロマイドなどのアルキルマグネシウムハライド;ジアルキル亜鉛;トリアルキルアルミニウム;ジアルキルアルミニウムクロライド、ジアルキルアルミニウムブロマイド;アルキルアルミニウムセスキクロライド、アルキルアルミニウムセスキブロマイド、アルキルアルミニウムジクロライドなどの有機アルミニウムハロゲン化合物;ジアルキルアルミニウムハイドライドなどの水素化有機アルミニウム化合物などである。
【0077】
具体的な化合物としては、メチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムクロライド、ブチルマグネシウムクロライド、ヘキシルマグネシウムクロライド、オクチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムブロマイド、ブチルマグネシウムブロマイド、ブチルマグネシウムアイオダイド、ヘキシルマグネシウムアイオダイドなどのアルキルマグネシウムハライドを挙げることができる。
【0078】
さらに、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジオクチルマグネシウム、エチルブチルマグネシウム、エチルヘキシルマグネシウムなどのジアルキルマグネシウムを挙げることができる。
【0079】
さらに、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジイソブチル亜鉛、ジヘキシル亜鉛、ジオクチル亜鉛、ジデシル亜鉛などのジアルキル亜鉛を挙げることができる。
【0080】
さらに、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウムを挙げることができる。
【0081】
さらに、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライドなどのジアルキルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロライドなどの有機アルミニウムハロゲン化合物、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、エチルアルミニウムセスキハイドライドなどの水素化有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
【0082】
これらの周期律表第2族、12族、13族から選ばれる元素の有機金属化合物(C)は、単独で用いることもできるが、2種類以上併用することも可能である。
中でも好ましくは、13族元素であり、その中でも有機アルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどが挙げられる。特に好ましくは、トリエチルアルミニウムである。
【0083】
本発明においては、上述した(A)、(B)及び(C)成分を備える触媒を用いて共役ジエンの重合を行うことができるが、上記以外にも本発明の効果を妨げない範囲で、得られる共役ジエン重合体の分子量調節剤などを添加することができる。
【0084】
分子量調節剤としては、水素、水素化金属化合物、及び有機金属化合物から選ばれる化合物を用いることができる。
【0085】
水素化金属化合物としては、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化マグネシウム、水素化カルシウム、ボラン、水素化アルミニウム、水素化ガリウム、シラン、ゲルマン、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム、水素化ナトリウムアルミニウムなどが挙げられる。
【0086】
また、水素化有機金属化合物としては、メチルボラン、エチルボラン、プロピルボラン、ブチルボラン、フェニルボランなどのアルキルボラン;ジメチルボラン、ジエチルボラン、ジプロピルボラン、ジブチルボラン、ジフェニルボランなどのジアルキルボラン;メチルアルミニウムジハイドライド、エチルアルミニウムジハイドライド、プロピルアルミニウムジハイドライド、ブチルアルミニウムジハイドライド、フェニルアルミニウムジハイドライドなどのアルキルアルミニウムジハイドライド;ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジプロピルアルミニウムハイドライド、ジノルマルブチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジフェニルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド;メチルシラン、エチルシラン、プロピルシラン、ブチルシラン、フェニルシラン、ジメチルシラン、ジエチルシラン、ジプロピルシラン、ジブチルシラン、ジフェニルシラン、トリメチルシラン、トリエチルシラン、トリプロピルシラン、トリブチルシラン、トリフェニルシランなどのシラン類;メチルゲルマン、エチルゲルマン、プロピルゲルマン、ブチルゲルマン、フェニルゲルマン、ジメチルゲルマン、ジエチルゲルマン、ジプロピルゲルマン、ジブチルゲルマン、ジフェニルゲルマン、トリメチルゲルマン、トリエチルゲルマン、トリプロピルゲルマン、トリブチルゲルマン、トリフェニルゲルマンなどのゲルマン類などが挙げられる。
【0087】
これらの中でも、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライドが好ましく、ジイソブチルアルミニウムハイドライドが特に好ましい。
【0088】
また、本発明において、各触媒成分はあらかじめ熟成して用いてもよい。中でも、(A)成分と(C)成分を熟成することが好ましい。
【0089】
熟成は、不活性溶媒中、重合すべき共役ジエン化合物モノマーの存在下又は非存在下において、(A)成分と(C)成分を混合することが好ましい。熟成温度は−50〜120℃、好ましくは−10〜95℃であり、熟成時間は0.005〜24時間、好ましくは0.01〜5時間、特に好ましくは0.02〜1時間である。
【0090】
さらに、本発明においては、各触媒成分を無機化合物、又は有機高分子化合物に担持して用いることもできる。
【0091】
本発明に係る共役ジエン重合体の製造方法において、上記触媒成分の添加順序は、特に制限はないが、例えば次の順序で行うことができる。
【0092】
(1)不活性有機溶媒中、重合すべき共役ジエン化合物モノマーの存在下又は不存在下に(C)成分を添加し、(A)成分と(B)成分を任意の順序で添加する。
【0093】
(2)不活性有機溶媒中、重合すべき共役ジエン化合物モノマーの存在下又は不存在下に(C)成分を添加し、上述した分子量調節剤を添加した後、(A)成分と(B)成分を任意の順序で添加する。
【0094】
(3)不活性有機溶媒中、重合すべき共役ジエン化合物モノマーの存在下又は不存在下に(A)成分を添加し、(C)成分と上述した分子量調節剤を任意の順序で添加した後、(B)成分を添加する。
【0095】
(4)不活性有機溶媒中、重合すべき共役ジエン化合物モノマーの存在下又は不存在下に(B)成分を添加し、(C)成分と上述した分子量調節剤を任意の順序で添加した後、(A)成分を添加する。
【0096】
(5)不活性有機溶媒中、重合すべき共役ジエン化合物モノマーの存在下又は不存在下に(C)成分を添加し、(A)成分と(B)成分を任意の順序で添加した後、上述した分子量調節剤を添加する。
【0097】
原料となる共役ジエン化合物モノマーとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−メチルペンタジエン、4−メチルペンタジエン、2,4−ヘキサジエンなどが挙げられる。中でも、1,3−ブタジエンを主成分とする共役ジエン化合物モノマーが好ましい。これらのモノマー成分は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0098】
ここで、重合すべき共役ジエン化合物モノマーとは、モノマーの全量であっても一部であってもよい。モノマーの一部の場合は、(A)、(B)及び(C)成分の少なくとも一つ以上を含む成分とモノマーとの接触混合物を残部のモノマーあるいは残部のモノマー溶液と混合することができる。
共役ジエンの他に、エチレン、プロピレン、アレン、1−ブテン、2−ブテン、1,2−ブタジエン、ペンテン、シクロペンテン、ヘキセン、シクロヘキセン、オクテン、シクロオクタジエン、シクロドデカトリエン、ノルボルネン、ノルボルナジエンなどのオレフィン化合物等を含んでいてもよい。
【0099】
重合方法は、特に制限はなく、1,3−ブタジエンなどの共役ジエン化合物モノマーそのものを重合溶媒とする塊状重合(バルク重合)、又は溶液重合などを適用できる。溶液重合での溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素、上記のオレフィン化合物やシス−2−ブテン、トランス−2−ブテン等のオレフィン系炭化水素等が挙げられ、中でも、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、あるいは、シス−2−ブテンとトランス−2−ブテンとの混合物などが好適に用いられる。これらの溶媒は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0100】
重合温度は−30〜150℃の範囲が好ましく、0〜100℃の範囲がさらに好ましく、10〜80℃の範囲が特に好ましい。重合時間は1分〜12時間が好ましく、3分〜5時間がさらに好ましく、5分〜1時間が特に好ましい。
【0101】
所定時間重合を行った後、重合槽内部を必要に応じて放圧し、洗浄、乾燥工程等の後処理を行う。
【0102】
本発明で得られる共役ジエン重合体としては、好ましくは、シス−1,4構造を94%以上、さらに好ましくは98%以上、特に好ましくは98.5%以上有するシス−1,4−ポリブタジエンが挙げられる。また、該共役ジエン重合体の[η]としては、好ましくは0.1〜10、さらに好ましくは1〜7、特に好ましくは1.5〜5に制御することができる。
【0103】
本発明で得られる共役ジエン重合体の数平均分子量(Mn)としては、好ましくは、10000〜1000000、さらに好ましくは100000〜700000、特に好ましくは150000〜550000が挙げられる。また、上記共役ジエン重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)としては、好ましくは1.5〜10、さらに好ましくは1.5〜7、特に好ましくは1.5〜4が挙げられる。Mw/Mnが小さいと加工性が悪化する場合がある。
【0104】
(変性共役ジエン重合体)
本発明で得られる共役ジエン重合体は、変性することもでき、変性することでさらなる効果を発揮することも可能である。本発明で用いられる変性剤としては、アミノ基を有するカルボニル化合物、ハロゲン化ベンジル化合物及びアルデヒド化合物から選ばれる1以上であることが好ましい。
【0105】
アミノ基(好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基と結合したアミノアルキル基)を有するカルボニル化合物(好ましくは芳香族カルボニル化合物)としては、アミノベンゾフェノン化合物が好ましい。その具体的化合物の例としては、4−ジメチルアミノアセトフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、4−ジエチルアミノプロピオフェノン、1,3−ビス(ジフェニルアミノ)−2−プロパノン、1,7−ビス(メチルエチルアミノ)−4−ヘプタノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−ジブチルアミノベンゾフェノン、4−ジフェニルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジブチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンズアルデヒド、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド、4−ジビニルアミノベンズアルデヒド等が挙げられる。これらの化合物の中で、特に4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。これらの変性剤は、単独で使用しても、あるいは二種類以上組み合わせて用いてもよい。
【0106】
また、ハロゲン化ベンジル化合物としては、アルコキシベンジルハライド化合物が好ましい。その具体的化合物の例としては、メトキシベンジルクロライド、メトキシベンジルブロマイド、メトキシベンジルアイオダイド、エトキシベンジルクロライド、エトキシベンブロマイド、エトキシベンジルアイオダイド、ジメトキシベンジルクロライド、ジメトキシベンジルブロマイド、ジメトキシベンジルアイオダイド、ジエトキシベンジルクロライド、ジエトキシベンジルブロマイド、ジエトキシベンジルアイオダイド、ピペロニルクロライド、ピペロニルブロマイド、ピペロニルアイオダイド等が挙げられる。これらの化合物の中で、特にメトキシベンジルクロライド、ジメトキシベンジルブロマイド及びピペロニルクロライドが好ましい。これらの変性剤は、単独で使用しても、あるいは二種類以上組み合わせて用いてもよい。
【0107】
また、アルデヒド化合物としては、芳香族アルデヒド化合物が好ましい。その具体的化合物の例としては、メトキシベンズアルデヒド、エトキシベンズアルデヒド、プロポキシベンズアルデヒド、ブトキシベンズアルデヒド、ベラトルムアルデヒド、2,4−ジメトキシベンズアルデヒド、3,5−ジメトキシベンズアルデヒド、ジエトキシベンズアルデヒド、エトキシメトキシベンズアルデヒド、トリメトキシベンズアルデヒド、ヘリオトロピン等が挙げられる。これらの化合物の中で、特にベラトルムアルデヒド及びヘリオトロピンが好ましい。これらの変性剤は、単独で使用しても、あるいは二種類以上組み合わせて用いてもよい。
【0108】
変性反応に使用する有機溶媒としては、それ自身が共役ジエン重合体と反応しないものであれば、自由に使用できる。通常は、共役ジエン重合体の製造に用いた溶媒と同じものが用いられる。その具体例としては、ベンゼン、クロルベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、n−ヘプタン、n−ヘキサン、n−ペンタン、n−オクタンなどの炭素原子数5〜10の脂肪族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、テトラリン、デカリンなどの脂環族炭化水素系溶媒などを挙げることができる。また、塩化メチレンやテトラヒドロフランなども使用することができる。
【0109】
変性反応の反応溶液の温度は、0〜100℃の範囲にあることが好ましく、特に30〜90℃の範囲にあることが好ましい。温度が低すぎると変性反応の進行が遅く、温度が高すぎると重合体がゲル化しやすくなる。変性反応の時間には特に制限はないが、1分〜5時間の範囲にあることが好ましく、3分〜1時間の範囲にあることがさらに好ましい。変性反応時間が短すぎると反応が充分進行せず、時間が長すぎると重合体がゲル化しやすくなる。
【0110】
変性反応溶液における共役ジエン重合体の量は、溶媒1リットル当り、通常は5〜500g、好ましくは20〜300g、更に好ましくは30〜200gの範囲にある。
【0111】
変性反応における変性剤の使用量は、共役ジエン重合体100gに対して、通常は0.01〜150ミリモル、好ましくは0.1〜100ミリモル、更に好ましくは0.2〜50ミリモルの範囲にある。使用量が少な過ぎると、変性共役ジエン重合体中に導入される変性基の量が少なくなり、変性効果が少ない。使用量が多すぎると、変性共役ジエン重合体中に未反応変性剤が残存し、その除去に手間がかかることになるので好ましくない。
【0112】
変性反応の実施に際しては、重合反応に引き続いて変性剤を添加したのち、重合停止剤を添加し、反応生成物中に残留している溶媒や未反応モノマーをスチームストリッピング法や真空乾燥法などで除去する方法、あるいは、重合停止剤を添加したのち、変性剤を添加する方法、重合体乾燥物を溶媒に再度溶解させたのち、変性剤と触媒を添加する方法などが挙げられる。重合停止剤の種類によっては、重合体が変性剤と反応する部位の活性を低下させることがあるため、重合停止前に変性剤を添加する方法が好ましい。
【0113】
本発明の変性共役ジエン重合体の変性度は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定を用いる手法により算出する。これについて、変性シス−1,4−ポリブタジエンを例に、図1に基づいて詳細に説明する。
【0114】
図1において、縦軸は、GPC測定によって得られたポリマーの274nmにおけるUV吸光度から得られるピーク面積値UVと、示差屈折率(RI)から得られるピーク面積値RIの比、UV/RIの値を示す。
【0115】
横軸は、(1/Mn)×10の値を示し、Mnは数平均分子量である。図1において、Li−BR(未変性)は、Li系触媒によるリビングアニオン重合によって1,3−ブタジエンを重合したポリマーそのもののUV/RIの値を、異なる数平均分子量Mnのポリマーについてプロットしたもので、直線として近似することができる。また、Li−BR(変性)は、Li系触媒によるリビングアニオン重合によって重合した後、重合末端と所定の変性剤を反応させて変性したポリマーのUV/RIの値を、異なる数平均分子量Mnのポリマーについてプロットしたもので、直線として近似することができる。
【0116】
リビングアニオン重合の場合は、ポリマー1分子と変性剤1分子が定量的に反応することから、ある数平均分子量(Mn1)におけるLi−BR(変性)のUV/RI値とLi−BR(未変性)のUV/RI値の差をAとする。これはその数平均分子量(Mn1)である1分子鎖に変性剤が1分子反応した場合のUV/RI値の変化量を示すため、この値を基準に変性度を算出することができる。
【0117】
Li−BRと同様にして、ある数平均分子量(Mn1)である本発明の変性シス−1,4−ポリブタジエンと、変性に用いたものと同じ方法で得られた未変性のシス−1,4−ポリブタジエンについて、それぞれUV/RI値を算出してその差をBとすると、本発明の変性シス−1,4−ポリブタジエンの変性度は、以下の式で表すことができる。
【0118】
【数1】
【0119】
本発明の変性共役ジエン重合体の変性度は、特に限定されるものではないが、0.1を超えることが好ましく、0.5を超えることがより好ましく、0.7を超えることがさらに好ましい。また、変性度は20を超えないことが好ましく、15を超えないことがより好ましく、10を超えないことがさらに好ましい。変性度が0.1以下では、変性による効果が十分でない場合があり、変性度が20以上では、本来の共役ジエン重合体が有する特性を損なう場合がある。好ましい変性度においては、変性剤の極性基(アミノ基、アルコキシ基等)とフィラー(充填剤)の極性基との相互作用により、ゴム中でのフィラーの分散性を高めることが出来る。
【0120】
(ビニル・シス−ポリブタジエン(VCR)の製造方法)
また、本発明は、1,3−ブタジエンをシス−1,4重合し、次いでこの重合系でシンジオタクチック−1,2重合するポリブタジエンの製造方法において、シス−1,4重合の触媒として、上記一般式(1)で表される非メタロセン型ガドリニウム化合物(A)と、非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物(B)と、周期律表第2族、12族及び13族から選ばれる元素の有機金属化合物(C)と、を有する共役ジエン重合用触媒(本発明の共役ジエン重合用触媒)を用い、シンジオタクチック−1,2重合の触媒として、硫黄化合物を含む触媒系を用いることを特徴とするビニル・シス−ポリブタジエンの製造方法及びそれによって得られたビニル・シス−ポリブタジエン(VCR)である。以下、この発明についても詳細について説明する。
【0121】
本発明のシス−1,4重合触媒系の(A)成分であるガドリニウム化合物は、上記一般式(1)で表される非メタロセン型ガドリニウム化合物であることが好ましいが、非極性の有機溶媒に溶解する状態であれば、その他のガドリニウム化合物を用いることもでき、例えば、ガドリニウム塩、ハロゲン化ガドリニウム、ガドリニウムアルコキサイド、非メタロセン型ガドリニウム錯体などが挙げられる。
【0122】
上記ガドリニウム塩としては、例えば、酢酸ガドリニウム、シュウ酸ガドリニウム、硝酸ガドリニウム、水酸化ガドリニウムなどが挙げられる。
【0123】
上記ハロゲン化ガドリニウムとしては、例えば、フッ化ガドリニウム、塩化ガドリニウム、臭化ガドリニウム、ヨウ化ガドリニウムなどが挙げられる。
【0124】
上記ガドリニウムアルコキサイドとしては、例えば、トリメトキシガドリニウム、トリエトキシガドリニウム、トリプロポキシガドリニウム、トリイソプロポキシガドリニウム、トリブトキシガドリニウムなどが挙げられる。
【0125】
本発明で得られるビニル・シス−ポリブタジエンのシス−1,4重合成分としては、好ましくは、シス−1,4構造を90%以上、さらに好ましくは92%以上、特に好ましくは96%以上有するシス−1,4−ポリブタジエンが挙げられる。また、該シス−1,4重合成分の[η]としては、好ましくは0.1〜10.0、さらに好ましくは1.0〜7.0、特に好ましくは1.5〜5.0に制御することができる。
