(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図7は、ズーム比調整機能を有するレンズ10の外観を示す図である。
図7に示すレンズ10は、レンズ本体11と、ズーム比調整ギア12と、ズームギア駆動ギア13と、モーター14と、ロータリーエンコーダ駆動ギア15と、ロータリーエンコーダ16と、クラッチ17とを備える。
【0005】
レンズ本体11は、複数のレンズからなるレンズ群と、これらのレンズを支持する複数の筒部とを備える。複数の筒部のうち、一部の筒部は回転可能に設けられている。
ズームギア駆動ギア13は、ズーム比調整ギア12およびロータリーエンコーダ駆動ギア15と噛み合っている。ズーム比調整ギア12にはレンズ本体11の回転可能に設けられた筒部が固定されている。また、ロータリーエンコーダ駆動ギア15にはロータリーエンコード16の回転部が固定されている。
【0006】
モーター14は、ズームギア駆動ギア13を回転させる。ズームギア駆動ギア13の回転に伴って、ズーム比調整ギア12およびロータリーエンコーダ駆動ギア15が回転する。
ズーム比調整ギア12は、レンズ動作部の一例であり、ズーム比調整ギア12が動作(回転)することで、レンズ本体11のズーム比調整ギア12に固定された筒部が回転する。筒部の回転に応じてレンズ群を構成する複数のレンズのうち、一部のレンズが投射光軸に沿った方向に移動することでズーム比が変化する。なお、ズーム比調整ギア12には、ズーム比を調整可能な範囲(レンズの移動が可能な範囲)を超えて、ズーム比調整ギア12に固定された筒部が回転しないように、ズーム比を調整可能な範囲の端点に、ストッパー(制限部)が設けられている。
また、ロータリーエンコーダ駆動ギア15の回転に応じて、ロータリーエンコーダ16の回転部が回転する。ロータリーエンコーダ16は、回転部の回転量に応じたパルス信号を出力する。
クラッチ17は、ズーム比調整ギア12、ズームギア駆動ギア13およびロータリーエンコーダ駆動ギア15からなる回転機構の回転がストッパーのために制限され、モーター14の負荷トルクが大きくなると、モーター14の回転が伝達されないようにスリップする。
【0007】
図8は、レンズ10のレンズ位置(筒部の回転に応じて移動するレンズのレンズ位置)を検出する位置検出装置400の構成を示すブロック図である。
図8に示す位置検出装置400は、ロータリーエンコーダ16と、デコーダ410と、カウンタ420と、タイマー430とを有する。
【0008】
ロータリーエンコーダ16は、A相、B相の2つのパルス信号を出力する。A相とB相とでは、位相が90度ずれており、回転部の回転方向に応じて、いずれかのパルス信号が先に出力される。
デコーダ410は、ロータリーエンコーダ16から出力された信号をデコードする。具体的には、デコーダ410は、A相、B相の2つのパルス信号の位相関係に応じて、カウンタ420におけるカウント値のカウントアップ(加算)またはカウントダウン(減算)を設定するUp/Down信号をカウンタ420に出力する。また、デコーダ410は、ロータリーエンコーダ16からのパルス信号の出力に応じて、パルス信号をカウンタ420とタイマー430とに出力する。
カウンタ420は、Up/Down信号に応じて、デコーダ410から出力されたパルス信号をカウント(カウントアップあるいはカウントダウン)する。
タイマー430は、パルス信号が入力されると、タイマー値をリセットする。パルス信号が一定期間入力されずタイマーが満了すると、タイマー430は、モーター14を停止させる旨を示すStop信号をモータードライバ18に出力し、モーター14を停止させる。
【0009】
上述した位置検出装置400においては、基準点を決定し、基準点からのカウンタ420のカウント値の増減に基づいて、レンズ位置を検出することができる。
【0010】
基準点としては一般に、レンズ動作部であるズーム比調整ギア12の動作範囲の端点が用いられる。この場合、基準点を決定するために、ズーム比調整ギア12の回転位置が動作範囲の端点に到達したことを検出する必要がある。ズーム比調整ギア12の回転位置の動作範囲の端点への到達を検出する方法として、クラッチ17をスリップさせる方法が用いられる。この方法では、ズーム比調整ギア12を動作範囲の端点に向けて動作(回転)させ、クラッチ17がスリップし、モーター14が停止した時点で、ズーム比調整ギア12の回転位置が端点に到達したと検出され、その時点でのレンズ位置が基準点と決定される。
【0011】
図9は、上述した方法におけるロータリーエンコーダ16の出力波形の一例を示す図である。
