【文献】
NTT DOCOMO,"Discussion on Multi-level PRACH Coverage Enhancement",3GPP TSG-RAN WG1#75 R1-135509,2013年11月 2日,pp.1-7
【文献】
Ericsson,"Control of amount of coverage enhancement for MTC UE",3GPP TSG-RAN WG1#74b R1-134648,2013年 9月28日,pp.1-4
【文献】
"3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Study on provision of low-cost Machine-Type Communications (MTC) User Equipments (UEs) based on LTE (Release 12)",3GPP TR 36.888 V12.0.0,2013年 6月,pp.45-51
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記M2M端末と前記無線通信手段の間の通信において前記所定のカバレッジ改善処理を実行するか否かを前記履歴情報に基づいて決定する、請求項1に記載の基地局装置。
前記制御手段は、前記M2M端末との無線接続を確立する際に、又は前記M2M端末とコアネットワークの間のベアラを確立する手順が行われる間に、前記履歴情報を前記コアネットワークから受信する、請求項1又は2に記載の基地局装置。
前記制御手段は、さらに、前記M2M端末の無線接続を解放する際に、前記基地局装置において前記M2M端末ために前記所定のカバレッジ改善処理が実行されていたか否かを示す端末情報を前記コアネットワークに送信する、請求項3に記載の基地局装置。
前記所定のカバレッジ改善処理は、複数のサブフレームにわたってPhysical Uplink Shared Channel (PUSCH)を繰り返し送信すること、及び複数のサブフレームにわたってPhysical Downlink Shared Channel (PDSCH)を繰り返し送信すること、のうち少なくとも一方を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の基地局装置。
前記制御手段は、前記M2M端末の無線接続が解放される際に、前記基地局において前記M2M端末ために前記所定のカバレッジ改善処理が実行されていたか否かを示す端末情報を前記インタフェースを介して前記基地局から受信する、請求項10〜12のいずれか1項に記載のコアネットワーク装置。
前記制御手段は、第1の基地局から受け取った前記端末情報を前記第1の基地局とは異なる第2の基地局に前記履歴情報として送信するよう動作する、請求項13に記載のコアネットワーク装置。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0024】
以下に説明される複数の実施形態は、独立に実施されることもできるし、適宜組み合わせて実施されることもできる。これら複数の実施形態は、互いに異なる新規な特徴を有している。したがって、これら複数の実施形態は、互いに異なる目的又は課題を解決することに寄与し、互いに異なる効果を奏することに寄与する。
【0025】
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態に係る無線通信システムの構成例を示している。当該無線通信システムは通信サービス、例えば音声通信若しくはパケットデータ通信又はこれら両方を提供する。
図1を参照すると、当該無線通信システムは、M2M端末11(11A、11B、11C)、M2M端末ではない通常の無線端末12、基地局13、及びコアネットワーク14を含む。無線端末12は、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレットコンピュータ、又はノートブックPCである。M2M端末11A、11B、及び11C、並びに無線端末12は、基地局13のセル130内に位置している。なお、本実施形態では、当該無線通信システムが3GPP LTEのシステムであるとして説明する。すなわち、M2M端末11はMTC UEに相当し、無線端末12はMTC UEではない通常のUEに相当し、基地局13はeNodeB (eNB)に相当し、コアネットワーク14はEvolved Packet Core(EPC)に相当する。
【0026】
図1において、MTC UE11Aは、MTC UE11Bに比べeNB13からの距離が離れている為に、伝搬損が大きく無線品質が劣化することが想定される。また、MTC UE11Cは建物(例えばビル)内に設置されており、屋外に設置される場合に比べて無線品質が劣化することが想定される。また、仮にMTC UE11(11A、11B、及び11C)が、通常のUE12に比べて限定的な能力又は機能(e.g., 最大送信電力が小さい、受信アンテナ数が少ない、高次変調をサポートしない等)を持つ場合、無線品質の劣化が更に顕著になることが予想される。したがって、本実施形態に係るMTC UE11は、上述したEnhanced Coverage Mode(ECM)をサポートし、ECMにおけるカバレッジ改善処理を行うことができるよう構成されている。
【0027】
既に述べたように、ECMにおけるカバレッジ改善処理は、MTC UEの通信特性(通信品質)を改善又は向上する為の処理と言うこともできる。ECMにおけるカバレッジ改善処理は、既に述べたように、以下の(a)〜(d)のうち少なくとも1つを含んでもよく、これらとは異なる他の処理、例えば(e)〜(f)を含んでもよい:
(a)通常よりも所定回数だけ余分にPBCHによる報知情報の送信を繰り返すこと、
(b)PPACH(PRACHプリアンブル)の送信を所定回数だけ繰り返すこと、
(c)複数サブフレームにわたってPDSCHの送信を繰り返すこと、
(d)複数サブフレームにわたってPUSCHの送信を繰り返すこと、
(e)PDSCH若しくはPUSCH又は両方の電力スペクトル密度(power spectral density(PSD))を高くすること(PSD boosting)、
(f)PDSCH若しくはPUSCH又は両方の繰り返し送信の間に周波数ホッピングをすること。
【0028】
ここで、サブフレームとは、LTEの無線フレームを構成する単位である。1つの無線フレームの長さは10ミリ秒であり、1つの無線フレームは10個のサブフレーム(subframe)から構成されている。したがって、1つのサブフレームの長さは、1ミリ秒である。1つのサブフレームは、時間領域で14個のシンボル(アップリンクであればsingle carrier frequency division multiple access (SC-FDMA) シンボル、ダウンリンクであれば orthogonal frequency division multiplexing (OFDM)シンボル)を含む。
【0029】
続いて以下では、本実施形態に係るECMのための通信制御について説明する。本実施形態に係るeNB13は、MTC UE(M2M端末)11の通信においてECMに関するカバレッジ改善処理(e.g., PDSCH/PUSCHの繰り返し)が実行されていたか否かを示す履歴情報をEPC14から受信する。そして、eNB13は、EPC14から受信された履歴情報に基づいて、ECMに関するカバレッジ改善処理を伴うMTC UE11とeNB13の間の通信を制御する。eNB13は、EPC14に配置されたコアネットワークノード(例えば、Mobility Management Entity(MME))からMTC UE11の履歴情報を受信すればよい。
【0030】
例えば、eNB13は、MTC UE11とeNB13の間の通信においてECMに関するカバレッジ改善処理を実行するか否かを、受信された履歴情報に基づいて決定してもよい。より具体的に述べると、eNB13は、ECMにカバレッジ改善処理がMTC UE11に対して行われていたことが履歴情報に示されていること応答して、ECMに関するカバレッジ改善処理の指示(e.g., ECM configuration)をMTC UE11に送信してもよい。なお、eNB13は、明示的な指示を送信すること無く、MTC UE11においてECMが行われていることを前提にMTC UE11との通信を行ってもよい。
【0031】
ECM configurationは、例えば、以下に示す情報のうち少なくとも1つを含んでもよい:
・報知情報(PBCH)の受信に関する設定情報、
・システム情報(System Information Block(SIB))の受信に関する設定情報、
・ページング(Paging Channel(PCH))の受信に関する設定情報、
・下り制御情報(Physical Downlink Control Channel(PDCCH))の受信に関する設定情報、
・下りデータ(PDSCH)の受信に関する設定情報、
・上り制御情報(Physical Uplink Control Channel(PUCCH))の送信に関する設定情報、
・上りデータ(PUSCH)の送信に関する設定情報、
・無線品質測定報告(Measurement Report)に関する設定情報。
【0032】
