特許第6390872号(P6390872)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6390872-ステント圧着法 図000006
  • 特許6390872-ステント圧着法 図000007
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6390872
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】ステント圧着法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/958 20130101AFI20180910BHJP
【FI】
   A61F2/958
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-249349(P2016-249349)
(22)【出願日】2016年12月22日
(62)【分割の表示】特願2013-531618(P2013-531618)の分割
【原出願日】2011年9月12日
(65)【公開番号】特開2017-80460(P2017-80460A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2017年1月12日
(31)【優先権主張番号】12/895,646
(32)【優先日】2010年9月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507135788
【氏名又は名称】アボット カーディオヴァスキュラー システムズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100126653
【弁理士】
【氏名又は名称】木元 克輔
(72)【発明者】
【氏名】ノット, ボイド ブイ.
(72)【発明者】
【氏名】カダキア, サミット アール.
(72)【発明者】
【氏名】オルテガ, レオポルド
【審査官】 安田 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−541980(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0204455(US,A1)
【文献】 特表2008−535635(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0181236(US,A1)
【文献】 特表2009−540928(JP,A)
【文献】 特表2008−522719(JP,A)
【文献】 特表2013−529102(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/95− 2/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステントを圧着するための方法であって、
(a)前記ステントをマンドレル上に装填するステップと、
(b)前記ステントを圧着機に設置するステップと、
(c)前記ステントのプロファイルを第1の直径に減少させるステップと、
(d)ステップ(c)後に、前記ステントをカテーテル送達システムのバルーン上に装填するステップと、
(e)前記ステント及び前記バルーンを前記圧着機に再度設置するステップと、
(f)前記ステントの支柱間での前記バルーンのクッションと前記圧着機の第2の直径への減少とを引き起こすために、前記バルーンを加圧し前記圧着機内の前記カテーテル送達システムの遠位端を加熱するステップと、
(g)ステップ(f)後に、前記ステントの直径を最終直径に減少させるために、前記圧着機を前記第2の直径と第3の直径との間で変更するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
ステップ(g)は、前記バルーンが加圧されている間前記圧着機を前記第2の直径と前記第3の直径との間で開閉するステップであって、前記最終直径が前記第2の直径より小さく、前記第3の直径が前記最終直径より20〜40%小さい、ステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(f)中に、前記ステントの直径が前記第1の直径より約25〜30%大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
記第3の直径が前記最終直径より小さい、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(f)の後であり且つステップ(g)の前において前記ステントが前記第2の直径を有しており、
ステップ(g)が、バルーン圧力が維持されている間前記ステントの直径を前記第2の直径から最大40%だけ減少させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(g)後に、漏れ試験を実行するステップであって、前記ステントが前記漏れ試験中に前記最終直径を有しており、前記最終直径が前記第2の直径より小さく且つ前記第3の直径より大きい、ステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(f)及びステップ(g)中にバルーン圧力が一定である又は異なる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(f)より前に、前記第1の直径より約25%大きい内径を有するシース内に前記ステントを設置するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、薬物溶出医療用装置に関し、より具体的には、本発明は、ステントを送達バルーンに圧着するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]既知のステント保持プロセスは、ステント圧着、割型、及びステント押圧の3つの操作からなる。ステント圧着は、ステントがカテーテル上に設置されるプロセスである。最初に、ステントは、予備圧着マンドレル上に設置され、圧着機械に設置される。圧着機械は、ステント上に閉められ、半径方向力を適用し、ステントの直径を予備圧着マンドレルの直径に減少させる。予備圧着マンドレルの直径は、送達システム折り畳みバルーンプロファイルに基づき選択される。予備圧着後、ステントは、マンドレルから取り外され、バルーン送達システム、バルーンカテーテル、又は送達システム上に設置される。バルーンカテーテルを圧着機械の中に設置し、ステントの直径を減少させるために、半径方向力をバルーンカテーテル上に適用する。この操作中、熱またはカテーテル膨張圧力は適用されない。
【0003】