上述したように、モーター14は、ズーム比調整ギア12が端点に向けて動作するように駆動される。モーター14の駆動に応じて、ロータリーエンコーダ16の回転部が回転し、ロータリーエンコーダ16は、パルス信号を出力する。
時刻t1において定速回転となり、時刻t2において、ズーム比調整ギア12の回転位置が端点に到達したとする。さらに、時刻t3において、クラッチ17がスリップし、モーター14が回転を停止したとする。
【0012】
この場合、レンズを構成する部品の変形などに起因して、時刻t2から時刻t3の間もロータリーエンコーダ16からパルス信号が出力されることがある。このパルス信号もカウンタ420でカウントされてしまい、基準点の検出精度が低下する。また、時刻t3においてモーター14が停止すると、変形した部品が反発することで、ロータリーエンコーダ16の回転部が逆回転し、その逆回転に伴うパルス信号がカウンタ420でカウントされてしまい、基準点の検出精度が低下する。基準点の検出精度が低下すると、レンズ位置の検出精度も低下してしまう。
本発明の目的は、レンズ位置の検出精度の向上を図ることができる位置検出装置、位置検出方法およびプロジェクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために本発明の位置検出装置は、
所定の動作範囲で可動であり、動作に応じてレンズを移動させるレンズ動作部の動作量を検出する動作量検出部と、
前記レンズ動作部の動作速度を検出する速度検出部と、
前記動作範囲内の基準点からの前記動作量に基づいて前記レンズのレンズ位置を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記レンズ動作部の動作が制限される、前記動作範囲の一方の端点に向けて前記レンズ動作部を動作させたときに前記速度検出部が検出した動作速度に基づいて、前記レンズ動作部の動作を停止させ、前記レンズ動作部が停止した位置を前記基準点と決定する。
【0014】
また、上記目的を達成するために本発明の他の位置検出装置は、
所定の動作範囲で可動であり、動作に応じてレンズを移動させるレンズ動作部の動作量を検出する動作量検出部と、
前記レンズ動作部の動作速度を検出する速度検出部と、
前記速度検出部が検出した動作速度に基づいて加速度を算出する加速度算出部と、
前記動作範囲内の基準点からの前記動作量に基づいて前記レンズのレンズ位置を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記レンズ動作部の動作が制限される、前記動作範囲の一方の端点に向けて前記レンズ動作部を動作させたときに前記加速度算出部が算出した加速度に基づいて、前記レンズ動作部の動作を停止させ、前記レンズ動作部が停止した位置を前記基準点と決定する。
【0015】
上記目的を達成するために本発明の位置検出方法は、
所定の動作範囲で可動であり、動作に応じてレンズを移動させるレンズ動作部の動作量を検出し、
前記レンズ動作部の動作速度を検出し、
前記動作範囲内の基準点からの前記動作量に基づいて前記レンズのレンズ位置を制御し、
前記レンズ動作部の動作が制限される、前記動作範囲の一方の端点に向けて前記レンズ動作部を動作させたときに検出した前記動作速度に基づいて、前記レンズ動作部の動作を停止させ、前記レンズ動作部が停止した位置を前記基準点と決定する。
【0016】
また、上記目的を達成するために本発明の他の位置検出方法は、
所定の動作範囲で可動であり、動作に応じてレンズを移動させるレンズ動作部の動作量を検出し、
前記レンズ動作部の動作速度を検出し、
前記検出した動作速度に基づいて加速度を算出し、
前記動作範囲内の基準点からの前記動作量に基づいて前記レンズのレンズ位置を制御し、
前記レンズ動作部の動作が制限される、前記動作範囲の一方の端点に向けて前記レンズ動作部を動作させたときに算出した前記加速度に基づいて、前記レンズ動作部の動作を停止させ、前記レンズ動作部が停止した位置を前記基準点と決定する。
【0017】
上記目的を達成するために本発明のプロジェクタは、
光源と、
前記光源から出力された光を映像信号に応じて変調する変調素子と、
前記変調素子により変調された光を投射する、可動なレンズと、
前記レンズを移動させる駆動装置と、
前記レンズのレンズ位置を検出し、前記駆動装置を用いて前記レンズのレンズ位置を制御する上述した位置検出装置と、を有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、レンズ位置の検出精度の向上を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態の位置検出装置100の構成を示すブロック図である。
