(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1工程および前記第2工程において、前記水が前記フィルムに付着され、前記フィルムが前記凹版上に配置されることにより前記水の供給と前記フィルムの配置とが行われる、請求項1に記載の針状体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[針状体の構成]
図1および
図2を参照して、本発明の製造方法によって製造される針状体の一般的な構成について説明する。
【0023】
図1に示されるように、針状体1は、平板状の基体11と、基体11の表面から突き出た複数の突起部12とを備えている。突起部12の底面は、基体11の表面と一体に形成され、基体11は、複数の突起部12の各々の基端を支持している。
【0024】
突起部12の形状は、角錐形状であってもよいし、円錐形状であってもよい。また、突起部12は、例えば、円柱状や角柱状のように、先端が尖っていない形状であってもよい。また、突起部12は、例えば、円柱に円錐が積層された形状のように、2以上の立体が結合した形状であってもよい。要は、突起部12は皮膚を刺すことが可能な形状であればよい。また、突起部12の数は任意であって、1以上であればよい。
【0025】
穿孔の対象の内部に送り届けられることを目的とする送達物は、針状体1に含まれていて、突起部12が穿孔の対象の内部で溶解することによって送達物が穿孔の対象の内部に拡散されてもよいし、送達物は、針状体1の外部から供給されてもよい。送達物が針状体1に含まれるか、あるいは、針状体1の外部から供給されるかは、針状体1の利用の態様によって異なる。
【0026】
送達物が針状体1の外部から供給される場合には、突起部12には、送達物を穿孔の対象の内部に向けて通す孔が形成されていてもよい。突起部12に形成される孔は、突起部12の先端から基体11の裏面まで貫通する孔であってもよく、貫通しない孔であってもよい。また、孔を有するか否かにかかわらず、突起部12の周囲には、送達物を穿孔の対象の内部に向けて通す溝が形成されていてもよい。また、基体11に対しても、針状体1の外部から供給された送達物を突起部12に向けて通す孔が形成されていてもよい。基体11に形成される孔は、基体11の表面から基体11の裏面まで貫通する孔であってもよいし、貫通しない孔であってもよい。
【0027】
複数の突起部12の各々は、基体11の表面に規則的に並んでいてもよいし、不規則に並んでいてもよい。また、複数の突起部12は、基体11の表面における複数の箇所に偏って配置されてもよい。例えば、複数の突起部12は、アレイ状に配列される。ここで、「アレイ状」とは各針部が所定の態様で並んでいる状態を意味し、例えば、格子配列、最密充填配列、同心円状配列、ランダム配列、などを含む。
【0028】
突起部12の寸法は、皮膚に穿刺孔を形成するのに適した細さと長さを有するように設定されることが好ましい。
図2に示されるように、突起部12の高さHは、10μm以上1000μm以下であることが好ましい。突起部12の高さHは、基体11の表面から突起部12の先端までの長さである。突起部12の高さHは、穿孔の対象に必要とされる孔の深さに応じて決定される。穿孔の対象が人体の皮膚であって、孔の底が角質層内に設定される場合、高さHは10μm以上300μm以下であることが好ましく、30μm以上200μm以下であることがより好ましい。孔の底が角質層を貫通し、かつ、神経層へ到達しない深さに設定される場合、高さHは200μm以上700μm以下であることが好ましく、200μm以上500μm以下であることがより好ましく、200μm以上300μm以下であることがさらに好ましい。孔の底が真皮に到達する深さに設定される場合、高さHは200μm以上500μm以下であることが好ましい。孔の深さが表皮に到達する深さに設定される場合、高さHは200μm以上300μm以下であることが好ましい。
【0029】
突起部12の幅Dは、基体11の表面と平行な方向における突起部12の長さの最大値である。突起部12の幅Dは、1μm以上300μm以下であることが好ましい。例えば、突起部12が正四角錐形状や正四角柱形状を有するとき、基体11の表面にて、突起部12の底部によって区画された正方形における対角線の長さが、突起部12の幅Dに相当する。また、例えば、突起部12が円錐形状や円柱形状を有するとき、突起部12の底部によって区画された円の直径が、突起部12の幅Dに相当する。
【0030】
突起部12の幅Dに対する高さHの比であるアスペクト比A(A=H/D)は、1以上10以下であることが好ましい。
突起部12の先端が尖った形状に形成され、孔を角質層を貫通する深さに形成する場合、突起部12の先端角θは5°以上30°以下であることが好ましく、10°以上20°以下であることがより好ましい。先端角θは、基体11の表面と直交する断面において、突起部12の先端が形成する角度の最大値である。例えば、突起部12が正四角錐形状を有するとき、突起部12の先端角θは、突起部12の底部が区画する正方形の対角線を底辺とし、正四角錐の頂点を頂点とする三角形の頂角である。
【0031】
突起部12の幅D、アスペクト比A、および、先端角θは、孔が必要とする容積等に応じて決定される。高さH,幅D、アスペクト比A、および、先端角θが上記の範囲内であれば、突起部12の形状が、皮膚に対する孔の形成に適した形状となる。
【0032】
針状体1は、水溶性材料と送達物とを含む材料から形成されることが好ましい。送達物は、基剤として機能する水溶性材料に保持された状態で針状体1に含まれ、針状体1が人体に対して用いられる場合には、送達物は、突起部12が皮膚の水分によって溶解することによって体内に拡散される。なお、水溶性材料が送達物として機能する態様や、送達物が針状体1の外部から供給される態様であれば、針状体1は水溶性材料とは別に送達物を含まなくともよい。
【0033】
針状体1が人体に対して用いられる場合には、針状体1は生体適合性を有する材料から形成されることが好ましい。生体適合性を有する水溶性材料としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸系ポリマー,ポリアクリルアミド(PAM)、ポリエチレンオキシド(PEO)、プルラン、アルギン酸塩、デンプン、ペクチン、キトサン、キトサンサクシナミド、オリゴキトサン、コンドロイチン硫酸塩等の水溶性高分子を挙げることができる。ただし、本発明の水溶性材料における水溶性高分子は具体的材料に限定されるものではない。
【0034】
また、生体適合性を有する水溶性材料としては、デキストラン、デキストリン、トレハロース、マルトースといった多糖類を用いることができる。ただし、本発明の水溶性材料における多糖類は具体的材料に限定されるものではない。
【0035】
上述した水溶性高分子の中でも、キトサン、キトサンサクシナミド、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)は、生物学的に安全性が高いため、針部の材料として特に好ましい。
【0036】
上述した多糖類の中でも、トレハロース、マルトース等を用いることが好ましい。特にトレハロースは、二糖の中でも特に結晶構造が水に近いため、送達物がタンパク質である場合、当該タンパク質を保護し、安定化してくれるためである。
【0037】
なお、上記の水溶性材料以外の材料であっても、材料を含む液状体を凹版に充填させた後、乾燥により液状体を硬化させて針状体1を成形する製造方法に適用可能な材料であれば、針状体1の形成材料として用いることができる。本発明の水溶性材料は、上述した具体的材料に限定されるものではない。
【0038】
送達物としては、各種タンパク質、薬理活性物質、化粧品組成物等を用いることができる。送達物の種類は、目的に応じて選択される。
薬理活性物質としては、例えば、インフルエンザ等のワクチン、癌患者等のための痛み止め薬、生物製剤、遺伝子治療薬、注射剤、経口剤、または、皮膚適用製剤等が挙げられる。針状体1を用いた経皮投与では、皮膚に形成された孔に送達物が投与される。そのため、針状体1を用いた経皮投与は、従来の経皮投与に用いられる薬理活性物質以外に、皮下注射が必要な薬理活性物質の投与にも利用できる。特に、針状体1を用いた経皮投与は、投与の際に痛みを伴わないため、小児に対するワクチン等の注射剤の投与に適している。また、針状体1を用いた経皮投与は、投与の際に送達物を飲む必要がないため、経口剤を飲むことが困難な小児に対する経口剤の投与に適している。
【0039】
化粧品組成物は、化粧品あるいは美容品として用いられる組成物である。化粧品組成物としては、例えば、保湿剤、色料、香料、または、シワやニキビや妊娠線等に対する改善効果や脱毛に対する改善効果等の美容効果を示す生理活性物質等が挙げられる。送達物として芳香を有する材料を用いると、針状体1に匂いを付与することができるため、美容品に適した針状体1が得られる。
【0040】
針状体1に含まれる送達物と水溶性高分子との割合は、体内への投与が必要な送達物の量と針状体1の成形に必要な水溶性高分子の量とを考慮して決定される。
以下、これらの材料を総称して、「針部材料」と称することがある。
【0041】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態について、
図3から
図7を参照して説明する。まず、本実施形態で製造される針状体の構造について説明する。
【0042】
本実施形態の針状体1は、支持基板10と、支持基板10上に形成された針部20とを備えている。本実施形態では、支持基板10が基体11を形成し、た針部20が突起部12を形成する。
【0043】
支持基板10は、樹脂で形成された通気性フィルムであり、厚さ方向に気体が透過可能な通気性を有する。通気性フィルムは、後述する針状体の製造過程において、針部20の材料水溶液に含まれる水分が水蒸気となって透過、蒸発することができるものであればよく、材料に特段の制限はない。例えば、セロハン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド等で形成された多孔質フィルム、不織布、繊維を用いることができる。また、スクリーン印刷に用いられるメッシュのように、繊維から構成された通気性を有する布であってもよい。ステンレスメッシュも使用することができる。繊維としては、天然繊維や化学繊維や金属繊維を用いることができる。
【0044】
なお、本発明において、フィルムはシート状物および板状物を含むものとする。
なお、通気性フィルムは、JIS−L−1099(2012)「繊維製品の透湿度試験方法」に従って測定された透湿度が20g/m
2・hr以上であることが望ましい。なお、通気性フィルムの透湿度は、フィルム状を維持できるものであれば、上限値は問わない。
【0045】
針部20は、皮膚に穿刺された後に溶解する材料、すなわち、液化可能な水溶性材料で形成されている。針部には所望の送達物が含有され、針部が皮内で溶解することにより、送達物が皮内を経由して体内に導入される。
【0046】
上記の構成を備える針状体1の製造方法について説明する。
まず、針部を形成するための凹版を準備する。各針部20の形状を決定する原版を作製し、原版の形状を凹凸反転させた凹版を作製する。原版は、針部の形状に応じて公知の方法で製造することができ、微細加工技術を用いて形成してもよい。微細加工技術の例としては、例えばリソグラフィ法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、サンドブラスト法、レーザー加工法、精密機械加工法などが挙げられる。原版から凹版を形成するには、公知の形状転写法を用いることができる。例えば、Ni電鋳法によるNi製凹版の形成や、溶融した樹脂を用いた転写成形等が挙げられる。
【0047】
以上の手順により、
図4に示すように、各針部20に対応した形状の凹部30aを有する凹版30が形成される。
次に、針部材料および送達物を含有する針部形成溶液を調整する。針部形成溶液の流動性は、溶質の量等を適宜調節して、凹版30の凹部30a内に好適に充填できる程度に設定されるのが好ましい。
【0048】
次に、
図4に示すように、凹版30上に針部形成溶液20aを供給する(第1工程)。供給方法は、凹版30の形状や寸法等を考慮して公知の方法から適宜選択することができる。例えば、スピンコート法、ディスペンサーを用いる方法、キャスティング法、インクジェット法などを用いることができる。凹版30への針部形成溶液20aの供給は、常圧下で行われてよいが、針部形成溶液20aをより好適に凹部30a内に充填するために、減圧下または真空下で供給を行ってもよい。針部形成溶液20aの量は、すべての凹部30aを覆う程度が好ましい。
【0049】
続いて、
図5に示すように、針部形成溶液20a上に支持基板10としてのフィルムとしての通気性フィルム10aを配置する。
図6に示すように、多孔質フィルム10aに対してプレス部材Pを接触させ、針部形成溶液20aを加圧する(第2工程)。プレス部材Pとしてはロール状のもの、棒状のもの、棒状の先端が球面のものなど。公知の各種のものを適宜選択して用いることができる。プレス部材Pの材質は、金属、ゴム、樹脂などから選択することができる。
【0050】
第2工程により、針部形成溶液20aは加圧されて各凹部30a内に移動する。
次に、針部形成溶液20a中の液性成分を除去して針部形成溶液20aを固化し、針部20を形成する(第3工程)。
【0051】
第3工程は、
図7に示すように、プレス部材Pを通気性フィルム10aから離間させた後、常温で保持して乾燥させることで行える。凹版30を加熱する等により針部形成溶液20aを加熱乾燥すると、所要時間を短縮することができ、好ましい。
【0052】
針部形成溶液20a中の液性成分は、気化して通気性フィルム10aを透過することができる(
図7に示す符号Vp)。そのため、針部形成溶液20a上に通気性フィルム10aを配置したまま第3工程を実行することができる。針部形成溶液20aを加熱した場合、気泡が発生することがあるが、気泡中の気体も多孔質フィルム10aを透過するため、凹部30a内から好適に除去される。ただし、気泡自体を発生させないのが最も好ましいため、加熱温度は針部形成溶液20aが沸騰しない程度、例えば40℃以上90℃以下の範囲内とされるのが好ましい。加熱の方法には特に制限はなく、例えば凹版30を載置するホットプレート等を用いることができる。
【0053】
針部20の形成後、支持基板10および針部20を備えた針状体1が完成する。
針状体1は、凹版30から剥離した後に、用途等に応じて所望の大きさおよび形状に打ち抜かれてよい。打ち抜きはトムソン刃などの抜き刃を用いて行えばよい。あるいは、通気性フィルム10aを凹版30から剥離する前に、通気性フィルム10aを凹版30ごと打ち抜くこともできる。
