【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述の特許文献1、2に記載の従来のソケットは、接続挿入凹部102に上方から游嵌される光学電子部品を、周囲の側壁部101bに固定された多数の折り曲げバネ片104b’で水平方向に沿った各方向から押圧し、光学電子部品を接続挿入凹部102内に位置決めするものであるので、光学電子部品に水平方向の外力が加わったり、多数の折り曲げバネ片104b’のバネ圧が異なると、光学電子部品が設定した位置から水平方向に移動し、光電変換素子の受光光路が偏倚する恐れがあった。
【0011】
また、光学電子部品のプリント配線基板からの高さを低背化するために、光学電子部品のほぼ全体を接続挿入凹部102内に収容するので、抜け止め片として作用する折り曲げバネ片104bを側壁部101b側へ押し込んで係止を解除する専用の治具を用いなければ、光学電子部品を取り出すことができず、容易に光学電子部品を交換することができなかった。
【0012】
更に、接続挿入凹部102の内底面に板バネ片で形成したコンタクトの接触部を突出させ、鉛直方向で光学電子部品の絶縁ケースの底面に露出する導電パッドへコンタクトの接触部を突き当て接触で弾性接触させる構造であるので、コンタクトの接触部や導電パッドの接触面がセルフクリーニングされず、接触面に付着する酸化皮膜や絶縁物で相互の接触不良が生じる恐れがあった。
【0013】
特に、プリント配線基板に実装されるソケットを低背化するために、特許文献1、2に記載のソケットでは、絶縁ハウジング101の底壁部101aに、導電パッドと接触して下方に撓むコンタクトとの干渉を避けるスリットが形成されているので、コンタクト103の接触部103bと導電パッドとが接触する空間を外部から密閉させることができず、劣悪な雰囲気中で使用した場合に接触面に酸化皮膜や絶縁物が付着して接触不良が生じる問題は避けられなかった。
【0014】
更に、コンタクト103の自由端側の接触部103bは、導電パッドと突き当て接触する鉛直方向に対して正確に位置決めできないので、導電パッドとの接触タイミングが異なる検出コンタクトを配置して、光学電子部品とソケットとの接続タイミングを検出することができない。
【0015】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、光学電子部品の受光光路が偏倚することなくソケットに接続する光学電子部品とソケットの接続構造を提供することを目的とする。
【0016】
また、ソケットから光学電子部品を容易に着脱して交換可能な光学電子部品とソケットの接続構造を提供することを目的とする。
【0017】
また、光学電子部品の導電パッドとソケットのコンタクトの接触部間の接触面が、相互の接触毎にセルフクリーニングされ、絶縁物が介在することによる接触不良が生じない光学電子部品とソケットの接続構造を提供することを目的とする。
【0018】
更に、光学電子部品の導電パッドとソケットのコンタクトの接触部間の接触タイミングを正確に設定できる光学電子部品とソケットの接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上述の目的を達成するため、請求項1の光学電子部品とソケットの接続構造は、光電変換素子を内蔵する光学電子部品を、プリント配線基板に固定されるソケットに接続する光学電子部品とソケットの接続構造であって、光学電子部品は、平面の開口を通して鉛直方向の上方に内蔵する光電変換素子を臨ませ、側面から水平面に沿った少なくとも1方向に突出する鍔部を一体に有する絶縁ケースと、光電変換素子に電気接続し、
鍔部の平面若しくは底面のいずれかの露出面に露出する複数の導電パッドとを備えるとともに、
ソケットは、プリント配線基板と平行な水平面に沿ってプリント配線基板に固定され
、鍔部を鍔部の突出方向に沿ってスライド自在に案内して収容する接続挿入凹部が形成されたハウジングと、
接続挿入凹部に収容された鍔部の導電パッドが露出する
露出面に鉛直方向で対向するハウジングの接続領域に互いに絶縁して固定され、一端側の脚部がプリント配線基板の導電パターンに電気接続し、他側の接触部が鍔部と一体にスライドする複数の導電パッドの移動軌跡に臨む複数のコンタクトとを備え、