報知情報(PBCH)の受信に関する設定情報及びシステム情報(SIB)の受信に関する設定情報は、例えば、どのサブフレーム及び/又はどのOFDMシンボルで報知情報及び(どの種類の)システム情報が繰り返して送信されているかを示す情報でもよい。ページングの受信に関する設定情報は、例えば、どのサブフレームでページングが繰り返して送信されているかを示す情報でもよい。下り制御情報(PDCCH)の受信及び下りデータ(PDSCH)の受信に関する設定情報は、例えば、それらが何回繰り返して送信されるかを示す情報でもよいし、どのサブフレームで繰り返して送信されるかを示す情報でもよい。上り制御情報(PUCCH)の送信及び上りデータ(PUSCH)の送信に関する設定情報は、例えば、それらが何回繰り返して送信されるかを示す情報でもよいし、どのサブフレームで繰り返して送信されるかを示す情報でもよい。無線品質測定報告に関する設定情報は、ECMを実行している間に適用する無線品質の測定結果(measurement result)に対するオフセット値や閾値でもよいし、ECMを実行している間に適用する無線品質の測定結果の報告の判定におけるオフセット値や閾値でもよい。
【0033】
また、ECMで実行されるMTC UE11の動作は、予め多段階(マルチレベル)に細分化して定義されてもよい。この場合、ECM configurationは、MTC UE11が実行するべき動作の段階(レベル)を指定してもよい。
【0034】
一方、MTC UE11は、一旦ECMの実行を指示された場合、RRC_CONNECTEDからRRC_IDLEになった後もECM configurationを継続して保持し、ECMを継続して実行してもよい。これに代えて、MTC UE11は、滞在するセルで報知されているECM configurationを基にRRC_ IDLEになった後もECMを継続して実行してもよい。さらにMTC UE11は、再びRRC_ CONNECTEDになった後に、既に保持しているECM configuration又は滞在するセルで報知されているECM configurationに基づいて自律的にECMを継続して実行してもよいし、eNB13からECMの実行の指示を受けたことに応答してECMを実行してもよい。
【0035】
このように、eNB13がMTC UE11の履歴情報(MTC UE11の過去の通信においてECMに関するカバレッジ改善処理が実行されていたか否かを示す)をEPC14から受信し、この履歴情報を用いてMTC UE11とのカバレッジ改善処理を伴う通信を制御することで以下に述べる効果が期待される。すなわち、eNB13は、MTC UE11に対してECMに関するカバレッジ改善処理(e.g., PDSCH/PUSCHの繰り返し)を適用するべきか否かを判定するために、MTC UE11の無線品質(e.g., RSRP、RSRQ、CQI)を取得してこれを分析することを必ずしも必要としない。なぜなら、eNB13と無線接続を確立したMTC UE11に対してECMが適用できるか又はECMのカバレッジ改善処理が有効であるか否かを履歴情報に基づいて判定できるためである。したがって、本実施形態は、MTC UE11に対してECMに関するカバレッジ改善処理を適用するべきか否かの判定に要する時間(遅延)を削減できる。
【0036】
次に、eNB13がMTC UE11の履歴情報をEPC14から受信するタイミングの例について説明する。eNB13は、MTC UE11に対してECMに関するカバレッジ改善処理を適用するべきか否かを判定する際に、MTC UE11の履歴情報をEPC14から取得すればよい。例えば、eNB13は、MTC UE11との無線接続(Radio Resource Control (RRC) Connection)を確立する際に、言い換えるとMTC UE11がアイドル状態(RRC_IDLE)からコネクテッド状態(RRC_CONNECTED)になるときに、履歴情報をEPC14から受信してもよい。これに代えて、eNB13は、MTC UE11とEPC14の間のベアラ(Evolved Packet System(EPS)ベアラ)の確立手順(e.g., attach procedure、service request procedure)が行われる間に、履歴情報をEPC14から受信してもよい。これらの例によれば、eNB13は、MTC UE11との無線接続の確立手順、又はベアラ確立手順において、MTC UE11に対してECMに関するカバレッジ改善処理を適用するべきか否かを速やかに判定することができる。
【0037】
続いて、MTC UE11に関する端末情報(MTC UE11とeNB13の通信においてECMに関するカバレッジ改善処理が実行されていたか否かを示す)をEPC14に保存する動作の例について説明する。eNB13は、MTC UE11の無線接続を解放する際に、ECMに関するカバレッジ改善処理が当該MTC UE11のために実行されていたか否かを示す端末情報(UEコンテキスト)をEPC14に送信してもよい。EPC14に送られたUEコンテキストは、端末情報の送信元と同じeNB13又は異なるeNB13にMTC UE11の履歴情報として送信される。言い換えると、eNB13は、MTC UE11に関するUEコンテキスト(MTC UE11とeNB13の通信においてECMに関するカバレッジ改善処理が実行されていたか否かを示す)を保存するためにEPC14に送信し、当該UEコンテキストをEPC14から読みだして利用できるよう構成されている。
【0038】
既に述べたように、MTC UE11がコネクテッド状態(RRC_CONNECTED)であるときにeNB13において保持されているMTC UE11のコンテキストは、MTC UE11がアイドル状態(RRC_IDLE)に遷移するときに解放(削除)される。したがって、eNB13は、MTC UE11がコネクテッド状態であるときにeNB13において保持されていたUEコンテキスト(ECMに関するカバレッジ改善処理がMTC UE11のために実行されていたか否かを示す)をEPC14に保存しておくことで、将来のMTC UE11のアクセス時に、EPC14に保存されていたUEコンテキストを履歴情報として利用することができる。
【0039】
なお、本実施形態において、MTC UE11は、
図1に例示されているように、固定的に設置され実質的に静止した端末であってもよい。この場合、MTC UE11は、1つのeNB13の1つのセル内でコネクテッド状態(RRC_CONNECTED)とアイドル状態(RRC_IDLE)の間の遷移を繰り返す。しかしながら、これに代えて、MTC UE11は、移動性を有する端末(例えば、自動車、鉄道車両、又は船舶などの輸送機械に搭載される端末)であってもよい。この場合、MTC UE11は、同じeNB13の複数のセルの間、又は異なるeNB13のセル間を移動してもよい。MTC UE11が移動する場合に想定されるシナリオを以下に述べる。まず、MTC UE11は、あるeNB13のセルにおいてRRC_CONNECTEDでECMの実行を指示され、ECMを利用してデータ通信を行った後にRRC_IDLEになる。次に、MTC UE11は、RRC_IDLEの間に他のセルにセル再選択(Cell reselection)を行う。そして、MTC UE11は、前回RRC_CONNECTEDになったセルとは別のセルで再びRRC_CONNECTEDになる。このとき、EPC14は、MTC UE11が新たに滞在しているセルを管理するeNB13に対して、MTC UE11がECMを実行していたか否かを示す情報(ECM status、履歴情報)を通知する。EPC14は、当該MTC UE11が過去にどのセルでECMを実行していたかを示すために、例えば物理セル識別子(Physical Cell Identity(PCI))又はグローバルセル識別子(Cell Global Identity(CGI))をeNB13に通知してもよい。
【0040】
図2は、本実施形態に係るMTC UE11、eNB13、及びコアネットワークノード141の動作の一例を示すシーケンス図である。コアネットワークノード141は、EPC14に配置されたノードである。コアネットワークノード141は、1つの物理的なエンティティであってもよいし複数のエンティティを含んでもよい。例えば、コアネットワークノード141は、MME若しくはHome Subscriber Server(HSS)又はこれら両方を含んでもよい。なお、
図2は、本実施形態の説明に必要なメッセージのみを記載しており、LTEで規定された手順に含まれるいくつかのメッセージの図示を省略している。
【0041】
図2のステップS101では、eNB13は、MTC UE11のためにECMに関するカバレッジ改善処理(e.g., PDSCH/PUSCHの繰り返し)を行うことを判定し、ECMの設定情報(ECM configuration)をMTC UE11に送信する。
図2の例では、ECM configuration は、RRC Connection Reconfigurationメッセージを用いて送信される。ステップS102では、MTC UE11は、eNB13から受信したECM configurationに従ってECMの実行(つまり、カバレッジ改善処理(e.g., 繰り返されるPDSCHの受信、PUSCHの繰り返し送信))を開始する(ECM start)。ステップS103では、MTC UE11は、ECM configurationに従ってデータ通信を行う(M2M data with ECM)。
【0042】
