(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記加速可否状態判断手段により前記車両が加速可能な状態にあると判断された際に、前記情報取得手段により得られた前記車両の周辺情報に基づいて前記車両が加速状態に移行した場合の加速度合いを予測する予測手段を有し、
前記第2の閾値は、前記予測手段により予測される前記加速度合いに応じて変更されることを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
前記情報取得手段は、前記車両と該車両の前方を走行する前車との間の車間距離、及び、前記車両の走行地点の制限速度を前記周辺情報として取得するとともに、前記車両の走行速度を取得し、
前記予測手段は、前記情報取得手段で取得された前記車間距離が大きいほど、又は、前記情報取得手段で取得された前記車両の走行速度が前記制限速度よりも小さいほど、前記加速度合いが大きいと予測することを特徴とする請求項2に記載の車両の制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この従来の車両の制御装置では、内燃機関の停止時期に先だって、NOx吸蔵還元型の触媒に残留しているNOx成分を還元するためのNOxパージを実行する。しかしながら、NOx成分は、車両の加速時に多量に発生するため、内燃機関の停止時期に先だってのみ、NOxパージを実行するだけでは、車両の加速時に発生したNOx成分を排気浄化装置で吸蔵しきれなくなり、NOx成分が排出される虞が生じる。
【0005】
一方、近年、NOx成分の排出規制がより強化される傾向にある。このため、これまで以上にNOx成分の浄化性能を高めた車両の提供が望まれている。
【0006】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも幾つかの実施形態は、車両の加速時に多量に発生するNOx成分を吸蔵可能にし、NOx成分の浄化性能を向上することのできる車両の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の少なくとも一つの実施形態に係わる内燃機関の排気浄化装置は、排気ガス中のNOx成分を吸蔵するNOxトラップ触媒を備えた車両の制御装置であって、前記NOxトラップ触媒に吸蔵されたNOx成分を還元するためのNOxパージ制御を実施するNOxパージ制御手段と、前記車両の周辺情報を取得する情報取得手段と、前記情報取得手段により得られた周辺情報に基づいて前記車両が加速可能な状態にあるか否かを判断する加速可否状態判断手段と、
前記NOxトラップ触媒に吸蔵されたNOx成分の量を求める吸蔵量演算手段と、を有し、前記NOxパージ制御手段は、
前記加速可否状態判断手段により前記車両が加速可能な状態以外であると判断された場合、前記吸蔵量演算手段により求められたNOxトラップ成分の量が第1の閾値以上であるときに前記NOxパージ制御を実施し、前記加速可否状態判断手段により前記車両が加速可能な状態にあると判断された場合、
前記吸蔵量演算手段により求められたNOxトラップ成分の量が前記第1の閾値よりも小さい第2の閾値以上であるときに、前記車両が加速を開始する前に
前記NOxパージ
制御を実施するように構成される。
【0008】
上記車両の制御装置によれば、車両が加速可能な状態にあると判断されるとき、即ち、車両の加速が予見されるときには、車両が加速する前にNOxトラップ触媒に対してNOxパージが行われるので、車両の加速に先立ってNOxトラップ触媒に吸蔵可能な吸蔵量を回復することができ、加速時に大量に排出されるNOxを吸蔵しやすくなり、排ガス性能を向上することができる。よって、NOx成分の浄化性能を向上可能な車両の制御装置を実現できる。
【0010】
また、前記NOxパージ制御手段は、前記加速可否状態判断手段により前記車両が加速可能な状態以外であると判断された場合、前記吸蔵量演算手段により求められたNOxトラップ成分の量が第1の閾値以上であるときに前記NOxパージ制御を実施し、前記加速可否状態判断手段により前記車両が加速可能な状態にあると判断された場合、前記吸蔵量演算手段により求められたNOxトラップ成分の量が前記第1の閾値よりも小さい第2の閾値以上であるときに、前記車両が加速を開始する前に前記NOxパージ制御を実施するように構成されるので、この場合には、車両が加速可能な状態であるときのパージ制御がそれ以外のとき(通常時)よりも実施されやすくなるため、加速を予見した際のパージ制御が実行されやすくなる。したがって、車両の加速に先立ってNOxトラップ触媒に吸蔵可能な吸蔵量をより確実に回復することができ、車両の排ガス性能を向上することができる。