【0054】
針部の周囲に粘着剤を貼り付けることによって、皮膚等に貼り付け可能な針状体が形成される。粘着材は皮膚貼付に適した材質のものを用いることが好ましく、滅菌工程に耐えられるものがさらに好ましい。
【0055】
針状体1を凹版30から取り外す際は、凹版30から針状体1を剥離してもよいし、化学的に凹版30を溶解してもよい。
上記第1実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0056】
(1)第2工程において、針部形成溶液20a上に通気性フィルム10aが配置された状態で針部形成溶液20aが加圧される。そのため、凹部30a内に針部形成溶液20aが好適に充填される。さらに、第3工程においては、気化した針部形成溶液20aの液性成分が通気性フィルム10aを透過して蒸散可能である。そのため、針部形成溶液20a上に通気性フィルム10aを配置したまま、好適に針部形成溶液20aの乾燥及び固化を行って針部を形成することができる。
【0057】
その結果、気泡の混入を抑制しつつ、常圧下で安価に針状体を製造することが可能となる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態について、
図8から
図14を参照して説明する。第2実施形態の針状体51は、支持基板の材質が第1実施形態の針状体1のそれと異なる。以降の説明において既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0058】
図8は、針状体51を示す模式図である。針状体51は、支持基板52と、支持基板52上に形成された針部53とを備えている。支持基板52と針部53とは、針部材料である同一の水溶性材料(以下、「水溶性材料A」と称する。)で形成されている。水溶性材料Aとしては、水溶性高分子や多糖類を使用することができる。
【0059】
針状体51の製造方法は、概ね第1実施形態と同様である。針部形成溶液として、上述の水溶性材料Aを含有するものを用い、第2工程において、水溶性材料Aからなるフィルムを針部形成溶液上に配置する。
【0060】
第3工程では、針部形成溶液中の液性成分は、第1実施形態と異なり、水溶性材料Aからなるフィルムに吸収されることによって除去される。水溶性材料Aからなるフィルムの質量は、針部の質量に比べて著しく大きい。そのため、水溶性材料Aからなるフィルムが針部形成溶液中の水分などの液性成分を一部吸収した場合でも、水溶性材料Aからなるフィルムは完全に溶解することはなく、シート状の形状を保持可能である。最終的には、水溶性材料Aからなるフィルムに吸収された液性成分も、蒸散等により水溶性材料Aからなるフィルムから除去される。
【0061】
第2実施形態の針状体の製造方法においても、第1実施形態の(1)と同様に、気泡の混入を抑制しつつ、常圧下で安価に針状体を製造することができる。
本実施形態の変形例について、
図9から
図11を参照して説明する。
【0062】
図9に示す第1工程では、凹版30上に水Wを供給し、第2工程において、
図10に示すように、水溶性材料Aで形成されたフィルム52aを配置し、加圧する。
第3工程では、凹部30a内に移動した水Wにフィルム52aの水溶性材料Aの一部が溶解することにより、水溶性材料Aが凹部30a内に移動しつつ水Wが凹部30a内から徐々に除去される。第3工程が終了すると、
図11に示すように、水溶性材料Aからなる針部53を備えた針状体51が完成する。この変形例では、フィルム52aに含まれる水溶性材料Aの一部が凹部30a内に移動して針部53を形成するため、移動による減少分を考慮してフィルム52aの厚み等を決定するのが好ましい。
【0063】
また、この変形例において、送達物は、水Wに溶解させておいてもよいし、形成された針部に塗布等により配置してもよい。
さらに、親水処理を施された内面を有する凹部30aを用いた場合、凹版30上に水を供給した際に、凹部30a内に水が配置されやすくなる。
【0064】
本発明の他の変形例について、
図12から
図14を参照して説明する。
第1工程において、
図12に示すようにフィルム52aの一方の面を水Wで濡らし、
図13に示すように、水Wで濡らした面を凹版30に接触させるようにしてフィルム52aを凹版30上に配置する。第2工程において加圧が行われると、
図14に示すように、フィルム52aに付着した水Wに水溶性材料Aが溶解されつつ凹部30a内に移動し、加圧される。
【0065】
この変形例では、フィルム52aの一方の面に水Wを付着させるため、水Wを凹部30aの位置に合わせて供給する必要がなく、凹部30aを覆うようにフィルムを配置するだけで凹部30aに水を配置することができる。
【0066】
なお、この変形例においては、フィルムの一方の面を針部形成溶液で濡らしても構わない。
本実施形態において、フィルムを形成する水溶性材料は、必ずしも針部材料でなくてもよい。この場合は、上述の溶質移動によりフィルムの材料が針部に移動しないよう、針部形成溶液に十分な量の針部材料を溶解しておくのが好ましい。
【0067】
また、フィルムを形成する水溶性材料が、針部を形成する針部を形成する針部材料とは異なる針部材料であってもよい。この場合は溶質の移動により針部が2種類の針部材料から形成されることになるものの、いずれも針部材料であるため、使用に際して大きな問題はない。
【0068】
また、第1及び第2実施形態において、本発明の針状体において、針部はそれぞれ独立している必要はなく、支持基板側の下部が層状につながった形状であってもよい。
また、第2工程で用いたフィルムが必ずしも支持基板にならなくてもよい。この場合、針部形成後、フィルムを凹版と平行に移動させて針部から取り外し、粘着層等を形成した別の支持基板を凹版に貼り付けることにより、針部を支持基板に取り付けてもよい。
【0069】
さらに、通気性フィルムまたは水溶性材料フィルムの上からさらに別のフィルムを配置して凹版の側面まで覆った状態で第2工程を行うことにより、針部形成溶液の漏れを防止してもよい。この時に使用するフィルムは、通気性フィルムまたは水溶性材料フィルムでも、いずれでもないフィルムでもよい。通気性フィルムでも水溶性材料フィルムでもないフィルムを用いる場合は、第3工程において除去すればよい。
【0070】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態について、
図15から
図25を参照して説明する。第3実施形態の針状体は厚さ方向に2層以上の送達物を含む層を有する点において第1実施形態の針状体1と異なる。以降の説明において既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0071】
図15A〜
図15Cに示すように、針状体は、針部側から針部側層25と支持基板側層15との少なくとも2層を備える。
このとき、針部側層25の支持基板側層15の境界は、針部20内にあってもよいし(
図15A)、針部20と支持基板10の境界にあってもよいし(
図15B)、支持基板10内にあってもよい(
図15C)。
【0072】
針部側層25は針部側層形成液25aを固化することにより形成され、支持基板側層15はフィルムを針部側層に加圧することにより接着され形成される。
針部側層25は、少なくともバインダを含む。支持基板側層15は、バインダと送達物を含む。針部側層25に含まれるバインダは、液化可能な材料で構成される。
【0073】
少なくとも支持基板側層15は、送達物を含有する。支持基板側層15が皮膚表層で溶解することにより、送達物が皮膚表層に導入される。
針部側層25と支持基板側層15の間で構成材料が異なる場合、
図16に示す態様が考えられる。なお、バインダW,Xは異なる材料を表し、送達物Y,Zは異なる送達物を表す。
【0074】
ケース1の針状体では、針部側層のバインダと支持基板側層のバインダは異なる。針部側層の送達物と支持基板側層の送達物は異なる。
ケース2の針状体では、針部側層のバインダと支持基板側層のバインダは異なる。針部側層の送達物と支持基板側層の送達物は同一である。
【0075】
ケース3の針状体では、針部側層のバインダと支持基板側層のバインダは同一である。針部側層の送達物と支持基板側層の送達物は異なる。
ケース4の針状体では、針部側層のバインダと支持基板側層のバインダは異なる。針部側層は送達物を含まず、支持基板側層のみ送達物を含む。
【0076】
ケース5の針状体では、針部側層のバインダと支持基板側層のバインダは同一である。針部側層は送達物を含まず、支持基板側層のみ送達物を含む。
繰りかえしになるが、針部側層25は針部側層形成液25aを固化することにより形成される。針部側層25に含まれるバインダは、液化可能な材料で構成される。液化可能な材料としては、上述の通り、水溶性材料を挙げることができる。
【0077】
支持基板側層15は、フィルムを針部側層25に加圧することにより接着され形成される。また、支持基板側層15は、送達物を含む。
支持基板側層15を形成する際に用いるバインダであるフィルムは、水溶性材料をフィルムとしたものを用いることができる。具体的には、上述した水溶性材料の中からひとつ以上選択することができる。フィルムはキャスト法、スプレーコート法、スピンコート法などを用いて水溶性材料液から作製することができる。水溶性材料溶液に予め送達物等を溶解させておくことで、フィルムに送達物等を含有させることができる。
【0078】
また、支持基板側層15を形成する際に用いるバインダであるフィルムは、不織布や多孔質フィルム、繊維といった通気性フィルムを用いることもできる。繊維としては、天然繊維や化学繊維や金属繊維を用いることができる。これらのフィルムについても、含浸や塗布により予め送達物を含有させることは可能である。
【0079】
針状体に含有される送達物としては、各種タンパク質、薬理活性物質、化粧品組成物等が挙げられる。送達物は、少なくとも支持基板側層15に含有され、針部側層25に含有してもよい。
【0080】
針部側層25には皮膚深部に送達され、抗しわ、免疫に効用を発揮する薬物を含有させると良く、支持基板側層15には保湿成分などの皮膚表層に効用を発揮する薬物を含有させると良い。
【0081】
次に、本実施形態の針状体の製造方法について説明する。
(第1の針状体の製造方法)
第1実施形態におけるのと同様の手順により、
図17Aに示すように、各針部に対応した形状の凹部30aを有する凹版30が形成される。
【0082】
次に、針部側層形成液25aを調整する。針部側層形成液25aの流動性は、溶質の量等を適宜調節して、凹版30の凹部30a内に好適に充填できる程度に設定されるのが好ましい。水溶性高分子や二糖類のバインダ材料を水やアルコール等の水系溶媒に溶解または分散させることにより針部側層形成液25aは作製される。また、針部側形成液には必要に応じて送達物が含有される。
【0083】
次に、第1実施形態におけるのと同様の手順により、
図17Bに示すように、凹版30上に針部側層形成液25aを供給する(針部側層形成液供給工程)。
続いて、第1実施形態におけるのと同様の手順により、針部側層形成液25a上に支持基板10としてのフィルム10aを配置する(
図17C)。フィルム10aに対してプレス部材Pを接触させ、加圧する(
図17D)(加圧工程)。
【0084】
加圧工程により、針部側層形成液25aは加圧されて各凹部30a内に移動する。
次に、針部側層形成液25a中の液性成分を除去して針部側層形成液25aを固化し、針部側層25を形成する(
図17E)(固化工程)。
【0085】
固化工程では、針部側層形成液25a中の溶媒は、フィルムに一部吸収される。それによって溶媒の除去が進む。
水溶性材料からなるフィルムを用いた場合、水溶性材料からなるフィルムの質量は、針部の質量に比べて著しく大きい。そのため、針部側層形成液25a中の水分などの液性成分を一部吸収した場合でも、フィルムは完全に溶解することはなく、シート状の形状を保持可能である。最終的には、フィルムに吸収された液性成分も、蒸散等によりフィルムから除去される。なお、固化工程は、プレス部材Pをフィルム10aから離間させた後、常温で保持して乾燥させることで行えるが、凹版30を加熱する等により針部側層形成液25aを加熱乾燥すると、所要時間を短縮することができ、好ましい。
【0086】
また、フィルムとして、不織布や多孔質フィルム、繊維を用いた場合であっても、針部側層形成液25a中の溶媒は、フィルムに吸収されることによって除去される。
針部側層形成液25a中の液性成分は、フィルムに吸収されるとともに透過することができるため、フィルム10aを配置したまま固化工程を実行することができる。
【0087】
針部側層25の形成後、支持基板側層15および針部側層25を備えた針状体1が完成する。最後に、凹版30から針状体を剥離することにより針状体1は製造される(
図17F)(固化工程)。
【0088】
上述の通り、針状体1は、凹版30から剥離する前、または凹版30から剥離した後に、用途等に応じて所望の大きさおよび形状に打ち抜かれてよい。また、針状体1を凹版30から取り外す際は、凹版30から剥離してもよいし、化学的に凹版30を溶解してもよい。
【0089】
(第2の針状体の製造方法)
次に、第2の針状体の製造方法について説明する。なお、第1の針状体の製造方法の説明と重複する箇所は説明を省略する。
【0090】
まず、針部を形成するための凹版を準備する。各針部20の形状を決定する原版を作製し、原版の形状を凹凸反転させた凹版を作製する(
図18A)。針部側層形成材料を含有し、必要に応じて送達物を含有する針部側層形成液25aを調整する。
【0091】
次に、凹版30上に針部側層形成液25aを供給する(
図18B)
(針部側層形成液供給工程)。
次に、針部側層形成液25a中の液性成分を除去して固化し、針部側層25を形成する(
図18C)(固化工程)。このとき、第1の針状体の製造方法と異なり、プレス工程を用いずに凹版30に針部側層形成液25aを充填させる必要があることから、粘性の低い針部側層形成液を用いる、粘性の高い針部側層形成液を配置後にスキージングで充填する、または、真空下で針部側層形成液を充填する等の手段を用いる必要がある。
【0092】
次に、固化した針部側層に対し、送達物を含有したフィルム10aを配置し、フィルム10aを加圧する(
図19A)。これにより、針部側層とフィルムは接合される(
図19B)。
【0093】
なお、フィルムを固化した針部側層に供給する前に、固化した針部側層25表面に水分を供給し、その後、フィルムを配置し、フィルムを加圧してもよい。
これにより、支持基板側層15および針部側層25を備えた針状体1が完成する。最後に、凹版30から針状体を剥離することにより針状体1は製造される(
図19C)(固化工程)。
【0094】
