(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。はじめに
図1を用いて本発明の実施の形態1にかかる通信システムの構成例について説明する。
図1の通信システムは、制御装置10と、無線局1〜6と、を有している。制御装置10は、無線局1〜6と接続している。無線局1〜6は、それぞれ通信可能エリアを示すセルを形成する。無線局1〜6において形成されるセルは、それぞれ同一の周波数帯域を用いる。それぞれのセルは、隣接するセルの一部と重なり合うように形成される。セルとセルとが重複した箇所をセルエッジもしくはセル境界と称してもよい。
【0019】
次に、制御装置10の構成例について説明する。制御装置10は、パターン決定部110及び通信部120を有する。
【0020】
パターン決定部110は、無線局1〜6が形成するセルを1つ以上有するセルグループを定義する。例えば、
図1においては、無線局1〜3が形成するセルをセルグループ1とし、無線局4〜6が形成するセルをセルグループ2と定義する例を示している。本図におけるセルグループの構成は一例であり、例えば、無線局1が形成するセルをセルグループ1とし、そのほかの無線局が形成するセルをセルグループ2とするように構成してもよい。また、セルグループは、3つ以上定義されてもよい。
【0021】
さらに、パターン決定部110は、それぞれのセルグループに設定する送信電力の時間パターンを決定する。送信電力の時間パターンは、所定の切替周期毎に、それぞれのセルグループに属する無線局が用いる送信電力の値を示す情報である。例えば、パターン決定部11は、送信電力の時間パターンとして、セルグループ1に対しては(1, 0, 1, 0・・・)、セルグループ2に対しては(0, 1, 0, 1・・・)と決定してもよい。送信電力の時間パターンにおいて”1”は最大送信電力、”0”は送信停止とする。例えば、(1, 0, 1, 0・・・)は、所定の周期毎に、最大送信電力と送信停止とが繰り返し設定されることを示している。
【0022】
通信部120は、パターン決定部110において決定された送信電力の時間パターンと、無線局1〜6における送信電力の切替タイミングを示すタイミング信号とを、無線局1〜6へ通知する。切替タイミング信号は、例えば、無線局1〜6が、送信電力の値を切り替える切替周期が設定された信号であってもよい。この場合、通信部12は、切替周期を示す切替タイミング信号を1回のみ無線局1〜6に通知するか、もしくは、一定期間ごとに切替タイミング信号を無線局1〜6へ通知してもよい。ここで、制御装置10から無線局1〜6へ、1回のみもしくは定期的に送信される切替タイミング信号は、切替周期信号と称されてもよい。
【0023】
または、切替タイミング信号は、制御装置10から無線局1〜6へ非周期に送信される信号であってもよい。この場合、無線局1〜6は、制御装置10から送信される切替タイミング信号を受信したタイミングに、送信電力を切り替えてもよい。つまり、制御装置10は、任意のタイミングに切替タイミング信号を無線局1〜6へ送信する。ここで、制御装置10から無線局1〜6へ非周期に送信される信号は、トリガー信号と称されてもよい。
【0024】
無線局1〜6は、送信電力の時間パターン及び切替タイミング信号を受信すると、送信電力の時間パターン及び切替タイミングに基づいて、送信電力を変更する。ここで、無線局1〜6が送信電力を変更することに伴い、無線局1〜6のいずれかに接続していた無線端末は、接続する無線局を変更する。つまり、無線端末は、現在接続している無線局が送信電力を停止もしくは小さい値に変更した場合、他の無線局へ接続することによって通信を継続する。この時、無線端末は、接続する無線局を変更することによって、セル内における位置も変更される。例えば、無線端末は、接続する無線局を変更することによって、在圏位置がセルエッジからセルの中央へ変更される場合もある。
【0025】
以上説明したように、
図1の無線システムを用いることによって、セルグループ毎に、無線局の送信電力を制御することができる。セルグループ毎に無線局の送信電力が変更されることによって、無線端末は、接続する無線局を変更することができる。これによって、特定の無線端末が、常にセルエッジに位置することを回避することができるため、あるセルにおいてセルエッジに位置する無線端末のスループットを改善することができる。
【0026】
また、
図1では、無線局1〜6の上位に制御装置10が位置する構成とし、各無線局がセルを形成する例を示したが、