【0011】
また、幾つかの実施形態では、前記加速可否状態判断手段により前記車両が加速可能な状態にあると判断された際に、前記情報取得手段により得られた前記車両の周辺情報に基づいて前記車両が加速状態に移行した場合の加速度合いを予測する予測手段を有し、前記第2の閾値は、前記予測手段により予測される前記加速度合いに応じて変更されるように構成される。
【0012】
この場合には、車両加速時のNOx排出量は加速度や加速の継続時間等、即ち加速度合いにより異なるため、加速度合いを予測し、加速前にパージ制御を実施するための判定閾値(第2の閾値)を予測される加速度合いに応じて変更することで、加速前のパージ制御をより適切に実施することができる。
【0013】
また、幾つかの実施形態では、前記情報取得手段は、前記車両と該車両の前方を走行する前車との間の車間距離を前記周辺情報として取得し、前記加速可否状態判断手段は、前記車間距離が所定値以上であるときに、前記車両が加速可能な状態にあると判断するように構成される。
【0014】
この場合、車両が加速可能な状態にあるか否かを確実に判断することができ、加速前のパージ制御を適切に実施することができる。
【0015】
また、幾つかの実施形態では、前記情報取得手段は、前記車両の走行地点の制限速度を前記周辺情報として取得するとともに、前記車両の走行速度を取得し、前記加速可否状態判断手段は、前記車両
の走行速度が前記制限速度よりも所定以上小さいときに、前記車両が加速可能な状態にあると判断するように構成される。
【0016】
この場合、車両が加速可能な状態にあるか否かを確実に判断することができ、加速前のパージ制御を適切に実施することができる。
【0017】
また、幾つかの実施形態では、前記情報取得手段は、前記車両と該車両の前方を走行する前車との間の車間距離、及び、前記車両の走行地点の制限速度を前記周辺情報として取得するとともに、前記車両の走行速度を取得し、前記予測手段は、前記情報取得手段で取得された前記車間距離が大きいほど、又は、前記情報取得手段で取得された前記車両
の走行速度が前記制限速度よりも小さいほど、前記加速度合いが大きいと予測するように構成される。
【0018】
この場合、車間距離だけでなく制限速度と車両速度の関係も考慮に入れることで、加速した場合の加速度合いをより確実に予測することができ、より適切に加速前のパージ制御を実施することができる。
【0019】
また、幾つかの実施形態では、前記NOxパージ制御手段は、前記NOxパージ制御の実施中に前記車両が加速状態に移行した場合、前記NOxパージ制御を中止するように構成される。
【0020】
この場合、パージ制御の完了前であっても加速状態に移行した際にはパージ制御を終了することで、加速性能を損なうことなく加速時のNOx浄化性能を向上させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の少なくとも幾つかの実施形態によれば、車両の加速時に多量に発生するNOx成分を吸蔵可能にし、NOx成分の浄化性能を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面に従って本発明の内燃機関の排気浄化装置の実施形態について、
図1〜
図3を参照しながら説明する。本実施形態では、内燃機関としてディーゼルエンジン(以下、単に「エンジン」と記す。)から排出される排気ガスに含まれるNOxを処理する排気浄化装置を例にして説明する。先ず、排気浄化装置を説明する前に、エンジンとエンジンの排気系について説明する。なお、この実施形態に記載されている構成部品の材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0024】
エンジン1には、エンジン1の燃焼室に燃料を噴出する燃料噴射装置3が接続されている。また、エンジン1には、エンジン1の回転数を検出可能なエンジン回転数センサ5及び、エンジン1に作用するトルクを検出するトルクセンサ7が設けられている。燃料噴射装置3は、後述するECU30の指令に基づいて作動して燃料を燃焼室に噴出する。また、エンジン回転数センサ5及びトルクセンサ7は、ECU30に電気的に接続されて検出信号をECU30に送る。
【0025】