【0126】
前記の如くして得られたシス−1,4重合反応混合物を用いて、次いで、この重合系でシンジオタクチック−1,2重合する。この際、新たに1,3−ブタジエンを添加しても添加しなくてもよい。シンジオタクチック−1,2重合の触媒として、硫黄化合物を含む触媒系を用いることが好ましい。
【0127】
シンジオタクチック−1,2重合の触媒としては、RAl(式中、Rは炭素数1〜10の炭化水素基を示す。)で表されるトリアルキルアルミニウム化合物、硫黄化合物、及びコバルト化合物からなる触媒系が好ましく用いられる。
【0128】
Al(式中、Rは炭素数1〜10の炭化水素基を示す。)で表されるトリアルキルアルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムなどが挙げられる。中でも、トリエチルアルミニウムが好ましい。
【0129】
硫黄化合物としては、二硫化炭素、イソチオシアン酸フェニル、キサントゲン酸化合物などが挙げられる。中でも、二硫化炭素が好ましい。
【0130】
コバルト化合物としては、コバルトの塩や錯体が好ましく用いられる。特に好ましいものは、塩化コバルト、臭化コバルト、硝酸コバルト、2−エチルヘキサン酸コバルト、ナフテン酸コバルト、酢酸コバルト、マロン酸コバルト等のコバルト塩や、コバルトのビスアセチルアセトネートやトリスアセチルアセトネート、アセト酢酸エチルエステルコバルト、ハロゲン化コバルトのトリアリールフォスフィン錯体、トリアルキルフォスフィン錯体、ピリジン錯体やピコリン錯体等の有機塩基錯体、もしくはエチルアルコール錯体等が挙げられる。中でも、2−エチルヘキサン酸コバルトが好ましい。
【0131】
トリアルキルアルミニウム化合物は、1,3−ブタジエン1モル当たり0.1ミリモル以上、特に好ましくは0.5〜50ミリモルである。コバルト化合物は、1,3−ブタジエン1モル当たり0.001ミリモル以上、特に好ましくは0.01〜1ミリモルである。硫黄化合物の濃度は、20ミリモル/L以下、特に好ましくは0.01〜10ミリモル/Lである。また、水は、シンジオタクチック−1,2重合において添加しても添加しなくてもよいが、添加する場合は、トリアルキルアルミニウム化合物1ミリモルに対して、1.1ミリモル以下、好ましくは1ミリモル以下である。
【0132】
1,2重合する温度は、0〜100℃、好ましくは10〜100℃、更に好ましくは20〜100℃までの温度範囲で、1,3−ブタジエンを1,2重合する。1,2重合する際の重合系には、前記のシス重合液100重量部当たり1〜50重量部、好ましくは1〜20重量部の1,3−ブタジエンを添加することで、1,2重合時の1,2−ポリブタジエンの収量を増大させることができる。重合時間(平均滞留時間)は、10分〜2時間の範囲が好ましい。重合槽は、1槽、又は2槽以上の槽を連結して行われる。重合は、重合槽(重合器)内にて重合溶液を撹拌混合して行う。1,2重合に用いる重合槽としては、1,2重合中に更に高粘度となり、ポリマーが付着しやすいので、高粘度液撹拌装置付きの重合槽、例えば特公昭40−2645号に記載された装置を用いることができる。
【0133】
重合反応が所定の重合率に達した後、常法に従って公知の老化防止剤を添加することができる。老化防止剤の例としては、フェノール系の2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、リン系のトリノニルフェニルフォスファイト(TNP)、硫黄系のジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート(TPL)などが挙げられる。単独でも二種以上組み合わせて用いてもよく、老化防止剤の添加は、ビニル・シス−ポリブタジエン100重量部に対して0.001〜5重量部である。次に、重合停止剤を重合系に加えて停止する。例えば、重合反応終了後、重合停止槽に供給し、この重合溶液にメタノール、エタノールなどのアルコール、水などの極性溶媒を大量に投入する方法、塩酸、硫酸などの無機酸、酢酸、安息香酸などの有機酸、塩化水素ガスを重合溶液に導入する方法などのそれ自体公知の方法である。次いで、通常の方法に従い、生成したビニル・シス−ポリブタジエンを分離、洗浄、乾燥する。
【0134】
このようにして得られたビニル・シス−ポリブタジエンは、(I)沸騰n−ヘキサン不溶分(H.I.)3〜30重量%と(II)沸騰n−ヘキサン可溶分97〜70重量%とからなる。沸騰n−ヘキサン可溶分はミクロ構造が90%以上のシス−1,4−ポリブタジエンである。H.I.の融点が180〜215℃のSPBである。100℃でのMLは、20〜200、好ましくは25〜100、より好ましくは30〜70である。ビニル・シス−ポリブタジエン中に分散したシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエンは、シス−1,4−ポリブタジエンマトリックス中に微細な結晶として均一に分散している。
【0135】
本発明により得られるビニル・シス−ポリブタジエンは、単独でまたは他の合成ゴム若しくは天然ゴムとブレンドして配合し、必要ならばプロセス油で油展し、次いで、カーボンブラックなどの充填剤、加硫剤、加硫促進剤その他通常の配合剤を加えて加硫し、タイヤ用として有用であり、トレッド、サイウォール、スティフナー、ビードフィラー、インナーライナー、カーカスなどに、その他、ホース、ベルトその他の各種工業用品等の機械的特性及び耐摩耗性が要求されるゴム用途に使用される。また、プラスチック材料の改質剤として使用することもできる。
【0136】
(共役ジエン重合体組成物及び変性共役ジエン重合体組成物)
本発明の共役ジエン重合体組成物は、共役ジエン重合体(α)と、(α)以外のジエン系重合体(β)と、ゴム補強剤(γ)とを含むことが好ましい。また、本発明の変性共役ジエン重合体組成物は、変性共役ジエン重合体(α’)と、(α’)以外のジエン系重合体(β)と、ゴム補強剤(γ)とを含むことが好ましい。具体的には、本発明の共役ジエン重合体及び変性共役ジエン重合体は、単独でまたは他の合成ゴム若しくは天然ゴムとブレンドして配合し、必要ならばプロセス油で油展し、次いでカーボンブラックなどの充填剤、加硫剤、加硫促進剤その他の通常の配合剤を加えて加硫し、タイヤ、ホース、ベルト、その他の、各種工業用品等の機械的特性及び耐摩耗性が要求されるゴム用途に使用される。また、プラスチック材料の改質剤として使用することもできる。
【0137】
本発明で用いられる(γ)成分のゴム補強剤としては、各種のカーボンブラック、シリカ、活性化炭酸カルシウム、超微粒子珪酸マグネシウム等の無機補強剤が挙げられる。
【0138】
カーボンブラックは、粒子径が90nm以下、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が70ml/100g以上が好ましく、例えば、FEF、FF、GPF、SAF、ISAF、SRF、HAF等が挙げられる。
【0139】
本発明に係る共役ジエン重合体組成物及び変性共役ジエン重合体組成物の混合割合は、好ましくは、共役ジエン重合体組成物(α)又は変性共役ジエン重合体組成物(α’)90〜5重量部と、(α)又は(α’)以外のジエン系重合体(β)10〜95重量部とからなるゴム成分(α)+(β)又は(α’)+(β)100重量部とゴム補強剤(γ)20〜120重量部である。
【0140】
共役ジエン重合体組成物及び変性共役ジエン重合体組成物に含まれる(α)又は(α’)以外のジエン系重合体(β)としては、加硫可能なゴムが好ましく、具体的にはエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)、ポリイソプレン、ハイシスポリブタジエンゴム、ローシスポリブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム等を挙げることができる。これらの中でもSBRが好ましい。さらにSBRの中でも溶液重合スチレンブタジエン共重合体ゴム(S−SBR)が特に好ましい。これらのゴムは単独でも、二種以上組合せて用いても良い。
【0141】
また、プラスチック材料、例えば、耐衝撃性ポリスチレンの改質剤として使用する、すなわち、耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物やゴム変性耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物を製造することもできる。
【0142】
(タイヤ用ゴム組成物及びゴムベルト用ゴム組成物)
本発明の共役ジエン重合体組成物及び変性共役ジエン重合体組成物は、ゴム成分(α)+(β)又は(α’)+(β)と、ゴム補強剤(γ)との混合割合をそれぞれ調整することにより、タイヤ用ゴム組成物及びゴムベルト用ゴム組成物として好適に用いることができる。
【0143】
タイヤ用ゴム組成物の場合には、共役ジエン重合体(α)又は変性共役ジエン重合体組成物(α’)と、(α)又は(α’)以外のジエン系重合体(β)と、からなるゴム成分(α)+(β)又は(α’)+(β)と、ゴム補強剤(γ)とを含み、上記ゴム成分(α)+(β)又は(α’)+(β)100質量部に対して上記ゴム補強剤(γ)を30〜80質量部含有することが好ましい。
【0144】
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物は、共役ジエン重合体(α)又は変性共役ジエン重合体組成物(α’)以外のジエン系重合体(β)を用い、共役ジエン重合体(α)又は変性共役ジエン重合体組成物(α’)90〜5質量部に対して、共役ジエン重合体(α)又は変性共役ジエン重合体組成物(α’)以外のジエン系重合体(β)10〜95質量部を配合することが好ましい。ジエン系重合体(β)としては、天然ゴム及びポリイソプレンのうち少なくとも一種以上であることが好ましい。
【0145】
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物に配合されるゴム補強剤(γ)としては、各種のカーボンブラック、シリカ、活性化炭酸カルシウム、超微粒子珪酸マグネシウム、タルク、マイカ等が挙げられる。中でも、カーボンブラック及びシリカのうち少なくとも1以上であることが好ましい。特に好ましくは、粒子径が90nm以下、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が70ml/100g以上のカーボンブラックであり、例えば、FEF、FF、GPF、SAF、ISAF、SRF、HAF等が用いられる。
【0146】
また、上記タイヤ用ゴム組成物に配合されるゴム補強剤(γ)としては、特開2006−131819号で開示されているような、フラーレンを用いてもよい。フラーレンとしては、C60、C70、C60とC70の混合物やその誘導体が挙げられる。
【0147】
フラーレン誘導体としては、PCBM(Phenyl C61−butyric acid methyl ester)、PCBNB(Phenyl C61−butyric acid n−butyl ester)、PCBIB(Phenyl C61−butyric acid I−butyl ester)、C70PCBM(Phenyl C71−butyric acid methyl ester)などが挙げられる。その他、水酸化フラーレン、酸化フラーレン、水素化フラーレンなども用いることができる。
【0148】
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物において、上記ゴム補強剤(γ)の配合量は、共役ジエン重合体(α)又は変性共役ジエン重合体組成物(α’)と(α)又は(α’)以外のジエン系重合体(β)とからなるゴム成分(α)+(β)又は(α’)+(β)100質量部に対して30〜80質量部、好ましくは40〜70質量部である。
【0149】
本発明に係る共役ジエン重合体(α)又は変性共役ジエン重合体組成物(α’)と、(α)又は(α’)以外のジエン系重合体(β)と、ゴム補強剤(γ)とからなるゴム成分のJIS・A硬度が55〜80度であることが好ましく、60〜75度であることが特に好ましい。
【0150】
ゴム成分のJIS・A硬度が55度以下であると、耐カット性が落ちるので好ましくない。一方、ゴム成分のJIS・A硬度が80度を超えるとゴム欠けが生じる可能性があり、好ましくない。
【0151】
また、ベルト用ゴム組成物の場合には、共役ジエン重合体(α)又は変性共役ジエン重合体組成物(α’)と、(α)又は(α’)以外のジエン系重合体(β)と、からなるゴム成分(α)+(β)又は(α’)+(β)と、ゴム補強剤(γ)とを含み、上記ゴム成分(α)+(β)100質量部に対して上記ゴム補強剤(γ)を20〜70質量部含有することが好ましい。
【0152】
本発明に係るベルト用ゴム組成物は、共役ジエン重合体(α)又は変性共役ジエン重合体組成物(α’)以外のジエン系重合体(β)を用い、共役ジエン重合体(α)又は変性共役ジエン重合体組成物(α’)90〜5質量部に対して、共役ジエン重合体(α)又は変性共役ジエン重合体組成物(α’)以外のジエン系重合体(β)10〜95質量部を配合することが好ましい。ジエン系重合体(β)としては、天然ゴム及びポリイソプレンのうち少なくとも一種以上であることが好ましい。
【0153】
また、本発明に係るベルト用ゴム組成物に配合されるゴム補強剤(γ)としては、各種のカーボンブラック、シリカ、活性化炭酸カルシウム、超微粒子珪酸マグネシウム、タルク、マイカ等などが挙げられる。中でも、カーボンブラック及びシリカのうち少なくとも1以上であることが好ましい。特に好ましくは、粒子径が90nm以下、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が70ml/100g以上のカーボンブラックであり、例えば、FEF、FF、GPF、SAF、ISAF、SRF、HAF等が用いられる。
【0154】
本発明に係るベルト用ゴム組成物において、ゴム補強剤(γ)の配合量は、共役ジエン重合体(α)又は変性共役ジエン重合体組成物(α’)とジエン系重合体(β)とからなるゴム成分(α)+(β)又は(α’)+(β)100質量部に対して20〜70質量部、好ましくは30〜60質量部である。
【0155】
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物又はゴムベルト用ゴム組成物は、上記各成分を通常行われているバンバリー、オープンロール、ニーダー、二軸混練り機などを用いて混練りすることで得られる。
【0156】
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物又はゴムベルト用ゴム組成物には、必要に応じて、加硫剤、加硫助剤、老化防止剤、充填剤、プロセスオイル、亜鉛華、ステアリン酸など、通常ゴム業界で用いられる配合剤を混練してもよい。
【0157】
加硫剤としては、公知の加硫剤、例えば硫黄、有機過酸化物、樹脂加硫剤、酸化マグネシウムなどの金属酸化物などが用いられる。加硫剤は、ゴム成分(α)+(β)又は(α’)+(β)100重量部に対して0.5〜3量部程度を配合することが好ましい。
【0158】
加硫助剤としては、公知の加硫助剤、例えばアルデヒド類、アンモニア類、アミン類、グアニジン類、チオウレア類、チアゾール類、チウラム類、ジチオカーバメイト類、キサンテート類などが用いられる。
【0159】
老化防止剤としては、アミン・ケトン系、イミダゾール系、アミン系、フェノール系、硫黄系及び燐系などが挙げられる。
【0160】
充填剤としては、炭酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、クレー、リサージュ、珪藻土等の無機充填剤、再生ゴム、粉末ゴム等の有機充填剤が挙げられる。
【0161】
プロセスオイルは、アロマティック系、ナフテン系、パラフィン系のいずれを用いてもよい。
【実施例】
【0162】
以下に本発明に基づく実施例について具体的に記載する。まず、物性等の測定方法は以下の通りである。
【0163】
Gd含量の測定:ICP発光分析法にて行った。測定には、バリアンジャパン社製Vista MPX型を用いた。
【0164】
元素分析:ヤナコ社製CHNコーダー MT−5型を用いて行った。
【0165】
ミクロ構造:赤外吸収スペクトル分析によって行った。シス740cm−1、トランス967cm−1、ビニル910cm−1の吸収強度比からミクロ構造を算出した。
【0166】
固有粘度[η]:ポリマーのトルエン溶液を使用して、30℃で測定した。
【0167】
触媒活性:重合反応に使用した触媒の中心金属1mmol当たり、重合時間1時間当たりの重合体収量(g)である。例えば、触媒がガドリニウム化合物の場合には、重合反応に使用したガドリニウム化合物のガドリニウム金属1mmol当たり、重合時間1時間当たりの重合体収量(g)である。
【0168】
数平均分子量(Mn)並びに重量平均分子量(Mw):ポリスチレンを標準物質としてテトラヒドロフランを溶媒として温度40℃で、GPC(株式会社島津製作所製)法により行い、得られた分子量分布曲線から求めた検量線を用いて計算し、数平均分子量並びに重量平均分子量を求めた。
【0169】
分子量分布:ポリスチレンを標準物質として用いたGPCから求めた重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnの比であるMw/Mnによって評価した。
【0170】
ムーニー粘度(ML1+4、100℃):JIS−K6300に従い株式会社島津製作所製のムーニー粘度計を使用して100℃で1分予熱したのち、4分間測定してゴムのムーニー粘度(ML1+4、100℃)として表示した。
【0171】
示差走査熱量測定(DSC):セイコーインスツル(株)製DSC装置を使用して、窒素雰囲気下で−150℃〜100℃の温度範囲を10℃/minの昇温速度で測定した。
【0172】
SPB含量:示差走査熱量計(島津製作所製、DSC−50)により測定した融解熱量と、実測H.I.測定法で得られたH.I.の検量線から求めた。実測H.I.は2gのビニル・シス−ポリブタジエンゴムを200mlのn−ヘキサンにて4時間ソックスレー抽出器によって沸騰抽出した抽出残部を重量部で示した。
【0173】
(組成物の評価)
引張強度:JIS K6252に準拠して測定し、各表に記載された比較例を100として指数表示した(指数は大きいほど良好)。
【0174】
引張応力:JIS K6251に準拠して100%及び300%引張応力を測定し、各表に記載された比較例を100として指数表示した(指数は大きいほど良好)。
【0175】
反撥弾性:JIS K6255に従い、ダンロップ・トリプソメーターを使用して室温で反撥弾性を測定し、各表に記載された比較例を100として指数表示した(指数は大きいほど良好)。
【0176】
耐伸長疲労性:定伸張疲労試験機(上島製作所製)を用いて、ダンベル状3号形(JIS−K6251)試験片の中央に0.5mmの傷を入れ、初期歪50%、300回/分の条件で試験片が破断した回数を測定し、各表に記載された比較例を100として指数表示した(指数は大きいほど良好)。
【0177】
耐摩耗性:ランボーン摩擦性は、JIS−K6264に規定されている測定法に従って、スリップ率20%および40%で測定し、各表に記載された比較例を100として指数表示した(指数は大きいほど良好)。
【0178】
発熱量・永久歪:JIS K6265に規定されている測定方法に準じて測定し、各表に記載された比較例を100として指数表示した(指数は大きいほど良好)。
【0179】
低燃費性(tanδ):粘弾性測定装置(アルファテクノロジーズ社製、RPA2000)を用い、温度30℃、50℃及び60℃、周波数1Hz、動歪み3%、10%で測定し、各表に記載された比較例を100として指数表示した(指数は大きいほど良好)。
【0180】
スウェル:加工性測定装置(モンサント社、MPT)を用いて配合物の押出加工性の目安として100℃、100sec−1のせん断速度で押出時の配合物の断面積とダイオリフィス断面積(但し、L/D=1.5mm/1.5mm)の比を測定して求めた(指数は大きいほど良好)。
【0181】
貯蔵弾性率(G’)のひずみ依存性(ペイン効果):アルファーテクノロジー社製のゴム加工性解析装置RPA−2000を使い、120℃、1Hzの周波数の条件で動的ひずみ分析を行った。ペイン効果は、ひずみ45%時のG’とひずみ1.1%時のG’の比(G’25%/G’0.5%)を比較例12を100とした指数で表示した。指数が大きいほど、補強剤の分散性が良好であることを示す。
【0182】
フィラーゲル:1mm角に裁断した未加硫ゴム1gを金属網に入れ、30℃のトルエンに3日間浸した後、得られたトルエン不溶分を100℃で2時間乾燥させた。乾燥後のトルエン不溶分の重量からフィラー及び酸化亜鉛の重量差し引いた重量が、未加硫ゴム1g中のフィラーゲル量に相当する。
【0183】
(実施例1)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒245ml及びブタジエン250mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)1.5mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.003mol/L)1.35mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)2.0mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表1に示した。