図1において、
図8と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。なお、本発明に係る位置検出装置は、例えば、投射光軸に対して前後あるいは上下左右に可動なレンズを備えるプロジェクタに搭載され、レンズのレンズ位置を検出するものである。また、以下では、本発明に係る位置検出装置は、
図7に示すズーム比調整機能を有するレンズ10のレンズ位置(ズーム比調整ギア12の回転に応じて移動するレンズの位置)を検出する例を用いて説明する。
【0021】
図1に示す位置検出装置100は、動作量検出部110と、速度検出部120と、制御部130とを有する。
動作量検出部110は、所定の動作範囲内で可動であり、動作に応じてレンズを移動させるレンズ動作部の一例であるズーム比調整ギア12の動作量(例えば、ギア12の外周部など所定の位置の移動量)を検出する。具体的には、移動量算出部110は、例えば、
図7に示すロータリーエンコーダ16、ロータリーエンコーダ駆動ギア15などを備える。上述したように、ズーム比調整ギア12の回転に応じてロータリーエンコーダ駆動ギア15が回転し、ズーム比調整ギア12の回転量がロータリーエンコーダ16に伝達される。ロータリーエンコーダ16は、ズーム比調整ギア12の回転量に応じたパルス信号を出力する。ロータリーエンコーダ16から出力されるパルス信号をカウントすることで、ズーム比調整ギア12の動作量を検出することができる。
速度検出部120は、ズーム比調整ギア12の動作速度(回転速度)を検出する。
制御部130は、ズーム比調整ギア12の動作範囲内の基準点からの動作量検出部110が検出した動作量に基づいて、レンズのレンズ位置を制御する。
【0022】
次に、基準点を決定する際の位置検出装置100の動作について説明する。なお、基準点の決定は、例えば、位置検出装置100が搭載された装置の電源が投入されたときや、ユーザが所定の操作を行ったときに行われる。
まず、制御部130は、ズーム比調整ギア12の動作(回転)が制限される、ズーム比調整ギア12の動作範囲の一方の端点に向けてズーム比調整ギア12を動作(回転)させる。次に、制御部130は、ズーム比調整ギア12を端点に向けて動作させたときに、速度検出部120が検出した動作速度に基づいて、ズーム比調整ギア12の動作を停止させる。例えば、制御部130は、速度検出部120が検出した動作速度が所定の閾値より小さくなると、ズーム比調整ギア12の動作を停止させる。そして、制御部130は、ズーム比調整ギア12が停止した位置を基準点と決定する。
【0023】
図2は、位置検出装置100を備えるプロジェクタ1の要部構成を示すブロック図である。なお、
図2において、白抜き矢印は光束を示す。
図2に示すプロジェクタ1は、光源2と、変調素子3と、駆動装置4と、レンズ10と、位置検出装置100とを有する。
光源2は、変調素子3を照明する光を出射する。
変調素子3は、光源2から出射された光を、プロジェクタ1に入力された映像信号に応じて変調する。変調素子3が変調した光はレンズ10で投射される。
駆動装置4は、モーターやモータードライバなどからなり、レンズ10を駆動(移動)させる。
位置検出装置100は、駆動装置4を用いてレンズのレンズ位置を制御する。
【0024】
このように本実施形態の位置検出装置100は、所定の動作範囲で可動であり、動作に応じてレンズを移動させるレンズ動作部の動作量を検出する動作量検出部110と、レンズ動作部の動作速度を検出する速度検出部120とを有する。また、位置検出装置100は、レンズ動作部の動作範囲内の基準点からの動作量検出部110が検出した動作量に基づいてレンズのレンズ位置を制御する制御部130を有する。制御部130は、レンズ動作部の動作が制限される、レンズ動作部の動作範囲の一方の端点に向けてレンズ動作部を動作させたときに、速度検出部120が検出した動作速度に基づいて、レンズの動作を停止させ、レンズが停止した位置を基準点と決定する。
【0025】
レンズ動作部の位置が動作範囲の端点に到達すると、レンズ動作部の動作が制限され、レンズ動作部の動作速度が低下する。そのため、レンズの動作範囲の端点に向けてレンズを動作させたときのレンズの動作速度に基づいて、レンズの動作を停止させることで、クラッチ17がスリップするよりも早いタイミングでレンズ動作部の動作を停止させることができる。そのため、部品の変形やレンズの移動の停止後の変形した部品の反発に起因する基準点の検出精度の低下を防ぎ、レンズ位置の検出精度の向上を図ることができる。