[0003]ここで、バルーン上にステントが設置された送達システムは、割型操作に送られる。割型操作は、特定の時間量の間、熱を適用し、送達システムを特定の増加させた直径に加圧して、バルーンをステント支柱間で「クッション」にし、これは、バルーンとステントとの間の機械的相互作用をさらに増加させる。次いで、送達システムは、ステントおよびバルーンが押圧機械の中に設置され、プロファイルを特定の直径に減少させるために半径方向力が再び適用され、それによって、バルーンとステントとの間の機械的相互作用を再び増加させるステント押圧に移動される。
【0004】
[0004]関連する装置は、本出願の同一譲受人である、米国特許第7,763,198号(‘198特許)に記載されている。「割型」の例は、‘198特許の図1〜3に示されている。割型の筒径は、鋳型の本体を形成するブロック内で機械加工され、2つの鋳型の半分は、機械加工中、一緒に設置される。鋳型の筒径の直径(図12)は、バルーンカテーテルのバルーン上の圧着されたステントの外径よりもわずかに大きいか、またはその直径と合致してもよいため、ステントは、ステント装着中に半径方向に拡張しない。バルーンは、金属盤の形態の伝導性加熱要素部材を介して鋳型を加熱することにより加熱される。
【0005】
[0005]バルーンカテーテルが割型の筒径内に位置付けられることにより、鋳型は、バルーンを軟化させるのに十分であるが、ステント上またはその中に配置された薬物の熱限界より低い高温に加熱される。ステント装着手順中、中にバルーンカテーテルを含む鋳型は、約160°F〜約190°Fの温度に加熱され、ポリマー材料で形成されたバルーンを軟化させる。‘198特許は、ステントをバルーン上に装着するために、バルーン材料が接触し、部分的にステント支柱の側面を封入するように、ステントの隙間がバルーン材料によって部分的に充填されたバルーンカテーテルの横断面を示す。
【0006】
[0006]‘198特許によると、初期もしくは予備圧着および/または予備圧着プロセス中、即ち、それぞれ、割型プロセスの前および後、バルーン材料のステントパターンの開口部の中への突出を増加させ、それによって、バルーン上へのステント保持をさらに増加させるために、バルーンは、加圧および加熱され得る。バルーンは、1平方インチ(psi)当り10〜300ポンドの範囲で加圧され得る。バルーンは、予備圧着中、華氏約70度〜250度(摂氏21〜121度)の範囲に加熱され得る。装着されたステントは、再圧着中、華氏約130度(摂氏54度)に加熱され得る。バルーンは、約70psiに加圧され得る。
【0007】
[0007]‘198特許は、ステントのプロファイルを減少させ、ステントのバルーンへの保持を増加させるために、様々な圧着の組み合わせ、バルーン圧力、ならびにステントおよびバルーンの加熱を開示している。しかしながら、プロセスの予備圧着、割型、および再圧着段階は、別個の機械を使用して、別個に実施される。このプロセスは、時間がかかり、プロファイルとバルーンおよびステントの解離力または保持力の最適な組み合わせを提供しない。解離力または保持力とは、ステントを引き寄せる、またはステントをバルーンから解離するのに必要な力を意味する。解離力またはステント保持力の意味のさらなる詳細は、米国出願第11/938,127号(代理人整理番号62571.266)に見出すことができる。必要なことは、所望の圧着されたステントプロファイルも達成し、解離力も増加させる一方で、ステントをバルーンに圧着するプロセスを簡略化するプロセスである。したがって、ステントの圧着方法に対する継続的な改善が必要である。
【発明の概要】
【0008】
[0008]本発明は、処理時間を短縮し、より少ないステップを伴い、かつバルーンに圧着されたステントの解離力の増加を生成する、ステントをバルーンに圧着するためのプロセスおよび機器を提供する。ステントをバルーンに圧着するための従来のプロセスは、予備圧着後に鋳型内でのバルーン加圧ステップを伴った。次いで、このステップの後に、ステントが最終直径に圧着される最終圧着工程が続いた。このプロセスは、時間がかかり、本プロセスを実施するために複数の機械の使用を必要とする。さらに、管内の標的部位への送達中、ステントのバルーン上への良好な保持を促進するために、解離力の改善が必要であった。
【0009】
[0009]圧着プロセスのパラメータが特定の様式で変動するとき、同じ保持およびカテーテルの標的外径プロファイルが、歩留まりを減少させることなく、即ち、新しいプロセスを使用するバッチ処理において、ステントまたはバルーンの損傷の割合を増加させることなく達成され得、解離力が他の望ましくない品質を導入することなく増加され得ることを予想外に発見した。新しいプロセスを使用して行われた試験において、歩留まりを減少させずに、かつ圧着されたステントおよびバルーンの解離力を増加させながら、処理時間を約70%減少させることが可能であった。
【0010】
[0010]したがって、本発明によるプロセスの利点は、主に予備圧着、封入、および最終圧着中の滞留時間の減少による圧着プロセス期間の大幅な減少、ならびにステントプロファイルまたは蛇行経路を通したステントの送達能に影響を与えることなく解離力を増加させる、2つの要素として説明され得る。
【0011】
[0011]プロセスは、概ね連続様式で進んでもよい3つの工程を有するものとして説明され得る。工程1は、予備圧着工程である。ステントは、マンドレル上に装填され、アイリス型機構が圧着顎またはブレードをステント上で閉められ、ステントのプロファイルを特定の寸法に減少させる圧着機械に設置される。工程2において、ステントは、バルーンカテーテル送達システム上に装填され、アイリス型機構を特定の寸法に閉める圧着機械の中に再度設置され、カテーテルが加圧され、送達システムの遠位端が特定の時間量の間加熱されて、ステント支柱間でバルーンをクッションにさせる。次いで、工程3において、アイリス型機構は、開いてもよく、ステントの寸法またはプロファイルを減少させるために特定の寸法に閉められ、これは、バルーンとステントとの間の機械的相互作用を増加させる。アイリス型機構のステント上での数回の開閉は、ステント材料を加工する、反跳を減少させる、システムプロファイルを減少させる、およびバルーンとステントとの間の機械的相互作用をさらに増加させるために実施され得る。
【0012】
[0012]工程3の代替的な実施形態において、アイリス型機構は、直径が増加しない。むしろ、アイリス型機構は、工程2のアイリス直径から、より小さい工程3の直径に閉められる。この工程3の直径は、最終圧着直径より小さくてもよい。カテーテルの加圧は、より小さい直径でクッションを保持/増加させるのを補助するために、工程3の処理に加えることもでき、それによって、バルーンとステントとの間の機械的相互作用をさらに増加させる。アイリス型機構が最終特定寸法またはプロファイルに達する前またはその間にカテーテルの加圧を追加することにより、特定の滞留時間の間、特定の寸法でシステムをただ加圧することにより、上記のバルーンとステントとの間の機械的相互作用も増加させてもよい。アイリスを閉めている間に加圧することにより、例えば、ステント及びバルーンの位置は、相互に対して固定される、または制限され、これは、機械的相互作用を増加させるステントの直径が減少するとき、ステントのバルーン上への既存のインプリント(工程2中に形成される)が実質的に保持される、または変化させない。