【0184】
(実施例2)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒245ml及びブタジエン250mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のトルエン溶液(2mol/L)0.5mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.005mol/L)0.8mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)2.0mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表1に示した。
【0185】
(実施例3)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒245ml及びブタジエン250mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)1.5mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.003mol/L)1.35mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)2.0mlを添加した。40℃で15分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表1に示した。
【0186】
(実施例4)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒245ml及びブタジエン250mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)1.5mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.003mol/L)1.35mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)2.0mlを添加した。40℃で35分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表1に示した。
【0187】
(実施例5)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒245ml及びブタジエン250mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)1.5mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.003mol/L)1.35mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)2.0mlを添加した。40℃で50分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表1に示した。
【0188】
(実施例6)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒545ml及びブタジエン550mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)3.3mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.02mol/L)0.44mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)4.4mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液4mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表1に示した。
【0189】
(実施例7)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒245ml及びブタジエン250mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)0.75mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のシクロヘキサン溶液(0.005mol/L)0.4mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)1.0mlを添加した。50℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表1に示した。
【0190】
(実施例8)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒245ml及びブタジエン250mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)1.0mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のシクロヘキサン溶液(0.005mol/L)0.4mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)1.0mlを添加した。50℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表1に示した。
【0191】
(実施例9)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒245ml及びブタジエン250mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)1.25mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のシクロヘキサン溶液(0.005mol/L)0.4mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)1.0mlを添加した。50℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表1に示した。
【0192】
(実施例10)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒245ml及びブタジエン250mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)1.5mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のシクロヘキサン溶液(0.005mol/L)0.4mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)1.0mlを添加した。50℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表1に示した。
【0193】
(実施例11)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン溶媒245ml及びブタジエン250mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のトルエン溶液(2mol/L)0.75mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.005mol/L)0.6mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)1.5mlを添加した。50℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表1に示した。
【0194】
(実施例12)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン溶媒245ml及びブタジエン250mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のトルエン溶液(2mol/L)0.75mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.005mol/L)0.6mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)1.5mlを添加した。60℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表1に示した。
【0195】
(実施例13)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン溶媒245ml及びブタジエン250mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のトルエン溶液(2mol/L)0.75mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.005mol/L)0.6mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)1.5mlを添加した。70℃で23分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表1に示した。
【0196】
(実施例14)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、ブタジエン/2−ブテン/シクロヘキサン(44.5/29.5/24.9wt%)からなる溶液500mlを仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)1.5mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のシクロヘキサン溶液(0.005mol/L)1.5mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)3.75mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表1に示した。
【0197】
(実施例15)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、ブタジエン/2−ブテン/シクロヘキサン(44.5/29.5/24.9wt%)からなる溶液500mlを仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)1.5mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のシクロヘキサン溶液(0.005mol/L)1.5mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)3.75mlを添加した。50℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表1に示した。
【0198】
(実施例16)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒245ml及びブタジエン250mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)1.0mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のシクロヘキサン溶液(0.005mol/L)0.3mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)0.75mlを添加した。60℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表1に示した。
【0199】
(実施例17)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒245ml及びブタジエン250mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)1.0mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のシクロヘキサン溶液(0.005mol/L)0.3mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)0.75mlを添加した。70℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表1に示した。
【0200】
(実施例18)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒245ml及びブタジエン250mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)1.0mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のシクロヘキサン溶液(0.005mol/L)0.3mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)0.75mlを添加した。80℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表1に示した。
【0201】
(比較例1)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒245ml及びブタジエン250mlからなる溶液を仕込んだ後、トリエチルアルミニウム(TEAL)のトルエン溶液(2mol/L)1.5mlを添加した。次いで、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ネオジム(Nd(dpm))のトルエン溶液(0.005mol/L)0.8mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)2.0mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表1に示した。
【0202】
(実施例19)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒245ml及びブタジエン250mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のトルエン溶液(2mol/L)1.0mlを添加した。次に、トリス(2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dibm))のトルエン溶液(0.02mol/L)0.1mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)1.0mlを添加した。50℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表1に示した。
【0203】
【表1】
【0204】
表1より、比較例1と触媒(特に中心金属)以外は同じ条件で重合させた実施例1は、触媒活性が高く、得られた重合体のシス−1,4構造含有率も高いことがわかる。
【0205】
(実施例20)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒310ml及びブタジエン180mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)(5mol/L)0.38mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.02mol/L)0.86mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)8.6mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表2に示した。
【0206】
(実施例21)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒310ml及びブタジエン180mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)(5mol/L)0.63mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.02mol/L)0.86mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)8.6mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表2に示した。
【0207】
(実施例22)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒310ml及びブタジエン180mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)(5mol/L)1.26mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.02mol/L)0.86mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)8.6mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表2に示した。
【0208】
(実施例23)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒195ml及びブタジエン300mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)(4mol/L)1.0mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のシクロヘキサン溶液(0.005mol/L)0.5mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)1.25mlを添加した。50℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表2に示した。
【0209】
(実施例24)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒310ml及びブタジエン180mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DIBAH)のシクロヘキサン溶液(1mol/L)0.75mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.02mol/L)0.85mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)8.4mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表2に示した。
【0210】
(実施例25)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒245ml及びブタジエン250mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)0.5mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.02mol/L)0.2mlを添加した後、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DIBAH)のシクロヘキサン溶液(1mol/L)0.16ml及びトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)0.5mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表2に示した。
【0211】
(実施例26)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒245ml及びブタジエン250mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)0.5mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.02mol/L)0.2mlを添加した後、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DIBAH)のシクロヘキサン溶液(1mol/L)0.16ml及びトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)1.0mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表2に示した。
【0212】