図2のように、制御装置10が無線局の中にあり、無線局間のインタフェースを用いて送信電力の時間パターン及び送信電力の切り替え周期を通知するように構成してもよい。更に、
図3のように無線局は制御装置を含め一か所に機能が集中されており、RF部及び増幅器から構成されるRemote Radio Head (RRH)を配置し、セルを形成してもよい。この場合、制御装置がRRHに送信電力の時間パターン及び送信電力の切り替え周期を通知してもよく、制御装置がRRHの送信電力切り替えを直接行ってもよい。
【0027】
(実施の形態2)
続いて、
図4を用いて本発明の実施の形態2にかかる基地局の配置例について説明する。本図において、#11は、基地局11が位置している場所を示している。#12〜#16についても同様である。また、基地局は、
図1における無線局に相当する。また、基地局11は、セル21を形成し、基地局12は、セル22を形成し、基地局13は、セル23を形成し、基地局14は、セル24を形成し、基地局15は、セル25を形成し、基地局16は、セル26を形成する。
図4においては、説明を容易にするために隣接するセル同士が接するように形成されている様子を示しているが、実際には、隣接するセルは、重複していてもよい。
【0028】
基地局11〜13は、セルグループ1に属し、基地局14〜16は、セルグループ2に属するとする。
図4においては、セルグループ1に属する基地局が形成するセルを実線で示しており、セルグループ2に属する基地局が形成するセルを破線で示している。
図4は、セルグループ1に属する基地局11〜13の送信電力が最大送信電力であり、セルグループ2に属する基地局14〜16は、送信を停止している状態であることを示している。この時、無線端末50は、セル21のセルエッジに位置し、基地局11と接続しているとする。
【0029】
続いて、
図5は、送信電力の時間パターンに基づいて、セルグループ1に属する基地局11〜13が送信を停止している状態になり、セルグループ2に属する基地局14〜16の送信電力が最大送信電力に変更された状態であることを示している。
図5においては、セルグループ1に属する基地局が形成するセルを破線で示しており、セルグループ2に属する基地局が形成するセルを実線で示している。この時、無線端末50は、接続先を基地局11から基地局14へ変更する。さらに、無線端末50は、セル24のセル中央近傍に位置している。
【0030】
図4及び
図5は、セルグループ1及びセルグループ2の送信電力が変更されることによって、無線端末50の位置が、セル21のセルエッジから、セル24のセル中央近傍に変更されていることを示している。また、以下の記載においては、無線端末がセルに接続するとの記載を用いる場合もあるが、これは、無線端末が、セルを形成する基地局に接続することと同様の内容を示す。
【0031】
続いて、
図6を用いて本発明の実施の形態2にかかる送信電力が切替わる際の例について説明する。
図6は、セルグループ1が”1(最大送信電力)”から”0(送信停止)”に、セルグループ2が”0”から”1”に切り替わる際の例を示す。切り替え前はセルグループ1に属する各基地局の送信電力のみがオン状態となっており、無線端末50は、セル21に接続している。この時、無線端末50は、セル21〜23のセル境界に位置しており、受信信号品質が低い。切り替え周期で送信電力の時間パターンが切り替わるとセルグループ1に属する各基地局の送信電力はオフ状態となり、セルグループ2における送信電力のみがオン状態となる。無線端末50は、セル21との接続が切断されるため、セルグループ2の中からセル24を選択し接続する。つまり、無線端末50は、セル21からセル24へハンドオーバを行う。無線端末50は、セル24においてはセル中央に位置し、受信信号品質が高い。
【0032】
以上のように、セルグループ毎に独立したパターンで周期的に送信電力を切り替えることにより、常に特定の端末がセルエッジとなることを回避し、セルエッジスループットを改善する。
【0033】
図6の例では、無線端末50の接続がセル21からセル24へ切り替わる例を示したが、基地局14が基地局11と同一のセル識別子を用いる構成をとれば、
図7のように、無線端末50の接続するセルを切り替えずに送信電力切り替えを行うことも可能である。
【0034】
尚、本実施形態では、送信電力の時間パターンを”1”と”0”の組み合わせとしたが、最大送信電力と、送信停止との間の中間的な値をとることも可能である。
【0035】
(実施の形態3)