【0026】
(第2の実施形態)
図3は、本発明の第2の実施形態の位置検出装置200の構成を示すブロック図である。
図3において、
図8と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0027】
図3に示す位置検出装置200は、ロータリーエンコーダ16と、デコーダ410と、カウンタ420と、速度検出部210と、レジスタ220と、制御部230とを有する。
ロータリーエンコーダ16は、レンズ動作部の一例であるズーム比調整ギア12の動作量(回転量)に応じたパルス信号を出力し、デコーダ410は、ロータリーエンコーダ16からのパルス信号の出力に応じて、パルス信号を出力する。また、カウンタ420は、デコーダ410から出力されるパルス信号をカウントする。したがって、カウンタ420のカウント値の増減に基づいて、ズーム比調整ギア12の回転量を検出することができる。そのため、ロータリーエンコーダ16、デコーダ410およびカウンタ420は、レンズ動作部の動作量を検出する動作量検出部を構成する。
【0028】
速度検出部210は、例えば、所定の時間間隔でロータリーエンコーダ16から出力されたパルス信号のパルス速度を検出する。なお、パルス信号のパルス速度は、パルス信号のパルス間隔または周波数に基づいて算出され、ズーム比調整ギア12の動作速度(回転速度)に対応するものである。
レジスタ220は、制御部230の制御に従い、パルス速度を記憶する。
制御部230は、ズーム比調整ギア12の動作範囲内の基準点からの動作量に基づいてレンズのレンズ位置を制御する。制御部230は、基準点からのズーム比調整ギア12の動作量をカウンタ420のカウント値に基づいて求める。なお、ズーム比調整ギア12の動作量とレンズの移動量とは必ずしも線形関係にあるわけではない。例えば、動作範囲の端点からズーム比調整ギア12が回転を開始した直後は、ズーム比調整ギア12の所定の回転量に対するレンズの移動量が大きく、徐々にズーム比調整ギア12の所定の回転量に対するレンズの移動量が飽和していくなどの特性がある。この場合、制御部230は、ズーム比調整ギア12の動作量とレンズの移動量との対応関係を予め記憶しておき、記憶している対応関係とズーム比調整ギア12の動作量とに基づいて、レンズのレンズ位置を調整する。
【0029】
次に、基準点を決定する際の位置検出装置200の動作について説明する。
まず、制御部230は、モータードライバ18に、ズーム比調整ギア12の動作範囲の一方の端点に向けてズーム比調整ギア12が動作(回転)するようにモーター14を駆動させる。モーター14の回転に応じてロータリーエンコーダ駆動ギア15が回転し、ロータリーエンコーダ16は、その回転に応じて、パルス信号を出力する。速度検出部210は、所定の検出タイミング毎に、そのパルス信号のパルス速度を検出する。
制御部230は、速度検出部210が検出したパルス速度とレジスタ220に記憶されているパルス速度とを比較する。そして、制御部230は、速度検出部210が検出したパルス速度がレジスタ220に記憶されているパルス速度よりも大きい場合、速度検出部210が検出したパルス速度が検出したパルス速度をレジスタ220に記憶させる。
また、制御部230は、速度検出部210が検出したパルス速度と所定の閾値とを比較し、速度検出部210が検出したパルス速度が所定の閾値よりも小さくなると、Stop信号をモータードライバ18に出力する。
モータードライバ18は、Stop信号の出力に応じてモーター14を停止させる。モーター14が停止することで、ズーム比調整ギア12の動作(回転)も停止する。制御部230は、ズーム比調整ギア12が停止した時点でのカウンタ420のカウント値を基準とし、すなわち、ズーム比調整ギア12が停止した位置を基準点と決定する。
【0030】
図4は、パルス速度の変化を示す図である。
モータードライバ18は、ズーム比調整ギア12の動作範囲の一方の端点に向けてズーム比調整ギア12が動作(回転)するようにモーター14を駆動する。モーター14の駆動に応じて、ロータリーエンコーダ16からはパルス信号が出力される。通常、パルス信号のパルス速度は徐々に上がり、やがて定速となる。そのため、
図4に示すように、パルス速度は徐々に増加し、時刻t11において、定速となる。
時刻t12において、ズーム比調整ギア12の回転位置が端点に到達したとする。ズーム比調整ギア12の回転位置が端点に到達すると、ストッパーのためにズーム比調整ギア12の回転が抑制され、パルス速度が低下する。そして、時刻t13において、クラッチ17がスリップしたとする。