(実施例27)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒245ml及びブタジエン250mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)0.5mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.02mol/L)0.2mlを添加した後、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DIBAH)のシクロヘキサン溶液(1mol/L)0.16ml及びトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)1.5mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表2に示した。
【0213】
(実施例28)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒245ml及びブタジエン250mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)0.5mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.02mol/L)0.2mlを添加した後、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DIBAH)のシクロヘキサン溶液(1mol/L)0.16ml及びトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)2.0mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表2に示した。
【0214】
(実施例29)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒545ml及びブタジエン550mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)1.1mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.02mol/L)0.44mlを添加した後、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DIBAH)のシクロヘキサン溶液(1mol/L)0.33ml及びトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)2.2mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液4mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表2に示した。
【0215】
(実施例30)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒495ml及びブタジエン500mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)2.0mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のシクロヘキサン溶液(0.005mol/L)0.8mlを添加した後、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DIBAH)のシクロヘキサン溶液(0.1mol/L)1.7ml及びトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)2.0mlを添加した。50℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液5mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表2に示した。
【0216】
【表2】
【0217】
表2より、触媒活性を高くしづらいアルキルアルミ種を用いた場合であっても、良好な活性で製造することができることが分かる。
【0218】
(実施例31)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン溶媒315ml及びブタジエン180mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のトルエン溶液(2mol/L)0.5mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.01mol/L)1.0mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)5.0mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表3に示した。
【0219】
(実施例32)
トリエチルアルミニウム(TEAL)のトルエン溶液(2mol/L)を0.75mlとした他は、実施例31と同様に重合を行った。重合結果を表3に示した。
【0220】
(実施例33)
トリエチルアルミニウム(TEAL)のトルエン溶液(2mol/L)を1.0mlとした他は、実施例31と同様に重合を行った。重合結果を表3に示した。
【0221】
(実施例34)
トリエチルアルミニウム(TEAL)のトルエン溶液(2mol/L)を1.25mlとした他は、実施例31と同様に重合を行った。重合結果を表3に示した。
【0222】
(実施例35)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン溶媒315ml及びブタジエン180mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のトルエン溶液(2mol/L)0.5mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.01mol/L)0.67mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)3.35mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表3に示した。
【0223】
(実施例36)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン溶媒245ml及びブタジエン250mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のトルエン溶液(2mol/L)0.5mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.01mol/L)0.67mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)3.35mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表3に示した。
【0224】
(実施例37)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン溶媒195ml及びブタジエン300mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のトルエン溶液(2mol/L)0.5mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.01mol/L)0.67mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)3.35mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表3に示した。
【0225】
(実施例38)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン溶媒115ml及びブタジエン380mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のトルエン溶液(2mol/L)0.5mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.02mol/L)0.34mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)3.35mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表3に示した。
【0226】
(実施例39)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、ブタジエン500mlを仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のトルエン溶液(2mol/L)0.5mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.01mol/L)0.67mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)3.35mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表3に示した。
【0227】
(実施例40)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン溶媒245ml及びブタジエン250mlからなる溶液を仕込んだ後、水素ガス0.10MPaを重合槽に導入した。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のトルエン溶液(2mol/L)0.5mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.01mol/L)0.67mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)3.35mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表3に示した。
【0228】
(実施例41)
水素ガスの圧力を0.15MPaとした他は、実施例40と同様に重合を行った。重合結果を表3に示した。
【0229】
(実施例42)
水素ガスの圧力を0.20MPaとした他は、実施例40と同様に重合を行った。重合結果を表3に示した。
【0230】
(実施例43)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒245ml及びブタジエン250mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のトルエン溶液(2mol/L)0.5mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.02mol/L)0.2mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)2.0mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表3に示した。
【0231】
(実施例44)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン溶媒315ml及びブタジエン180mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のトルエン溶液(2mol/L)1.5mlを添加した。次に、トリス(2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dibm))のトルエン溶液(0.02mol/L)0.85mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.08mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表3に示した。
【0232】
(実施例45)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン溶媒315ml及びブタジエン180mlからなる溶液を仕込んだ後、水素ガス0.05MPaを重合槽に導入した。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のトルエン溶液(2mol/L)1.5mlを添加した。次に、トリス(2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dibm))のトルエン溶液(0.02mol/L)0.85mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.08mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表3に示した。
【0233】
(実施例46)
水素ガスの圧力を0.10MPaとした他は、実施例45と同様に重合を行った。重合結果を表3に示した。
【0234】
(実施例47)
水素ガスの圧力を0.15MPaとした他は、実施例45と同様に重合を行った。重合結果を表3に示した。
【0235】
(実施例48)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン溶媒350ml及びブタジエン150mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のトルエン溶液(2mol/L)1.5mlを添加した。次に、トリス(2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dibm))のトルエン溶液(0.02mol/L)0.85mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.08mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表3に示した。
【0236】
(実施例49)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン溶媒250ml及びブタジエン250mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のトルエン溶液(2mol/L)1.5mlを添加した。次に、トリス(2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dibm))のトルエン溶液(0.02mol/L)0.85mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.08mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表3に示した。
【0237】
(実施例50)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン溶媒200ml及びブタジエン300mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のトルエン溶液(2mol/L)1.5mlを添加し、毎分500回転で3分間攪拌した。次に、トリス(2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dibm))のトルエン溶液(0.02mol/L)0.85mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.08mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表3に示した。
【0238】
(比較例2)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン溶媒390ml及びブタジエン210mlからなる溶液を仕込んだ後、水素ガス0.04MPaを重合槽に導入した。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のトルエン溶液(2mol/L)1.5mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)イットリウム(Y(dpm))のトルエン溶液(0.05mol/L)0.6mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.14mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表3に示した。
【0239】
(比較例3)
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン溶媒260ml及びブタジエン140mlからなる溶液を仕込み、溶液の温度を30℃とした後、トリエチルアルミニウム(TEAL)のトルエン溶液(2mol/L)3.0mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)ネオジム(Nd(dpm))のトルエン溶液(0.04mol/L)2.5mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.5mlを添加した。40℃で30分重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液5mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを70℃で6時間真空乾燥した。重合結果を表3に示した。
【0240】
(比較例4)
特開2004−27179号(特許文献4)記載の実施例1について、収量及び触媒活性を計算した結果を表3に示した。
【0241】
【表3】
【0242】
表3より、比較例2と最も近い条件で重合させた実施例34は、触媒活性が比較例2の2倍以上と極めて高く、得られた重合体のシス−1,4構造含有率も非常に高いことがわかる。
【0243】
(実施例51)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン溶媒315ml及びブタジエン180mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、ジイソブチルアルミニウムハイドライド(DIBAH)のトルエン溶液(1mol/L)1.5mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.01mol/L)1.7mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.08mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表4に示した。
【0244】
(実施例52)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン溶媒315ml及びブタジエン180mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)のトルエン溶液(1.8mol/L)1.67mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.01mol/L)1.7mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.08mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表4に示した。
【0245】
(実施例53)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン溶媒315ml及びブタジエン180mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリ−n−オクチルアルミニウム(TNOA)(2.2mol/L)1.35mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.01mol/L)1.7mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.08mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表4に示した。
【0246】
(実施例54)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン溶媒270ml及びブタジエン25mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)のトルエン溶液(1mol/L)3.0mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.02mol/L)3.0mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.28mlを添加した。50℃で3分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表4に示した。
