(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記天板が前記複数の脚に対して上方に向かって変位することができるように、前記天板と前記複数の脚とが複数の架橋部を介して接続されている請求項3に記載のバイアルシールド。
前記バイアルシールドを前記バイアル瓶に装着したとき、前記弁体と前記栓体との間であって、前記弁体の前記切り込みを含む領域に、密封空間が形成される請求項1〜7のいずれかに記載のバイアルシールド。
前記複数の爪のそれぞれは、前記天板に対向する側に、先端に近づくにしたがって前記天板に接近するように傾斜した面を有している請求項1〜11のいずれかに記載のバイアルシールド。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上記の本発明のバイアルシールドにおいて、前記天板が前記複数の脚に対して上方に向かって変位することができるように、前記天板と前記複数の脚とが複数の架橋部を介して接続されていてもよい。これにより、バイアル瓶の栓体やフランジの上下方向寸法の違いを、天板が上方に向かって変位することにより吸収する。従って、バイアルシールドを装着することができるバイアル瓶の寸法許容範囲が拡大する。
【0013】
前記弁体の前記栓体に対向する側の面には少なくとも1つの突起が形成されていてもよい。これにより、バイアル瓶の栓体やフランジの上下方向寸法の違いを、当該少なくとも1つの突起が、その圧縮変形量を変えることにより吸収する。従って、バイアルシールドを装着することができるバイアル瓶の寸法許容範囲が拡大する。
【0014】
上記において、前記少なくとも1つの突起は、前記切り込みを取り囲むように環状に連続したリブを含んでいてもよい。これにより、弁体と栓体との間にシールされた空間が形成されるので、薬剤や薬液が外界に漏れ出る可能性を更に低減することができる。また、穿刺針を弁体の切り込みに挿入する際に、切り込みが最深部に位置するように弁体が凹状に変形するので、穿刺針を弁体の切り込みに正しく案内することができる。
【0015】
前記栓体が前記バイアル瓶の前記口から外れないように前記栓体及び前記口にキャップが装着されていてもよい。この場合、前記少なくとも1つの突起は前記キャップに当接するような位置に設けられていることが好ましい。これにより、弁体と栓体との間の空間の容積が拡大する。これは、薬剤や薬液の漏れ出しを低減することと、穿刺針を切り込みへ案内するのに有利である。また、少なくとも1つの突起が相対的に硬いキャップに当接することにより、弁体と栓体との間の空間のシール性が向上する。これは、薬剤や薬液の漏れ出しを低減するのに有利である。
【0016】
前記少なくとも1つの突起は、中央突起を含んでいてもよい。この場合、前記切り込みは前記中央突起内に形成されていることが好ましい。これにより、穿刺針が弁体に押力を加えたときに、中央突起が、弁体と栓体との間の空間が圧縮されるのを抑制する。これは、当該空間内に留められた薬剤や薬液が外界に漏れ出るのを低減するのに有利である。また、弁体に中央突起を設けることによって、切り込みの近傍の弁体の厚みが増大する。これは、切り込みのシール性を向上させるのに有利である。
【0017】
前記中央突起は、前記栓体に当接するような位置に設けられていることが好ましい。これにより、中央突起を、栓体に密着させることができる。これは、バイアル瓶内の薬剤や薬液が穿刺針と栓体との間の隙間を通って弁体側に漏れ出るのを抑制するのに有利である。
【0018】
上記の本発明のバイアルシールドにおいて、前記バイアルシールドを前記バイアル瓶に装着したとき、前記弁体と前記栓体との間であって、前記弁体の前記切り込みを含む領域に、密封空間が形成されることが好ましい。これにより、穿刺針が弁体を穿刺した穿刺孔を通って漏れ出た薬剤や薬液は、上記密封空間内に留められる。これは、薬剤や薬液が外界に漏れ出るのを抑制するのに有利である。
【0019】
上記の本発明のバイアルシールドにおいて、前記弁体の前記栓体とは反対側の面に凹部が形成されていてもよい。この場合、前記切り込みは前記凹部内に形成されていることが好ましい。これにより、穿刺針を弁体の切り込みに挿入する際に、凹部が穿刺針を弁体の切り込みに正しく案内する。従って、穿刺針が弁体の切り込み以外の部分を穿刺する可能性が低減する。
【0020】
上記の本発明のバイアルシールドにおいて、前記複数の爪のそれぞれは、前記天板に対向する側に、先端に近づくにしたがって前記天板に接近するように傾斜した面を有していてもよい。これにより、バイアル瓶の栓体やフランジが大きな外径を有していても、フランジに対する爪の確実な係合を確保することができる。
【0021】
上記の本発明のバイアルシールドにおいて、前記栓体が前記バイアル瓶の前記口から外れないように前記栓体及び前記口にキャップが装着されていてもよい。この場合、前記複数の爪は、前記キャップの下端に係合するように構成されていることが好ましい。これは、バイアルシールドをバイアル瓶に、よりしっかりと装着するのに有利である。
【0022】
上記の本発明のバイアルシールドが、
前記天板から下方に向かって延びた側壁と、前記側壁の下端に設けられた、前記天板と同軸の円形状の環状部とを更に備えていてもよい。前記側壁及び前記環状部は、前記脚の前記爪が形成された部分をスリットを介して取り囲
んでいてもよい。これは、作業者が脚に指を掛けて、爪とバイアル瓶の口との係合を解除することを困難にする。従って、バイアルシールドをバイアル瓶から誤って取り外すことによって、弁体と栓体との間の空間に留められた薬剤や薬液を外界に放出してしまうという誤操作を行う可能性を低減するのに有利である。
【0023】
上記の本発明のバイアルシールドにおいて、前
記複数の架橋部、前記複数の脚、又は前記天板に薄肉部が設けられていてもよい。この場合、前記薄肉部は、前記複数の脚が弾性的に変位したときに、前記天板の前記弁体を保持する部分の変形を低減するように構成されていることが好ましい。これは、弁体が天板から脱落する可能性を低減するのに有利である。また、キャップの外径(または、栓体及びフランジの外径)に関わらず、弁体と栓体との間の空間のシール性を確保するのに有利である。
【0024】
上記の本発明のバイアルシールドにおいて、前記複数の爪の数が3以上であってもよい。これにより、バイアルシールドをバイアル瓶に安定且つ確実に装着することができる。
【0025】
以下に、本発明を好適な実施形態を示しながら詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。以下の説明において参照する各図は、説明の便宜上、本発明の実施形態を構成する部材のうち、本発明を説明するために必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。従って、本発明は以下の各図に示されていない任意の部材を備え得る。また、以下の各図では、実際の部材の寸法および各部材の寸法比率等は忠実に表されていない。
【0026】
(実施形態1)
[バイアルシールドの構成]
図1Aは、本発明の実施形態1にかかるバイアルシールド1の上方から見た斜視図、
図1Bは、その下方から見た斜視図である。
図2Aは、バイアルシールド1の平面図、
図2Bは、その側面図である。
図3は、バイアルシールド1の中心軸1aを含む面に沿ったバイアルシールド1の断面斜視図である。