【0013】
[0013]圧着プロセスの設定範囲は、110°F〜250°Fの温度を含んでもよい。温度の上限は、コーティング材料の材料特徴の観点から画定され得る。例えば、薬物−ポリマーコーティングが温度増加に特に敏感である場合、上側温度範囲は、薬物−ポリマーコーティングによって制限され得る。代替的に、この温度の下側範囲は、一部の実施形態によると、バルーン材料のガラス転移温度の下限、つまり、コブロックポリマーであるPEBAXの低ガラス転移温度によって画定され得る。バルーン圧力が圧着プロセス中十分に高い場合、温度は、一部の実施形態において、約室温に低下し得ることも考えられる。
【0014】
[0014]処理工程での滞留時間は、約1秒〜90秒の範囲であってもよく、ステントの圧着された直径は、約0.018インチ〜0.400インチの範囲であってもよく、工程1〜3中のカテーテルの加圧は、50psi〜400psiであってもよい。工程3の繰り返し回数は、1〜8の範囲であってもよく、その各周期は、ステント保持を増加させ、所望の最終圧着直径に到達させるために、直径減少、バルーン加圧、および滞留時間を含む。他の実施形態において、工程3の周期回数は、材料に反跳を減少させる、および/または解離力をさらに増加させるように加工するように、8よりも高くてもよい。好ましい実施形態において、プロセスのパラメータは、
【0015】
[0015]温度:170°F、
【0016】
[0016]工程1、2、および3の滞留時間:それぞれ、1秒、30秒、および3秒、
【0017】
[0017]工程1、2、および3の終了でのステント直径は、それぞれ、0.0336インチ、0.052インチ、および0.040インチであり、
【0018】
[0018]各工程での最大カテーテル加圧:300psi、ならびに
【0019】
[0019]工程3の繰り返し回数:1〜6である。
【0020】
[0020]前述の目的に従い、本発明は、一実施形態において、
i.ステントの温度を上昇させるステップと、
ii.ステント直径を第1の直径に減少させることを含み、直径が第1の直径に減少されている間、ステントは第1の高温を有する、ステントを予備圧着するステップと、
iii.予備圧着後にステントを圧着ヘッドから取り外し、ステント−カテーテルアセンブリを組み立てるために、ステントをバルーンカテーテル上に設置するステップであって、バルーンカテーテルのバルーンは、バルーンカテーテルの膨張管腔の近位端を通して加圧されることが可能であるステップと、
iv.圧着ヘッド内にステント−カテーテルアセンブリを設置し、ステント温度を第2の高温に増加させ、ステントが第2の高温を有する間、ステント−カテーテルアセンブリが圧着ヘッド内にある間に、膨張管腔を介してバルーンを加圧するステップと、
ステップivの後、第3の高温を有するステントをバルーンに圧入するステップであって、バルーンの圧力を維持しながら、圧着ヘッドを使用して、約第2の直径から約最終直径にステント直径を減少させるステップを含むステップvと、
ステント−カテーテルアセンブリを圧着ヘッドから取り外すステップと
を含む、ステントをバルーンに圧着するための方法を提供する。
【0021】
[0021]一部の実施形態において、ステント−カテーテルアセンブリを圧着ヘッドから取り外す前に、漏れまたはバルーンへの損傷を点検するために、漏れ試験がステント−カテーテルに対して実施され得る。漏れ試験は、バルーンの圧力を特定の量、例えば150psiに上げ、その後、圧力が特定の滞留期間、例えば1〜2分にわたって変化するかどうかを見るために、バルーンの圧力を監視する。他の実施形態において、漏れ試験は、漏れ試験が本体または室温で実施されることが望ましいとき等、圧着ヘッドの外側で実施され得る(高温で圧着ブレードを用いるバッチプロセスにおいて、したがって、一定の圧着ヘッド温度がバッチプロセス全体を通して維持され得るように、漏れ試験を圧着ヘッドの外側で行うことが好ましくてもよい)。
【0022】
[0022]ステップivは、ステント上のコーティングを保護するために、ステントの第1の直径より約25%大きい内径を有するシースをステント上に設置することを含んでもよく、シースは、ステント上のシースの存在が、ステップiv中のステント拡張に対して第1の直径の最大約25〜30%の制限を提供するように、半径方向の剛性を有する。この範囲は増加してもよく、シースは、バルーン材料のステント支柱との咬合を促進するために、ステント拡張に対して制限を提供するようにクリンパブレードによってさらに補助され得る。
【0023】
[0023]ステントをバルーンに圧入するステップ(ステップv)は、同時にステントを高温に維持し、かつ例えば約150〜300psiのバルーンの圧力を適用しながら、ステントの直径を最大約40%減少させることを含んでもよい。好ましい実施形態において、圧力および温度は、先行技術と比較して、最大40%の直径減少中、維持される。圧力および温度がこの直径減少中に維持されるとき、予想を遥かに超えて、解離力が大幅に増加することが分かった。一実施形態において、最大40%の減少は、ステント直径を最終圧着直径未満に変更した後、3秒の滞留が続く。加えて、その後、ステントおよびバルーンは、さらに周期され、解離力をさらに増加させるために、繰り返し圧着ヘッドを適用し、次いでそれを引き抜き、そしてバルーンの圧力を調節することを含む。
【0024】
[0024]別の実施形態によると、ステントをバルーンに圧着するための方法は、
i.ステントの温度を上昇させるステップと、
ii.ステントが圧着ヘッド内のマンドレル上に支持されている間、ステント直径を第1の直径から約最終圧着直径に減少させることを含み、直径が最終圧着直径に減少されている間、ステント温度は、高温を有する、ステントを予備圧着するステップと、
iii.予備圧着ステップ後に圧着ヘッドからステントおよびマンドレルを取り外し、ステント−カテーテルアセンブリを組み立てるために、ステントをバルーンカテーテル上に設置することであって、バルーンカテーテルのバルーンは、バルーンカテーテルの膨張管腔の近位端を通して加圧されることが可能であるステップと、
vi.半径方向の剛性およびステップii後のステント外径より約20〜30%大きい内径を有する保護シースをステント上に設置するステップと、
v.圧着ヘッド内にステント−カテーテルアセンブリを設置し、ステント温度を高温に増加させるステップと、