なお、針状体1は、凹版30から剥離する前、または凹版30から剥離した後に、用途等に応じて所望の大きさおよび形状に打ち抜かれてよい。
(第3の針状体の製造方法)
次に、第3の針状体の製造方法について説明する。第1の針状体の製造方法及び第2の針状体の製造方法の説明と重複する箇所は説明を省略する。
【0095】
まず、針部を形成するための凹版を準備する(
図20A)。針部側層形成材料を含有し、必要に応じて送達物を含有する針部側層形成液25aを調整する。
次に、凹版30上に針部側層形成液25aを供給する(
図20B)(針部側層形成液供給工程)。
【0096】
続いて、針部側層形成液25a上に支持基板10としてのフィルム10aを配置する(
図20C)。フィルム10aに対してプレス部材Pを接触させ、加圧する(
図21A)(加圧工程)。加圧工程により、針部側層形成液25aは加圧されて各凹部30a内に移動する。
【0097】
次に、針部側層形成液25a中の液性成分を除去して針部側層形成液25aを固化し、針部側層25を形成する(
図21B)(固化工程)。次に、固化した針部に対し、フィルムを配置し、フィルムを加圧する。
【0098】
次に、フィルム表面に対して、送達物を供給する(
図21C)。供給方法としては、溶媒に溶解または分散させた送達物液10bをスプレー法により噴霧する方法、ディスペンサー法による塗布する方法により行うことができる。
【0099】
送達物液10bは、液状物として、凹版上の10A表面に供給され、その後、乾燥される(
図22A)。
これにより、支持基板10および針部20を備えた針状体1が完成する。最後に、凹版30から針状体を剥離することにより針状体1は製造される(
図22B)(固化工程)。
【0100】
なお、針状体1は、凹版30から剥離する前、または凹版30から剥離した後に、用途等に応じて所望の大きさおよび形状に打ち抜かれてよい。
(第4の針状体の製造方法)
次に、第4の針状体の製造方法について説明する。第1の針状体の製造方法、第2の針状体の製造方法及び第3の針状体の製造方法の説明と重複する箇所は説明を省略する。
【0101】
まず、針部を形成するための凹版を準備する。各針部20の形状を決定する原版を作製し、原版の形状を凹凸反転させた凹版を作製する(
図23A)。針部側層形成材料を含有し、必要に応じて送達物を含有する針部側層形成液25aを調整する。
【0102】
次に、凹版30上に針部側層形成液25aを供給する(
図23B)(針部側層形成液供給工程)。
次に、針部側層形成液25a中の液性成分を除去して針部側層形成液25aを固化し、針部側層25を形成する(
図23C)(固化工程)。
【0103】
次に、固化した針部に対し、フィルム10aを配置し、フィルムを加圧する(
図24A)。これにより、針部側層25とフィルム10aは接合される(
図24B)。
次に、フィルム表面に対して、送達物を供給する(
図24C)。
【0104】
送達物液は、液状物として、凹版上のフィルム表面に供給され、その後、乾燥される(
図25A)。
これにより、支持基板10および針部20を備えた針状体1が完成する。最後に、凹版30から針状体を剥離することにより針状体1は製造される(
図25B)(固化工程)。
【0105】
なお、針状体1は、凹版30から剥離する前、または凹版30から剥離した後に、用途等に応じて所望の大きさおよび形状に打ち抜かれてよい。
本発明の第1〜第4の針状体の製造方法は、支持基板側層にフィルムを用いるという点で共通する。フィルムを用いることにより、2層とも液状物を用いて針状体を形成する場合と比較して容易に2層構成の針状体を製造することができる。
【0106】
水溶性材料で針を作製する場合、水溶性材料液を針状体凹版にキャストした後に乾燥する方法や、凍結乾燥して材料を固化させることで針状体を得る方法がある。乾燥を速めるために所望の温度で加熱する方法があるが、凹版の針状体凹部に残る空気が膨張し、凹版に満たされた液中に気泡が混入し、針状体に気泡が残るという問題がある。
【0107】
加熱乾燥時に発生する気泡発生、針状体への気泡混入を避ける方法として、針状体材料の液を凹版に供給した後に、減圧環境下に置くことにより、凹版の凹部に残る気泡を除去しつつ凹部に材料液を充填する方法がある。また、減圧環境下ではなく加圧環境にすることでも凹部の気泡を除去することが可能である。
【0108】
減圧環境下で凹部からの気泡を除去するためには、凹部の上面に供給された材料液の上面まで気泡を移動させる必要があるため、高粘度の材料液を用いる場合は、気泡が抜けにくくなり、逆に針状体への気泡の混入を促進する可能性がある。
【0109】
加圧環境下での凹部への材料充填を行う場合、凹版の凹部に供給した針状体材料液が所望の供給場所から動かないように、かつ界面が揺れないように、加圧速度を制御しながら加圧する必要がある。また、加圧チャンバーが必要となるため、製造コストに影響するという問題がある。
【0110】
上記第3実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(2)フィルムを用いることにより、気泡の混入の少ない針状体の製造方法とすることができる。
【0111】
(3)フィルムを用いることにより、製造タクト(製造時間)の短い、材料ロスの少ない針状体の製造方法とすることができる。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態について、
図26A〜
図26Gを参照して説明する。第4実施形態の製造方法は、針状体の突起部先端の形状を安定化させるべく、特に、針状体材料溶液にシリコーンコート又はフッ素樹脂コートの施された通気性フィルムを配置する点において第1実施形態の製造方法と異なる。以降の説明において既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0112】
<針状体材料液を充填する工程>
図26Aに示す針状パターンを有する凹版30に、
図26Bに示すように、針状体材料液18を供給する。
【0113】
<通気性フィルムを介してプレスする工程>
次に、
図26Cに示すように、前記針状体材料液18の上に通気性フィルム60を置き、
図26Dに示すように、通気性フィルム60の上から針状体材料液18をプレスして前記凹版30の針状パターン部に充填する。
【0114】
通気性フィルムは、離型性を上げるためのコーティングがなされたものが好ましい。例えば、シリコーンコートあるいはフッ素樹脂コートを施した繊維性フィルムが挙げられる。このようなフィルムを介してプレスを行うと、プレス機構部分に針状体材料液が付着することがないので、針状体製造後に清掃の必要がなくなるという利点がある。さらに、離型性のコーティングを施すことにより、乾燥終了後に一体化した針状体から容易に通気性フィルムを剥離することができるようになる。離型性のコーティングを施さない場合、乾燥後に針状体と通気性フィルムが一体化してしまう。
【0115】
通気性フィルムは、JIS−L−1099(2012)「繊維製品の透湿度試験方法」に従って測定された透湿度が20g/m
2・hr以上1000g/m
2・hr以下であることが望ましい。例えば、繊維性フィルム、シリコーン製フィルムなどが挙げられる。このような通気性フィルムを用いることにより、次の乾燥工程において、乾燥に伴う溶媒の蒸発を妨げることなく乾燥を行うことができる。透湿度が20g/m
2・hrよりも小さいと、乾燥に伴って発生する針状体材料液の溶媒蒸気が通気性フィルムを透過する速度が遅くなり、乾燥させることができなくなる。透湿度が1000g/m
2・hrよりも大きいと、針状体材料液が通気性フィルム内部に浸透しやすくなってしまい、乾燥終了後に針状体から通気性フィルムを剥離することが困難になってしまう。
【0116】
通気性フィルムとして紙を用いる場合は、通気性フィルムの密度が1g/cm
3以上であることが望ましい。密度が1g/cm
3よりも小さいと、針状体材料液が通気性フィルムにしみ込みやすくなってしまい、プレス部分を汚してしまう可能性がある。また、通気性フィルムとしての紙の密度は、透湿度が20g/m
2・hr以上1000g/m
2・hr以下の範囲となるように設定されることが好ましい。
【0117】
プレス部の材質は、金属製、ゴム製、プラスチック製などの材質のものから適宜選択してよい。プレス面は、平坦であっても、曲面であってもよく、プレスに伴って変形してもよい。また、ローラー状のものを転がしてプレスを行ってもよい。プレス力は、プレス部の材質やプレス方法によって適宜選択してよい。また、プレス時に熱を加えてもよい。
【0118】
<針状体材料を乾燥する工程>
次に乾燥し、固化する(
図26E)。乾燥方法は、自然乾燥、ホットプレートを用いた底面加熱、オーブン70等による熱風乾燥による乾燥など環境に応じて適宜選択してよい。ただし、乾燥は、水溶液が沸騰しない温度でおこなう必要がある。乾燥は、110℃以下の温度でおこなうことが好ましい。
【0119】
また、通気性フィルムの透湿度に応じて乾燥温度を調節する必要がある。たとえば、針状体材料液の溶媒が水で、乾燥温度が70℃以上110℃以下の場合は通気性フィルムの透湿度が900g/m
2・hr以上1000g/m
2・hr以下の範囲内であることが好ましい。乾燥温度が50℃以上70℃未満の場合は通気性フィルムの透湿度が300g/m
2・hr以上1000g/m
2・hr以下の範囲内であることが好ましい。乾燥温度が40℃以上50℃未満の場合は通気性フィルムの透湿度が20g/m
2・hr以上1000g/m
2・hr以下の範囲内であることが好ましい。
【0120】
<通気性フィルムを剥離除去する工程>
乾燥終了後に前記通気性フィルムを剥離除去する(
図26F)。通気性フィルムに離型性コートが施されていることにより、容易に剥離除去することができる。
【0121】
<針状体を凹版から剥離する工程>
最後に、凹版30から剥離すると針状体1を得ることができる(
図26G)。
上記第4実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0122】
(4)通気性フィルムに離型性コートが施されていることにより、容易に剥離除去することができる。
なお、乾燥後の針状体1の基板部分の厚みが薄い場合は、
図27Aに示すように、針状体材料液18を追加して供給することができる。このとき、針状体材料液の種類を変更することもできる。その場合、製造される針状体は2層型とすることができる。
【0123】
凹版を作製する工程については、
図26Aに示したのと同様である。
針状体材料液を充填する工程については、
図26Bに示したのと同様である。
通気性フィルムを介してプレスする工程については、
図26C、
図26Dに示したのと同様である。
【0124】
針状体材料を乾燥する工程については、
図26Eに示したのと同様である。
通気性フィルムを除去する工程については、
図26Fに示したのと同様である。
<追加した針状体材料を乾燥する工程>
次に、
図27B、
図27Cに示すように追加した針状体材料を乾燥し、固化する。乾燥方法は、自然乾燥、ホットプレートを用いた底面加熱、熱風乾燥による乾燥など環境に応じて適宜選択してよい。ただし、乾燥温度は、水溶液が沸騰しない温度でおこなう必要がある。乾燥温度は、110℃以下の温度でおこなうことが好ましい。
【0125】
<針状体を凹版から剥離する工程>
最後に、凹版30から剥離すると針状体1を得ることができる(
図27D)。
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態について、
図28から
図32を参照して説明する。第5実施形態の製造方法は、特に、乾燥工程における反りの発生を抑えるべく、反り規制部材を使用する点において第1実施形態とは異なる。
【0126】
本発明の針状体の製造方法において、第1実施形態で示したフィルムは乾燥時の針状体の反りを規制する反り規制部材として作用させることもできる。本発明の第5実施形態、後述する第6実施形態では、第1実施形態で示したフィルムを反り規制部材としている。
【0127】
以降の説明において既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
[反り規制部材の構成]
図28を参照して、針状体の製造方法にて用いられる反り規制部材の構成について説明する。
【0128】
図28に示されるように、反り規制部材120は、1つの平面に沿って広がる部材であって、反り規制部材120の表面と裏面との間で気体を通す通気部121を備えている。
図28に示される例では、反り規制部材120は板状に形成され、通気部121は、反り規制部材120を厚さ方向に貫通する貫通孔である。通気部121の数や形状や大きさや配置は特に限定されないが、通気部121は、針状体1の製造工程において、針状体1の形成材料を含む液状体が乾燥される際に、気化した溶媒を逃がす通路として機能するため、通気部121は、気化した溶媒を効率的に逃がすことが可能な数や形状や大きさや配置とされることが好ましい。
【0129】
反り規制部材120の材料は特に限定されないが、例えば、アルミニウムやステンレス、鉄等の金属が用いられる。反り規制部材120としては、例えば、これらの金属からなる板に、打ち抜き加工によって貫通孔が形成された金属板や、レーザー加工によって網目状に貫通孔が形成された金属板が用いられる。
【0130】
また、
図28に示した例の他に、反り規制部材120は、先述の通気性フィルムを用いることもできる。また、反り規制部材120として、ステンレスメッシュを用いることもできる。これらの場合、繊維間の隙間が通気部121となる。
【0131】
また、反り規制部材120には、液状体の上面と対向して配置される面に、フッ素材料、シリコーン材料等の撥水材料をコーティングすることにより、撥水処理を施すことができる。液状体の上面と対向する面に撥水処理を行った反り規制部材120を用いることにより、乾燥後の成形物と反り規制部材120との剥離を容易にすることができる。
【0132】
特に、乾燥が開始される前に該反り規制部材120を液状体の上面に接触配置する場合において、撥水処理された反り規制部材120を用いることが好ましい。このとき、乾燥後に成形物と反り規制部材120の密着を防ぐことができる。
【0133】
なお、撥水処理は、反り規制部材120を構成する天然繊維や化学繊維や金属繊維自体に撥水材料を含ませることにより行うこともできる。また、撥水処理として、金属繊維にニッケルフッ素めっき処理を行う方法を用いることもできる。フッ素材料としてはテトラフルオロエチレン等を使用することができ、シリコーン材料としてはシリコーン樹脂等を使用することができる。
【0134】
また、反り規制部材120は、多孔質フィルムであってもよい。要は、反り規制部材120は、1つの平面に沿って広がる部材であって、反り規制部材120の表面と裏面との間で気体を通す通気部121を備える部材であればよい。