【0031】
制御部230は、速度検出部210が検出したパルス速度がレジスタ220に記憶されているパルス速度よりも大きい場合、速度検出部210が検出したパルス速度をレジスタ220に記憶させる。したがって、レジスタ220には、最大パルス速度(Vmax)が記憶される。
また、制御部230は、速度検出部210が検出したパルス速度と所定の閾値とを比較する。ここで、制御部230は、最大パルス速度Vmaxから所定の割合だけ小さい値、例えば、最大パルス速度Vmaxの70%の値(最大パルス速度Vmaxから30%小さい値)を閾値Vthとする。そして、制御部230は、速度検出部210が検出したパルス速度が、閾値Vthより小さくなると、Stop信号をモータードライバ18に出力する。
【0032】
このように本実施形態の位置検出装置200は、ズーム比調整ギア12の動作量(回転量)に応じたパルス信号を出力するロータリーエンコーダ16と、パルス信号をカウントするカウンタ420とを有し、カウンタ420のカウント値に基づいて、ズーム比調整ギア12の動作量を検出する。また、位置検出装置200は、ズーム比調整ギア12の動作速度に対応するパルス信号のパルス速度を検出する速度検出部210と、ズーム比調整ギア12の動作範囲内の基準点からの検出した動作量に基づいてレンズのレンズ位置を制御する制御部230と、を有する。制御部230は、ズーム比調整ギア12の動作が制限される、動作範囲の一方の端点に向けてズーム比調整ギア12を動作させたときに速度検出部210が検出した動作速度が所定の閾値より小さくなると、レンズの動作を停止させ、レンズが停止した位置を基準点と決定する。
【0033】
レンズ動作部であるズーム比調整ギア12の回転位置が動作範囲の端点に到達すると、ズーム比調整ギア12の動作(回転)が制限され、ズーム比調整ギア12の動作速度が低下する。そのため、動作範囲の端点に向けてズーム比調整ギア12を動作させたときのズーム比調整ギア12の動作速度が所定の閾値より小さくなると、レンズの動作を停止させることで、クラッチ17がスリップするよりも早いタイミングでレンズの移動を停止させることができる。そのため、部品の変形やレンズの移動の停止後の変形した部品の反発に起因する基準点の検出精度の低下を防ぎ、レンズ位置の検出精度の向上を図ることができる。
【0034】
また、上述したクラッチ17をスリップさせる方法では、タイマー430のタイマー値として大きな値を設定する必要がある。これは、レンズ10を構成する部材の材質、温度、湿度などの環境の変化に起因する部材の膨張・収縮および硬度の変化、また、ギアの精度や取り付け位置のばらつき、部材の性質の経年変化、レンズの大きさなど様々な変動要因を考慮する必要があるからである。タイマー値を大きくすると、基準点の検出精度が低下しやすくなり、レンズ位置の検出精度も低下する。
一方、本実施形態においては、最大パルス速度に基づいて閾値を決定し、その閾値と検出したパルス速度とを比較してStop信号の出力の有無を判定することで、上述した様々な変動要因に関わらず、基準点の検出精度が上がり、レンズ位置の検出精度の向上を図ることができる。
【0035】
(第3の実施形態)
図5は、本発明の第3の実施形態の位置検出装置300の構成を示すブロック図である。
図5において、
図3と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
図5に示す位置検出装置300は、ロータリーエンコーダ16と、デコーダ410と、カウンタ420と、速度検出部310と、レジスタ320,340と、加速度算出部330と、比較部350とを有する。
【0036】
速度検出部310は、例えば、所定の時間間隔でロータリーエンコーダ16から出力されたパルス信号のパルス速度を検出し、検出したパルス速度をレジスタ320と加速度算出部330とに通知する。
レジスタ320は、速度検出部310から通知されたパルス速度を記憶する。
加速度算出部330は、速度検出部310からパルス速度が通知されると、そのパルス速度とレジスタ320に記憶されている前回検出されたパルス速度とに基づいて加速度を算出し、算出した加速度をレジスタ340と制御部350とに通知する。なお、以下では、ズーム比調整ギア12を動作範囲の一方の端点に向かって動作(回転)させる方向を正方向とする。
レジスタ340は、加速度算出部330から通知された加速度を記憶する。
制御部350は、ズーム比調整ギア12の動作範囲内の基準点からの動作量に基づいてレンズのレンズ位置を制御する。
【0037】
次に、基準点を決定する際の位置検出装置300の動作について説明する。