vi.ステントが高温を有する間に、ステントをバルーンに連結させるステップであって、(a)ステント−カテーテルアセンブリが圧着ヘッド内にある間に、膨張管腔を介してバルーンを加圧することであって、バルーンの圧力が既定の時間期間の間、最大圧力で維持され、ステントが保護シースによりその直径の約25〜30%を超えて拡張することから制限されるステップと、(b)ステップ(a)後、高温およびバルーン圧力を維持しながら、圧着ヘッドを使用して、ステントの直径を、約最終圧着直径より小さい第3の直径に減少させるステップとを含むステップと、
vii.ステント−カテーテルアセンブリを圧着ヘッドから取り外すステップと、
を含む。
【参照による援用】
【0025】
[0025]本明細書に記述される全ての刊行物および特許出願は、各個別の刊行物または特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されている場合、およびあらゆる図面を含む各前記個別の刊行物または特許出願が本明細書に完全に記載されている場合と同じ程度に参照により本明細書に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1A】[0026]先行技術のプロセスにおける温度およびステント外径対時間を示すプロットである。このプロセスは、米国特許第7763198号に概説される原理に従い実践され得る。
【0027】
図1B】[0027]本開示に従うプロセスを示すプロットである。図1Aと1Bとの比較から容易に理解され得るように、最終圧着直径および所望の解離力に到達するための処理時間は、約70%短縮される。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[0028]本開示の目的において、「ステント」とは、隣接するステント支柱間に隙間を有する、相互接続され、離間された支柱の開壁管状体を意味する。支柱は、反対回転の蛇状波模様を有し、長手方向に離間し、かつリンクによって連結されるリングを形成してもよい。ステントは、バルーンに圧着されるとき、開始または製造時直径から最終または圧着直径への塑性変形のプロセスを受ける。ステントは、バルーンの拡張によって塑性的に変形することにより、展開直径に拡張される。
【0029】
[0029]米国特許第6312459号または米国特許第179867号に記載される模様を有するステントは、0.07インチの開始または製造時外表面直径を有してもよい。ステントは、金属または金属合金から作製される。ステントは、PEBAX材料から作製された非適合性バルーンに圧着され得る。展開されるとき、ステントは、わずか3mm(0.118インチ)の外径および18mm(0.708インチ)の長さである。本開示の目的において、このステントは、3018ステントまたは「本ステント」と称されるが、説明される原理は、このステントまたはこのサイズもしくは設計のステントのみに限定されないことを理解する。ステントの標的最終圧着直径は、約0.04インチである。初期圧着、バルーン膨張、最終圧着、および漏れ試験の全プロセス中、ステントは、ステントの表面、特に金属クリンパブレードと接触するときの損傷から薬物−ポリマーコーティングを保護するTEFLON(登録商標)または他の適切なポリマーシース内に収容される。3.00mm展開直径ステント、例えば3018ステントおよび0.04インチの圧着直径において、好ましくは、約0.052インチの内径を有するシースが選択される。漏れ試験後、シースは、ステントの外表面から剥がされてもよい。
【0030】
[0030]図1Aは、米国特許第7763198号に記載されるプロセスに類似する先行技術の圧着プロセスにおける処理時間対温度および圧力値を示す。本プロセスの工程1において、ステントは、華氏約70度の温度を有するクリンパヘッド内に設置され、約1分の滞留期間後に、直径は約0.04インチに減少し、ステントは、クリンパから取り外され、バルーンカテーテルのバルーン上に設置され、その後、米国特許第7763198号に記載される割型装置内に再挿入される。ステントが、ステントの外径の変更を約0.048インチに制限する割型内に保持されている間に、温度を華氏約170度の最大に上げ、圧力を上げる。割型内での約185秒の期間後、ステントおよびバルーンは、割型から取り外され、その後、ステントのバルーンへの再圧着のために、クリンパ内に戻される。この再圧着期間中に、ステントを華氏約130度の温度に上げ、ステント直径を約0.03インチに減少させるクリンパのアイリスを0.03インチに変更する。華氏130度で約40秒の追加滞留後、圧着されたステントおよびバルーンは、クリンパから取り外され、漏れ試験が実施される。漏れ試験は、バルーンに対するあらゆる損傷について点検する。漏れ試験は、バルーンの圧力が例えば約300psiに膨張され、その圧力で約60秒間保持されている間、ステント直径を約0.04インチのプロファイルに維持する。バルーンの圧力は、任意の圧力降下があるかどうか(バルーン損傷の可能性を示す)を判断するために、この60秒の期間中監視される。
【0031】
[0031]今説明したプロセスは、時間がかかる。加えて、図1Aによるプロセスを使用したときに可能である、それを超えて解離力を増加させることが望ましい。追随する説明から明らかになるこれらおよび他の理由において、発明者は、上記に要約したプロセスに対して改善することができた。圧着プロセスに必要な時間の長さを短縮する過程中、本開示のプロセスを利用するとき、処理時間の大幅な短縮だけでなく、ステントの解離力も大幅に増加することが予想外に発見された。
【0032】
[0032]以下の説明は、図1Bに要約されるプロセスを説明する。図1Bから容易に理解され得るように、処理時間は、約350秒から約90秒に短縮された。図1Bに対応するプロセスの一実施形態によると、圧着プロセスの全工程は、単一クリンパ装置を使用して実施される。図1Aのプロセスは、第1の圧着装置(予備圧着)、割型、および第2の圧着装置(再圧着)の最大3つの装置を使用して実施された。特に、滞留時間は大幅に短縮された。加えて、プロセスは、各工程において、華氏約170度の温度を維持しようとし、これは、各工程間で温度設定を常に調節する必要性(図1Aの場合)をなくすため、好ましい。また、単一圧着ヘッドを利用することにより、所望の温度および/またはバルーンの圧力を維持しながら、第2工程(「S2」)から第3工程(「S3」)への移行を可能にする。この後者の能力は、解離力の増加をもたらすことができることが分かった。一実施例では、同じステントの最終直径および開始直径ならびにバルーン特性において、図1Aのプロセスを使用したステントの解離力は、約2.2lbであり、一方、図1Bに関連するプロセスを使用したときの解離力は、約2.5lbであった。他の実施例では、解離力は、図1Bに関連するプロセスが使用されたとき、約12%増加することが分かった。