図4は、バイアルシールド1の分解斜視図である。以下の説明の便宜のために、バイアルシールド1の中心軸1aと平行な方向を「上下方向」といい、
図2Bの紙面の上側をバイアルシールド1の「上側」、
図2Bの紙面の下側をバイアルシールド1の「下側」という。中心軸1aに垂直な平面に平行な方向を「水平方向」という。中心軸1aの周りに回転する方向を「周方向」といい、中心軸1aに対して直交する方向を「半径方向」という。但し、上記の「上側」、「下側」、「水平方向」は、バイアルシールド1の実際の使用時の姿勢(向き)を意味するものではない。
【0027】
図4に示されているように、バイアルシールド1は、シールド本体10及び弁体20からなる。
【0028】
シールド本体10は、中央に開口12が形成された天板11と、天板11から下方に向かって延びた一対の脚15とを備える。
【0029】
天板11は、その外側端縁及び開口12を規定する内側端縁の平面視形状が同心の円形である円環状体である。但し、天板11の形状はこれに限定されない。例えば、天板11の外側端縁の平面視形状は、楕円形、菱形などの任意の形状を有していてもよい。
【0030】
天板11の外周端縁から、一対の水平部(架橋部)15aが半径方向にほぼ沿って延びている。脚15は、各水平部15aの外側端(天板11とは反対側端)から中心軸1aに略平行に下方に向かって延びている。一対の水平部15a及び一対の脚15は中心軸1aに対して対称位置に配置されている。脚15は、その下側部分が周方向に2つに分岐した略「Y」字形状を有している。脚15の分岐したそれぞれの末端に、中心軸1aに向かって突出した爪16が形成されている。爪16の天板11に対向する面(上面)16a(
図3参照)は、爪16の先端16t(爪16の中心軸1aに最も近い部分)に近づくにしたがって天板11に接近するように傾斜している。また、爪16の天板11とは反対側の面(下面)16b(
図3参照)も、爪16の先端16tに近づくにしたがって天板11に接近するように傾斜している。
【0031】
水平部15aの上側の面には、水平部15aを周方向に横切る溝が形成されている。その結果、水平部15aの溝が形成された部分は、他の部分に比べて相対的に厚さが薄い薄肉部15cを構成している。なお、溝は、水平部15aの下側の面に形成されていてもよい。
【0032】
脚15は、爪16が中心軸1aから離れる向き(外向き)に弾性的に変位することができる。シールド本体10の剛性(機械的強度)は、薄肉部15cにおいて最も低いから、脚15がこのような弾性的な変位をするとき、主として水平部15aの薄肉部15cが弾性曲げ変形する。
【0033】
シールド本体10は、硬質材料からなる。具体的には、特に制限はないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、スチレンエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ブチレンスチレンブロック共重合体などを例示することができるが、医療用に用いられることや脚15が弾性変位することを考慮すると、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂が好ましい。シールド本体10は、上記の樹脂材料を射出成形することにより一体的に形成することができる。
【0034】
弁体20は、
図4に示されるように、円形の平面視形状を有する薄肉の板状体である。弁体20は、外力を加えると変形し、当該外力を除去すると直ちに初期形状に復帰するゴム状の弾性材料からなる。その硬度は、JIS−Aにおいて20〜55であることが好ましい。具体的には、天然ゴム、イソプレンゴム、シリコーンゴム等のゴムや、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等の熱可塑性エラストマーを用いることができる。
【0035】
図3に示されているように、弁体20の上面の中央には、弁体20を薄肉化させる凹部21が形成されている。そして、凹部21内には、弁体20を厚さ方向(上下方向)に貫通する切り込み22が形成されている。凹部21の形状は、特に制限はないが、円錐面、円錐台面(円錐面の頂部を含む部分を底面と平行な面に沿って切り取った形状)、球面など、切り込み22に近づくにしたがって低くなるような傾斜した面を有することが好ましい。
図1B及び
図3に示されているように、弁体20の下面には、下方に向かって一定高さで突出したリブ(突起)25が形成されている。リブ25は、切り込み22を取り囲むように円環状に連続している。
【0036】
切り込み22は、凹部21の中央の最深部に形成される。切り込み22は、上方から見た形状がマイナス字(「−」)形状を有するスリット状であることが好ましい。切り込み22に穿刺針が挿入されていない初期状態では、
図3に示すように切り込み22は閉じられ、液密且つ気密なシールが形成されることが好ましい。切り込み22に穿刺針を挿入すると、切り込み22を形成する対向する端縁が穿刺針の外表面に応じて変形してこれに密着し、弁体20と穿刺針との界面に液密且つ気密なシールが形成されることが好ましい。その後、弁体20から穿刺針を引き抜くと、弁体20は初期状態の形状に直ちに復帰し、切り込み22がシールされることが好ましい。このように、弁体20は、リシール性を有する弁として機能する。
【0037】
弁体20は、シールド本体10の天板11の開口12を塞ぐように、シールド本体10に一体化される。弁体20をシールド本体10に一体化させる方法としては、二色成形法、嵌合法などを用いることができる。
【0038】
二色成形法においては、例えば、予め成形したシールド本体10を金型内に設置して弁体20の材料を当該金型内に射出して、弁体20の成形と同時に弁体20をシールド本体10に一体化させることができる。このような二色成形法を行う場合、弁体20の材料は熱可塑性エラストマーであることが好ましい。
【0039】
嵌合法では、シールド本体10及び弁体20を別々に作成し、次いで弁体20を天板11の開口12内に下から嵌入させる。このとき、開口12内に嵌入された弁体20が天板11によって半径方向に圧縮されるように、開口12の内径及び弁体20の外径が設定されることが好ましい。これは、弁体20の天板11からの脱落防止、及び、弁体20の切り込み22のシール性の向上に有利である。嵌合法において、弁体20を開口12内に嵌入した後、天板11と弁体20とを接着剤で固定してもよい。
【0040】
[バイアルシールドのバイアル瓶への装着]
バイアルシールド1をバイアル瓶に装着する方法を説明する。
【0041】
図5は、バイアルシールド1が装着されるバイアル瓶80の一例の断面図である。バイアル瓶80は、瓶本体81の上端のフランジ82で囲まれた口(開口)83に、フランジ82と略同一外径を有する栓体(ゴム栓)86を嵌入して当該口83を気密に封止した密封容器である。フランジ82の外周面は、そのすぐ下の部分(くびれ部分)84よりも大きな外径を有する略円筒面である。従って、フランジ82とくびれ部分84との間には、両者の外径差に基づく段差が形成されている。
【0042】
栓体86が瓶本体81の口83から脱落するのを防止するために、栓体86及びフランジ82にキャップ88が装着されている。キャップ88は、金属、樹脂等のシートからなり、栓体86及びフランジ82に密着している。キャップ88の下端88eは、フランジ82の略円筒面である外周面よりも下側に位置している。キャップ88の上端は、栓体86の上面に位置している。栓体86の上面の中央の領域は、キャップ88に設けられた円形の開口88aを介して外界に露出している(後述する
