(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、
図1〜
図4を参照して、一実施形態について説明する。
図1に示すように、建物の壁は、互いに間隔をおいて対向配置された第1壁71と第2壁72とを有している。第1壁71及び第2壁72には、断面円形状の第1貫通孔81及び第2貫通孔82が同一軸線上にそれぞれ形成されている。
【0014】
本実施形態の配管システムは、貫通孔81,82に挿通されるパイプ30、パイプ30の第1端31が接続され、第1貫通孔81の第1開口91から第1壁71の外部に突出するエルボ状の第1継手10、及びパイプ30の第2端32が接続され、第2貫通孔82の第2開口92から第2壁72の外部に突出する座付きの第2継手20を備えている。
【0015】
次に、配管システムの各構成について詳細に説明する。
<パイプ30>
図1及び
図2に示すように、パイプ30は、円筒状をなしており、例えば架橋ポリエチレンやポリブテンなどの合成樹脂材料により形成されている。パイプ30は、第1壁71と第2壁72との間隔に対応した所定の長さに切断されている。
【0016】
<第1継手10>
図1に示すように、第1継手10は、直角に屈曲された円筒状の本体11を有している。本体11の第1端部12には、内筒部121及び外筒部122が形成されている。また、本体11の第2端部13には、内筒部131及び外筒部132が形成されている。
【0017】
本実施形態では、第1端部12と第2端部13とが同一の形状を有していることから、以降において、第1端部12の説明をすることにより第2端部13についての重複する説明を省略する。
【0018】
第1端部12を構成する内筒部121及び外筒部122は、二重管構造をなすとともに軸線方向の基端側(同図の右側であり、以下、単に基端側と称する。)において互いに連結されている。
【0019】
外筒部122は、内筒部121よりも軸線方向の先端側(同図の左側であり、以下、単に先端側と称する。)に突出している。
内筒部121の内周面には、基端側に位置する縮径部123と、縮径部123の先端側に隣接し、縮径部123よりも大きい内径の拡径部124とを有しており、縮径部123と拡径部124との間には段差部125が形成されている。
【0020】
拡径部124には、Oリング15と、Oリング15の先端側への移動を規制する第1規制リング16とが内嵌されている。Oリング15の基端側への移動は段差部125により規制されている。
【0021】
内筒部121には、円筒状のキャップ14が外嵌されている。キャップ14の内周面には、先端側ほど縮径されたテーパ部141が形成されている。
内筒部121の先端面と、同先端面に対向するキャップ14の内周面との間には、ロックリング17、ロックリング17の基端側及び径方向への移動を規制する第2規制リング18、及び径方向に伸縮可能な割リング19が設けられている。
【0022】
キャップ14の基端部の外周面には、円筒状のカバー145が外嵌されている。
外筒部122の外周面と内筒部121の縮径部123の内周面との間には、基端側から順に、円筒状の案内部材101及びパイプ30の第1端31が挿入されている。
【0023】
ここで、第1継手10に対してパイプ30が先端側に移動しようとすると、パイプ30の外周面に食い込んだロックリング17がパイプ30と共に先端側に移動しようとする。このとき、ロックリング17により割リング19が押されて先端側に移動するが、キャップ14の内周面のテーパ部141により割リング19が縮径されてパイプ30に食い込む。このことにより、第1継手10からのパイプ30の抜け止めがなされる。
【0024】
また、案内部材101は、パイプ30が第1継手10に接続されていない状態では、軸線方向におけるロックリング17と割リング19との間に配置されている。このため、第1継手10の接続口にパイプ30を挿入する際には、パイプ30の第1端31により案内部材101が押されるとともに同案内部材101によってロックリング17及び割リング19が外周側に押し広げられることでパイプ30の挿入が案内される。
【0025】
また、Oリング15により、パイプ30の外周面と内筒部121の拡径部124との間がシールされている。
このようにしてパイプ30の第1端31が第1端部12に接続されている。