【0033】
[0033]0.07インチの外表面直径のステントは、ステントの初期の圧着された直径を画定する0.0336インチの外表面マンドレル上に設置される。ステント−マンドレルアセンブリは、アイリス型圧着ヘッドの中心に位置し、ステントの外表面直径は、0.07インチから約0.04インチに減少される。0.07インチから0.04インチへの直径の減少は、約10秒の期間にわたって生じるか、またはクリンパのブレードが、0.3インチ/秒の速度で0.07インチのアイリス直径から0.04のアイリス直径に移動する。アイリスがステント表面から引き抜かれる前に5秒の滞留期間がある。別の実施形態において、直径減少の速度は、0.04インチの外径に対して約0.05インチ/秒であり、その後5秒の滞留時間が続く。
【0034】
[0034]ステントは、最初に0.07インチの外表面直径であり、クリンパヘッド内にあるとき、華氏約170度の平均温度を有する。0.04インチの外表面直径への直径減少および滞留の15秒の期間にわたって、ステントの温度は低下し、例えば、直径の減少が始まったら、熱源は中断される。ステントがクリンパヘッドから取り外される際、温度は低下する(以下に説明される)。ステントの平均温度は、華氏約70度に達する。約5〜15秒後の図1Bにプロットされる温度降下は、したがって、170度の加熱されたクリンパヘッドから取り外された後のステントの温度降下を反映する。好ましくは、クリンパヘッドは、S1、S2、およびS3において、約170度で維持される。
【0035】
[0035]170度の開始温度に到達するために使用された熱移動機構は、約この温度に加熱されたクリンパブレード、加熱されたガス、圧着ヘッド内でステントを支持する加熱された支持金属マンドレル、または上記の組み合わせであってもよい。好ましい実施形態において、クリンパのブレードを加熱することのみによって温度を上げる。よって、クリンパアイリスを形成するブレードからの対流熱および放射熱のみによって、ステント温度を華氏約170度に上げる。
【0036】
[0036]ステント直径が工程S1中、約0.04インチのクリンパ顎に減少された後、ステントは加熱されたクリンパヘッドから引き抜かれる。次いで、ステントは、マンドレルから取り外され、送達システム、即ち、非適合性の折り畳まれたバルーンカテーテルのPEBAXバルーン上に設置される。ステントは、バルーンマーカー間で整合され、その後、圧着プロセスの次の工程(S2)のためにクリンパヘッドに戻される。次いで、クリンパのブレードがステントと接触する際に生じるかもしれない損傷の可能性からステント上のポリマー−薬物コーティングを保護するために、シースをステント上に設置する。シースのサイズは、バルーンの圧力が増加したとき、ステントが工程S2中に拡張する最大範囲を画定する内径サイズにより選択され得る。好ましい実施形態において、S2前に約0.042インチの初期圧着直径を有するステントのために、約0.052インチの内径を有するTEFLONシースが使用される。
【0037】
[0037]保護シースの内径の選択は、S2中のステント支柱間のバルーンの望ましいクッションの量に対して効果があると考えられる。シースの直径が非常に小さい場合、バルーンは拡張が制限されるため、望ましい量に満たないクッションが生じ、それによって、バルーン材料をステント支柱間に延在させることが妨げられると考えられている。シースの直径が非常に大きい場合、ステントは過度に拡張するか、または後続の工程S3中に他の問題が生じる可能性がある。バルーンに対するステントの変位または移動のいずれか、またはその両方が生じる、即ち、バルーンマーカーに対するステントの整合を移動させる、またはバルーンおよびステントは、内側シースの直径によってもたらされた半径方向の制限により、バルーン材料をステント支柱間に押すよりも、相互に対してより自由に外側方向に動くことができるため、支柱間のバルーン材料のクッションが小さい。これは、最終圧着中(S3)に圧縮されるよりも、シースがしわになる、またはそれ自体が折り重なる場合があるため、保護シースの直径は、あまり大きくあるべきではない。3018ステント寸法を有するステントにおいて望ましい結果を生成するために、例えば、シースの内径は、約0.042インチの初期圧着ステント直径において、約0.046〜0.056インチ、またはより厳密には約0.0048〜0.054インチであるように選択されたと考えられる。他の実施形態において、シースの内径は、ポリマー−薬物コーティングされたステントの外径より約15〜30%、20〜30%、または20〜25%大きいように選択され得る。処理されるバルーンの直径により、約0.038インチ〜約0.080インチの範囲が想定される。例えば3018ステントの場合、範囲は、約0.042インチ〜0.065インチであってもよい。
【0038】
[0038]カテーテルのルアー(luer)適合部は、ステント−カテーテルアセンブリがクリンパヘッド内に配置されている間バルーンの管腔に膨張圧力を供給するために、圧力源に接続される。バルーンの圧力は、所望の保持力および外部プロファイルに到達するように、図1Bの圧着プロセスの工程S2およびS3中、熱および温度等の他のパラメータと組み合わせて使用される。
【0039】
[0039]工程S2において、バルーン上に整合されたステントは、クリンパ顎またはブレードが引き抜かれたときの材料の弾性反跳のため、約0.04インチまたはわずかに大きい(例えば約0.042インチ)直径を有する。ステント−バルーンアセンブリ(保護シース内のステントおよびバルーン)は、加熱されたクリンパの中に戻される。約5〜10秒の期間後、ステントは、再び約170度の温度に達する。温度の上昇と同時に、シースのサイズにより(先に述べたように)バルーン直径およびステント外表面直径を増加させる圧力がバルーン管腔に供給される。一実施例において、膨張は、ステントの外表面直径を約0.042インチから約0.052インチに増加させる。他の実施形態において、ステントの外表面は、バルーンが加圧されるとき、25〜40%、25〜35%、より厳密には28〜32%増加することができてもよい。バルーンの圧力は、この圧着プロセスの段階中、約300psiのピーク圧力に増加され得る。他の実施形態において、バルーンの圧力は、150psi、または150〜300psiであってもよく、その圧力は、S2の時間の長さに基づき選択され得、例えば、低圧力において、滞留期間は増加し得る。
【0040】