実施の形態3では、無線端末が複数の周波数帯域のセルを同時に用いて複数の基地局と接続するキャリアアグリゲーションを行う場合について説明する。また、実施の形態3においては、無線端末が最初に接続するプライマリセルに付随して追加されるセカンダリセルのみに実施の形態1及び2と同様の送信電力切り替えを適用する例を示す。
【0036】
図8は、無線端末50が複数の周波数帯域のセルを同時に用いて複数の基地局と接続するキャリアアグリゲーションの例を示す図である。広域をカバーするマクロ基地局30は、周波数Aを用い、マクロ基地局30のカバーエリア(マクロセル40)内の狭いエリア(スモールセル41〜45)をカバーするスモール基地局31〜35は、周波数Bを用いる。無線端末50は、プライマリセルとしてマクロ基地局30に最初に接続する。次にプライマリセルに付随するセカンダリセルとしてスモール基地局31〜35のいずれかに接続する。キャリアアグリゲーションは、ハンドオーバの頻度が少ないマクロセル40をプライマリセルとして用い、スモールセル41〜45をセカンダリセルとして用いる。本図においては、スモールセル41が、セカンダリセルとして用いられていることを示している。マクロセル40においては、即時性の必要な移動管理情報、リアルタイムデータ等が通知される。スモールセル41〜45においては、比較的即時性の必要ないFTP(File Transfer Protocol)データが通信されてもよい。
【0037】
図8のような構成において、スモールセル41〜45をセカンダリセルとして用い、このセカンダリセルのみに送信電力切り替えを適用する例を以下に示す。
【0038】
図9において、制御装置10は、マクロ基地局30及びスモール基地局31〜36と接続している。本図においては、スモール基地局31〜33をスモールセルグループ1、スモール基地局34〜36をスモールセルグループ2と定義している。
【0039】
図10及び
図11には、本発明の実施の形態3にかかるスモール基地局31〜36の配置例が示されている。
図10及び
図11は、
図4及び
図5に示される基地局がスモール基地局に変更されている。また、スモール基地局が形成するセルは、マクロ基地局30が形成するマクロセル40内に配置されている。
図10及び
図11における、その他の構成及び内容は
図4及び
図5と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0040】
ここで、制御装置10は、例えば、送信電力の時間パターンをスモールセルグループ1に対しては(1, 0, 1, 0・・・)、スモールセルグループ2に対しては(0, 1, 0, 1・・・)と設定し、さらに、切替周期を10秒と決定する。制御装置10は、スモール基地局31〜36へ送信電力の時間パターン及び切替周期を通知したとする。尚、送信電力の時間パターンにおいて”1”は最大送信電力、”0”は送信停止とする。
【0041】
続いて、
図12を用いて本発明の実施の形態3にかかる送信電力が切替わる際の例について説明する。
図12は、スモールセルグループ1が”1”から”0”に、スモールセルグループ2が”0”から”1”に切り替わる際の例を示す。
【0042】
切り替え前はスモールセルグループ1の送信電力のみがオン状態となっており、無線端末50は、スモールセル41をセカンダリセルとして選択している。この時、無線端末50は、スモールセル41〜43のセル境界に位置しており、受信信号品質が低い。切り替え周期で送信電力の時間パターンが切り替わるとスモールセルグループ1の送信電力はオフ状態となり、スモールセルグループ2の送信電力のみがオン状態となる。無線端末50は、スモールセル41との接続が切断されるため、スモールセルグループ2の中からスモールセル44をセカンダリセルに選択し接続する。無線端末50は、スモールセル44においてはセル中央に位置し、受信信号品質が高い。この間、プライマリセルに関しては切り替えが生じない。
【0043】
以上のように、スモールセルをセカンダリセルとして用い、スモールセルグループ毎に独立したパターンで周期的にセカンダリセルの送信電力を切り替えることにより、プライマリセルの接続性に影響を与えることなく、セカンダリセルにおいて常に特定の端末がセルエッジとなることを回避し、セルエッジスループットが改善する。
【0044】
また、
図9では、マクロ基地局30及びスモール基地局31〜36の上位に制御装置10が位置する構成とし、各基地局がセルを形成する例を示した。これに対して、制御装置10がマクロ基地局30の中にあり、基地局間のインタフェースを用いて送信電力の時間パターン及び送信電力の切り替え周期を通知するように構成してもよい。更に、基地局は、制御装置10を含め一か所に機能が集中されており、RF部及び増幅器から構成されるRemote Radio Head (RRH)を配置し、セルを形成してもよい。