【0026】
一方、本体11の第2端部13は、第1壁71の外側において下方を指向している。第2端部13には、上記パイプ30と同様なパイプ130の上端が接続されている。なお、パイプ130の上端よりもパイプ130の挿入方向前方(同図の上方)には、第1端部12と同様な環状の案内部材101が挿入されている。
【0027】
第1継手10の上下方向の長さは、貫通孔81,82の内径よりも大きい。すなわち、第1継手10は、貫通孔81,82の内部に全体を挿通不可能な形状を有している。
<第2継手20>
図1に示すように、第2継手20は、直線状の軸線を有する円筒状の継手本体21と、継手本体21の先端部(同図の左端部)の外周面に形成された雄ねじ221に螺合された円盤状の座部材28とを有している。
【0028】
継手本体21は、円筒状の筒体22と、筒体22の基端部(同図の右端部)に螺入された保持リング23とを有している。
筒体22の先端部の内周面には、図示しない水栓などの雄ねじを螺入して取り付けるための雌ねじ222が形成されている。また、筒体22の内周面には、雌ねじ222の基端側に隣接して突条223が全周にわたって形成されている。
【0029】
筒体22の内周面に形成された一対の凹溝には、一対のOリング24がそれぞれ内嵌されている。
保持リング23の先端面と、同先端面に対向する筒体22の内周面との間には、一対のロックリング25、及び一対のロックリング25の間に設けられてロックリング25の間の間隔を保持するスペーサ26が設けられている。
【0030】
継手本体21の内部には、先端に鍔部271を有する円筒状のインコア27が継手本体21の基端側の開口から内挿されている。筒体22の内周面の突条223により、インコア27の先端側への移動が規制されている。
【0031】
インコア27の外周面と、筒体22の内周面との間に、パイプ30の第2端32が挿入されている。ここで、一対のロックリング25によりパイプ30の外周面が係止されている。また、Oリング24により、パイプ30の外周面と筒体22の内周面との間がシールされている。このようにしてパイプ30の第2端32が継手本体21に接続されている。このとき、雄ねじ221は、第2貫通孔82の第2開口92から外部に突出している。
【0032】
図1及び
図2に示すように、座部材28の中心部には、雄ねじ221に螺合される雌ねじ孔281が形成されている。また、座部材28には、複数(本実施形態では3つ)のねじ孔29が周方向に等間隔にて形成されている。
【0033】
図1に示すように、第2継手20の継手本体21の最大外径は貫通孔81,82の内径よりも小さい。すなわち、継手本体21は貫通孔81,82の内部に全体を挿通可能な形状を有している。
【0034】
また、座部材28の外径は貫通孔81,82の内径よりも大きい。すなわち、座部材28は、貫通孔81,82の内部に全体を挿通不可能な形状を有している。
<パッキン40及びロックナット50>
図1に示すように、第2壁72の表面と座部材28との間には、合成ゴムまたは合成樹脂により形成されたパッキン40が介設されている。
【0035】
図1及び
図2に示すように、パッキン40のシート部41は円盤状をなしている。シート部41の外径は座部材28の外径よりも僅かに小さい。シート部41の中心部には、雄ねじ221の外径よりも大きい内径の中心孔42が形成されている。また、シート部41には、座部材28の複数(本実施形態では3つ)のねじ孔29に対応して複数のねじ孔43が周方向に等間隔にて形成されている。
【0036】
シート部41の外周縁には、外周側に突出する除去予定部44が脆弱部45を介して一体に形成されている。除去予定部44は、ねじ孔43に対して周方向に偏倚した位置(本実施形態では、周方向に隣り合う2つのねじ孔43の中間位置)に形成されている。脆弱部45は他の部位に比べて横断面積が小さくされている。
【0037】
座部材28及びパッキン40の複数のねじ孔29,43には、複数のねじ61がそれぞれ挿通されている。そして、複数のねじ61が第2壁72にねじ込まれることにより、座部材28、すなわち第2継手20が第2壁72に固定されている。
【0038】
雄ねじ221には、座部材28の外側からロックナット50が螺合されている。ロックナット50により継手本体21に対して座部材28が軸線方向に相対移動することが規制されている。