ステップS104では、eNB13は、MTC UE11をアイドル状態(RRC_IDLE)に戻すことが可能であると判断し、MTC UE11に関するS1-APシグナリングコネクション及びS1ベアラ(又は無線アクセスベアラ)の解放をコアネットワークノード141に要求する(S1 UE Context Release Request)。ステップS105では、コアネットワークノード141は、eNB13からの要求に応じてS1-APシグナリングコネクション及びS1ベアラを解放するが、MTC UE11においてECMが実行されていたことを示すECM状態情報(ECM status)を保持する(Store ECM status)。ECM状態情報(ECM status)は、上述の履歴情報に相当する。ECM状態情報(ECM status)は、MTC UE11のEPSベアラ・コンテキストと共にMMEにおいて保持されてもよい。また、ECM状態情報(ECM status)は、MMEを介してHSSに送信され、HSSにおいて保持されてもよい。ステップS106では、eNB13は、RRC_IDLEになる指示をMTC UE11に送信する(RRC Connection Release)。この指示の受信に応答して、MTC UE11は、RRC_CONNECTEDからRRC_IDLEになる。
【0043】
ステップS107では、MTC UE11は、周期的又は非周期的な通信タイミングが到来したことに応じて、通信を開始するために無線接続の確立要求をeNB13に送信する(RRC Connection Request)。MTC UE11は、耐遅延アクセスであることを示すために、“delayTolerantAccess”に指定されたEstablishment causeを伴うRRC Connection Requestを送信してもよい。図示されていない無線接続(RRC Connection)の確立手順の完了によって、MTC UE31は、RRC_CONNECTEDになる。
【0044】
ステップS108では、eNB13は、MTC UE11のためにEPSベアラの確立要求をコアネットワークノード141に送信する(Initial UE message)。このInitial UE messageは、MTC UE11からのNon-Access Stratum(NAS)メッセージ(e.g. NAS: Service Request、NAS: Attach Request)をカプセル化している。ステップS109では、コアネットワークノード141は、Initial UE message内にカプセル化されたNASメッセージの受信に応答して、MTC UE11のための無線アクセスベアラを確立するのに必要な情報をeNB13に送信する(Initial Context Setup Request)。
【0045】
ステップS109のメッセージは、例えば端末能力(UE radio capability)及びUEコンテキスト(UE context)を含んでもよい。このとき、UE contextは、MTC UE11が過去にECMを実行していたことを示すECM状態情報(ECM status)を含んでもよい。さらに、UE contextは、MTC UE11のモビリティ情報(mobility information)を含んでもよい。例えば、MTC UE11が過去にECMを実行していたことがECM状態情報において示され、且つMTC UE11が静止またはほぼ静止している端末であることがモビリティ情報において示されていることを条件として、eNB13はMTC UE11に対してECMを継続して実行することを決定してもよい。
【0046】
ステップS110では、eNB13は、MTC UE11にECMを実行させる為に、無線リソース設定情報(RRC Configuration)と共にECM設定情報(ECM configuration)を送信してもよい(RRC Connection Reconfiguration)。ステップS111では、MTC UE11は、eNB13からステップS110にて受信したECM設定情報、または以前に受信して保持していたECM設定情報を基にデータ通信を行う(M2M data with ECM)。
【0047】
<第2の実施形態>
本実施形態に係る無線通信システムの構成例は、第1の実施形態に関して説明された
図1と同様とすればよい。上述した第1の実施形態では、MTC UE11の通信においてECMに関するカバレッジ改善処理(e.g., PDSCH/PUSCHの繰り返し)が実行されていたか否かを示す履歴情報をeNB13がEPC14から受信する例を示した。これに代えて、本実施形態では、eNB23は、MTC UE21の通信においてECMに関するカバレッジ改善処理(e.g., PDSCH/PUSCHの繰り返し)が実行されていたか否かを示す履歴情報をMTC UE21から受信する。そして、eNB23は、MTC UE21から受信された履歴情報に基づいて、ECMに関するカバレッジ改善処理を伴うMTC UE21とeNB23の間の通信を制御する。例えば、eNB23は、過去にECMを実行していたことをMTC UE21から報告された場合、当該MTC UE21に引き続きECMを実行させ続けてもよいし、改めてECMの実行が必要か否かを判定してもよい。
【0048】
本実施形態に係るMTC UE21は、ECM実行の指示をeNB23から受信した場合に、RRC_CONNECTEDからRRC_IDLEになった後もECM設定情報(ECM configuration)を保持してもよいし、ECMを実行していたことを記憶しておくだけでもよい。そして、MTC UE21は、再びRRC_CONNECTEDになるとき、以前にECMを実行していたことをeNB23に報告する。さらに、MTC UE21は、RRC_CONNECTEDになる為のメッセージ(つまり、RRCコネクションの確立手順において送信されるメッセージ)を、ECMを実行しながら(つまり、ECMに特有のECMに関するカバレッジ改善処理を行いながら)送信又は受信してもよい。例えば、MTC UE21は、ECM特有の無線リソースをPRACHプリアンブルの送信のために使用してもよい。また、MTC UE21は、PRACHプリアンブルを自律的に繰り返し送信してもよい。
【0049】
本実施形態よれば、第1の実施形態と同様の効果が期待される。すなわち、本実施形態では、eNB23がMTC UE21の履歴情報(MTC UE21の過去の通信においてECMに関するカバレッジ改善処理が実行されていたか否かを示す)をMTC UE21自身から受信し、この履歴情報を用いてMTC UE21とのカバレッジ改善処理を伴う通信を制御する。したがって、eNB23は、MTC UE21に対してECMに関するカバレッジ改善処理(e.g., PDSCH/PUSCHの繰り返し)を適用するべきか否かを判定するために、MTC UE21の無線品質(e.g., RSRP、RSRQ、CQI)を取得してこれを分析することを必ずしも必要としない。なぜなら、eNB23は、eNB23と無線接続を確立したMTC UE21に対してECMが適用できるか又はECMのカバレッジ改善処理が有効であるか否かを履歴情報に基づいて判定できるためである。したがって、本実施形態は、MTC UE21に対してECMに関するカバレッジ改善処理を適用するべきか否かの判定に要する時間(遅延)を削減できる。
【0050】
次に、eNB23がMTC UE21の履歴情報をMTC UE21から受信するタイミングの例について説明する。例えば、eNB23は、MTC UE21との無線接続(RRC Connection)を確立する手順において、言い換えるとMTC UE21がアイドル状態(RRC_IDLE)からコネクテッド状態(RRC_CONNECTED)になるときに、履歴情報をMTC UE21から受信してもよい。これに代えて、eNB23は、MTC UE21とEPCの間のベアラ(EPSベアラ)の確立手順(e.g., attach procedure、service request procedure)が行われる間に、履歴情報をMTC UE21から受信してもよい。これらの例によれば、eNB23は、MTC UE21との無線接続の確立手順、又はベアラ確立手順において、MTC UE21に対してECMに関するカバレッジ改善処理を適用するべきか否かを速やかに判定することができる。
【0051】
また、第1の実施形態で述べたのと同様に、本実施形態では、MTC UE21は、移動性を有する端末(例えば、自動車、鉄道車両、又は船舶などの輸送機械に搭載される端末)であってもよい。この場合、MTC UE21は、あるeNB23のセルにおいてRRC_CONNECTEDでECMの実行を指示され、ECMを利用してデータ通信を行った後にRRC_IDLEになる。次に、MTC UE21は、RRC_IDLEの間に他のセルにセル再選択(Cell reselection)を行う。そして、MTC UE21は、前回RRC_CONNECTEDになったセルとは別のセルで再びRRC_CONNECTEDになる。このとき、MTC UE21は、自身が新たに滞在しているセルを管理するeNB23に対して、過去に自身がECMを実行していたか否かを示す情報(ECM status、履歴情報)を通知する。MTC UE21は、当該MTC UE21自身が過去にどのセルでECMを実行していたかを示すために、例えば物理セル識別子(PCI)又はグローバルセル識別子(CGI)をeNB23に通知してもよい。
【0052】
図3は、本実施形態に係るMTC UE21、eNB23、及びコアネットワークノード241の動作の一例を示すシーケンス図である。コアネットワークノード241は、EPCに配置されたノード(e.g., MME若しくはHSS又はこれら両方)である。
図3は、本実施形態の説明に必要なメッセージのみを記載しており、LTEで規定された手順に含まれるいくつかのメッセージの図示を省略している。
【0053】