【0045】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4では、無線端末50がセルグループの異なる同じ周波数帯域の複数のセルに同時に帰属する例について説明する。制御装置10は、各基地局に送信電力の時間パターンを通知する。各基地局は、送信電力の時間パターンに従い、サブフレーム単位で送信電力を切り替る。ここでは、無線端末50が、セルグループの中で送信電力が最大であるセルの時間パターンであるセルパターンに基づいてサブフレーム単位で通信するセルを切り替える例を示す。
【0046】
制御装置10と基地局11〜16との接続関係は、
図1と同様の構成であり、
図1における無線局1〜6を、基地局11〜16に置き換えた構成を用いる。また、基地局11〜16は、
図4及び
図5と同様の配置とする。
【0047】
制御装置10は、送信電力の時間パターンをセルグループ1に対しては(1, 0, 1, 0, 1, 0, 1, 0, 1, 0)、セルグループ2に対しては(0, 1, 0, 1, 0, 1, 0, 1, 0, 1)とし、切り替え周期をサブフレーム周期(1m sec)と決定する。制御装置10は、基地局11〜16へ送信電力の時間パターンと切替周期とを通知する。尚、送信電力の時間パターンにおいて”1”は最大送信電力、”0”は送信停止とする。例えば、無線フレームとして、LTEで用いられている
図13の構成を用いる。1無線サブフレームは、1msec長の10サブフレームで構成されている。ここで、送信電力の時間パターンである(1, 0, 1, 0, 1, 0, 1, 0, 1, 0)は、左から順番に1サブフレームに適用する値、2サブフレームに適用する値を示し、一番右の値は、10サブフレームに適用する値を示している。
【0048】
図14は、無線端末50がセルグループ1のセル21、セルグループ2のセル24に同時に接続し、サブフレーム単位でセル21とセル24との通信を交互に繰り返す例を示す。無線端末50での通信セルの切り替えは、例えば、制御装置10が、通信セルのパターン(#21, #24, #21, #24, #21, #24, #21, #24, #21, #24)を端末に明示的に通知することにより実現できる。通信セルのパターン(#21, #24, #21, #24, #21, #24, #21, #24, #21, #24)は、サブフレーム毎に、送信電力が最大のセルを示している。例えば、サブフレーム1においては、セル21における送信電力が最大であり、サブフレーム2においては、セル24における送信電力が最大であることを示している。サブフレーム3以降も同様である。通信セルのパターンは、サブフレーム毎に接続するセルを示している。#21は、セル21を示し、#24は、セル24を示している。
【0049】
あるいは、制御装置10が、セルグループの中で送信電力が最大であるセルグループの時間パターンであるセルグループパターン(#1, #2, #1, #2, #1, #2, #1, #2, #1, #2)とセルグループ情報であるセルグループ1=(セル21, セル22, セル23)、 セルグループ2=(セル24, セル25, セル26)を無線端末50に通知する。セルグループパターンにおける#1及び#2は、それぞれセルグループ1及び2を示している。
【0050】
例えば、無線端末50は、サブフレーム1においては、送信電力が最大であるセルグループは、セルグループ1であり、セルグループ1には、セル21〜23が含まれていることを認識することができる。そのため、無線端末50は、例えば、サブフレーム1においては、セル21〜23の中から受信電力が最大のセルを選択して、接続してもよい。
【0051】
このようにして、接続セルが決まれば一意に通信セルのパターンが決まる。そのため、制御装置10は、セルグループパターンと、セルグループ情報とを無線端末50へ通知することによって、明示的に通信セルのパターンを通知しなくてもよい。ここで、
図15を用いて、無線端末50が、複数セルと接続する手順の例を記述する。
【0052】
ステップ1:無線端末50は、複数無線フレームに亘るセル毎の受信電力の測定値の平均値に基づき、最適なセルを選択し基地局に接続要求する。
ステップ2:無線端末50は、接続要求が受け入れられ、セルへの接続が完了すると、接続されたセルを通して、基地局からセルグループパターン及びセルグループ情報を取得する。