図6参照)。
【0043】
図6に示すように、バイアル瓶80の栓体86にバイアルシールド1を対向させる。そして、バイアルシールド1の一対の脚15の間にキャップ88を嵌入させて、バイアルシールド1をバイアル瓶80に向かって押し付ける。バイアルシールド1の互いに対向する脚15間の間隔は、バイアル瓶80のキャップ88の外径とほぼ同じである。バイアルシールド1の対向する爪16の先端16t間の間隔は、キャップ88の外径より小さい。従って、爪16の下面16b(
図1B、
図3参照)が、キャップ88の上面の外周端縁88bに衝突する。爪16の下面16bは、上述したように傾斜しているので、バイアルシールド1をバイアル瓶80に向かって押し付けるにしたがって、爪16が中心軸1aから離れる向きに一対の脚15が弾性的に変位する。爪16の先端16tは、キャップ88の上面の外周端縁88bを通過した後、キャップ88の外周面88c上を摺動する。そして、爪16の先端16tが、キャップ88の外周面88cの下側端縁88dを越えると、一対の脚15が弾性回復し、爪16がくびれ部分84に嵌入する。
【0044】
かくして、
図7に示すように、バイアルシールド1がバイアル瓶80に装着される。
図8Aはバイアル瓶80に装着されたバイアルシールド1の平面図、
図8Bはその側面図である。
図9は、
図8Aの9−9線を含む断面に沿ったバイアルシールド1及びバイアル瓶80の断面図である。
図9の断面は、バイアルシールド1の中心軸1a及び爪16の先端16tを含む。
【0045】
脚15が弾性変位可能であること、及び、爪16の下面16bが傾斜していることにより、上記のようにバイアルシールド1をバイアル瓶80に向かって単に押し込むだけで、爪16がフランジ82に係合し、バイアルシールド1をバイアル瓶80に装着することができる。従って、バイアルシールド1のバイアル瓶80に対する装着の作業性は良好である。
【0046】
図7及び
図9に示されているように、バイアルシールド1の天板11及び弁体20が、栓体86の上面の一部を覆っている。脚15がキャップ88の円筒面状の外周面88cに対向している。
【0047】
図9に示されているように、バイアルシールド1に設けられた爪16がキャップ88を介してフランジ82に係合している。弁体20の下面から突出した環状のリブ25が、栓体86の上面に延びたキャップ88に当接している。爪16がフランジ82と係合することにより、弁体20のリブ25は、キャップ88に押し付けられて上下方向に弾性的に圧縮変形している。従って、栓体86と弁体20との間に液密にシールされた空間30が形成されている。
【0048】
リブ25は、キャップ88の開口88a内に露出した栓体86ではなく、栓体86上のキャップ88に当接する。これは、空間30の容積を大きくするのに有利である。また、キャップ88は栓体86より硬いので、空間30のシール性を向上するのに有利である。
【0049】
一対の脚15(爪16を含む)が、バイアル瓶80を水平方向に挟持しているので、バイアルシールド1はバイアル瓶80に対して水平方向に位置決めされ固定される。また、弁体20及び爪16が、キャップ88を介して栓体86及びフランジ82を上下方向に挟持しているので、バイアルシールド1はバイアル瓶80に対して上下方向に位置決めされ固定される。従って、外力や振動がバイアルシールド1に加えられても、バイアルシールド1がバイアル瓶80から意図せずに脱落することはない。
【0050】
互いに対向する脚15間の間隔がキャップ88の外径より小さい場合には、水平部15a(特に水平部15aの薄肉部15c)が弾性的に曲げ変形して、キャップ88の外径に応じて脚15間の間隔が拡大するように脚15が変位する。また、互いに対向する爪16間の間隔がくびれ部分84の外径より小さい場合には、水平部15a(特に水平部15aの薄肉部15c)が弾性的に曲げ変形して、くびれ部分84の外径に応じて爪16間の間隔が拡大するように脚15が変位する。従って、バイアルシールド1を装着することができるバイアル瓶80の寸法(特に、キャップ88やくびれ部分84の外径)の範囲は広い。
【0051】
大きな外径を有するキャップ88やくびれ部分84によって脚15が上記のように変位すると、爪16は半径方向の外側へ変位し、その姿勢(向き)が変化する。上述したように、脚15が変位していない初期状態(無負荷状態)において、爪16の上面16a(
図3参照)は、先端16t側が天板11に近づくように傾斜している。このため、爪16が半径方向の外側へ変位しても、先端16tが上面16aより高い状態を維持することができる。従って、常に爪16の先端16t又はその近傍部分がフランジ82に当接する。よって、キャップ88又はくびれ部分84が大きな外径を有する場合であっても、フランジ82に対する爪16の確実な係合を確保することができる。
【0052】
[バイアル瓶と穿刺針との接続]
本発明では、上述したようにバイアル瓶80にバイアルシールド1を装着した後、弁体20を介して栓体86に穿刺針を穿刺する。本発明において、穿刺針の構成は任意であり、例えば従来から公知の穿刺針を用いることができる。穿刺針の先端から薬液が外界に漏れ出るのを防止するために、穿刺針の少なくとも先端を覆うカバーが穿刺針に装着されていてもよい。
図10は、そのようなカバー120付き穿刺針100の一例の断面図、
図11はその斜視図である。
【0053】
図10に示されているように、穿刺針100は、基台109から突出した棒状部材であって、鋭利な先端100tを有している。穿刺針100内には、穿刺針100の長手方向に沿って2つの流路101,102が互いに独立して形成されている。流路101は、液体が流れる液体流路であり、流路102は、気体が流れる気体流路である。液体流路101は、先端100t側において、横孔101aと連通している。横孔101aは穿刺針100の長手方向に対して直交する方向に沿って延び、穿刺針100の外表面において開口している。気体流路102は、先端100t側において、穿刺針100の外表面を構成する略円錐面において開口している。
【0054】
基台109は、例えばバイアル瓶80に接続されるコネクタ(図示せず)の一部であってもよい。
図10では、液体流路101及び気体流路102は、基台109の下面において開口しているが、それぞれ延長されて所望する流路に連通していてもよい。穿刺針100が、例えば特許文献1,2に記載されたコネクタの穿刺針であってもよい。
【0055】
穿刺針100及び基台109は、実質的に剛体と見なしうる硬質の材料からなることが好ましい。具体的には、ポリアセタール、ポリカーボネート等の樹脂材料を用いて、穿刺針100と基台109とを一体成形等の方法で作成することができる。
【0056】
カバー120は、中空の略筒形状を有する外周壁121と、外周壁121の一端に設けられた頭部125と、外周壁121の他端に設けられた環状の基部129とを備える。カバー120に上下方向の圧縮力が印加されたときに、外周壁121が、その上下方向寸法が短縮するように弾性的に圧縮変形する。カバー120は、このような圧縮変形が可能なように、可撓性(柔軟性)を有する材料(例えばシリコンゴム、イソプレンゴム)で一体的に作成することができる。
【0057】
頭部125には、穿刺針100の、先端100t、気体流路102の開口、横孔101aの開口を含む部分が挿入される内腔126が形成されている。内腔126の内面は、穿刺針100の外表面に沿った形状に設定されている。