【0247】
【表4】
【0248】
表4より、触媒活性を高くしづらいアルキルアルミ種を用いた場合であっても、良好な活性で製造することができることが分かる。
【0249】
(実施例55)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン溶媒395ml及びブタジエン400mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、水素ガス0.14MPaを導入し、トリエチルアルミニウム(TEAL)のトルエン溶液(2mol/L)1.2mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.005mol/L)2.25mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)5.6mlを添加した。40℃で25分間重合した後、変性剤の4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(EAB)のトルエン溶液(0.5mol/L)0.23mlを添加して、同温度で15分間変性反応を行った。老化防止剤を含むエタノール溶液4mlを添加し、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。回収したポリブタジエンのDSC測定による変性ポリブタジエンの融点は−6.9℃であり、融解熱量は42.2J/gであった。その他の重合結果を表5に示した。
【0250】
(実施例56)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン溶媒295ml及びブタジエン300mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、水素ガス0.13MPaを導入し、トリエチルアルミニウム(TEAL)のトルエン溶液(2mol/L)1.8mlを添加した。次に、トリス(2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dibm))のトルエン溶液(0.02mol/L)1.05mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.043mol/L)0.1mlを添加した。40℃で25分間重合した後、変性剤の4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(EAB)のトルエン溶液(0.5mol/L)0.42mlを添加して、同温度で15分間変性反応を行った。老化防止剤を含むエタノール溶液4mlを添加し、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。回収したポリブタジエンのDSC測定による変性ポリブタジエンの融点は−6.6℃であり、融解熱量は44.6J/gであった。その他の重合結果を表5に示した。
【0251】
(実施例57)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン溶媒395ml及びブタジエン400mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、水素ガス0.14MPaを導入し、トリエチルアルミニウム(TEAL)のトルエン溶液(2mol/L)1.2mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.005mol/L)2.25mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)5.6mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液4mlを添加し、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。回収したポリブタジエンのDSC測定によるポリブタジエンの融点は−8.4℃であり、融解熱量は43.5J/gであった。その他の重合結果を表5に示した。
【0252】
(実施例58)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン溶媒295ml及びブタジエン300mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、水素ガス0.13MPaを導入し、トリエチルアルミニウム(TEAL)のトルエン溶液(2mol/L)1.8mlを添加した。次に、トリス(2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dibm))のトルエン溶液(0.02mol/L)1.05mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.043mol/L)0.1mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液4mlを添加し、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。回収したポリブタジエンのDSC測定によるポリブタジエンの融点は−6.6℃であり、融解熱量は45.6J/gであった。その他の重合結果を表5に示した。
【0253】
得られたシス−1,4−ポリブタジエンの物性を表5に示す。
【0254】
【表5】
【0255】
(実施例59)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒245ml及びブタジエン250mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)1.25mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のシクロヘキサン溶液(0.005mol/L)0.4mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)1.0mlを添加した。50℃で25分間重合した後、変性剤のピペロニルクロライド(PPCl)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)0.5mlを添加して、同温度で15分間変性反応を行った。老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表6に示した。
【0256】
(実施例60)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒220ml及びブタジエン280mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)1.0mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のシクロヘキサン溶液(0.005mol/L)0.4mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)1.0mlを添加した。50℃で30分間重合した後、変性剤のピペロニルクロライド(PPCl)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)0.25mlを添加して、同温度で5分間変性反応を行った。老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表6に示した。
【0257】
(実施例61)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒245ml及びブタジエン250mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)1.25mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のシクロヘキサン溶液(0.005mol/L)0.4mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)1.0mlを添加した。50℃で25分間重合した後、変性剤のm−ジメトキシベンジルブロマイド(DMBB)のトルエン溶液(0.1mol/L)0.8mlを添加して、同温度で15分間変性反応を行った。老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表6に示した。
【0258】
(実施例62)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒495ml及びブタジエン500mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)3.0mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のシクロヘキサン溶液(0.005mol/L)0.8mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)2.0mlを添加した。50℃で20分間重合した後、変性剤の3−メトキシベンジルクロライド(MOBC)0.3mlを添加して、同温度で10分間変性反応を行った。老化防止剤を含むエタノール溶液5mlを添加し、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表6に示した。
【0259】
(実施例63)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒495ml及びブタジエン500mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)2.0mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のシクロヘキサン溶液(0.005mol/L)0.8mlを添加した後、ジイソブチルアルミニウムハイドライド(DIBAH)のシクロヘキサン溶液(0.1mol/L)2.0ml及びトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)2.0mlを添加した。50℃で20分間重合した後、変性剤のピペロニルクロライド(PPCl)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)1.0mlを添加して、同温度で10分間変性反応を行った。老化防止剤を含むエタノール溶液5mlを添加し、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表6に示した。
【0260】
(実施例64)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒245ml及びブタジエン250mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のトルエン溶液(2mol/L)1.25mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のシクロヘキサン溶液(0.005mol/L)0.4mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)1.0mlを添加した。50℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表6に示した。
【0261】
得られたシス−1,4−ポリブタジエンの物性を表6に示す。
【0262】
【表6】
【0263】
(実施例65)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン溶媒295ml及びブタジエン300mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、水素ガス0.13MPaを導入し、トリエチルアルミニウム(TEAL)のトルエン溶液(2mol/L)1.8mlを添加した。次に、トリス(2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dibm))のトルエン溶液(0.02mol/L)1.05mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.1mlを添加した。40℃で25分間重合した後、変性剤のヘリオトロピン(HLT)のトルエン溶液(0.2mol/L)2.1mlを添加して、同温度で15分間変性反応を行った。老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表7に示した。
【0264】
(実施例66)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン溶媒295ml及びブタジエン300mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、水素ガス0.2MPaを導入し、トリエチルアルミニウム(TEAL)のトルエン溶液(2mol/L)1.8mlを添加した。次に、トリス(2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dibm))のトルエン溶液(0.02mol/L)1.05mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.1mlを添加した。40℃で25分間重合した後、変性剤のヘリオトロピン(HLT)のトルエン溶液(0.2mol/L)2.1mlを添加して、同温度で15分間変性反応を行った。老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表7に示した。
【0265】
(実施例67)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒245ml及びブタジエン250mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)0.5mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.02mol/L)0.2mlを添加した後、ジイソブチルアルミニウムハイドライド(DIBAH)のシクロヘキサン溶液(1mol/L)0.13ml及びトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)1.0mlを添加した。40℃で25分間重合した後、変性剤のヘリオトロピン(HLT)のトルエン溶液(0.2mol/L)1.0mlを添加して、同温度で15分間変性反応を行った。老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表7に示した。
【0266】
(実施例68)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒280ml及びブタジエン220mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)1.0mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のシクロヘキサン溶液(0.005mol/L)0.4mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)1.0mlを添加した。50℃で30分間重合した後、変性剤のベラトルムアルデヒド(VTA)(10.5mol/L)0.1mlを添加して、同温度で5分間変性反応を行った。老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表7に示した。
【0267】
(実施例69)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン溶媒295ml及びブタジエン300mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、水素ガス0.13MPaを導入し、トリエチルアルミニウム(TEAL)のトルエン溶液(2mol/L)1.8mlを添加した。次に、トリス(2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dibm))のトルエン溶液(0.02mol/L)1.05mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.1mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。次いで、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表7に示した。
【0268】
(実施例70)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒245ml及びブタジエン250mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)0.5mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.02mol/L)0.2mlを添加した後、ジイソブチルアルミニウムハイドライド(DIBAH)のシクロヘキサン溶液(1mol/L)0.13ml及びトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)1.0mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。次いで、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表7に示した。
【0269】
(実施例71)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒280ml及びブタジエン220mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)1.0mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のシクロヘキサン溶液(0.005mol/L)0.4mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)1.0mlを添加した。50℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、重合を停止した。次いで、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表7に示した。
【0270】
得られたシス−1,4−ポリブタジエンの物性を表7に示す。
【0271】
【表7】
【0272】
(実施例72)
(1)シス−1,4成分の製造
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン245ml及びブタジエン250mlからなる溶液を仕込み、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)1.25mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)ガドリウニムのシクロヘキサン溶液(5mmol/L)0.5mlを添加し、トリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)1.25mlを添加して重合を開始し、50℃で25分間重合を行った。
(2)シンジオタクチック−1,2成分の製造
次に、トリエチルアルミニウム(TEA)のシクロヘキサン溶液(1mol/L)1.0ml及び水9.0μlを添加し、引き続きオクチル酸コバルト(Co(Oct))のシクロヘキサン溶液(0.005mol/L)10.0ml及び二硫化炭素(CS)のシクロヘキサン溶液(1mol/L)を0.3ml添加した。50℃で15分間重合させた後、老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液3mlを添加し重合を停止した。オートクレーブ内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表8に示した。
【0273】
(実施例73)
(1)シス−1,4成分の製造
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン245ml及びブタジエン250mlからなる溶液を仕込み、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)2.0mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)ガドリウニムのシクロヘキサン溶液(5mmol/L)0.5mlを添加し、トリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)1.25mlを添加して重合を開始し、50℃で25分間重合を行った。