接続挿入凹部内で鍔部の露出面に露出する導電パッドが対応するコンタクトの接触部に接触する鍔部の挿入位置で、絶縁ケースを水平方向に対して位置決めし、光電変換素子がプリント配線基板に直交する上方に臨む姿勢で、光学電子部品をプリント配線基板に固定されるソケットへ接続することを特徴とする。
【0020】
光学電子部品は、鍔部がソケットのガイド部により水平面に沿ってスライド自在に案内されるので、水平面に直交する光電変換素子の受光光路は、偏倚しない。
【0021】
光学電子部品の複数の導電パッドは、絶縁ケースの水平面と平行な外面に露出し、絶縁ケースと一体の鍔部は、ソケットのガイド部により水平面に沿ってスライド自在に案内されるので、水平方向に移動する。ソケットのコンタクトの接触部は、水平方向に移動する導電パッドの移動軌跡に臨むので、導電パッドと対応するコンタクトの接触部は、光学電子部品のスライドにより摺動接触する。
【0022】
接続領域に固定されるコンタクトの接触部を、水平方向の固定位置に支持できるので、導電パッドの水平面に沿った移動軌跡の任意の位置に臨ませ、コンタクト毎に対応する導電パッドとの接触タイミングを調整できる。
【0023】
光学電子部品の絶縁ケースは、鍔部がソケットの接続挿入凹部により水平面に沿ってスライド自在に案内され、導電パッドが対応するコンタクトの接触部に接触するスライド位置で絶縁ケースが水平方向に対して位置決めされるので、水平面に直交する光電変換素子の受光光路は、偏倚しない。
【0024】
導電パッドは、接続挿入凹部にスライド自在に案内され、接続挿入凹部に収容される鍔部の平面若しくは底面に露出し、コンタクトの接触部は、接続挿入凹部内で水平方向に移動する導電パッドの移動軌跡に臨むので、導電パッドと対応するコンタクトの接触部は、光学電子部品のスライドにより摺動接触する。
【0025】
接続領域に固定されるコンタクトの接触部を、水平方向の固定位置に支持できるので、接続挿入凹部内で導電パッドの水平面に沿った移動軌跡の任意の位置に臨ませ、コンタクト毎に対応する導電パッドとの接触タイミングを調整できる。
【0026】
絶縁ケースは、一体の鍔部のみが接続挿入凹部に収容されるので、鍔部を除く絶縁ケースを水平方向にスライド操作して、容易に鍔部を接続挿入凹部へ挿抜できる。
【0027】
請求項
2の光学電子部品とソケットの接続構造は、接続挿入凹部を形成するハウジングの一部は、プリント配線基板の接地パターンに電気接続する金属カバーであることを特徴とする。
【0028】
接続挿入凹部の一部が金属カバーで形成されるので、接続挿入凹部自体に所定の強度が得られるとともに、ハウジングが金属カバーと接地パターンとの接続箇所でもプリント配線基板に固定されるので、コンタクトの脚部とプリント配線基板の導電パターン間の接続箇所に外力が作用しにくい。
【0029】
また、接続挿入凹部の一部を接地された金属カバーで形成するので、金属カバーで覆われる部位で接続挿入凹部内が外部と遮蔽される。
【0030】
請求項
3の光学電子部品とソケットの接続構造は、ハウジングに、接続挿入凹部に連続して、鉛直方向から載置される鍔部を鍔部の突出方向に沿って接続挿入凹部へ案内するガイド受け部を形成することを特徴とする。
【0031】
ガイド受け部に載置される光学電子部品の鍔部は、ガイド受け部に載置し、鍔部の突出方向へスライドするだけで、接続挿入凹部に収容される。
【0032】
請求項
4の光学電子部品とソケットの接続構造は、ソケットが、接続領域の全周を囲うハウジングの部位に固定され、接続挿入凹部に挿入される鍔部の露出面に弾性接触して、接続領域に対向する接続挿入凹部の内面との間で鍔部を挟持する第1弾性シール部材を更に備え、鍔部の露出面に露出する導電パッドと対応するコンタクトの接触部とが接触する空間を、ハウジングと第1弾性シール部材と鍔部の露出面で密閉することを特徴とする。
【0033】
鍔部を接続挿入凹部に収容すると、導電パッドと対応するコンタクトの接触部とが接触する空間が、コンタクトが固定される接続挿入凹部の内面と第1弾性シール部材と鍔部の露出面との間で密閉される。
【0034】
請求項