図3のステップS201〜S203における処理は、
図2のステップS101〜S103における処理と同様である。ステップS204では、eNB23は、MTC UE21をアイドル状態(RRC_IDLE)に戻すことを決定し、MTC UE21に関するS1-APシグナリングコネクション及びS1ベアラ(又は無線アクセスベアラ)の解放をコアネットワークノード241に要求する(S1 UE Context Release Request)。コアネットワークノード241は、eNB23からの要求に応じてS1-APシグナリングコネクション及びS1ベアラを解放する。ステップS205では、eNB23は、RRC_IDLEになる指示をMTC UE21に送信する(RRC Connection Release)。この指示の受信に応答して、MTC UE21は、RRC_CONNECTEDからRRC_IDLEになる。
【0054】
ステップS206では、MTC UE21は、周期的又は非周期的な通信タイミングが到来したことに応じて、通信を開始するために無線接続の確立要求をeNB23に送信する(RRC Connection Request)。MTC UE21は、耐遅延アクセスであることを示すために、“delayTolerantAccess”に指定されたEstablishment causeを伴うRRC Connection Requestを送信してもよい。ステップS207では、MTC UE21は、過去にECMを実行していたことを示す履歴情報をeNB23に報告する。このとき、MTC UE21は、ECMを実行中であることeNB23に併せて報告してもよい。
【0055】
図3の例では、ステップS207の履歴情報は、RRC Connection Setup Completeメッセージを用いて送信される。RRC Connection Setup Completeメッセージは、RRCコネクションの確立手順で送信される最終メッセージであるから、ステップS207の履歴情報は、RRCコネクションの確立手順の間に送信されるということができる。また、RRC Connection Setup Completeメッセージは、NASメッセージ(e.g., NAS: Service Request、NAS: Attach Request)を包含する。つまり、NASメッセージを包含するRRC Connection Setup Completeメッセージは、ベアラ確立手順の中で送信される最初のメッセージであるから、ステップS207の履歴情報は、ベアラ確立手順の間に送信されるということもできる。
【0056】
ステップS208では、eNB23は、MTC UE21のためにEPSベアラの確立要求をコアネットワークノード241に送信する(Initial UE message)。ステップS209では、コアネットワークノード241は、Initial UE message内にカプセル化されたNASメッセージの受信に応答して、MTC UE21のための無線アクセスベアラを確立するのに必要な情報をeNB23に送信する(Initial Context Setup Request)。ステップS209のメッセージは、例えば端末能力(UE radio capability)を含んでもよい。
【0057】
ステップS210では、eNB23は、MTC UE21にECMを実行させる為に、無線リソース設定情報(RRC Configuration)と共にECM設定情報(ECM configuration)を送信してもよい(RRC Connection Reconfiguration)。ステップS211では、MTC UE21は、eNB23からステップS210にて受信したECM設定情報、または以前に受信して保持していたECM設定情報を基にデータ通信を行う(M2M data with ECM)。
【0058】
<第3の実施形態>
本実施形態に係る無線通信システムの構成例は、第1の実施形態に関して説明された
図1と同様とすればよい。本実施形態では、ECMに関するカバレッジ改善処理(e.g., PDSCH/PUSCHの繰り返し)を特定のMTC UE31に適用するか否かをeNB33において判定するための手法が説明される。本実施形態で説明される技術思想は、上述した第1又は第2の実施形態で説明された技術思想とは独立して使用されることができるし、これらの技術思想と組み合わせて使用されることもできる。
【0059】
本実施形態に係るeNB33は、MTC UE31の端末能力(UE capability)、MTC UE31の端末情報(UE information)、MTC UE31の通信特性(Communication performance)、及びMTC UE31の無線品質(Radio quality)のうち少なくとも1つと、MTC UE31から受信したアクセス要因(Access cause)とに基づいて、ECMに関するカバレッジ改善処理(e.g., PDSCH/PUSCHの繰り返し)を伴うMTC UE31とeNB33の間の通信を制御する。言い換えると、eNB33は、MTC UE31の端末能力、端末情報、通信特性、及び無線品質のうち少なくとも1つと、MTC UE31から受信したアクセス要因とに基づいて、ECMに関するカバレッジ改善処理(e.g., PDSCH/PUSCHの繰り返し)を当該MTC UE31に適用するか否かを判定する。
【0060】
アクセス要因、端末能力、端末情報、通信特性、及び無線品質の具体例を以下に述べる。ただし、アクセス要因、端末能力、端末情報、通信特性、及び無線品質の内容は、これらの例に限定されるものではない。
【0061】
アクセス要因は、例えば以下の2つのうち少なくとも1つを含んでもよい。
・RRC接続確立の目的(Establishment cause)
・サービス種別(Service type)
【0062】
RRC接続確立の目的は、例えば、(a)緊急呼(emergency)、(b)高優先度アクセス(highPriorityAccess)、(c)端末終端通信の為のアクセス(mt-Access)、端末発信によるシグナリング(mo-Signalling)、(d)端末発信によるデータ送信(mo-Data)、(e)耐遅延アクセス(delayTolerantAccess)、(f)低優先度アクセス(lowPriorityAccess)、(g)小データ通信の為のアクセス(smallDataAccess)、(h)小パケット通信の為のアクセス(smallPacketAccess)、(i)限定的なアクセス(limitedAccess)、(j)限定的なサービスの為のアクセス(limitedService)、(k)M2M型アクセス(m2mAccess)、又は(l)ECMによるアクセス(ecmAccess)、を指定してもよい。
【0063】
サービス種別は、例えば、(a)リアルタイムサービス、(b)ノンリアルタイムサービス、又は(c)M2M型通信、を指定してもよい。
【0064】
端末能力は、例えば以下の3つのうち少なくとも1つを含んでもよい。
・無線アクセス能力(Radio access capability)
・デバイス能力(Device capability)
・端末カテゴリ(UE category)
【0065】
無線アクセス能力は、例えば、(a)UEが3GPP LTEで規定されている端末機能をサポートしているか否かを示す情報(例えばフラグビット)、又は(b)UEがECMをサポートしているか否かを示す情報、を含んでもよい。UEがECMをサポートしているか否かを示すために、例えば、“EcmSupport”という情報要素(Information Element(IE))が定義されてもよい。例えば、“EcmSupport”のtrue値は、ECMがサポートされていること(Supported)を示し、false値はECMがサポートされていないこと(NotSupported)を示す。また、“EnhancedCoverageMode”というIEが定義されてもよい。例えば、EcmSupportがSupportedと設定されているとき、UEがECMをサポートしていることを表す。また、UEがECMを未サポートである場合、EcmSupportがNotSupportedと設定さてもよいし、当該IEが送信されないことで未サポートを示してもよい。
【0066】
デバイス能力は、例えば、(a)UEがMTC UEであることを示す情報、(b)UEの通信性能が(通常UEに比べて)制限されていることを示す情報、又は(c)特定の通信(例えばM2M型通信)のみを行うことを示す情報、を含んでもよい。
【0067】
端末カテゴリは、(a)3GPP LTEで規定される端末カテゴリのうちのいずれかを示す情報、又は(b)3GPP LTEで規定されるアクセス階級(Access Class)のいずれかを示す情報、を含んでもよい。端末カテゴリ又はアクセス階級は、M2M型通信を行うMTC UE用に新たに規定してもよい。例えば、低コストで実装する為に機能制限されたMTC UEに対する新規カテゴリ(e.g., category 0)が規定されてもよいし、低頻度で通信を行うことを前提とする又は低頻度の通信のみを許可するアクセス階級(AC)が新たに規定されてもよい。
【0068】
端末情報は、例えば以下の3つのうち少なくとも1つを含んでもよい。
・端末種別(UE type)
・デバイス種別(Device type)
・端末コンテキスト(UE context)
【0069】
端末種別は、例えば、(a)UEが通常のUE(非MTC UE)とMTC UEのどちらであるかを示す情報、(b)UEが移動するか否かを示す情報(又はUEが移動しないことを示す情報)、又は(c)UEへの電力供給(power supply)があるか否かを示す情報、を含んでもよい。