図10のように穿刺針100の先端100tを含む部分が内腔126に挿入された状態では、液体流路101に連通した横孔101aの開口は内腔126の内面により液密に封止される。
【0058】
内腔126の最深部には頭部125を上下方向に貫通するスリット127が形成されている。
図11に示されているように、スリット127は、その上方から見た形状が「−」(マイナス)字形状である直線状の切り込みである。穿刺針100がスリット127を貫通していない初期状態では、スリット127を形成する互いに対向する端縁は接触し、液密なシールを形成していることが好ましい。
【0059】
図11に示されているように、頭部125の上面の中央には上方に向かって突出した凸部128が形成されている。凸部128の外面は、本実施形態1では略円錐面であるが、これ以外の、略円錐台面、球面などのなめらかにドーム状に膨らんだ凸曲面などであってもよい。スリット127は凸部128の最頂部(中央)を通る。
【0060】
基部129は、カバー120を基台109に固定するために設けられている。基部129を基台109に固定する方法は特に制限はなく、接着、融着、係合、嵌合などの任意の方法を用いることができる。
【0061】
本発明のバイアルシールド1が装着されたバイアル瓶80と穿刺針100との接続について説明する。
【0062】
図12は、接続する直前の、バイアルシールド1が装着されたバイアル瓶80と、カバー120付き穿刺針100との断面図である。
図12の断面は、
図8Aの12−12線を含む上下方向面であり、弁体20に形成された切り込み22と直交する。
図12に示すように、バイアル瓶80に装着されたバイアルシールド1の弁体20に、カバー120の頭部125を対向させる。このとき、弁体20の凹部21に頭部125の凸部128を当接させることにより、作業者には見えない穿刺針100の先端100tを弁体20の切り込み22に対して正確に位置合わせすることができる。そして、穿刺針100をバイアル瓶80に向かって押し付ける。穿刺針100の先端100tは、頭部125のスリット127を貫通し、凸部128から突出する。穿刺針100の先端100tは、弁体20の凹部21の表面によって、凹部21の最深部に形成された切り込み22に案内される。そして、穿刺針100の先端100tは、弁体20の切り込み22を貫通し、更に、栓体86を穿刺し、これを貫通する。この過程で、カバー120(特にその外周壁121)は中心軸1a方向に弾性的に圧縮変形される。
【0063】
図13は、バイアルシールド1が装着されたバイアル瓶80と、カバー120付き穿刺針100とを接続した状態を示した断面図である。
図13の断面は
図12の断面と同じである。
【0064】
図13に示されているように、穿刺針100は、カバー120の頭部125に形成されたスリット127を貫通し、バイアルシールド1の弁体20に形成された切り込み22を貫通し、更に、栓体86をも貫通している。弁体20及び栓体86は、穿刺針100に貫通されることにより、瓶本体81の側に大きく変形している。弁体20と栓体86との間に形成されていた空間30(
図12参照)は、押し潰されてほとんど視認することができない。カバー120は、バイアルシールド1から圧縮力を受け、頭部125の凸部128(
図12参照)は初期の形状が認められないほどに大きく変形して弁体20に密着し、外周壁121は大きく圧縮変形している。
【0065】
穿刺針100の先端100t側に開口した横孔101aと気体流路102とは、バイアル瓶80内に露出している。この状態で、液体流路101及び横孔101aを介して、バイアル瓶80内に液体(例えば溶解液)を流入させることができ、また、バイアル瓶80内の液体(例えば薬剤を溶解して得た薬液)をバイアル瓶80外に流出させることができる。バイアル瓶80に対して液体が出入りする際に、気体流路102を介して空気がバイアル瓶80に対して出入りする。これにより、バイアル瓶80内の気圧の変動を低減し、液体の出入りを容易にする。
【0066】
穿刺針100を介してバイアル瓶80に対して液体の出し入れを行った後、穿刺針100を栓体86から引き抜く。
【0067】
穿刺針100が栓体86及び弁体20を抜けると、栓体86及び弁体20はそれぞれ弾性回復して初期形状に戻り、穿刺針100が穿刺していた栓体86の孔は直ちに塞がり、また、弁体20の切り込み22も直ちに閉じる。その後、穿刺針100がカバー120の頭部125のスリット127を抜けると、スリット127は直ちに弾性回復して閉じる。穿刺針100の先端100t及びその近傍部分は、頭部125の内腔126内に収納される。内腔126の内周面は、穿刺針100の外表面に密着し、横孔101a及び気体流路102の先端100t側の各開口を塞ぐ。その後、頭部125の凸部128が弁体20から分離し、
図12に示した初期状態に戻る。空になったバイアル瓶80は、バイアルシールド1を装着したままの状態で廃棄される。
【0068】
以上のように、本実施形態1のバイアルシールド1は、バイアル瓶80の栓体86の少なくとも一部を覆うようにバイアル瓶80に装着される(
図7参照)。穿刺針100は、バイアルシールド1の弁体20を貫通した後、栓体86を穿刺する(
図12、
図13参照)。穿刺針100を弁体20の切り込み22に挿入すると、弁体20の切り込み22の対向する端縁が穿刺針100の外表面に隙間なく密着し、穿刺針100との間に気密なシールを形成する。従って、バイアル瓶80内が陽圧であるために穿刺針100が栓体86を穿刺したときにバイアル瓶80内の薬剤やその蒸気が穿刺針100と栓体86との間のわずかな隙間を通ってバイアル瓶80外に漏れ出たとしても、これらが外界に拡散するのを、弁体20及び弁体20と穿刺針100との間の気密なシールが防止する。
【0069】
また、弁体20の切り込み22はスリット形状を有しているので、穿刺針100が切り込み22から抜け出ると直ちに閉じるという高いリシール性を有している。従って、穿刺針100が栓体86を貫通した状態(
図13参照)から穿刺針100を引き抜いた直後に栓体86の穿刺針100が穿刺していた孔が直ちに閉じないために当該孔を通ってバイアル瓶80内の薬液やその蒸気がバイアル瓶80外に漏れ出したとしても、これらが外界に漏れ出るのを、弁体20の切り込み22が形成する液密なシールが防止する。
【0070】
更に、栓体86から抜き出された穿刺針100の外表面に薬液が付着していたとしても、そのような薬液は、穿刺針100が弁体20から引き抜かれる過程で弁体20の切り込み22の対向する端縁によって掻き取られる。掻き取られた薬液は、弁体20と栓体86との間の空間30内に保持される。従って、弁体20の外表面(凹部21側の面)の切り込み22の近傍や、カバー120の凸部128のスリット127の近傍に薬液が付着することもない。
【0071】
以上のように、本実施形態1のバイアルシールド1は、バイアル瓶80の栓体86に対して穿刺針100を穿刺したり引き抜いたりする際に、バイアル瓶80内の薬剤、薬液、及びこれらの蒸気(以下、「薬剤等」という)が外界に漏れ出る可能性を低減することができる。従って、作業者が危険な薬剤等に被曝する可能性を低減するのに有利である。
【0072】
上記のバイアルシールド1の弁体20は、そのバイアル瓶80側の面に、環状のリブ25(
図1B、
図3参照)を有している。このリブ25は、以下の作用効果を有している。