5の光学電子部品とソケットの接続構造は、光電変換素子を内蔵する光学電子部品を、プリント配線基板に固定されるソケットに接続する光学電子部品とソケットの接続構造であって、
光学電子部品は、
鉛直方向を中心軸とする有底円筒体状に形成され、平面の開口を通して鉛直方向の上方に内蔵する光電変換素子を臨ませ、側面から水平面に沿った少なくとも1方向に突出する鍔部を一体に有する絶縁ケースと、光電変換素子に電気接続し、絶縁ケースの
底面に露出する複数の導電パッドとを備えるとともに、
ソケットは、プリント配線基板と平行な水平面に沿ってプリント配線基板に固定され
、円形底面部と、円形底面部の周囲に起立する円筒状の周壁部とから、絶縁ケースの鍔部を収容する円筒収容凹部が形成されたハウジングと、
周壁部から内側に水平に突設され、円形底面部との間で鍔部を嵌挿し、絶縁ケースを周壁部の内壁面に沿って円筒収容凹部の中心軸周りに回動自在に案内するカバー片と、導電パッドが露出する
絶縁ケースの底面に鉛直方向で対向する
円形底面部の接続領域に互いに絶縁して固定され、一端側の脚部がプリント配線基板の導電パターンに電気接続し、他側の接触部が鍔部と一体にスライドする複数の導電パッドの移動軌跡に臨む複数のコンタクトとを備え、
円筒収容凹部内で絶縁ケースの底面に露出する導電パッドが対応するコンタクトの接触部に接触する絶縁ケースの回転位置で、絶縁ケースを回動方向に対して位置決めし、光電変換素子がプリント配線基板に直交する上方に臨む姿勢で、光学電子部品をプリント配線基板に固定されるソケットへ接続することを特徴とする。
【0035】
光学電子部品の絶縁ケースは、円筒収容凹部の中心軸周りに水平面に沿って回動自在に案内され、導電パッドが対応するコンタクトの接触部に接触する回転位置で位置決めされるので、水平方向に移動することがなく、水平面に直交する光電変換素子の受光光路は、偏倚しない。
【0036】
光学電子部品の複数の導電パッドは、鍔部とともにソケットの円筒収容凹部の中心軸周りに水平面に沿って回動自在に案内される絶縁ケースの底面に露出し、ソケットのコンタクトの接触部は、絶縁ケースの底面に対向する円形底面部上の導電パッドの移動軌跡に臨むので、導電パッドと対応するコンタクトの接触部は、光学電子部品が円筒収容凹部内で回動することにより摺動接触する。
【0037】
接続領域に固定されるコンタクトの接触部を、円筒収容凹部の中心軸周りの固定位置に支持できるので、中心軸周りで回転する導電パッドの移動軌跡の任意の位置に臨ませ、コンタクト毎に対応する導電パッドとの接触タイミングを調整できる。
【0038】
請求項
6の光学電子部品とソケットの接続構造は、円筒収容凹部を形成する周壁部とカバー片は、一枚の金属板からなり、周壁部の下端の脚部がプリント配線基板の接地パターンに電気接続することを特徴とする。
【0039】
円筒収容凹部の周壁部が金属カバーで形成されるので、円筒収容凹部自体に所定の強度が得られるとともに、ハウジングを周壁部の下端の脚部と接地パターンとの接続箇所でもプリント配線基板に固定し、ハウジングの接続領域に固定されるコンタクトの脚部とプリント配線基板の導電パターン間の接続箇所に外力が作用しにくい。
【0040】
また、円筒収容凹部の周壁部とカバー片を接地された金属カバーで形成するので、金属カバーで覆われる部位で円筒収容凹部内が外部と遮蔽される。
【0041】
請求項
7の光学電子部品とソケットの接続構造は、ソケットは、接続領域の全周を囲う円形底面部の部位に固定され、円筒収容凹部内で絶縁ケースの底面に弾性接触して、カバー片との間で絶縁ケースを挟持する第2弾性シール部材を更に備え、絶縁ケースの底面に露出する導電パッドと対応するコンタクトの接触部とが接触する空間を、円形底面部と第2弾性シール部材と絶縁ケースの底面との間で密閉することを特徴とする。
【0042】
絶縁ケースの底面を円筒収容凹部に収容すると、導電パッドと対応するコンタクトの接触部とが接触する空間が、円形底面部と第2弾性シール部材と絶縁ケースの底面との間で密閉される。
【発明の効果】
【0043】
請求項1の発明によれば、ソケットに接続した光学電子部品が外力を受けても、内蔵する光電変換素子の受光光路が鉛直方向から傾斜しない。
【0044】