エンジン1の排気管10には、上流側から順に、酸化触媒13、パティキュレートフィルタ15、NOxトラップ触媒17が配設されている。酸化触媒13は、通路を形成する多孔質の壁にプラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の触媒貴金属を担持して構成されており、排気ガス中のCO及びHCを酸化させてCO2及びH2Oに変換すると共に、排気ガス中のNOを酸化してNO2を生成する機能を有する。
【0026】
パティキュレートフィルタ15は、例えば、ハニカム担体の通路の上流側及び下流側を交互にプラグで閉鎖したウォールフロー式のフィルタとして構成され、そのフィルタ壁に排気ガスを流通させて排気ガス中のパティキュレート(有害成分、粒子状物質)を捕集する機能を有している。
【0027】
NOxトラップ触媒17は、例えば、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の触媒貴金属と、バリウム(Ba)、カリウム(K)等のNOx吸着剤を担持して構成されており、リーン空燃比雰囲気(酸化雰囲気)下でNOxを吸蔵する一方、吸蔵したNOxをストイキ又はリッチ空燃比雰囲気(還元雰囲気)下で放出して、排気ガス中のHC、COとの反応により還元する機能を有している。
【0028】
NOxトラップ触媒17には、この触媒温度を検出する触媒温度センサ19が設けられている。また、NOxトラップ触媒17の上流側に接続された排気管10aには、エンジン1から排出された排気ガス中に含まれるNOx濃度を検出するNOxセンサ21が設けられている。
【0029】
ECU30は、エンジン1の運転制御をはじめとして総合的な制御を行うための制御装置であり、センサ類からの検出情報に基づき、エンジン1の作動を制御する。また、ECU30は、このようなエンジン1の運転を目的とした制御に加えて、酸化触媒13、パティキュレートフィルタ15、NOxトラップ触媒17を最適な状態で作動させるべく各種制御を行う。
【0030】
図2(ブロック図)に示すように、ECU30には、前述したセンサ(エンジン回転数センサ5、トルクセンサ7、触媒温度センサ19、NOxセンサ21)の他に、レーダセンサ23、車速センサ25、加速度センサ26、ナビゲーションシステム27からの信号が入力される。そして、燃料噴射装置3等へ制御信号を出力する。レーダセンサ23は、自車と自車の前方を走行する前車との間の車間距離を測定可能なセンサであり、前方に電波を送信し、前車からの反射波を受信して車間距離を測定するものである。
【0031】
ここで、エンジン1は、通常運転時に排気空燃比がリーン側に維持されているため、NOxトラップ触媒17は排気ガスに含まれるNOx成分の吸蔵作用を奏して大気中への排出を防止するが、NOxトラップ触媒17はNOx吸蔵限界を越えるとNOx成分を素通りさせてしまう。特に、NOx成分は、車両の加速時に多量に発生するため、NOxトラップ触媒17がNOx吸蔵限界に近い量のNOx成分を吸蔵した状態にあると、加速中に排出されるNOx成分を吸蔵しきれずに、多量のNOx成分を排出してしまう虞がある。そこで、このような事態を防止するため、ECU30は、車両が加速可能な状態(加速前の状態)であるか否かを予測し、加速する前にエンジン1の排気空燃比をストイキ又はリッチ化するNOxパージを行い、これによりNOx触媒に吸蔵されているNOxを還元するようにした。
【0032】
具体的には、ECU30は、
図2に示すように、情報取得部31
(情報取得手段)と加速可否状態判断部33
(加速可否状態判断手段)と予測部34
(予測手段)と吸蔵量
演算部35
(吸蔵量演算手段)と加速状態判断部36とNOxパージ制御部37
(NOxパージ制御手段)と、を備えて構成されている。情報取得部31は、レーダセンサ23によって得られた前車との車間距離情報、例えば、50m、100m等の距離情報と、ナビゲーションシステム27によって認識される車両の走行地点の制限速度を周辺情報として取得する。また、情報取得部31は、車速センサ25によって得られた車両の走行速度も取得する。加速可否状態判断部33は、情報取得部31により得られた車両の周辺情報に基づいて自車が加速可能な状態にあるか否かを判断する。
例えば、加速可否状態判断部33は、レーダセンサ23によって得られた距離情報が50m未満であった場合には、自車と前車との車間距離は短く、車両が加速可能な状態ではない(車両の加速する可能性が低い)と判断する。また、車速センサ25によって得られた走行速度がナビゲーションシステム27によって認識される車両の走行地点の制限速度より大きい場合にも、車両が加速可能な状態ではないと判断する。一方、レーダセンサ23によって得られた距離情報が50m以上であり、且つ、走行速度が制限速度よりも小さい場合には、加速可否状態判断部33は車両が加速可能な状態である(車両の加速する可能性が高い)と判断する。