[0040]別の実施形態において、クッションは、クッションを強化するために、選択されたシース内径よりも、またはそれに加えて、クリンパ顎を使用することにより制御される、または強化され得る。3018ステントに、例えば約0.052インチのシース内径を選択し、加えて(または代替的に)クリンパ顎を(ブレードが屈曲する)限界圧縮力に、または固定された直径もしくは強制変位設定に設定することにより、ステントとバルーンとの間のクッション効果が、結果を改善するように影響を受けてもよい。一実施形態において、クリンパブレードは、低圧縮力に設定され、加えてシースは、ブレードからステントへの熱伝導率を改善するように存在する。シースに接触するようにブレードを配置することにより、ステント温度は、ブレードがシースからオフセットされている場合よりも速く上がってもよい。別の実施形態において、クリンパブレードは、ブレードが半径方向の圧縮力を適用することなく、ステント直径の直径増加の近似速度(またはわずかに遅い)と合致する速度で引き抜かれ得る。
【0041】
[0041]クリンパブレードは、それぞれ、約シースの外径の、またはそれよりわずかに大きいアイリス直径を形成するように位置付けされ得るため、シースがバルーン拡張中に伸びるときでも(薄壁シースにおいて)、ステント外表面直径はこの直径を超えることができない。代替的に、クリンパブレードは、ステントがバルーンの圧力により拡張されるとき、ブレードに対するステントの力を超えるわずかな圧縮力をステントおよびシースに適用するようにプログラムされ得る。(シースによりステントに課される)この追加の圧縮荷重を適用することにより、バルーンのクッションはさらに強化され得る。一部の実施形態において、ステントにより達成される0.052インチの最大外表面直径の限度は、約シースの外径に、もしくはそれよりわずかに大きくアイリスを固定することにより強制最大変位(固定変位)を課すか、または加圧期間の終わりにステント直径が約0.052インチであるように、S2期間にわたってバルーンの圧力によって克服される、クリンパによって課される固定力のいずれかによって達成され得る。
【0042】
[0042]好ましい実施形態において、約0.042インチの圧着されたステントプロファイルに対して約0.052インチの内径を有するシースは、工程S2中の外側方向の移動を制限するために使用される。S2中、ステントの外径は、約0.042インチから、約0.052インチまたはシースの内径にほぼ等しい直径に増加する。本開示によると、S2中、ステントの外径は、工程S3に移行する前に、所望のクッション量を達成するために、S2中、約15〜30%、またはより厳密には約20〜25%、さらにより厳密には約22〜24%増加し得る。S2の持続期間は、170度の温度および約300psiの圧力でのこれらの範囲の直径増加において、約30秒であってもよい。
【0043】
[0043]上述のように、バルーン加圧期間であるS2は、ステントとバルーンとの間のクッション効果を増加させる、またはそれを強化することを意図する。「クッション効果」とは、バルーンの圧力が制限下、即ち、ステントの外径によりサイズ決定された保護シースの内径下で増加するとき、バルーン材料をステント支柱間およびそれらの隙間を通して延在させることを意味する。クッションは、バルーン材料のステント支柱との咬合を促進する。温度は華氏約170度であり、これは、管腔圧力により拡張され、その表面およびステント表面が高温を有するバルーン材料をステント支柱間に良好に延在させることができるように、クッション効果を促進することができる。ステント支柱間に設置されると、ステント解離力は、圧着されたステントとバルーンとの間の摩擦にのみ依存するステントにわたって大幅に増加する。好ましくは、使用されるバルーンは、ステントの保持を促進するための隆起または突出を含まない。むしろ、結果は、比較的平滑な表面を有するPEBAXバルーンによって達成された。
【0044】
[0044]プロセスが図1Bの工程S2から工程S3に移行するとき、ステントおよびバルーンは、クリンパヘッド内に保持される。工程S3中、ステント直径は、再び約0.04インチの直径に減少する。バルーンの圧力、例えば300psi、および華氏170度は、S2後、約0.052インチからの直径減少中、および/またはS3の約3秒の滞留期間中維持される。S3において、顎が取り外される際の作業金属の反跳を減少させる目的のために、連続圧着、滞留、および解放間隔があってもよい。加えて、圧着直径間のこの周期(例えば、圧着顎を適用した後解放する)も、解離力を増加させる。一実施形態において、ステントの直径が減少し、滞留期間が続き、次いで顎が解放される、またはより大きい直径、例えば0.03インチから0.03インチに変更される短い期間の7つの周期がある。S3において、圧着直径は、クリンパブレードによって直径を減少させられ、次いで最大最終圧着直径に反跳してもよい。
【0045】
[0045]以下の表1、2、および3は、上述の実施形態のいくつかのステント圧着のパラメータを提供する。最終圧着サイズの標的外径は、漏れ試験後、表1、2、および3の3018ステントにおいて0.04インチであった。漏れ試験後、保護シースは取り外される。
【0046】
[0046]「速度(インチ/秒)」の欄で、0.05インチ/秒および0.300インチ/秒の値が示される。一部の実施形態において、クリンパブレードがその直径を減少させるためにステント上に下げられる速度、またはバルーンが膨張する速度は、バルーンに対するステントの保持量に影響を及ぼすように変更することができる。本実施形態において、バルーン拡張の速度および/または圧着速度は、0.05〜0.300インチ/秒であってもよい。
【0047】
[0047]それぞれ表1および2で要約される実施例1および2は、実施例1のバルーンの圧力がS3の滞留期間中にのみ適用されることを除き同じである。圧着ヘッドの速度は、実施例1においては0.05インチ/秒であり、実施例2においては0.300インチ/秒である。バルーンの圧力は、実施例2において、直径減少およびS3の滞留期間中に適用される。圧力は、実施例2のs2からs3(ならびに以下の実施例3および4)に加え、S1からS2を含む全移動時間中に適用された。他の実施形態において、多工程S3プロセスの各ステップ中を含む(例えば、実施例3および4)全ての移動時間中にバルーンの圧力(一定または異なる)を適用することによって、結果はさらに改善され得ることが想定される。得られる解離力は、実施例2においてより大きかった(実施例1に対して、1.4lbと比較して1.0lb、または約40%の増加)。
【0048】
[0048]
【表1】
【0049】
[0049]
【表2】
【0050】
[0050]実施例1および2を、バルーンの圧力が工程3中に適用されなかった圧着プロセスと比較した。バルーンの圧力が工程3中に存在するとき、解離力は約0.4lb増加したことが分かった。バルーンの圧力が工程3中に適用されたとき、最終外径は、約0.003mm増加した。
【0051】