(2)シンジオタクチック−1,2成分の製造
次に、トリエチルアルミニウム(TEA)のシクロヘキサン溶液(1mol/L)0.25ml及び水9.0μlを添加し、引き続きオクチル酸コバルト(Co(Oct))のシクロヘキサン溶液(0.005mol/L)5.0ml及び二硫化炭素(CS)のシクロヘキサン溶液(1mol/L)を0.3ml添加した。50℃で15分間重合させた後、老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液3mlを添加し重合を停止した。オートクレーブ内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表8に示した。
【0274】
(実施例74)
(1)シス−1,4成分の製造
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン245ml及びブタジエン250mlからなる溶液を仕込み、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)2.5mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)ガドリウニムのシクロヘキサン溶液(0.005mol/L)0.5mlを添加し、トリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)1.25mlを添加して重合を開始し、50℃で25分間重合を行った。
(2)シンジオタクチック−1,2成分の製造
次に、トリエチルアルミニウム(TEA)のシクロヘキサン溶液(1mol/L)0.25ml及び水9.0μlを添加し、引き続きオクチル酸コバルト(Co(Oct))のシクロヘキサン溶液(0.1mol/L)0.35ml及び二硫化炭素(CS)のシクロヘキサン溶液(1mol/L)を0.3ml添加した。50℃で15分間重合させた後、老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液3mlを添加し重合を停止した。オートクレーブ内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表8に示した。
【0275】
(実施例75)
(1)シス−1,4成分の製造
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン245ml及びブタジエン250mlからなる溶液を仕込み、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)2.5mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)ガドリウニムのシクロヘキサン溶液(0.005mol/L)0.5mlを添加し、トリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)1.25mlを添加して重合を開始し、50℃で25分間重合を行った。
(2)シンジオタクチック−1,2成分の製造
次に、トリエチルアルミニウム(TEA)のシクロヘキサン溶液(1mol/L)0.25ml及び水9.0μlを添加し、引き続きオクチル酸コバルト(Co(Oct))のシクロヘキサン溶液(0.1mol/L)0.3ml及び二硫化炭素(CS)のシクロヘキサン溶液(1mol/L)を1.0ml添加した。50℃で15分間重合させた後、老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液3mlを添加し重合を停止した。オートクレーブ内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表8に示した。
【0276】
(参考例1)
(1)シス−1,4成分の製造
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン245ml及びブタジエン250mlからなる溶液を仕込み、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)1.25mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)ガドリウニムのシクロヘキサン溶液(0.005mol/L)0.5mlを添加し、トリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)1.25mlを添加して重合を開始し、50℃で25分間重合を行った。
【0277】
(比較例5)
(1)Co触媒系によるシス−1,4成分の製造
内容量1.6Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、ブタジエン30wt%、シクロヘキサン41wt%および2−ブテン29wt%を混合した溶液700mLを仕込み、室温にて二硫化炭素(CS)のシクロヘキサン溶液(0.25mol/L)を0.7ml、水(HO)を濃度が2.4mmol/Lになるように添加し、25℃で30分間、400rpmで撹拌した。ジエチルアルミニウムクロライド(DEAC)のシクロヘキサン溶液(1mol/L)を3ml、チオジプロピオン酸ジラウリル(TPL)のシクロヘキサン溶液(0.02mol/L)を0.5ml、1,5−シクロオクタジエンのシクロヘキサン溶液(5mol/L)を1.7ml添加し、25℃で5分間撹拌した。その後55℃に加温し、オクチル酸コバルト(Co(Oct))のシクロヘキサン溶液(0.005mol/L)を1ml添加して重合を開始し、60℃で20分間重合させた。
(2)シンジオタクチック−1,2成分の製造
次に、トリエチルアルミニウム(TEA)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)を2.25ml添加して2分間攪拌し、水を濃度が4.3mmol/Lになるように添加して5分間攪拌し、オクチル酸コバルト(Co(Oct))のシクロヘキサン溶液(0.05mol/L)を1.2ml添加し、さらに60℃で20分間重合させた。老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液5mLを添加し、重合を停止した。オートクレーブ内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で6時間真空乾燥した。重合結果を表8に示した。
【0278】
(比較例6)
内容量1.6Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、ブタジエン30wt%、シクロヘキサン41wt%および2−ブテン29wt%を混合した溶液700mLを仕込み、室温にて二硫化炭素(CS)のシクロヘキサン溶液(0.25mol/L)を0.7ml、水(HO)を濃度が2.4mmol/Lになるように添加し、25℃で30分間、400rpmで撹拌した。ジエチルアルミニウムクロライド(DEAC)のシクロヘキサン溶液(1mol/L)を3ml、チオジプロピオン酸ジラウリル(TPL)のシクロヘキサン溶液(0.02mol/L)を0.5ml、1,5−シクロオクタジエンのシクロヘキサン溶液(5mol/L)を1.7ml添加し、25℃で5分間撹拌した。その後55℃に加温し、オクチル酸コバルト(Co(Oct))のシクロヘキサン溶液(0.005mol/L)を1ml添加して重合を開始し、60℃で20分間重合させた。老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液5mLを添加し、重合を停止した。オートクレーブ内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で6時間真空乾燥した。重合結果を表8に示した。
【0279】
(比較例7)
(1)Y触媒系によるシス−1,4成分の製造
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン390ml及びブタジエン210mlからなる溶液を仕込み、溶液の温度を30℃とした後、ジエチルアルミニウムヒドリド(DEAH)のトルエン溶液(2mol/L)0.9mlを添加し、毎分550回転で3分間攪拌した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)イットリウムのトルエン溶液(20mmol/L)1.8mlを添加して40℃まで加温した。4分間攪拌したのち、トリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.18mlを添加して重合を開始し、40℃で30分間重合を行った。
(2)シンジオタクチック−1,2成分の製造
次に、トリエチルアルミニウム(TEA)のトルエン溶液(1mol/L)1.8mlを添加し、引き続き水(HO)を1.0mmol/Lになるように添加し、オクチル酸コバルト(Co(Oct))のトルエン溶液(0.05mol/L)1.8ml、二硫化炭素(CS)のトルエン溶液(1mol/L)を0.36ml添加し、さらに40℃で10分間重合させた。老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液5mLを添加し重合を停止した。オートクレーブ内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で6時間真空乾燥した。重合結果を表8に示した。
【0280】
(比較例8)
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン390ml及びブタジエン210mlからなる溶液を仕込み、溶液の温度を30℃とした後、ジエチルアルミニウムヒドリド(DEAH)のトルエン溶液(2mol/L)0.9mlを添加し、毎分550回転で3分間攪拌した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)イットリウムのトルエン溶液(20mmol/L)1.8mlを添加して40℃まで加温した。4分間攪拌したのち、トリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.18mlを添加して重合を開始し、40℃で30分間重合を行った。老化防止剤を含むエタノール/ヘプタン(1/1)溶液5mLを添加し重合を停止した。オートクレーブ内部を放圧した後、重合液をエタノールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で6時間真空乾燥した。重合結果を表8に示した。
【0281】
【表8】
【0282】
(実施例76)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン溶媒395ml及びブタジエン400mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、水素ガス0.14MPaを導入し、トリエチルアルミニウム(TEAL)のトルエン溶液(2mol/L)1.2mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.005mol/L)2.25mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)5.6mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液4mlを添加し、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。回収したポリブタジエンのDSC測定によるポリブタジエンの融点は−8.4℃であり、融解熱量は43.5J/gであった。その他の重合結果を表9に示した。
【0283】
(実施例77)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン溶媒295ml及びブタジエン300mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、水素ガス0.13MPaを導入し、トリエチルアルミニウム(TEAL)のトルエン溶液(2mol/L)1.8mlを添加した。次に、トリス(2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dibm))のトルエン溶液(0.02mol/L)1.05mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.043mol/L)0.1mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液4mlを添加し、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。回収したポリブタジエンのDSC測定によるポリブタジエンの融点は−6.6℃であり、融解熱量は45.6J/gであった。その他の重合結果を表9に示した。
【0284】
(実施例78)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒495ml及びブタジエン500mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)3.0ml及びトリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.005mol/L)1.6mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)4.0mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液4mlを添加し、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表9に示した。
【0285】
(実施例79)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒545ml及びブタジエン550mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)3.3ml及びトリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.02mol/L)0.44mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)4.4mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液4mlを添加し、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表9に示した。
【0286】
(実施例80)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒545ml及びブタジエン550mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)1.1ml及びトリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.02mol/L)0.44mlを添加した後、ジイソブチルアルミニウムハイドライド(DIBAH)のシクロヘキサン溶液(1.0mol/L)0.33ml及びトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)2.2mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液4mlを添加し、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表9に示した。
【0287】
(実施例81)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒540ml及びブタジエン550mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)3.4ml及びトリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.005mol/L)1.76mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)4.4mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液4mlを添加し、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表9に示した。
【0288】
(実施例82)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒545ml及びブタジエン550mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)2.75ml及びトリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.005mol/L)0.88mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)2.2mlを添加した。50℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液4mlを添加し、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表9に示した。
【0289】
(実施例83)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒495ml及びブタジエン500mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)2.0ml及びトリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.02mol/L)0.8mlを添加した後、ジイソブチルアルミニウムハイドライド(DIBAH)のシクロヘキサン溶液(0.1mol/L)1.7ml及びトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)2.0mlを添加した。50℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液4mlを添加し、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表9に示した。
【0290】
(実施例84)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒495ml及びブタジエン500mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)2.0ml及びトリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.02mol/L)0.8mlを添加した後、ジイソブチルアルミニウムハイドライド(DIBAH)のシクロヘキサン溶液(1.0mol/L)0.2ml及びトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)2.0mlを添加した。50℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液4mlを添加し、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表9に示した。
【0291】
得られたシス−1,4−ポリブタジエンの物性を表9に示す。
【0292】
【表9】
【0293】
(実施例85)
実施例76に従って合成したポリブタジエンを用い、表10に示す配合処方に従って、プラストミルでカーボンブラック、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤を加えて混練する一次配合を実施し、次いでロールにて加硫促進剤、硫黄を添加する二次配合を実施することで、配合ゴムを作製した。更にこの配合ゴムを目的物性に応じて成型し、150℃にてプレス加硫した加硫物の物性測定を行った。各種配合物物性の測定結果を表11に示した。
【0294】
(実施例86)
実施例77に従って合成したポリブタジエンを用い、表10に示す配合処方に従って、プラストミルでカーボンブラック、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤を加えて混練する一次配合を実施し、次いでロールにて加硫促進剤、硫黄を添加する二次配合を実施することで、配合ゴムを作製した。更にこの配合ゴムを目的物性に応じて成型し、150℃にてプレス加硫した加硫物の物性測定を行った。各種配合物物性の測定結果を表11に示した。
【0295】
(実施例87)
実施例79に従って合成したポリブタジエンを用い、表10に示す配合処方に従って、プラストミルで天然ゴム、カーボンブラック、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、オイルを加えて混練する一次配合を実施し、次いでロールにて加硫促進剤、硫黄を添加する二次配合を実施することで、配合ゴムを作製した。更にこの配合ゴムを目的物性に応じて成型し、150℃にてプレス加硫した加硫物の物性測定を行った。各種配合物物性の測定結果を表12に示した。