【0135】
[針状体の製造方法]
図29〜
図32を参照して、針状体の製造方法について説明する。なお、
図29〜
図32では、針状体1が有する突起部12の数が簡略化されている。また、本実施形態において、液状体には、乾燥が開始される前の液体の状態から、乾燥が完了する直前の流動性が低下した状態や部分的に硬化が生じた状態までが含まれる。
【0136】
<凹版の作製工程>
図29に示されるように、凹版の作製工程では、針状体1の形状に合わせた凹部31を有する凹版30が作製される。
【0137】
凹版30は、針状体1の形状の凹部31を、凹版30の底部側に針状体1の突起部12の先端が配置され、凹版30の開口側に針状体1の基体11の裏面が配置される向きに、有する。
【0138】
<充填工程>
図30に示されるように、充填工程では、針状体1の形成材料を含む液状体が凹版30に充填される。液状体は、針状体1の形成材料が溶媒に溶解されることにより作製される。溶媒は、形成材料を溶解することのできる溶媒であればその種類は限定されず、例えば、形成材料の主成分が水溶性材料である場合には、溶媒として水が用いられる。なお、液状体は、分散系の液体であってもよい。また、液状体は、凹版30への注入が可能な程度に流動性を有していればよい。
【0139】
液状体は、凹版30の大きさや凹部31の形状に応じた方法で、凹版30に注入される。これにより、凹版30の内部に充填された液状体13からなる充填物が形成される。
<乾燥工程>
図31に示されるように、乾燥工程では、凹版30に充填されている液状体13が乾燥されることにより、液状体13が硬化されて、成形物が成形される。
【0140】
液状体13は、常温で乾燥されてもよいし、加熱環境下で乾燥されてもよい。液状体13を加熱しながら乾燥させると、乾燥工程に要する時間を短縮することができる。加熱温度は、針状体1の内部に気泡が形成されることを抑えるために、液状体13が沸騰しない程度の温度であることが好ましい。具体的には、液状体13が水溶液である場合には、加熱温度は50℃以上90℃以下であることが好ましい。加熱の方法としては、ホットプレートなど公知の加熱方法を用いることができる。
【0141】
ここで、乾燥工程では、凹版30に充填されている液状体13の上部に、上述の反り規制部材120が配置される。反り規制部材120は、凹版30の開口に向けられている面である液状体13の上面に接触する。すなわち、反り規制部材120は、液状体13が硬化して針状体1が形成されたとき、針状体1の基体11の裏面となる面と接触する。反り規制部材120は、液状体13の上面に沿って広がり、通気部121を除く部分で、液状体13の上面の全面を覆う。また、液状体13の上部に配置された状態において、反り規制部材120の通気部121は、反り規制部材120の下方から上方へ気体を通す。
【0142】
反り規制部材120が液状体13の反りとともに変形しない程度の剛性を有する場合、例えば、反り規制部材120が金属板である場合には、反り規制部材120は、液状体13の上面に載置されてもよいし、反り規制部材120の周囲が支持部材によって支持されることによって、反り規制部材120が液状体13の上面に接触する位置に固定されてもよい。
【0143】
反り規制部材120の剛性が低い場合、例えば、反り規制部材120が布である場合には、反り規制部材120の周囲が固定されて、反り規制部材120が液状体13の反りとともに変形しない程度に反り規制部材120に張力が加えられた状態で、反り規制部材120が液状体13の上面に接触する位置に固定される。
【0144】
反り規制部材120が液状体13の上面に載置される場合には、液状体13の乾燥が開始されて、反り規制部材120が液状体13の内部に入り込まない程度に、液状体13が固まった後、あるいは、液状体13の上面に膜が形成された後に、反り規制部材120が液状体13の上面に配置されることが好ましい。
【0145】
反り規制部材120の位置が固定される場合には、乾燥によって液状体13に反りが生じる前であれば、反り規制部材120は、乾燥が開始される前に液状体13の上面に配置されてもよいし、乾燥が開始された後に液状体13の上面に配置されてもよい。
【0146】
一般に、液状体13が乾燥するにつれて、液状体13は、収縮し、液状体13の上面に平行な方向の端部が、凹版30の開口側に向かって浮き上がるように反る。この点、反り規制部材120が配置されることによって、液状体13の上面が反り規制部材120で押さえられるため、乾燥工程にて液状体13に反りが生じることが抑えられる。反り規制部材120が液状体13と接触していても、反り規制部材120には通気部121が形成されているため、溶媒は気化して通気部121から外部に出る。したがって、反り規制部材120によって液状体13の乾燥が妨げられることが抑えられる。
【0147】
液状体13の硬化が完了して成形物が成形された状態において、反り規制部材120は、通気部121を除く部分で、成形物の上面の全面と接触している。なお、液状体13の収縮によって、液状体13の上面の一部が反り規制部材120から離れることも有り得るが、この場合であっても、液状体13の上面が乾燥が開始される前の位置よりも浮き上がるほど液状体13が反ることは抑えられる。
【0148】
<離型工程>
図32に示されるように、離型工程では、成形された成形物から反り規制部材120が除去され、成形物が凹版30から離される。凹版30から離型された成形物が、針状体1である。成形物を離型する方法としては、例えば、物理的な力で成形物を凹版30から剥離する方法や、化学的な性質を利用して選択的に凹版30を溶解する方法等を用いることができる。なお、成形物が凹版30から離された後に、反り規制部材120が除去されてもよい。
【0149】
以上の工程によって、針状体1が製造される。
以上説明したように、第5実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(5)乾燥工程において、液状体13の上面が反り規制部材120で押さえられるため、液状体13に反りが生じることが抑えられる。すなわち、反りの発生が抑えられた針状体1が製造できる。また、反り規制部材120には気化した溶媒の通る通気部121が形成されているため、反り規制部材120によって液状体13の乾燥が妨げられることが抑えられる。
【0150】
反りの発生が抑えられると、製造工程においては、凹版30の凹部31が有する形状の針状体への転写の精度が高められる。また、針状体1の保管時や使用時に、基体11の裏面にフィルム等が貼られる場合には、針状体1の反りが抑えられていることによって、こうしたフィルムと針状体1との密着性が高められる。
【0151】
(6)反り規制部材120が、液状体13の上部に配置される期間の始期において、液状体13の上面と接触する位置に配置されるため、液状体13が反って反り規制部材120が配置される前の液状体13の位置よりも浮き上がることが抑えられる。したがって、乾燥工程において生じる反りが適切に抑えられる。
【0152】
(7)反り規制部材120が、金属や繊維から構成されると、入手が容易な材料によって、適切に機能する反り規制部材120が得られる。
(8)針状体1が水溶性高分子を含む材料から形成される場合、特に高分子の分子量が大きくなるにつれて、乾燥工程での反りが発生しやすくなる。したがって、水溶性高分子を含む針状体(マイクロニードル)の製造方法として、上記の製造方法が用いられれば、その効果が顕著に得られる。
【0153】
[第6実施形態]
図33を参照して、針状体の製造方法の第6実施形態について説明する。第6実施形態は、第5実施形態と比較して、乾燥工程における反り規制部材の配置の態様が異なる。以下では、第5実施形態との相違点を中心に説明し、第5実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0154】
[針状体の製造方法]
第6実施形態では、第5実施形態の凹版の作製工程、および、充填工程と同様の工程を経て、凹版30の内部に充填された液状体13からなる充填物が形成される。
【0155】
<乾燥工程>
図33に示されるように、乾燥工程では、凹版30に充填されている液状体13が乾燥されることにより、液状体13が硬化して、成形物が形成される。乾燥環境に関する条件は、第5実施形態の乾燥工程にて例示した条件と同様の条件が適用される。
【0156】
乾燥工程では、凹版30に充填されている液状体13の上部に、第5実施形態にて説明した反り規制部材120が配置される。反り規制部材120は、液状体13の上面から離れた位置に配置され、液状体13と反り規制部材120との間には、隙間Sが形成される。反り規制部材120は、液状体13の上面に沿って広がり、通気部121を除く部分で液状体13の上面の全面を覆う。
【0157】
液状体13の反りによって、液状体13の上面が、乾燥が開始される前の位置から浮き上がる量を浮き上がり量Rとするとき、隙間Sは、許容される浮き上がり量R以下の大きさに設定される。浮き上がり量Rは、凹版30の深さ方向における、乾燥が開始される前の液状体13の上面の位置と、乾燥が完了した後の成形物の上面のうち最も凹版30の開口に近い部分の位置との距離である。なお、
図33では、乾燥が完了した後の成形物の上面を二点鎖線で示している。
【0158】
反り規制部材120が液状体13の反りとともに変形しない程度の剛性を有する場合、例えば、反り規制部材120が金属板である場合には、反り規制部材120の周囲が支持部材によって支持されることによって、反り規制部材120は液状体13の上面から隙間Sだけ離れた位置に固定される。
【0159】
反り規制部材120の剛性が低い場合、例えば、反り規制部材120が布である場合には、反り規制部材120の周囲が固定されて、反り規制部材120が液状体13の反りとともに変形しない程度に反り規制部材120に張力が加えられた状態で、反り規制部材120が液状体13の上面から隙間Sだけ離れた位置に固定される。
【0160】
反り規制部材120は、乾燥によって液状体13に反りが生じる前であれば、乾燥が開始される前に液状体13の上部に配置されてもよいし、乾燥が開始された後に液状体13の上部に配置されてもよい。
【0161】
乾燥工程において、液状体13が反ろうとするときには、液状体13の上面が反り規制部材120に接触して、液状体13の上面は反り規制部材120で押さえられるため、浮き上がり量Rは隙間Sの大きさに留められる。したがって、浮き上がり量Rは許容量以下に抑えられ、乾燥工程にて液状体13に許容量を超える反りが生じることが抑えられる。
【0162】
また、反り規制部材120が液状体13の上面を覆っていても、反り規制部材120には反り規制部材120の下方から上方へ気体を通す通気部121が形成されているため、溶媒は気化して通気部121から外部に出る。それゆえ、反り規制部材120によって液状体13の乾燥が妨げられることが抑えられる。
【0163】
液状体13の硬化が完了して成形物が成形された状態において、反り規制部材120は、成形物の上面うちの、乾燥が開始される前の位置から浮き上がって反り規制部材120の位置まで達した部分と接触している。すなわち、反り規制部材120は、成形物の上面の一部と接触している。
【0164】
液状体13の乾燥が完了して成形物が成形されると、第5実施形態の離型工程と同様に、成形物から反り規制部材120が除去され、成形物が凹版30から離される。このとき、第5実施形態と比較して、第6実施形態では、成形物の上面と反り規制部材120とが接触している面積が小さいため、反り規制部材120の除去が容易である。
【0165】
以上の工程によって、針状体1が製造される。
以上説明したように、第6実施形態によれば、第5実施形態の(5)、(7)、(8)の効果に加えて、以下の効果が得られる。
【0166】
(9)反り規制部材120が、液状体13の上部に配置される期間の始期において、液状体13の上面から離れた位置に配置される。その結果、反り規制部材120が液状体13の上面と接触する位置に配置される場合と比較して、成形物と反り規制部材120とが接触する面積が小さいため、反り規制部材120の除去が容易である。また、乾燥中において、液状体13の上面の上に空間が形成されるため、液状体13の乾燥が進行しやすい。
【0167】
隙間Sは、許容される浮き上がり量R以下の大きさであればよいが、成形物の少なくとも一部が反り規制部材120と接触していることは、反り規制部材120による液状体13の反りを抑える機能が発揮されていることを示す。
【0168】
(変形例)
上記第5実施形態及び第6実施形態は、以下のように変更して実施することが可能である。
【0169】
・凹版30に液状体13を充填した後、凹版30に充填された液状体13の上面に反り規制部材とは別にフィルム部材を供給してもよい。フィルム部材は、液状体13と一体となって針状体1を構成する。フィルム部材としては、液状体13と同じく水溶性材料からなる水溶性材料フィルムを使用することができる。さらには、フィルム部材として、液状体13と同種の水溶性高分子からなる水溶性材料フィルムを用いることが好ましい。フィルム部材を用いることによって、充填物の乾燥に要する時間を短縮することができる。
【0170】
フィルム部材が用いられる場合、充填工程では、まず、液状体13が凹版30に充填され、続いて、液状体13の上面を覆うように、液状体13の上面にフィルム部材が配置される。そして、フィルム部材の上から、フィルム部材が凹版30の底部に向けて押圧される。これにより、液状体13とフィルム部材とからなる充填物が形成される。なお、充填工程において、液状体13の上面に配置されたフィルム部材の上部に反り規制部材120を配置し、反り規制部材120の上から押圧を行うことによって、充填物を形成してもよい。
【0171】
上述の構成によっても、反り規制部材120による充填物の反りを抑える機能が発揮されるとき、充填物の中で乾燥により硬化した部分の少なくとも一部が、反り規制部材120と接触する。
【0172】
・反り規制部材120は、除去されず、例えば、針状体1の保管時や使用時に、基体11の裏面から針状体1を支持する支持体として用いられてもよい。
・反り規制部材120は、液状体13の上面の全体を覆っていなくてもよい。例えば、反り規制部材120は、液状体13にて反りの生じやすい端部の上部にのみ配置されてもよい。
【0173】
・反り規制部材120は、液状体13の乾燥が完了し、液状体13が完全に硬化する前に、液状体13の上部から除去されてもよい。要は、乾燥工程において、液状体13が乾燥している期間に、液状体13の上部に反り規制部材120が配置される期間が含まれればよい。この場合であっても、反り規制部材120が液状体13の上部に配置される期間において、液状体13の中で乾燥により硬化した部分の少なくとも一部が、反り規制部材120と接触するとき、反り規制部材120による液状体13の反りを抑える機能は発揮されている。