【0073】
第1に、リブ25は、薬剤等が外界へ漏れ出る可能性を更に低減する。リブ25は上下方向の圧縮力を受けて容易に弾性圧縮変形するので、弁体20と栓体86との間に密封された空間30(
図9、
図12参照)を形成するのに有利である。仮に空間30内に薬剤等が漏れ出たとしても、リブ25が空間30をシールしているので、当該薬剤等が弁体20とキャップ88(または栓体86)との間を通過して外界に漏れ出る可能性は低い。また、空間30は、穿刺針100が弁体20の切り込み22を貫通する過程で弁体20が栓体86の側に変形することによって小さくなる(
図13参照)。リブ25が空間30を気密にシールしているので、空間30内は高圧になる。従って、穿刺針100が栓体86を貫通したとき、バイアル瓶80内の薬剤等が穿刺針100と栓体86との間の隙間を通って弁体20側に漏れ出る可能性は低い。
【0074】
第2に、リブ25は、穿刺針100を弁体20の切り込み22に正しく挿入させるのに貢献する。上述したように、穿刺針100を弁体20に挿入する際には、弁体20は穿刺針100の押力を受ける。リブ25は、弁体20の穿刺針100とは反対側の面に、切り込み22を取り囲むように形成されている。従って、穿刺針100の押力により、弁体20のリブ25で囲まれた領域が凹む。切り込み22は、弁体20のこの凹状に変形した領域の中央の最深部に位置している。従って、穿刺針100は弁体20によって切り込み22に確実に案内され、穿刺針100が弁体20の切り込み22以外の部分を穿刺(誤穿刺)する可能性が低減する。
【0075】
第3に、リブ25は、フランジ82や栓体86の上下方向寸法が異なるバイアル瓶80に対するバイアルシールド1の装着を容易にする。リブ25は圧縮性を有するので、フランジ82や栓体86の上下方向寸法の違いを、リブ25が、その圧縮変形量を変えることにより吸収する。従って、バイアルシールド1を装着することができるバイアル瓶80の寸法許容範囲が拡大する。
【0076】
上記の実施形態では、リブ25が、栓体86ではなく、その上のキャップ88に当接していた。これは、空間30の容積を拡大させるので、上記の第1及び第2の作用効果を奏するのに有利である。但し、本発明はこれに限定されず、リブ25が、キャップ88の開口88a内に露出した栓体86の上面に当接していてもよい。
【0077】
上記の実施形態では、リブ25は、環状に連続していた。これは、空間30のシール性を向上させるので、上記の第1の作用効果を奏するのに有利である。但し、本発明はこれに限定されず、例えば、リブ25が1箇所以上で分断されていてもよく、あるいは、複数の突起が、切り込み22の周囲に、離散的に設けられていてもよい。
【0078】
水平部15aに薄肉部15cが形成されているので、バイアルシールド1をバイアル瓶80に装着する過程や、キャップ88又はくびれ部分84の外径が大きなバイアル瓶80にバイアルシールド1を装着したときに、主として薄肉部15cが弾性曲げ変形する。従って、脚15が、拡径するように変位したとしても、天板11や天板11に保持された弁体20は実質的に変形しない。これは、弁体20が天板11から脱落する可能性を低減するのに有利である。また、キャップ88又はくびれ部分84の外径に関わらず、弁体20と栓体86との間の空間30のシール性を確保するのに有利である。
【0079】
薄肉部15cを省略してもよい。この場合、バイアルシールド1をバイアル瓶80に装着するとき、及び、キャップ88またはくびれ部分84の外径が大きいときは、脚15及び/又は水平部15aが弾性変形する。
【0080】
上記の実施形態では、薄肉部15cは水平部15aに形成されていたが、脚15が弾性的に変位したときに発生する天板11の弁体20を保持する部分の変形が薄肉部15cを形成することによって低減することができれば、薄肉部15cの形成位置は任意に設定することができる。例えば、水平部15aと脚15の境界部分、水平部15aと天板11との境界部分、あるいは脚15に、薄肉部15cが形成されていてもよい。更には、天板11の弁体20を保持している部分を除く天板11に、薄肉部15cが形成されていてもよい。
【0081】
バイアルシールド1に設けられる脚15の形状は、上記の実施形態に限定されず、任意に設定することができる。上記の実施形態では、脚15は、水平部15aを介して天板11に接続されていたが、例えば天板11が栓体86の外径とほぼ同じ外寸法を有している場合には、水平部15aを省略することができる。脚15は、上記の実施形態のように略「Y」字形状を有している必要はなく、例えば略「T」字形状や、分岐を有しない形状であってもよい。脚が、周方向に延びた円筒面形状を有していてもよい。但し、脚は、周方向に複数に分断されていることが、脚の弾性的な変位を確保する点で好ましい。バイアルシールド1に設けられる脚15の数は2つである必要はなく、3つ以上であってもよい。1つの脚15に設けられる爪16の数は2つである必要はなく、1つあるいは3つ以上であってもよい。但し、バイアル瓶80のフランジ82を利用してバイアルシールド1をバイアル瓶80に安定且つ確実に装着するためには、バイアルシールド1に設けられる爪16の数は3つ以上であることが好ましい。
【0082】
爪16の形状は任意である。例えば、上面16a及び下面16bの一方又は両方が、上述したように先端16tに近づくにしたがって天板11に接近するように傾斜していなくてもよい。
【0083】
穿刺針100がバイアル瓶80の栓体86を貫通した状態(
図13参照)において、穿刺針100が外力や振動等によって意図せずに栓体86から抜けることがないように、バイアル瓶80のフランジ82に係合する係合爪を有するロック機構が穿刺針100に一体的に設けられることがある。
図7から理解できるように、本実施形態のバイアルシールド1をバイアル瓶80に装着した状態において、フランジ82(正確にはキャップ88)のうちバイアルシールド1で覆われる部分はわずかである。従って、バイアル瓶80にバイアルシールド1を装着した状態で、当該バイアル瓶80に上記のロック機構付きの穿刺針100を接続することができる。
【0084】
(実施形態2)
[バイアルシールドの構成]
図14Aは、本発明の実施形態2にかかるバイアルシールド2の上方から見た斜視図、
図14Bは、その下方から見た斜視図である。
図15は、バイアルシールド2の中心軸2a及び
図14Aの15−15線を含む面に沿ったバイアルシールド2の上方から見た断面斜視図である。
図16Aは、中心軸2a及び
図14Aの16−16線を含む面に沿ったバイアルシールド2の上方から見た断面斜視図である。
図16Bは、中心軸2a及び
図14Aの16−16線を含む面に沿ったバイアルシールド2の下方から見た断面斜視図である。
図17は、バイアルシールド2の分解斜視図である。以下の説明の便宜のために、実施形態1と同様に、バイアルシールド2の「上下方向」、「上側」、「下側」、「水平方向」、「周方向」、「半径方向」を定義する。以下、実施形態1との相違点を中心に、本実施形態2のバイアルシールド2を説明する。
【0085】
図17に示されているように、バイアルシールド2は、シールド本体210及び弁体220からなる。
【0086】
シールド本体210は、中央に開口212が形成された天板211と、天板211から下方に向かって延びた一対の脚215とを備える。一対の脚215は、一対の側壁213内に形成されている。
【0087】