【0070】
デバイス種別は、例えば、(a)UEに実装されたOperating System(OS)の種別を示す情報、又は(b)UEが行うM2M型通信の種別を示す情報(つまり、M2Mのサブカテゴリ情報)、を含んでもよい。
【0071】
端末コンテキストは、例えば、(a)上述の端末能力の情報、(b)UEに設定されたRRC制御情報(RadioResrouceConfigCommon IE及びRaioResourceConfigDediacted IEに含まれる情報等)、(c)UEのモビリティに関する情報(mobility information)、(d)UEがECMを実行しているか否かを示す情報(ECM execution information)、又は(e)UEが以前(例えば前回RRC_CONNECTEDのとき)にECMを実行していたか否かを示す情報(ECM status information)、を含んでもよい。
【0072】
通信特性は、例えば以下の2つのうち少なくとも1つを含んでもよい。
・特性測定結果(Performance measurement result (e.g., L2 measurement))
・通信統計品質(Statistical communication quality (e.g., KPI))
【0073】
特性測定結果は、例えば、(a)eNB33(またはOperation Administration and Maintenance(OAM))におけるスループット測定結果(e.g., Scheduled IP Throughput)、(b)パケットロス測定結果(Packet Loss Rate)、又は(c)パケット廃棄測定結果(Packet Discard Rate)、を含んでもよい。
【0074】
通信統計品質は、例えば、(a)ハンドオーバ試行回数若しくはハンドオーバ試行率、(b)ハンドオーバ成功率若しくはハンドオーバ失敗率、(c)通信間隔若しくは通信頻度、(d)パケット発生間隔若しくはパケット発生頻度、(e)パケット到着間隔(packet inter-arrival time)若しくはパケット到着頻度(packet inter-arrival rate)、(f)アクセス間隔若しくはアクセス頻度、又は(g)RRC接続確立若しくはNAS接続確立の間隔若しくは頻度、を含んでもよい。
【0075】
無線品質は、例えば以下の2つのうち少なくとも1つを含んでもよい。
・参照信号の受信品質(Reference Signal (RS) received quality)
・通信路品質指標(CQI)
【0076】
参照信号(RS)の受信品質は、例えば、(a)UEにおける下りRSの受信電力(RSRP)、(b)受信品質(RSRQ)、若しくは受信電力強度(RSSI)、又は(b)UEが送信する上り参照信号(Sounding Reference Signal: SRS)のeNB33における受信電力、を含んでもよい。
【0077】
eNB33は、上述したMTC UE31の端末能力又は端末情報をMTC UE31自身から受信してもよいし、EPCから受信してもよい。
【0078】
本実施形態よれば、以下に述べる効果が期待される。すなわち、仮に、ECMに関するカバレッジ改善処理をMTC UE31に適用するか否かをそのMTC UE31のアクセス要因のみに基づいて判定したのでは、各MTC UE31の状況を十分に考慮することができない問題がある。既に述べたように、想定されているECMに関するカバレッジ改善処理のうち、RACHの繰り返し並びにPDSCH/PUSCHの繰り返しは各MTC UEに個別に適用される。そして、MTC UEに個別に適用されるカバレッジ改善処理(例えば、RACHの繰り返し、PDSCH/PUSCHの繰り返し)は、ECMを行うMTC UEの数が増加するほど多くの無線リソースを消費する。このため、ECMを実行するべきか否かの判定は、MTC UE個別の状況を考慮して行われることが好ましい。本実施形態のeNB33は、ECMを実行するべきか否かの判定において、MTC UE31のアクセス要因だけでなく、MTC UE31の端末能力、端末情報、通信特性、及び無線品質のうち少なとも1つをさらに考慮する。したがって、本実施形態は、ECMを実行するべきか否かをMTC UE個別の状況を考慮して行うことができる。
【0079】
図4は、本実施形態に係るMTC UE31、eNB33、及びコアネットワークノード341の動作の一例を示すシーケンス図である。コアネットワークノード341は、EPCに配置されたノード(e.g., MME若しくはHSS又はこれら両方)である。
図4の例では、eNB33は、MTC UE31のアクセス要因(例えばEstablishment cause)、端末能力(例えばUE radio access capability)、及び端末情報(例えばUE type)に基づいて、ECMに関するカバレッジ改善処理をMTC UE31に適用するか否かを判定する。なお、
図4は、本実施形態の説明に必要なメッセージのみを記載しており、LTEで規定された手順に含まれるいくつかのメッセージの図示を省略している。
【0080】
図4に示されたMTC UE31の初期状態は、RRC_IDLEである。ステップS301では、MTC UE31は、周期的又は非周期的な通信タイミングが到来したことに応じて、通信を開始するために無線接続の確立要求をeNB23に送信する(RRC Connection Request)。MTC UE31は、耐遅延アクセスであることを示すために、“delayTolerantAccess”に指定されたEstablishment causeを伴うRRC Connection Requestを送信してもよい。図示されていない無線接続(RRC Connection)の確立手順の完了によって、MTC UE31は、RRC_CONNECTEDになる。
【0081】
ステップS302では、eNB33は、MTC UE31のためにEPSベアラの確立要求をコアネットワークノード341に送信する(Initial UE message)。このInitial UE messageは、MTC UE31からのNon-Access Stratum(NAS)メッセージ(e.g. NAS: Service Request)をカプセル化している。ステップS303では、コアネットワークノード341は、Initial UE message内にカプセル化されたNASメッセージの受信に応答して、MTC UE31のための無線アクセスベアラを確立するのに必要な情報をeNB33に送信する(Initial Context Setup Request)。ステップS303のメッセージは、例えば端末能力(UE radio capability)若しくは端末種別(UE type)又はこれら両方を含んでもよい。
【0082】
ステップS304では、eNB33は、必要に応じて、端末能力の送信をMTC UE31に要求する(UE Capability Enquiry)。ステップS305では、eNB33からの要求に応答して、MTC UE31は自身の端末能力をeNB33に報告する(UE Capability Information)。ステップS305のメッセージは、例えばUE-EUTRA-capabilityを含んでもよい。
【0083】
ステップS306では、eNB33は、MTC UE31にECMを実行させるか否か(言い換えると、ECMに関するカバレッジ改善処理MTC UEに31に適用するか否か)を決定する(ECM decision)。一例として、eNB33は、MTC UE31のestablishment causeがdelayTolerantAccessを示し、且つMTC UE31のradio access capabilityがECMをサポートしていることを示すことを条件として、MTC UE31にECMを実行させることを決定してもよい。
【0084】
ステップS307では、eNB33は、MTC UE31にECMを実行させる為に、無線リソース設定情報(RRC Configuration)と共にECM設定情報(ECM configuration)を送信する。ステップS308では、MTC UE31は、eNB13から受信した無線リソース設定情報及びECM設定情報に従ってECMを開始する(ECM start)。ステップS309では、MTC UE31は、ECMに関するカバレッジ改善処理を行いながらデータ通信を行う(M2M data with ECM)。
【0085】
図4に示された手順は一例である。一例として、eNB33は、アクセス要因(e.g., Establishment cause)、端末能力(e.g., UE radio access capability)、端末情報(e.g., UE type)に加えて、通信特性若しくは無線品質又はこれら両方をさらに考慮してもよい。具体的には、eNB33は、始めに、MTC UE31のアクセス要因、端末能力、及び端末情報に基づいて、当該MTC UE31にECMを実行させることを決定してもよい。そしてその後に、eNB33は、MTC UE31の通信特性若しくは無線品質又はこれら両方に基づいて、当該MTC UE31にECMを実行させ続けるか否かを判定してもよい。このように、eNB31がMTC UE31の通信特性又は無線品質を考慮することで、ECMの実行が必要であるか否かの判定をより適切にすることができる。
【0086】
