(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6390947
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】線香差し
(51)【国際特許分類】
A47G 33/00 20060101AFI20180910BHJP
【FI】
A47G33/00 C
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-118990(P2014-118990)
(22)【出願日】2014年6月9日
(65)【公開番号】特開2015-16306(P2015-16306A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2017年4月4日
(31)【優先権主張番号】特願2013-125001(P2013-125001)
(32)【優先日】2013年6月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】392031790
【氏名又は名称】株式会社小泉製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】浅野 三恵子
(72)【発明者】
【氏名】小泉 俊博
【審査官】
石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3163400(JP,U)
【文献】
国際公開第2013/081334(WO,A1)
【文献】
登録実用新案第3098326(JP,U)
【文献】
特開2012−085801(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 33/00
A47G 35/00
E04H 13/00
A61Q 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の有底容器からなる容器本体と、当該容器本体の上側の開口部をふさぐ蓋体を有し、前記蓋体は天井部が密閉された筒状の容器からなり、前記容器本体に線香立てとなる耐火性を有する多孔質体を設けたことを特徴とする線香差し。
【請求項2】
容器本体の側部に、当該容器本体から取り外した蓋体を容器として連結して載置するための連結手段を有することを特徴とする請求項1記載の線香差し。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香炉などで燃焼させる目的の線香を、祭壇等の祭事スペース等で一時的に保持しておく線香差しに係るものである。
【背景技術】
【0002】
特願2010−278735号で示される線香差しのように、転倒防止を目的とした線香差しの提案がされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2010−278735号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、線香差しにおいて湿気対策や匂いの対策については、これといった提案がされてこなかった。
線香を焚く使用時には、目的の香の匂いが部屋に充満する。
しかしながら、昨今の住環境の密室化や祭壇の小型化によって、線香差しに保持しておいた線香からの匂いが気になるといった使用者の要望が出てきた。
特に複数の種別の匂いを使い分ける使用者にとって、使用される線香以外の匂いで使用時の匂いが邪魔されないように気を使う必要があった。
加えて高価な線香においては、近くで焚かれている他の線香の匂いを吸着するといったことも指摘されていた。
花粉症対策やウィルス対策による加湿器の普及した影響で、高価な線香の変質や湿気による軟化が問題となってきていた。
以上のように匂い対策や湿気対策が可能な線香差しが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る線香差しは、筒状の有底容器からなる容器本体と、当該容器本体の上側の開口部をふさぐ蓋体を有し、前記蓋体は天井部が密閉された筒状の容器からなることを特徴とする。
ここで、容器本体の側部に、当該容器本体から取り外した蓋体を連結して載置するための連結手段を有するようにしてもよい。
【0006】
線香差しに珪藻土などの多孔体物質を利用し、余分な匂いや湿気を吸収する多孔体物質を内包し付帯させた線香差しとしてもよく、例えば、容器本体又は/及び蓋体を多孔質体で形成してもよく、容器本体の底部に又は/及び側壁の内面に沿って多孔質体を配設してもよい。
【発明の効果】
【0007】
蓋体を有する線香差しとしたことで匂いが閉じ込められて、不要な匂いが外にあまり出ないようにすることが可能となった。
【0008】
容器本体の側部に蓋体を連結して載置できるようにすると、蓋体を転倒防止用補助具として利用することができる。
【0009】
蓋体を収容する容器として転用する構造にしておくと、後述する形態のように入りきれなかった線香差しを小分けして入れる補助的容器としたり、ライターなどの収容具として利用できる。
【0010】
蓋体を有することで、置き方の制限が少なくなる。
横置きにもできるために地震などの災害に対応できる。
また、その形態のまま仏壇の引き出しなどに収容することができる。
簡便に、そのまま持ち運び等ができて楽である。