【0033】
さらに、加速可否状態判断部33によって車両が加速可能な状態にあると判断されると、予測部34は、情報取得部31により得られた周辺情報に基づいて、その後の車両の加速度合いを予測する。例えば、レーダセンサ23によって得られた車間距離が100m以上である場合や、制限速度と走行速度との差が20km/h以上である場合には、車両の加速度合いは大きい(長い時間加速する、もしくは、急加速する)と予測する。一方、車間距離が50m以上100m未満であり、且つ、制限速度と走行速度との差が20km/h未満であれば加速度合いは小さい(加速時間が短い、もしくは、緩やかに加速する)と予測する。尚、加速状態判断部36は、加速度センサ26によって得られた車両の加速度に基づいて車両が加速している状態であるか否かを判断する。
【0034】
吸蔵量演算部35は、NOxトラップ触媒17(
図1参照)に吸蔵されたNOx成分の吸蔵量を演算する。即ち、エンジン1のエンジン回転数に対するエンジントルクを予め測定するとともに、これらの関係に重ね合わせて排気管10に流れるエンジンアウトのNOxの量をマップとして用意し、またNOxトラップ触媒17の触媒温度に対するNOxトラップ触媒17の吸蔵率を予め測定しておき、これらの関係から吸蔵量を算出して積算することでNOx成分の吸蔵量が求められる。
【0035】
NOxパージ制御部37は、加速可否状態判断部33による判断結果と、予測部34による加速度合いの予測結果とに基づいて、NOxパージ制御を実施するための閾値N
THを設定する。より具体的には、加速可否状態判断部33により車両が加速可能な状態に無いと判断された場合は、閾値N
THは第1の閾値N
1に設定され、車両が加速可能な状態にあると判断された場合は、閾値N
THは第2の閾値N
2(<N
1)設定される。第2の閾値N
2は、予測部34により加速度合いが大きいと予測される場合にはaに設定され、加速度合いが小さいと予測される場合にはb(>a)に設定される。
続いて、NOxパージ制御部37は、吸蔵量演算部35により演算されたNOx成分の吸蔵量が閾値を超えているか否かを判断し、超えていると判断され、さらに所定のNOxパージ実施条件が成立していると判断されると、燃料噴射装置3によるNOxパージを行わせる。
【0036】
次に、内燃機関の排気浄化装置40の作動を、
図2及び
図3を参照しながら説明する。車両の走行時において、ECU30の情報取得部31は、レーダセンサ23によって検出され自車と前車との車間距離Lの周辺情報を取得し(ステップ100)、またナビゲーションシステム27によって認識される車両の走行地点の制限速度V
Lを周辺情報として取得する(ステップ101)。さらに、情報取得部31は、車速センサ25によって得られた車両の走行速度(車速V)の周辺情報を取得し(ステップ102)、またエンジン回転数センサ5、トルクセンサ7等からNOx成分の吸蔵量Xを演算する(ステップ103)。
【0037】
これら車両の周辺情報が取得されると、車両が加速可能な状態であるか否かの判定が行われる。具体的には、加速可否状態判断部33は、車両の周辺情報に基づいて自車が加速可能な状態にあるか否かを判断する。即ち、加速可否状態判断部33は車間距離Lが50mを超えているか否かを判断し(ステップ104)、車間距離が50mを超えていれば、制限速度V
Lと車速Vとの差が15Km/hを超えているか否かを判断する(ステップ106)。従って、制限速度V
Lと車速Vとの差が15Km/hを超えている場合には、NOxパージ制御部37は自車が加速可能な状態にあると判断して、NOxパージ制御を実施するための閾値N
THをN
2に設定する(ステップ107)。
【0038】
一方、車間距離Lが50mを超えていない場合、又は制限速度V
Lと車速Vとの差が15Km/hを超えていない場合には、NOxパージ制御部37は車両が加速可能な状態にないと判断し、NOxパージ制御を実施するための閾値N
THをN
1に設定する(ステップ105)。
【0039】
ステップ108〜ステップ111では、予測部34によって車両の加速度合の強弱判定が行われる。即ち、加速可否状態判断部33によって車両が加速可能な状態にあると判定されると、予測部34は、車間距離Lが100mを超えていれば(S108)、加速度合いの強弱が強いと予測して、NOxパージ制御部37はNパージ閾値N
THを最も小さいaに設定する(S111)。また、予測部34は、車間距離Lが100mを超えていないときに、制限速度V