例えば、eNB33は、MTC UE31の通信特性としてハンドオーバ試行回数(又は試行率)を取得し、それを基にMTC UE31が静止またはほぼ静止していると判定した場合にはECMの実行を継続してもよい。反対に、MTC UE31が移動していると判定した場合には、eNB33は、MTC UE31のECMの実行を中断(又は中止)してもよい。これに代えて又はこれと組み合わせて、eNB33は、MTC UE31の無線品質としてRSRPやCQIを取得し、それらが所定閾値よりも小さいと判定した場合にECMの実行を継続してもよい。反対に、MTC UE31の無線品質が所定閾値よりも大きいと判定した場合には、eNB33は、MTC UE31のECMの実行を中断(又は中止)してもよい。
【0087】
また他の例として、eNB33は、MTC UE31にECMを実行させるか否かを始めに判定するときに、MTC UE31の通信特性若しくは無線品質又はこれら両方を取得し、これらを考慮してMTC UE31にECMを実行させるか否かを判定してもよい。このとき、eNB31は、MTC UE31の通信特性又は無線品質を新たに計測するのではなく、eNB31又は他のネットワーク装置(e.g., OAM又はMME)に保存されていたMTC UE31の過去の通信特性又は無線品質を利用してもよい。これにより、MTC UE31にECMを実行させるか否かの判定が遅くなることでMTC UE31の通信特性が劣化することを回避できる。
【0088】
<第4の実施形態>
本実施形態では、ECMをサポートするMTC UEのハンドオーバに関する制御が説明される。
図5は、本実施形態に係る無線通信システムの構成例を示している。
図5を参照すると、当該無線通信システムは、MTC UE41、eNB43、eNB45、及びEPC44を含む。MTC UE41は、例えば自動車、鉄道車両、又は船舶などの輸送機械に搭載され、したがって移動性を有する。なお、
図5は、ヘテロジーニアス・ネットワーク(HetNet)の例を示している。すなわち、eNB43はセル430を管理し、eNB45はセル430に比べて狭い範囲をカバーするセル450を管理する。例えば、eNB43はマクロ基地局であり、eNB45はピコ基地局である。しかしながら、本実施形態は、セル430とセル450が同程度の大きさを持つホモジーニアス・ネットワークに適用されてもよい。
【0089】
続いて以下では、本実施形態に係るECMのための通信制御について説明する。本実施形態に係るeNB43は、ECMを実行中のMTC UE41が自身のセル430から隣接セル450にハンドオーバする際に、MTC UE41がECMを実行していること(言い換えると、ECMに関するカバレッジ改善処理を実行していること)をeNB45に通知する。eNB43は、MTC UE41のためのハンドオーバ要求をeNB45に送信する際に、MTC UE41がECMを実行していること(言い換えると、ECMに関するカバレッジ改善処理を実行していること)をeNB45に通知してもよい。eNB45は、eNB43からの通知に基づいて、MTC UE41とeNB45の間のECMを伴う通信を制御してもよい。例えば、eNB45は、MTC UE41とeNB45の間の通信にECMを適用するか否かをeNB43からの通知に基づいて判定してもよい。
【0090】
本実施形態よれば、以下に述べる効果が期待される。すなわち、本実施形態では、ハンドオーバのソース基地局(つまり、eNB43)は、MTC UE41がECMを実行しているか否かをターゲット基地局(つまり、eNB45)に通知する。したがって、ターゲット基地局(eNB45)は、MTC UE41に対してECMに関するカバレッジ改善処理(e.g., PDSCH/PUSCHの繰り返し)を適用するべきか否かを判定するために、MTC UE41の無線品質(e.g., RSRP、RSRQ、CQI)を取得してこれを分析することを必ずしも必要としない。なぜなら、ターゲット基地局(eNB45)は、ハンドオーバするMTC UE41に対してECMが適用できるか又はECMのカバレッジ改善処理が有効であるか否かを、ソース基地局(eNB43)からの通知に基づいて判定できるためである。したがって、本実施形態は、ハンドオーバするMTC UE41に対してターゲット基地局(ターゲットセル)においてECMに関するカバレッジ改善処理を適用するべきか否かの判定に要する時間(遅延)を削減できる。
【0091】
図6は、本実施形態に係るMTC UE41、eNB43、及びeNB45の動作の一例を示すシーケンス図である。
図6は、本実施形態の説明に必要なメッセージのみを記載しており、LTEで規定された手順に含まれるいくつかのメッセージの図示を省略している。ステップS401では、MTC UE41は、eNB43のセル430に滞在している。eNB43は、MTC UE41にECMの設定情報(ECM configuration-1)を送信する。
図6の例では、ECM configuration-1は、RRC Connection Reconfigurationメッセージを用いて送信される。ステップS402では、MTC UE41は、eNB43から受信したECM configurationに従ってECMの実行(つまり、カバレッジ改善処理(e.g., 繰り返されるPDSCHの受信、PUSCHの繰り返し送信))を開始する(ECM start)。ステップS403では、MTC UE41は、ECM configurationに従ってデータ通信を行う(M2M data with ECM)。
【0092】
ステップS404では、eNB43は、MTC UE41を自身のセル430から隣接するeNB45のセル450にハンドオーバさせることを決定する(HO decision)。ステップS405では、eNB43は、MTC UE41のためのハンドオーバ要求をeNB45に送信する(Handover Request)。ステップS405で送信されるハンドオーバ要求は、ハンドオーバ対象となるMTC UE41がECMを実行していることを示す情報(ECM activated)を含む。
【0093】
ステップS406では、eNB43は、MTC UE41の受け入れが可能である場合、eNB43にハンドオーバ要求への承諾メッセージを送信する(Handover Request Acknowledge)。ステップS406で送信される承諾メッセージは、ターゲットセル450におけるECMの実行に必要なECM設定情報(ECM configuration-2)を含んでもよい。
【0094】
ステップS407では、eNB43は、eNB45からの承諾メッセージの受信に応じて、MTC UE41にハンドオーバ指示を送信する(RRC Connection Reconfiguration)。ステップS407で送信されるメッセージ(RRC Connection Reconfiguration)は、ターゲットセル450におけるECMの実行に必要なECM設定情報(ECM configuration-2)を含んでもよい。
【0095】
ステップS408では、MTC UE41は、セル430からセル450へのハンドオーバを実行し、ハンドオーバ完了のメッセージをターゲットeNB45に送信する(RRC Connection Reconfiguration Complete/ Handover confirm)。図示していないが、MTC UE41は、ステップS408で自身がECMを実行していたことを示す情報をeNB45に送信してもよい。ステップS409では、MTC UE41は、ステップS407にてソースeNB43から受信したターゲットセル450に関するECM設定情報(ECM configuration-2)に従ってデータ通信を行う(M2M data with ECM)。
【0096】
図6は、ソースeNB43とターゲットeNB45の間に設けられたeNB間の直接インタフェース(つまり、X2 interface)を介してハンドオーバ要求メッセージ及びハンドオーバ要求への承諾メッセージが送信される例を示した。しかしながら、ハンドオーバに関するメッセージは、eNB43及び45の各々とEPC44(つまり、MME)の間のインタフェース(つまり、S1-MME interface)を介して送信されてもよい。すなわち、MTC UE41がECMを実行していることの通知(ソースeNB43からターゲットeNB45)、及びターゲットセル450に関するECM設定情報(ターゲットeNB45からソースeNB43)は、EPC44を介して送信されてもよい。
【0097】
<第5の実施形態>
本実施形態では、隣接するeNB間でのECMサポート情報の共有について説明される。本実施形態に係るeNB53は、自身のセル530がECM(言い換えると、ECMに関するカバレッジ改善処理)をサポートしているか否かを、eNB55に通知する。なお、eNB55は、eNB53のセルの隣接セルを管理する基地局である。さらに、eNB53は、eNB55のセル550においてECM(言い換えると、ECMに関するカバレッジ改善処理)がサポートされているか否かをeNB55から通知される。ECMをサポートしているか否かは、基地局単位(つまりeNB53又は55の全てのセルでサポート)で示されてもよいし、セル単位(つまりeNB53又は55の一部のセルでサポート、その他のセルでは未サポート)で示されてもよい。
【0098】