【0174】
[第7実施形態]
(針状体1の製造装置)
図34〜
図37を参照して、上述した針状体1を製造する針状体の製造装置について説明する。
【0175】
図34に示されるように、製造装置110は、脱気部を構成する移動部として、凹版111を搬送する搬送部125を備える。
凹版111は、平面状の凹部形成面22に有し、この凹部形成面22には、突起部12が型取られた複数の凹部23で構成される凹部パターンが形成されている。凹版111には、1つの凹部パターンが形成されていてもよいし、互いに別個の針状体1に対応する複数の凹部パターンが形成されていてもよい。凹版111は、板状をなすポリエチレン製の基材に対して加熱した凸版原版をプレスしたのち、基材から凸版原版が剥離されることにより作製される。凸版原版は、銅めっきが施された金属、真鍮、ニッケル、アルミといった金属材を切削加工することにより作製されることが好ましい。また、凹版111に複数の凹部パターンが形成される場合、凸版原版は、基材に対するプレスによって複数の凹部パターンが同時に形成される構成であってもよいし、基材に対するプレスを基材の異なる位置に行うことによって複数の凹部パターンが形成される構成であってもよい。
【0176】
搬送部125は、凹版111が設置されるステージ26を備える。凹版111は、ステージ26の設置面26aに対して固定されることでステージ26に設置されるとともに、凹部形成面22の並ぶ方向がステージ26の搬送方向27に沿うように設置される。搬送部125は、ステージ26を搬送方向27に沿って移動させることにより凹版111を搬送する。
【0177】
製造装置110は、液状体供給部130を備える。液状体供給部130は、ディスペンサー131を備えており、搬送部125によって搬送される凹版111の凹部形成面22に対して、針状体1の形成材料を含む液状体Fを凹部23に入るようにディスペンサー131から吐出する。液状体供給部130は、ディスペンサー131に代えて、インクジェット、ダイコーター等を備えていてもよい。
【0178】
製造装置110は、フィルム被覆部35を備える。フィルム被覆部35は、液状体Fが吐出された凹部形成面22に凹部23を覆うフィルム36を供給する。フィルム被覆部35は、巻出装置37、中間ローラー38、供給ローラーを備えている。
【0179】
巻出装置37は、ロール状の原反フィルムからフィルム36を中間ローラー38に供給する。中間ローラー38は、ステージ26の搬送方向27に直交する方向に延びる回転軸39を回転中心として回転可能に支持されている。中間ローラー38は、巻出装置37から巻き出されたフィルム36を供給ローラーである押圧部40の押圧ローラー41へと供給する。押圧部40の押圧ローラー41は、中間ローラー38から供給されるフィルム36を凹部形成面22へと供給し、凹部形成面22上にて凹部23をフィルム36で覆わせる。
【0180】
フィルム36は、凹部形成面22に吐出された液状体Fが浸透可能なフィルム材である。フィルム36としては、不織布や多孔質フィルム、繊維等の通気性フィルム、水溶性材料フィルムが適用可能である。なお、フィルム被覆部35は、巻出装置37に代えて、枚葉のフィルムを供給可能な送り装置を含んでいてもよい。
【0181】
製造装置110は、脱気部を構成する押圧部40を備える。押圧部40は、凹部23を覆うフィルム36を凹部形成面22に押圧する。押圧部40は、フィルム36を凹部形成面22に押圧する押圧ローラー41と、ステージ26の下面を支持するプラテンローラー42とを備えている。押圧部40は、ステージ26、凹版111、及びフィルム36を挟持することにより、フィルム36を凹部形成面22に対して押圧する。各ローラー41,42は、ステージ26の搬送方向27に直交する方向に延びる回転軸43,44を回転中心として回転可能に支持されている。押圧ローラー41は、上述したようにフィルム被覆部を構成する供給ローラーとしても機能する。
【0182】
押圧部40は、押圧ローラー41及びプラテンローラー42が図中の矢印のように設置面26aの法線方向である上下方向に沿って変位可能に構成されている。押圧部40では、プラテンローラー42に対する押圧ローラー41の位置や押圧ローラー41のゴム硬度で凹部形成面22に対するフィルム36の押圧力が変更される。また、押圧部40は、上下方向における各ローラー41,42の連続的な変位によって凹版111を振動可能に構成されている。なお、各ローラー41,42の振動する方向は、搬送方向27に交差する方向であればよく、上下方向に限られるものではない。また、フィルム被覆部の供給ローラーと押圧部の押圧ローラーとは別個のローラーであってもよい。
【0183】
製造装置110は、補助フィルム被覆部45を備える。補助フィルム被覆部45は、押圧部40によって凹部形成面22に対して押圧されたフィルム36を覆うように補助フィルム46を供給する。補助フィルム被覆部45は、巻出装置47と補助フィルム46用の供給ローラー48とを備えている。
【0184】
巻出装置47は、ロール状の原反フィルムから補助フィルム46を供給ローラー48に供給する。供給ローラー48は、巻出装置47から巻き出された補助フィルム46を凹版111に供給し、フィルム36を補助フィルム46で覆わせる。
【0185】
補助フィルム46は、液状体Fの乾燥にともなって発生する水分を外部へ排出する通路を有し、乾燥にともなう基体11の反りを抑えるフィルム材である。補助フィルム46は、固化後の液状体Fよりも機械的強度が高い材料であって、乾燥後の液状体Fから剥離しやすいものが好ましい。なお、補助フィルム被覆部45は、省略されてもよい。
【0186】
(製造装置の電気的な構成)
図35を参照して、製造装置110の電気的な構成について説明する。
図35に示されるように、製造装置110は、中央処理装置(CPU)、不揮発性メモリー(ROM)、及び揮発性メモリー(RAM)を有するマイクロコンピューターを中心に構成される制御部50を備えている。制御部50は、ROMに格納された各種制御プログラムや各種データに基づいて、針状体1の製造に関わる各種処理を実行する。
【0187】
制御部50には、各種のボタンやタッチパネル等から構成される操作部151が電気的に接続されている。操作部151は、製造装置110で針状体1を製造するうえでの各種条件、例えば凹版111の厚さ、凹部パターンの間隔、液状体Fの吐出量等を制御部50に出力する。制御部50は、操作部151に設けられた開始ボタンの操作により各種処理を開始する。
【0188】
制御部50には、ステージ26の搬送量を検出する搬送量検出器152が電気的に接続されている。制御部50は、搬送量検出器152からの検出信号に基づいて各種演算を行うことでステージ26の搬送量を取得する。
【0189】
制御部50には、中間ローラー38と押圧ローラー41との間におけるフィルム36の張力を検出する張力検出器153が電気的に接続されている。制御部50は、張力検出器153からの検出信号に基づいて各種演算を行うことでフィルム36の張力を取得する。
【0190】
制御部50には、巻出装置47と供給ローラー48との間における補助フィルム46の張力を検出する張力検出器154が電気的に接続されている。制御部50は、張力検出器154からの検出信号に基づいて各種演算を行うことで補助フィルム46の張力を取得する。
【0191】
制御部50は、操作部151の開始ボタンが操作されると、ディスペンサー131に対する凹版111の位置を開始位置に合わせる位置合わせ処理を実行する。位置合わせ処理は、例えば、凹版111に設けられた図示されない位置合わせマーク、位置合わせマークに対して照明光を照射する光源、位置合わせマークから射出される回折光を検出する光センサー、これらを用いて行われる。制御部50は、位置合わせマークに対して光源から照明光を照射し、位置合わせマークから射出される回折光を光センサーで検出する。そして、制御部50は、光センサーが検出した回折光に基づいて搬送部125を駆動し、凹版111を開始位置へ配置する。
【0192】
位置合わせ処理が終了すると、制御部50は、凹部形成面22に対するフィルム36の押圧力を設定する押圧力設定処理を実行する。押圧力設定処理において制御部50は、操作部151を通じて入力された各種条件に基づいて押圧部40を駆動し、上記各種条件に応じた位置、すなわち各種条件に適した押圧力となる位置へと押圧ローラー41を変位させる。
【0193】
押圧力設定処理が終了すると、制御部50は、ステージ26に設置された凹版111を所定の搬送速度で搬送する搬送処理を実行する。搬送処理において制御部50は、搬送量検出器152からの検出信号に基づいて搬送速度を演算し、その搬送速度が所定の速度に維持されるように搬送部125を駆動する。
【0194】
搬送処理が開始されると、制御部50は、ディスペンサー131から凹部形成面22に対して液状体Fを吐出させる吐出処理を実行する。吐出処理において制御部50は、搬送量検出器152からの検出信号に基づいて凹版111の開始位置からの搬送量を演算し、ディスペンサー131の直下に各凹部パターンが到達したときにディスペンサー131から液状体Fを吐出させる。
【0195】
搬送処理が開始されると、制御部50は、巻出装置37からフィルム36を巻き出して凹部23をフィルム36で覆うフィルム被覆処理を実行する。フィルム被覆処理において制御部50は、張力検出器153からの検出信号に基づいてフィルム被覆部35を駆動し、中間ローラー38と押圧ローラー41との間の張力が所定値に保持されるように巻出装置37からフィルム36を巻き出す。
【0196】
搬送処理が開始されると、制御部50は、凹版111を振動させる振動処理を実行する。振動処理において制御部50は、押圧部40を駆動し、押圧ローラー41及びプラテンローラー42を上下方向に同じタイミングで同じ量だけ変位させる。
【0197】
搬送処理が開始されると、制御部50は、巻出装置47から補助フィルム46を巻き出してフィルム36を補助フィルム46で覆う補助フィルム被覆処理を実行する。補助フィルム被覆処理において制御部50は、張力検出器154からの検出信号に基づいて補助フィルム被覆部45を駆動し、巻出装置47と供給ローラー48との間の張力が所定値に保持されるように巻出装置47から補助フィルム46を巻き出す。
【0198】
(針状体1の製造方法)
図36及び
図37を参照して、製造装置110の作動態様を含めた針状体1の製造方法について説明する。
【0199】
針状体1の製造方法には、液状体吐出工程、フィルム被覆工程、フィルム押圧工程、補助フィルム被覆工程、乾燥工程、脱離工程、これらの工程が含まれる。このうち、製造装置110は、液状体吐出工程、フィルム被覆工程、フィルム押圧工程、補助フィルム被覆工程、これら4つの工程を実施する。
【0200】
図36に示されるように、まず、凹版111がステージ26の設置面26aに設置される。この際、凹版111の端部21aは、ステージ26と押圧ローラー41との間の空間、及び、ステージ26と供給ローラー48との間の空間を通って、供給ローラー48よりもステージ26の搬送方向27の下流側に配置される。凹版111の端部21aでは、フィルム36が凹版111に接着され、補助フィルム46がフィルム36に接着される。
【0201】
次に、操作部151を通じて制御部50に各種条件が入力された後、操作部151の開始ボタンが操作されると、制御部50は、位置合わせ処理、初期位置設定処理を実行する。そして、制御部50は、搬送処理、吐出処理、フィルム被覆処理、補助フィルム被覆処理、及び、振動処理を開始する。
【0202】
図37に示されるように、搬送部125によって搬送される凹版111には、ディスペンサー131の直下に凹部パターンが到達するとディスペンサー131から凹部形成面22に液状体Fが吐出される。吐出された液状体Fは、押圧部40による凹版111の振動によって、凹版111の搬送過程において凹部形成面22内における濡れ広がりが促進される。
【0203】
その後、凹版111には、押圧ローラー41によって凹部23を覆うフィルム36が凹部形成面22に供給されるとともに、当該押圧ローラー41によってフィルム36が凹部形成面22に対して押圧される。この際、押圧ローラー41によるフィルム36の押圧位置は、凹版111の搬送にともなって搬送方向27に沿って連続的に変化する。
【0204】
こうした押圧位置の移動によって、凹版111、液状体F、及びフィルム36が、押圧ローラー41によって扱かれるような状態になるため、液状体Fの流動が促される。そのため、液状体Fに混入していた気泡は、まだ押圧されていないフィルム36と凹部形成面22との間の隙間を通じて、あるいは、フィルム36を通じて液状体Fの外部へと排出される。これにより、凹部23の細部にまで液状体Fが充填される。しかも、押圧部40による凹版111の振動によって液状体Fの流動がさらに促進されることから、液状体Fから気泡が排出されやすくなる。
【0205】
続いて、凹版111には、供給ローラー48によってフィルム36を覆う補助フィルム46が供給される。そして、凹版111は、次の工程である乾燥工程が実施されるべく搬送部125によって搬送される。なお、乾燥工程においては、液状体Fの乾燥による基体11の反りが補助フィルム46によって抑えられる。
【0206】
そして、乾燥工程が完了した凹版111には、液状体Fが固化することによって、フィルム36を基体11の一部に含んだ成型物が凹版111と補助フィルム46とに挟まれた状態で形成されている。そして、脱離工程において、凹版111及び補助フィルム46が成型物から脱離されることにより、針状体1が得られる。
【0207】
上記第7実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(10)凹部形成面22に対してフィルム36を押圧することによって、針状体1の形状の精度が高まる。
【0208】
(11)搬送部125による凹版111の搬送と押圧部40によるフィルム36の押圧とが同時期に行われることで、製造装置110における針状体1のサイクルタイムが短縮される。その結果、針状体1の生産性が向上する。
【0209】
(12)搬送部125によって凹版111が搬送方向27に沿って直線的に搬送されることで、凹版111と押圧部40とが相対的に移動する。そのため、これら凹版111と押圧部40とが相対的に移動する方向として複数の方向が設定される場合に比べて、装置の構成を簡素化することができる。
【0210】
(13)液状体供給部130、フィルム被覆部35、及び、押圧部40に対して凹版111が移動する。そのため、液状体供給部130、フィルム被覆部35、及び、押圧部40に対して凹版111を相対的に移動させる移動部が凹版111を搬送する搬送部125で済む。その結果、移動部の構成について簡素化を図ることができる。
【0211】