また、光学電子部品の導電パッドとソケットのコンタクトの接触部間の接触面が、光学電子部品をソケットへ接続する毎にセルフクリーニングされ、絶縁物が介在することによる接触不良が生じない。
【0045】
更に、光学電子部品の導電パッドとソケットのコンタクトの接触部間の接触タイミングを任意に設定できる。
【0046】
更に、ソケットに接続した光学電子部品が外力を受けても、絶縁ケース自体が水平方向に対して位置決めされるので、内蔵する光電変換素子の受光光路が偏倚することがない。
【0047】
また、鍔部を接続挿入凹部内でスライドさせる毎に、光学電子部品の導電パッドとソケットのコンタクトの接触部間の接触面がセルフクリーニングされ、絶縁物が介在することによる接触不良が生じない。
【0048】
更に、ソケットのコンタクトの接触部を、接続挿入凹部内で水平方向の固定位置に突出させることができるので、接続挿入凹部に収容される鍔部の露出面に露出する導電パッドと任意の接触タイミングで接触させることができる。
【0049】
絶縁ケースは、一体の鍔部のみが接続挿入凹部に収容されるので、鍔部を除く絶縁ケースを水平方向にスライド操作して、ソケットから光学電子部品を容易に着脱して交換可能とすることができる。
【0050】
請求項
2の発明によれば、接続挿入凹部の内壁面が変形しにくく、接続挿入凹部へ鍔部を挿抜によってハウジングが外力を受けても、コンタクトの脚部とプリント配線基板の導電パターンとの半田接続部に伝達されず、パターン剥離などが生じない。
【0051】
更に、金属カバーで覆われる方向から接続挿入凹部内に侵入するノイズを遮蔽できる。
【0052】
請求項
3の発明よれば、ガイド受け部に案内されることによって、光学電子部品の鍔部を接続挿入凹部へ容易に挿抜できる。
【0053】
請求項
4の発明によれば、光学電子部品やソケットの全体を囲うことなく、接続挿入凹部に収容される鍔部の一部を利用して、導電パッドとコンタクトの接触部とを外部から密閉することができる。
【0054】
光学電子部品をソケットに接続している間は、導電パッドやコンタクトの接触部が外気に触れることがないので、劣悪な雰囲気中で光学電子部品をソケットに接続しても、接触面の腐食がすすまず、接触不良が生じにくい。
【0055】
請求項
5の発明よれば、ソケットに接続した光学電子部品が外力を受けても、光学電子部品の絶縁ケースは、円筒収容凹部の鉛直方向に沿った中心軸周りの回転位置が位置決めされるので、絶縁ケースが傾いて内蔵する光電変換素子の受光光路が偏倚することがない。
【0056】
また、絶縁ケースを円筒収容凹部内で回動させる毎に、光学電子部品の導電パッドとソケットのコンタクトの接触部間の接触面がセルフクリーニングされ、絶縁物が介在することによる接触不良が生じにくい。
【0057】
更に、ソケットのコンタクトの接触部を、円形底面部から円筒収容凹部内の水平方向に対して固定した位置に突出させることができるので、円筒収容凹部内で水平面に沿って回動する絶縁ケースの底面に露出する導電パッドと任意の接触タイミングで接触させることができる。
【0058】
光学電子部品の絶縁ケースは、一体の鍔部のみがカバー片と円形底面部との間に嵌挿されるので、円筒収容凹部から上方に突出する絶縁ケースの部分を、鍔部がカバー片で覆われない回転位置まで回動操作して、ソケットから光学電子部品を容易に着脱して交換可能とすることができる。
【0059】
請求項
6の発明によれば、円筒収容凹部の周壁部やカバー片が変形しにくく、光学電子部品やソケットが水平方向の外力を受けても、コンタクトの脚部とプリント配線基板の導電パターンとの電気接続部に大きな回転モーメントが発生せず、パターン剥離などが生じない。
【0060】
更に、金属カバーで覆われる方向から円筒収容凹部内に侵入するノイズを遮蔽できる。
【0061】
請求項
7の発明よれば、光学電子部品やソケットの全体を囲うことなく、円筒収容凹部に収容される絶縁ケースの底面を利用して、導電パッドとコンタクトの接触部とが接触する接触部の空間を外部から密閉することができる。
【0062】
光学電子部品をソケットに接続している間は、導電パッドやコンタクトの接触部が外気に触れることがないので、劣悪な雰囲気中で光学電子部品をソケットに接続しても、接触面の腐食がすすまず、接触不良が生じにくい。