本実施形態よれば、以下に述べる効果が期待される。仮にサービングeNBが隣接eNB(隣接セル)におけるECMのサポート有無を知らなければ、サービングeNBは、ECMをサポートしている又はECMを実行しているMTC UEをハンドオーバ又はセル再選択によって隣接セルに帰属させることが有効であるか否かを十分に判断することができないおそれがある。例えば、サービングeNB(サービングセル)がECMをサポートしており、隣接eNB(隣接セル)がECMをサポートしていない場合、サービングeNBは自セルにおいてECMを実行しているMTC UEを隣接セルにハンドオーバさせないほうが当該MTC UEの通信特性の確保する上で有効であるかもしれない。これとは反対に、サービングeNB(サービングセル)がECMをサポートしておらず、隣接eNB(隣接セル)がECMをサポートしている場合、サービングeNBはECMをサポートしているMTC UEをハンドオーバ又はセル再選択によって隣接セルに帰属させるべきであるかもしれない。本実施形態ついてみると、eNB53及びeNB55は、ECMサポート有無を互いに知ることができる。したがって、eNB53及び55は、ECMをサポートしているMTC UE51が適切なセルに滞在する又は適切なセルで通信を行うことに寄与することができる。
【0099】
例えば、eNB53のセル530がECMをサポートしておらず、eNB55のセル550がECMをサポートしている場合、eNB53は、ECMをサポートしているMTC UEが隣接セル550に移動しやすくするように当該MTC UEに通知されるハンドオーバ・パラメータ又はセル再選択パラメータを調整すればよい。例えば、隣接セル550の無線品質に作用するCell Individual Offset(CIO)を大きくしてもよい。CIOは、LTEのハンドオーバ・パラメータの1つであり、CIOを大きくすることは、MTC UE51のハンドオーバをトリガーする測定報告の送信条件を成立しやすくする。また、隣接セル550の無線品質に作用するQoffsetを小さくしてもよい。Qoffset は、LTEのセル再選択パラメータの1つであり、Qoffsetを小さくすることは、MTC UE51が隣接セル550を再選択する条件を成立しやすくする。
【0100】
図7は、本実施形態に係るeNB53及びeNB55の動作の一例を示すシーケンス図である。
図7は、本実施形態の説明に必要なメッセージのみを記載しており、LTEで規定された手順に含まれるいくつかのメッセージの図示を省略している。
【0101】
ステップS501では、eNB53は、自身のセル530に隣接する(又は周辺の)セル550を管理するeNB55と直接インタフェース(X2 interface)の確立をトリガーされる(X2 setup Triggered)。ステップS502では、eNB53は、X2 interfaceの確立要求をeNB55に送信する(X2 Setup Request)。ステップS502のメッセージは、eNB53のセル530においてECMがサポートされている否かを示す。
図7の例では、eNB53は、ECMをサポートしていることを示す情報(ECM supported)を送信する。ECMをサポートしているか否かは、基地局単位(つまりeNB53の全てのセルでサポート)で示されてもよいし、セル単位(つまりeNB53の一部のセルでサポート、その他のセルでは未サポート)で示されてもよい。
【0102】
ステップS503では、eNB55は、eNB53からのX2 interfaceの確立要求に対する応答メッセージを送信する(X2 Setup Response)。ステップS503の応答メッセージは、eNB55のセル550においてECMがサポートされている否かを示す。
図7の例では、セル550はECMをサポートしていないため、ステップS503の応答メッセージは、ECMがサポートされていることを示す情報を含まない。なお、ステップS503の応答メッセージは、ECMがサポートされていないことを明示的に示す情報を含んでもよい。
【0103】
その後、ステップS504では、eNB55の設定が更新され、eNB55がECMをサポートするようになる。したがって、ステップS505では、eNB55は、eNB設定の更新があったことをeNB53に通知する(ENB Configuration Update)。ステップS505のメッセージは、eNB55のセル550においてECMがサポートされていることを示す情報(ECM supported)を含む。ECMをサポートしているか否かは、基地局単位(つまりeNB55の全てのセルでサポート)で示されてもよいし、セル単位(つまりeNB55の一部のセルでサポート、その他のセルでは未サポート)で示されてもよい。ステップS506では、eNB53は、eNB53からのeNB設定の更新通知に対する応答メッセージを送信する(ENB Configuration Update Acknowledge)。
【0104】
最後に上述の実施形態に係るMTC UE、eNB、及びコアネットワークノード(e.g., MME若しくはHSS又はこれら両方)の構成例について説明する。第1〜第5の実施形態で説明されたMTC UE11、21、31、及び41の各々は、eNBと通信するためのトランシーバ、及び当該トランシーバに結合されたコントローラを含んでもよい。コントローラは、第1〜第5の実施形態で説明されたMTC UE11、21、31、又は41によるECMに関する通信制御を実行する。
【0105】
第1〜第5の実施形態で説明されたeNB13、23、33、43、45、53、及び55の各々は、MTC UEを含む複数のUEと通信するためのトランシーバ、及び当該トランシーバに結合されたコントローラを含んでもよい。コントローラは、第1〜第5の実施形態で説明されたeNB13、23、33、43、45、53、又は55によるECMに関する通信制御を実行する。
【0106】
第1〜第5の実施形態で説明されたコアネットワークノード141、241、及び341は、eNBと通信するためのインタフェース、及び当該インタフェースに結合されたコントローラを含んでもよい。コントローラは、第1〜第5の実施形態で説明されたコアネットワークノード141、241、又は341によるECMに関する通信制御を実行する。
【0107】
図8〜
図10は、第1の実施形態に係るMTC UE11、eNB13、及びコアネットワークノード141の構成例を示すブロック図である。
図8を参照すると、MTC UE11は、トランシーバ111及びコントローラ112を含む。トランシーバ111は、eNB13と通信するよう構成されている。コントローラ112は、eNB13からの指示に従って、MTC UE11におけるECMに関するカバレッジ改善処理の実行を制御するよう構成されている。
【0108】
図9を参照すると、eNB13は、トランシーバ131及びコントローラ132を含む。トランシーバ131は、MTC UE11及び通常のUE12を含む複数のUEと通信するよう構成されている。コントローラ132は、MTC UE1とeNB13の間のECMに関するカバレッジ改善処理を伴う通信を制御するよう構成されている。具体的には、コントローラ132は、MTC UE(M2M端末)11の通信においてECMに関するカバレッジ改善処理(e.g., PDSCH/PUSCHの繰り返し)が実行されていたか否かを示す履歴情報をEPC14から受信する。そして、コントローラ132は、EPC14から受信された履歴情報に基づいて、ECMに関するカバレッジ改善処理を伴うMTC UE11とeNB13の間の通信を制御する。
【0109】
図10を参照すると、コアネットワークノード141は、インタフェース1411及びコントローラ1412を含む。インタフェース1411は、制御メッセージをeNB13との間で送受信するために利用される。コントローラ1412は、インタフェース1411を介してeNB13とシグナリング・メッセージを送受信するよう構成されている。具体的には、コントローラ1412は、MTC UE11とEPC14の間のEPSベアラを確立する手順が行われる間に、当該MTC UE11の通信において所定のカバレッジ改善処理が実行されていたか否かを示す履歴情報をインタフェース1411を介してeNB13に送信する。
【0110】
上述の実施形態に係るMTC UE、eNB、及びコアネットワークノードが有するコントローラの各々は、少なくとも1つのプロセッサ(e.g. マイクロプロセッサ、Micro Processing Unit(MPU)、Central Processing Unit(CPU))を含むコンピュータにプログラムを実行させることによって実現されてもよい。具体的には、シーケンス図等を用いて説明されたMTC UE、eNB、又はコアネットワークノードに関するアルゴリズムをコンピュータに行わせるための命令群を含む1又は複数のプログラムをコンピュータに供給すればよい。
【0111】
このプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、Compact Disc Read Only Memory(CD-ROM)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、Programmable ROM(PROM)、Erasable PROM(EPROM)、フラッシュROM、Random Access Memory(RAM))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0112】
<その他の実施形態>