【0296】
(実施例88)
実施例80に従って合成したポリブタジエンを用い、表10に示す配合処方に従って、プラストミルで天然ゴム、カーボンブラック、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、オイルを加えて混練する一次配合を実施し、次いでロールにて加硫促進剤、硫黄を添加する二配合を実施することで、配合ゴムを作製した。更にこの配合ゴムを目的物性に応じて成型し、150℃にてプレス加硫した加硫物の物性測定を行った。各種配合物物性の測定結果を表12に示した。
【0297】
(実施例89)
実施例81に従って合成したポリブタジエンを用い、表10に示す配合処方に従って、プラストミルで天然ゴム、カーボンブラック、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、オイルを加えて混練する一次配合を実施し、次いでロールにて加硫促進剤、硫黄を添加する二次配合を実施することで、配合ゴムを作製した。更にこの配合ゴムを目的物性に応じて成型し、150℃にてプレス加硫した加硫物の物性測定を行った。各種配合物物性の測定結果を表13に示した。
【0298】
(実施例90)
実施例82に従って合成したポリブタジエンを用い、表10に示す配合処方に従って、プラストミルで天然ゴム、カーボンブラック、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、オイルを加えて混練する一次配合を実施し、次いでロールにて加硫促進剤、硫黄を添加する二配合を実施することで、配合ゴムを作製した。更にこの配合ゴムを目的物性に応じて成型し、150℃にてプレス加硫した加硫物の物性測定を行った。各種配合物物性の測定結果を表13に示した。
【0299】
(実施例91)
実施例83に従って合成したポリブタジエンを用い、表10に示す配合処方に従って、プラストミルで天然ゴム、カーボンブラック、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、オイルを加えて混練する一次配合を実施し、次いでロールにて加硫促進剤、硫黄を添加する二次配合を実施することで、配合ゴムを作製した。更にこの配合ゴムを目的物性に応じて成型し、150℃にてプレス加硫した加硫物の物性測定を行った。各種配合物物性の測定結果を表13に示した。
【0300】
(実施例92)
実施例84に従って合成したポリブタジエンを用い、表10に示す配合処方に従って、プラストミルで天然ゴム、カーボンブラック、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、オイルを加えて混練する一次配合を実施し、次いでロールにて加硫促進剤、硫黄を添加する二配合を実施することで、配合ゴムを作製した。更にこの配合ゴムを目的物性に応じて成型し、150℃にてプレス加硫した加硫物の物性測定を行った。各種配合物物性の測定結果を表13に示した。
【0301】
(比較例9)
宇部興産(株)製、UBEPOL−BR150L(Co系触媒を用いて重合された共役ジエン重合体)を用い、表10に示す配合処方に従って、プラストミルでカーボンブラック、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤を加えて混練する一次配合を実施し、次いでロールにて加硫促進剤、硫黄を添加する二次配合を実施することで、配合ゴムを作製した。更にこの配合ゴムを目的物性に応じて成型し、150℃にてプレス加硫した加硫物の物性測定を行った。各種配合物物性の測定結果を表11、乃至13に示した。
【0302】
配合処方を表10に示す。
【0303】
【表10】
【0304】
得られた配合物の評価結果を表11に示す。
【0305】
【表11】
【0306】
表10中の数値は、宇部興産(株)製、UBEPOL−BR150Lを用いた比較例9の各特性値を基準(100)としたときに、各項目についてそれぞれ指数表示したものである。数値が大きいほど特性が優れていることを示している。
【0307】
表11に示すとおり、実施例76及び実施例77で得られるポリブタジエンを用いた実施例85及び実施例86の組成物は、比較例9の組成物よりも引張応力、反発弾性、耐摩耗性、低発熱性に優れている。
【0308】
得られた配合物の評価結果を表12に示す。
【0309】
【表12】
【0310】
表12中の数値は、宇部興産(株)製、UBEPOL−BR150Lを用いた比較例9の各特性値を基準(100)としたときに、各項目についてそれぞれ指数表示したものである。数値が大きいほど特性が優れていることを示している。
【0311】
表12に示すとおり、実施例79及び実施例80で得られるポリブタジエンを用いた実施例87及び実施例88の組成物は、比較例9の組成物よりも引張応力、反撥弾性、低発熱性に優れている。
【0312】
得られた配合物の評価結果を表13に示す。
【0313】
【表13】
【0314】
表13中の数値は、宇部興産(株)製、UBEPOL−BR150Lを用いた比較例9の各特性値を基準(100)としたときに、各項目についてそれぞれ指数表示したものである。数値が大きいほど特性が優れていることを示している。
【0315】
表13に示すとおり、実施例81から実施例84で得られるポリブタジエンを用いた実施例89から実施例92の組成物は、比較例9の組成物よりも引張応力、反撥弾性、耐摩耗性、低発熱性に優れている。
【0316】
(実施例93)
実施例76に従って合成したポリブタジエンを用い、表14に示す配合処方に従って、プラストミルでSBR、シリカ、シランカップリング剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、オイルを加えて混練する一次配合を実施し、次いでロールにて加硫促進剤、硫黄を添加する二次配合を実施することで、配合ゴムを作製した。更にこの配合ゴムを目的物性に応じて成型し、150℃にてプレス加硫した加硫物の物性測定を行った。各種配合物物性の測定結果を表15に示した。
【0317】
(実施例94)
実施例78に従って合成したポリブタジエンを用い、表14に示す配合処方に従って、プラストミルでSBR、シリカ、シランカップリング剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、オイルを加えて混練する一次配合を実施し、次いでロールにて加硫促進剤、硫黄を添加する二次配合を実施することで、配合ゴムを作製した。更にこの配合ゴムを目的物性に応じて成型し、150℃にてプレス加硫した加硫物の物性測定を行った。各種配合物物性の測定結果を表15に示した。
【0318】
(比較例10)
宇部興産(株)製、UBEPOL−BR150L(Co系触媒を用いて重合された共役ジエン重合体)を用い、表14に示す配合処方に従って、プラストミルでSBR、シリカ、シランカップリング剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤を加えて混練する一次配合を実施し、次いでロールにて加硫促進剤、硫黄を添加する二次配合を実施することで、配合ゴムを作製した。更にこの配合ゴムを目的物性に応じて成型し、150℃にてプレス加硫した加硫物の物性測定を行った。各種配合物物性の測定結果を表15に示した。
【0319】
配合処方を表14に示す。
【0320】
【表14】
【0321】
得られた配合物の評価結果を表15に示す。
【0322】
【表15】
【0323】
表15中の数値は、宇部興産(株)製、UBEPOL−BR150Lを用いた比較例10の各特性値を基準(100)としたときに、各項目についてそれぞれ指数表示したものである。数値が大きいほど特性が優れていることを示している。
【0324】
表15に示すとおり、実施例76及び実施例78で得られるポリブタジエンを用いた実施例93及び実施例94の組成物は、比較例10の組成物よりも引張応力、反撥弾性、耐摩耗性、低発熱性に優れている。
【0325】
(実施例95)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン溶媒395ml及びブタジエン400mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、水素ガス0.14MPaを導入し、トリエチルアルミニウム(TEAL)のトルエン溶液(2mol/L)1.2mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.005mol/L)2.25mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)5.6mlを添加した。40℃で25分間重合した後、変性剤の4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(EAB)のトルエン溶液(0.5mol/L)0.23mlを添加して、同温度で15分間変性反応を行った。老化防止剤を含むエタノール溶液4mlを添加し、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。回収したポリブタジエンのDSC測定による変性ポリブタジエンの融点は−6.9℃であり、融解熱量は42.2J/gであった。その他の重合結果を表16に示した。
【0326】
(実施例96)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン溶媒295ml及びブタジエン300mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、水素ガス0.13MPaを導入し、トリエチルアルミニウム(TEAL)のトルエン溶液(2mol/L)1.8mlを添加した。次に、トリス(2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dibm))のトルエン溶液(0.02mol/L)1.05mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.043mol/L)0.1mlを添加した。40℃で25分間重合した後、変性剤の4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(EAB)のトルエン溶液(0.5mol/L)0.42mlを添加して、同温度で15分間変性反応を行った。老化防止剤を含むエタノール溶液4mlを添加し、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。回収したポリブタジエンのDSC測定による変性ポリブタジエンの融点は−6.6℃であり、融解熱量は44.6J/gであった。その他の重合結果を表16に示した。
【0327】
得られたシス−1,4−ポリブタジエンの物性を表16に示す。
【0328】
【表16】
【0329】
(実施例97)
実施例95に従って合成した変性ポリブタジエンを用い、表17に示す配合処方に従って、プラストミルでカーボンブラック、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤を加えて混練する一次配合を実施し、次いでロールにて加硫促進剤、硫黄を添加する二次配合を実施することで、配合ゴムを作製した。更にこの配合ゴムを目的物性に応じて成型し、150℃にてプレス加硫した加硫物の物性測定を行った。各種配合物物性の測定結果を表18に示した。
【0330】
(実施例98)
実施例96に従って合成した変性ポリブタジエンを用い、表17に示す配合処方に従って、プラストミルでカーボンブラック、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤を加えて混練する一次配合を実施し、次いでロールにて加硫促進剤、硫黄を添加する二次配合を実施することで、配合ゴムを作製した。更にこの配合ゴムを目的物性に応じて成型し、150℃にてプレス加硫した加硫物の物性測定を行った。各種配合物物性の測定結果を表18に示した。
【0331】
(比較例11)
宇部興産(株)製、UBEPOL−BR150L(Co系触媒を用いて重合された共役ジエン重合体)を用い、表17に示す配合処方に従って、プラストミルでカーボンブラック、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤を加えて混練する一次配合を実施し、次いでロールにて加硫促進剤、硫黄を添加する二次配合を実施することで、配合ゴムを作製した。更にこの配合ゴムを目的物性に応じて成型し、150℃にてプレス加硫した加硫物の物性測定を行った。各種配合物物性の測定結果を表18に示した。
【0332】
配合処方を表17に示す。
【0333】
【表17】
【0334】
得られた配合物の評価結果を表18に示す。
【0335】
【表18】
【0336】
表18中の数値は、宇部興産(株)製、UBEPOL−BR150Lを用いた比較例11の各特性値を基準(100)としたときに、各項目についてそれぞれ指数表示したものである。数値が大きいほど特性が優れていることを示している。
【0337】
表18に示すとおり、実施例95及び実施例96で得られる変性ポリブタジエンを用いた実施例97及び実施例98の組成物は、比較例11の組成物よりも引張応力、反発弾性、耐伸長疲労性、耐摩耗性、低発熱性に優れている。
【0338】
(実施例99)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒495ml及びブタジエン500mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)3.0mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のシクロヘキサン溶液(0.005mol/L)0.8mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)2.0mlを添加した。50℃で20分間重合した。次いで、3−メトキシベンジルクロライド(MOBC)(6.9mol/L)0.3mlを添加し、同温度で10分間攪拌した後、老化防止剤を含むエタノール溶液5mlを添加した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、変性ポリブタジエンを回収した。次いで、回収した変性ポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表19に示した。
【0339】
(実施例100)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒495ml及びブタジエン500mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)2.0mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のシクロヘキサン溶液(0.005mol/L)0.8mlを添加した後、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DIBAH)のシクロヘキサン溶液(0.1mol/L)2.1ml及びトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)2.0mlを添加し、50℃で20分間重合した。次いで、ピペロニルクロライド(PPC)のシクロヘキサン溶液(1.0mol/L)1.0mlを添加し、同温度で10分間攪拌した後、老化防止剤を含むエタノール溶液5mlを添加した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、変性ポリブタジエンを回収した。次いで、回収した変性ポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表19に示した。
【0340】
(実施例101)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒495ml及びブタジエン500mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)3.05mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のシクロヘキサン溶液(0.005mol/L)0.8mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)2.0mlを添加した。50℃で20分間重合した。次いで、3,5−ジメトキシベンジルブロマイド(DMBB)のトルエン溶液(0.5mol/L)4.0mlを添加し、同温度で10分間攪拌した後、老化防止剤を含むエタノール溶液5mlを添加した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、変性ポリブタジエンを回収した。次いで、回収した変性ポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表19に示した。
【0341】
(実施例102)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒495ml及びブタジエン500mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)2.0mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のシクロヘキサン溶液(0.005mol/L)0.8mlを添加した後、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DIBAH)のシクロヘキサン溶液(0.1mol/L)2.0ml及びトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)2.0mlを添加し、50℃で20分間重合した。次いで、50℃に加温したベラトルムアルデヒド(VTA)(7.3mol/L)0.1mlを添加し、同温度で10分間攪拌した後、老化防止剤を含むエタノール溶液5mlを添加した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、変性ポリブタジエンを回収した。次いで、回収した変性ポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表19に示した。
【0342】
(実施例103)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒495ml及びブタジエン500mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)2.0mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のシクロヘキサン溶液(0.005mol/L)0.8mlを添加した後、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DIBAH)のシクロヘキサン溶液(0.1mol/L)2.0ml及びトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)2.0mlを添加し、50℃で20分間重合した。次いで、50℃に加温したヘリオトロピン(HLT)のトルエン溶液(0.2mol/L)5.0mlを添加し、同温度で10分間攪拌した後、老化防止剤を含むエタノール溶液5mlを添加した。オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、変性ポリブタジエンを回収した。次いで、回収した変性ポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表19に示した。
【0343】
得られた変性シス−1,4−ポリブタジエンの物性を表19に示す。
【0344】
【表19】
【0345】
(実施例104)
実施例99に従って合成した変性ポリブタジエンを用い、表20に示す配合処方に従って、プラストミルで天然ゴム、シリカ、シランカップリング剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、オイルを加えて混練する一次配合を実施し、次いでロールにて加硫促進剤、硫黄を添加する二次配合を実施することで、配合ゴムを作製した。更にこの配合ゴムを目的物性に応じて成型し、150℃にてプレス加硫した加硫物の物性測定を行った。各種配合物物性の測定結果を表21に示した。
【0346】
(実施例105)
実施例100に従って合成した変性ポリブタジエンを用い、表20に示す配合処方に従って、プラストミルで天然ゴム、シリカ、シランカップリング剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、オイルを加えて混練する一次配合を実施し、次いでロールにて加硫促進剤、硫黄を添加する二次配合を実施することで、配合ゴムを作製した。更にこの配合ゴムを目的物性に応じて成型し、150℃にてプレス加硫した加硫物の物性測定を行った。各種配合物物性の測定結果を表21に示した。
【0347】
(実施例106)