(14)フィルム36の押圧が押圧ローラー41で行われることにより、フィルム36の押圧と凹版111の搬送とを円滑に行うことができる。
(15)フィルム被覆部35の供給ローラーと押圧部40の押圧ローラー41とを共通化することにより製造装置110の省スペース化及び構成要素の低減が図られる。
【0212】
(16)凹版111の振動によって、液状体Fから気泡が排出されやすくなる。
(17)凹版111の振動によって、凹部形成面22において液状体Fが濡れ広がりやすくなる。
【0213】
(18)フィルム36に液状体Fが浸透可能であることから、気泡の排出経路に関する自由度が高められ、気泡が排出されやすくなる。
(19)フィルム36が不織布、多孔質フィルム、繊維等の通気性フィルム、水溶性材料フィルムのいずれかであることから、フィルム36を通じて気泡を液状体Fの外部へ排出することもできる。
【0214】
(20)凹版111に補助フィルム46が供給されることにより、液状体Fの乾燥にともなう針状体1の変形が抑えられる。
(21)製造装置110では、搬送部125で搬送される凹版111に対して、液状体供給部130による液状体Fの供給、フィルム被覆部35によるフィルム36の供給、押圧部40によるフィルム36の押圧、これらが順番に行われる。そのため、製造装置110では、例えば、液状体Fの供給とフィルム36の供給とを互いに異なる凹部パターンに対して同時期に行うことが可能である。その結果、製造装置110におけるサイクルタイムを短縮することができる。
【0215】
(22)フィルム36としてオブラートフィルムを用いることにより、成型後の針状体1ではフィルム36が観察されない。すなわち、フィルム36に起因して針状体1の外観が損なわれることもない。
【0216】
なお、上記第7実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・フィルム36は、不織布、多孔質フィルム、繊維等の通気性フィルム、水溶性材料フィルム、これらに限らず、押圧ローラー41の押圧後に凹部23を封止するフィルムであってもよい。こうした構成であっても、凹部形成面22に対するフィルム36の押圧によって、まだ押圧されていないフィルム36と凹部形成面22との間の隙間を通じて液状体Fから気泡が排出される。
【0217】
・押圧部40は、凹部形成面22に対してフィルム36を押圧すればよく、搬送中の凹版111を振動させなくともよい。また、製造装置110は、凹版111を振動させる場合には、押圧部40とは別の機構として振動部を有していてもよい。
【0218】
・押圧部40は、凹部形成面22に対してフィルム36を押圧する機構であればよい。そのため、例えば、押圧部40は、凹部形成面22に対してフィルム36を押圧する押圧部材として、回転可能な押圧ローラー41に限らず、ブラケット等に固定されて凹部形成面22に向けて張り出す湾曲面を押圧面として備える固定部材を有していてもよい。
【0219】
・搬送部は、凹版111が設置されたステージ26を搬送方向27に沿って搬送する搬送部125に限らず、例えば、押圧ローラー41及びプラテンローラー42の一方を駆動ローラー、他方を従動ローラーとし、駆動ローラーの回転によって凹版111を搬送する構成であってもよい。
【0220】
・移動部は、凹版111を搬送方向27に沿って搬送する搬送部125に限らず、凹版111と押圧部40とを相対的に移動させる機構であればよい。そのため、移動部は、例えば、液状体供給部130、フィルム被覆部35、及び、押圧部40を1つのユニットとして凹版111に対して移動させる機構であってもよい。また例えば、移動部は、液状体供給部130、フィルム被覆部35、及び、押圧部40に対して、複数の方向に沿って凹版111を移動させる機構であってもよい。
【0221】
・製造装置110は、凹部形成面22に対してフィルム36を押圧する押圧状態として、凹版111と押圧部40とを相対的に移動させながらフィルム36を押圧する状態を含んでいればよい。そのため、押圧状態には、凹部形成面22に対してフィルム36を押圧したままで凹版111と押圧部40との相対的な移動が停止する状態が含まれていてもよい。
【0222】
・製造装置110には、補助フィルム被覆部45の下流側に液状体Fを乾燥させる機構である乾燥部が設けられていてもよいし、乾燥部の下流側に補助フィルム46を剥離させる機構である補助フィルム剥離部が設けられていてもよい。
【0223】
・液状体供給部130は、凹部23に対する液状体Fの供給を複数回に分けて行ってもよい。こうした構成によれば、基体11の大きさに関する自由度が向上する。
・補助フィルム46は、液状体Fの乾燥にともなう基体11の反りを抑えるフィルムであるため、フィルム36に対して所定の間隔を空けた状態で配置されてもよい。
【0224】
・
図38に示されるように、製造装置110は、カバーフィルム被覆部55をさらに備えていてもよい。カバーフィルム被覆部55は、凹版111に対して、フィルム36を覆うカバーフィルム56を供給する。カバーフィルム被覆部55は、ロール状の原反フィルムを備える巻出装置57からカバーフィルム56を押圧ローラー41に供給することで、フィルム36と押圧ローラー41との間にカバーフィルム56を挿入する。押圧ローラー41は、フィルム36とカバーフィルム56との多層構造をなすフィルムを凹版111に供給し、この多層構造をなすフィルムを凹部形成面22に対して押圧する。
【0225】
こうした構成において、制御部50には、巻出装置57と押圧ローラー41との間におけるカバーフィルム56の張力を検出する張力検出器が電気的に接続される。制御部50は、この張力検出器からの検出信号に基づいて各種演算を行うことでカバーフィルム56の張力を取得する。制御部50は、巻出装置57と押圧ローラー41との間におけるカバーフィルム56の張力に基づいて巻出装置57を駆動する。
【0226】
・製造装置110の設置雰囲気は、常圧雰囲気、減圧雰囲気、及び加圧雰囲気のいずれであってもよい。
[第8実施形態]
図39〜
図45を参照して、枚葉方式による針状体の製造方法について説明する。
【0227】
<準備工程>
まず、
図39に示すように、針部に対応した形状の凹部30aを有する凹版30を準備する。
【0228】
次に、
図40に示すように、凹版30を水平に保持するテーブル240に搭載する。テーブル240として例えば定盤のような水平なテーブルを使用することによって、後工程での供給工程にて針部形成溶液20aをより均一な膜厚により供給することができる。
【0229】
<塗布工程>
次に、凹版30上に針部形成溶液20aを塗布する(塗布工程)。塗布方法は、凹版30の形状や寸法等を考慮して公知の方法から適宜選択することができる。例えば、
図41に示すようにテーブル240に設置した凹版30に対し、平ノズル付ディスペンサー250を取り付けた塗布装置241を使用することによって、所望の膜厚及び面積に針部形成溶液20aを供給することができる。凹版30への針部形成溶液20aの供給は、常圧下で行われてよいが、針部形成溶液20aをより好適に凹部30a内に充填するために、減圧下または真空下で供給を行ってもよい。針部形成溶液20aの量は、すべての凹部30aを覆うことが好ましい。
【0230】
<フィルム移載工程>
次に、フィルム251を、針部形成溶液20aを供給した凹版30に移載する(フィルム移載工程)。
図42に示すように、フィルム251はフィルム収納体252に収納されており、移載装置242により針部形成溶液20aを供給した凹版30まで移動可能なフィルム搬送機構で効率よくフィルム251を供給できる。移載装置242は例えば吸着パッド253を使用することでフィルムを傷つけずに移載することができる。
【0231】
フィルム251の形成材料としては、前記針部形成液に使用した針部形成材料をフィルム化したもの、具体的には水溶性高分子や多糖からなる水溶性材料フィルムを使用することができる。また、フィルム251の形成材料としては、不織布、多孔質フィルム、繊維等の通気性フィルムを使用することもできる。フィルム251は針部形成溶液20aと同一材料とすることができる。また、フィルム251は針部形成溶液20aと同一材料でなくてもよい。材料が異なる場合、2層の針状体を製造することもできる。
【0232】
<加圧工程>
続いて、フィルム251に対してプレス部材Pを接触させ、加圧する(加圧工程)。プレス部材Pとしては円筒状のものを用いることができる。
図43のように、円筒状ロールを用いることにより、針部形成溶液20aおよびフィルム251が供給された凹版30上に下降し、凹版30の一端部からもう一方の端部まで水平移動しながら押圧可能な加圧装置243を使用することで生産性が高くなる。プレス部材Pの材質は、ゴム、樹脂等の弾性体を用いる。硬度はショア硬さがショアA(JIS K6253(1993)のタイプAデュロメータ)50以上90以下の範囲内であることが好ましい。ショアAが50に満たない場合、加圧した際にフィルム251と密着して離れなくなる場合がある。一方、ショアAが90を超える場合、フィルム251として水溶性高分子や多糖を用いた場合にフィルム251が針部形成溶液20aに溶解してしまう場合がある。
【0233】
プレス部材Pの下降時の荷重は14kgf以上300kgf以下の範囲内で加圧がおこなわれることが好ましい。プレス部材Pの下降時の荷重が14kgfに満たないと充填不足となる場合がある。一方、プレス部材Pの下降時の荷重が300kgfを超える場合には、凹版30が変形することがある。
【0234】
前記記載の加圧装置243では、水平移動速度は遅い場合も速い場合も、充填不足となることがある。このため水平方向における回転移動速度は2mm/sec以上100mm/sec以下の範囲内であるが好ましい。水平方向における相対回転移動速度が2mm/secに満たない場合、製造時間が長くなり製造コストが上昇する場合がある。水平方向における相対回転移動速度が2mm/secに満たない場合、製造時間が長くなり製造コストが上昇する場合がある。水平方向における相対回転移動速度が100mm/secを超える場合、凹部先端まで充填されなくなってしまう可能性がある。
【0235】
加圧工程により、針部形成溶液20aは加圧されて各凹部30a内に移動する。
<乾燥工程>
次に、針部形成溶液20a中の液性成分を除去して固化し、針部20を形成する(乾燥工程)。
【0236】
図44に示すように、乾燥工程は、常温で保持して乾燥させることで行えるが、凹版30を加熱する等により針部形成溶液20aを加熱乾燥すると、所要時間を短縮することができ、好ましい。
【0237】
針部形成溶液20aを加熱した場合、気泡が発生することがあるが、気泡中の気体も支持基板となるフィルム251を透過するため、凹部30a内から好適に除去される。ただし、気泡自体を発生させないのが最も好ましいため、加熱温度は針部形成溶液20aが沸騰しない程度、例えば40℃以上90℃以下の範囲内とされるのが好ましい。加熱の方法には特に制限はなく、例えば凹版30を載置するホットプレート等を用いることができる。針部20の形成後、支持基板10および針部20を備えた針状体1が完成する。
【0238】
針状体1は、凹版30から剥離した後に、用途等に応じて所望の大きさおよび形状に打ち抜かれてよい。打ち抜きはトムソン刃などの抜き刃を用いて行えばよい。
針部の周囲に粘着剤を貼り付けると、皮膚等に貼り付け可能な針状体となる。粘着材は皮膚貼付に適した材質のものを用いることが好ましく、滅菌工程に耐えられるものがさらに好ましい。
【0239】
<剥離工程>
最後に針状体1を凹版から剥離することにより、針状体1は製造される。
図45に示すように、針状体1を凹版30から取り外す際は、凹版30から機械的に剥離してもよいし、化学的に凹版30を溶解してもよい。
【0240】
以上説明したように、本実施形態の針状体の製造方法によれば、充填工程において、針部形成溶液20a上にフィルム251が配置された状態で針部形成溶液20aが加圧されるため、凹部30a内に針部形成溶液20aが好適に充填される。さらに、固化工程においては、気化した針部形成溶液20aの液性成分が支持基板10となるフィルム251を透過して蒸散可能であるため、フィルム251を配置したまま、好適に針部形成溶液20aの乾燥・固化を行って針部を形成することができる。
【0241】
その結果、気泡の混入を抑制しつつ、常圧下で安価に針状体を製造することが可能となる。
本発明の針状体の製造装置について説明する。
【0242】
本発明の製造装置にあっては、前述した本発明の針状体の製造方法を実施可能な製造装置であり、少なくとも、針部に対応した形状の凹部を有する凹版を水平に保持するテーブルと、針部に対応した形状の凹部を有する凹版に針状体材料を溶媒に溶解または分散させた針部形成液を充填する塗布装置と、凹版上の針部形成液にフィルムを配置するフィルム移載装置と、凹版に上下方向の加重をかけることが可能な円筒状の弾性体を有する加圧体を備える加圧装置を備える。
【0243】
このとき、凹版を水平に保持するテーブルが移動可能であり、塗布装置とフィルム移載装置と加圧装置の間を搬送できるようになっていることが好ましい。
本発明の針状体の製造方法について、実施例および比較例を用いてさらに説明するが、本発明の技術的範囲は、各実施例及び比較例により何ら限定されるものではない。
【0244】
[第1及び第2実施形態の実施例]
[実施例1]
<凹版の作製>
シリコン基板に精密機械加工を用いて、正四角垂(高さ:150μm、底面:60μm×60μm)が、1mm間隔で、6列6行の格子状に計36本配列された針状体原版を形成した。この針状体原版に、メッキ法によりニッケル膜を500μmの厚さに形成し、90℃に加熱した重量パーセント濃度30%の水酸化カリウム水溶液によって前記シリコン基板をウェットエッチングして除去し、ニッケルからなり、36個の凹部を有する凹版を作成した。
【0245】
<針部形成溶液の調整>
水にキトサンサクシナミドを溶解し、重量パーセント濃度10%のキトサンサクシナミド水溶液を調整した。
【0246】
<針状体の作製>
上述の針部形成溶液を、すべての凹部を覆うようにスポイトで凹版上に供給し、多孔質フィルム(材質ポリエチレン、厚さ500μm)を針部形成溶液上に配置した。
【0247】
実験者がゴム棒を手で把持し、多孔質フィルム上からゴム棒により加圧した。加圧を止めた後、ホットプレートに凹版を載置し、90℃で10分加熱し、針部を乾燥及び固化させて針部を形成した。
【0248】
針部形成後、針部周囲の多孔質フィルムを円形に打ち抜き、針部側の面であって針部の周囲の領域に粘着剤を貼り付けた。最後に凹版から針部を取り外して、実施例1の針状体を得た。
【0249】
[実施例2] フィルムとして、キトサンサクシナミドからなる厚さ200μmのものを用いた点を除き、実施例1と同様の手順で実施例2の針状体を得た。