【0039】
次に、
図3及び
図4を参照して、本実施形態の配管システムの施工手順について説明する。
図3(a)に示すように、作業者は、まず、パイプ30の第1端31に第1継手10を接続するとともにパイプ30の第2端32に第2継手20の継手本体21を接続することで部分接続体Sを形成する。このとき、パイプ30と第1継手10との接続に先立ち、パイプ30の端部の外周面に対して、第1継手10に挿入される挿入深さに対応する位置にマーキングを施す。そして、第1継手10の接続口にパイプ30を挿入した後に、当該マーキングが第1継手10の接続口の位置まで挿入されていることを目視で確認することで、パイプ30と第1継手10とが適切に接続されていることを確認する。また、パイプ30と第2継手20の継手本体21との接続確認についても同様である。
【0040】
また、継手本体21の雌ねじ222に、筒状の案内プラグ55を螺入することにより、部分接続体Sを先端側に向けて延長する。
次に、
図3(b)及び
図3(c)に示すように、部分接続体Sを、第1開口91から第2継手20の継手本体21を前にして(厳密には案内プラグ55を前にして)貫通孔81,82に挿通する。これにより、案内プラグ55及び継手本体21の雄ねじ221が第2開口92から第2壁72の外部に突出する。
【0041】
次に、
図4(a)に示すように、案内プラグ55に案内させながら継手本体21の雄ねじ221に対してパッキン40を外挿するとともに座部材28を螺合する。このとき、パッキン40のシート部41は第2壁72と座部材28とにより挟まれる一方、除去予定部44は第2壁72と座部材28との間から外方へ延出した状態となる。
【0042】
そこで、作業者は、除去予定部44を指で摘みながらパッキン40を周方向や径方向に変位させることにより、複数のねじ孔43が座部材28の複数のねじ孔29とそれぞれ一致するまでパッキン40の位置調整を行う。
【0043】
次に、
図4(b)に示すように、複数のねじ61を、座部材28及びパッキン40の複数のねじ孔29,43にそれぞれ挿通するとともに第2壁72にねじ込むことにより、座部材28を第2壁72に固定する。次に、図示は省略するが、案内プラグ55に案内させながら継手本体21の雄ねじ221に対してロックナット50を螺合する。
【0044】
次に、
図4(c)に示すように、継手本体21から案内プラグ55を取り外す。また、パッキン40の除去予定部44を指で摘んで強く引っ張ることにより脆弱部45を破断させてシート部41から除去する。
【0045】
以上説明した本実施形態に係る配管システム及び配管システムの施工方法によれば、以下に示す作用効果が得られるようになる。
(1)配管システムは、壁71,72に形成された貫通孔81,82に挿通されるパイプ30と、パイプ30の第1端31が接続され、第1貫通孔81の第1開口91から外部に突出する第1継手10を備えている。また、配管システムは、パイプ30の第2端32が接続される継手本体21と、継手本体21における第2貫通孔82の第2開口92から外部に突出する部位に対して着脱可能に設けられる座部材28とを有する第2継手20を備えている。第1継手10は、貫通孔81,82の内部に全体を挿通不可能な形状を有している。第2継手20の継手本体21は貫通孔81,82の内部に全体を挿通可能な形状を有するとともに、座部材28は貫通孔81,82の内部に全体を挿通不可能な形状を有している。
【0046】
こうした構成によれば、第2継手20が継手本体21と座部材28とに分離可能とされており、しかも継手本体21が貫通孔81,82の内部に全体を挿通可能な形状を有している。このため、部分接続体Sを、第1貫通孔81の第1開口91から第2継手20の継手本体21を前にして貫通孔81,82に挿通し、継手本体21における第2貫通孔82の第2開口92から突出する部位に対して座部材28を装着することができる。したがって、パイプ30の両端31,32と両継手10,20との接続作業を貫通孔81,82の外部で行うことができる。よって、パイプ30の両端31,32と両継手10,20とが適切に接続されているか否かの確認を行うことができる。
【0047】