[0051]実施例3は、工程S3中に適用された複数の最終圧着の周期を示す。この実施例において、バルーンの圧力下、圧着、滞留、および解放のいくつかの周期が適用された。圧着ブレードが引き抜かれる期間は、直径0.3インチによって示される。示されるように、3秒の滞留後、圧着ヘッド力を軽減し、300psiを約0.1秒間約0psiに減少し(基本的に、圧力を軽減し、非常に短い期間のみヘッドを引き抜いた)、その後、圧着ヘッドを再度適用し、300psiのバルーンの圧力を再適用する。初期直径が0.04mmに減少した後、示されるように、同じ圧着、滞留、および解放のプロセスを3018ステントに適用する。
【0052】
[0052]
【表3】
【0053】
[0053]実施例1の圧着プロセスを実施例3の圧着プロセスと比較した。実施例3の圧着プロセスが使用されるとき、圧着プロファイルは、約0.0388インチ対約0.0398に減少してもよく、解離力は実施例1のプロセスに対して増加したことが分かった。よって、実施例3のプロセスを使用することにより、同時に解離力が増加する一方で、ほぼ同じまたはわずかに小さい最終圧着直径が達成された。
【0054】
[0054]実施例4において、圧着ヘッドは、実施例3のように開閉されないが、0.04インチのアイリス直径に於いて0.03インチのアイリス直径との間で変更された。この追加の実施例は、以下の表4に要約される。
【0055】
[0055]
【表4】
【0056】
[0056]実施例4において、滞留期間は、圧着ヘッドアイリスが0.04インチ、即ち、最終圧着直径に固定されている間に行われ、続いて短期間さらに直径を25%減少させ、その後、さらに3秒の滞留の間、0.04インチの最終直径に戻る。直径を0.03インチに減少させる間、バルーンの圧力は300psiであり、その後、アイリスが0.03インチから0.04インチに再び変更されるとき、バルーンの圧力は減少する。
【0057】
[0057]実施例3対実施例4のバルーンの圧力期間を比較すると、実施例3において、0.04インチの直径が圧着ヘッドによって強制されるとき、即ち、直径が未荷重の直径から0.04インチの直径に減少するとき(もしあれば)、バルーンの圧力が適用される。滞留期間中、ステントは圧着ヘッドによって荷重されず、またバルーンの圧力も適用されない(約0.1秒の期間)。実施例4において、バルーンの圧力は、直径が0.04インチから0.03インチに減少するときに適用される。バルーンの圧力は、ステントが最大約0.04インチに拡張する短い滞留期間中に軽減される。
【0058】
[0058]実施例3および4により工程3中に実施された周期は、以下の理由により有益であると考えられる。最初に、実施例4のように、ステント直径を未荷重またはより大きい直径、例えば0.04から減少された直径に繰り返し変更することにより、材料は、ステントが最終的にクリンパから取り外されるときの反跳を減少するように加工される。加えて、圧力を増加し、軽減しながら2つの直径間を移動することにより、バルーン材料は、解離力を増加するように、さらにステント支柱間に落ち着くことができる。特に、所望の解離力は、先行技術プロセスのように長い滞留時間を必要とすることなく、または所望量を超えてプロファイル直径を減少させることなく、実施例3および4で採用された周期プロセスによって得ることができることが分かった。よって、所望の解離力は、所望のプロファイルを維持しながら、解離力を増加するように以前使用されていた長い滞留期間に替わる周期プロセスにより得ることができる。
【0059】
[0059]先に述べたように、上述のプロセス、例えば実施例3は、前に可能だと考えたよりも実質的に少ない時間で完了する。本発明の前は、ステントの反跳を減少させ、クッションを生じさせるために、実質的により多くの滞留時間が、各工程において必要であると考えられていた。図1は、先行技術の3つの工程プロセスと比較した、本発明による3つの工程プロセスの時間分の比較を示す。2つのプロセスのそれぞれについて、ステントの外径(縦棒)および温度(折れ線グラフ)対時間をプロットする。
【0060】
[0060]図1から理解できるように、圧着ヘッド内の予備圧着処理時間は約70秒から約25秒に短縮された。S2またはクッション工程は、約180秒から25秒に短縮された。最後に、S3または最終圧着/押圧工程は、約50秒から約10秒に短縮された。よって、3018ステントを圧着するための全体的なプロセス時間は、約350秒から約60秒に短縮された(漏れ試験滞留期間は含まず)。
【0061】
[0061]実施例2、3、および4のプロセスはそれぞれ、プロセスがS2からS3に移行するとき、即ち、直径が約0.052インチの直径から0.04インチまたは0.03インチに減少するときに、圧力および温度を維持することを含む。意外にも、このプロセスの段階中圧力を維持することにより、プロファイル直径に任意の大幅な増加または変化をもたらすことなく、またはステントの展開もしくはバルーンの一体性に悪影響を及ぼすことなく、解離力に著しい増加があった。いずれの特定の理論にとらわれるわけではないが、バルーンの圧力の存在がS2中に形成されたステント支柱間のバルーン材料の存在の維持に役立ったため、解離力または保持力は、S2およびS3の直径減少中圧力を維持することにより(実施例1のように、バルーンの圧力を適用しないこととは反対に)増加したと考えられる。このバルーンの圧力が適用されなければ、S2からS3への移行中の約25%〜約40%の直径の減少は、支柱間の間隔が減少するため、バルーン材料がステント支柱間から押し出されるか、またはそこから出されると考えられる。
【0062】
[0062]上記に示した実施例は、3018ステントの直径の寸法およびこのステントの所望の圧着プロファイルを指す。しかしながら、示される原理は、異なるサイズのステントに適用可能である。したがって、本開示は、3018ステント等の特定の圧着プロファイルまたは展開直径を有するステントに限定されるべきではない。さらに、「ステント」とは対照的に「本ステント」の記述がある場合、定冠詞「the」の使用により、説明が3018ステントのみ、または3018ステントと類似する寸法を有するそれらのステントのみを必ず指すと判断することは間違いである。当業者は、本明細書で説明される原理が3018ステントまたは類似するステント以外のステントに提供され得ることを認識するだろう。
【0063】
[0063]本発明の特定の実施形態が示され、説明されたが、変更および修正が、その広範な態様において本発明から逸脱することなく行われ得ることは、当業者には明らかであろう。したがって、付属の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨および範囲内に入る全てのそのような変更および修正をそれらの範囲内に包含するものである。
[発明の項目]
[項目1]
ステントをバルーンに圧着するための方法であって、
i.前記ステントの温度を上昇させることと、
ii.前記ステントが圧着ヘッド内のマンドレル上に支持されている間、前記ステント直径を第1の直径に減少させることを含み、前記直径が前記第1の直径に減少されている間、前記ステントが第1の高温を有する、前記ステントを予備圧着することと、