実施例101に従って合成した変性ポリブタジエンを用い、表20に示す配合処方に従って、プラストミルで天然ゴム、シリカ、シランカップリング剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、オイルを加えて混練する一次配合を実施し、次いでロールにて加硫促進剤、硫黄を添加する二次配合を実施することで、配合ゴムを作製した。更にこの配合ゴムを目的物性に応じて成型し、150℃にてプレス加硫した加硫物の物性測定を行った。各種配合物物性の測定結果を表21に示した。
【0348】
(実施例107)
実施例102に従って合成した変性ポリブタジエンを用い、表20に示す配合処方に従って、プラストミルで天然ゴム、シリカ、シランカップリング剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、オイルを加えて混練する一次配合を実施し、次いでロールにて加硫促進剤、硫黄を添加する二次配合を実施することで、配合ゴムを作製した。更にこの配合ゴムを目的物性に応じて成型し、150℃にてプレス加硫した加硫物の物性測定を行った。各種配合物物性の測定結果を表21に示した。
【0349】
(実施例108)
実施例103に従って合成した変性ポリブタジエンを用い、表20に示す配合処方に従って、プラストミルで天然ゴム、シリカ、シランカップリング剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、オイルを加えて混練する一次配合を実施し、次いでロールにて加硫促進剤、硫黄を添加する二次配合を実施することで、配合ゴムを作製した。更にこの配合ゴムを目的物性に応じて成型し、150℃にてプレス加硫した加硫物の物性測定を行った。各種配合物物性の測定結果を表21に示した。
【0350】
(比較例12)
宇部興産(株)製、UBEPOL−BR150L(Co系触媒を用いて重合された共役ジエン重合体)を用い、表20に示す配合処方に従って、プラストミルで天然ゴム、シリカ、シランカップリング剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、オイルを加えて混練する一次配合を実施し、次いでロールにて加硫促進剤、硫黄を添加する二次配合を実施することで、配合ゴムを作製した。更にこの配合ゴムを目的物性に応じて成型し、150℃にてプレス加硫した加硫物の物性測定を行った。各種配合物物性の測定結果を表21に示した。
【0351】
【表20】
【0352】
得られた配合物の評価結果を表21に示す。
【0353】
【表21】
【0354】
表21中の数値は、宇部興産(株)製、UBEPOL−BR150Lを用いた比較例12の各特性値を基準(100)としたときに、各項目についてそれぞれ指数表示したものである。数値が大きいほど特性が優れていることを示している。
【0355】
表21に示すとおり、実施例99から実施例103で得られる変性ポリブタジエンを用いた実施例104から実施例108の組成物は、比較例12の組成物よりもフィラーゲルが多く、シリカの分散性を示すPayne効果の数値も良好であり、スウェル、引張応力、反撥弾性、耐摩耗性、低燃費性に優れている。
【0356】
(実施例109)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒540ml及びブタジエン550mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)3.4ml及びトリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.005mol/L)1.76mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)4.4mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液4mlを添加し、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表22に示した。
【0357】
(実施例110)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒545ml及びブタジエン550mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)2.75ml及びトリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.005mol/L)0.88mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)2.2mlを添加した。50℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液4mlを添加し、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表22に示した。
【0358】
(実施例111)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン溶媒395ml及びブタジエン400mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、水素ガス0.14MPaを導入し、トリエチルアルミニウム(TEAL)のトルエン溶液(2mol/L)1.2mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.005mol/L)2.25mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.06mlを添加した。40℃で30分間重合した後、変性剤の4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(EAB)のトルエン溶液(0.5mol/L)0.23mlを添加して、同温度で15分間変性反応を行った。老化防止剤を含むエタノール溶液4mlを添加し、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表22に示した。
【0359】
(実施例112)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン溶媒295ml及びブタジエン300mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、水素ガス0.13MPaを導入し、トリエチルアルミニウム(TEAL)のトルエン溶液(2mol/L)1.8mlを添加した。次に、トリス(2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dibm))のトルエン溶液(0.02mol/L)1.05mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.043mol/L)0.1mlを添加した。40℃で25分間重合した後、変性剤の4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(EAB)のトルエン溶液(0.5mol/L)0.42mlを添加して、同温度で15分間変性反応を行った。老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表22に示した。
【0360】
得られたシス−1,4−ポリブタジエンの物性を表22に示す。
【0361】
【表22】
【0362】
(実施例113)
実施例109に従って合成したシス−1,4−ポリブタジエンを用い、表23に示す配合処方に従って、プラストミルでカーボンブラック、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤を加えて混練する一次配合を実施し、次いでロールにて加硫促進剤、硫黄を添加する二次配合を実施することで、配合ゴムを作製した。更にこの配合ゴムを目的物性に応じて成型し、150℃にてプレス加硫した加硫物の物性測定を行った。各種配合物物性の測定結果を表24に示した。
【0363】
(実施例114)
実施例110に従って合成したシス−1,4−ポリブタジエンを用い、表23に示す配合処方に従って、プラストミルでカーボンブラック、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤を加えて混練する一次配合を実施し、次いでロールにて加硫促進剤、硫黄を添加する二次配合を実施することで、配合ゴムを作製した。更にこの配合ゴムを目的物性に応じて成型し、150℃にてプレス加硫した加硫物の物性測定を行った。各種配合物物性の測定結果を表24に示した。
【0364】
(実施例115)
実施例111に従って合成したシス−1,4−ポリブタジエンを用い、表23に示す配合処方に従って、プラストミルでカーボンブラック、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤を加えて混練する一次配合を実施し、次いでロールにて加硫促進剤、硫黄を添加する二次配合を実施することで、配合ゴムを作製した。更にこの配合ゴムを目的物性に応じて成型し、150℃にてプレス加硫した加硫物の物性測定を行った。各種配合物物性の測定結果を表24に示した。
【0365】
(実施例116)
実施例112に従って合成したシス−1,4−ポリブタジエンを用い、表23に示す配合処方に従って、プラストミルでカーボンブラック、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤を加えて混練する一次配合を実施し、次いでロールにて加硫促進剤、硫黄を添加する二次配合を実施することで、配合ゴムを作製した。更にこの配合ゴムを目的物性に応じて成型し、150℃にてプレス加硫した加硫物の物性測定を行った。各種配合物物性の測定結果を表24に示した。
【0366】
(比較例13)
宇部興産(株)製、UBEPOL−BR150L(Co系触媒を用いて重合された共役ジエン重合体)を用い、表23に示す配合処方に従って、プラストミルでカーボンブラック、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤を加えて混練する一次配合を実施し、次いでロールにて加硫促進剤、硫黄を添加する二次配合を実施することで、配合ゴムを作製した。更にこの配合ゴムを目的物性に応じて成型し、150℃にてプレス加硫した加硫物の物性測定を行った。各種配合物物性の測定結果を表24に示した。
【0367】
配合処方を表23に示す。
【0368】
【表23】
【0369】
得られた配合物の評価結果を表24に示す。
【0370】
【表24】
【0371】
表24中の数値は、宇部興産(株)製、UBEPOL−BR150Lを用いた比較例13の各特性値を基準(100)としたときに、各項目についてそれぞれ指数表示したものである。数値が大きいほど特性が優れていることを示している。
【0372】
表24に示す通り、実施例109〜実施例112で得られるシス−1,4−ポリブタジエンを用いた実施例113〜実施例116の組成物は、比較例13の組成物よりも引張応力、反撥弾性、耐伸長疲労性、耐摩耗性、低発熱性、低燃費性に優れている。
【0373】
(実施例117)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒540ml及びブタジエン550mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)3.4ml及びトリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.005mol/L)1.76mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)4.4mlを添加した。40℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液4mlを添加し、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表25に示した。
【0374】
(実施例118)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒545ml及びブタジエン550mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)2.75ml及びトリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.005mol/L)0.88mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)2.2mlを添加した。50℃で25分間重合した後、老化防止剤を含むエタノール溶液4mlを添加し、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表25に示した。
【0375】
(実施例119)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン溶媒395ml及びブタジエン400mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、水素ガス0.14MPaを導入し、トリエチルアルミニウム(TEAL)のトルエン溶液(2mol/L)1.2mlを添加した。次に、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.005mol/L)2.25mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.43mol/L)0.06mlを添加した。40℃で30分間重合した後、変性剤の4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(EAB)のトルエン溶液(0.5mol/L)0.23mlを添加して、同温度で15分間変性反応を行った。老化防止剤を含むエタノール溶液4mlを添加し、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表25に示した。
【0376】
(実施例120)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン溶媒295ml及びブタジエン300mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、水素ガス0.13MPaを導入し、トリエチルアルミニウム(TEAL)のトルエン溶液(2mol/L)1.8mlを添加した。次に、トリス(2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dibm))のトルエン溶液(0.02mol/L)1.05mlを添加した後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.043mol/L)0.1mlを添加した。40℃で25分間重合した後、変性剤の4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(EAB)のトルエン溶液(0.5mol/L)0.42mlを添加して、同温度で15分間変性反応を行った。老化防止剤を含むエタノール溶液3mlを添加し、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表25に示した。
【0377】
(実施例121)
内容量1.5Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン溶媒545ml及びブタジエン550mlからなる溶液を仕込んだ。次いで、トリエチルアルミニウム(TEAL)のシクロヘキサン溶液(2mol/L)1.1ml及びトリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ガドリニウム(Gd(dpm))のトルエン溶液(0.02mol/L)0.44mlを添加した後、ジイソブチルアルミニウムハイドライド(DIBAH)のシクロヘキサン溶液(1.0mol/L)0.33ml及びトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.004mol/L)2.2mlを添加した。40℃で25分間重合した後、変性剤の4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(EAB)のトルエン溶液(0.5mol/L)0.33mlを添加して、同温度で15分間変性反応を行った。老化防止剤を含むエタノール溶液4mlを添加し、オートクレーブの内部を放圧した後、重合液にエタノールを投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回収したポリブタジエンを80℃で3時間真空乾燥した。重合結果を表25に示した。
【0378】
得られたシス−1,4−ポリブタジエンの物性を表25に示す。
【0379】
【表25】
【0380】
(実施例122)
実施例117に従って合成したシス−1,4−ポリブタジエンを用い、表26に示す配合処方に従って、プラストミルでカーボンブラック、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤を加えて混練する一次配合を実施し、次いでロールにて加硫促進剤、硫黄を添加する二次配合を実施することで、配合ゴムを作製した。更にこの配合ゴムを目的物性に応じて成型し、150℃にてプレス加硫した加硫物の物性測定を行った。各種配合物物性の測定結果を表27に示した。
【0381】
(実施例123)
実施例118に従って合成したシス−1,4−ポリブタジエンを用い、表26に示す配合処方に従って、プラストミルでカーボンブラック、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤を加えて混練する一次配合を実施し、次いでロールにて加硫促進剤、硫黄を添加する二次配合を実施することで、配合ゴムを作製した。更にこの配合ゴムを目的物性に応じて成型し、150℃にてプレス加硫した加硫物の物性測定を行った。各種配合物物性の測定結果を表27に示した。
【0382】
(実施例124)
実施例119に従って合成したシス−1,4−ポリブタジエンを用い、表26に示す配合処方に従って、プラストミルでカーボンブラック、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤を加えて混練する一次配合を実施し、次いでロールにて加硫促進剤、硫黄を添加する二次配合を実施することで、配合ゴムを作製した。更にこの配合ゴムを目的物性に応じて成型し、150℃にてプレス加硫した加硫物の物性測定を行った。各種配合物物性の測定結果を表27に示した。
【0383】
(実施例125)
実施例120に従って合成したシス−1,4−ポリブタジエンを用い、表26に示す配合処方に従って、プラストミルでカーボンブラック、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤を加えて混練する一次配合を実施し、次いでロールにて加硫促進剤、硫黄を添加する二次配合を実施することで、配合ゴムを作製した。更にこの配合ゴムを目的物性に応じて成型し、150℃にてプレス加硫した加硫物の物性測定を行った。各種配合物物性の測定結果を表27に示した。
【0384】
(実施例126)
実施例121に従って合成したシス−1,4−ポリブタジエンを用い、表26に示す配合処方に従って、プラストミルでカーボンブラック、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤を加えて混練する一次配合を実施し、次いでロールにて加硫促進剤、硫黄を添加する二次配合を実施することで、配合ゴムを作製した。更にこの配合ゴムを目的物性に応じて成型し、150℃にてプレス加硫した加硫物の物性測定を行った。各種配合物物性の測定結果を表27に示した。
【0385】
(比較例14)
宇部興産(株)製、UBEPOL−BR150L(Co系触媒を用いて重合された共役ジエン重合体)を用い、表26に示す配合処方に従って、プラストミルでカーボンブラック、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤を加えて混練する一次配合を実施し、次いでロールにて加硫促進剤、硫黄を添加する二次配合を実施することで、配合ゴムを作製した。更にこの配合ゴムを目的物性に応じて成型し、150℃にてプレス加硫した加硫物の物性測定を行った。各種配合物物性の測定結果を表27に示した。
【0386】
配合処方を表26に示す。
【0387】
【表26】
【0388】
得られた配合物の評価結果を表27に示す。
【0389】
【表27】
【0390】
表27中の数値は、宇部興産(株)製、UBEPOL−BR150Lを用いた比較例14の各特性値を基準(100)としたときに、各項目についてそれぞれ指数表示したものである。数値が大きいほど特性が優れていることを示している。
【0391】
表27に示す通り、実施例117〜実施例121で得られるシス−1,4−ポリブタジエンを用いた実施例122〜実施例126の組成物は、比較例14の組成物よりも引張応力、反撥弾性、耐伸長疲労性、低発熱性、低燃費性に優れている。
図1