Lと車速Vとの差が30Km/hを超えている場合には(S109)、加速度合いの強弱が強いと予測して、NOxパージ制御部37はNパージ閾値N
THを最も小さいaに設定する(S111)。また、ステップ109において、制限速度V
Lと車速Vとの差が30Km/hを超えていない場合には、予測部34は加速度合いの強弱が弱いと予測して、NOxパージ制御部37はNパージ閾値N
THをaより大きいbに設定する(S110)。
【0040】
そして、ステップ112では、NOxパージ制御部37は演算されたNOx埋蔵量Xが設定したNパージ閾値N
THを超えているか否かを判定する。そして、NOx埋蔵量Xが設定したNパージ閾値N
THを超えている場合には、ステップ113〜115において、NOxパージ制御部37によってNパージを実行するためのその他の条件を満たすか否かの判定を行う。具体的には、NOxパージ制御部37は、排気ガスの排気温度(T
FX)が所定温度(T
A)よりも高いと判断し(S113)、且つエンジン回転数センサよりエンジンがアイドリング状態でないと判断し(S114)、且つ加速状態判断部36によって車両が加速中でないと判断されると(S115)、燃料噴射装置3によるNOxパージを実行する(S116)。一方、ステップ112〜ステップ115のいずれかの条件を満たさなければ、ステップ100に戻る。
【0041】
このように、車両が加速可能な状態にあると判断された場合には、車両が加速を開始する前に燃料噴射装置3によるNOxパージが実施される。このため、車両が加速可能な状態にあると判断されるとき、即ち、車両の加速が予見されるときには、車両が加速する前にNOxトラップ触媒に対してNOxパージが行われるので、車両の加速に先立ってNOxトラップ触媒に吸蔵可能な吸蔵量を回復することができ、加速時に大量に排出されるNOxを吸蔵しやすくなり、排ガス性能を向上することができる。よって、NOx成分の浄化性能を向上可能な車両の制御装置を実現できる。
【0042】
また、NOxパージ制御部37は、車両が加速可能な状態以外である場合には、吸蔵量演算部35により求められたNOxトラップ成分の量が閾値N
1以上であるときにNOxパージ制御を実施し、加速可否状態判断部33により車両が加速可能な状態にあると判断された場合には、吸蔵量演算部35により求められたNOxトラップ成分の量が閾値N
1よりも小さい閾値(a、b)以上であるときに、車両が加速を開始する前にNOxパージ制御を実施する。このため、車両が加速可能な状態であるときのパージ制御がそれ以外のとき(通常時)よりも実施されやすくなるため、加速を予見した際のパージ制御が実行されやすくなる。したがって、車両の加速に先立ってNOxトラップ触媒に吸蔵可能な吸蔵量をより確実に回復することができ、車両の排ガス性能を向上することができる。
なお、NOxパージ制御を実施している際に、或いは実施すると判断した直後に、加速度センサ26により車両の加速が検出された場合には、NOxパージ制御を中止してもよい。この場合、NOxパージ制御部37は、NOxパージ制御の完了前であっても加速状態に移行した際にはパージ制御を終了することで、加速性能を損なうことなく加速時のNOx浄化性能を向上させることができる。
【0043】
なお、情報取得部31は、ブレーキの作動状態を取得してもよい。この場合には、ブレーキの作動時に信号が発生するブレーキペダルセンサ(図示せず)をECU30に接続する。ブレーキが非作動状態にあれば車両が加速される度合いが大きいと考えられ、一方、ブレーキが作動状態にあれば車両が減速されるので、車両が加速される度合いは小さいと考えられる。このため、車間距離や制限速度と車両速度の差の他にブレーキ状態を加味することで、予測される加速の状態をより詳細に判断することができる。
【0044】
また、情報取得部31は、周辺情報として渋滞中であるか否かを取得してもよい。この場合には、渋滞情報をナビゲーションシステム27から取得する。渋滞中であれば、加速する度合いは小さいと考えられ、渋滞中でなければ、加速する度合いは大きくなると考えられる。このため、周辺情報に、車間距離の他に渋滞状況を加味することで、予測される加速の状態をより詳細に判断することができる。
【0045】
このように、車両の周辺情報として、車間距離、走行地点の制限速度、渋滞情報を示したが、これらのいずれの組み合わせを周辺情報としてもよい。
【0046】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない範囲での種々の変更が可能である。例えば、上述した各種実施形態を適宜組み合わせてもよいし、閾値N
2を更に複数設定してもよい。