線香差し内部に線香立て等の備品を内包するような構造にすることで、携帯可能な線香差しとすることができる。
蓋体を線香立てにしてもよい。
【0011】
線香差し内部に珪藻土などの多孔質物質を内包することで、余分な匂いを吸着することができる。
また、匂いだけでなく前記多孔体物質の吸湿性によって、湿度による線香の変質や軟化などの不具合を防止することができる。
特に容器が金属製の場合においても、温度の変化で汗をかくといった現象が出にくい。
また、その現象が実際に起きても水分を多孔体物質の吸湿作用により不具合を防ぐ役割をする。
【0012】
また、珪藻土等の多孔体物質の熱伝導度は極めて低いために、大切な線香を全体的に前記多孔体物質で囲むような構造にしてあれば、火災などによる焼失を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】容器本体の側部に蓋体を連結して載置した状態を示す。
【
図4】容器本体の底部に、孔を明けた円板状の多孔質体を装入した例を示す。
【
図5】容器本体の内側に多孔質体からなる内容器を設けた例を示す。
【
図6】(a)は蓋体に線香を差した状態、(b)は蓋体の底部に凹部を形成した例を示す。
【
図8】容器の底部に装入した多孔質体を取り出して線香立てにした状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施形態は添付図面を利用して説明する。
【0015】
図1〜
図8は本発明の実施例を示す説明図である。
図1,4,5の説明図は、縦中心部を垂直方向に切断面で示した縦中央断面図である。
実施形態は、縦中心部を中心にした概略回転体で表される。
その他の説明図は簡便のため端面を示す斜線等、省略して表す。
【0016】
図1は、線香差しの容器本体11と蓋体12とからなる蓋体12を有する線香差し10とした本発明の実施例である。
容器本体11及び蓋体12の素材は金属が好ましいが、金属に限定されるものではない。
また、本発明は円筒状のもので示されているが形状に限定されるものではない。
四角形状であったり六角形など平面部を側面に有する線香立ての形態は、ふたをして横置きしたときに転がらず便利である。
この内部に線香を入れて使用する。
【0017】
図2は、蓋体12を外して利用している形態を示すものである。
容器本体11に線香1が入れてある形態を示す。
天地を逆転させて置いた蓋体12を容器として利用できるので便利である。
他の線香1を小分けしたり、ライターなどの火器具を入れて置くことで備品などの収納性が高まる。
容器本体は有底の筒状で蓋体12の内側との相互の嵌合部11a,12aにて嵌着する。
【0018】
図3でふたを使い、線香差しの安定性が増す使い方を説明する。
蓋体12の一部に磁性体12bを用い、容器本体11に磁石などの磁性体11aで磁力吸着させて一体化させる。
このようにできる仕組みを使用すると、転倒などの不具合が起こりにくくなる。
また、そのように容器本体11に常時蓋体12付帯する形態で使用すると、蓋体12の収納の問題が同時に解決され紛失などが起こらない。
本実施例では、磁性体の磁力による容器本体11と蓋体12の一体化によって安定化を図ったが、その手段は磁力に限るものではない。
組み合わせブロックのように物理的に接続する方法もあるし、ヒモや輪ゴムのようなもので一体化させる手段を用いてもよい。
要は、線香立てを載置する概略平面図への接触する部分を増やして転倒に対して安定性が高まればよい。
【0019】
図4で示される形態は、容器本体11の内部の底部に円板状の多孔質体13を入れた形態ものである。
これにより、湿度調整や余分な匂いの吸収を行うことができて便利である。
この円板状の多孔質体の中央に孔13aを設けてあり、そのまま
図8のような線香立てとして利用できると利用度が高まる。
図4で示された多孔質体は、吸湿性、消臭性などを有していれば特に特定はないが、線香立てとしての用途も兼用することを考えると、耐火性を有するゼオライトや珪藻土などが好ましい。
【0020】
図5で示される形態のように筒形状の多孔質体14を内部に内包して用いる方法もある。
これによれば、湿度対策や余分な匂いの吸収がより大きく行えてよい。
加えて、耐火性を有する多孔質体14を用いると線香の焼失を免れやすい。
もちろん、
図4による形態と
図5による形態を併用する形態を用いてもよい。
また、容器本体11や蓋体12そのものを多孔質体にした線香入れ10であってもよい。
【0021】
図6で示されるように、蓋体12の収容部を使って線香を収納する場合に、高さが足りずに6図(a)のように蓋体12の収納部の底部の淵に線香下端部が追いやられ、線香が不適切にバラケやすく後から入れる線香を収納しづらくする。
このときに、収納部底部に当たる部分を
図6で示すような凹部12cとし、線香1下端部が底部淵部から底部中央部に自然に向かわせるような構造とすると便利である。
このような高さの不十分な場合に特段の効果を発揮するが、この仕組みを容器本体11の底部に用いてもよい。
この構造を用いると
図7のように線香1が多く入った場合において、各々の線香上端部が淵部から中央部にかけて凹状をなすために線香を取り出しやすくなるといった利点もあって便利である。
また、
図4の多孔質体によって収納部底部が凹状をなすような形態であってもよい。
【符号の説明】
【0022】
10 線香差し
11 容器本体
12 蓋体