(2)パッキン40のシート部41の外周縁には除去予定部44が連結されている。このため、作業者は、除去予定部44を指で摘みながらパッキン40を周方向や径方向に変位させてパッキン40の位置調整を容易に行うことができる。また、第2継手20を第2壁72に固定した後に、除去予定部44がシート部41から除去されるため、除去予定部44によって施工箇所の美観が損なわれることを抑制できる。
【0048】
(3)除去予定部44は脆弱部45を介してシート部41に連結されている。このため、除去予定部44を指で摘んで引っ張ると、脆弱部45が優先的に破断される。したがって、シート部41から除去予定部44を確実に除去することができる。
【0049】
(4)配管システムの施工方法は、パイプ30の第1端31に第1継手10を接続するとともにパイプ30の第2端32に第2継手20の継手本体21を接続して部分接続体Sを形成する。また、部分接続体Sを、貫通孔81,82の第1開口91から第2継手20の継手本体21を前にして貫通孔81,82に挿通し、継手本体21における貫通孔81,82の第2開口92から外部に突出する部位に対して座部材28を装着する。
【0050】
こうした方法によれば、上記効果(1)と同様な効果を奏することができる。
また、上記方法によれば、当該部分接続体Sを壁に挿通する前に、部分接続体Sにおける漏れの有無を検査することができることから、配管システムの漏れに対する信頼性を向上させることができる。
【0051】
(5)部分接続体Sを貫通孔81,82に挿通するに先立ち、継手本体21の雌ねじ222に筒状の案内プラグ55が螺入される。これにより、部分接続体Sが先端側に向けて延長されるため、部分接続体Sの先端を第2貫通孔82に臨ませやすくなり、部分接続体Sを第2貫通孔82に容易に挿通することができる。
【0052】
また、継手本体21の雄ねじ221にパッキン40を外挿する際や、座部材28及びロックナット50を螺合する際に、パッキン40、座部材28、及びロックナット50が案内プラグ55によりそれぞれ案内される。このため、パッキン40、座部材28、及びロックナット50の施工を容易に行うことができる。
【0053】
<変形例>
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・上記実施形態では、第2継手20の継手本体21が貫通孔81,82の内部に全体を挿通可能な形状を有する構成について例示した。しかしながら、本発明に係る継手本体の形状はこれに限定されるものではなく、少なくとも継手本体における第2開口92から外部に突出する部位が貫通孔81,82の内部に挿通可能な形状を有していればよい。
【0054】
・上記実施形態では、第1壁71と第2壁72とにより構成される建物の壁に対して本発明を適用したが、1つ、または3つ以上の壁に対しても本発明を同様にして適用することができる。
【0055】
・継手本体21の雄ねじ221がロックナット50よりも先端側に突出するように雄ねじ221を延長してもよい。実際の施工現場では、第1壁71と第2壁72との間隔が設計値と異なっている場合がある。また、前述したようにパイプ30は予め所定の長さに切断される、所謂プレカットされることがある。このような場合であっても、上記のように雄ねじ221が延長されていれば、第1壁71と第2壁72との実際の間隔に応じて継手本体21と座部材28との軸線方向における相対位置を調整することができる。
【0056】
・案内プラグ55を省略することもできる。
・第1継手10はエルボ状の継手に限定されない。第1継手は、貫通孔の内部に全体を挿通不可能な形状を有するものであればよく、他に例えば、T字状をなす継手や、座が一体に形成された継手、すなわち座が分離できない継手などを採用することもできる。
【0057】
・座部材28と継手本体21との係合態様は、雌ねじ孔281と雄ねじ221との螺合に限定されない。例えば、
図5(a)及び
図5(b)に示すように、座部材28Aを継手本体21に外挿するとともに、継手本体21の外周面に形成された環状溝224にC字状のスナップリング65を外嵌させて座部材28Aに当接させることもできる。この場合、座部材28Aの中心孔の形状及び継手本体21の外周形状を非円形状にすることが、継手本体21と座部材28Aとの相対回転を規制する上で好ましい。非円形状としては他に多角形状や長円形状などであってもよい。またこの場合、スナップリング65により継手本体21に対して座部材28Aが軸線方向に相対移動することを規制できる。