天板211は、実施形態1の天板11と同様に、その外側端縁及び開口212を規定する内側端縁の平面視形状が同心の円形である円環状体である。但し、天板211の形状はこれに限定されない。例えば、天板211の外側端縁の平面視形状は、楕円形、菱形などの任意の形状を有していてもよい。
【0088】
天板211の外周端縁から、二対の水平部(架橋部)215aが半径方向にほぼ沿って延びている。側壁213が、各対の水平部215aの外側端(天板211とは反対側端)から中心軸2aに略平行に下方に向かって延びている。側壁213は、中心軸2aと同軸の円筒面に沿った板状物である。一対の側壁213は、その下端において、中心軸2aと同軸の円形状の環状部217を介して連結されている。環状部217は、側壁213よりも半径方向の外向きに突出している。
【0089】
側壁213に、略「U」字形状のスリット(切り込み)214が形成されている。スリット214で囲まれた部分が、脚215である。脚215は、その上端を固定端とし、その下端を自由端とする片持ち支持構造を有する。脚215の下端(自由端)に、中心軸2aに向かって突出した爪216が形成されている。脚215は、爪216が中心軸2aから離れるように、弾性的に曲げ変形することができる。これに対して、側壁213は、その上端が水平部215aで支持され、その下端が環状部217で支持されているため、外力を加えても半径方向にほとんど変位しない。
【0090】
図15、
図16A、
図16Bに示されているように、爪216の上面(天板211に対向する面)216a及び下面(天板211とは反対側の面)216bは、ともに中心軸2aに近づくにしたがって天板211に接近するように傾斜している。爪216は、その先端216tに、中心軸2aに対向する面(先端内面)216t
1と、天板211に対向する面(先端上面)216t
2とを有する。先端内面216t
1は、中心軸2aと同軸の円筒面である。先端上面216t
2は、水平面と略平行である。先端上面216t
2に、その中心軸2a側の端縁に沿って、天板211に向かって突出した係止突起216pが形成されている。
【0091】
水平部215a及び側壁213(脚215を含む)は、中心軸2aに対して対称位置に配置されている。
【0092】
水平部215aの上下方向寸法及び/又は周方向寸法が小さいために、水平部215aの剛性は比較的小さい。従って、天板211に上向きの力が作用すると、水平部215aは、その内側端(天板211側端)が上昇するように傾斜して、天板211は上向きに(
図15の矢印Dの向きに)弾性的に変位(平行移動)することができる。
【0093】
シールド本体210は、硬質材料からなる。シールド本体210の材料は、制限はないが、実施形態1のシールド本体10と同じ樹脂材料を用いることができる。シールド本体210は、シールド本体10と同様に、上記の樹脂材料を射出成形することにより一体的に形成することができる。
【0094】
弁体220は、
図17に示されるように、円形の平面視形状を有する薄肉の板状体である。弁体220の中央には、弁体220を厚さ方向(上下方向)に貫通する切り込み222が形成されている。本例では、弁体220の上面には、実施形態1の弁体20に形成されていた凹部21(
図3参照)は、形成されていない。但し、弁体220の上面に、凹部21と同様の凹部が形成されていてもよい。
【0095】
図16Bに示されているように、弁体220の下面には、下方に向かって一定高さで突出した中央突起224、第1リブ225a、及び第2リブ225bが形成されている。中央突起224は、弁体220の中央の円形の領域に形成されている。切り込み222は、中央突起224内に形成されている。第1リブ225a及び第2リブ225bは、いずれも円環状に連続している。第1リブ225aは、中央突起224を取り囲むように、中央突起224から離間して配置されている。第2リブ225bは、第1リブ225aを取り囲むように、第1リブ225aから離間して配置されている。中央突起224、第1リブ225a、及び第2リブ225bは、中心軸2aと同心に配置されている。弁体220は、上記を除いて実施形態1の弁体20と概略同じである。弁体20の説明は、弁体220にも適用される。
【0096】
実施形態1と同様に、弁体220は、シールド本体210の天板211の開口212を塞ぐように、シールド本体210に一体化される。
【0097】
[バイアルシールドのバイアル瓶への装着]
バイアルシールド2をバイアル瓶80(
図5参照)に装着する方法を説明する。
【0098】
図18に示すように、バイアル瓶80の栓体86にバイアルシールド2を対向させる。そして、キャップ88を、バイアルシールド2の環状部217内及び一対の脚215間に順に挿入させ、バイアルシールド2をバイアル瓶80に向かって押し付ける。バイアルシールド2の互いに対向する脚215間の間隔は、バイアル瓶80のキャップ88の外径とほぼ同じである。バイアルシールド2の対向する爪216の先端216t間の間隔は、キャップ88の外径より小さい。従って、爪216の下面216b(
図14B、
図16B参照)が、キャップ88の上面の外周端縁88bに衝突する。爪216の下面216bは、上述したように傾斜しているので、バイアルシールド2をバイアル瓶80に向かって押し付けるにしたがって、爪216が中心軸2aから離れる向きに一対の脚215が弾性的に変形する。爪216の先端216tは、キャップ88の上面の外周端縁88bを通過した後、キャップ88の外周面88c上を摺動する。そして、爪216の先端216tが、キャップ88の外周面88cの下側端縁88dを越えると、一対の脚215が弾性回復し、爪216がくびれ部分84に嵌入する。
【0099】
かくして、
図19及び
図20に示すように、バイアルシールド2がバイアル瓶80に装着される。
【0100】
脚215が弾性変形可能であること、及び、爪216の下面216bが傾斜していることにより、上記のようにバイアルシールド2をバイアル瓶80に向かって単に押し込むだけで、爪216がフランジ82に係合し、バイアルシールド2をバイアル瓶80に装着することができる。従って、バイアルシールド2のバイアル瓶80に対する装着の作業性は良好である。
【0101】
図19に示されているように、バイアルシールド2の天板211及び弁体220が、栓体86の上面の一部を覆っている。側壁213及び脚215がキャップ88の円筒面状の外周面88cに対向している。
【0102】
図20に示されているように、バイアルシールド2に設けられた爪216がキャップ88を介してフランジ82に係合している。弁体220の下面から突出した環状のリブ225a,225bが、栓体86の上面に延びたキャップ88に当接している。爪216がフランジ82と係合することにより、弁体220のリブ225a,225bは、キャップ88に押し付けられて上下方向に弾性的に圧縮変形している。弁体220の中央突起224は、キャップ88の開口88a内に露出した弁体86の上面に当接している。従って、栓体86と弁体220との間に、液密にシールされた第1空間231及び第2空間232が形成されている。第1空間231は、第1リブ225aよりも内側、より詳細には中央突起224と第1リブ225aとの間に形成され、第2空間232は、第1リブ225aと第2リブ225bとの間に形成される。
【0103】
リブ225a,225bは、キャップ88の開口88a内に露出した栓体86ではなく、栓体86上のキャップ88に当接する。これは、第1空間231の容積を大きくするのに有利である。また、キャップ88は栓体86より硬いので、第1空間231及び第2空間232のシール性を向上するのに有利である。