[実施例3] 針部形成溶液として、重量パーセント濃度10%のHPC水溶液を用い、フィルムとして、HPCからなる厚さ100μmのものを用いた点を除き、実施例1と概ね同様の手順で実施例3の針状体を得た。加熱温度は40℃、加熱時間は20分間であった。
【0250】
[実施例4] 針部形成溶液に、重量パーセント0.2%のローダミンBを混合した点を除き、実施例3と同様の手順で実施例4の針状体を得た。
実施例5から9は、他の水溶性高分子を材料とした実施例である。
【0251】
[実施例5] 針部形成溶液として、重量パーセント濃度10%のプルラン水溶液を用い、フィルムとして、プルランからなる厚さ200μmのものを用いた点を除き、実施例1と同様の手順で実施例5の針状体を得た。
【0252】
[実施例6] 針部形成溶液として、重量パーセント濃度10%のアルギン酸水溶液を用い、フィルムとして、アルギン酸からなる厚さ200μmのものを用いた点を除き、実施例1と同様の手順で実施例6の針状体を得た。
【0253】
[実施例7] 針部形成溶液として、重量パーセント濃度10%のペクチン水溶液を用い、フィルムとして、ペクチンからなる厚さ200μmのものを用いた点を除き、実施例1と同様の手順で実施例7の針状体を得た。
【0254】
[実施例8] 針部形成溶液として、重量パーセント濃度10%のCMC水溶液を用い、フィルムとして、CMCからなる厚さ200μmのものを用いた点を除き、実施例1と同様の手順で実施例8の針状体を得た。
【0255】
[実施例9] 針部形成溶液として、重量パーセント濃度10%のHPMC水溶液を用い、フィルムとして、HPMCからなる厚さ200μmのものを用いた点を除き、実施例1と同様の手順で実施例9の針状体を得た。
【0256】
実施例10から12は、針部形成溶液の濃度やフィルムの厚さ、乾燥条件等の各種パラメータの影響を検討するための実施例である。
[実施例10] 針部形成溶液として、重量パーセント濃度5%のHPC水溶液を用い、フィルムとして、HPCからなる厚さ100μmのものを用いた点を除き、実施例3と概ね同様の手順で実施例10の針状体を得た。加熱温度は40℃、加熱時間は10分間であった。
【0257】
[実施例11] 針部形成溶液として、重量パーセント濃度50%のHPC水溶液を用い、フィルムとして、HPCからなる厚さ100μmのものを用いた点を除き、実施例3と概ね同様の手順で実施例10の針状体を得た。加熱温度は40℃、加熱時間は5分間であった。
【0258】
[実施例12] 針部形成溶液として、重量パーセント濃度30%のHPC水溶液を用いた点を除き、実施例10と同様の手順で実施例11の針状体を得た。
実施例13から16は、針部形成溶液とフィルムとで異なる水溶性高分子を用いた、いわゆる二層針状体の実施例である。
【0259】
[実施例13] フィルムとして、HPCからなる厚さ100μmのものを用いた点を除き、実施例1と同様の手順で実施例13の針状体を得た。
[実施例14] フィルムとして、HPCからなる厚さ200μmのものを用いた点を除き、実施例5と同様の手順で実施例14の針状体を得た。
【0260】
[実施例15] フィルムとして、プルランからなる厚さ200μmのものを用いた点を除き、実施例8と同様の手順で実施例15の針状体を得た。
[実施例16] 針部形成溶液として、重量パーセント濃度10%のメチルセルロース水溶液を用いた点を除き、実施例2と概ね同様の手順で実施例16の針状体を得た。加熱温度は40℃、加熱時間は20分間であった。
【0261】
実施例17から19は、上述した変形例の製造プロセスに対応した実施例である。
[実施例17] フィルムとして、HPCからなる厚さ100μmのものを用いた。フィルムの一方の面に水を噴霧して濡らし、水が乾燥する前に噴霧した面を凹版に密着させて実施例1と同様に加圧した。凹版の凹部が設けられた側の面には、予めプラズマ処理を施しておいた。加圧後、40℃で20分間加熱して実施例17の針状体を得た。
【0262】
[実施例18] フィルムとして、HPCからなる厚さ100μmのものを用いた。凹版の凹部が設けられた側の面に水を噴霧して濡らし、水が乾燥する前にフィルムを凹版に密着させて実施例1と同様に加圧した。加圧後、40℃で20分間加熱して実施例18の針状体を得た。
【0263】
[実施例19] 針部形成溶液として、重量パーセント濃度10%のHPC水溶液を用いた。フィルムとして、ポリエチレンからなる厚さ500μmの多孔質フィルムを用いた。フィルムの一方の面に針部形成溶液を塗布し、針部形成溶液が乾燥する前に塗布した面を凹版に密着させて実施例1と同様に加圧した。凹版の凹部が設けられた側の面には、予めプラズマ処理を施しておいた。加圧後、40℃で20分間加熱して実施例19の針状体を得た。
【0264】
[比較例1] フィルムを配置せず、加圧を行わなかった点を除き、実施例1と概ね同様の手順で比較例1の針状体を得た。加熱温度は90℃、加熱時間は30分間であった。
[比較例2] フィルムを配置せず、加圧を行わなかった点を除き、実施例3と概ね同様の手順で比較例2の針状体を得た。加熱温度は40℃、加熱時間は100分間であった。加圧を行わない場合は、加圧する例よりも針部形成溶液の供給量が多いため、これに伴って加熱時間を長くした。
【0265】
[比較例3] フィルムとして、多孔質でない厚さ100μmのPETフィルムを用いた点を除き、実施例1と同様の手順で比較例3の針状体を得た。
各実施例および比較例の針部を顕微鏡で観察し、針部の形成率を算出した。形成率(%)は、好適に形成された針部/36×100の式で算出した。顕微鏡観察において正四角錐の頂点が確認でき、かつ気泡を認めないものを「好適に形成された」と判定した。
【0266】
結果を
図46に示す。
図46に示すように、針部の形成率は、実施例ではいずれも100%であったが、比較例ではいずれも0%であった。各比較例では、気泡により不整な形状となった針部が観察された。
【0267】
実施例4の針状体を厚さ方向の両側から目視で観察したところ、針状体のある表面はローダミンB由来の淡い赤色に着色されていたが、本体側の裏面はHPCフィルムの淡い白色を保っていた。よって、実施例4では、多孔質フィルムからの溶質移動は少なく、ローダミンBが含有される層と、ローダミンBが含有されない層の概ね2層構成の針状体が作製されたと考えられた。
【0268】
実施例10から12に示すように、針部形成溶液における針部材料の濃度を高くし、支持基板となる水溶性材料フィルムを薄くすることで、乾燥及び固化に要する時間を短縮することができた。
【0269】
実施例13から16に示すように、二層針状体も本発明の製造方法で容易に製造することができた。
実施例17から19に示すように、本発明の製造方法においては、凹部内に針部形成溶液を配置しなくても好適に針状体を製造できることが確認できた。
【0270】
[第3実施形態の実施例]
[実施例20]
<凹版の作製>
シリコン基板にエッチング加工を用いて、円錐(高さ:150μm、底面径:60μm)が、1mm間隔で、6列6行の格子状に計36本配列された針状体原版を形成した。この針状体原版に、メッキ法によりニッケル膜を500μmの厚さに形成し、90℃に加熱した重量パーセント濃度30%の水酸化カリウム水液によって前記シリコン基板をウェットエッチングして除去し、ニッケルからなり、36個の凹部を有する凹版を作成した。
【0271】
<針部側層形成液の調整>
水にキトサンサクシナミドを溶解し、重量パーセント濃度10%のキトサンサクシナミド水液を調整した。調整した液に対して1%の濃度となるようにエバンスブルーを加えた。
【0272】
<支持基板側層となるフィルムの作製>
水にキトサンサクシナミドを溶解し、重量パーセント濃度10%のキトサンサクシナミド水液を調整した。調整した液に対して1%の濃度となるようにローダミンBを加えた。液をキャスト法により乾燥固化し、キトサンサクシナミド/ローダミンBフィルムを作製した。
【0273】
<針状体の作製>
上述の針部側層形成液を、すべての凹部を覆うようにスポイトで凹版上に供給し、上述のフィルムを針部側層形成液上に配置した。
【0274】
実験者がゴム棒を手で把持し、針状体材料フィルム上からゴム棒により加圧した。加圧を止めた後、ホットプレートに凹版を載置し、90℃で10分加熱し、針部を乾燥・固化させて針状体を形成した。
【0275】
針状体形成後、針部周囲のフィルムを円形に打ち抜き、針部側の面であって針部の周囲の領域に粘着剤を貼り付けた。最後に凹版から針部を取り外して、実施例20の針状体を得た。
【0276】
[実施例21]
針状体材料フィルムを、10%ヒドロキシプロピルセルロース/2%アスコルビン酸水溶液から作製した点を除き、実施例20と同様の手順で実施例21の針状体を得た。
【0277】
実施例の針部を顕微鏡で観察し、針部の形成率を算出した。形成率(%)は、好適に形成された針部/36×100の式で算出した。顕微鏡観察において円錐の頂点が確認でき、かつ気泡を認めないものを「好適に形成された」と判定した。顕微鏡観察の結果、実施例20、実施例21ともに、針部の形成率はいずれも100%であった。
【0278】
また、実施例20、実施例21の針状体を顕微鏡で観察した結果、
図47に示すように、針部と基板部で含有物による着色が異なることが確認でき、2層構成の針状体となっている様子が確認できた。また、実施例20、実施例21の針状体を顕微鏡で観察した結果、気泡等は確認されなかった。
【0279】
[実施例22]
<凹版の作製>
実施例20と同様に凹版を作製した。
【0280】
<針部側層形成液の調整>
水にキトサンサクシナミドを溶解し、重量パーセント濃度2%のキトサンサクシナミド水液を調整した。調整した液に対して1%の濃度となるようにエバンスブルーを加えた。
【0281】
<支持基板側層となるフィルムの作製>
水にキトサンサクシナミドを溶解し、重量パーセント濃度10%のキトサンサクシナミド水液を調整した。調整した液に対して1%の濃度となるようにローダミンBを加えた。液をキャスト法により乾燥固化し、キトサンサクシナミド/ローダミンBフィルムを作製した。
【0282】
<針状体の作製>
上述の針部側層形成液を、すべての凹部を覆うようにスポイトで凹版上に供給し、上述のフィルムを針部側層形成液上に配置した。
【0283】
ホットプレートに凹版を載置し、90℃で30分加熱し、針部を乾燥・固化させて針部側層を形成した。
次に、針部側層にスポイトで水を一滴供給し、上述のフィルムを針部側層上に配置した。実験者がゴム棒を手で把持し、針状体材料フィルム上からゴム棒により加圧した。
【0284】
その後、針部周囲の針状体材料フィルムを円形に打ち抜き、針部側の面であって針部の周囲の領域に粘着剤を貼り付けた。最後に凹版から針部を取り外して、実施例22の針状体を得た。
【0285】
実施例22の針状体を顕微鏡で観察した結果、針部の形成率は100%であった。また、針部側層と基板側層で含有物による着色が異なることが確認でき、2層構成の針状体となっている様子が確認できた。また、実施例22の針状体を顕微鏡で観察した結果、気泡等は確認されなかった。
【0286】
[実施例23]
<凹版の作製>
実施例20と同様に凹版を作製した。
【0287】
<針部側層形成液の調整>
水にキトサンサクシナミドを溶解し、重量パーセント濃度10%のキトサンサクシナミド水液を調整した。調整した液に対して1%の濃度となるようにエバンスブルーを加えた。
【0288】
<支持基板側層となるフィルムの入手>
ナイロン製の不織布を用意した。
<針状体の作製>
上述の針部側層形成液を、すべての凹部を覆うようにスポイトで凹版上に供給し、上述のフィルムを針部側層形成液上に配置した。
【0289】
実験者がゴム棒を手で把持し、フィルム上からゴム棒により加圧した。加圧を止めた後、ホットプレートに凹版を載置し、90℃で10分加熱し、針部を乾燥・固化させた。
固化後、フィルム表面からローダミン1%溶液をフィルム全体にスプレーにより塗布した。
【0290】
針状体形成後、針部周囲のフィルムを円形に打ち抜き、針部側の面であって針部の周囲の領域に粘着剤を貼り付けた。最後に凹版から針部を取り外して、実施例23の針状体を得た。
【0291】
各実施例の針部を顕微鏡で観察し、針部の形成率を算出した。形成率(%)は、好適に形成された針部/36×100の式で算出した。顕微鏡観察において円錐の頂点が確認でき、かつ気泡を認めないものを「好適に形成された」と判定した。
【0292】
実施例23の針状体を顕微鏡で観察した結果、針部の形成率はいずれも100%であった。また、針部と基板部で含有物による着色が異なることが確認でき、2層構成の針状体となっている様子が確認できた。また、実施例23の針状体を顕微鏡で観察した結果、気泡等は確認されなかった。
【0293】
[実施例24]
<凹版の作製>
実施例20と同様に凹版を作製した。
【0294】
<針部側層形成液の調整>
水にキトサンサクシナミドを溶解し、重量パーセント濃度2%のキトサンサクシナミド水液を調整した。調整した液に対して1%の濃度となるようにエバンスブルーを加えた。
【0295】
<支持基板側層となるフィルムの入手>
ナイロン製の不織布を用意した。
<針状体の作製>
上述の針部側層形成液を、すべての凹部を覆うようにスポイトで凹版上に供給し、上述のフィルムを針部側層形成液上に配置した。
【0296】
ホットプレートに凹版を載置し、90℃で30分加熱し、針部を乾燥・固化させて針部側層を形成した
次に、針部側層にスポイトで水を一滴供給し、上述のフィルムを針部側層上に配置した。実験者がゴム棒を手で把持し、針状体材料フィルム上からゴム棒により加圧した。
【0297】
固化後、フィルム表面からローダミン1%溶液をフィルム全体にスプレーにより塗布した。
針状体形成後、針部周囲のフィルムを円形に打ち抜き、針部側の面であって針部の周囲の領域に粘着剤を貼り付けた。最後に凹版から針部を取り外して、実施例24の針状体を得た。
【0298】
その後、針部周囲の針状体材料フィルムを円形に打ち抜き、針部側の面であって針部の周囲の領域に粘着剤を貼り付けた。最後に凹版から針部を取り外して、実施例22の針状体を得た。
【0299】
実施例24の針状体を顕微鏡で観察した結果、針部の形成率はいずれも100%であった。また、針部側層と基板側層で含有物による着色が異なることが確認でき、2層構成の針状体となっている様子が確認できた。また、実施例24の針状体を顕微鏡で観察した結果、気泡等は確認されなかった。
【0300】
[第4実施形態の実施例]
<針状体の作製>
[実施例25]
以下の方法により針状体を作製した。
【0301】
(1)まず、シリコン基板に精密機械加工を用いて正四角錐(底面38μm×38μm、高さ120μm)が1mm間隔で、6列6行の格子状に36本配列した針状体原版を形成した。
【0302】