ステップ3:無線端末50は、現在接続しているセルの属するセルグループ以外でセルグループパターンに含まれるセルグループがあり、かつ、そのセルグループ内に受信電力が閾値を超えるセルがあれば、接続を要求する。なければ、接続処理を完了する。
ステップ4:ステップ3における接続要求が受け入れられれば、無線端末50は、接続するセルを追加する。
【0053】
上記処理により、無線端末50は、複数のセルへ接続することができる。ステップ3及び4を繰り返し行い、3以上のセルと接続することも可能である。
【0054】
以上のように、無線端末50が、セルグループの異なる同じ周波数帯域の複数のセルに同時に帰属し、基地局から通知された通信セルの時間パターンに基づき通信セルを周期的に切り替える事により、高速な通信セルの切り替えが可能となる。これによって、常に特定の端末がセルエッジとなることを、切り替え遅延を発生させることなく回避し、セルエッジスループットを改善する。
【0055】
尚、実施の形態4と同様の送信電力切り替えを、
図8のセカンダリセルのみに適用する形態も可能である。
【0056】
(実施の形態5)
実施の形態5では、制御装置10が、各基地局に送信電力の時間パターン及び送信電力の切り替え周期を通知し、各基地局がこれに従い、送信電力を切り替えた場合に、無線端末50からのフィードバック情報を用いてセルグループ及び送信電力の時間パターンを変更する例を示す。
【0057】
制御装置10と各基地局との接続関係は、
図1と同様の構成であり、
図1における無線局1〜6を、基地局11〜16に置き換えた構成を用いる。また、基地局11〜16は、
図16及び
図17のように配置される。
【0058】
制御装置10は、送信電力の時間パターンをセルグループ1に対しては(1, 0, 1, 0, 1, 0・・・)、セルグループ2に対しては(0, 1, 0, 1, 0, 1・・・)と決定し、切り替え周期を10秒と決定する。制御装置10は、送信電力の時間パターンと切替周期とを基地局11〜16に通知する。尚、送信電力の時間パターンにおいて”1”は最大送信電力、”0”は送信停止とする。
【0059】
図18は、セルグループ1が”1”から”0”に、セルグループ2が”0”から”1”に切り替わる際の例を示す。切り替え前はセルグループ1のみが送信電力がオン状態となっており、無線端末50は、セル21に接続している。この時、無線端末50は、セル21〜23のセル境界に位置しており、セル22及びセル23からの強い隣接干渉電力を受ける。そのため、セル21における無線端末50の受信信号品質は低い。切り替え周期で送信電力の時間パターンが切り替わるとセルグループ1の送信電力はオフ状態となり、セルグループの送信電力のみがオン状態となる。
【0060】
無線端末50は、セル21との接続が切断されるため、セルグループ2の中からセル24を選択し接続する。無線端末50は、セル24〜26のセル境界に位置しており、セル25及びセル26から強い隣接干渉電力を受ける。そのため、セル24における無線端末50の送信電力切り替え後における受信信号品質も低い。このような場合、無線端末50からのフィードバックによりセルグループ、送信電力の時間パターンを切り替える。
図19を用いて、フィードバック制御の処理の流れを説明する。
【0061】
ステップS11:無線端末50は、複数無線フレームに亘るセル毎の受信電力の測定値の平均値と、現在の接続セルとの受信電力の差分を”隣接セルからの干渉に関する指標”とし、この値が閾値以下のセルを検出すると該当するセル識別子を”隣接セルからの干渉に関する情報”として基地局に通知する。
ステップS12:基地局は無線端末50から送信された”隣接セルからの干渉に関する情報”を制御装置10へ通知する。
ステップS13:制御装置10は、”隣接セルからの干渉に関する情報”を通知した無線端末50の受信品質を改善するようセルグループ、送信電力の時間パターン等を更新する。
ステップS14:制御装置10は、変更したセルグループ、送信電力の時間パターン等を基地局に通知する。
ステップS15:基地局は通知されたセルグループに属するセルに対し、通知された送信電力の時間パターンに基づいて送信電力を切り替える。
【0062】
例えば、
図16及び
図17の無線端末50において、セル21〜26に対する受信電力がそれぞれ10dBm, 9dBm, 8dBm, 10dBm, 8dB, 7dBmで、ステップ11で用いる閾値が2dBであるとする。ここで、無線端末50がセル21に接続している際に、セル22、セル23の”隣接セルからの干渉に関する指標”は、それぞれ1dB, 2dBとなる。一方、端末がセル24に接続している際に、セル25、セル26の”隣接セルからの干渉に関する指標”はそれぞれ2dB, 3dBとなる。従って、”隣接セルからの干渉に関する指標”が2dB以下であるセル22、セル23、セル25のセル識別子を”隣接セルからの干渉に関する情報”として端末が基地局へ通知する。