【0104】
一対の脚215(爪216を含む)が、バイアル瓶80を水平方向にそれぞれ挟持しているので、バイアルシールド2はバイアル瓶80に対して水平方向に位置決めされ固定される。また、弁体220及び爪216が、キャップ88を介して栓体86及びフランジ82を上下方向に挟持しているので、バイアルシールド2はバイアル瓶80に対して上下方向に位置決めされ固定される。従って、外力や振動がバイアルシールド2に加えられても、バイアルシールド2がバイアル瓶80から意図せずに脱落することはない。
【0105】
爪216の係止突起216p(
図16A参照)は、好ましくはバイアル瓶80のフランジ82の下面においてキャップ88の下端88e(
図5参照)に係合する。これは、バイアルシールド2をバイアル瓶80に、よりしっかりと装着するのに有利である。
【0106】
但し、係止突起216pを省略することができる。この場合、爪216の先端上面216t
2(
図16A参照)の半径方向寸法を小さくすることにより、爪216の先端216tをキャップ88の下端88eに係合させることができる。従って、係止突起216pと同様の効果が得られる。
【0107】
図20に示されているように、互いに対向する爪216間の間隔がくびれ部分84の外径より小さい場合には、くびれ部分84の外径に応じて爪216間の間隔が拡大するように脚215が弾性的に曲げ変形する。また、互いに対向する脚215間の間隔がキャップ88の外径より小さい場合には、キャップ88の外径に応じて脚215間の間隔が拡大するように脚215が弾性的に曲げ変形することができる。従って、バイアルシールド2を装着することができるバイアル瓶80の半径方向の寸法(特に、キャップ88やくびれ部分84の外径)の範囲は広い。
【0108】
大きな外径を有するキャップ88やくびれ部分84によって脚215が上記のように変形すると、爪216は半径方向の外側へ変位し、その姿勢(向き)が変化する。上述したように、脚215が変形していない初期状態(無負荷状態)において、爪216の上面216a(
図16A参照)は、先端216t側が天板211に近づくように傾斜している。更に、爪216の先端216t(特に係止突起216p)は、キャップ88の下端88eに係合可能である。従って、キャップ88又はくびれ部分84が大きな外径を有する場合であっても、フランジ82に対する爪216の確実な係合を確保することができる。
【0109】
天板211が脚215に対して上方に向かって(
図15の矢印Dの向き)変位することができるように、天板211と脚215とが水平部215aを介して接続されている。これにより、栓体86及びフランジ82を覆うキャップ88の上下方向寸法が弁体220と爪216との上下方向の間隔より大きなバイアル瓶80にバイアルシールド2を装着した場合、キャップ88の上下方向寸法に応じて、水平部215aの傾斜が弾性的に変化して、弁体220と爪216との間隔が拡大する。従って、バイアルシールド2を装着することができるバイアル瓶80の上下方向の寸法(特に、キャップ88の上下方向寸法)の範囲は広い。
【0110】
リブ225a,225b及び中央突起224は、上下方向に圧縮性を有する。これにより、フランジ82及び栓体86の上下方向寸法に応じて、リブ225a,225b及び中央突起224が圧縮変形する。従って、実施形態1のリブ25と同様に、リブ225a,225b及び中央突起224は、バイアルシールド2を装着することができるバイアル瓶80の上下方向の寸法(特に、キャップ88の上下方向寸法)の範囲を拡大するのに有利である。
【0111】
[バイアル瓶と穿刺針との接続]
実施形態1と同様に、本実施形態2においても、上述したようにバイアル瓶80にバイアルシールド2を装着した後、弁体220を介して栓体86に穿刺針を穿刺する。穿刺針の構成は任意であり、例えば、実施形態1で説明したカバー120付き穿刺針100(
図10、
図11)であってもよい。
【0112】
バイアルシールド2が装着されたバイアル瓶80と穿刺針100との接続及び分離は、実施形態1(
図12、
図13)と同様に行うことができる。
【0113】
実施形態1と同様に、本実施形態2においても、穿刺針100を弁体220の切り込み222に挿入すると、弁体220の切り込み222の対向する端縁が穿刺針100の外表面に隙間なく密着し、穿刺針100との間に気密なシールを形成する。従って、バイアル瓶80内が陽圧であるために穿刺針100が栓体86を穿刺したときにバイアル瓶80内の薬剤やその蒸気が穿刺針100と栓体86との間のわずかな隙間を通ってバイアル瓶80外に漏れ出たとしても、これらが外界に拡散するのを、弁体220及び弁体220と穿刺針100との間の気密なシールが防止する。バイアル瓶80外に漏れ出た薬剤やその蒸気は、弁体220と栓体86との間の第1空間231内に保持される。
【0114】
穿刺針100を栓体86から引き抜く過程では、穿刺針100の外表面に付着した薬液は、弁体220の切り込み222の対向する端縁によって掻き取られる。掻き取られた薬液は、弁体220と栓体86との間の第1空間231内に保持される。
【0115】
穿刺針100が切り込み222から抜け出ると切り込み222は直ちに閉じる。従って、穿刺針100を栓体86から引き抜いた直後に栓体86の穿刺針100が穿刺していた孔が直ちに閉じないために当該孔を通ってバイアル瓶80内の薬液やその蒸気がバイアル瓶80外に漏れ出したとしても、これらが外界に漏れ出るのを、弁体220の切り込み222が形成する液密なシールが防止する。バイアル瓶80外に漏れ出た薬液やその蒸気は、弁体220と栓体86との間の第1空間231内に保持される。
【0116】
以上のように、実施形態1のバイアルシールド1と同様に、バイアルシールド2は、バイアル瓶80の栓体86に対して穿刺針100を穿刺したり引き抜いたりする際に、バイアル瓶80内の薬剤、薬液、及びこれらの蒸気(薬剤等)が外界に漏れ出る可能性を低減することができる。従って、作業者が危険な薬剤に被曝する可能性を低減するのに有利である。
【0117】
弁体220のバイアル瓶80側の面に形成された環状のリブ225a,225bは、実施形態1のリブ25と同様に、薬剤等が外界へ漏れ出る可能性を更に低減する。リブ225a,225bは、上下方向の圧縮力を受けて弾性圧縮変形してキャップ88との間に気密及び液密なシールを形成する。リブ225a,225bが形成する第1空間231及び第2空間232は、薬剤等を外界に漏れ出ないように留める密封空間として機能する。仮に第1空間231内に薬剤等が漏れ出たとしても、当該薬剤等は、外界に漏れ出るためには、第1リブ225aとキャップ88との間、及び、第2リブ225bとキャップ88との間を順に通過する必要がある。本実施形態2では、リブ225a,225bが二重に配置されているので、薬剤等が弁体220とキャップ88(または栓体86)との間を通過して外界に漏れ出る可能性は更に低減されている。なお、弁体220に設けられる環状のリブの数は、2つに限定されず、1つであってもよく、あるいは3つ以上であってもよい。
【0118】