上述の実施形態では、MTC UEにおいて特別な動作モード、つまりEnhanced Coverage Mode(ECM)が設定され、ECMに関するカバレッジ改善処理(e.g., RACHの繰り返し、PDSCH/PUSCHの繰り返し)がMTC UEにおいて行われることを前提として説明された。しかしながら、MTC UEは、特別なカバレッジ改善処理(e.g., RACHの繰り返し、PDSCH/PUSCHの繰り返し)を実行できるよう構成されていればよく、特別な動作モード(つまり、ECM)を設定されることは必ずしも必要ではない。言い換えると、MTC UE11、21、31、及び41は、ECMのような特別な動作モードを設定することなく、或いは特別な動作モードを指示されることなく、無線リソース設定を行うことで特別なカバレッジ改善処理(e.g., RACHの繰り返し、PDSCH/PUSCHの繰り返し)を実行してもよい。
【0113】
また、上述の実施形態ではECMを想定していたが、これらの実施形態で説明された技術思想は、ECMとは異なる何らかの特別な処理を無線ネットワーク(例えばeNB)がM2M端末(MTC UE)に実行させる場合に適用されてもよい。
【0114】
また、上述の実施形態では、通常端末(UE)とM2M端末(MTC UE)を例に説明してきたが、それぞれユーザ端末(user terminal)と非ユーザ端末(non-user terminal)とも呼ばれる。
【0115】
また、上述の実施形態では、主にLTEシステムに関して説明を行った。しかしながら、これらの実施形態は、LTEシステム以外の無線通信システム、例えば、3GPP UMTS、3GPP2 CDMA2000システム(1xRTT, HRPD)、GSM/GPRSシステム、又はWiMAXシステム等に適用されてもよい。
【0116】
上述の実施形態が3GPP UMTSに適用される場合、上述の実施形態におけるeNB(eNB13、23、33、43、45、53、又は55)の動作は、NodeB若しくはRNC又はこれらの組み合わせによって行われてもよい。言い換えると、本明細書及び請求の範囲において使用される基地局との用語は、無線アクセスネットワークに配置される1つ又は複数のエンティティを意味し、一例においてUMTSのNodeB若しくはRNC又はこれらの組み合わせを意味する。
【0117】
さらに、上述した実施形態は本件発明者により得られた技術思想の適用に関する例に過ぎない。すなわち、当該技術思想は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、種々の変更が可能であることは勿論である。
【0118】
例えば、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0119】
(付記1)
M2M端末と通信する無線通信手段と、
前記M2M端末の端末能力、前記M2M端末の端末情報、前記M2M端末の通信特性、及び前記M2M端末の無線品質のうち少なくとも1つと、前記M2M端末から受信したアクセス要因とに基づいて、前記M2M端末と前記無線通信手段の間の所定のカバレッジ改善処理を伴う通信を制御する制御手段と、
を備える基地局装置。
【0120】
(付記2)
前記制御は、前記M2M端末と前記無線通信手段の間の通信において前記所定のカバレッジ改善処理を実行するか否かを決定することを含む、付記1に記載の基地局装置。
【0121】
(付記3)
前記制御は、前記所定のカバレッジ改善処理の実行を前記M2M端末に指示することを含む、付記1又は2に記載の基地局装置。
【0122】
(付記4)
前記制御手段は、さらに、前記所定のカバレッジ改善処理を前記M2M端末において実行中であることを示す通知を前記M2M端末から受信した場合に、前記M2M端末と前記無線通信手段の間の前記所定のカバレッジ改善処理を伴う通信を前記通知に基づいて制御する、付記1〜3のいずれか1項に記載の基地局装置。
【0123】
(付記5)
前記通知は、前記M2M端末との無線接続を確立する際に、又は前記M2M端末とコアネットワークの間のベアラを確立する手順が行われる間に前記M2M端末から前記基地局装置に送信される、付記4に記載の基地局装置。
【0124】
(付記6)
前記端末能力は、無線アクセス能力(Radio access capability)、デバイス能力(Device capability)、及び端末カテゴリ(UE category)のうち少なくとも1つを含む、付記1〜5のいずれか1項に記載の基地局装置。
【0125】
(付記7)
前記端末情報は、端末種別(UE type)、デバイス種別(Device type)、及び端末コンテキスト(UE context)のうち少なくとも1つを含む、付記1〜6のいずれか1項に記載の基地局装置。
【0126】
(付記8)
前記端末コンテキストは、前記端末能力に関する情報、前記M2M端末に設定されたRadio Resource Controlコネクション情報、前記M2M端末のモビリティに関する情報、及び前記M2M端末の通信において前記所定のカバレッジ改善処理が実行されていたか否かを示す履歴情報、のうち少なくとも1つを含む、付記7に記載の基地局装置。
【0127】
(付記9)
前記制御手段は、さらに、前記基地局装置のセルから隣接セルへの前記M2M端末のハンドオーバの際に、前記M2M端末が前記所定のカバレッジ改善処理を実行していることを隣接基地局に通知する、付記1〜8のいずれか1項に記載の基地局装置。
【0128】
(付記10)
前記制御手段は、さらに、前記基地局装置において前記所定のカバレッジ改善処理がサポートされているか否かを隣接基地局に通知し、前記隣接基地局において前記所定のカバレッジ改善処理がサポートされているか否かを前記隣接基地局から通知される、付記1〜9のいずれか1項に記載の基地局装置。
【0129】
(付記11)
Machine-to-machine(M2M)通信を行うM2M端末であって、
基地局と通信する無線通信手段と、
制御手段と、
を備え、
前記基地局は、前記M2M端末の端末能力、前記M2M端末の端末情報、前記M2M端末の通信特性、及び前記M2M端末の無線品質のうち少なくとも1つと、前記M2M端末から受信したアクセス要因とに基づいて、前記M2M端末と前記基地局の間の所定のカバレッジ改善処理を伴う通信を制御するよう構成され、
前記制御手段は、前記無線通信手段を介して前記基地局に前記アクセス要因を送信し、前記所定のカバレッジ改善処理の実行の指示を前記基地局から受信する、
M2M端末。
【0130】
(付記12)
前記制御手段は、さらに、前記所定のカバレッジ改善処理の実行を指示された場合、前記所定のカバレッジ改善処理の停止の指示があるまで前記所定のカバレッジ改善処理を継続する、付記11に記載のM2M端末。
【0131】
(付記13)
前記制御手段は、さらに、前記所定のカバレッジ改善処理の実行を指示された場合、前記基地局との無線接続を解放した後も前記所定のカバレッジ改善処理を継続する、付記11に記載のM2M端末。
【0132】
(付記14)
前記制御手段は、さらに、前記所定のカバレッジ改善処理の実行を指示された場合、前記基地局との無線接続の確立と解放を繰り返す間も前記所定のカバレッジ改善処理を継続する、付記11に記載のM2M端末。
【0133】
(付記15)
前記制御手段は、さらに、前記基地局との無線接続を確立する際に、前記M2M端末において前記所定のカバレッジ改善処理が実行されているか否かを示す通知を前記基地局に送信する、付記12〜14のいずれか1項に記載のM2M端末。
【0134】
(付記16)
基地局により行われる方法であって、
M2M端末の端末能力、前記M2M端末の端末情報、前記M2M端末の通信特性、及び前記M2M端末の無線品質のうち少なくとも1つと、前記M2M端末から受信したアクセス要因とに基づいて、前記M2M端末と前記基地局の間の所定のカバレッジ改善処理を伴う通信を制御すること、
を備える方法。
【0135】
(付記17)
基地局を介してMachine-to-machine(M2M)通信を行うM2M端末により行われる方法であって、
前記基地局は、前記M2M端末の端末能力、前記M2M端末の端末情報、前記M2M端末の通信特性、及び前記M2M端末の無線品質のうち少なくとも1つと、前記M2M端末から受信したアクセス要因とに基づいて、前記M2M端末と前記基地局の間の所定のカバレッジ改善処理を伴う通信を制御するよう構成され、
前記方法は、
前記基地局に前記アクセス要因を送信すること、及び
前記所定のカバレッジ改善処理の実行の指示を前記基地局から受信すること、
を備える方法。
【0136】
(付記18)
基地局に関する方法をコンピュータに行わせるためのプログラムであって、
前記方法は、M2M端末の端末能力、前記M2M端末の端末情報、前記M2M端末の通信特性、及び前記M2M端末の無線品質のうち少なくとも1つと、前記M2M端末から受信したアクセス要因とに基づいて、前記M2M端末と前記基地局の間の所定のカバレッジ改善処理を伴う通信を制御することを備える、
プログラム。
【0137】
(付記19)
基地局を介してMachine-to-machine(M2M)通信を行うM2M端末に関する方法をコンピュータに行わせるためのプログラムであって、
前記基地局は、前記M2M端末の端末能力、前記M2M端末の端末情報、前記M2M端末の通信特性、及び前記M2M端末の無線品質のうち少なくとも1つと、前記M2M端末から受信したアクセス要因とに基づいて、前記M2M端末と前記基地局の間の所定のカバレッジ改善処理を伴う通信を制御するよう構成され、
前記方法は、
前記基地局に前記アクセス要因を送信すること、及び
前記所定のカバレッジ改善処理の実行の指示を前記基地局から受信すること、
を備える、プログラム。
【0138】
この出願は、2014年1月30日に出願された日本出願特願2014−015868を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。