まず、制御部350は、モータードライバ18に、ズーム比調整ギア12の動作範囲の一方の端点に向けてズーム比調整ギア12が動作するようにモーター14を駆動させる。モーター14の回転に応じてロータリーエンコーダ駆動ギア15が回転し、ロータリーエンコーダ16は、その回転に応じて、パルス信号を出力する。
速度検出部310は、所定の検出タイミング毎に、ロータリーエンコーダ16から出力されるパルス信号のパルス速度を検出する。加速度算出部330は、今回検出されたパルス速度と、レジスタ320に記憶されている前回検出されたパルス速度とに基づいて加速度を算出する。
制御部350は、速度検出部310が検出した加速度に基づいて、Stop信号をモータードライバ18に出力する。例えば、制御部350は、今回算出された加速度とレジスタ340に記憶されている前回算出された加速度とを比較する。そして、制御部350は、算出された加速度が負の値であり、かつ、負方向に増加すると、Stop信号をモータードライバ18に出力する。
モータードライバ18は、Stop信号の出力に応じてモーター14を停止させる。モーター14が停止することで、ズーム比調整ギア12の動作(回転)も停止する。制御部230は、ズーム比調整ギア12が停止した時点でのカウンタ420のカウント値を基準とし、すなわち、ズーム比調整ギア12が停止した位置を基準点と決定する。そして、制御部230は、基準点からの、ズーム比調整ギア12の動作量に対応するカウンタ420のカウント値の増減に基づいてレンズ位置を調整する。
【0038】
図6は、
図3に示されるパルス速度を加速度に変換した図である。
上述したように、モーター14は、ズーム比調整ギア12を動作範囲の端点に向けて動作させる。モーター14の駆動に応じて、ロータリーエンコーダ16は回転を開始し、パルス信号を出力される。そのため、加速度は正の値となる。
【0039】
時刻t21において、パルス速度が定速になったとする。このとき、加速度は0になる。また、時刻t22において、ズーム比調整ギア12の回転位置が端点に到達したとする。ズーム比調整ギア12の回転位置が端点に到達すると、ストッパーのために回転が制限され、加速度は負の値となり、負方向に徐々に大きくなる。そして、時刻t23において、クラッチ17がスリップすると、加速度は0になる。
制御部350は、加速度算出部330が算出した加速度が負の値であり、かつ、負方向に増加した、時刻t23よりも早い時刻t24において、Stop信号をモータードライバ18に出力する。
【0040】
このように本実施形態の位置検出装置300は、パルス速度に基づいて加速度を算出する加速度算出部330と、ロータリーエンコーダ16から出力されるパルス信号をカウントするカウンタ420とを有する。また、位置検出装置300は、レンズ動作部であるズーム比調整ギア12の動作範囲内の基準点からの検出した動作量に基づいてレンズのレンズ位置を制御する制御部350を有する。制御部350は、ズーム比調整ギア12の動作範囲の一方の端点に向けてズーム比調整ギア12を動作させたときに加速度算出部330が算出した加速度に基づいて、ズーム比調整ギア12の動作を停止させ、ズーム比調整ギア12が停止した位置を基準点と決定する。
【0041】
ズーム比調整ギア12の回転位置が動作範囲の端点に到達すると、ズーム比調整ギア12の動作が制限され、パルス速度に基づいて算出される加速度は負の値となり、負方向に増加する。そのため、動作範囲の端点に向けてズーム比調整ギア12を動作させたときの加速度に基づいて、ズーム比調整ギア12の動作を停止させることで、より早いタイミングでレンズの移動を停止させることができる。そのため、基準点の検出精度の低下を防ぎ、レンズ位置の検出精度の向上を図ることができる。
【0042】
なお、上述した実施形態においては、位置検出装置は、ズーム比調整機能を有するレンズ10のレンズ位置を検出する例を用いて説明したが、これに限られるものではない。位置検出装置は、レンズ本体を投射光軸に垂直な平面に沿った方向に移動させることで投射位置を調整可能なレンズのレンズ位置の検出に用いることも可能である。
また、上述した実施形態においては、所定の動作範囲で可動であり、動作に応じてレンズを移動させるレンズ動作部がズーム比調整ギア12であり、レンズ動作部の動作量としてズーム比調整ギア12の回転量を検出する例を用いて説明したがこれに限られるものではない。レンズ動作部は、レンズの投射光軸に対して上下左右に可動(シフト可能)であってもよい。この場合、レンズ動作部の動作量としては、上下左右のシフト量(移動量)が検出される。