内側の第1リブ225aが、栓体86ではなく、その上のキャップ88に当接する。これにより、第1空間231の容積が増大するので、より多くの薬剤を第1空間231内に留めることができる。また、第1リブ225aが相対的に硬いキャップ88に当接するので、第1空間231のシール性が向上する。これらは、薬剤等が外界へ漏れ出る可能性を低減するのに有利である。但し、本発明はこれに限定されず、第1リブ225a、更には第2リブ225bが、キャップ88の開口88a内に露出した栓体86の上面に当接していてもよい。
【0119】
上記の実施形態では、リブ225a,225bは、環状に連続していた。これは、空間231,232のシール性を向上させるので、薬剤等が外界へ漏れ出る可能性を低減するのに有利である。但し、本発明はこれに限定されず、例えば、リブ225a,225bが1箇所以上で分断されていてもよく、あるいは、複数の突起が、切り込み222の周囲に、離散的に設けられていてもよい。
【0120】
弁体220の中央突起224の作用効果を説明する。
【0121】
バイアル瓶80内の粉末状の薬剤を溶解して薬液を得る過程では、栓体86に対する穿刺針100の穿刺及び引き抜きを複数回行うことがある。例えば、栓体86から穿刺針100を引き抜いた後、栓体86と弁体220との間のシールされた空間内に薬剤等が漏れ出た場合を考える。弁体220が中央突起224を備えていない場合、その後、穿刺針100を弁体220の切り込み222に挿入しようとすると、穿刺針100の押力によって弁体220の中央部分が栓体86に近づくように変位する。これにより、上記空間が圧縮され、空間内の圧力が上昇して、空間内に留められた薬剤等が、切り込み222やリブ225a,225bとキャップ88との境界を通過して外界に漏れ出る可能性がある。
【0122】
これに対して、弁体220が中央突起224を備える場合には、中央突起224が、穿刺針100を弁体220の切り込み222に挿入しようとするときの弁体220の変形を抑える。その結果、第1空間231が圧縮されることによって第1空間231内の薬剤等が外界に漏れ出る可能性が低くなる。
【0123】
穿刺針100を弁体220の切り込み222に挿入し更に栓体86を貫通させるとき、中央突起224は栓体86に押し付けられて密着する。このため、バイアル瓶80内の薬剤等が穿刺針100と栓体86との間の隙間を通って弁体220側に漏れ出るのを、中央突起224が抑える。従って、薬剤等が外界に漏れ出る可能性が更に低くなる。
【0124】
切り込み222は中央突起224内に形成される。中央突起224を設けることにより、切り込み222の対向する端縁の厚みが増大し、その強度が向上する。これにより、穿刺針100を切り込み222に挿入したときには、切り込み222の対向する端縁と穿刺針100の外表面との間のシール性が向上する。また、穿刺針100を切り込み222から引き抜いた後は、切り込み222を直ちに閉じさせることができるので、切り込み222のリシール性が向上する。これらにより、薬剤等が外界に漏れ出る可能性が更に低くなる。
【0125】
以上のように、弁体220に中央突起224を設けることは、薬剤等が外界に漏れ出る可能性を低減するのに有利である。
【0126】
脚215の爪216が形成された下端(自由端)を、スリット214を介して側
壁213及び環状部217が取り囲んでいる。側
壁213及び環状部217は、脚215に比べて、変位させることは困難である。従って、実施形態1に比べて、本実施形態2では、作業者が脚215の下端に指を掛けて脚215を半径方向の外向きに変位させて、爪216とフランジ82(またはキャップ88)との係合を解除することは困難である。即ち、バイアルシールド2は、バイアル瓶80に一旦装着すると、その後、バイアル瓶80から取り外すことは困難である。このため、バイアルシールド2をバイアル瓶80から誤って取り外すことによって、空間231,232内に留められた薬剤等を外界に放出してしまうという誤操作を行う可能性は低い。環状突起217が半径方向の外向きに突出していることは、作業者が脚215の下端に指を掛けることを困難にするので、上記の誤操作の防止に有利である。
【0127】
側
壁213が周方向に連続していない。このため、
図19に示されているように、バイアルシールド2をバイアル瓶80に装着した状態において、フランジ82(正確にはキャップ88)の多くの部分は、バイアルシールド2で覆われることなく、外界に露出される。従って、実施形態1で説明したように、バイアル瓶80にバイアルシールド2を装着した状態で、穿刺針に一体的に設けられたロック機構の係合爪をフランジ82に係合させることができる。
【0128】
上記の実施形態2では、1つの脚215は2つの水平部215aを介して天板211に接続されていたが、1つの脚215と天板211との間に介在する水平部215aの数は、2つに限定されず、1つであってもよく、あるいは3つ以上であってもよい。
【0129】
1つの脚215に設けられる爪216の数は1つである必要はなく、2つ以上であってもよい。
【0130】
バイアルシールド2に設けられる脚215の数は2つである必要はなく、3つ以上であってもよい。側
壁213の数は脚215の数に応じて適宜変更しうる。但し、側
壁が、周方向に連続した単一の円筒形状を有していてもよい。この場合、水平部215a及び脚215のそれぞれの数及び位置は任意に設定しうる。
【0131】
水平部(架橋部)215aは、水平面(中心軸2aに直交する平面)に沿っている必要はない。例えば、バイアル瓶80に装着していない無負荷状態において、水平部215aは、その内側端(天板211側端)に近づくにしたがって下降するように傾斜していてもよい。
【0132】
上記の実施形態1,2は、例示にすぎない。本発明は、上記の実施形態に限定されず、適宜変更することができる。
【0133】
実施形態1のバイアルシールド1の構成と実施形態2のバイアルシールド2の構成とを適宜組み合わせて本発明のバイアルシールドを構成することができる。例えば、実施形態1のシールド本体10に実施形態2の弁体220を組み合わせてバイアルシールドを構成することができる。これとは逆に、実施形態2のシールド本体210に実施形態1の弁体20を組み合わせてバイアルシールドを構成することができる。実施形態1のバイアルシールド1の爪として、実施形態2の爪216を適用してもよい。実施形態2のバイアルシールド2の爪として、実施形態1の爪16を適用してもよい。
【0134】
爪16,216の先端16t,216tが半径方向外向きに及び/又は下向きに変位するように、爪16,216が弾性変形可能であってもよい。この場合、脚15,215の変位量を小さく、またはゼロにすることができる。
【0135】
実施形態1,2では、弁体20,220に環状のリブ(突起)25,225aを形成することにより、弁体20,220と栓体86との間であって、弁体20,220の切り込み22,222を含む領域に、密封空間30,231を形成した。但し、本発明では、弁体20,220が、栓体86に向かって突出したリブ(突起)を備えていなくてもよい。例えば、弁体20,220の下面をキャップ88に密着させれば、キャップ88の厚みに応じた上下方向寸法を有する密封空間を、弁体20,220と栓体86との間に形成することができる。実施形態1,2のように弁体20,220がリブ(突起)を備えることは、密封空間のシール性の向上と、密封空間の容積の拡大に有利である。
【0136】
バイアルシールド1,2の弁体20,220を貫通する穿刺針の構成は上記の実施形態1,2に限定されない。本発明のバイアルシールドは、バイアル瓶80の栓体86に穿刺することができる任意の穿刺針に適用できる。穿刺針がカバー120を有していなくてもよい。