(2)次に、前記シリコン基板で形成された針状体原版を、菱江化学(株)のフッ素系コーティング剤 ノベック(登録商標)EGC−1720を用いて離型処理をおこなった。
【0303】
(3)(2)の離型処理済み原版に、日立化成製の型取り用ウレタンKU−5550を供給し、150℃で硬化させて凹版を作製した。
(4)(3)で作製した凹版に、ヒドロキシプロピルセルロース(東京化成 6−10mPa・s、2% in water at 20℃)の20重量%水溶液をスポイトを用いて針状パターンを覆う程度に滴下した。
【0304】
(5)シリコーンコートを施した繊維シート(ライオン(株) リード(登録商標) ヘルシークッキングシート)ごしに、直径16mmの二トリルゴム製の丸棒を取り付けたテンシロン万能試験機((株)エー・アンド・デイ)を用い、押し込みモードで荷重90Nでプレスした。
【0305】
(6)40℃設定のホットプレート上に(5)の凹版を8時間載置し、乾燥させ、水分を蒸発させた。
(7)繊維シートを剥離した。
【0306】
(8)凹版から針状体を剥離した。
[実施例26]
実施例25の繊維シートをフッ素系表面処理剤(菱江化学 ノベックEGC−1720)で離型処理を行ったクリーンペーパー(桜井(株) EXクリーン EX72BA4T)に変えて、針状体を作製した。
【0307】
[比較例4]
実施例25の繊維シートをPETフィルム(東レ(株) ルミラーP60K 厚み12μm)に変えて、針状体を作製した。
【0308】
[比較例5]
実施例25の繊維シートをクリーンペーパー(桜井(株) EXクリーン EX72BA4T)に変えて、針状体を作製した。
【0309】
<通気性フィルムの透湿度の測定>
通気性フィルムの透湿度の測定は、JIS−L−1099(2012)「繊維製品の透湿度試験方法」に従い、塩化カルシウム法により測定した。
【0310】
(結果)
実施例25〜26、比較例4〜5において、プレス時に使用したシートの透湿度の測定結果および、針状体の作製結果を
図48に示す。
図48において丸印は針状体が作製できたものを表し、バツ印は針状体が作製できなかったものを表す。
【0311】
実施例25及び26では、針状体を光学顕微鏡で観察した結果、針先端部まできれいに成形できていることを確認した。比較例4では、PETフィルムの透湿度が小さいために、全く乾燥が進行せず、針状体を作製することができなかった。比較例5では、クリーンペーパーが針状体と接着して一体化してしまい、剥離することができなかった。
【0312】
[実施例27]
以下の方法により2層型の針状体を作製した。
(1)まず、シリコン基板に精密機械加工を用いて正四角錐(底面38μm×38μm、高さ120μm)が1mm間隔で、6列6行の格子状に36本配列した針状体原版を形成した。
【0313】
(2)次に、前記シリコン基板で形成された針状体原版を、菱江化学(株)のフッ素系コーティング剤 ノベック(登録商標)EGC−1720を用いて離型処理をおこなった。
【0314】
(3)(2)の離型処理済み原版に、日立化成製の型取り用ウレタンKU−5550をたらし、150℃で硬化させて凹版を作製した。
(4)(3)で作製した凹版に、プルラン(東京化成製)を20重量%、色素としてローダミンBを1重量%添加した水溶液をスポイトを用いて針状パターンを覆う程度に滴下した。
【0315】
(5)シリコーンコートを施した繊維シート(ライオン(株) リード(登録商標) ヘルシークッキングシート/透湿度)ごしに、直径16mmの二トリルゴム製の丸棒を取り付けたテンシロン万能試験機((株)エー・アンド・デイ)を用い、押し込みモードで荷重90Nでプレスした。
【0316】
(6)90℃設定のホットプレート上に(5)の凹版を30分間載置し、乾燥させ、水分を蒸発させた。
(7)繊維シートを剥離した。
【0317】
(8)(7)で作製した凹版に、ヒドロキシプロピルセルロース(東京化成 6−10mPa・s、2% in water at 20℃)の20重量%水溶液をスポイトを用いて充填した。
【0318】
(9)40℃設定のホットプレート上に(5)の凹版を8時間置き、乾燥させ、水分を蒸発させた。
(10)凹版から針状体を剥離した。
【0319】
(結果)
実施例27において、針状体を光学顕微鏡で観察した結果、針先端部まできれいに成形できていることが確認できた。また、着色により2層型の針状体となっている様子が確認できた。
【0320】
[第5及び第6実施形態の実施例]
[実施例28]
<凹版の作製工程>
まず、精密機械加工によって、シリコン基板から針状体の原版を形成した。突起部の形状は、正四角錐(高さ:150μm、底面:60μm×60μm)であり、基体上に、1mm間隔で6列6行の格子状に36本の突起部を配列した。
【0321】
次に、メッキ法によって、針状体の原版に500μmの厚さのニッケル膜を形成した。そして、90℃に加熱した重量パーセント濃度30%の水酸化カリウム水溶液を用いて、シリコンからなる針状体の原版をウェットエッチングにより除去し、ニッケル製の凹版を作製した。
【0322】
<充填工程>
分子量80万のキトサンをクエン酸水溶液に溶解させて、液状体を調整した。そして、ディスペンサーを用いて、凹版の凹部に液状体を充填し、充填物を形成した。
【0323】
<乾燥工程>
充填物が充填されている凹版を90℃に設定したホットプレート上に配置して、5分間加熱した。これにより、液状体の上面が硬化した。硬化した液状体上面に、反り規制部材としてφ2mmの貫通孔が2mm間隔で設けられた厚さ1cmのSUS板を接触させて載置し、さらに5分間加熱し乾燥を完了した。これにより、成形物が成形された。
【0324】
<離型工程>
成形物を型から剥離し、実施例28の針状体を得た。
[実施例29]
<凹版の作製工程>
実施例28と同様の作製工程によって、凹版を作製した。
【0325】
<充填工程>
分子量80万のキトサンをクエン酸水溶液に溶解させて、液状体を調整した。そして、ディスペンサーを用いて、凹版の凹部に液状体を充填した。さらに、液状体の上面にキトサンフィルムを配置し、押圧を加えて、充填物を形成した。
【0326】
<乾燥工程>
充填物が充填されている凹版を90℃に設定したホットプレート上に配置して、5分間加熱した。これにより、キトサンフィルムおよびキトサンフィルムと接している液状体の上面が硬化した。硬化した充填物の上面に、反り規制部材として、張力のかかったポリエステル樹脂繊維からなるテトロン(登録商標)製のスクリーンメッシュを接触させて配置し、さらに5分間加熱し乾燥を完了した。これにより、成形物が成形された。
【0327】
<離型工程>
成形物を型から剥離し、実施例29の針状体を得た。
[実施例30]
<凹版の作製工程>
実施例28と同様の作製工程によって、凹版を作製した。
【0328】
<充填工程>
実施例29と同様の充填工程によって、液状体とキトサンフィルムとからなる充填物を形成した。
【0329】
<乾燥工程>
充填物が充填されている凹版を90℃に設定したホットプレート上に配置して、5分間加熱した。これにより、キトサンフィルムおよびキトサンフィルムと接している液状体の上面が硬化した。硬化した充填物の上面に、反り規制部材として、フッ素コートされ、張力のかかったポリエステル樹脂繊維からなるテトロン(登録商標)製のスクリーンメッシュを接触させて配置し、さらに5分間加熱し乾燥を完了した。これにより、成形物が成形された。
【0330】
<離型工程>
成形物を型から剥離し、実施例30の針状体を得た。
[実施例31]
<凹版の作製工程>
実施例28と同様の作製工程によって、凹版を作製した。
【0331】
<充填工程>
実施例29と同様の充填工程によって、液状体とキトサンフィルムとからなる充填物を形成した。
【0332】
<乾燥工程>
充填物が充填されている凹版を90℃に設定したホットプレート上に配置して、5分間加熱した。これにより、キトサンフィルムおよびキトサンフィルムと接している液状体の上面が硬化した。硬化した充填物の上面に、反り規制部材として、ポリエチレン製の多孔質フィルムを接触させて載置し、さらに5分間加熱し乾燥を完了した。これにより、成形物が成形された。
【0333】
<離型工程>
成形物を型から剥離し、実施例31の針状体を得た。
[実施例32]
<凹版の作製工程>
実施例28と同様の作製工程によって、凹版を作製した。
【0334】
<充填工程>
実施例29と同様の充填工程によって、液状体とキトサンフィルムとからなる充填物を形成した。
【0335】
<乾燥工程>
充填物が充填されている凹版を90℃に設定したホットプレート上に配置して、5分間加熱した。これにより、キトサンフィルムおよびキトサンフィルムと接している液状体の上面が硬化した。硬化した充填物の上面に、反り規制部材として、ステンレス製のスクリーンメッシュを接触させて載置し、さらに5分間加熱し乾燥を完了した。これにより、成形物が成形された。
【0336】
<離型工程>
成形物を型から剥離し、実施例32の針状体を得た。
[実施例33]
<凹版の作製工程>
実施例28と同様の作製工程によって、凹版を作製した。
【0337】
<充填工程>
分子量80万のキトサンをクエン酸水溶液に溶解させて、液状体を調整した。そして、ディスペンサーを用いて、凹版の凹部に液状体を充填した。さらに、液状体の上面にキトサンフィルムを配置し、キトサンフィルムの上にフッ素コートしたテトロン(登録商標)製スクリーンメッシュを接触させて配置した。スクリーンメッシュの上から押圧を加えて、反り規制部材が載置された充填物を形成した。
【0338】
<乾燥工程>
充填物が充填されている凹版を、充填物の上にスクリーンメッシュが載置された状態で、90℃に設定したホットプレート上に配置して、10分間加熱した。これにより、成形物が成形された。
【0339】
<離型工程>
成形物を型から剥離し、実施例33の針状体を得た。
[実施例34]
<凹版の作製工程>
実施例28と同様の作製工程によって、凹版を作製した。
【0340】
<充填工程>
実施例33と同様の充填工程によって、反り規制部材が載置された充填物を形成した。
<乾燥工程>
充填物が充填されている凹版を、充填物の上部にスクリーンメッシュが配置された状態で、90℃に設定したホットプレート上に配置して、10分間加熱した。このとき、充填物からスクリーンメッシュを離して、キトサンフィルムとスクリーンメッシュとの間に200μmのギャップを設けた状態で、加熱を行った。これにより、成形物が成形された。
【0341】
<離型工程>
成形物を型から剥離し、実施例34の針状体を得た。
[比較例6]
<凹版の作製工程>
実施例28と同様の作製工程によって、凹版を作製した。
【0342】
<充填工程>
実施例28と同様の充填工程によって、液状体からなる充填物を形成した。
<乾燥工程>
充填物が充填されている凹版を90℃に設定したホットプレート上に配置して、反り規制部材を配置せず、10分間加熱した。これにより、成形物が成形された。
【0343】
<離型工程>
成形物を型から剥離し、比較例6の針状体を得た。
[比較例7]
<凹版の作製工程>
実施例28と同様の作製工程によって、凹版を作製した。
【0344】
<充填工程>
実施例29と同様の充填工程によって、液状体とキトサンフィルムとからなる充填物を形成した。
【0345】
<乾燥工程>
充填物が充填されている凹版を90℃に設定したホットプレート上に配置して、反り規制部材を配置せず、10分間加熱した。これにより、成形物が成形された。
【0346】
<離型工程>
成形物を型から剥離し、比較例7の針状体を得た。
[観察結果]
実施例28〜34、および、比較例6、7の針状体について、突起部が形成されている面と反対側の面である基体の裏面を、室内の蛍光灯を写り込ませるようにして目視観察した。その結果、実施例28〜34の全てについて、針状体の反りは確認されなかった。一方、比較例6,7については、基体の反りが確認された。また、実施例30〜34については、反り規制部材との接触に起因して、基体の裏面に、反り規制部材に由来する繊維模様の痕跡が観察された。
【0347】
上記の結果から、実施例28〜34のように、反り規制部材を用いることによって、針状体に反りが生じることを抑えられることが示された。
[第7実施形態の実施例]
[実施例35]
上述した製造装置110を用いて製造された針状体1の具体的な実施例について説明する。
【0348】
本実施例では、液状体Fとしてヒドロキシプロピルセルロース水溶液を用いた。そして、凹版111の凹部形成面22に液状体Fを吐出したのち、この凹版111を振動させながら搬送し、フィルム36としてオブラートフィルムを供給した。このフィルム36を凹部形成面22に対して押圧した。その後、オブラートフィルムは、液状体Fに溶解する。
【0349】
その後、50℃に設定した乾燥炉で水分を除去し、ヒドロキシプロピルセルロースを固化させた。そして、固化したヒドロキシプロピルセルロースを凹版111から脱離させることにより針状体1を得た。この針状体1について突起部12の形状を調査したところ、気泡の混入に起因した形状精度の低下が抑えられていることが認められた。
【0350】
[第8実施形態の実施例]
[実施例36]
以下の方法により、本発明の針状体を作製した。
【0351】
(1)まず、シリコン基板に精密機械加工を用いて正四角錐(底面38μm×38μm、高さ120μm)が1mm間隔で、6列6行の格子状に36本配列した針状体原版を形成した。
【0352】
(2)次に、前記シリコン基板で形成された針状体原版に対し、熱硬化型シリコーン樹脂を用いて凹版を作製した。
(3)針部形成液として、キトサンサクシナミド水溶液を用意した。
【0353】
(4)得られた凹版をステージ上に設置した。平ノズル付ディスペンサ(ノズル幅60mm)を用い、凹版上に凹部全体を覆うようにキトサンサクシナミド水溶液を塗布した。このとき、膜厚は60μmとなった。
【0354】
(5)フィルムとして多孔質フィルム(材質ポリエチレン、厚さ500μm)を用意した。
(6)キトサンサクシナミドが塗布された凹版に対し、多孔質フィルムを設置した。
【0355】
(7)表面がゴム材料で覆われた円筒状のロールを用意した。円筒状のロールの直径は30mmであり、表面の硬度はショアA70であった。本円筒状のロールを多孔質フィルム表面を移動させながら加圧した(移動速度12.5mm/sec)。
【0356】
(8)次に、90℃設定のホットプレート上に凹版を10分配置し、乾燥させ、水分を蒸発させた。
(9)凹版から針状体を剥離し、針状体を得た。
【0357】
(結果)
実施例で得られた針状体を光学顕微鏡で観察した結果、針部先端まできれいに成形できていることが確認できた。
【0358】
以上、本発明の各実施形態および実施例について説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成要素の組合せを変えたり、各構成要素に種々の変更を加えたり、削除したりすることが可能である。