iii.前記予備圧着ステップ後に前記圧着ヘッドから前記ステントおよびマンドレルを取り外し、ステント−カテーテルアセンブリを組み立てるために、前記ステントをバルーンカテーテル上に設置することであって、前記バルーンカテーテルのバルーンは、前記バルーンカテーテルの膨張管腔の近位端を通して加圧されることが可能であることと、
iv.前記圧着ヘッド内に前記ステント−カテーテルアセンブリを設置し、前記ステント温度を第2の高温に上昇させ、前記ステントが前記第2の高温を有する間、前記ステント−カテーテルアセンブリが前記圧着ヘッド内にあるときに、前記膨張管腔を介して前記バルーンを加圧することであって、バルーン材料をステント支柱間に延在させるために前記バルーンが加圧されるとき、前記ステント直径は、前記第1の直径よりも最大約25〜30%大きい第2の直径に拡張するように制限されることと、
v.ステップiv後、第3の高温を有する前記ステントを前記バルーンに圧入することであって、前記バルーンの圧力を維持しながら、前記圧着ヘッドを使用して、約前記第2の直径から約最終直径に前記ステント直径を減少させることを含み、前記直径は、前記バルーンの圧力が維持されている間に、前記第2の直径から約25%〜40%減少することと、
vi.前記ステント−カテーテルアセンブリを前記圧着ヘッドから取り外すことと、を含む、方法。
[項目2]
ステップiiiは、前記ステント上のコーティングを保護するために、前記ステントの第1の直径より約25%大きい内径を有するシースを前記ステント上に設置することを含み、前記シースは、前記ステント上の前記シースの存在が、ステップiv中のステント拡張に対して前記第1の直径よりも最大約25〜30%大きい制限を提供するように、半径方向の剛性を有する、項目1に記載の方法。
[項目3]
前記第1の直径は、前記最終直径とほぼ同じである、項目1に記載の方法。
[項目4]
前記第1、第2、および第3の高温は、同じである、項目1に記載の方法。
[項目5]
ステップvは、ステップ(a)から(e):すなわち、
(a)前記バルーンの圧力を維持しながら、前記ステント直径を約前記最終圧着直径に減少させることと、
(b)前記圧着ヘッドが約前記最終圧着直径にある間に、滞留期間の間、前記バルーンの圧力を維持することと、
(c)ステップ(b)後、前記バルーンの圧力を減少させ、前記ステントから前記圧着ヘッドを引き抜き、それによって、前記ステントを反跳させることと、
(d)ステップ(c)後、前記圧着ヘッドを約前記最終圧着直径に戻すことと、
(e)ステップ(b)から(d)までを3回以上繰り返すことと、を更に含む、項目1に記載の方法。
[項目6]
ステップ(c)中の持続時間は、約0.1秒であり、ステップ(a)の前記バルーンの圧力は、約300psiであり、前記バルーンの圧力は、圧力を再び増加させ、ステップ(d)に従い前記圧着ヘッドを前記ステントに再度適用する前に、0.1秒後に達成可能な値まで降下させる、項目5に記載の方法。
[項目7]
ステップvは、ステップ(a)から(e):すなわち、
(a)前記バルーンの圧力を維持しながら、前記ステント直径を前記最終圧着直径より小さい第3の直径に減少させることと、
(b)前記圧着ヘッドが前記第3の直径にある間に、滞留期間の間、前記バルーンの圧力を維持することと、
(c)ステップ(b)後、前記バルーンの圧力を減少させ、その後、前記圧着ヘッド直径を増加させ、前記ステントを前記第3の直径からより大きい直径に反跳させることと、
(d)ステップ(c)後、前記バルーンの圧力を増加させ、前記圧着ヘッドを約前記第3の直径に戻すことと、
(e)ステップ(b)から(d)までを3回以上繰り返すことと、を更に含む、項目1に記載の方法。
[項目8]
前記第3の直径は、前記最終圧着直径より約20〜40%小さい、項目7に記載の方法。
[項目9]
(c)中の持続時間は、約0.1秒であり、ステップ(a)の前記バルーン圧力は、約300psiであり、前記バルーン圧力は、圧力を再び増加させ、ステップ(d)に従い前記圧着ヘッドを前記ステントに再度適用する前に、0.1秒後に達成可能な値まで降下させる、項目8に記載の方法。
[項目10]
ステントをバルーンに圧着するための方法であって、
i.前記ステントの温度を上昇させることと、
ii.前記ステントが圧着ヘッド内のマンドレル上に支持されている間、前記ステント直径を第1の直径から約最終の圧着直径に減少させることを含み、前記直径が約前記最終の圧着直径に減少されている間、前記ステント温度が前記高温を有する、前記ステントを予備圧着することと、
iii.前記予備圧着ステップ後に前記圧着ヘッドから前記ステントおよびマンドレルを取り外し、ステント−カテーテルアセンブリを組み立てるために、前記ステントをバルーンカテーテル上に設置することであって、前記バルーンカテーテルのバルーンは、前記バルーンカテーテルの膨張管腔の近位端を通して加圧されることが可能であることと、
vi.半径方向の剛性およびステップii後の前記ステント外径より約20〜30%大きい内径を有する保護シースを、前記ステント上に設置することと、
v.前記圧着ヘッド内に前記ステント−カテーテルアセンブリを設置し、前記ステント温度を前記高温に増加させることと、
vi.前記ステントが前記高温を有する間に、
(a)前記ステント−カテーテルアセンブリが前記圧着ヘッド内にある間に、前記膨張管腔を介して前記バルーンを加圧することであって、前記バルーン圧力が既定の時間期間、最大圧力で維持され、前記ステントは、前記保護シースによりその直径の約25〜30%を超えて拡張することが制限されることと、
(b)ステップ(a)後、前記高温およびバルーン圧力を維持しながら、前記圧着ヘッドを使用して、前記ステントの直径を、約前記最終圧着直径より小さい第3の直径に減少させることと、を含む、前記ステントを前記バルーンに連結させることと、
vii.前記ステント−カテーテルアセンブリを前記圧着ヘッドから取り外すことと、を含む、方法
[項目11]
ステップ(b)は、
ステップ(a)と同じバルーン圧力を維持しながら、前記ステントの直径を前記第3の直径に減少させるステップと、その後、
前記圧着ヘッドを前記ステントから引き抜き、バルーン圧力を約0.1秒間減少させた後、前記バルーン圧力で再び前記ステントを前記第3の直径に減少させ、このステップを複数回繰り返し、それによって、ステントの剥離力をさらに増加させるために、バルーン材料と共に前記ステントを周期させるステップと、をさらに含む、項目10に記載の方法。
[項目12]
ステップ(b)は、前記ステントが高温を有し、かつ前記バルーンが前記ステント内表面に約300psiを適用するのと同時に、前記ステント直径を約40%減少させ、それによって、ステップ(a)後ステント支柱間にバルーン材料の存在を維持させることをさらに含む、項目11に記載の方法。
図1A
図1B