【0063】
基地局から通知を受けた制御装置10は、例えば、セルグループ21からセル23を削除しセルグループ1=(セル21, セル22)とし、また、セルグループ2からセル25を削除しセルグループ2=(セル24, セル26)とする。更に、セルグループ3=(セル23, セル25)を新たに追加する。そして、セルグループ1、セルグループ2、セルグループ3の送信電力の時間パターンをそれぞれ、(1, 0, 0, 1, 0, 0)、(0, 1, 0, 0, 1, 0)、(0, 0, 1, 0, 0, 1)に変更する。
【0064】
制御装置10が通知したセルグループ及び送信電力の時間パターンに基づき各基地局が送信電力を切り替える事により、セルグループ1の送信電力がON状態の時間ではセル23からの干渉が削減され、セルグループ2の送信電力がON状態の時間ではセル25からの干渉が削減される。
【0065】
以上のように、無線端末50から送信されるフィードバック情報によりセルグループ及び送信電力の時間パターンを変更し、セルエッジスループットを改善する。
【0066】
また、ステップS11において、無線端末50は、複数無線フレームに亘るセル毎の受信電力の測定値の平均値と、現在の接続セルの受信電力との差分を”隣接セルからの干渉に関する指標”としている。例えば、現在の接続セルとの受信電力が低い場合、隣接セルの干渉電力が低くても、”隣接セルからの干渉に関する指標”が、閾値を下回ることがある。そのため、無線端末50は、現在の接続セルにおける受信電力が、予め定められた値よりも大きい場合であって、”隣接セルからの干渉に関する指標”が、閾値を下回る場合に、”隣接セルからの干渉に関する情報”を基地局を介して制御装置10へ送信してもよい。
【0067】
上記例では、セルグループ及び送信電力の時間パターンの両方を変更したが、例えば、セルグループのみをセルグループ1=(セル21, セル22)、セルグループ2=(セル23, セル24, セル25, セル26)と変更する事により、セルグループ1の送信電力がON状態の時間での干渉を削減することも可能である。
【0068】
尚、”隣接セルからの干渉に関する指標”の算出に用いている受信電力は、例えば、LTEで規定されている下りリファレンス信号(Reference Signal : RS)の受信電力(RS Received Power : RSRP)を用いることができる。上記例では、”隣接セルからの干渉に関する指標”として、接続セルとの受信電力の差分を用いたが、LTEで規定されているRSの受信品質(RS Received Quality : RSRQ)、信号対干渉及び雑音比に対応するChannel Quality Index (CQI)を用いることも考えられる。
【0069】
また、上記例では、”隣接セルからの干渉に関する情報”としてセル識別子のみを通知しているが、セル識別子に対応する受信電力等も合わせて通知することにより、より効果的なセルグループ及び送信電力の時間パターンを決定することもできる。
【0070】
また、上記例では、フィードバック情報として、”隣接セルからの干渉に関する情報”を用いる例について説明したが、無線端末50は、スループット情報を制御装置10へ送信してもよい。
【0071】
上述の実施の形態では、本発明をハードウェアの構成として説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明は、制御装置、無線局もしくは無線端末における処理を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。)
【0072】
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0073】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0074】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0075】
この出願は、2013年9月24日に出願された日本出願特願2013−196728を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。